神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:43

アスリートの睡眠習慣は食事に左右される?

 早寝早起きの生活にしたいのなら、食べ物をアレンジしてみると良いかもしれない。新たに報告された研究によると、何を食べるかによって、睡眠パターンが異なる可能性があるという。米ウエストバージニア大学のLauren Rentz氏らが、大学生アスリートを対象に行った小規模な研究の結果であり、米国生理学会(APS2023、4月20~23日、米国・ロングビーチ)で発表された。  Rentz氏によると、「アスリートの成功にとって、試合時に自分のパフォーマンスを最大化して発揮することだけでなく、試合やトレーニングの後の迅速な回復も重要。良い睡眠習慣が日々の身体的・精神的ストレスからの回復を促し、将来のパフォーマンスに好影響を与える」とのことだ。ただし、「常に強いストレスにさらされているアスリートの回復戦略における、睡眠と栄養素摂取の関係はまだほとんど知られていない」と、同氏は研究の背景を語っている。

睡眠薬にアルツハイマー病の予防効果か

 スボレキサント(商品名ベルソムラ)と呼ばれる睡眠薬が、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)の予防に有用である可能性を示唆する予備的な臨床試験の結果がこのほど明らかになった。スボレキサントを就寝前に服用した参加者では、アルツハイマー病に関わる重要なタンパク質であるアミロイドβやタウのリン酸化レベルが低下することが示されたという。米ワシントン大学セントルイス睡眠医学センター所長のBrendan P. Lucey氏らが実施したこの研究の詳細は、「Annals of Neurology」に3月10日掲載された。

運動は本当に認知機能に良い?

 運動が認知機能に対して良い影響を与えるとするこれまでの研究報告には、解釈上の注意点があり、それらの点を考慮すると、運動による認知機能保護作用はほとんど見られないとする論文が、「Nature Human Behaviour」に3月27日掲載された。グラナダ大学(スペイン)のLuis Ciria氏らの研究によるもの。  Ciria氏によると、運動の身体的健康に対するメリットのエビデンスは、過去1世紀にもわたって着実に蓄積されてきており、認知機能上のメリットとなる可能性も示されているという。ただし、後者については、研究参加者が少ない、潜在的なバイアスリスクが高いなど、研究の質が低いものが少なくないとのことだ。

他の抗CGRP抗体への切り替えが有効な片頭痛患者の特徴は

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を介したモノクローナル抗体(mAb)は、片頭痛治療に有効な治療薬として承認されている。特定のmAbで治療反応が得られなかった患者に対し、別のmAbへ切り替えることで、ある程度の有効性が得られることが示唆されている。イタリア・フィレンツェ大学のLuigi Francesco Iannone氏らは、抗CGRP/リガンドmAbで治療反応が得られなかった患者における抗CGRP/受容体mAbへの切り替えによる治療効果、およびその逆における効果を評価した。その結果、特定の抗CGRP mAbで効果が不十分であった場合、他の抗CGRP mAbへの切り替えは臨床上の重要なオプションである可能性が示唆された。Cephalalgia誌2023年4月号の報告。

認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する意識調査

 認知症に対する薬理学的および非薬理学的介入は進歩しており、将来の認知症予防において、対象を絞ったスクリーニングやライフスタイルの改善に組み込まれていくことが期待される。認知症予防を推進していくうえで、コミュニティの関与を妨げる潜在的な問題を解決することは、認知症予防へのアクセスや実現の可能性を最大化するために重要である。オーストラリア・認知症研究連携センター(DCRC)のNikki-Anne Wilson氏らは、認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する現在の考えおよび問題点を調査した。その結果、認知症のリスク軽減行動やスクリーニングに対する意欲が社会人口統計学的要因と有意に関連していることが明らかとなった。Alzheimer's Research & Therapy誌2023年4月10日号の報告。

リアルワールドにおけるフレマネズマブの長期有用性~FRIEND2試験

 イタリア・IRCCS San Raffaele RomaのPiero Barbanti氏らは、高頻度の反復性片頭痛(HFEM:1ヵ月当たりの片頭痛日数8日以上)または慢性片頭痛(CM:1ヵ月当たりの頭痛日数15日以上)患者を対象に、フレマネズマブの長期(24週間)有効性、安全性、忍容性の評価を実施した。その結果、フレマネズマブは、過去に複数の片頭痛の予防的治療に奏効しなかったHFEMおよびCM患者に対し早期かつ持続的な有効性を示し、安全性および忍容性プロファイルも良好であることが確認された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月23日号の報告。

FDA、AD型認知症に伴う行動障害へのブレクスピプラゾールを承認/大塚

 大塚製薬とH.ルンドベックA/Sは5月11日、同社の抗精神病薬ブレクスピプラゾール(商品名:レキサルティ)のアルツハイマー(AD)型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の治療における効能追加の承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得したことを発表した。今回の承認により、本剤は米国において本適応を有する初めての抗精神病薬となる。なお本剤について、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)による優先審査が認められていた。  ブレクスピプラゾールは、2015年にFDAが「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認し、現在、統合失調症治療薬として約60の国と地域で使用されている。

夜勤と認知症リスク~UK Biobankの縦断的研究

 中国・Jinan University First Affiliated HospitalのYitong Ling氏らは、夜勤労働とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症との関連性を調査し、夜勤労働の影響およびアルツハイマー病に対する遺伝的感受性を評価した。その結果、常に夜勤をしている労働者では、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症リスクが高いことが示唆された。また、アルツハイマー病の発症リスクは、アルツハイマー病の遺伝的リスクスコア(GRS)の違いにかかわらず、常に夜勤をしている労働者で高いことが報告された。Journal of Neurology誌オンライン版2023年4月6日号の報告。

認知機能低下の早期発見にアイトラッキングはどの程度有用か

 アルツハイマー病(AD)患者では初期段階から、眼球運動に反映されるように、視空間処理障害が認められる。杏林大学の徳重 真一氏らは、ビジュアルタスク実行中の視線動向パターンを評価することで、認知機能低下の早期発見に役立つかを調査した。その結果、いくつかのタスクを組み合わせて視空間処理能力を可視化することで、高感度かつ特異的に認知機能の低下を早期に検出し、その後の進行の評価に役立つ可能性があることを報告した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年3月21日号の報告。

CGRPモノクローナル抗体に反応しやすい日本人片頭痛患者の特徴

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRPmAb)は、頭痛障害が従来の予防的治療オプションに奏効しない片頭痛患者にとって有用な薬剤であると考えられる。しかし、日本国内におけるCGRPmAbの使用実績は2年と短く、治療反応が得られやすい患者とそうでない患者を治療前に判別することは困難である。慶應義塾大学の井原 慶子氏らは、CGRPmAbに奏効した日本人片頭痛患者の臨床的特徴を明らかにするため、リアルワールドデータに基づいた検討を行った。その結果、年齢が高く、過去の予防薬治療失敗の合計回数が少なく、免疫リウマチ性疾患の病歴のない片頭痛患者は、CGRPmAbに対する良好な治療反応が期待できることが示唆された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月9日号の報告。