内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:85

糖質摂取と認知症リスク〜前向きコホート研究

 いくつかの研究において、食事中の糖質摂取と認知症との潜在的な関連が示唆されているが、実証するエビデンスは限られている。中国・四川大学のSirui Zhang氏らは、この関連性について、大規模集団による検証を行った。BMC Medicine誌2024年7月18日号の報告。  英国バイオバンクコホートに参加した21万832人を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。食事中の糖質摂取を反映するため、糖質の絶対摂取量および相対摂取量、高糖質食スコアを用いた。糖質の絶対摂取量は、英国バイオバンクのOxford WebQにより特定した。糖質の相対摂取量は、絶対摂取量を総食事エネルギー量で割ることにより算出した。高糖質食パターンの特定には、縮小ランク回帰法を用いた。食事中の糖質摂取量とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病との縦断的関係を調査するため、Cox比例ハザード回帰分析および制限付き3次スプラインを用いた。根本的なメカニズムを解明するため、探索的媒介分析を行った。

マイコプラズマ肺炎が8年ぶりの高水準、上位は大阪・埼玉・佐賀/感染研

 国立感染症研究所が8月13日付で報告した2024年第31週(7月29日~8月4日)のIDWR速報データによると、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数が過去5年間の同時期の平均よりかなり多い。第27週(7月1~7日)以降5週連続で増加、2016年以来8年ぶりの高い水準となっている。  全国の定点当たり報告数は0.95人で、都道府県別にみると上位10都府県は以下のとおり。

高齢者のベンゾジアゼピン中止、長期的な抑うつ症状改善に寄与

 カナダ・ケベック大学モントリオール校のArnaud Allary氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)の使用が、将来の抑うつ症状、不安、睡眠の質に及ぼす影響を調査した。Aging & Mental Health誌オンライン版2024年7月2日号の報告。  大規模ランダム化比較試験(RCT)であるPASSE-60+研究よりデータを抽出した。60歳以上の参加者73例を対象に、4ヵ月間の中止プログラムを実施し、16ヵ月で4回の評価を行った。BZD使用の変化は、2回の評価時における1日当たりの投与量の差と定義した。コントロール変数は、RCT中止群、プログラム開始前でのBZD使用および抑うつ症状、不安、睡眠の質のいずれかとした。データ分析には、階層的多重回帰分析を用いた。

都市居住者VS郊外居住者、より幸せなのはどちら?

 都市居住者は、都市以外の場所に住む人に比べて幸福度や経済的な満足度などが低い傾向にあることが、新たな研究で報告された。この研究では、人が最も幸せになれる「ゴルディロックスゾーン」は、都市と農村の間の郊外にあることが示されたという。アムステルダム大学(オランダ)アーバン・メンタルヘルス・センターの心理学者であるAdam Finnemann氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に7月19日掲載された。Finnemann氏は、「都市に隣接する郊外が、心理的満足度が最も高く、かつ平等性も高い」と述べている。

日本の社会経済的指標と認知症リスク

 生涯にわたる社会経済的指標(Socioeconomic status:SES)の推移が、認知症の発症リスクと関連するかどうかを調査した、日本発の研究結果が発表された。大阪大学の坂庭 嶺人氏らによる本研究結果はJAMA Network Open誌2024年5月1日号に掲載された。  2010年8月~2016年12月に実施されたこの前向きコホート研究では、日本老年学的評価研究のデータを使用し、日本の31地域の65歳以上の参加者を対象とした。参加者は介護保険や医療福祉サービスを使用しておらず、認知症の診断を受けていない人とされ、自記式質問票で回答した。データ解析は2022年4月~2023年4月に実施された。SES値欠落者、追跡不能者、ベースラインから1年以内の認知症発症者は除外された。主なアウトカムは認知症発症リスクと、それに伴う生涯にわたる認知症のない期間の減少または増加だった。認知症の発症は介護保険のデータによって特定された。

大腸内視鏡検査の陰性後の検査間隔は長くできる

 大腸がんの家族歴がなく、最初の大腸内視鏡検査で陰性所見が得られた人では、大腸内視鏡検査の実施間隔を長くすることは安全であり、不必要な大腸内視鏡検査を回避できるようだという研究結果が、「JAMA Oncology」に5月2日掲載された。  ドイツがん研究センター(ドイツ)のQunfeng Liang氏らは、最初の大腸内視鏡検査で大腸がんの陰性所見が得られた場合、何年後に2回目の大腸内視鏡検査を実施できるかを評価した。検査陰性(曝露)群には、大腸がんの家族歴がなく、1990年から2016年の間に45~69歳で最初の大腸内視鏡検査を受け、大腸がんの陰性所見が得られた人11万74人が含まれた。対照群は、曝露群と性別や誕生年、基準年齢が一致し、追跡期間中に大腸内視鏡検査を受けなかった、または大腸内視鏡検査を受けて大腸がんの診断に至った人198万1,332人が含まれた。

日本におけるベンゾジアゼピンと向精神薬の併用状況

 さまざまな精神疾患のガイドラインでは、少数のケースにおいてベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZD)単剤療法による短期介入が推奨されている。対照的に、BZD多剤併用療法は、いかなる場合でも推奨されていない。しかし実臨床では、BZD多剤併用療法が用いられることが少なくない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、BZD多剤併用療法と向精神薬併用との関連を明らかにするため、本研究を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年7月4日号の報告。  JMDCの請求データを用いて、レトロスペクティブ横断的研究を実施した。2019年6月、BZD治療を行った健康保険加入者の医療情報を抽出した。BZD多剤併用療法の定義は、2種類以上のBZD使用とした。年齢、性別、保健者および睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬の併用数(0、1、2以上)を共変量とし、BZD多剤併用療法と関連する因子を特定するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。

ドライフルーツは2型糖尿病リスクを上げる?下げる?

 ドライフルーツの摂取が2型糖尿病の発症に及ぼす影響については、議論が分かれている。そこで、中国・西安交通大学のJianbin Guan氏らはメンデルランダム化解析を用いた研究を実施した。その結果、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病の発症リスク低下と関連することが示された。本研究結果は、Nutrition & Metabolism誌2024年7月10日号で報告された。  本研究では、ドライフルーツの摂取に関連する遺伝子データは、UKバイオバンクに登録された約50万例のうち、ドライフルーツの摂取に関するデータが得られた42万1,764例から取得した。2型糖尿病に関する遺伝子データは、IEU GWASデータベースに登録された2型糖尿病患者6万1,714例、対照59万3,952例から取得した。主な解析方法として、逆分散加重(IVW)法を用いて、ドライフルーツの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連を検討した。

自転車通勤や徒歩通勤は心身の健康を向上させる

 自転車通勤は健康を大幅に改善し、あらゆる原因による死亡(全死亡)リスクを低減することが、新たな研究で明らかにされた。自転車通勤をしている人では、していない人に比べて全死亡リスクが47%低いのみならず、心臓病、がん、精神疾患の発症リスクも低いことが示されたという。英グラスゴー大学MRC/CSO Social and Public Health Sciences UnitのCatherine Friel氏らによるこの研究結果は、「BMJ Public Health」に7月16日掲載された。  Friel氏らは、スコットランドの人口の約5%が参加した全国健康調査の参加者から抽出した8万2,297人(16〜74歳)のデータを分析した。追跡期間は2001年から2018年までとし、この間のデータを入院、死亡、および治療薬処方の記録とリンクさせた。対象者を、学校や職場への通勤手段により、活動的な通勤者(自転車、または徒歩で通勤)と、それ以外の手段で通勤している非活動的な通勤者として分類し、両者間での健康リスクを比較した。

便秘薬を使用する人ほど排便満足度が低い

 便秘に悩む日本人を対象として、使用している便秘薬の種類や便秘薬に支払う金額などと排便に対する満足度との関連が検討された。その結果、便が硬い人、複数の便秘薬を使用している人、支払い金額の多い人ほど、排便満足度は低いことが明らかとなった。愛知医科大学消化管内科の山本さゆり氏、春日井邦夫氏らによる研究であり、「Journal of Clinical Medicine」に5月30日掲載された。  便秘は一般的な消化器疾患であるが、慢性便秘は睡眠やメンタルヘルス、生活の質(QOL)のみならず、仕事の生産性などにも悪影響を及ぼすことが報告されている。便秘の治療には、処方薬だけでなく市販薬も使用される。また、医師は便の性状や排便回数などから治療効果を客観的に評価する傾向があるが、患者の治療満足度には主観的評価も含まれ、便秘の問題とその治療については個人差が大きい。