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パーキンソン病患者でみられる衝動性にセロトニンが関与か

 パーキンソン病では、たとえ衝動制御障害を認めない場合でも、一般に衝動性がよくみられる。それは、ドパミン過剰遊離、運動制御にかかわる前頭葉-線条体回路における構造変化など、複数の因子が関与していると思われる。さらに、動物による前臨床試験およびヒトの研究から、パーキンソン病における応答阻害に前脳へのセロトニン作動性投射の変化も寄与している可能性が示唆されている。英国・ケンブリッジ大学のZheng Ye氏らは、パーキンソン病患者でみられる衝動性のメカニズムを探り、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の有用性を明らかにする検討を試みた。Brain誌オンライン版2014年2月27日号の掲載報告。 本研究では、SSRIシタロプラムが、行動および神経メカニズムという観点から応答阻害を改善するか否かについてマルチモーダル磁気共鳴イメージング(MRI)研究を行った。試験デザインは二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験とし、衝動性などの実行機能を測定する Stop-signal 課題や Go/NoGo 課題を用いて実施した。特発性パーキンソン病患者21例(46~76歳、男性11例、Hoehn & Yahr stage:1.5~3)を対象とし、2つの時期に分けて、通常使用しているドーパミン作動薬にシタロプラム30mgまたはプラセボを追加した。マッチさせた健常対照20例(54~74歳、男性12例)は薬物を投与せずに測定した。行動および局所脳活性に及ぼす疾患と薬物の影響について、一般線形モデルを用いて分析した。さらに、拡散テンソル画像法(DTI)とそれを用いたTract-Based Spatial Statistics(TBSS)法により解剖学的関連性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・プラセボ追加群は健常対照群と比較して、Go reaction timeに影響を及ぼすことなくStop-Signal Reaction Timeが長く、NoGo errorsが大きかったことから、パーキンソン病では応答阻害障害が惹起されていることを確認した。・この現象は、右下前頭葉における運動の実行中止に特異的な活性の減弱と関連していたが、NoGoに関連する活性においてプラセボ追加群と健常対照群の間で差は認められなかった。・シタロプラムによる有益な効果は確認されなかったが、より重症例(Unified Parkinson's Disease Rating Scaleの運動スコア高値)においてStop-Signal Reaction Time とNoGo errorsの軽減がみられ、下前頭活性が増強されていた。・シタロプラムに誘発される前頭前野領域の脳賦活の促進と前頭葉-線条体回路における構造連関の保持増強が、行動に影響していた。・シタロプラムの応答阻害に対する行動性への影響は、個々の前頭前野領域の脳賦活および前頭葉-線条体回路連関の相違に依存することが示唆された。また、疾患の重症度とシタロプラムの効果との関連は、前脳へのセロトニン作動性投射の減弱による可能性があると思われた。・これらの結果を踏まえて著者は、「本研究の結果は、認知および行動制御におけるセロトニンの重要な役割に関する広い理解に寄与するとともに、パーキンソン病を対象としたセロトニン作動性薬の臨床試験において、患者を層別化する際の新たなストラテジーを提供しうるものとなる」とまとめている。関連医療ニュース 自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー 早漏症にSSRI、NO濃度との関連を確認 閉経期ホットフラッシュにSSRIが有効

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ACTH非依存性クッシング症候群の病因解明に大きく前進(コメンテーター:成瀬 光栄 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(188)より-

ACTH非依存性クッシング症候群は、副腎からのコルチゾールの自律性分泌により高血圧や糖尿病などをきたす疾患で、副腎腺腫と両側が結節性過形成になるACTH非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)が主な病型である。 通常、前者では腺腫側の副腎摘出で治癒するのに対して、後者では両側副腎摘出が必要なことが多く、副腎不全による永続的なホルモン補充が必要となる。いずれも成因は不明であったが、本論文により、顕性クッシング症候群の約1/3の例で、プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットをコードするPRKACAのsomatic mutationを認めることが明らかにされた。この変異は、サブクリニカルクッシング症候群やその他の副腎腫瘍では見られず、顕性クッシング症候群に特異的であると考えられる。 さらに、AIMAHでは1/7例でPRKACAのある第19染色体のgermline duplicationを認めた。PRKACAの変異はPKA活性を増加することも示されたことから、PKAの触媒サブユニットの遺伝子変異が、ACTH非依存性クッシング症候群の成因と密接に関連することが示唆される。 これらの結果は、本病態の新たな分子標的薬の開発や、AIMAHの早期診断、および高血圧や糖尿病発症前の予防的治療に繋がることが期待され、大変興味深い。 一方、腺腫例の約2/3、AIMAHの6/7ではこれらの異常を認めず、昨年11月に発表された、16染色体にあるARMC5の変異(Assié G, et al. N Engl J Med. 2013; 369: 2105-2114.)など、その他の異常の関与が示唆される。 また、サブクリニカルクッシング症候群は顕性クッシング症候群の軽症例と考えられてきたが、今回の結果から成因が全く異なる可能性もあり、今後のさらなる研究が期待される。

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朝食をとる頻度が握力に相関~日本人での横断的研究

 定期的な朝食の摂取が健康上のベネフィットに関連しているという研究がいくつか報告されているが、朝食摂取頻度と筋肉機能との関連を検討した研究は数報しかない。東北大学大学院医工学研究科 永富 良一氏らのチームでは、健常な日本人(成人)の朝食摂取頻度と筋力との関連性を横断的研究により調査したところ、これらの間に正の相関が認められたとした。Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases誌オンライン版2014年1月21日号に掲載。 本研究は、2008~2011年に仙台市内の19~83歳の日本人従業員(男性1,069人、女性346人)が参加し、実施された。ハンドヘルドデジタル握力計によって測定された握力を、筋力の指標として用いた。前の月の朝食摂取頻度を簡単な自記式食事歴法質問票を用いて評価し、その結果を3つのカテゴリ(低頻度:週に2日以下、中頻度:週に3〜5日、高頻度:週に6日以上)に分類し分析した。主に社会人口統計、生活習慣および健康関連因子を含む共変量での共分散分析を用いて、多変量解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・潜在的交絡因子の調整後、握力が朝食摂取頻度と正相関することが示された[幾何平均(95%信頼区間):低頻度群36.2kg(35.7~36.8)、中頻度群36.7kg(36.0~37.5)、高頻度群37.0kg(36.6~37.5)、傾向のp=0.03]。・体重当たりの握力(kg/kg)も朝食摂取頻度と正相関することが示された(傾向のp=0.01)。

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血圧長期変動性よりも若年時の血圧が、冠状動脈石灰化スコアに影響を及ぼすことが明らかになる(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(186)より-

高血圧のもつリスクは、大きく二種類に分けることができる。固有の血圧値に由来するリスクと、変動する血圧値に由来するリスクの2つである1)。 近年、ABPMや家庭血圧計の普及により、高血圧治療の質を高めるために、日内変動や、日間変動といった血圧変動を評価することが勧められている2)。現時点では、それぞれの変動幅の抑制や、改善にどのクラスの降圧薬が有効なのかについては、探索的な研究の結果が報告されている程度にとどまっている3)。将来、降圧薬ではなく、変動性改善薬というような、新規の薬物が有効とされるかもしれないが、今後の研究成果を待たなければならないだろう。 Allenらによる本論文では、CARDIA研究のコホートを対象に、25年という長期間にわたるデータから、若年時の血圧値および、中年期にかけての血圧長期変動性の違いにより、対象が5種類のTrajectoryに分類(five discrete trajectory groups)されることを報告している。 さらに25年の時点での、マルチスライスCTによる冠状動脈石灰化スコアを指標にした解析の結果、観察開始時点で血圧が上昇している(Elevated)グループでは、その後の血圧が安定していても(Stable)、上昇(Increasing)しても、有意に冠状動脈石灰化スコアが高かった。開始時点で中等度の血圧を呈して、25年の間に高値安定群よりも血圧が高値になる、中等値-上昇(Moderate-increasing)群では、石灰化スコアに与える影響は有意ではなかった。このことは、血圧の長期変化よりも、起点となる血圧値が予後に影響を与えていることを示唆している。 冠動脈石灰化スコアという、静的なエンドポイントによる評価であり、プラーク破綻といった生命予後に直結する動的なエンドポイントに与える影響については、改めて検討しなくてはならないだろう。本研究では、交絡する複数のリスクについてModel 1~Model 3の3パターンで検討している。年齢、人種、教育歴、性別、降圧薬の使用、脂質、糖尿病、喫煙、BMI (以上Model 1)、さらには開始時血圧 (Model 2)、25年時血圧 (Model 3)で補正しても、この関係はかわらない。Model 2の解析による結果は、一見すると開始時血圧の重みについて一貫してないようにもみえるが、本論文では他の交絡因子についての詳細なデータの提示がないので、より深く検討することはできない。 今後は、本コホートに由来する続報や、他の報告による結果に期待したい。

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早期前立腺がん、根治切除の長期生存ベネフィットが判明/NEJM

 根治的前立腺切除術は、前立腺がん患者の長期的な生存を実質的に改善することが、スウェーデン・ウプサラ大学のAnna Bill-Axelson氏らが進めるScandinavian Prostate Cancer Group Study Number 4(SPCG-4)の最長23年以上に及ぶ追跡調査で確認された。SPCG-4は前立腺特異抗原(PSA)の臨床導入以前に診断された患者を対象とし、すでに15年のフォローアップにおける根治的前立腺切除術の生存ベネフィットが示されている。一方、PSA検査導入初期に行われたProstate Cancer Intervention versus Observation Trial(PIVOT)では、手術による12年後の全死亡、前立腺がん死の改善効果は得られておらず、PSA検診の影響の大きさが示唆されている。NEJM誌2014年3月6日号掲載の報告。診断時年齢、腫瘍リスクで層別化した無作為化試験 SPCG-4は、早期前立腺がん患者に対する根治的前立腺切除術と待機療法(watchful waiting)の転帰を比較する無作為化試験である。1989~1999年に、年齢75歳未満、10年以上の余命が期待され、他のがんに罹患していない限局性前立腺がんの男性が登録された。 患者は根治的前立腺切除術または待機療法を行う群に無作為に割り付けられ、最初の2年間は6ヵ月ごとに、その後は1年ごとに、2012年までフォローアップが行われた。今回は、フォローアップ期間18年のデータの解析が行われた。 主要評価項目は全死因死亡、前立腺がん死および転移リスクであり、副次評価項目はアンドロゲン除去療法の導入などとした。診断時年齢(65歳未満、65歳以上)および腫瘍リスク(Gleasonスコア、PSA、WHO分類で低、中等度、高リスクに分けた)で層別化して解析を行った。全体および65歳未満では全主要評価項目が手術群で有意に良好 695例が登録され、根治的前立腺切除術群に347例が、待機療法群には348例が割り付けられた。ベースラインの患者背景は両群で同等であり、平均年齢はともに65歳、全体の平均PSA値は約13ng/mLであった。 2012年12月31日までに、根治的前立腺切除術群の294例が手術を受け、待機療法群の294例が根治的治療を受けなかった。フォローアップ期間中央値は13.4年(3週間~23.2年)。 フォローアップ期間中に447例(64%)が死亡し、そのうち200例が手術群、247例は待機療法群であり、フォローアップ期間18年時の累積死亡率はそれぞれ56.1%、68.9%と、手術群で全死因死亡率が有意に低かった(絶対リスク低下率:12.7%、95%信頼区間[CI]:5.1~20.3、相対リスク:0.71、95%CI:0.59~0.86、p<0.001)。1例の死亡を防ぐのに要する治療例数(NNT)は8例であった。手術群の1例が術後に死亡した。 前立腺がん死は手術群が63例(17.7%)、待機療法群は99例(28.7%)で、手術群の絶対リスク低下率は11.0%(95%CI:4.5~17.5)、相対リスクは0.56(95%CI:0.41~0.77)であり、有意な差が認められた(p=0.001)。 遠隔転移(26.1 vs 38.3%、絶対リスク低下率:12.2%、95%CI:5.1~19.3、相対リスク:0.57、95%CI:0.44~0.75、p<0.001)およびアンドロゲン除去療法導入(42.5 vs 67.4%、25.0、17.7~32.3、0.49、0.39~0.60、p<0.001)も、手術群で有意に少なかった。 前立腺がん死に関する手術のベネフィットには、診断時年齢65歳未満(相対リスク:0.45、p=0.002)および中等度リスクがん(0.38、p<0.001)では有意な差が認められた。65歳未満の患者の手術のNNTは4例であった。また、65歳以上の患者では、転移のリスクが手術群のほうが有意に低かった(0.68、p=0.04)。 著者は、「長期フォローアップにより、根治的前立腺切除術の実質的な死亡率抑制効果が確証された。また、年齢や腫瘍リスクで手術の治療効果に違いがみられ、NNTは経時的に低下した。65歳未満の患者では3つの主要評価項目はいずれも手術群で有意に良好であった。なお、待機療法群の長期生存例の大部分は緩和治療を必要としなかった」とし、「限局性前立腺がんのカウンセリングの際には、長期的な疾病負担として、生存以外に転移のリスクとそれに伴う緩和治療のQOLへの影響を考慮すべきであることがあらためて示唆された」と指摘している。

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外側への体幹傾斜歩行で内側型膝OA患者への関節負荷が減少

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJudit Takacs氏らは、内側型変形性膝関節症(膝OA)の高齢者において、内側コンパートメントにかかる荷重を減少するため、体幹を外側に傾ける歩行について検討を行った。その結果、通常の歩行姿勢時と比べエネルギー消費量、心拍数および主観的運動強度は増加した一方、膝の疼痛に差はないことが示された。結果を踏まえて著者は、「外側への体幹傾斜は、膝OA進行に重要な関節負荷の生体力学的尺度を減少させることがわかった。しかしながら、エネルギー消費が増加する恐れがあることを念頭において慎重に処方すべきであろう」とまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年2月号(オンライン版2013年12月12日号)の掲載報告。 研究グループは、高齢患者12例を対象に、普通の姿勢または体幹を外側に最大10度傾けた姿勢で、任意に指定された順に15分間トレッドミル歩行を行わせ評価を行った。体幹の傾きはリアルタイムで被験者の前に表示された。 エネルギー消費[酸素摂取量(VO2)、絶対強度(METs)]、心拍数(HR)、体幹傾斜最大角度、膝痛および主観的運動強度を測定して検討した。 主な結果は以下のとおり。・12例の被験者は、内側型膝OA高齢患者で、男性が5例、平均[SD]年齢は64.1[9.4]歳、BMI 28.3[4.9]であった。・膝痛(p=0.22)を除くすべての項目の測定値が、体幹傾斜歩行群で有意に増加した(p<0.008)。・VO2は平均9.5%(95%信頼区間[CI]:4.2~14.7)、HRは平均5.3回/分(同:1.7~9.0)増加した。

