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パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか

 パロキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の中で最も強力な作用を有し、多くの無作為化比較試験(RCTs)で検討されてきた。しかし、これらの比較結果やRCTsのシステマティックレビューは、通常、SSRIsに分類される薬剤全体のエビデンスであり、パロキセチン単独に適用可能なものではない。そこで、イタリア・ヴェローナ大学のMarianna Purgato氏らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを、三環系抗うつ薬(TCAs)、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するシステマティックレビューを行った。その結果、治療1~4週の早期の治療効果において、パロキセチンはレボキセチン(国内未承認)よりも効果が高く、ミルタザピンより低いなど、いくつかのエビデンスは示されたものの、他の抗うつ薬との有効性の相違に関する明確なエビデンスは得られなかったことを報告した。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月3日号の掲載報告。パロキセチンとその他の抗うつ薬、従来の薬剤、非従来型の薬剤を比較検討 著者らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを TCAs、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するためシステマティックレビューを行った。具体的には、(1)大うつ病性障害の急性症状軽減効果、(2)治療の受容性、(3)有害事象発現状況、を比較検討した。2012年9月30日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialized Register(CCDANCTR)を検索した。同レジスターには、代表的な無作為化比較試験が含まれていた(The Cochrane Library:全年、EMBASE:1974年以降、MEDLINE:1950年以降、PsycINFO:1967年以降)。また、代表的な文献と過去のシステマティックレビューの参考リストを手作業で検索し、パロキセチン販売メーカーおよび同領域の専門家らに連絡を取り、補足データを収集した。 大うつ病患者を対象に、パロキセチンとその他の抗うつ薬(ADs)、従来の薬剤(TCAs、SSRIsなど)、新規または天然ハーブのヒペリカムのような非従来型の薬剤を比較検討した、すべての無作為化比較試験を検索対象とした。クロスオーバーデザインの試験については、最初の無作為化期間における結果のみを考慮に入れた。独立した2名のレビュワーが適格性をチェックし、試験、患者背景、介入の詳細、試験のセッティング、有効性、受容性、忍容性などの情報を抽出した。パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多い パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルの主な結果は以下のとおり。・115件の無作為化比較試験(2万6,134例)が選択された。内訳は、パロキセチンvs. 旧来ADs:54件、vs. その他SSRI:21件、vs. 新規または非従来型SSRI以外の抗うつ薬:40件であった。・主要アウトカム(治療反応性)において、パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多く(オッズ比[OR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87/ ベネフィットを得るための治療必要数(NNTb)=16、95%CI:10~50/ 1~4週時、3試験、1,375例、エビデンスの質:中等度)、ミルタザピンと比較して少なかった(OR:2.39、95%CI:1.42~4.02/ NNTb=8、95%CI:5~14/ 1~4週時、3試験、726例、エビデンスの質:中等度)。・パロキセチンは、治療反応性の改善においてシタロプラムと比較して効果が低かった (OR:1.54、95%CI:1.04~2.28/ NNTb=9、95%CI:5~102/ 6~12週時、1試験、406例、エビデンスの質:中等度)。・急性期(6~12週)、早期(1~4週時)または長期(4~6ヵ月)において、治療反応性の向上に関して、パロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して有効性が高い(または低い)という明らかなエビデンスは見出せなかった。・パロキセチンは、アミトリプチリン、イミプラミンおよび旧来ADsと比較して、有害事象の発現頻度が低かったが、アゴメラチン(国内未承認)およびヒペリカムと比べ忍容性は不良であった。・検討対象とした試験は、無作為化の詳細やアウトカムの評価が不明、アウトカムの報告が不十分なため、概してバイアスが不明確または高かった。・パロキセチンとその他のADsとの間に、臨床的に意味のある差がいくつかみられたが、これらから明確な結論を導くことはできなかった。反応性については、パロキセチンに比較してシタロプラムが急性期(6~12週)において有効というエビデンス(質:中等度)が示されたが、これは1件の試験データのみによるものであった。・早期の治療効果(1~4週時)に関しては、パロキセチンはレボキセチンよりも効果が高く、ミルタザピンより低いというエビデンス(質:中等度)が示されたが、各評価時点でパロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して反応性が良好または不良であることを示す明らかなエビデンスはなかった。・いくつかの差が認められたものの、本レビューは仮説の検証という以前の、あくまで仮説構築の域を超えないものであり、将来の試験で再現可能な結論を見出すために再検証すべきであることが示唆された。また、対象とした試験の大半はバイアスが不明または高く、メーカー主導であり、治療効果が過大評価された可能性がある点に留意する必要があった。

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34)食品交換表が覚えられない人へのアドバイス 単位配分編【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者1,600kcalの食品分類がなかなか覚えられなくて…医師それなら、いい語呂合わせがありますよ!患者どんな語呂合わせですか?医師1単位は80kcal、糖尿病は長寿食、80代まで元気で長生きと覚えるといいですね。そして、1,600kcalは、いろ(1,600kcal)んなことがあったけど。患者いいですね。医師表1(穀類)は9単位、表2(果物)が1単位なので、悔い(9単位、1単位)を残さず。患者「悔いを残さず」ですね。医師表3(主菜)は5単位、表4(乳製品)は1.5単位なので、こういこう(5単位、1.5単位)。表5(油)が1.5単位、表6(野菜)が1.2単位なので、「以後はいい日に」(1.5単位、1.2単位)患者「こう行こう!以後はいい日に」ですね。最後の調味料は?医師0.8単位なので、「丸くおさまればハッピー」ではどうですか。患者それなら私にも覚えられそうです。●ポイント語呂合わせで、1,600kcalの単位配分が覚えやすくなります

