『仮病の見抜き方』~専門医に必要な患者を見極める問診力

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『仮病の見抜き方』~専門医に必要な患者を見極める問診力のイメージ

 自らを“臓器不定科”と称し、「不明熱・不定愁訴・診断不明・原因不明」に積極的に取り組んでいる國松 淳和氏(南多摩病院総合内科/膠原病内科)が、今年4月『仮病の見抜き方』を出版。重版になるほどの人気を誇っている。その書籍発刊記念セミナー「『仮病の見抜き方』~“物語”でつなぐ新しい診断と治療のかたち~」(主催:金原出版株式会社)が、2019年6月21日に開催され、書籍のタイトルに込められた真の意味を伝えた。

医師と患者のすれ違いが仮病を招く
 昔は生きるか死ぬかが重要であったため、死ぬ病気なのかどうかを知りたがる患者が多かった。ところが、現在の患者は死ぬ病気か否かを診てもらうのは当然として、さらに症状が少しでも良くなる方法を求める傾向があるため、「不定愁訴として外来を訪れる人が増えている」と、國松氏は現状について解説。

 不定愁訴の患者が増えているといえども、症状に応じた専門医へ受診すれば解決に至りそうだが、現状はそうではない。“自分の訴えと医師の受け取り方が異なることで解決しない”、“医師に言われて患者自身が初めて気付く症状がある”など「問診1つで患者の答えや答え方が変わってくる」とコメント。「専門医でも広く浅く関わる医師と分野に特化した医師の二分化が必要であるが、後者が多いことで、各科に収まらず細胞間の隙間にあるような疾患が生まれてしまう」と、専門医の在り方から疾患を見落とす原因を問題提起した。

仮病には2つのパターンがある
 同氏は仮病と言われる人を、“病気なのに仮病と言われ続けた人”(仮病の顔した本当の病気)と“身体の症状はあるけれど、身体の病気ではない人”の2つに分類して説明。「後者は症状が身体に出ているので内科が対応しているが、実は精神科の協力が必要な例もある。さらに、症状を意図的に作り出す詐病、単に悪い人の場合もある」とし、このような患者を見極めるためには、問診時の工夫が必要であることを強調した。

仮病かどうかを見極める能力とは?
 問診時以外でどのような能力がどういった患者で発揮されるのかについて、5つのレイヤー(層)を用いて紹介した。*カッコ内は医師に必要な能力を示す

1)症状もないし病気もない
2)症状はあるが病気かどうかわからない(高い診断能力)
3)病気がありそうだが病名がわからない(高い診断能力)
4)病気だが何科が診たらいいかわからない(高い総合能力)
5)病気でありどの科が診るかは自然とすぐ決まる(高い専門能力)

 このうち、最も困るのは2)~4)に該当する患者で、なかでも2)は周囲から“仮病”扱いされるリスクが高いという。各層の患者を診るためにはそれぞれ異なる能力が問われる訳だが、同氏は高い診断力と高い総合力が問われる2)~4)の患者の診断・治療に専念している。

 専門医は高度医療を専門としており、目立つ存在である。しかし、その華やかさの裏には「不定愁訴」、「不明熱」、「病名がない」患者も潜んでいる。同氏は「専門家が専門性を守るのは良いが、その結果、どの科で診てもらうべきかわからない医療難民が増えているのではないか」と現状を危惧し、患者が抱える仮の病を解決するためには、「専門医が各自の専門知識や技術を総動員し、その分野を網羅できるようになることが重要」と訴えた。

(ケアネット 土井 舞子)

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