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注射治療で二重顎を解消、いよいよ現実味

 ドイツ・シャリテ大学病院のB. Rzany氏らは、363例を対象とした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、新たに開発したATX-101の注入治療が、顎の下の不要な脂肪(SMF)解消に有効であり忍容性も良好であったことを報告した。ATX-101は、デオキシコール酸を含み、脂肪細胞を溶解する注射剤である。これまで二重顎の解消には、侵襲的であるかエビデンスの不足した解消法しか存在しておらず、新たな治療アプローチとしてATX-101の注入治療の検討が進められていた。British Journal of Dermatology誌2014年2月号の掲載報告。 ATX-101の二重顎解消の有効性および安全性を評価した試験は、SMFが中等度/重度であった363例を対象に行われた。被験者を無作為に、ATX-101(1あるいは2mg cm-2)またはプラセボ注射群に割り付けて、28日間隔で最大4回の治療を行い、12週間フォローアップした。 主要有効性エンドポイントは、治療反応者の割合(5点評価のClinician-Reported Submental Fat Rating Scale[CR-SMFRS]でSMFが1点以上改善した患者)と、Subject Self-Rating Scale(SSRS)で評価した顔と顎の外見に対し満足している患者の割合の2つであった。副次エンドポイントには、皮膚のたるみ、キャリパー測定値、患者報告のアウトカムなどが含まれた。 主な開発に関する報告は以下のとおり。・ATX-101群のほうがプラセボ群と比べて、より多くの患者が主要エンドポイントを達成した。・治療者評価スケールのCR-SMFRSに関する達成者は、ATX-101の1 mg cm-2治療群59.2%、同2mg cm-2治療群65.3%に対し、プラセボ群は23.0%であった(p<0.001)。・患者評価スケールのSSRS(顔/顎の外見に満足)についても、それぞれ53.3%、66.1%、28.7%であった(p<0.001)。・その他、ATX-101群はプラセボ群と比較して、SMFのキャリパー測定値が有意に減少し(p<0.001)、皮膚のたるみの悪化もみられなかった。また、ATX-101群の患者は、SMFの重症度および心理的影響についての改善を報告した。・有害イベントは治療部位と関係していたが、大半が一過性のものであった。

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どのCKDステージにおいてもワルファリンは有用/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)で急性心筋梗塞後に心房細動を呈した患者へのワルファリン治療は、CKDの重症度にかかわらず、出血リスクを高めることなく転帰を改善することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJuan Jesus Carrero氏らによる2万4,317例を対象とした多施設共同前向き観察試験の結果、示された。ワルファリン非使用群と比べた1年時点の複合アウトカム(死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中)ハザード比(HR)は0.57~0.87であり、出血リスクのHRは0.52~1.10だった。これまで、CKDが進行した心房細動患者に対する、ワルファリン治療と死亡・虚血性脳卒中発生との関連については、相反するエビデンスが報告されていた。JAMA誌2014年3月5日号掲載の報告より。2万4,317例について前向き観察研究 研究グループは、スウェーデン国内の全病院から急性期心疾患の治療データが提供・登録されている「SWEDEHEART」レジストリデータを用いて、心血管疾患および心房細動患者におけるワルファリン治療とアウトカムとの関連を腎機能で層別化して調べた。 分析には、2003~2010年に登録された、急性心筋梗塞後に心房細動を呈し、血清クレアチニン値が明らかであった2万4,317例が含まれた。eGFR値でCKDステージ別に分類し、次の3点を主要評価項目として検討した。すなわち、(1)死亡・心筋梗塞再入院・虚血性脳卒中の複合エンドポイント、(2)出血(出血性脳卒中、消化管出血、貧血、その他による再入院の複合)、(3)退院後1年間の(1)(2)の総計であった。死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中の発生ハザード比0.57~0.87 2万4,317例のうち、退院時にワルファリン治療を受けていたのは5,292例(21.8%)であった。また、51.7%がeGFR値60mL/分/1.73m2未満(eGFR<60)のCKDステージ3以上の患者であった(ステージ3:41.7%、4:8.1%、5:2.0%)。 分析の結果、ワルファリン非使用と比べてワルファリン治療は、いずれのCKD層別化群においても、初発複合アウトカムのイベント発生を抑制した。各層別化群のイベント発生率は、eGFR>60群では、100人年当たりワルファリン群28.0件 vs. 非使用群36.1件(補正後HR:0.73)、以下同じくeGFR>30~60群は48.5 vs. 63.8(0.73)、eGFR>15~30群は84.3 vs. 110.1(0.84)、eGFR≦15群は83.2 vs. 128.3(0.57)だった。 一方で、ワルファリン治療による出血リスクの増大は、いずれのCKD層別化群においても有意ではなかった。eGFR>60群では、100人年当たり5.0件vs. 4.8件(補正後HR:1.10)、以下同じくeGFR>30~60群は6.8 vs. 6.3(1.04)、eGFR>15~30群は9.3 vs. 10.4(0.82)、eGFR≦15群は9.1 vs. 13.5(0.52)だった。 イベント総計でみた比較でも、各CKD層別化群ともワルファリン治療群のほうが、イベントは抑制されたことが認められた。eGFR>60群では、100人年当たり32.1件vs. 40.0件(補正後HR:0.76)、以下同じくeGFR>30~60群は53.6 vs. 69.0(0.75)、eGFR>15~30群は90.2 vs. 117.7(0.82)、eGFR≦15群は86.2 vs. 138.2(0.55)だった。

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治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う

 治療抵抗性の大うつ病性障害(MDD)患者に対して非定型抗精神病薬による増強療法を行う場合、どのような投与パターンが適切なのだろうか。韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らは、MDDに対する増強療法におけるアリピプラゾールの投与パターンについて、過去の使用経験をもとに検討を行った。International clinical psychopharmacology誌2014年3月号の報告。 2009年1月1日から2012年3月31までの間に抗うつ薬とともにアリピプラゾールの増強療法を施行したMDD患者276例を対象に、電子カルテや臨床データをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール増強療法の平均期間:約5ヵ月・初回投与から増量するまでの平均期間:約3週間・平均初回投与量:3.4mg/日・平均初回タイトレーション用量:4.2mg/日・平均最大投与量:4.7mg/日・平均維持用量:4.4mg/日・主な有害事象:不眠、不安、鎮静 これらの結果から、著者らは「治療抵抗性のMDD患者に対しアリピプラゾール増強療法を行う場合には、プラセボ対照臨床試験や米国FDAが推奨する投与量よりも低用量で効果が期待できる」としたうえで、「とくに実臨床におけるルーチンのMDD治療において、低用量アリピプラゾールの増強療法をより正確に理解するために、十分な検出力を備え、適切な対照を置いた前向き研究が必要である」と述べている。■関連記事難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用かうつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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ACTH非依存性クッシング症候群に関与する遺伝子変異が判明/NEJM

 プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットの遺伝子変異が、両側性副腎過形成や片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫に関与していることが、ドイツ・ヴュルツブルク大学のFelix Beuschlein氏らが行った検討により判明した。副腎皮質の腫瘍や過形成は、コルチコトロピン非依存性のクッシング症候群を引き起こす。しかし、その分子学的発生機序は解明されていなかった。NEJM誌オンライン版2014年2月26日号掲載の報告より。エクソーム配列解析で変異を特定 研究グループは、コルチゾール産生副腎腺腫10例の主要組織標本について、エクソーム配列解析を行い変異を特定し、副腎腫瘍171例の遺伝子について同変異の有無を分析した。また、コルチゾール分泌両側性副腎過形成の患者35人については、全ゲノムコピー数解析を行った。 そのうえで、遺伝子異常が、臨床的、または生体外で及ぼす影響について分析した。PRKACA体細胞変異は片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫の原因に エクソーム配列解析の結果、PKAの触媒サブユニットをコードしているPRKACAの体細胞突然変異が、10例中8例に検出された。 顕性クッシング症候群の患者59例中22例(37%)で、片側性腺腫にPRKACA体細胞突然変異が見つかった。一方、同変異は潜在性副腎皮質ホルモン過剰症の40例や、その他の副腎腫瘍の認められる82例については、検出されなかった。 コルチゾール分泌副腎過形成の患者35例では、PRKACAを含む第19染色体のゲノム領域の生殖細胞系の重複が認められた。 これらの所見を踏まえて研究グループは、PKAの触媒サブユニットの遺伝子変異は、ヒトの疾患に関連しており、生殖細胞系の重複は両側性副腎過形成の、PRKACAの体細胞変異は片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫に関連していると結論づけた。

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COPD増悪入院患者の約半数で無呼吸症候群

 COPD増悪入院患者では、一般集団や安定期COPD患者と比べて、睡眠時無呼吸症候群(OSA)の有病率が高いことが、チェコ共和国・St. Anne's大学病院のPavel Turcani氏らによる検討の結果、明らかにされた。COPDとOSAの併存は、オーバーラップ症候群として広く認識されている。しかし、安定期COPD患者のOSA有病率に関するエビデンスは限定的なものしかなく、COPD増悪入院患者のOSA有病率のデータはなかった。Biomedical Papers of the Medical Faculty of the University Palacky誌オンライン版2014年2月25日号の掲載報告。 先行研究において、COPD有病率はEUでは4~6%、米国成人集団では5%超と報告されており、またOSAについては一般集団で5~15%との報告がある。一方、COPDとOSAの併存については、最大29%との研究報告がある一方で、両者の結びつきを否定する報告もあった。 研究グループは、COPD増悪入院患者におけるOSA併存者の割合を明らかにすること、また、COPD被験者に認められるOSAの交絡因子を明らかにすることを目的に、2013年2月から5月の4ヵ月間に、St. Anne's大学病院の呼吸器科部門にCOPD増悪で入院した101例の患者を対象に検討を行った。 試験には79例の連続患者が登録され、そのうち35例にポリグラフィを実施。記述統計、マン-ホイットニー検定、クラスカル-ウォリス検定、スピアマン相関分析、フィッシャー検定にて結果を要約・評価した。 主な結果は以下のとおり。・ポリグラフィを実施した35例のうち、無呼吸低呼吸指数(AHI)5以上のOSAを有することが示唆されたのは18例(51.4%)であった。AHI 5~15が9例、同15超が9例であった。・AHIは睡眠障害の重症度分類指標であると同時に、「Mallampatiスコア分類」「いびき」「無呼吸」「冠動脈疾患」「糖尿病既往」「身長」「BMI」「頸囲」「ウエスト周囲径」「ヒップ周囲径」「エプワース眠気尺度」とそれぞれ有意な相関関係を示した。■「COPD増悪」関連記事COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