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統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン

 現在、抗精神病薬の社会的認知に及ぼす影響に関する研究は少なく、また社会的認知機能に対するアリピプラゾールの影響に関してもよくわかっていない。オランダ・ユトレヒト大学のArija Maat氏らは、アリピプラゾールおよびリスペリドンが統合失調症患者の社会認知、神経認知に及ぼす影響を検討した。European neuropsychopharmacology誌2014年4月号の報告。 DSM-IV-TRで統合失調症と診断された80例(年齢:16~50歳)を対象に、8週間の無作為化、非盲検、多施設共同研究を行った。対象患者のベースラインおよび8週時点で複数のコンピュータ・テストを行い、反応時間を含む社会認知および神経認知を測定した。社会的機能は、Social Functioning scale と Quality of Life scaleにより評価した。本研究は、2005年6月~2011年3月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・社会認知および神経認知テストのスコアは両群ともに改善した。また、反応時間も同様であった。・社会的認知テストのスコアは両群間でほとんど違いがみられなかった。・アリピプラゾール群は「symbol substitution」の項目でより良い(より正確な)結果であった(p=0.003)。・アリピプラゾール群はリスペリドン群と比較し、「emotional working memory」、「working memory」の反応時間が優れていた(各々、p=0.006、p=0.023)。・これらのテストでの改善は社会的機能と相関していた。・アリピプラゾール、リスペリドンはどちらも社会認知テストのスコアを改善させた。とくに、アリピプラゾール群はリスペリドン群と比較し、処理速度に好影響をもたらし、これが社会的機能の改善と関連していると考えられる。・アリピプラゾールの認知に及ぼす長期的な影響について、さらなる検討が必要である。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学

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人種による褐色脂肪細胞量の違いが糖尿病発症に関与

 南アジア人は白人に比べ2型糖尿病になるリスクが高いことが知られている。こうしたことから、オランダ・ライデン大学医療センターのLeontine E H Bakker氏らは、褐色脂肪細胞※(BAT)の量と活動を評価し、人種間での2型糖尿病の発生の違いについて調査した。その結果、褐色脂肪細胞量が少なく、基礎代謝の低い南アジア人のほうが2型糖尿病になるリスクが高いということが示された。The Lancet Diabetes & Endocrinology誌2014 年3月号(オンライン版2013年11月12日号)の掲載報告。※褐色脂肪細胞(BAT):脂肪酸を燃焼させることによるエネルギー代謝や、グルコースによる熱生産の役割があるとされる。 研究グループは南アジア人を祖先に持つオランダ人(南アジア人)と、白人について調査を行った。被験者は18~28 歳の肥満でない健常者で、みな同等のBMIであった。PETスキャンを用いBAT量とその活動を測定し、また安静時エネルギー消費量、非ふるえ熱産生、血清パラメータを評価した。2013年3月からの3ヵ月間に、南アジア人12人および白人11人について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・常温時の安静時エネルギー消費量は、南アジア人は1日当たり1,297±123(平均±標準偏差)kcal、白人は1日当たり1,689±193 kcalとなり、南アジア人は白人に比べ32%低かった(p=0.0008)。・寒冷曝露に対して、南アジア人患者のふるえ温度は2.0℃で白人患者よりも高かった。(p =0.0067)。また非ふるえ熱産生においては、白人で20%(p<0.0001)増加したが、南アジア人では増加はみられなかった。・BAT量の平均と最大値それぞれに群間差は認められなかったが、総BAT量は、南アジア人が188±81(平均±標準偏差)mL、白人が287±169 mLであり、南アジア人のほうが34%低かった(p=0.04)。・全体的にBAT量は、評価できたすべての個人における基礎安静時エネルギー消費量(β=0.44、p=0.04)と正の相関を示した。 研究グループは、「南アジア人患者の低い安静時のエネルギー消費、非ふるえ熱産生、BAT量は、2型糖尿病や肥満といった代謝障害に対する高い罹病性の基礎となっている可能性があり、BAT量や活性の増加方法の確立はこれらの障害を予防し治療に役立つだろう」と述べている。

