病院の垣根を越えた活動で健康的な食生活を推進、AHA

提供元:
HealthDay News

病院の垣根を越えた活動で健康的な食生活を推進、AHAのイメージ

 米トーマス・ジェファーソン大学に通うTerry Gao氏(24歳)は、医学部3年生のときに病院で研修を受けた際に、何度も病院に戻ってくる心臓病や糖尿病などの多くの患者に遭遇した。この経験から、こうした生活習慣病には食生活の影響が大きいことを学んだが、同時に、食生活や栄養の大切さを患者に伝えることの難しさも実感したという。その後、同氏は、「病院の垣根を越えて近隣地域に健康情報を届ける」ことをミッションに掲げる米ジェファーソン健康デザイン研究所の活動に共感し、大学を1年間休学して研究員として働いた。その経験談について、米国心臓協会(AHA)の取材班に語った。

 Gao氏は、この研究所が最初に手掛けた「CoLabPHL」と呼ばれるプロジェクトの推進に尽力した。このプロジェクトでは、キャンピングトレーラーを使って、フィラデルフィア中心街から約6.4kmの北東にあるケンジントン地区の住民に健康情報を伝える活動を行った。なお、同地区はオピオイドが蔓延しているほか、所得水準が低く、健康的な食品を入手しにくいことでも知られている。

 Gao氏によれば、ケンジントン地区などの経済的に恵まれない地域の人々は、ヘルスケアは裕福な一部の人のためのもので、自分たちなどは気にかけてもらえないと感じているという。そのため、同氏は「自分たちもヘルスケアの対象であることを理解してもらうためには、医師自らがその地域に出かけて行って直接、話を聞くことが不可欠だ」と説明する。

 また、同氏は「その人の生活の実態を知らずに、食生活について助言をすることはできない。経済的に恵まれず、手軽に野菜や果物を入手できない地域に住む人々に、ただ単にこれらを買うようにとアドバイスすることはできない」と付け加えている。

 CoLabPHLプロジェクトの医師やインターンのグループは、2018年の夏に、フィラデルフィアのマクファーソン広場を毎週、計8回訪問し、地域の団体と協力して飲み物を配ったり、子ども向けのゲームや科学ワークショップを開いたり、成人の血圧測定やHIVカウンセリングを行った。また、英語とスペイン語で書かれた健康情報や料理のレシピなどの印刷物を配布した。

 ケンジントン地区で社会福祉サービスを提供する地域団体「Impact Services」の公衆衛生プロジェクトマネジャーを務めるZoë Van Orsdol氏は、この地域の住民について理解しようと努力する医師らの姿に感銘を受けたという。

 ただ、Gao氏によると、地域の人々の話を注意深く聞くと、期待していなかった答えが返ってくることもあった。例えば、低価格ですぐに調理に使える健康食のキットを提供するプログラムは、住民からのフィードバックを受けてうまく機能しない理由が判明し、提供は中止された。「これらの経験から、健康的な食生活について教育する最善の方法は、既存のプログラムを拡充することだという結論が得られた。また、教育的な資料の配布は他の団体に任せることもできることが分かった」と同氏は話している。

 2019年の夏には、CoLabPHLプロジェクトは、無料の農産物直売所を後援する支援組織「PhilAbundance」と提携し、ケンジントン地区で栄養教育や料理教室を開く予定だという。

 なお、Gao氏の健康デザイン研究所でのフェローシップは今年の春に終了するが、今後もCoLabPHLの活動に関わり続けるつもりだという。「この1年間の活動で、生活習慣を是正することの大切さを広めるためには、まず地域の人々が直面している問題について十分に理解することが重要であることを学んだ。彼らが抱えている問題について理解を深めるほど、より多くの解決策を編み出すことができるだろう」と同氏は述べている。

[2019年4月11日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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