ブロークンハート症候群はがんに関連する?

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HealthDay News

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 「ブロークンハート症候群」の影響を受けるのは心臓だけではないようだ。これまでの研究で、愛する人を失ったときの極度のストレスが心臓病に関連することは示されていた。しかし、チューリッヒ大学病院(スイス)のChristian Templin氏らの研究から、ブロークンハート症候群(正式な病名は「たこつぼ型心筋症」)患者の6人に1人はがん患者でもあることが新たに分かった。こうしたがん患者の5年生存率は低いことも示されたという。Templin氏は「たこつぼ型心筋症の患者には、生存率を向上させるため、がんスクリーニングを推奨すべきだ」と主張している。研究結果の詳細は「Journal of the American Heart Association」7月17日オンライン版に発表された。

 ブロークンハート症候群は突然の強い胸痛や息切れをもたらす疾患で、症状が似ていることから心筋梗塞と誤診されることもある。米国心臓協会(AHA)によれば、こうした症状はストレスホルモンの分泌量の急激な増加に対する反応として生じる。

 ブロークンハート症候群は、急激な感情の変化が起こった後に発症する。例えば、愛する人を亡くしたとき、恋人と別れたとき、離婚したとき、経済状況が悪化したときなど。また、こうしたネガティブな経験だけでなく、宝くじに当たるといったポジティブな経験も、ブロークンハート症候群を発症するきっかけとなりうる。

 さらに、極度の身体的ストレスが発症の引き金となることもある。例えば、身体の外傷や手術、呼吸不全、感染症などが身体的なストレスとなって、ブロークンハート症候群を引き起こす可能性があるという。

 Templin氏らは今回、欧州8カ国および米国の医療機関(計26施設)で登録されたブロークンハート症候群を有する約1,600人の男女を対象に研究を実施した。このうち、がんも診断されている患者は、平均年齢が70歳で、88%は女性だった。

 その結果、男女を問わず全ての年齢層で、ブロークンハート症候群の患者では、一般の人と比べてがんの有病率が大幅に高いことが分かった。例えば、がんの有病率は、44歳以下の一般女性の0.4%に対して同年齢層のブロークンハート症候群の女性患者では8%、45~64歳の一般男性の2%に対して同年齢層のブロークンハート症候群の男性患者では22%だった。65歳以上の男女でも、ブロークンハート症候群患者ではがんの有病率が2倍以上に上昇していた。なお、ブロークンハート症候群の患者が診断されたがんのうち、最も多かったのは乳がんで、そのほか消化器系や呼吸器、生殖器、皮膚のがんなどの診断例も多かった。

 Templin氏は、今回の研究では因果関係ははっきりしないものの、がんの診断でもたらされたストレスがブロークンハート症候群を引き起こしたか、がんが原因で代謝やホルモンが変化し、ブロークンハート症候群のリスクが高まった可能性があるとの見方を示している。

 一方、米ノースウェル・ヘルス傘下のサンドラ・アトラス・ベイス心臓病院のGuy Mintz氏は「がん患者の多くは大きな心理的ストレスを抱え、さまざまな治療を受けている。こうしたことがブロークンハート症候群の引き金となりうることが今回示された」と説明。がん患者に対してはブロークンハート症候群について、またブロークンハート症候群の患者に対してはがんについて早期に介入できるよう、プライマリケア医を含めた全ての医師が、これらの疾患に関連があることを認識しておくことが重要だ」と話している。

[2019年7月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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