寝室のPM2.5除去で喘息患児の呼吸が改善

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/05/05

 

 高性能のエアフィルターを備えた空気清浄機を用いて、寝室の微小粒子状物質(PM2.5)を除去すると、喘息を持つ子どもの呼吸が有意に改善するという研究結果を、米デューク大学地球環境保健学教授のJunfeng Zhang氏らが「JAMA Pediatrics」4月6日オンライン版に発表した。

 大気中に浮遊している粒子状物質は、大気汚染物質の一つとされ、さまざまな粒子径のものがある。このうち、PM2.5の直径は髪の毛の太さの約30分の1程度で、吸い込むと肺の奥まで達するとされる。

 この研究は、上海(中国)の軽症から中等症の喘息を持つ5~13歳の小児43人を対象としたもの。寝室でPM2.5も除去できる超高性能のHEPA(high-efficiency particulate air)フィルターまたは偽物のフィルターを備えた空気清浄機を、ランダムな順番で2週間ずつ使用するクロスオーバー試験を行った。それぞれのフィルターは2週間の間隔を空けて使用した。また、研究は二重盲検デザインとし、同居している家族にも使用しているフィルターが本物なのか偽物なのかを知らせなかった。

 その結果、試験期間中の屋外のPM2.5濃度は平均28.6~69.8μg/m3であり、大気汚染レベルは比較的高かったが、寝室のPM2.5濃度は、HEPAフィルター使用時には、偽物のフィルター使用時と比べて平均で63.4%低いことが明らかになった。

 また、HEPAフィルターの使用は、喘息の子どもの呼吸を有意に改善することが分かった。HEPAフィルター使用時には、偽物のフィルターを使ったときと比べて、平均して全気道抵抗は24.4%、末梢気道抵抗は43.5%それぞれ減少した。さらに、肺の炎症マーカーである呼気一酸化窒素濃度は27.6%減少した。

 これらの呼吸機能の有意な改善は、HEPAフィルターの使用期間中だけ認められた。Zhang氏は「このフィルターを子ども部屋で日常的に使用すれば、呼吸改善を長く保てる可能性が高いのではないか」との見方を示している。

 Zhang氏は、大学のニュースリリースで「これまで製薬会社は、下気道で効く薬剤の開発に多大な資金を投じてきたが、開発された薬剤は非常に高価なものになっている」と指摘。「今回の結果から、高性能の空気清浄機を活用して下気道の大気汚染物質への曝露を防ぐことで、高価な薬剤を使わなくても喘息の子どもの呼吸を楽にできる可能性があることが示された」と説明している。

 また、Zhang氏は「今後、臨床試験で今回の知見が裏づけられれば、汚染された屋外でも屋内でも、高性能エアフィルターを用いた空気清浄システムが活用できる。それは喘息の管理に役立つほか、山火事の際には救命具になる可能性もある」と期待を示している。

 Zhang氏によれば、2019年には、米カリフォルニア州で起こった山火事の影響でサンフランシスコのPM2.5汚染レベルが高まった。また、今年は、オーストラリアでは、森林火災により大気質が危険なレベルにまで悪化しているという。「山火事が起こった際には、高性能エアフィルターを備えた空気清浄機を活用することを真剣に検討すべきだ」と同氏は付け加えている。

[2020年4月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら