肺気腫に至る肺損傷、電子タバコ使用でも確認

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HealthDay News

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 「リキッド」を加熱して発生させた蒸気を吸い込む電子タバコ(ベイパー)を常用すると、通常の紙巻きタバコと同様に、肺気腫につながる肺損傷が引き起こされる可能性があることが、米ノースカロライナ大学細胞生物学・生理学教授のRobert Tarran氏らの研究で明らかになった。詳細は「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」8月7日オンライン版に発表された。

 Tarran氏らは今回、非喫煙者と喫煙者、さらに電子タバコ使用者の計41人の肺から採取した胸水の検査を実施した。その結果、喫煙者と電子タバコ使用者ではいずれも、肺気腫の前兆とされるプロテアーゼ酵素の濃度上昇が認められた。

 Tarran氏らによると、肺の細胞でプロテアーゼが慢性的に過剰産生されると、「肺胞」と呼ばれる繊細な組織がダメージを受ける。喫煙者では、このような肺の損傷が原因で肺気腫につながると考えられている。なお、肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一つで、徐々に息切れが悪化する。現在、治癒に導く治療法はないという。

 喫煙者や電子タバコ使用者でプロテアーゼの産生量が増加した要因について、Tarran氏は「電子タバコのリキッドに含まれるニコチンが要因ではないか」と推測。その上で、「電子タバコは、従来の紙巻きタバコに比べて安全とはいえない可能性がある」との見方を示している。

 米国では、従来の紙巻きタバコの喫煙率が低下した一方で、ティーンエージャーを中心に電子タバコの使用が急増している。米食品医薬品局(FDA)によると、2018年に電子タバコを使用していた中高生は計360万人を超えており、使用者数は前年と比べて高校生では78%増加し、中学生では48%増加した。

 なお、電子タバコの危険性を示唆する報告は今回が初めてではない。2018年には、同大学の別の研究グループが、電子タバコ使用者と喫煙者から採取した胸水中のプロテアーゼなどの濃度が上昇していることを報告。また、同年にTarran氏らが実施した研究では、広く使用されている電子タバコのリキッドから有毒な物質が検出されている。

 さらに、米疾病対策センター(CDC)は今年8月、電子タバコを使用する健康な若者の間で突然、重篤な肺疾患を発症した150件を超える事例について調査中であることを明らかにしている。

 米ノースウェル・ヘルスのタバコ対策センターでディレクターを務めるPatricia Folan氏は、今回のTarran氏らの報告を受け、「医療従事者や一般の人々が、電子タバコは有害な影響をもたらし得ることを理解するために役立つ研究結果だ。また、この結果から、電子タバコは安全で禁煙に有用とする説が否定された」とコメント。さらに、「紙巻きタバコの喫煙率低下で得られた健康上のメリットは、電子タバコの普及で相殺されてしまった可能性がある」と指摘している。

 なお、Tarran氏らは今後、より大規模な研究で肺のプロテアーゼ濃度を調べる計画を明らかにしている。

[2019年8月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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