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統合失調症患者の突然死、その主な原因は

 統合失調症と突然死との関連は知られているが、剖検データが不足しており、死亡診断書や原因ルート評価を用いた先行研究では、大半の突然死について解明がなされていなかった。一方、住民ベースの突然の“自然死”の原因に関する事実分析データでは、最も共通した要因は冠動脈疾患(CAD)であることが明らかになっていた。ルーマニア・トランシルヴァニア大学のPetru Ifteni氏らは、精神科病院に入院中の統合失調症患者の突然死について、その発生率や原因を調べた。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。 研究グループは、1989~2013年の精神科教育病院に入院した連続患者を対象に検討を行い、統合失調症患者の突然死の原因について剖検所見により特定した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は、統合失調症連続入院患者7,189例であった。・医療記録をレビューした結果、57例(0.79%)の突然死を特定した。そのうち51例(89.5%、55.9±9.4歳、男性56.9%)の患者について剖検が行われていた。・剖検データに基づく分析の結果、突然死の原因は、ほとんどが心血管疾患(62.8%)であることが判明した。また特異的要因としては、心筋梗塞(52.9%)、肺炎(11.8%)、気道閉塞(7.8%)、心筋炎(5.9%)、拡張型心筋症、心膜血腫、肺塞栓症、出血性脳卒中、脳腫瘍(それぞれ2.0%)などであった。・突然死のうち6例(11.8%)は原因が不明であった。しかしそのうち3例は、剖検で冠動脈硬化症の所見がみられたことが記録されていた。・心筋梗塞の有無にかかわらず、患者の年齢、性別、喫煙歴、BMI、精神科治療は類似していた(p≧0.10)。 以上の結果より、統合失調症入院患者の突然死発生率は0.8%で一般住民における発生率よりもかなり多いことや、死因としては急性心筋梗塞が大半(52.9%)を占めていたことなどが明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「統合失調症成人患者について、CADに対する速やかな認識と治療を臨床的優先事項としなければならない」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況は

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爪を噛む人(咬爪症)は爪疾患やQOL障害が有意に高い

 咬爪症は、一般集団の約20~30%に及ぶ慢性的に爪を噛む行動として定義されている。ポーランド・ヴロツワフ大学のPrzemyslaw Pacan氏らは、咬爪症は日常診療において問題がないものとみなされているようだが、QOLの障害との関連がどれほどあるかを調べた。その結果、爪を噛む癖がある人は、そうでない人と比べて、有意に高度なQOLの障害を有していると判明したことを報告した。Acta Dermato Venereologica誌オンライン版2014年2月17日号の掲載報告。爪を噛む人(咬爪症)は爪を噛まないようにする緊張感がQOLに影響 Pacan氏らは、咬爪症のQOLへの影響と、咬爪症を有する人のスティグマのレベルを分析することを目的に、医学生339例について分析した。 爪を噛む人(咬爪症)のQOLへの影響を分析した主な結果は以下のとおり。・咬爪症のある人は、対照との比較でQOLの障害が有意に高かった(p<0.001)。・過去に咬爪症行動を止められなかった人(p<0.01)は、明らかな爪の変形が認められ(p=0.03)、爪を噛むことに費やした時間が多く(p=0.02)、爪疾患を有する割合が高く(p=0.03)、QOLの障害が高かった。・さらに、爪を噛まないようにする緊張感(β=12.5、p<0.001)、爪を噛むことによる苦痛(β=12.6、p=0.001)、爪を食べる行動(β=-7.5、p<0.01)が、QOLへ影響を及ぼす独立要因として認められた。・また、スティグマのレベルも、咬爪症のある人の群で有意に高かった(0.6±1.2 vs. 0.2±0.6ポイント、p<0.01)。ただし、咬爪症がない人の群ともにスティグマのレベルは低かった。

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薬剤溶出性ステント時代の脂質低下療法 -高純度EPA製剤を生かす-

日本では食の欧米化にともない、冠動脈疾患の危険因子が増加し、心疾患による死亡率が上昇傾向にあります。冠動脈疾患治療の局所アプローチとしてPCIやCABGがありますが、初回病変部位以外で起こるイベントを抑制し、長期予後を改善するためには、全身の危険因子を管理する薬物治療、いわゆる「内科的インターベンション」が重要です。本コンテンツでは、その治療戦略について動画で詳しく解説します。

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腰痛持ちの女性が治療者を選ぶポイントは?

 腰痛持ちの女性を対象に、治療者(開業医やカイロプラクターなど)を選んだ理由について調査した結果、治療アプローチや治療法もしくは治療の科学的根拠とは無関係であること、さらに正式な資格よりも、「有効性」やその「治療経験」の事例報告が大きく影響することが示唆された。オーストラリア・クイーンズランド大学のEmma R Kirby氏らが報告した。オーストラリアにおいても女性の腰痛患者が増加してきているという。腰痛患者は補完代替医療(CAM)を含む幅広い治療オプションを利用することができ、その利用パターンについてはすでに報告がされていた。BMC Health Services Research誌2014年3月21日号の掲載報告。 研究グループは、Australian Longitudinal Study on Women’s Healthに登録されている60~65歳の慢性腰痛を有する女性患者を対象に、腰痛の治療者の選択に与える要因を調べる目的で50回の半構造化面接を実施した。 主な結果は以下のとおり。・腰痛持ちの女性が治療者を選ぶ際に影響を受けている主な要因は、「治療に精通しているもしくは経験豊富である」「社会的ネットワークからの推薦」「地理的な近さ」「治療者の資格と証明書」の4つであった。・治療アプローチやエビデンスの存在は治療を選択する意思決定の主たる理由として報告されなかった。 著者は、「腰痛持ちの女性個々が、特定の治療者を選ぶ理由をより理解するためには、人間関係や治療者を選択する客観的および主観的基盤などについてさらなる調査が必要である」とまとめている。

