バイスタンダーCPRの実施増加も女性では転帰不良、米調査

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HealthDay News

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 米国では院外心停止例に対し、現場に居合わせたバイスタンダーが心肺蘇生(CPR)を行うケースが増えており、処置のレベルも向上しているとされる。しかし、米デューク大学臨床研究所のCarolina Malta Hansen氏らが実施した研究から、院外心停止例の生存率は女性よりも男性の方が高いことが示された。詳細は「Journal of the American Heart Association」9月15日号に掲載された。

 心停止は心臓発作とは異なり、心疾患の有無にかかわらず心機能が突然失われ、しばしば死に至る症例である。米国では院外心停止は年間35万件以上発生しており、そのうち約90%が死亡に至っている。しかし、早期にCPRや除細動を実施すれば生存率は2~3倍に高まるとされる。

 今回の研究では、Cardiac Arrest Registry to Enhance Survival(CARES)データベースを用いて、2010~2014年に米ノースカロライナ州16郡で発生した院外心停止例8,100人(女性38.1%)を対象に、バイスタンダーCPRや早期除細動の実施割合と転帰を男女別に評価した。

 その結果、2010年から2014年にかけて、バイスタンダーによるCPRと除細動の実施割合は大きく改善していることが分かった(CPRの実施割合は男性が40.5%から50.6%、女性が35.3%から51.8%)。一方で、良好な神経学的転帰が得られる確率は、男性では6.5%から9.7%へと増加したのに対し、女性では6.3%から7.4%への上昇にとどまっており、転帰の改善は女性よりも男性で大きかったことも明らかになった。

 Hansen氏によると、女性でCPR後の転帰が不良である理由にはいくつかの要因が挙げられるという。男性の心停止例に比べ、女性は除細動が適応とされない心筋症や初期リズムがショック非適応(non-shockable rhythm)である確率が高いことに加えて、心停止を起こす女性は男性よりも高齢で、一人暮らしのケースが多いため、CPRが実施される確率が低いという。

 専門家の一人で米ペンシルベニア大学蘇生科学センター長のBenjamin Abella氏は、今回の結果は結論以上に多くの問題を提起する複雑なものだと述べる一方で、「最も重要なメッセージは、CPRは心停止例の生存率向上に有効であり、CPRを行う人が増えれば生存者も増えるということだ」と付け加えている。

 Abella氏は、バイスタンダーによるCPRや体外式除細動器(AED)を使用する際には、女性の胸部に触れることに抵抗を感じたりする人も多く、これらの方法を改善する必要があると指摘する。また、「救急現場に直面した人の心理をもっと理解し、一般の人への講習や訓練を行う必要がある」と強調。女性のマネキンやバーチャルリアリティ・シミュレーションを利用するのも効果的な可能性があるとしている。その上で、「救急現場に居合わせた人は、何もしないよりは処置をすることで救命率は上がることを知り、救急隊が到着する前に勇気をもってCPRやAEDを行って欲しい」と同氏は述べている。

[2018年9月25日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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