適量飲酒で心不全患者の余命が延長か

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HealthDay News

適量飲酒で心不全患者の余命が延長かのイメージ

 たまに飲む程度であれば、飲酒は健康に有害な影響を与えないばかりか、高齢の心不全患者には有益である可能性があることが、米ワシントン大学セントルイス校内科教授のDavid Brown氏らによる研究で示された。1日当たり女性では1杯、男性では2杯程度と適量であれば、飲酒習慣がある心不全患者では、全く飲酒しない患者と比べて生存期間が平均で約1年長いことが分かった。詳細は「JAMA Network Open」2018年12月28日オンライン版に掲載された。

 Brown氏らは今回、1989~1993年に、米国の大規模研究であるCardiovascular Health Studyに参加した65歳以上の地域住民5,888人を対象に、2013年まで前向きに追跡を実施した。9年間の追跡期間中に393人が心不全を発症した。研究では、対象者を、全く飲酒しない群と過去に飲酒していた群、週当たり7杯以下の飲酒習慣がある群、週当たり7杯を超える飲酒習慣がある群の4つの群に分けて、余命を比較検討した。

 年齢や性、人種、教育歴、所得、喫煙習慣の有無、血圧などの因子で調整して解析した結果、週当たり7杯以下の適量の飲酒習慣がある群では、全く飲酒しない群と比べて生存期間が平均で383日長いことが分かった。なお、この研究では「1杯」の飲酒量をビールで12オンス(約355mL)、ワインで6オンス(約177mL)、ウイスキーなどの蒸留酒で1.5オンス(約44.3mL)と定義した。

 Brown氏は「心不全と新たに診断された患者から、毎晩ワインをグラス1杯ほど飲む習慣はあらためるべきか、と聞かれることが多い。今まで、こうした質問には、うまく答えられなかった」と話す。同氏らは、この結果を受け、「心不全を発症後に飲酒を始めるべきではないが、適度な飲酒習慣があった人は、心不全になった後でも、適量であれば飲酒を続けても健康に悪いのではないかと不安に思う必要はないことが示された」と説明している。

 しかし、研究には関与していない米ノースウェル・ヘルス・サンドラ・アトラス・ベイス病院の循環器医であるDavid Majure氏は、この結果から、心不全患者にとって飲酒は健康的だと推奨することには強く反対している。同氏は「飲酒は心不全の原因の一つであることは明らかだ。たとえ少量であっても、飲酒が心不全患者にとって安全で、余命を延長する可能性があると結論づけられるべきではない」と述べている。

 同じく専門家の一人で、米レノックス・ヒル病院のEugenia Gianos氏も「この研究は対象者が少なく規模が小さいため、結論を導くのは難しい」と慎重な意見を述べている。同氏は「適度な飲酒習慣がある人に共通してみられる社会的なつながりや前向きな考え方、質の高い食事、活動的な生活習慣といった特徴が、余命の延長に寄与している可能性もある」と指摘している。

 Brown氏らもこれらの意見に同意し、「飲酒習慣がある心不全患者に共通してみられる他の要因が、この結果をもたらした可能性もある」と述べ、「心不全を起こした後にも飲酒を続けてよいかどうかは、必ず医師に相談してほしい」と付け加えている。

[2018年12月28日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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