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高齢者への向精神薬投与、認知症発症リスクと強く関連

 向精神薬の使用はその後の認知症発症に影響を及ぼすのだろうか。国立台湾大学のFei-Yuan Hsiao氏らは、この仮説を検証するために、国民健康保険データベースに基づきpropensity scoreを用いた症例対照研究を行った。その結果、向精神薬の曝露は将来の認知症発症リスクと強く関連することが示された。Journal of the American Medical Directors Association誌2014年3月27日号の報告。 対象は認知症高齢者3万2,649人および非認知症高齢者3万2,649人。向精神薬(抗不安薬、抗精神病薬、睡眠薬、抗うつ薬)の使用、向精神薬の1日投与量、認知症の診断、propensity scoreを測定した。 主な結果は以下のとおり。・向精神薬の使用は非使用者と比較して、将来の認知症発症のより高いオッズと関連していた(オッズ比[OR] 3.73、95%信頼区間[CI]:3.59~3.88)。・重要なことは、認知症発症は向精神薬への長期的な曝露と強く関連していた。曝露期間別のORは90日未満 3.14(95%CI:3.01~3.28)、90~180日 5.48(95%CI:5.07~5.93)、180日超 7.54(95%CI:6.73~8.44)であった。・向精神薬の累積投与量も同様に将来の認知症発症リスクとの強い関連が確認された。・そのため、向精神薬を高用量で使用している高齢者、とりわけ2種類以上の向精神薬を併用している高齢者については、注意深く観察することが強く推奨される。・さらに、向精神薬を使用中の高齢者では、適切なタイミングで認知機能を評価することが非常に重要である。関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは? 認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか?

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メロンアレルギーの主要アレルゲンを確認

 近年みられるようになった接触アレルギーとして、植物性食品との関連がある。口腔アレルギー症候群は、果物アレルギーの最も特徴ある症状の1つであり、全身性反応も引き起こす。植物性食品アレルギーは、花粉アレルギーとともに増大してきており、同様に果物が引き起こすアレルギー性の蕁麻疹も増大しているといわれる。こうした背景を踏まえて、スペイン・フエンラブラダ大学病院のGandolfo-Cano M氏らは、1つの特異的アレルゲンとしてメロンの皮が接触蕁麻疹の原因であることを確認する検討を行った。British Journal of Dermatology誌2014年3月号(オンライン版2013年10月31日号)の掲載報告。メロンアレルギーの原因はメロンの皮の脂質転写蛋白質 検討は、メロンの皮に触れた後に蕁麻疹を呈した14例のメロンアレルギー患者を評価して行われた。 メロンの皮からエキスを抽出し、メロンアレルギー患者の血清を用いて免疫ブロット分析を行った。また、IgEバインディング領域の分子的特徴を質量分析にて描出した。 メロンの皮の脂質転写蛋白質(LTP)を精製し、阻害試験および接触テストを行い、精製アレルゲンに対するIgE反応を確認した。 メロンアレルギー患者14例を評価した主な結果は以下のとおり。・全患者の血清免疫ブロット分析にて、IgEバインディング領域は約8~9kDaであり、LTPとして確認された。・メロンの皮のLTPは、2つのクロマトグラフィステップにて精製された。・阻害試験によりLTPはメロンの皮による接触皮膚炎患者において主要なアレルゲンであることが確認された。・メロンの皮のLTPとの接触テストは、5例のメロンアレルギー患者で行われた。全例が陽性反応を示し、接触部位にかゆみを伴う紅斑、発疹を認めた。・本検討において、メロンの皮のLTPは、主要なアレルゲンであり、接触アレルギーの原因であることが確認された。・知見は、メロンアレルギー患者の診断と治療の改善に寄与する可能性がある。

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Dr.香坂の循環器診療 最前線

第10回「忘れられがちな心臓疾患・・・心膜疾患と右室」第11回「この方、手術しても大丈夫?…周術期管理の真髄」第12回「みんなの心エコー」 循環器領域の診断・治療法について、最新の研究結果をカバーしながら疾患概念の本質(コア)を押さえる大好評の循環器シリーズ。最終巻では、3つのテーマについて解説します。「心膜疾患」では、心タンポナーデを中心に血行動態のしくみを身体所見に絡めて解説します。「周術期管理」では、術前評価のポイントやカテーテル手技の考え方を大きく変えた臨床試験(CARP試験)の本質と循環器内科医としての考え方や心構えについて、鋭く迫ります。そして「心エコー」では、原理を復習し、様々な評価などの基本を動画を活かして解説します。第10回「忘れられがちな心臓疾患・・・心膜疾患と右室」今回は、忘れられがちな「心膜疾患」にフォーカスを当て、心タンポナーデを中心に「心膜疾患」を血行動態のしくみを身体所見に絡めて解説していきます。タンポナーデと心嚢液貯留の境界線、心タンポナーデに特徴的な「奇脈」の測定ポイントや、心タンポナーデのエコーによる評価のポイントなどを復習していきます。また、右室そのものの疾患に関して、右室の重要性を“心原性ショック”、“移植待機症例”という2つのシナリオから、右室梗塞やStrain Patternといった新しい概念を紹介などしながら考えていきます。第11回「この方、手術しても大丈夫?…周術期管理の真髄」循環器内科に依頼がある中の一つに、「この方を手術しても大丈夫かどうか?」という依頼があります。最近、循環器内科の中でも考え方が変わってきているので、その具体的な内容を含めて説明します。香坂先生が実際に経験した症例をベースに、、術前評価に必要な新しいガイドラインの解説とそのポイント、そしてこれまでの循環器内科の考え方を大きく変えた臨床試験(CARP試験)の本質と循環器内科医としての考え方や周術期管理における心構えについて、鋭く迫っていきます。第12回「みんなの心エコー」大好評の循環器シリーズも最終回。最後に取りあげるテーマは「心エコー」です。心エコーの原理を復習し、プローブを充てる位置や角度の切り替えなどで画像を三次元に再構成する壁運動の評価や、弁や壁の異常を発見できるドップラー効果を用いた血流評価、右室、大動脈解離、卵円孔開存などの形態評価など、心エコーの基本を症例動画を用いて解説します。さらにエコーを適切に利用するためにはどのようなデータを元に考えていけば良いかを学ぶことで、さらにその先へ進むヒントも示します。

