米国で中高年の脳卒中死亡率が上昇、AHAニュース

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2019/12/11

 

 米国の半数以上の郡で中高年における脳卒中を原因とした死亡率が上昇していることが、新たな研究から明らかになった。全米のデータでは、米国民の脳卒中死亡率は数十年間にわたる減少の後、横ばい状態にあることが示されていた。しかし、郡別の脳卒中死亡率を調べたこの研究からは、全米データでは見えてこなかった脳卒中死亡率の統計上の増加が明らかになった。詳細は、米国心臓協会(AHA)が発行する「Stroke」11月8日号に掲載された。

 研究論文の筆頭著者で米エモリー大学のEric Hall氏は「これは注目すべき研究結果だ。全米レベルでの脳卒中死亡率は数十年間にわたって低下し続け、2010年頃から停滞していた。しかし、われわれが郡レベルのデータを調べたところ、多くの郡で脳卒中死亡率は上昇傾向にあることが分かった。こうした傾向が見られたのが中高年であったことは、大きな驚きだった」と話す。

 全米レベルでの脳卒中を原因とする年間死亡率は、2010年から2016年にかけて35~64歳で0.7%低下し、65歳以上では3.5%低下した。しかし、Hall氏らが郡別のデータを調べたところ、同じ期間に35~64歳で脳卒中死亡率が上昇した郡が全体の56.6%を占めており、そのうちの4分の1の郡では10%以上の上昇が認められた。しかも、中高年におけるこうした死亡率の上昇は、65歳以上で死亡率が低下していても認められたという。

 全体的には、この期間に35~64歳の中高年で脳卒中死亡率が上昇した郡の数は、65歳以上で脳卒中死亡率が上昇した郡の数の2倍だった。脳卒中死亡率が上昇した郡に住む中高年は6020万人で、これは全ての中高年のほぼ半数にあたる数であった。

 ただし、郡別の脳卒中死亡率の上昇が認められたからといって全米のデータが誤っているわけではない。「全米や州のデータは平均値を示しており、高い次元で疾患の傾向を捉えるためには重要なものだ。しかし、これらのデータには地域レベルでの変化や差は反映されない」とHall氏は説明している。

 また、Hall氏にとって今回の研究結果で予想外だったのは、住民の脳卒中リスクが高い南東部の「脳卒中地帯(Stroke Belt)」と呼ばれる地域には含まれない郡でも脳卒中死亡率の上昇が見られたことだったという。研究では、脳卒中死亡率が最も高いのは依然として南東部だったが、中高年における脳卒中死亡率の上昇率が最も高かったのは南東部以外の地域であったことが示された。

 脳卒中地帯には含まれない多くの郡で脳卒中死亡率が上昇した背景について、今回の研究には関与していない米コロンビア大学のMitchell Elkind氏は「以前であれば脳卒中地帯で顕著に見られたリスク因子が、全米に広がったことを示唆しているのではないか」とみている。具体的なリスク因子として考えられるのは、肥満や2型糖尿病だ。これらのリスク因子は過去数十年間に地域を問わず全米で増加した。このことは、多くの郡で脳卒中死亡率を押し上げた可能性があるという。

 なお、Elkind氏は、「肥満や2型糖尿病があるからといって直ちに脳卒中を発症するわけではない。現在われわれが直面している脳卒中の問題は、今から10~12年前に起こった肥満や2型糖尿病の増加に起因している可能性がある」との見方を示している。

 Elkind氏やHall氏は、今回の研究で得られた情報を地域の関係機関や医療従事者が予防プログラムを計画する際に役立ててほしいとしている。「このデータは地域のニーズに合わせた資源の調整や政策の策定の一助となるはずだ」とHall氏は話す。また、Elkind氏も「個人の行動変容だけでなく、都市計画や学校教育を通じて身体活動を促すといった社会レベルでの変化が必要だ」と指摘している。

[2019年11月7日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
利用規定はこちら