脳卒中の既往がパーキンソン病の発症と関連か

提供元:
HealthDay News

脳卒中の既往がパーキンソン病の発症と関連かのイメージ

 疾患や生活習慣により脳の血流が低下している人は、パーキンソン病になりやすい可能性があるとする報告が、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のBenjamin Kummer氏らにより発表された。脳卒中の既往や高血圧、睡眠時無呼吸といった脳血管疾患のリスク因子はパーキンソン病と関連することが明らかになったという。研究の詳細は、「Annals of Neurology」8月29日オンライン版に掲載された。

 Kummer氏らは、2008~2015年のメディケア受給者の請求データからランダムに選んだ103万5,536人(平均年齢75.9歳、59.2%が女性)を対象に後ろ向きコホート研究を実施し、脳血管疾患のリスク因子とパーキンソン病発症との関連を調べた。脳血管疾患のリスク因子として、脳卒中の既往、心房細動、高血圧、高コレステロール、心不全、睡眠時無呼吸、糖尿病、喫煙などについて評価された。

 平均5.2年にわたる追跡期間中に、1万5,531人(1.5%)がパーキンソン病と診断され、8万1,974人(7.9%)がアルツハイマー病と診断された。パーキンソン病と診断された患者のうち、3,645人(23.5%)はアルツハイマー病の診断も受けていた。解析の結果、パーキンソン病はほとんどの脳血管疾患のリスク因子と関連することが確認された。また、この関連性の強さは、すでに確認されているこれらの因子とアルツハイマー病との関連性に比べると弱いものの、同程度といえるものであったという。

 この研究結果を受けKummer氏らは、「脳血管疾患のリスク因子をコントロールすることがパーキンソン病の予防につながる可能性が示された」と期待を示している。米国ではこれまでに約65万人がパーキンソン病と診断されており、振戦、動作緩徐、言語障害などの症状に苦しんでいる。ただし、同氏は「今回の研究は関連を示したに過ぎず、これらの因子が原因でパーキンソン病が引き起こされることが証明されたわけではない」と解釈の限界についても強調している。

 共著者の一人で、米ワイルコーネル医科大学およびニューヨーク・プレスビテリアン医療センターのBabak Navi氏は、「脳血管疾患のリスク因子によりアルツハイマー病のリスクが増大することは広く認識されている。しかし、同時にパーキンソン病のリスクまでもが増大する可能性があることはあまり知られていないのではないか」と話し、「今回の研究により、医師や患者は、脳血管疾患のリスク因子をコントロールすることの重要性を再認識することになるだろう」と付け加えている。

 一方、Navi氏は、脳卒中の既往があるとパーキンソン病を発症するリスクは55%上昇するとの研究結果を示し、「脳卒中では、脳の血管が詰まって血流が悪くなり脳神経がダメージを受けてしまうことがあることを考えると、脳卒中の既往は最も深刻な脳血管疾患のリスク因子といえるだろう」と話す。さらに、パーキンソン病は大脳基底核と呼ばれる随意運動を司る脳領域に生じた脳卒中が原因で発症することがあるとして、それゆえに両者は密接に関連するのかもしれないとの可能性を示唆している。

[2019年8月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