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本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか

 非定型抗精神病薬に伴う代謝異常は、薬剤の種類により異なるといわれている。非定型抗精神病薬と心血管疾患のリスク因子との関連を踏まえ、米国糖尿病学会(ADA)および米国精神医学会(APA)は、非定型抗精神病薬の中でもアリピプラゾールとジプラシドン(国内未承認)は代謝異常を生じにくいとのコンセンサスステートメントを発表した。今回、米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、実臨床下におけるアリピプラゾールと他の非定型抗精神病薬の代謝関連有害事象リスクに関する検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年3月26日号の掲載報告。 本検討において研究グループは、非定型抗精神病薬アリピプラゾールの治療を受けている成人患者の体重増加、脂質異常、血糖異常、糖尿病のリスクを検討した実臨床での研究(観察/自然的研究、オープンラベル研究など)を評価した。2000年1月1日~2011年10月4日までに報告された文献を対象とし、タイトルまたは抄録に「アリピプラゾール」「非定型」「糖」「インスリン」「コレステロール」「トリグリセリド」「糖尿病」「HbA1c」「体重」「BMI」「高脂血症」などの用語が含まれている論文をPubMedで検索した。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールと関連する代謝への影響を評価した22件のピアレビュー論文が抽出された。それら論文は、被験者15例の小規模観察研究から170万例を超える大規模データベースにわたった。・アリピプラゾールによる治療を受けた成人患者の体重増加、脂質異常、血糖異常および糖尿病発症リスクを評価した観察または自然的研究は13件、オープンラベル試験は9件あった。・アリピプラゾールは、その他の非定型抗精神病薬と比較して、体重増加および脂質異常に及ぼす影響が同等またはそれ以下であり、その程度は試験デザインに依存しているようであった。・さらに、アリピプラゾールはその他の非定型抗精神病薬の大半に比べ、糖尿病のリスクが少なかった。・無作為化比較試験のデータと、本レビューの所見は一致しており、アリピプラゾールは汎用されているその他の非定型抗精神病薬よりも、成人における代謝関連有害事象のリスクが少ない可能性が示唆された。所見は、ADA/APAのコンセンサスステートメントとも一致するものであった。 関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 最初の1年がピーク、抗精神病薬による体重増加と代謝異常

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膝OA痛や慢性腰痛へのデュロキセチン、治療効果の判断はいつ?

 疼痛治療戦略を変更する時期に関する研究は十分ではなく、慢性疼痛における差の1つとなっている。オーストラリア・メルボルン大学のOwen D Williamson氏らは、変形性膝関節症による痛み(膝OA痛)や慢性腰痛症に対するデュロキセチン治療について、その治療戦略を変更する判断時期を明らかにする検討を行った。結果、4週時点での疼痛改善が10%未満の場合は、12週間治療をしても疼痛改善効果の達成は限定的であることを報告した。Clinical Therapeutics誌オンライン版2014年3月17日号の掲載報告。 研究グループは、膝OA痛または慢性腰痛症を有する非うつ病患者を対象とした、デュロキセチン治療とプラセボを比較した試験から、疼痛重症度の変化の事後分析を利用して検討を行った。 分析に組み込むための試験選択は、試験デザインの類似性をベースとした。疼痛重症度は、数値的評価尺度(0:痛みなし~10:最も激しい痛み)を用いて測定し、患者日誌に毎日記録して、24時間平均値を求めてから週平均値を算出し、疾患状態別にプールした。疼痛重症度が、ベースラインから30%以上改善の場合は中等度改善と定義し、10%未満改善の場合は最小改善と定義した。 非改善または最小改善患者について、デュロキセチン治療3ヵ月間での最小改善達成の確率を、治療2、4、6週後にKaplan-Meier法を用いて推算した。同様に、最小改善(疼痛重症度改善30%未満)を達成しなかった全患者についても算出した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、デュロキセチン60または120mg/日投与に無作為に割り付けられた膝OA痛患者239例と慢性腰痛症患者541例であった。・治療2週後に最小改善であった患者が、3ヵ月後に中等度改善を達成する確率は40%未満であった。・治療4週後に最小改善であった患者の場合は、3ヵ月後の中等度改善達成率は膝OA痛で30%未満、慢性腰痛で25%未満であった。・治療2週後に中等度改善であった患者は、中等度改善達成率が膝OA痛62%、慢性腰痛52%であった。・治療4週後に中等度改善であった場合は、それぞれ50%未満および40%未満であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「膝OA痛または慢性腰痛患者でデュロキセチン治療を受けている患者について、4週後の疼痛改善が10%未満(最小改善)である場合は、最終的に12週(3ヵ月)後に最小改善さえ達成することが限定的である可能性が示唆された」とまとめた。

