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SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬は女性と高齢者に対しても有効か?(解説:住谷哲氏)

 SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬が、心不全や慢性腎臓病を合併した2型糖尿病患者の予後を改善することは多数のRCTおよびそのメタ解析の結果から明らかにされている1)。しかし、その有効性が性別および年齢によって異なるのかはこれまで明らかではなかった。そこで本論文では既報のRCTの結果を基に、MACEとHbA1cとを主要評価項目として、年齢×治療、性別×治療の交互作用interactionsの有無をネットワークメタ解析により推定した。 592試験がHbA1cの解析対象となり、そのうちでGLP-1受容体作動薬の9試験、SGLT2阻害薬の8試験がMACEの解析対象となった。性別でみると男性の比率が最も高かったのはSGLT2阻害薬エンパグリフロジンのEMPA-REG OUTCOME試験で71.5%であり、最も低かったのはGLP-1受容体作動薬デュラグルチドのREWIND試験で53.7%であった。また年齢でみると、SGLT1/2阻害薬sotagliflozin(国内未発売)のSOLOIST-WHF試験で68.7歳が最高齢であり、SGLT2阻害薬カナグリフロジンのCREDENCE試験が56.4歳で最も若かった。 結果は、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の両薬剤ともに、HbA1cの低下およびMACEの減少に性別は有意な影響を及ぼさなかった。つまり性別を問わず両薬剤は有効であった。しかし年齢に関しては、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬とは異なる交互作用が認められた。HbA1cの低下については、SGLT2阻害薬では高齢者は若年者に比較して有意に小さく、逆にGLP-1受容体作動薬では高齢者は若年者に比較して有意に大きかった。MACEの減少については、SGLT2阻害薬では高齢者は若年者に比較して有意に大きく、逆にGLP-1受容体作動薬では高齢者は若年者に比較して有意に小さかった。これから考えると両薬剤のMACE減少効果とHbA1c低下作用とは関連がないことがわかる。 以上の結果から、MACE減少を期待するならば高齢者にはSGLT2阻害薬を、若年者にはGLP-1受容体作動薬の投与を積極的に考慮すべきだろうか? 注意すべきは、解析対象となった試験はすべて心血管イベントリスクのきわめて高い患者を対象としたCVOTであり、80歳以上の高齢者はほとんど対象に含まれていない点だろう。高齢者ではフレイルの有無が薬剤選択に影響することが少なくない。両薬剤ともに体重減少を伴うことが多い点は十分に考慮する必要がある。

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失明を来し得る眼疾患のリスクがセマグルチドでわずかに上昇

 2型糖尿病の治療や減量目的で処方されるセマグルチドによって、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)という失明の可能性もある病気の発症リスクが、わずかに高まることを示唆するデータが報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ウィルマー眼研究所のCindy Cai氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Ophthalmology」に2月20日掲載された。 NAIONは、網膜で受け取った情報を脳へ送っている「視神経」への血流が途絶え、視野が欠けたり視力が低下したり、時には失明に至る病気。一方、セマグルチドはGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)という薬の一種で、血糖管理や減量のために処方される。2024年に、同薬がNAION発症リスクを高めるという論文が発表された。ただし、ほぼ同時期にその可能性を否定する研究結果も発表されたが、安全性の懸念が残されている。これらを背景としてCai氏は、複数のデータベースを統合した大規模サンプルを用いた後ろ向き研究を実施した。 解析には、医療費請求データや電子カルテなど計14件のデータを使用し、二つの手法でNAION発症リスクを検討した。一つ目は、セマグルチドが新たに処方された患者と、セマグルチド以外のGLP-1RA、およびGLP-1RA以外の血糖降下薬が処方された患者を比較する、実薬対照コホートデザインによる検討。二つ目は、同一患者内で当該薬剤を使用していた期間と使用していなかった期間とでリスクを比較する、自己対照研究デザインによる検討。 解析対象は3710万人の2型糖尿病患者であり、そのうち81万390人がセマグルチドの新規使用者だった。NAIONの発症リスクの検討には、1件の診断コードのみで定義した高感度モデルと、90日以内に2件以上の診断コードが記録されている場合で定義した高特異度モデルという2パターンを用いた。NAION発症率は、高感度モデルでは10万人年当たり14.5、高特異度モデルでは同8.7だった。 実薬対照コホートデザインの高感度モデルでは、セマグルチドはSGLT2阻害薬のエンパグリフロジン、DPP-4阻害薬のシタグリプチン、SU薬のグリピジドとの比較でNAIONリスクに有意差はなかった。高特異度モデルでは、エンパグリフロジンとの比較でのみ、リスクが有意に高かった(ハザード比〔HR〕2.27〔95%信頼区間1.16~4.46〕)。 自己対照研究デザインにおいてセマグルチドは、高感度モデルで発生率比(IRR)1.32(同1.14~1.54)、高特異度モデルでIRR1.50(同1.26~1.79)と有意なリスク上昇が認められた。また、別のGLP-1RAであるエキセナチドも高特異度モデルでIRR1.62(同1.02~2.58)と有意なリスク上昇が認められた。 著者らは、「われわれの研究により、セマグルチドとNAIONリスクとの関連についての新たなエビデンスが示された。認められたリスクは先行研究に比べて小さかった。潜在的なメカニズムや因果関係の特定のために、さらなる研究が求められる」と述べている。またCai氏は、「セマグルチドは全身性の副次的効果が豊富な薬剤ではあるが、患者と医師はNAIONのリスクに留意する必要がある」としている。

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2型DMの血糖コントロールなど、予測モデルによる治療最適化で改善/Lancet

 英国・エクセター大学のJohn M. Dennis氏らMASTERMIND Consortiumは、2型糖尿病患者に対する最適な血糖降下療法を確立するために、日常臨床データを用いた5つの薬剤クラスのモデルを開発し、妥当性の検証を行った。その結果、モデルによって予測された最適な治療を受けていない2型糖尿病患者と比較して、最適な治療を受けている患者は、12ヵ月間の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が低く、追加的な血糖降下療法を必要とする可能性が低下し、糖尿病合併症のリスクが減少することが示された。研究の成果は、Lancet誌2025年3月1日号で報告された。モデルの予測因子は、日常的に入手可能な9つの要因 研究グループは、2型糖尿病患者の日常臨床で利用可能なデータを用いて、5つの薬剤クラス(DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、スルホニル尿素薬、チアゾリジン薬)の血糖降下薬に関して、相対的な血糖降下作用の予測が可能かを明らかにする目的で、モデルを開発しその妥当性を検証した(英国医学研究審議会[MRC]の助成を受けた)。 モデルには、予測因子として、薬剤投与開始時の2型糖尿病患者の日常臨床で入手可能な9つの要因(年齢、糖尿病罹病期間、性別、ベースラインのHbA1c・BMI・推算糸球体濾過量[eGFR]・HDLコレステロール・総コレステロール・ALTの値)を用いた。 モデルの開発と初期検証には、Clinical Practice Research Datalink(CPRD)Aurumのデータベースの観察データを用い、2004年1月1日~2020年10月14日に5つの薬剤クラスのうち1つの投与を開始した年齢18~79歳の2型糖尿病患者を対象とした(データへのアクセス時に英国の人口の19.3%を網羅)。 モデルの検証には、2型糖尿病患者を対象とした3つの無作為化臨床試験の個人レベルのデータを用いた。また、CPRDを用いた検証では、モデルで予測された最適な治療(予測された血糖降下作用が最も高い[すなわち、12ヵ月時のHbA1c値が最も低い]薬剤クラスと定義)と一致する治療を受けた群と、一致しない治療を受けた群で観察された血糖降下作用の差を評価した。血糖値異常の5年リスクも良好 5つの薬剤クラスのモデル開発には、CPRDの10万107件の薬剤投与開始時のデータを用いた。CPRDコホート全体(開発コホート+検証コホート)では、21万2,166件の薬剤投与開始のうち3万2,305件(15.2%)がモデルによる予測で最適な治療法とされた。 モデルによって予測された最適な治療を受けなかった群に比べ、これを受けた群は、観察期間12ヵ月の時点での平均HbA1c値の有益性が、CPRDの地理的検証コホート(薬剤投与開始群2万4,746例、背景因子をマッチさせた群1万2,373例)で5.3mmol/mol(95%信頼区間[CI]:4.9~5.7)、CPRDの時間的検証コホート(9,682例、4,841例)では5.0mmol/mol(4.3~5.6)であった。 予測されたHbA1c値の差は、3つの臨床試験における薬剤クラスのpairwise比較、およびCPRDにおける5つの薬剤クラスのpairwise比較で観察されたHbA1c値の差で良好にキャリブレーション(較正)されていた。 また、CPRDにおける血糖値異常の5年リスクは、モデルによって予測された最適な治療を受けなかった群に比べこれを受けた群で低かった(補正後ハザード比[aHR]:0.62[95%CI:0.59~0.64])。MACE-HF、腎疾患進行、細小血管合併症が改善 血糖値以外の長期のアウトカムについては、全死因死亡の5年リスクには差がなかった(aHR:0.95[95%CI:0.83~1.09])が、主要有害心血管イベントまたは心不全(MACE-HF、心筋梗塞、脳卒中、心不全が主な原因の入院、心血管疾患、心不全が主な原因の死亡)アウトカム(0.85[0.76~0.95])、腎疾患の進行(eGFRの40%超の低下、末期腎不全)(0.71[0.64~0.79])、細小血管合併症(臨床的に有意なアルブミン尿[尿中アルブミン/クレアチニン比>30mg/g]の進行または重度の網膜症のいずれか先に発現した病態に基づく複合)(0.86[0.78~0.96])は、いずれもモデルによって予測された最適な治療を受けた群で優れた。 著者は、「このモデルは、日常臨床で収集されるパラメータのみを使用することから、世界中のほとんどの国で、低コストで容易に臨床への導入が可能と考えられる」「このモデルの導入により、血糖コントロールの改善、追加治療による治療強化前の安定的な血糖降下療法の期間の大幅な延長、および糖尿病合併症の減少につながる可能性がある」としている。

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GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ

 英国の大規模コホート研究において、2型糖尿病患者のGLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬またはSGLT-2阻害薬の使用と比較し、自殺傾向のリスク増加とは関連していないことが示された。カナダ・Lady Davis InstituteのSamantha B. Shapiro氏らが報告した。GLP-1受容体作動薬と自殺傾向との関連性が懸念されており、これを調査する観察研究がいくつか実施されているものの、結論には至っていなかった。BMJ誌2025年2月26日号掲載の報告。2型糖尿病患者の使用者について、DPP4阻害薬、SGLT-2阻害薬と比較 研究グループは、英国の一般診療所2,000施設以上、患者6,000万例を網羅する大規模プライマリケアデータベース「Clinical Practice Research Datalink(CPRD)AurumおよびGOLD」のデータを用いた。このデータベースは、英国の国民保健サービス(NHS)の入院記録「Hospital Episode Statistics Admitted Patient Care」および国家統計局の死亡登録データベース「Office for National Statistics(ONS)Death Registration」と連携している。 対象は2型糖尿病患者で、次の2つのコホートを特定した。(1)2007年1月1日~2020年12月31日にGLP-1受容体作動薬またはDPP-4阻害薬の服用を開始し継続した患者(コホート1)、(2)2013年1月1日~2020年12月31日にGLP-1受容体作動薬またはSGLT-2阻害薬の服用を開始し継続した患者(コホート2)。いずれも、2021年3月29日まで追跡した。 主要アウトカムは自殺傾向(自殺念慮、自傷行為および自殺の複合と定義)とし、副次アウトカムはこれらの各イベントとした。傾向スコアによる層別化および重み付けCox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)とその95%信頼区間(CI)を算出し、治療を受けた患者における平均処置効果を推定した。GLP-1受容体作動薬は、自殺念慮、自傷行為、自殺のリスク増加と関連なし コホート1には、GLP-1受容体作動薬使用者3万6,082例(追跡期間中央値1.3年)とDPP-4阻害薬使用者23万4,028例(追跡期間中央値1.7年)が含まれた。粗解析では、GLP-1受容体作動薬の使用はDPP-4阻害薬と比較して、自殺傾向の発生率増加と関連していた(粗発生率1,000人年当たり3.9 vs.1.8、HR:2.08、95%CI:1.83~2.36)。しかし、交絡因子補正後は、関連は認められなかった(HR:1.02、95%CI:0.85~1.23)。 コホート2には、GLP-1受容体作動薬使用者3万2,336例(追跡期間中央値1.2年)とSGLT-2阻害薬使用者9万6,212例(追跡期間中央値1.2年)が含まれた。同様に、粗解析では、GLP-1受容体作動薬の使用はSGLT-2阻害薬と比較して、自殺傾向のリスクが高かったが(粗発生率1,000人年当たり4.3 vs.2.7、HR:1.60、95%CI:1.37~1.87)、交絡因子補正後は、関連は認められなかった(HR:0.91、95%CI:0.73~1.12)。 両コホートとも、自殺念慮、自傷行為、自殺を個別に解析した場合も、同様の結果であった。

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GLP-1RAの腎保護効果はDPP-4iを上回る

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は慢性腎臓病(CKD)進行抑制という点で、DPP-4阻害薬(DPP-4i)より優れていることを示唆するデータが報告された。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのShuyao Zhang氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に12月5日掲載され、2月10日には同大学からニュースリリースが発行された。Zhang氏は、「血糖管理におけるGLP-1RAの有用性は既によく知られていた。一方、われわれの研究によって新たに、CKDハイリスク患者におけるGLP-1RAの腎保護効果を裏付ける、待望のエビデンスが得られた」と述べている。 この研究は、米退役軍人保健局の医療データを用い、臨床試験を模倣した研究として実施された。腎機能低下が中等度(eGFR45mL/分/1.73m2未満)以上に進行したCKDを有する35歳以上の2型糖尿病患者のうち、GLP-1RAまたはDPP-4iで治療されていた9万1,132人から、傾向スコアマッチングにより背景因子の一致する各群1万6,076人から成る2群を設定。この2群はベースライン時点で、平均年齢(GLP-1RA群71.9歳、DPP-4i群71.8歳)、男性の割合(両群とも95%)、BMI(同33.5)、HbA1c(8.0%)、および併発症や治療薬なども含めて、背景因子がよく一致していた。 事前に設定されていた主要評価項目は急性期医療(救急外来の受診・入院など)の利用率であり、副次評価項目は全死亡および心血管イベントの発生率だった。このほか、事後解析として、CKD進行リスク(血清クレアチニンの倍化、CKDステージ5への進行で構成される複合アウトカム)も評価した。 2.2±1.9年の追跡で、1人1年当たりの急性期医療利用率は、GLP-1RA群が1.52±4.8%、DPP-4i群は1.67±4.4%で、前者の方が有意に低かった(P=0.004)。また、全死亡は同順に17.7%、20.5%に発生していて、やはりGLP-1RA群の方が少なかった(オッズ比〔OR〕0.84〔95%信頼区間0.79~0.89〕、P<0.001)。CKD進行についても2.23%、3.46%で、GLP-1RA群の方が少なかった(OR0.64〔同0.56~0.73〕、P<0.001)。心血管イベントに関しては有意差がなかった(OR0.98〔0.92~1.06〕、P=0.66)。 著者らは、本研究結果が糖尿病の臨床を変化させるのではないかと考えている。論文の共著者の1人である同医療センターのIldiko Lingvay氏は、「糖尿病でCKDを有する患者は、低血糖、感染症、心血管疾患などの合併症のリスクが非常に高いにもかかわらず、有効な薬剤が非常に少なく、かつ、そのような患者は臨床試験に参加する機会が限られている。われわれの研究結果は、GLP-1RAがCKDの進行の抑制や医療費の削減につながることを示している」と話す。 Zhang氏もLingvay氏と同様に、今回の研究結果が糖尿病臨床を変え得るとしている。同氏は、「歴史的に見て、糖尿病によるCKDの治療は困難なものであった」と解説。そして、「今後の研究次第では、糖尿病に伴うCKDの包括的治療アプローチの一部として、GLP-1RAを組み込んだ新しいガイドラインが策定される可能性がある。そのガイドラインに基づく治療によって、患者の長期的な転帰が改善し、生活の質の向上につながっていくのではないか」と付け加えている。

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SGLT2阻害薬やGLP-1薬のベネフィット、年齢・性別で違いは?/JAMA

 SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病患者の主要心血管イベント(MACE)のリスク低下と関連することが、英国・グラスゴー大学のPeter Hanlon氏らによる601試験のネットワークメタ解析の結果で示された。年齢×治療の交互作用の解析では、SGLT2阻害薬はヘモグロビンA1c(HbA1c)値の低下は小さいものの、若年者より高齢者で心臓保護効果が高く、一方、GLP-1受容体作動薬は若年者のほうで心臓保護効果が高いことが示された。先行研究で、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP4阻害薬は高血糖を改善し、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者のMACEリスクを軽減することが示されているが、これらの有効性が年齢や性別によって異なるかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2025年2月3日号掲載の報告。MEDLINEやEmbaseなどを2024年8月までレビュー 研究グループは、MEDLINE、Embase、および米国と中国の臨床試験登録について、2022年11月までに発表された論文を検索し、さらに試験結果を更新するため2024年8月に再検索した。 対象研究は、18歳以上の2型糖尿病成人患者を対象に、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬またはDPP4阻害薬と、プラセボや他の血糖降下薬を比較した無作為化臨床試験とし、2人の評価者が独立して適格性をスクリーニングした。 主要アウトカムはHbA1cとMACEで、個々の患者データおよび集計データを用い、マルチレベルネットワークメタ回帰モデルで年齢×治療の交互作用および性別×治療の交互作用を推定した。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬はMACEリスク低下と関連 適格基準を満たした601試験が同定された。592試験はHbA1cを報告した試験(合計30万9,503例、平均年齢58.9±10.8歳、女性42.3%)、23試験がMACEを報告した試験(16万8,489例、64.0±8.6歳、35.3%)であった。なお、103試験で個々の患者データが得られた(HbA1c:103試験、MACE:6試験)。 SGLT2阻害薬の使用(プラセボとの比較)は、加齢に伴ってHbA1cの低下が少ないことと関連しており、30歳増加ごとの絶対低下率(AR)は、単剤療法で0.24%(95%信用区間[CrI]:0.10~0.38)、2剤併用療法で0.17%(0.10~0.24)、3剤併用療法で0.25%(0.20~0.30)であった。 GLP-1受容体作動薬の使用は、単剤療法(AR:-0.18%、95%CrI:-0.31~-0.05)および2剤併用療法(-0.24%、-0.40~-0.07)は加齢に伴ってHbA1cの低下が大きかったが、3剤併用療法(0.04%、-0.02~0.11)はHbA1cの低下と関連していなかった。 DPP4阻害薬の使用は、2剤併用療法では高齢者におけるHbA1cの低下がわずかに改善したが(AR:-0.09%、95%CrI:-0.15~-0.03)、単剤療法(-0.08%、-0.18%~0.01%)や3剤併用療法(-0.01%、-0.06%~0.05%)では改善がみられなかった。 MACEの相対的な減少は、SGLT2阻害薬の使用では、高齢者のほうが若年者より、30歳増加するごとの減少率が大きく(ハザード比:0.76、95%CrI:0.62~0.93)、GLP-1受容体作動薬の使用では、高齢者のほうが若年者よりも減少率が小さかった(1.47、1.07~2.02)。 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使用に関して、性別×治療の交互作用に関する一貫したエビデンスはなかった。

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第248回 GLP-1薬とてんかん発作を生じにくくなることが関連

GLP-1薬とてんかん発作を生じにくくなることが関連セマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)とてんかん発作を生じにくくなることの関連が新たなメタ解析で示されました1)。たいてい60~65歳過ぎに発症する晩発性てんかん(late-onset epilepsy)を生じやすいことと糖尿病やその他いくつかのリスク要因との関連が、米国の4地域から募った45~64歳の中高年の長期観察試験で示されています2)。近年になって使われるようになったGLP-1 RA、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬を含む新しい血糖降下薬は多才で、糖尿病の治療効果に加えて神経保護や抗炎症作用も担うようです。たとえば血糖降下薬とパーキンソン病を生じ難くなることの関連が無作為化試験のメタ解析で示されており3)、血糖降下薬には神経変性を食い止める効果があるのかもしれません。米国FDAの有害事象データベースの解析では、血糖降下薬と多発性硬化症が生じ難くなることが関連しており4)、神経炎症を防ぐ作用も示唆されています。晩発性てんかんは神経変性と血管損傷の複合で生じると考えられています。ゆえに、神経変性を食い止めうるらしい血糖降下薬は発作やてんかんの発生に影響を及ぼしそうです。そこでインドのKasturba Medical CollegeのUdeept Sindhu氏らはこれまでの無作為化試験一揃いをメタ解析し、近ごろの血糖降下薬に発作やてんかんを防ぐ効果があるかどうかを調べました。GLP-1 RA、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬の27の無作為化試験に参加した成人20万例弱(19万7,910例)の記録が解析されました。血糖降下薬に割り振られた患者は半数強の10万2,939例で、残り半数弱(9万4,971例)はプラセボ投与群でした。有害事象として報告された発作やてんかんの発生率を比較したところ、血糖降下薬全体はプラセボに比べて24%低くて済んでいました。血糖降下薬の種類別で解析したところ、GLP-1 RAのみ有益で、GLP-1 RAは発作やてんかんの発生率がプラセボに比べて33%低いことが示されました(相対リスク:0.67、95%信頼区間:0.46~0.98、p=0.034)。発作とてんかんを区別して解析したところ、GLP-1 RAと発作の発生率の有意な低下は維持されました。しかし、てんかん発生率の比較では残念ながらGLP-1 RAとプラセボの差は有意ではありませんでした。試験の平均追跡期間は2.5年ほど(29.2ヵ月)であり、てんかんの比較で差がつかなかったことには試験期間が比較的短かったことが関与しているかもしれません。また、試験で報告されたてんかんがInternational League Against Epilepsy(ILAE)の基準に合致するかどうかも不明で、そのことも有意差に至らなかった理由の一端かもしれません。そのような不備はあったもの、新しい血糖降下薬が発作やてんかんを防ぎうることを今回の結果は示唆しており、さまざまな手法やより多様で大人数のデータベースを使ってのさらなる検討を促すだろうと著者は言っています1)。とくに、脳卒中患者などのてんかんが生じる恐れが大きい高齢者集団での検討を後押しするでしょう。参考1)Sindhu U, et al. Epilepsia Open. 2024;9:2528-2536.2)Johnson EL, et al. JAMA Neurol. 2018;75:1375-1382.3)Tang H, et al. Mov Disord Clin Pract. 2023;10:1659-1665.4)Shirani A, et al. Ther Adv Neurol Disord. 2024;17:17562864241276848.

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SGLT2iはDPP-4iより網膜症リスクを抑制する可能性―国内リアルワールド研究

 合併症未発症段階の日本人2型糖尿病患者に対する早期治療として、DPP-4阻害薬(DPP-4i)ではなくSGLT2阻害薬(SGLT2i)を用いることで、糖尿病網膜症発症リスクがより低下することを示唆するデータが報告された。千葉大学予防医学センターの越坂理也氏、同眼科の辰巳智章氏らの研究グループが、大規模リアルワールドデータを用いて行ったコホート研究の結果であり、詳細は「Diabetes Therapy」に9月30日掲載された。 SGLT2iは血糖降下作用に加えて、血圧や脂質などの糖尿病網膜症(以下、網膜症)のリスク因子を改善する作用を持ち、また網膜症に関する観察研究の結果が海外から報告されている。ただし日本人でのエビデンスは少なく、特に早期介入のエビデンスは国際的にも少ない。これを背景として越坂氏らは、健康保険組合の約1,700万人分の医療費請求情報および健診データが登録されている大規模データベース(JMDC Claims Database)を用いた解析を行った。 2015年1月から2022年9月末の期間にSGLT2iまたはDPP-4iの処方が開始されていた患者から、18歳未満、両剤併用、合併症(網膜症を含む細小血管症や大血管症)診断の記録、および1型糖尿病や妊娠糖尿病の患者などを除外した上で、傾向スコアマッチングにより背景因子の一致する各群1万166人を解析対象とした。SGLT2iまたはDPP-4iの処方開始日から網膜症(黄斑浮腫を含む)の発症、治療中断、患者データ最終日、または死亡のいずれか最も早い日まで追跡した。追跡開始時点において、平均年齢(約50歳)、男性の割合(同80%)、BMI(29kg/m2)、HbA1c(7.7%)は両群間に大きな差はなく、また喫煙者率、血圧、血清脂質、eGFR、チャールソン併存疾患指数、併用薬剤、医療機関の規模、追跡開始年などもよく一致しており、標準化平均差が0.05未満だった。 SGLT2i群は1万5,012人年の追跡で694人が網膜症を発症し、1,000人年当たりの罹患率は46.23だった。DPP-4i群は1万3,954人年の追跡で797人が網膜症を発症し、1,000人年当たりの罹患率は57.12だった。Cox比例ハザードモデルによる解析で、DPP-4i群に比較しSGLT2i群は網膜症発症リスクが有意に低いことが示された(ハザード比0.83〔95%信頼区間0.75~0.92〕、P=0.0003)。 患者背景別のサブグループ解析でも、おおむね全体解析と同様にSGLT2i群において網膜症発症リスクが有意に低いことが示された。ただし、65歳以上、HbA1cが7~8%の範囲、脂質低下薬またはレニン-アンジオテンシン系降圧薬の併用、およびベースライン時点で何らかの血糖降下薬が既に処方されていたケースでは、DPP-4i群とのリスク差が非有意だった。 著者らは、本研究を「合併症のない日本人2型糖尿病患者を対象に、網膜症リスクに対するSGLT2iとDPP-4iの影響の違いを検討した初の大規模研究」と位置づけている。研究の限界点として、健康保険組合のデータを用いたため高齢者の割合が低いこと、および残余交絡が存在する可能性などを挙げた上で、「SGLT2iが処方された患者はDPP-4iが処方された患者よりも網膜症リスクが低い可能性が示された」と結論。また、研究参加者が比較的若年で合併症がない集団であり、かつサブグループ解析では血糖や脂質・血圧に対して既に介入がなされていた群でリスク差が非有意であったことから、「より早期からのSGLT2iによる治療が網膜症抑止において有益と考えられる」と付け加えている。

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SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ

 近年、SGLT2阻害薬は実験レベルでさまざまながん種に対する抗腫瘍効果が示唆されている。臨床においても、無作為化試験や観察研究などでSGLT2阻害薬とがん発症リスクとの関係が検討されているが結論は出ておらず、一般的にがん発症率が低いことを考慮すると大規模な疫学コホートでの検討が必要となる。今回、東京大学/国立保健医療科学院の鈴木 裕太氏らが全国規模の疫学データベースを用いて、SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を処方された患者におけるがん発症率を調べた結果、SGLT2阻害薬のほうががん発症リスクが低く、とくに大腸がんの発症リスクが低いことがわかった。Diabetes & Metabolism誌2024年11月号に掲載。 大規模疫学データベースにおいて、新規でSGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を処方された糖尿病患者を解析した。主要評価項目はがん発生率とし、傾向スコアマッチングアルゴリズムを用いて、SGLT2阻害薬群とDPP-4阻害薬群におけるがん発症率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・2万6,823例を1:2(SGLT2阻害薬群8,941例、DPP-4阻害薬群1万7,882例)に傾向スコアマッチングした。平均追跡期間2.0±1.6年の間に1,076例ががんを発症した。・SGLT2阻害薬投与はがんリスク低下と関連し(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.70~0.91)、とくに大腸がんリスクの低下と関連していた(HR:0.71、95%CI:0.50~0.998)。・この結果は、オーバーラップ重み付け解析(HR:0.79、95%CI:0.66~0.94)、治療の逆確率重み付け解析(HR:0.75、95%CI:0.65~0.86)、導入期間の設定(HR:0.78(95%CI:0.65~0.93)を含む種々の感度解析で一貫していた。・がん発症リスクはそれぞれのSGLT2阻害薬で同程度であった。 この全国のリアルワールドデータを用いた検討結果から、著者らは「糖尿病患者におけるがん発症抑制においてはDPP-4阻害薬よりSGLT2阻害薬のほうが有利である可能性が示された」としている。

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GLP-1RAが飲酒量を減らす?

 血糖降下薬であり近年では減量目的でも使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が、飲酒量を減らすことを示唆する新たな論文が報告された。特に肥満者において、この作用が高い可能性があるという。英ノッティンガム大学のMohsan Subhani氏らによるシステマティックレビューの結果であり、詳細は「eClinicalMedicine」に11月14日掲載された。なお、本研究で言及されているエキセナチド等、GLP-1RAの禁酒・節酒目的での使用は日本を含めて承認されていない。一方で同薬が作用するGLP-1受容体は脳内にも分布しており、同薬が飲酒量を抑制するという前臨床試験のデータがある。 この研究では、Ovid Medline、EMBASE、PsycINFOなどのデータベースを用いて、2024年3月末までに報告された研究結果を検索、同年8月7日に新たに追加された報告の有無を確認した。主要評価項目は、GLP-1RAの使用と飲酒量の関連の評価であり、副次的に、GLP-1RAと飲酒関連イベントや機能的磁気共鳴画像法(fMRI)のデータなどとの関連を評価した。 解析対象研究として、6件の報告が特定された。このうち2件はランダム化比較試験(RCT)、3件は後ろ向き観察研究、1件はケースシリーズ(複数の症例報告)であり、3件は欧州、2件は米国、1件はインドで行われていた。研究参加者数は合計8万8,190人で、このうち3万8,740人(43.9%)にGLP-1RAが投与されていた。ただし、エビデンスレベルが高いと評価されるRCTとして実施されていた研究の参加者は286人だった。平均年齢は49.6±10.5歳で、男性が56.9%だった。 RCTとして実施されていた研究では、GLP-1RAのエキセナチドによる24週間の治療後30日間での飲酒量は、プラセボと差がなかった(大量飲酒の日数の群間差がP=0.37)。ただし、サブグループ解析では、肥満者(BMI30超)では肯定的な影響が認められ、fMRIで脳内の報酬中枢の反応に差が認められた。また、RCTの二次解析では、GLP-1RAのデュラグルチド群はプラセボ群と比較して、飲酒量が減少する可能性が有意に高かった(相対効果量0.71〔95%信頼区間0.52~0.97〕、P=0.04)。 観察研究では、DPP-4阻害薬が処方されていた患者や無治療の患者に比べて、GLP-1RAによる治療が行われていた患者では飲酒量が有意に少なく、飲酒関連イベントの発生も少なかった。 Subhani氏は、「GLP-1RAが将来的には過度の飲酒を抑制するための潜在的な治療選択肢となり、結果的に飲酒関連の死亡者数の減少につながる可能性があるのではないか」と述べている。なお、論文には、「GLP-1RAは一部の人の飲酒量を減らす可能性があることが示唆された。ただし、研究の結果に一貫性がなく、飲酒量を抑える目的でのGLP-1RAの有効性と安全性を確立するため、さらなる研究が求められる」と付記されている。

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『糖尿病治療ガイド2024』発刊、GIP/GLP-1受容体作動薬を追加/糖尿病学会

 日本糖尿病学会は、糖尿病診療で頻用されている『糖尿病治療ガイド』の2024年版を11月に発刊した。糖尿病治療ガイド2024は、糖尿病診療の基本的な考え方から最新情報までをわかりやすくまとめ、専門医だけでなく非専門の内科医、他科の医師、医療スタッフなどにも、広く活用されている。今回の糖尿病治療ガイド改訂では、GIP/GLP-1受容体作動薬の追加をはじめ、2024年10月現在の最新の内容にアップデートされている。糖尿病治療ガイド2024は糖尿病診療ガイドライン2024に準拠 【糖尿病治療ガイド2024の主な改訂ポイント】・「糖尿病診療ガイドライン2024」に準拠しつつ、診療上必要な専門家のコンセンサスも掲載。・GIP/GLP-1受容体作動薬の追加など、最新の薬剤情報にアップデート。・「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)」に基づいた経口薬療法および注射薬療法の解説。・緩徐進行1型糖尿病の診断基準や糖尿病患者の脂質管理目標値、糖尿病性腎症の病期分類など、最新の基準・目標値の内容を反映。※アドボカシー活動の進展による言葉の変更は、いまだ適切な基準がないため、全面的な変更は見送った。 編集委員会は糖尿病治療ガイド2024の序文で「日々進歩している糖尿病治療の理解に役立ち、毎日の診療に一層活用されることを願ってやまない」と期待を述べている。

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非肥満2型糖尿病患者の心血管障害へのSGLT2阻害薬の効果は/京大

 糖尿病の薬物治療で頻用されているSGLT2阻害薬。しかし、SGLT2阻害薬の有効性を示した過去の大規模臨床研究の参加者は、平均BMIが30を超える肥満体型の糖尿病患者が多数を占めていた。 わが国の実臨床現場ではBMIが25を下回る糖尿病患者が多く、肥満のない患者でも糖分を尿から排泄するSGLT2阻害薬が本当に有効なのかどうかは、検証が不十分だった。そこで、森 雄一郎氏(京都大学大学院医学系研究科)らの研究グループは、協会けんぽのデータベースを活用し、わが国のSGLT2阻害薬の効果検証を行った。その結果、肥満傾向~肥満の患者ではSGLT2阻害薬の有効性が確認できたが、BMI25未満の患者では明らかではなかったことがわかった。本研究の結果はCardiovascular Diabetology誌2024年10月22日号に掲載された。肥満者にSGLT2阻害薬の主要アウトカムの効果はみられた一方で非肥満者ではみられず この研究は、2型糖尿病でBMIが低~正常の患者におけるSGLT2阻害薬の心血管アウトカムに対する有効性を、従来の試験よりも細かい層別化を用いて検討することを目的に行われた。 研究グループは、2015年4月1日~2022年3月31日の協会けんぽのデータベースを活用し、3,000万例以上の現役世代の保険請求記録および健診記録を用い、標的試験エミュレーションの枠組みを用いたコホート研究を行った。 SGLT2阻害薬の新規使用者13万9,783例とDPP-4阻害薬の使用者13万9,783例をBMI区分(20.0未満、20.0~22.4、22.5~24.9、25.0~29.9、30.0~34.9、35.0以上)で層別化し、マッチングした。主要アウトカムは全死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全。 主な結果は以下のとおり。・参加者の17.3%(4万8,377例)が女性で、31.0%(8万6,536例)のBMIが低~正常だった(20.0未満:1.9%[5,350例]、20.0~22.4:8.5%[2万3,818例]、22.5~24.9:20.5%[5万7,368例])。・追跡期間中央値24ヵ月で、主要なアウトカムは参加者の2.9%(8,165例)に発現した。・SGLT2阻害薬は全集団において主要アウトカムの発生率低下と関連していた(ハザード比[HR]:0.92[95%信頼区間[CI]:0.89~0.96])。・BMIが低~正常の集団では、SGLT2阻害薬は主要アウトカム発生率の低下と関連しなかった(20.0未満のHR:1.08[95%CI:0.80~1.46]、20.0~22.4のHR:1.04[95%CI:0.90~1.20]、22.5~24.9のHR:0.92[95%CI:0.84~1.01])。 この結果から研究グループは、「2型糖尿病患者の心血管イベントに対するSGLT2阻害薬の効果は、BMIが低いほど低減するようであり、BMIが低~正常(25.0未満)の患者では有意ではなかった。これらの結果はSGLT2阻害薬の投与開始時にBMIを考慮することの重要性を示唆している」と述べている。

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SGLT2阻害薬は認知症の発症をも予防できるのか?(解説:住谷哲氏)

 SGLT2阻害薬の慢性腎臓病や心不全合併2型糖尿病患者における臓器保護作用は確立している。また、最近ではSGLT2阻害薬が肝臓がんの発症を抑制するとの報告もなされている1)。がんと並んで高齢者糖尿病患者で問題になるのが認知症である。本論文では韓国の住民コホートデータベースを用いて、DPP-4阻害薬と比較してSGLT2阻害薬の投与が2型糖尿病患者の認知症発症を抑制するかどうかが検討された。 本研究は無作為化試験ではなく観察研究なので、残余交絡residual confoundingをいかに最小化するかが重要となる。筆者らはそのために、種々の統計学的手法(active comparator new user design、extensive propensity score matching、target trial emulationなど)を駆使して、現時点で可能な限りの補正を実施している。さらに陽性コントロールとして性器感染症、陰性コントロールとして白内障と変形性膝関節症とを用いて、結果の内的妥当性internal validityを担保している。 以上のように可能な限りの統計学的処理を実施した結果であるが、やはり残余交絡をゼロにできたわけではない。たとえば、コホートに組み入れられた時点での糖尿病罹病期間は不明である。糖尿病網膜症の有無を罹病期間のproxyとして代用しているようであるが、それで十分に調整されたとはいえない。次に、観察期間中の血糖管理状態についても不明である。3つ目に、それぞれの患者のフレイルについての情報が不明である。読者の先生方も日常臨床で経験されることが多いと思うが、筆者はフレイルが懸念される患者にはSGLT2阻害薬ではなくDPP-4阻害薬を投与することが多い。これは筆者に限ったことではなく、大規模な横断研究からも同様の処方傾向が報告されている2)。これが適応による交絡confounding by indicationである。つまり、それぞれの薬剤が選択投与された患者は最初から異なったpopulationであり、当然ながら予後も異なることになる。この交絡を回避する方法は無作為化しかない。 したがって非常に有望な結果ではあるが、認知症の発症予防目的でDPP-4阻害薬ではなくSGLT2阻害薬を積極的に投与するエビデンスとはならないだろう。やはり認知症の発症を主要評価項目としたRCTの実施が待たれる。現時点ではSGLT2阻害薬の投与が積極的に推奨される患者にSGLT2阻害薬を投与して、それによって認知症発症の抑制をも期待するのが妥当だろう。

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SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬、食事や体重の変化の違い

 2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬によるエネルギー摂取量や糖尿病関連指標に対する影響の違いは不明である。今回、奈良県立医科大学附属病院臨床研究センターの五十川 雅裕氏らがカナグリフロジンとテネリグリプチンによるエネルギー摂取量と体重の変化を比較した結果、エネルギー摂取量への影響は逆で、体重についてはカナグリフロジンでのみ有意に減少した。BMC Endocrine Disorders誌2024年8月19日号に掲載。 本解析は日本人2型糖尿病患者においてカナグリフロジンとテネリグリプチンのメタボリックリスク因子に与える効果を比較したCANTABILE試験のサブ解析である。ヘモグロビンA1c(HbA1c)、エネルギー摂取量、体重などの糖尿病関連指標におけるベースラインから24週までの変化を、カナグリフロジン群(75例)とテネリグリプチン群(70例)で比較した。 主な結果は以下のとおり。・HbA1cは両群とも有意に低下した。・テネリグリプチン群では、エネルギー摂取量は有意に減少したが、体重に有意な変化はみられなかった。・カナグリフロジン群では、エネルギー摂取量は増加傾向だったが、体重は有意に減少した。 今回の結果から、著者らは「カナグリフロジンは、エネルギー摂取量が増加しても体重増加なしに血糖管理が可能であることが示唆された」としている。

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SGLT2阻害薬による長期治療、2型DMの認知症予防に有効/BMJ

 年齢40~69歳の2型糖尿病患者の治療において、DPP-4阻害薬と比較してSGLT-2阻害薬は認知症の予防効果が高く、治療期間が長いほど大きな有益性をもたらす可能性が、韓国・Seoul National University Bundang HospitalのAnna Shin氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年8月28日号に掲載された。傾向スコアマッチング法を用いた韓国のコホート研究 研究グループは、中高年の2型糖尿病患者における認知症リスクと、SGLT-2阻害薬およびDPP-4阻害薬との関連を比較する目的で住民ベースのコホート研究を行った(韓国保健産業振興院[KHIDI]の助成を受けた)。 解析には、2013~21年の韓国の国民健康保険サービスのデータを用いた。対象は、SGLT-2阻害薬またはDPP-4阻害薬の投与を開始した40~69歳の2型糖尿病患者で、傾向スコアでマッチさせた11万885組(22万1,770例、平均年齢61.9歳、男性55.7%)であった。 主要アウトカムは、認知症の新規発症とし、副次アウトカムは、薬物療法を要する認知症および認知症の個々の型(アルツハイマー病、血管性認知症など)とした。アルツハイマー病、血管性認知症のリスクもSGLT-2阻害薬で低い 平均追跡期間670(SD 650)日において、11万885組のうち1,172例が新規に認知症と診断された。As treated解析による100人年当たりの認知症発症率は、SGLT-2阻害薬群が0.22、DPP-4阻害薬群は0.35であり、ハザード比(HR)は0.65(95%信頼区間[CI]:0.58~0.73)とSGLT-2阻害薬群でリスクが低かった。 また、100人年当たりの薬物療法を要する認知症の発症率は、SGLT-2阻害薬群0.12、DPP-4阻害薬群0.21(HR:0.54、95%CI:0.46~0.63)、100人年当たりのアルツハイマー病の発症率はそれぞれ0.17および0.28(0.61、0.53~0.69)、100人年当たりの血管性認知症の発症率は0.02および0.04(0.48、0.33~0.70)といずれもSGLT-2阻害薬群で良好だった。今後、無作為化対照比較試験が必要 性器感染症のHRは2.67(95%CI:2.57~2.77)、変形性関節症のHRは0.97(0.95~0.98)、白内障手術のHRは0.92(0.89~0.96)であった。白内障手術によって測定された残余交絡を補正すると、認知症のHRは0.70(0.62~0.80)となった。 治療期間が2年以内の場合の認知症のHRは0.57(95%CI:0.46~0.70)であったのに対し、2年以上の場合は0.52(0.41~0.66)であり、治療期間が長いほうがSGLT-2阻害薬群の有益性が高い可能性が示唆された。 著者は、「本研究は観察研究であるため、残余交絡や打ち切りが起こりやすく、効果量が過大評価された可能性がある」と指摘したうえで「これらの知見は、今後の無作為化対照比較試験の必要性を強調するものである」としている。

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高K血症によるRA系阻害薬の中止率が低い糖尿病治療薬は?

 高血圧治療中の2型糖尿病患者が高カリウム血症になった場合、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RA系阻害薬)を降圧薬として服用していたら、その使用を控えざるを得ない。最近の報告によれば、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は尿中カリウム(K)排泄を増加させ、高K血症のリスクを軽減させる可能性があることが示唆されている。今回、中国・北京大学のTao Huang氏らは2型糖尿病患者の治療において、GLP-1RAは高K血症の発生率が低く、DPP-4阻害薬と比較してRA系阻害薬が継続できることを示唆した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年8月12日号掲載の報告。 本研究はGLP-1RAとDPP-4阻害薬の新規処方患者における高K血症の発生率ならびにRA系阻害薬の継続率を比較するため、2008年1月1日~2021年12月31日の期間にGLP-1RAまたはDPP-4阻害薬による治療を開始したスウェーデン・ストックホルム地域の2型糖尿病の成人を対象に行ったコホート研究。解析期間は2023年10月1日~2024年4月29日。主要評価項目は、高K血症全体(K濃度>5.0mEq/L)および中等度~重度の高K血症(K濃度>5.5mEq/L)を発症する時間と、ベースラインでRA系阻害薬を使用している患者でのRA系阻害薬の中止までの時間であった。特定された交絡因子が70を超えたため、治療の逆確率重み付け法を用いた限界構造モデルによりプロトコルごとのハザード比(HR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・ 対象者は3万3,280例で、その内訳はGLP-1RAが1万3,633例、DPP-4阻害薬が 1万9,647例、平均年齢±SDは63.7±12.6歳、男性は1万9,853例(59.7%)だった。・治療期間の中央値と四分位範囲(IQR)は3.9ヵ月(IQR:1.0~10.9)だった。・GLP-1RAはDPP-4阻害薬と比較して高K血症全体(HR:0.61、95%信頼区間[CI]:0.50~0.76)、中等度~重度の高K血症(HR:0.52、95%CI:0.28~0.84)の発生率の低さと関連していた。・RA系阻害薬を使用していた2万1,751例のうち、1,381例がRA系阻害薬を中止した。・GLP-1RAはDPP-4阻害薬と比較して、RA系阻害薬の中止率の低さと関連していた(HR:0.89、95%CI:0.82~0.97)。・本結果は、ITT解析および年齢、性別、心血管合併症、ベースライン時点の腎機能の層に渡って一貫していた。 研究者らは「糖尿病治療としてGLP-1RAを使用すれば、高血圧のガイドラインで推奨されている降圧薬をより広く使用できるかもしれない」としている。

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糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。 これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている1)。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。 対象は、65歳以上で2型糖尿病を有し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬またはSU薬の投与を開始したスウェーデン居住者であった。認知症の既往や過去1年間に研究対象の薬剤クラスを服用したことがある参加者は除外した。基準を満たした参加者を、最初の月をベースラインとして試験に毎月組み入れた。 主な結果は以下のとおり。●ベースラインでGLP-1受容体作動薬(1万2,351例)、DPP-4阻害薬(4万3,850例)、SU薬(3万2,216例)が処方された8万8,381例が含まれた。平均年齢はそれぞれ71.62歳、74.78歳、74.21歳であった。●平均追跡期間は4.3年で、追跡期間中に4,607例が認知症を発症した。GLP-1受容体作動薬開始群では278例(発症率は1,000人年当たり6.7)、DPP-4阻害薬開始群では1,849例(11.8)、SU薬開始群では2,480例(13.7)であった。●ITT解析において、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の開始群では、SU薬開始群と比較して認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のハザード比(HR):0.69(95%信頼区間[CI]:0.60~0.79、p<0.000) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:0.89(95%CI:0.82~0.97、p=0.0069)●GLP-1受容体作動薬開始群は、DPP-4阻害薬開始群と比較しても認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.77(95%CI:0.68~0.88、p<0.0001)●パー・プロトコル解析において、GLP-1受容体作動薬開始群は、SU薬およびDPP-4阻害薬の開始群と比較して認知症リスクが有意に低かったが、DPP-4阻害薬開始群とSU薬開始群との間には有意な差は認められなかった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のHR:0.41(95%CI:0.32〜0.53、p<0.0001) ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.38(95%CI:0.30〜0.49、p<0.0001) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:1.07(95%CI:0.98〜1.17、p=0.13)

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2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。傾向スコアマッチングでSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の高K血症の発症を比較 研究グループは、2013年4月~2022年4月の3つの米国医療保険請求データベース(メディケア、Optum’s deidentified Clinformatics Data Mart、MarketScan)を用い、1対1の傾向スコアマッチングにより、新たに治療を開始したSGLT2阻害薬vs.DPP-4阻害薬(コホート1:77万8,908例)、GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬(コホート2:72万9,820例)、SGLT2阻害薬vs.GLP-1受容体作動薬(コホート3:87万3,460例)の3つのコホートを同定し解析した。 解析対象は、2型糖尿病と診断され、過去365日間に比較対象である2種類の薬剤のいずれかを使用しておらず、年齢18歳以上(メディケアの場合は65歳以上)、コホート登録前に12ヵ月以上継続して保険に加入していた患者であった。 主要アウトカムは、入院または外来における高カリウム血症の診断、副次アウトカムは、外来での追跡中における高カリウム血症(血清カリウム値5.5mmol/L以上)の発症、および入院または救急外来における高カリウム血症の診断とした。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬よりリスクが低い SGLT2阻害薬による治療開始は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低く(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.73~0.78)、GLP-1受容体作動薬との比較でも発症率がわずかに低下した(HR:0.92、95%CI:0.89~0.95)。GLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低かった(HR:0.79、95%CI:0.77~0.82)。 3年間の絶対リスクは、SGLT2阻害薬(4.6%)がDPP-4阻害薬(7.0%)より2.4%(95%CI:2.1~2.7)低く、GLP-1受容体作動薬(5.7%)がDPP-4阻害薬(7.5%)より1.8%(95%CI:1.4~2.1)低く、SGLT2阻害薬(4.7%)がGLP-1受容体作動薬(6.0%)より1.2%(95%CI:0.9~1.5)低かった。 これらの結果は、副次アウトカム、および年齢、性別、人種、併存疾患、他の薬剤の使用、HbA1c値によって定義されたサブグループ間で一貫していた。SGLT2阻害薬ならびにGLP-1受容体作動薬のDPP-4阻害薬に対する絶対スケールでの有益性(率差)は、心不全、慢性腎臓病、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を使用している患者で最も大きかった。 DPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症の発症率が低いことは、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)およびGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド)の個々の薬剤で一貫して観察された。

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メトホルミンに追加すべき薬剤はSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬それともSU薬?(解説:住谷哲氏)

 GRADE(Glycemia Reduction Approaches in Diabetes: A Comparative Effectiveness Study)研究1)は、メトホルミン単剤で血糖管理目標を達成できない患者に追加する血糖降下薬としてインスリン(グラルギン)、SU薬(グリメピリド)、GLP-1受容体作動薬(リラグルチド)またはDPP-4阻害薬(シタグリプチン)の有用性を比較検討したランダム化比較試験である。その結果は、HbA1c低下作用はグラルギンとリラグルチドが他の2剤に比べて優れており、体重減少効果はリラグルチドが最も優れていた。 米国が国家予算を投入したGRADE研究であるが、メトホルミンに追加する2剤目として経口血糖降下薬ではなく注射薬(グラルギンまたはリラグルチド)を選択することは実臨床においてそれほど多くない。さらに2剤目の追加薬剤の選択肢にSGLT2阻害薬が含まれていないのが、この研究の結果を実臨床に反映しにくい理由の1つである。 本研究は新しい解析手法であるtarget trial emulation(標的試験模倣と訳すべきか。概要については過去の本連載を参考されたい2])を用いて、メトホルミンに追加する薬剤としてSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬およびSU薬のいずれが優れているかを英国CPRD(Clinical Practice Research Datalink)のデータを対象にして検討したものである。結果は、HbA1c低下作用、BMI減少作用、収縮期血圧低下作用においてSGLT2阻害薬が他の2剤に比較して優れていた。さらにSGLT2阻害薬は、心不全による入院抑制はDPP-4阻害薬に比較して優れており、腎疾患の進行抑制はSU薬に比較して優れていた。 臓器保護薬としてのSGLT2阻害薬の有用性は、高リスク患者を対象としたランダム化比較試験で明らかにされてきた。したがって多くのガイドラインでは、心不全または慢性腎臓病を有する2型糖尿病患者への積極的投与が推奨されている。しかし、われわれが通常外来で診察している低リスク患者に対する有用性はこれまで不明であった。本研究の結果は、低リスク患者においても血糖降下作用、BMI減少作用、収縮期血圧低下作用においてSGLT2阻害薬がDPP-4阻害薬、SU薬と比較して優れていることを示した点でインパクトが大きい。ただし本研究はメトホルミン投与患者への追加薬剤としての検討であり、この点には留意する必要がある。

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DPP-4阻害薬と良い関係の食材があります(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師なかなか血糖が下がらないんですよね。(DPP-4阻害薬服用者からの相談)それなら、いい方法がありますよ! この薬(DPP-4阻害薬)は、青魚をよく食べている人に効果が高いみたいです。患者 えっ、そうなんですか! 最近、お肉ばかり食べていました。どのくらい食べたらいいですか?医師 そうですね、たとえばサバ缶(約200g)なら、半分の量を週に3回くらいからスタートしてみてはいかがでしょう?患者 なるほど。焼いたり、揚げたりしてもいいですか?画 いわみせいじ医師 焼くと2割、揚げると5割くらい良質な油(EPA[エイコサペンタエン酸]やDHA[ドコサヘキサエン酸]など)が失われるので、お刺身や蒸し料理がお勧めです。患者 なるほど、わかりました。さっそく買って帰ります!(うれしそうな顔)ポイント青魚を勧める際は、1回に食べる量(約90g)、頻度(週3回以上)、調理法(生>蒸す>焼く>揚げる)などについて補足しましょう。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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