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米国で試行のメディカルホーム、その効果は?/JAMA

 米国では、チーム医療でより質の高いプライマリ・ケアを、効果的に実施することを目的とした「メディカルホーム」が試験的に行われている。米国・RAND CorporationのMark W. Friedberg氏らによる検討の結果、従来型のプライマリ・ケアに比べ、その効果は限定的であることが報告された。結果を踏まえて著者は、「メディカルホームの仕組みについて、改善する必要があるようだ」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号で発表した。メディカルホームと従来型プライマリ・ケアの患者、それぞれ約6万人を比較 Friedberg氏らは、2008年6月~2011年5月にかけて、メディカルホームのパイロット試験「Southeastern Pennsylvania Chronic Care Initiative」に初期から参加する、32のプライマリ・ケア診療所の患者6万4,243人について検討を行った。保険請求データを基に、医療の質、医療サービスの利用率、医療費などを求め、対照群としてパイロット試験に非参加の29ヵ所のプライマリ・ケア診療所の患者5万5,959人と比較し、差分の差(difference-in-differences;DID)分析を行った。 パイロット試験に参加する診療所は、疾病登録と技術的協力を受け、全米品質保証委員会(NCQA)により患者中心のメディカルホームを達成したことに対するボーナスを得ることが可能であった。 主要アウトカムは、糖尿病、喘息、予防医療、入院率、救急室や外来の利用率、医療ケアの標準化コストに関する11項目の質評価に関する指標だった。メディカルホームで改善は11項目中1つのみ その結果、11項目のうち改善が認められたのは、糖尿病患者に対する腎障害スクリーニングの1項目についてのみであった。対照群では3年補正後実施率が71.7%だったのに対し、メディカルホーム群では82.7%と有意に改善した(p<0.001)。 その他の医療サービスの利用率やコストについて、メディカルホーム群は対照群に比べ、有意な改善が認められなかった。 なお3年間の試験期間中に、メディカルホームに参加した診療所は、プライマリ・ケア医1人当たり平均9万2,000ドルのボーナスを得た。 これらの結果を踏まえて著者は、「3年間についてみたメディカルホームは、入院、救急室、外来サービスの利用や総コストの低減に関連していなかった。メディカルホームの仕組みについて、さらなる改善の必要があるようだ」とまとめている。

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震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の生存者は、仮設住宅への避難を余儀なくされた。活水女子大学の久木原 博子氏らは、避難住民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病の有病率や健康状態とレジリエンス(回復力)に関して、社会・人口統計学的要因を調査した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年1月21日号の報告。 対象は福島県広野町の避難住民241人(男性:女性=125:116)。コナー・デビッドソン・レジリエンス尺度、Zungの自己評価式抑うつ尺度(SDS)、出来事インパクト・スケール改訂版(IES-R)、人口統計アンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・すべての対象者のうち、53.5%はPTSDの関連症状を呈し、33.2%は臨床的なPTSD症状を示した。・さらに、66.8%はうつ病の症状が認められた。うつ症状の程度は軽症33.2%、中等症19.1%、重症14.5%であった。・レジリエンス(回復力)は、うつ病やPTSD、全体的な健康状態に対する有意な緩衝要因であった。・また、雇用状態、食生活・運動習慣や飲酒習慣はレジリエンスの予測要因であった。 本結果より、著者らは「避難住民はうつ病やPTSDの症状を呈することが多かった。しかし、このような事態に耐えることができた方も存在し、レジリエンスが重要な緩衝要因であると考えられる。そのため、レジリエンスの改善を目指し、雇用機会の提供や健康的なライフスタイルを奨励することが重要である」と述べている。関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 1日1杯のワインがうつ病を予防 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会”

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学士号取得看護師60%で看護体制6対1なら院内死亡約30%減/Lancet

 コストカット目的での看護スタッフ減員は、患者アウトカムに悪影響をもたらす一方で、学士号取得の看護師配置を手厚くすると院内死亡は減少するという研究報告が発表された。米国・ペンシルベニア大学看護学部のLinda H Aiken氏らが、ヨーロッパ9ヵ国で行った後ろ向き観察研究の結果、明らかにした。病院の支出リスクを最小とするための厳格な尺度とヘルスケアシステムの再構築は、患者アウトカムに悪影響を与えることが示唆されている。Aiken氏らは、患者対看護職員比率(看護体制)、および看護師の教育レベルを調べ、院内死亡率との関連について調べた。Lancet誌オンライン版2014年2月26日号掲載の報告より。ヨーロッパ9ヵ国300病院のデータをもとに看護師配置と看護体制について分析 本検討は、病院運営上の最も大きなコスト要素の1つである看護師に関する、意思決定のための情報提供を目的としたRN4CAST研究の一貫として行われた。RN4CASTには12ヵ国が資金提供・参加するが、今回の検討では、同様の患者退院データを有する9ヵ国(ベルギー、英国、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)300病院における、2009~2010年のデータを入手して検討が行われた。 検討では、同一手術を受けた50歳以上の患者42万2,730例の退院データを入手し、診療データを標準プロトコル(ICD-9または10に準拠)でコード化し、年齢、性別、入院タイプ、43のダミー変数で分類した手術タイプ、17のダミー変数で分類した入院時の併存疾患などのリスク調整尺度を用いて、30日院内死亡率を評価した。 一方、2万6,516例の看護師にサーベイを行い、看護職員配置と教育レベルを調べた。 一般化推定方程式を用いて、入院30日間の術後患者の死亡に影響を与えた看護職員要因について、その他の病院特性および患者特性での補正前および補正後の評価を行った。担当患者が1人減れば、または学士号取得看護師が10%増えるごとに院内死亡率は7%低下 結果、看護職員の作業負荷が患者1人分増大するにつき、入院患者の30日院内死亡率は7%上昇することが示された(オッズ比:1.068、95%信頼区間[CI]:1.031~1.106)。 一方で、学士号取得看護師が10%増えると院内死亡率は7%低下することが示された(同:0.929、0.886~0.973)。 これらの関連は、看護職員の60%が学士号取得者で看護体制6対1の病院は、同看護職員が30%で看護体制8対1の病院と比べて、院内死亡が約30%低いことを意味するものであった。

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統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか

 最近発症の統合失調症または統合失調感情障害で、とくに気分安定薬を併用していないい患者において、神経ステロイドのプレグネノロンを追加投与することで陰性症状の重症度が軽減することが、イスラエル・Sha'ar Menashe Mental Health CenterのMichael S. Ritsner氏らによる二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。最近発症の統合失調症または統合失調感情障害の治療は、抗精神病薬への反応が不十分なことが多いが、今回の結果について著者は、「さらなる検討の根拠となるものだ」と述べている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2014年2月18日号の掲載報告。 試験は、2008~2010年に2施設において行われた。DSM-IVの統合失調症または統合失調感情障害(SZ/SA)の診断基準を満たし、抗精神病薬に対する反応が低かった入院・外来患者60例を対象とし、無作為にプレグネノロン(50mg/日)またはプラセボの追加投与を受ける群に割り付けて8週間の治療を行い評価した。主要評価項目は、陽性・陰性症状尺度および陰性症状評価スコアであった。副次評価項目は、機能的評価や副作用などであった。線形混合モデルで分析した。 主な結果は以下のとおり。・参加は60例のうち52例(86.7%)が、試験を完了した。・プラセボ群と比較して、プレグネノロン追加群は、陽性・陰性症状尺度の陰性症状スコアが有意に低下した。エフェクトサイズは中程度であった(d=0.79)。・有意な改善は、気分安定薬の治療を受けなかった患者でプレグネノロン治療の6~8週においてみられた(arms×visit×気分安定薬、p=0.010)。・同様に陰性症状評価スコアも、とくに感情鈍麻、意欲消失、快感消失の領域スコアについて、プレグネノロン追加群はプラセボ群と比較して有意に低下した(d=0.57)。・その他の症状や、機能および副作用は、プレグネノロン追加投与による有意な影響はみられなかった。・抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系および性別とプレグネノロン追加との関連はみられなかった。・プレグネノロンの忍容性は良好であった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状に、抗酸化物質N-アセチルシステインは有効か 統合失調症の認知機能改善に、神経ステロイド追加

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ビタミンC、Eの摂り過ぎは、むしろ変形性膝関節症リスクを増大

 先行研究により、ビタミンCとビタミンEは変形性膝関節症(膝OA)の発症を抑制することが示唆されていた。しかし、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のRamani Krishna Chaganti氏らが多施設共同変形性関節症研究(Multicenter Osteoarthritis Study:MOST)の参加者を対象にコホート内ケースコントロール研究を行った結果、ビタミンCおよびビタミンEの血中濃度高値は膝OAの発症を抑制しないどころか発症リスクの増加と関連していたことを報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年2月号(オンライン版2013年11月28日号)の掲載報告。 研究グループは、MOST研究に登録された膝OA患者またはそのリスクが高い50~79歳の男女3,026例を対象に、X線検査で確認される膝OA(X線膝OA)の発症とビタミンCおよびビタミンEの血中濃度との関連を調べた。 膝OA発症例は、研究開始時に脛骨大腿関節(TF)または膝蓋大腿関節(PF)のOA症状がなく、30ヵ月の観察期間中にTFやPF(両方もしくはどちらか)のOAを発症した症例と定義した。 研究開始時に、血漿中ビタミンC濃度および血清中ビタミンE(α-トコフェロール)濃度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・研究開始時にX線膝OAがなくビタミンC値が最高三分位群は、同最低三分位群と比較してX線膝OAの発症率が高かった(補正後オッズ比[OR]:2.20、95%信頼区間[CI]:1.12~4.33、p=0.021)。・ビタミンE値についても、同様の結果であった(補正後OR:1.89、96%CI:1.02~3.50、p=0.042)。・ビタミンC三分位値およびビタミンE三分位値は、X線膝OAの発症と関連があることが認められた(それぞれの傾向p=0.019、0.030)。

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輸血を必要としたPCI施行患者の転帰/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における赤血球輸血の施行には、かなりのばらつきがあること、また輸血を受けた患者において入院中の有害心イベントリスクの増大と関連していることが明らかにされた。米国・デューク大学臨床研究所のMatthew W. Sherwood氏らが、米国内病院でPCIを受けた患者について調べた結果、判明した。著者は、「今回観察された所見は、PCI患者の輸血戦略に関する無作為化試験実施の根拠となりうるものである」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号掲載の報告より。輸血の頻度および輸血と心筋梗塞、脳卒中、死亡の関連について評価 研究グループは、PCI患者の輸血パターンの現状と有害心転帰との関連を明らかにするため、2009年7月~2013年3月にCathPCI Registryに登録された全受診患者を対象に、後ろ向きコホート研究を行った。 被験者は、出血性合併症に関するデータが紛失した患者または入院中に冠動脈バイパス移植術を受けた患者を除いた、PCI施行患者225万8,711例であった。 主要アウトカムは、全集団および全病院(1,431病院)における輸血率であった。また、患者の輸血に関する傾向の交絡因子で補正後、輸血と心筋梗塞、脳卒中、死亡の関連についても評価した。輸血を受けた患者の心筋梗塞2.60倍、脳卒中7.72倍、院内死亡4.63倍 結果、全体の輸血率は2.14%(95%信頼区間[CI]:2.13~2.16%)であった。輸血率は2009年7月から2013年3月の間の4年間で輸血率は、2.11%(95%CI:2.03~2.19%)から2.04%(同:1.97~2.12%)に、わずかだが低下していた(p<0.001)。 輸血を受けた患者は、高齢で(平均70.5歳vs. 64.6歳)、女性が多く(56.3%vs. 32.5%)、高血圧(86.4%vs. 82.0%)、糖尿病(44.8%vs. 34.6%)、腎障害の進行(8.7%vs. 2.3%)、心筋梗塞既往(33.0%vs. 30.2%)、心不全既往(27.0%vs. 11.8%)を有する傾向がみられた。 全体で、96.3%の病院で輸血率が5%未満であった。残る3.7%の病院で5%以上の輸血率だった。病院間の輸血率のばらつきは補正後も変わらず、病院間に輸血閾値のばらつきがあることが示唆された。 輸血を受けたことと、心筋梗塞(4万2,803件、4.5%vs. 1.8%、オッズ比[OR]:2.60、95%CI:2.57~2.63)、脳卒中(5,011件、2.0%vs. 0.2%、OR:7.72、95%CI:7.47~7.98)、院内死亡(3万1,885件、12.5%vs. 1.2%、OR:4.63、95%CI:4.57~4.69)との関連が、出血性合併症に関わりなく認められた。

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結節性多発動脈炎の原因遺伝子を特定/NEJM

 アデノシンデアミナーゼ2の機能喪失性劣性突然変異が、結節性多発動脈炎(PAN)の原因となりうることが判明した。イスラエル・Shaare Zedek Medical CenterのPaulina Navon Elkan氏らが、PAN患者の遺伝子配列を解析し明らかにした。PANは全身性壊死性血管炎だが病因については十分に解明されていない。発症は中年成人が一般的だが小児においてもみられ、グルジア・コーカサスを祖先とするユダヤ人では、小児の発症が頻繁に観察されていた。研究グループも先行研究にて、全身性または皮膚型PAN患者が家族内に複数認められる6家族を特定しており、いずれも常染色体劣性遺伝が認められ、小児期の発症が大半を占めていたという。NEJM誌オンライン版2014年2月19日号掲載の報告より。家族内に複数患者のいる6家族などを調査 今回、研究グループは、家族内に複数の患者がいる患者(グルジア・ユダヤ系5家族16例、ドイツ系1家族4例)と、血縁患者がいない患者(グルジア・ユダヤ系3例、トルコ系14例)について、エクソーム配列解析と標的配列解析を行った。 患者の血清標本の酵素活性試験を行い、蛋白構造、哺乳動物細胞発現、精製タンパク質の生物物理学的解析を行い、遺伝子変異を分析した。すべての被験者家族患者でADA2をコードするCECR1変異 その結果、家族内患者がいる被験者におけるPANの原因は、アデノシンデアミナーゼ2(ADA2)をコードするCECR1遺伝子の劣性突然変異であることが示された。 また、すべてのグルジア・ユダヤ系患者に、Gly47Arg置換をコードする変異がみられた。ドイツ系の患者では、Arg169GlnとPro251Leu突然変異のヘテロ接合が、トルコ系ではGly47ValとTrp264Serのヘテロ接合がみられた。 同族結婚の多いユダヤ系集団では、Gly47Arg遺伝子キャリアの発生率は0.102であり、PAN罹患率が高い点と整合性がとれていた。 患者の血清標本中のADA2活性には、有意な減少が認められた。 以上の結果から研究グループは、ADA2の機能喪失性劣性突然変異が、多変な臨床的発現を伴うPANの原因となりうる、と結論している。

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静脈うっ滞性潰瘍、圧迫療法+シンバスタチンは有意

 静脈うっ滞性潰瘍の治療について、標準治療の創傷ケアや圧迫療法に加えてシンバスタチン(商品名:リポバスほか)40mgの連日投与を行うことで、治癒率、治癒までの時間およびQOLを有意に改善することが、フィリピン・Jose R. Reyes Memorial Medical CenterのM.T.P. Evangelista氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年2月7日号の掲載報告。 静脈うっ滞性潰瘍の標準治療は圧迫療法だが、薬物療法が補助的治療として用いられる可能性がある。シンバスタチンは、創傷治癒効果がある可能性が示唆されていたが、これまで静脈うっ滞性潰瘍への使用について、検討されていなかった。 研究グループは、標準治療と併用した場合のシンバスタチンの有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。主要アウトカムは、潰瘍治癒の割合、治癒までの時間、治癒した皮膚の総面積、皮膚の状態による生活の質指数(dermatology life quality indices:DLQI)であった。 主な結果は以下のとおり。・66例の患者が無作為化を受け、32例がシンバスタチン群に、34例が対照群に割り付けられた。・潰瘍5cm以下の患者で治癒した人は、シンバスタチン群100%であったのに対し、対照群は46%であった(RR:0.11、95%信頼区間[CI]:0.02~0.77)。・同患者で治癒までに要した平均期間は、シンバスタチン群6.89±0.78週に対し、対照群は8.40±1.13週であった(p=0.0001)。・潰瘍5cm超の患者においては、シンバスタチン群の治癒率は50%、治癒までに要した平均期間は9.17±1.07週であった。一方、プラセボ群で治癒した人はいなかった(RR:0.5、95%CI:0.28~0.88)。・シンバスタチン群は、治療後処置を受けたDLQIが有意に低かった(p=0.0004)。・副作用の報告はなかった。

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