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進行NSCLC1次治療のプラチナダブレット:VNR+CDDP vs DTX+CDDP

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、VNR+CDDP(VC療法)とDTX+CDDP(DC療法)の効果の同等性については議論の残るところである。中国・安徽省立医院のGuodong Shen氏らは、進行NSCLCの1次治療におけるVCとDC療法の比較を目的としてメタアナリシスを行った。Molecular and Clinical Oncology誌2014年1月2日号の掲載報告。 論文は、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、EMBASE、Chinese Biomedical Literature database(CBM)を通し2013年5月分まで検索され、9件の無作為比較試験(総患者数1,886例)が分析された。エンドポイントは、全奏効率、生存率と毒性であった。 主な結果は以下のとおり。・奏効率はDC群で有意に高かった(RR=0.83、95%CI:0.73~0.95、p=0.007)。・2年生存率はDC群で有意に高かった(RR=0.65、95%CI:0.50~0.84、p=0.001)。・1年生存率は同等であった(RR=0.90、95%CI:0.81~1.01、p=0.07)。・毒性については、VC群でグレード3/4の白血球減少(OR=1.26、95%CI:1.02~1.54、p<0.05)、貧血(OR=3.40、95%CI:2.42~4.76、p<0.05)、嘔吐(OR=1.58、95%CI:1.14~2.20、p<0.05)が多く、DC群でグレード3/4の下痢が多かった(OR=0.31、95%CI:0.18~0.55、p<0.0001)。グレード3/4の好中球減少、血小板減少、悪心については両群間で有意な差はなかった。 DC療法がVC療法と比較してQOLを改善するというエビデンスはないが、このメタアナリシスではDC療法の進行NSCLCの1次治療としての利点が示された。近年、がん細胞シグナル伝達研究の進化により、分子標的治療が新たな治療選択肢として現れた。著者らは、将来、これらのレジメンは標的治療を追加する際の潜在的プラットフォームとなる可能性があるとしている。

