注射によらない低血糖発作用救急薬をFDAが承認

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HealthDay News

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 米食品医薬品局(FDA)はこのほど、重症低血糖時に鼻から投与し患者を回復させるという新たな投与経路の治療薬を承認した。注射によらない新薬の登場は、糖尿病患者やその家族の負担や不安の軽減につながると期待される。

 重症低血糖は、錯乱や意識消失、またはその他の症状のため治療に他者の補助を必要とするレベルまで血糖値が低下した状態で、主にインスリン治療を受けている糖尿病患者に生じる。重症低血糖の治療薬としては従来、グルカゴンの注射製剤が使われてきた。

 今回承認された新薬は米イーライリリー社のグルカゴン含有点鼻薬「Baqsimi」。使い捨てのディスペンサーを用いて、鼻腔内に粉末を定量噴霧する。鼻腔から吸収されたグルカゴンは肝臓でのブドウ糖産生を刺激し、血糖値を上昇させ低血糖発作からの回復を促す。

 FDAの新薬承認は、成人糖尿病患者を対象とした2件の研究で得られた知見に基づくもの。いずれの研究においても、血糖値の上昇において新薬はグルカゴン注射製剤と同等の有効性が認められた。また1型糖尿病の小児患者を対象とした研究でも、同様の結果が得られた。

 FDA医薬品評価研究センター所長のJanet Woodcock氏は「これまで重度の低血糖発作を起こした患者はグルカゴン注射により治療する必要があり、この注射には、使用前に薬剤を混合するステップが必要であった」とし、「この手順が簡略化されたことは、発作時の緊急対応において非常に大きな意味をもつ」と述べている。

 また米レノックス・ヒル病院の内分泌専門医であるMinisha Sood氏も、「糖尿病患者は低血糖により自分自身では何もできない状態になることがあり、家族や友人などその場に居合わせた人によるグルカゴン注射が必要となることが多い」と解説した上で、新薬の承認は「低血糖リスクのある糖尿病患者だけでなく、その家族や担当する医療従事者にも大きな恩恵をもたらす」と語る。実際にこれまでは「グルカゴン注射の方法を友人や家族に練習してもらう必要があり、それが大きな制約となることがあった」といい、「グルカゴンの簡便な投与法が選択可能となり、病院や診察室の外で発生する重症低血糖の治療が大きく変わる。自分の患者に使用するのが楽しみだ」と付け加えている。

 なお、FDAは、副腎腫瘍の一種である褐色細胞腫や、インスリノーマという膵腫瘍のある患者、グルカゴンアレルギーのある患者などへのBaqsimiの使用を禁止している。副作用についてはグルカゴン注射と大きな差はみられなかったという。

[2019年7月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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