肥満の増加が心疾患による死亡の減少を妨げている

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HealthDay News

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 過去数十年間にわたって積み重ねられてきた心疾患治療の進歩の恩恵が、肥満の増加によって相殺され始めたとする、米ノースウェスタン大学のSadiya Khan氏らの報告が「Journal of the American Medical Association」8月27日オンライン版に掲載された。

 研究グループは、米疾病対策センター(CDC)の1999~2017年のデータを基に、心疾患、脳卒中、糖尿病、高血圧による死亡率を、性・人種別に解析。心疾患による死亡率は下がり続けているが、2010年以降はその減少速度が鈍化していることを見いだした。また脳卒中による死亡率は横ばいになり、高血圧関連死は増加していた。

 この結果についてKhan氏は、「医療の進歩に加え、コレステロールや血圧に関する社会的な認知向上という公衆衛生面の取り組みにもかかわらず、心疾患との戦いが不利になりつつあるという驚くべきもの」とし、その背景因子として、この研究のみでは証明できないが「原因は肥満の増加の可能性がある」と推測している。

 Khan氏によると、「過去1世紀において最大の成功の1つは心疾患による死亡率の低下」だという。しかしこうした進歩にかかわらず、心疾患は依然として米国の男女双方における死因のトップであるだけでなく、「これまで続いていた進歩が減速あるいは停止し、後退することも憂慮される事態に陥っている」と指摘。結論として「この知見は、肥満の蔓延と心疾患による死亡数の増加に至急対処しなければならないことを示すものであり、心疾患に打ち勝つより良い方法を早急に考える必要がある」と述べている。

 では、個人レベルではどうすれば良いのだろうか。Khan氏はこの点について、「心疾患は予防可能ではあるが、早い時期からしっかりと管理することが重要であり、そのために日々の生活習慣について医師に相談すべきだ。たとえ子供や若年者であっても肥満などに十分注意することで、その後の心疾患の発症予防につながる」と語る。さらに、個々人の生活習慣改善を支援するために、政策立案者は「健康的な食生活、安全に運動できる場所、医療へのアクセスを市民に提供するよう、予防戦略を立てなければならない」と提言している。

 米シンシナティ大学のRichard Becker氏も「この知見は予防の重要性をクローズアップするものだ」と述べている。その上で、「心疾患による死亡の増加は、医療提供者、国の公的機関、医療産業を巻き込む大きな公衆衛生上の問題であり、対策を早期に始める必要がある。早期発見と早期介入なしでは、この憂慮すべき傾向を逆転させることはできない」と強調。

 Becker氏はまた「肥満の増加抑制は必須であって、糖尿病と高血圧の有病率減少にも恐らく効果があるだろう。しかし、仮に直ちにその取り組みを開始しても、成果がみられるのに5~10年かかるのはほぼ確実で、心疾患死が再び減少し始めるより前に、心疾患死が増えることになるだろう」とも述べている。

[2019年8月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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