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Vol. 2 No. 2 心房中隔欠損症の最新治療戦略

赤木 禎治 氏岡山大学病院循環器疾患集中治療部はじめに国内におけるAMPLATZER® Septal Occluderを用いた心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)に対するカテーテル治療は、治療症例数が3,500例を超え、成績も安定してきた。治療経験が増加していく中で、開始当初の小児を中心とした治療対象から、成人さらに高齢者までの幅広い年齢層が治療対象になってきた。本症は年齢によってその臨床像が大きく異なるため、特に成人期の患者では不整脈を中心とした心合併症に対する対応が重要となる。カテーテル治療に伴う合併症も報告されており、治療適応と合併症に対する知識と対応策を十分に理解しておく必要がある。カテーテル治療では経食道エコーを主体とする心エコー図の役割は極めて大きく、治療の安全な実施と確実な成功を直接左右する要素となる。心房中隔欠損症に対するカテーテル治療の歴史AMPLATZER® Septal Occluderはニッケル・チタン合金からできた形状記憶合金(Nitinol®)のメッシュで構成された円形の閉鎖栓である。金属メッシュ内部には血栓形成性を高めるポリエステル製の布製パッチが縫着されており、より速やかな完全閉鎖を導くことが可能である。閉鎖栓の末端は、ねじ状の接続部でデリバリーケーブルとつながっているため、閉鎖術中に閉鎖栓の位置を変更したり、カテーテル内に回収したりすることが可能である。日本への導入は欧米に比べ大幅に遅れたが、2005年に承認され2006年からは保険診療として収載された。2012年末までに国内での留置実績は約3,500例であり、年々症例数も増加している。国際的にはすでに10万例をはるかに超える実績があり、安定した治療成績が実証されている1)。海外にはこのほかにもゴアテックス膜とNitinol®ワイヤーから構成されるHELEX® Device、その改良型となるGORE® Septal Occluder、AMPLATZER®Septal Occluderと同じNitinol®メッシュで構成されるOcclutech®などさまざまなデバイスが存在する。カテーテル治療の適応基準AMPLATZER® Septal Occluderを用いたASDのインターベンション治療対象は、2次孔型心房中隔欠損症で、(1)欠損孔のバルーン伸展径が38 mm以下、(2)肺体血流比が1.5以上、(3)前縁を除く欠損孔周囲縁が5mm以上あるもの、または(4)肺体血流比が1.5未満であってもASDに伴う心房性不整脈や奇異性塞栓症を合併するもの、である。高度の肺高血圧を合併する例などASDの治療そのものが適応にならない場合は、インターベンション治療も適応とはならない。欠損孔の正確な部位診断と欠損孔周囲縁の評価には、経食道エコーによる評価が重要である2)。欠損孔周囲縁の評価で常に問題となるのは、大動脈周囲縁(前上縁)欠損例に対する適応判断である。経食道心エコー図で大動脈周囲縁が欠損した症例は、後述する心びらん穿孔を合併する可能性があるとして慎重な判断を要求されている。ただ、欠損孔の解剖学的特徴のみで、心びらん穿孔の発生をすべて説明することは困難である。また、大動脈周囲縁欠損は最も頻度の高いタイプであり、治療対象例の多くを占める。このような事実を踏まえ、2012年に米国FDAよりAMPLATZER® Septal Occluderの取扱説明書(instruction for use)の改訂が行われ、「前上縁欠損症例をカテーテル治療する場合には心びらん穿孔合併の発生に十分注意し、慎重なフォローアップを行うこと」という警告が表示されることになった。カテーテル治療の実際閉鎖術は、原則として全身麻酔下に施行する。サイジングバルーンを用いて欠損孔の伸展径を測定し、この径と同一もしくは1サイズ大きめの閉鎖栓を選択する。大腿静脈から左心房へ8~12 Fr(閉鎖栓の大きさで異なる)のデリバリーシースを挿入し、このデリバリーシース内に閉鎖栓を挿入し、留置部位までアプローチする。まず左心房側のディスクを開き、つづいて右心房側のディスクを開いて心房中隔の閉鎖を行う(図1)。それぞれのディスクが適切な位置で開いているかどうかを確認するためには、経食道エコーによるモニターが重要なポイントとなる。最近では、心腔内エコーによるガイド下に閉鎖術を施行する試みも行われている3)。 閉鎖栓が適切な位置に留置されたことが透視像および経食道エコーで確認されたら、デリバリーケーブルを回転させデバイスを離脱し、閉鎖術を終了する。閉鎖術後は抗血栓を目的に、アスピリンを6か月間服用する2)。心房性不整脈の合併などがなければ、ワルファリンなど抗血栓療法を用いる必要はない。図1 閉鎖術の実際画像を拡大するa. サイジングバルーンを用いて 欠損孔の伸展径の測定b. 左房側ディスクの展開c. 右房側ディスクの展開d. 留置形態が安定したのを確認して、ケーブルから離脱させる治療成績と合併症国内では、2012年末までに約3,500例のASDに対してカテーテル治療が実施されている。多くは小児期の患者であるが、80歳を超す高齢者まで幅広い年齢層で治療が実施されている。使用されたデバイスの平均径は17.5mmであり、30mmを超える閉鎖栓も数は限られるが使用されている。術中の急性期合併症として、留置術中のデバイスの脱落がある。脱落した閉鎖栓は経皮的、もしくは外科的に回収されている。また心びらん穿孔は術後72時間以内に発生する可能性の高い重要な合併症(発生率約0.2%)である。米国における外科治療との比較検討によるとカテーテル治療による重大な合併症(処置が必要な合併症)として、不整脈(心房細動や房室ブロック)、デバイスの脱落、脳血管塞栓症が報告されている4)。これら合併症の発生率は、外科手術の合併症発生率と比較し有意に低いものであったと報告されている。成人における心房中隔欠損症の特徴ASD患者の多くは、成人期までほとんど無症状に経過する。しかし、その生命予後は必ずしも良好であるとは限らない5)。未治療でも20歳までの自然歴は比較的良好であるが、30歳を過ぎると心不全死が増加し、生存率は急速に低下する。高齢者の卵円孔開存で明らかなように、欠損孔自体が加齢とともに拡大していくことも知られている。40歳以降には心房細動や心房粗動を合併する頻度が増し、それによって心不全が増強する6)。成人期ASD患者では、50代で15%、70代以降では60%以上と非常に高率に心房細動(atrial fibrillation:AF)を合併する。近年カテーテルアブレーションの技術が進歩しており、AFに対する肺静脈隔離術(pulmonary vein isolation:PVI)が一定の有効性を示している。このため、われわれはAFを合併したASD患者では、アブレーションの適応がある状態であればカテーテル閉鎖術に先立ってPVIを行い、再発がないことを確認して(通常3か月)、その後にASDのカテーテル閉鎖を実施している。