肺がん検診は「CTユニット搭載検診バス」で

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/08/10

 

 米CHI記念胸部・肺がんセンター胸部外科部門チーフのRob Headrick氏らは、2018年初頭に、肺がんリスクのある人が気軽に検診を受けられるようにするため、CTユニットを搭載した検診バスの運行を開始。開始から10カ月間に5人の肺がん患者を発見したほか、肺気腫などの肺疾患や中等度から重度の冠動脈疾患の発見にもつながったと、「Annals of Thoracic Surgery」7月13日号で報告した。

 2019年のある日、Irene Johnsonさんは、休暇を過ごしていた米テネシー州ベントンで「一息つこう(Breathe Easy)」と車体に書かれた大きな青いバスが停まっていることに気付いた。中にいた職員の話によると、このバスは、喫煙者が肺がん検診を受けるための移動式CTユニットだった。長年にわたり喫煙していたIreneさんと夫のKarlさんは、検診を受けることにした。その結果、夫婦ともに右側の肺の上部に影が見つかり、その後、それらはステージ1の肺がんであることが確認された。

 77歳のIreneさんは、その時のことを「天使が私をあの場所に連れて行ってくれたのではないかと思う」と振り返る。「早期の肺がんは自覚症状がないため、症状の有無だけで判断しようとすると手遅れになる可能性がある」と話している。

 Headrick氏によると、このCTユニット搭載検診バスは、Johnson夫妻のような肺がんリスクのある人たちに気軽に検診を受けてもらうための取り組みの一つだという。製作に65万ドル(約6800万円)を費やしたこのバスは、運行開始から10カ月間でテネシー州東部の104施設を巡回し、548人に低線量CTスキャンによる肺がん検診を実施した。なお、導入から2年以上が経過した現在、検診は1カ月当たり平均100件ほど実施されている。

 Johnson夫妻は、自宅のあるフロリダ州に戻ってから治療を受けた。夫のKarlさんは11月、妻のIreneさんは12月に手術を受け、今では二人ともがんの再発もなく過ごしているという。

 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は2013年から、CTによる肺がん検診を推奨している。その当時、医師たちは肺がんが早期に発見され、多くの命を救えると期待を寄せていた。ところが、大きな問題があった。検診は喫煙者と過去に喫煙歴がある人たちが対象となるが、そのような人たちの中で検診を受けようとする人がほとんどいなかったのだ。

 ある全米調査によれば、対象者のうちで、実際に検診を受けた人の割合は、わずか2~3%にとどまっているという。その理由についてHeadrick氏は、検診施設へのアクセスの悪さや待ち時間の長さを挙げる。「検診を受けるために仕事を休まなければならず、金銭的な負担も大きい」と同氏は話す。

 こうした問題を解決するためHeadrick氏らは今回、CTユニット搭載検診バスを考案したという。このバスの運行開始から10カ月間に5人の肺がん患者を発見し、このうち4人は早期の肺がんだった。また、がん以外にも肺気腫などの肺疾患が51人に見つかった。さらに、中等度から重度の冠動脈疾患が見つかった人も101人に上ったとしている。

 なお、テネシー州では今後、バスを8台まで増やし、各地でCT検査による肺がん検診を提供することを計画している。

[2020年7月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら