救急患者の処方薬誤用例の実態を調査、米研究

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 処方薬の誤用が原因で米国の救急外来(ER)に搬送された患者のデータを調べた研究から、患者の多くは複数の物質を同時に摂取したために重篤な状態に陥っていたことが明らかになった。米疾病対策センター(CDC)医薬品安全性チームのAndrew Geller氏らが「American Journal of Preventive Medicine」3月6日オンライン版に発表した。

 Geller氏らは今回、副作用サーベイランスプロジェクト〔全米傷害調査電子システム(National Electronic Injury Surveillance System)-Cooperative Adverse Drug Event Surveillance〕から2016年の処方薬の誤用を含むER受診例に関するデータを収集し、分析した。なお、処方薬の誤用には、他人に処方された薬を服用すること、処方量よりも多く服用すること、高揚感を得る目的で処方薬を使用することが含まれた。

 その結果、同年の処方薬の誤用によるER受診件数は35万8,247件に上ることが分かった。このうちベンゾジアゼピン系薬の誤用例が46.9%と最も多く、医療用オピオイド系薬(36.2%)が続いた。また、ベンゾジアゼピン系薬の誤用例の85%、オピオイド系薬の誤用例の69%は、アルコール類やヘロイン、コカインといった他の物質を併用していたことも明らかになった。誤用例のほとんどでは、同時に摂取した物質との危険な相互作用が状態を悪化させていた。

 さらに、米国では、オピオイド系薬などの医療用医薬品の依存症が大きな問題となっているが、医薬品の乱用が明確な原因だったケースは誤用例の一部にすぎないことも示された。今回の報告によると、医薬品の誤用例の約40%は乱用を目的としたものだったが、約44%は過剰摂取で、その目的は乱用なのか、治療を意図しての誤用なのか、自殺企図によるものなのかは不明だった。残る16%は他人に処方された薬剤の使用や処方量を上回る量の使用などの誤用例であった。

 今回の研究には関与していない米CDC政策研究・分析部門のLinda Richter氏は「この結果は、特にオピオイド系薬とベンゾジアゼピン系薬の併用など、複数の薬剤を同時に誤用することで重大な影響がもたらされることを示した過去の研究結果と一貫している」と話す。同氏は「いずれの薬剤も呼吸の抑制をもたらす可能性があり、併用すると互いの危険な作用が増強される」と説明している。

 なお、これまでの研究でも、依存性のある物質を誤用したり依存したりしている人のほとんどが、その物質を単独で使用しているわけではないことが明らかにされている。Richter氏によれば、特に若い人の間では、複数の医薬品、あるいは医薬品とアルコール類や違法薬物の誤用例が最も多く見られるという。しかし、こうした誤用の多くは危険な状態をもたらす。今回の研究では、医薬品の誤用によるER受診例の5分の2(約41%)は入院を要し、約4分の1は意識不明や心停止、呼吸停止の状態に陥っていたことが明らかになった。

 さらに、ER受診例の半数は35歳未満であった。一方、高齢患者の間でオピオイド乱用が懸念されたにもかかわらず、65歳以上の患者の割合は20例中1例にとどまっていた。その他、オピオイドの過剰摂取でERを受診した患者に対し、退院時にオピオイド依存症治療薬のナロキソンを処方する取り組みがルーチンに実施されていない実態も浮き彫りになった。

 Geller氏は、医師に対して、「オピオイド系薬やベンゾジアゼピン系薬といった誤用される可能性が高い医薬品を処方する際には、簡単な質問によるスクリーニングで、患者が物質を誤用していないかを確認すべきだ。そうすることで、物質を誤用している患者を特定でき、早めに対応することができる」と呼び掛けている。

[2019年3月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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