小児期のトラウマが50~60歳になり死亡リスクを高める

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/02

 

 子どものころのトラウマや虐待、ネグレクトなどを体験した50~60歳の人は、心血管疾患や死亡のリスクが高いとする研究結果が「Journal of the American Heart Association」4月28日オンライン版に掲載された。若年成人の冠動脈疾患リスクに関する研究「CARDIA研究」のデータを解析したもの。

 CARDIA研究は、1985~86年から追跡が開始された縦断研究で、登録時の参加者は5,115人。開始から15年目(2000~01年)に、小児期の家庭環境に関する調査が実施され、それに回答した3,646人を今回の研究対象とした。ベースライン時の平均年齢は25.1±3.6歳、55.8%が女性、47.1%が黒人。

 小児期の家庭環境は、7領域にわたるアンケートにより評価。例えば「親または家庭内の他の大人から、どのくらい愛され支えられていたか?」「罵られたり、侮蔑されたりした頻度は?」「あなたが子どものころに何をしていたかを、あなたの家族は知っていたか?」などの質問に対する回答を「逆境スコア」として点数化した。対象者の逆境スコアの平均は、1.7±0.8点だった。0~1点を低スコア群(全体の49%が該当)、2~3点を中スコア群(同29%)、4点以上を高スコア群(同22%)と、3群に分類して比較検討した。

 ベースラインから30.9年(中央値)の追跡期間中に、198人が心血管疾患を発症した(1万人年あたり17.9)。逆境スコアで分類した各群の1万人年あたりの心血管疾患イベント発生率は、低スコア群14.7、中スコア群20.1、高スコア群22.2だった。年齢、性別、BMI、血圧、血清脂質、血糖値、喫煙状況、最近の失業、本人および親の教育歴などで調整後、低スコア群に対する中スコア群のハザード比(aHR)は1.25(P=0.19)、高スコア群はaHR1.40(P=0.06)だった。

 また、家庭環境に関する調査から15年間の追跡期間中に201人の死亡が確認された。1万人年あたりの死亡率は、低スコア群25.8、中スコア群43.9、高スコア群45.5だった。前記の因子で調整後、中スコア群はaHR1.55(P=0.01)、高スコア群はaHR1.68(P<0.01)であり、有意なリスク増大が認められた。

 論文の筆頭著者で米ノースウェスタン大学のJacob Pierce氏は、「小児期の家庭環境が良くなかった人は、肥満につながる過食など、健康リスクのある行動をとることが多く、特に喫煙率の高さは心血管疾患の発症に直接的な影響を及ぼす」と注意を促している。

 また、論文の上席著者で同大学のJoseph Feinglass氏は、「小児期の体験は、成人後の精神的および肉体的幸福に持続的な影響を及ぼし、生涯を通じて健康面の問題を引き起こす」と述べ、「米国の小児に対する社会的・経済的支援は他の先進国よりも少なく、そのために米国社会は非常に大きな“対価”を支払っている」と付け加えている。

[2020年5月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら