パートナーと一緒に寝ると睡眠の質が高まる

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/24

 

 仲の良いカップルが一つのベッドで寝ると、睡眠の質が向上する可能性が報告された。1人で寝るよりもレム睡眠が長くなるという。詳細は「Frontiers in Psychiatry」6月25日オンライン版に掲載された。

 レム睡眠とは、急速眼球運動(Rapid Eye Movement;REM)を伴う睡眠のこと。睡眠中には、このレム睡眠とノンレム睡眠(急速眼球運動を伴わない睡眠)が繰り返されている。レム睡眠は、感情の制御や記憶の統合、問題の創造的な解決などに関連すると考えられていて、夢を見るのもレム睡眠の時が多いとされる。2人で寝るとレム睡眠が増えるという今回の研究結果について、論文の筆頭著者であるクリスティアン・アルブレヒト大学キール(ドイツ)のHenning Drews氏は、「パートナーと一緒に寝ると睡眠が妨げられるという見解もあるが、その心配はないことが示された」と述べている。

 Drews氏らは、18~29歳の健康で子どものいない12組のカップルに、睡眠検査室で4泊してもらった。睡眠中は、睡眠ポリグラフ検査(脳波や呼吸、体の動き、筋肉の緊張、心拍などを計測する検査)を用いて、睡眠状態を評価した。半数のカップルには、最初の2晩は別々の部屋で寝て、その後の2晩は一緒に寝てもらった。残りの半数はその順序を逆にした。

 参加者の平均年齢は23.5歳、カップルとして平均34.0カ月の付き合いがあり、この研究に参加する前の少なくとも3カ月以上にわたって、ほぼ毎晩一緒に寝ていた。また、質問票の回答から、カップルの関係は非常に良好と判断された。

 検討の結果、カップル2人が別々に寝た場合に比べ、一緒に寝た場合はレム睡眠が睡眠時間に占める割合が約10%長くなることが分かった(23.0±4.2%対21.0±4.2%、P=0.005)。興味深い点として、一緒に寝ている時の方が手足をよく動かしていたにもかかわらず、それがレム睡眠の妨げにはなっていないように思われた。また、一緒に寝ると2人の睡眠パターンに同調傾向が認められ、その同調傾向の強さは2人の関係の親密さと関連しているようにみられた。カップルが一緒に寝るとよく眠れる理由としてDrews氏は、「リラックスできる安全な環境が、レム睡眠を促進させているのではないか」と考察している。

 この研究は比較的若年のカップルを対象に行われたが、論文を査読した米ロング・アイランド・ジューイッシュ医療センターのJessy Warner-Cohen氏は、高齢のカップルでも、一緒に寝ることでメリットを得られる可能性もあるのではないかと指摘している。他方、2人の仲がよくない場合、特にカップルのどちらか1人がパートナーに恐れを感じているような場合には、一緒に寝ることのメリットがない可能性が高いという。同氏はその他、パートナーのいない人に対して、「就寝前の行動や、寝室の音や光に配慮して環境を整えることにより、レム睡眠の質を改善できる」と助言している。

 一方、米ノースウェル・ヘルス、睡眠障害センターのLauren Broch氏は、「今回の研究は適切なデザインで実施されているが、サンプルサイズが小さく、被験者が若年層に限られ、実験回数も少ない」と、エビデンスとしての弱さを指摘する。ただしその上で同氏も、「この知見はパートナーとの関係が睡眠、精神の健康、総合的な幸福感にどのように影響するかという重要な問題を提起するものだ」と評価している。

[2020年6月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら