高齢でフレイルの高血圧患者でも降圧療法は有用

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/08

 

 健康状態が不良と判定され、フレイルに該当するような高齢高血圧患者であっても、降圧薬服用を順守することで予後が改善する可能性を示唆する論文が「Hypertension」6月8日オンライン版に掲載された。フレイルに該当しない高齢患者では服薬順守によって、より大きなメリットを得られるという。

 論文の上席著者であるミラノ・ビコッカ大学(イタリア)のGiuseppe Mancia氏は本研究の目的を、「高齢者に対する降圧療法には全般的な保護効果があることは分かっていた。しかしわれわれは、高血圧以外に多数の疾患を抱え、ランダム化比較試験では通常、対象から除外されるフレイルに該当する人でも、同様の効果があるのか否かに焦点を当てた」と述べている。

 Mancia氏らは、イタリア北部のロンバルディア州での研究データベースを用い、高齢高血圧患者の健康状態、服薬順守状況と、観察期間7年間における死亡率との関係を解析した。解析対象は、2011~2012年の間に3剤以上の降圧薬を処方されていた65歳以上(平均年齢76歳)の高血圧患者、約128万4,000人。

 健康状態は、イタリアで用いられている予後リスクスコアに基づき、ベースライン時点で評価し、良好、中等度、不良、極めて不良の4群に分けた。服薬順守状況は、対象患者が定期的に内服している薬を処方されている日数が観察期間に占める割合で判定した。

 観察期間中に約25万5,000人が死亡した。ロジスティック回帰分析により潜在的交絡因子を調整後、観察期間中の死亡率は、健康状態が良好な群では16%、極めて不良な群では64%だった。

 服薬順守率が低い患者(降圧薬が処方されている日数が観察期間の25%未満)と、高い患者(同75%以上)の死亡率を比較すると、健康状態が良好な群では、後者の死亡率が前者に比較し44%低値だった。同様に、健康状態が中等度の群では43%、不良の群では40%、極めて不良の群では33%、それぞれ服薬順守率が高い患者の死亡率が低く、ベースライン時の健康状態が不良であるほど服薬順守による死亡リスクの差が減少した。心疾患による死亡に限った検討でも、同様の関連が認められた。

 Mancia氏は「この知見から、非常に虚弱な高齢高血圧患者であっても、降圧療法により死亡リスクが低下することが示された。ただし、そのような患者では降圧療法のメリットが比較的小さいようだ」と米国心臓協会(AHA)のニュースリリースで述べている。同氏はまた、「薬は飲まなければ何もしてくれない」と語り、「患者に処方薬を正しく服用させるため、医師は最善を尽くす必要がある」と呼びかけている。

[2020年6月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら