小児がんサバイバーで心疾患リスクが増大か

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HealthDay News

小児がんサバイバーで心疾患リスクが増大かのイメージ

 小児がん患者の受ける治療は子どもの命を救う一方で、心血管疾患のリスクを増大させる可能性があることが、トロント小児病院(カナダ)のPaul Nathan氏らによる新たな研究で明らかにされた。研究では、小児がんサバイバーでは、がんの既往歴がない人に比べ、成人期に何らかの心血管疾患を発症するリスクが3倍に上ったという。詳細は、「Circulation」8月26日号に掲載された。

 今回、Nathan氏らは、オンタリオ州(カナダ)の小児がんレジストリのデータを用い、18歳前にがんと診断され、1987~2010年に小児がんセンターで治療を受けた小児がんサバイバー(診断時の年齢の中央値は7歳)7,289人と、がんの既往歴がない対照群3万6,205人を対象に心血管疾患の発症率を調べた。心血管疾患には、冠動脈疾患、心調律異常、弁膜症、心不全、心筋症および心膜疾患を含めた。

 中央値で10年の追跡の間に1つ以上の心イベントを発症したのは、小児がんサバイバーでは2.8%(203人)だったのに対し、対照群では0.9%(331人)であった。解析の結果、小児がんサバイバーでは対照群に比べ、比較的若い年齢でも何らかの心イベントが生じるリスクが最大3倍になり、心不全リスクは最大10倍に上った。

 また、アントラサイクリン系薬剤と呼ばれる広く用いられている抗がん剤による治療を受けた小児がんサバイバーでは、成人期に心血管疾患を発症する確率が有意に高くなることも分かった。さらに、糖尿病、高血圧のいずれかまたは両方があるサバイバーでも、心血管疾患リスクの増大が認められた。例えば、糖尿病と診断されたサバイバーでは糖尿病ではないサバイバーに比べ、心血管疾患の発症リスクは3倍、心不全の発症リスクは4倍に上ったという。

 こうした結果を受けNathan氏は、「アントラサイクリン系薬剤による化学療法は、心血管疾患を誘発する可能性があることが分かった。しかし、多くの患者が、生きるためにこの薬による治療を必要としている」と述べ、「医師は、糖尿病や高血圧といった改善可能な心血管疾患のリスク因子に対処する必要がある」と付け加えている。

 Nathan氏らによると、小児がんサバイバーは、糖尿病、高血圧のほか、1種類以上の血中脂質が健康に有害なレベルであるなど、代謝異常のリスクが高いことが考えられるという。同氏は、こうした異常が化学療法や放射線療法との相互作用により、心臓を早期に老化させる可能性があると指摘した上で、「生活習慣、代謝異常、心血管疾患は密接に関連しあっている。それゆえ、小児がんサバイバーに対しては、十分な経過観察を行っていく必要がある」と強調している。

[2019年8月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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