Ca拮抗薬でアルツハイマー病患者の脳血流量が改善

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HealthDay News

Ca拮抗薬でアルツハイマー病患者の脳血流量が改善のイメージ

 ありふれた降圧薬の一つであるCa拮抗薬を服用すると、軽度から中等度のアルツハイマー病患者では、記憶の形成や学習に重要な役割を担う脳の「海馬」の血流量が改善する可能性があることが、ラドバウド大学医療センター(オランダ)准教授のJurgen Claassen氏らの研究で示された。ただし、今回の研究では、このような海馬の脳血流量の改善がアルツハイマー病の症状改善をもたらすかどうかは明らかになっておらず、さらなる研究の実施が必要とされるという。研究の詳細は「Hypertension」6月17日オンライン版に掲載された。

 この研究は、アルツハイマー病患者を対象に、Ca拮抗薬のニルバジピン投与による記憶力や思考力への影響について検討した大規模なランダム化プラセボ対照比較試験(NILVAD試験)の一環として実施された。アルツハイマー病患者44人(平均年齢72.8±6.2歳)を対象に、ニルバジピン投与群またはプラセボ投与群(それぞれ22人)にランダムに割り付けて6カ月間観察した。

 その結果、追跡開始から6カ月後の収縮期血圧の平均値は、ニルバジピン投与群では128.2±14.3mmHg、プラセボ群では138.8±17.1mmHgと、ニルバジピン投与群で11.5mmHg低かった。また、MRI検査で各脳部位の脳血流量を評価したところ、ニルバジピン投与群では、プラセボ投与群に比べて海馬の血流量が約20%増加したことが分かった。一方、その他の脳部位では脳血流量に両群間で差はみられなかったという。

 今回の研究では、ニルバジピン投与によるアルツハイマー病の症状改善効果は示されなかった。Claassen氏は「今回の研究は小規模かつ観察期間も短かったため、ニルバジピンの効果について結論づけることは難しい」としているが、「早期のアルツハイマー病患者では、ニルバジピン投与が症状改善をもたらす徴候もみられた」と指摘。今後、アルツハイマー病を発症して間もない患者に焦点を当てて、さらなる研究で検証する必要があると述べている。

 この研究には関与していない米アルツハイマー病協会のRebecca Edelmayer氏は、Claassen氏らによる研究結果は、心臓と脳の関連を裏づける新たなエビデンスになると指摘する。これまでの研究で、心疾患と認知症のリスク因子には、高血圧や糖尿病、肥満など共通するものがあることが分かっている。また、2018年には大規模研究で、厳格な血圧コントロールにより軽度認知障害(MCI)リスクが低減することが示された。その一方で、既にアルツハイマー病を発症した患者において、降圧治療がその症状改善につながるかどうかについてはほとんど明らかになっていない。

 高血圧と認知症の関連について、Claassen氏は「高血圧があると脳血管がダメージを受けて血流量が不足するほか、脳細胞の機能に障害が生じると考えられる」と説明。理論上は、早期のアルツハイマー病患者でも、海馬領域の血流が改善すれば脳細胞の機能が向上すると考えられるが、「今回の研究ではそこまで明らかにできなかった」と同氏は付け加えている。

 これらを踏まえ、Claassen氏は「アルツハイマー病患者にとって、降圧治療は安全であるだけでなく、脳血流量の増加につながる可能性がある」と述べている。このような脳血流量の増加が降圧薬によるものなのか、降圧効果によるものなのかは明らかになっていないが、同氏は「個人的には、食生活の改善や運動によるものも含めて、血圧を下げること自体が寄与したのでは」との見方を示している。

[2019年6月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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