病院レベルの在宅医療で再入院抑制

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/01/15

 

 近年、昔ながらの往診にとどまらず、病院と同レベルの医療を在宅でも受けられるようになりつつある。そうした中、病院よりも在宅の方が医療費を抑えられるだけでなく、再入院の抑制にもつながることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のDavid Levine氏らが実施した小規模なランダム化比較試験(RCT)の結果から示された。この研究結果は「Annals of Internal Medicine」12月17日オンライン版に発表された。

 今回、Levine氏らが報告した臨床試験は、米国で病院レベルの在宅医療プログラムについて検討したRCTとしては初めてのものだ。救急外来を受診した患者のうち、感染症や喘息、心不全や肺気腫の悪化など一定の条件を満たした患者91人を対象に、インフォームドコンセントを得た上で、病院と同レベルのケアを行う「ホスピタル・アット・ホーム」と呼ばれる在宅プログラムを行う群(43人)または入院治療を行う群(48人)にランダムに割り付けた。

 なお、Levine氏によると、今回の試験で在宅プログラムに割り付けられた患者は、これらの疾患の確定診断を受けた者に限定した。また、ある程度は自立して歩行でき、ベッドから寝室のトイレまで移動するのに介助者は1人しか必要としない患者のみを対象としたという。

 在宅プログラムでは、医師は1日に1回以上、看護師は1日2回以上訪問し、必要に応じて介護士や理学療法士、社会福祉士のサービスも提供した。バイタルデータは、異常時に医師や看護師のスマートフォンに警告を送信する機能を備えた皮膚に貼るパッチ型の機器でモニタリングした。また、必要な血液検査や画像検査は自宅で行った。

 その結果、急性期にかかる医療費は、入院患者群と比べて在宅患者群では平均で38%低いことが分かった。血液検査の回数は、入院患者群では15件だったのに対し、在宅患者群では3件と大幅に少なく、画像診断やコンサルテーションを受ける確率も在宅患者群のほうが低かった。さらに、退院から30日以内の再入院率も、入院患者群の23%に対して在宅患者群ではわずか7%にとどまっていた。

 ただし、この試験は小規模なものに過ぎず、また、米国では、在宅で病院と同レベルの医療を提供する「ホーム・ホスピタルケア」という概念はまだ初期の段階にあるという。それでも、Levine氏は「この結果は医療の在り方を再考する上で、一定の方向性を示したものだ」とその意義を強調。同氏は、本来は入院する必要はないと感じる患者も少なくないとし、「こうした患者は自宅で必要なケアを受けられる。自宅では、病院よりもぐっすり眠れて、身体ももっと動かせるようになり、より良い食事も取れる」と述べている。

 Levine氏らによると、病院レベルの在宅医療は、既にオーストラリアやスペインなど数カ国で導入されている。米国でも、ジョンズ・ホプキンズやマウント・サイナイなど教育機関としての役割も担う医療機関の一部は、このような在宅医療を提供するプロジェクトを開始しているという。

 この研究結果について、付随論評の著者の一人で米タフツ大学医療センターのJohn Wong氏は、「トップクラスの医療機関で得られた結果であり、一般の病院に広く当てはまるかどうかは不明だ」と指摘。また、保険会社や公的保険などにとっては「支払いモデル」が存在しないため、現時点では支払い額については不明なほか、家族の介護負担も今後の検討課題になるとしている。

[2019年12月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら