小児期の過酷な体験が成人後の慢性疾患のリスクに

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HealthDay News

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 子どもの頃に家庭内暴力などの過酷な体験をした人は成人後の慢性疾患のリスクが高いという報告が、米疾病対策センター(CDC)発行「Vital Signs」11月5日オンライン版に掲載された。もし子どもの頃に精神的衝撃となる体験を防ぐことができたなら、成人後の慢性疾患の罹患や人生後半の経済的問題などの多くを回避できるという。

 この報告はCDCが継続的に行っている電話インタビューによる公衆衛生調査(Behavioral Risk Factor Surveillance System;BRFSS)のデータを解析した結果。2015~2017年に全米25州から集められた14万4,017人の小児期の体験と現在の健康・経済状態、生活習慣との関連を、年齢、人種・民族、性別を調整した上で検討した。

 その結果、対象者の60.9%が小児期に、身体的・性的・心理的暴力や薬物の乱用、家庭内暴力の目撃といった過酷な体験を1種類以上経験していることが明らかになった。また15.6%の成人は、4種類以上の過酷な体験を経験していた。

 小児期に経験した過酷な体験の種類の数と、成人後の健康・経済状態、生活習慣との間に、多くの有意な関連が見られた。例えば慢性疾患関連では、小児期に4種類以上の過酷な体験をしている場合、そういった体験のない人に比べたときの調整オッズ比(aOR)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)2.8、喘息2.2、脳卒中2.1、冠動脈疾患1.8、腎臓病1.7、糖尿病1.4、がん(皮膚以外)1.4、過体重・肥満1.2であった。また、うつ(aOR5.3)や現在の喫煙(同3.1)、過飲酒(1.8)、失業(1.7)などとの関連も見られた。

 糖尿病についてより詳しく見ると、過酷な体験の種類が1つの場合、aOR1.0(95%信頼区間0.9~1.1)で影響は見られないが、2~3つではaOR1.1(同1.1~1.2)で有意な関連があった。種類が4つ以上の場合はaOR1.4(同1.2~1.5)だった。

 本研究では、成人後に影響を及ぼす有害な小児期の体験を防ぐことができると仮定した場合に、それぞれの疾患等の該当者数がどの程度減少するかをシミュレーションしている。それによると、うつの患者数は44.1%減、現喫煙者は32.9%減と、大幅に減少することを予測している。また、COPDは27.0%、喘息24.0%、腎臓病15.7%、脳卒中14.6%、冠動脈疾患12.6%、がん(皮膚以外)5.9%、糖尿病5.7%、過体重・肥満1.7%、それぞれ減少するとしている。その他、過飲酒が23.9%、失業も14.9%減ることも見込んでいる。

 CDC長官のRobert Redfield氏は、「小児期の心的外傷体験を防止するとともに、心的外傷体験が発生した時点から介入をスタートさせることで健康への長期的な影響が抑制され、成人期の身体的・精神的幸福につながる」と述べている。

[2019年11月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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