一方、カテーテルアブレーションの適応とならない永続性AFの場合には、抗血栓療法を継続しながらASDのカテーテル治療を実施することができる。永続性AFを合併したASD患者においても、カテーテルによるASD閉鎖を行うことで、通常の成人症例と同様に有意な自覚症状の改善、BNP低下や心室のリモデリングが得られる7)。早期治療が重要であることに変わりはないが、AFが慢性化した病期においても、カテーテル治療は有用であり、積極的に考慮すべきである(図2)。図2 慢性心房細動患者に対するASDのカテーテル閉鎖術の効果画像を拡大する心房細動は継続しているが、ASDを閉鎖することでNYHA classは有意に改善する。肺高血圧合併例に対するアプローチ肺高血圧症はASDの約6~37%に認められ、予後、自覚症状、心房性不整脈発症に影響を及ぼす。一方でASD患者における肺高血圧の多くは非可逆性ではなく、閉鎖後にほとんどの症例において有意な肺動脈圧の低下が認められる。これまで、一般に肺血管抵抗が8~10単位以上の症例は、外科的閉鎖の禁忌とされてきた。しかしながら近年、エポプロステノール、シルデナフィル、ボセンタンなど肺高血圧に対する画期的な薬物治療が進歩しており、カテーテル治療を併用することにより、これまで治療の難しかった高度肺高血圧を合併した症例に対する治療適応の拡大が起こってくる可能性がある8)。高齢者に対するカテーテル治療の問題点高齢者ASDにおいて常に危惧される血行動態変化は、欠損孔閉鎖に伴う急性左心室容量負荷に対して、加齢のために拡張機能の低下した左心室がスムーズに対応できるかどうかである。実際にこれまでの閉鎖による急性期合併症として急性左心不全、肺水腫が懸念される。これはASD閉鎖による左室への急激な前負荷の増加に対し、左室が急性適応できないことが原因とされる。これらの疾患を有する症例や左心不全の既往がある症例において、われわれはSwan-Ganzカテーテルによる肺動脈楔入圧モニタリング下にASD閉鎖を施行している(図3)。術後術中のみならず術後急性期の管理も重要であるため、このようなハイリスク症例の術後は原則としてICU管理としている9)。図3 高齢者(82歳女性)ASDに対するカテーテル治療画像を拡大するa. 術前の胸部レントゲン像b. 左房側のディスクを開いたところ。36mmの閉鎖栓を留置している。c. 右房側のディスクを開いたところ。手技中は肺動脈楔入圧をモニターしている。d. 術後6か月の胸部レントゲン像特殊な心房中隔欠損症例(周囲縁欠損、多発性欠損)に対するカテーテル治療これまでのわれわれの検討から、従来カテーテル治療に適したと考えられていた心房中隔の中心部、あるいは欠損孔周囲縁がすべて5mm以上あるASDは治療対象全体の24%に過ぎず、多くの欠損孔は周囲縁の一部あるいは複数部の周囲縁が欠損していることがわかってきた(図4)。最も多いケースは大動脈側縁(前上縁)が欠損したタイプである。このような形態の欠損孔では、たとえ前上縁が欠損していても閉鎖栓が大動脈をまたぐように留置して閉鎖することが可能である(図5)。反対に、後縁が欠損したタイプでは、欠損した領域が小さい場合であれば閉鎖栓が心房壁を摘み上げるように留置され、閉鎖可能である。後下縁の欠損の場合も同様に、多くの場合は閉鎖栓の留置は可能であるが、広範囲な下縁欠損では留置を断念する症例も経験している。欠損孔が複数個存在する多発性欠損例では、欠損孔の位置関係、閉鎖栓の選択で慎重な判断が要求される。お互いの欠損孔が近接し(通常7mm以内)、1個の閉鎖栓で同時に覆うことが可能な場合には、1個の閉鎖栓を留置することで閉鎖可能である。しかしながら、それぞれの欠損孔が独立して存在する場合には、それぞれの欠損孔に別々の閉鎖栓を同時に留置して閉鎖する。さらにより多数の欠損孔がメッシュ状に存在する欠損孔の場合には、AMPLATZER® Cribriform Deviceを用いて、1個の閉鎖栓で同時にカバーすることも可能である。図4 カテーテル治療を実施したASD症例の欠損症周囲縁の評価(n=227)画像を拡大するすべての周囲縁が存在するのは全体の23%で、最も多い症例は大動脈周囲縁の欠損例である。図5a. 大動脈周囲縁欠損例の経食道心エコー図所見画像を拡大するb. 閉鎖栓留置後の所見。閉鎖栓が大動脈にまたがるように(Aサイン)留置されているのがわかる画像を拡大する心びらん穿孔(cardiac erosion)遠隔期合併症としては、閉鎖栓の脱落、不整脈や房室ブロックの合併などが報告されてきたが、最も注目されているのはデバイスに起因する心臓壁のびらん穿孔(erosion)の問題である10)。Aminらは、製造元のAGA Medical社に報告された合併症をもとにその成因を検討している。それによると28例中25例(89%)は大動脈側の辺縁(rim)が欠損していた症例であった。デバイスに起因するerosionで直接死亡した症例は断定されていないが、erosionそのものが全症例の0.1~ 0.2%に発生しているのは事実であり、慎重な対応が必要である。Erosion発生時期の多くは術後72時間以内である。術直後は穿孔に伴う胸痛、息苦しさなどの症状に注意し、さらに術後のエコー所見で心嚢液の貯留についての評価が重要である。Erosionを起こした症例は、欠損孔に対する使用デバイスのサイズが明らかに大きかったことが指摘されている。欠損孔に対して大きすぎるデバイスの選択・留置により(over sizing)、デバイスと心房壁の過度の圧迫、さらに大動脈壁との間の経時的な摩擦によって、心房もしくは大動脈壁の穿孔が起こるのではないかと推測されている。心房中隔欠損症に対するカテーテル治療の今後ASDに対する治療は、今後カテーテル治療が主流となることは間違いないと思われる。AMPLATZER® Septal Occluderは安全性が高くデバイスとしての完成度も高いが、今後より安定した治療効果が得られるような技術改善も期待される。カテーテル治療の場合、心腔内に金属異物を留置することが将来的な不整脈の原因となるのではないかとの危惧もあるが、これまでのわれわれの検討では、少なくとも成人期のASDでは、カテーテル治療は外科治療よりも術後の不整脈の発生率は有意に低いことが確認されている。カテーテル治療では、術後の不整脈の大きな原因である心房切開線を避けられることが大きな要因であると思われる。今後はカテーテル治療と外科治療の適応をどのように判断するかが主要なテーマになってくると思われる。成人例(特に高齢者)のカテーテル治療では、循環器内科医、心臓外科医、麻酔科医による同時に存在する併発症の管理、術後合併症の管理が重要であり、複数の領域にまたがる新しいチーム医療の構築が重要である。文献1)Akagi T. Catheter intervention of adult patients with congenital heart disease. J Cardiol 2012; 60: 151-159. 2)Oho S et al. Transcatheter closure of atrial septal defects with the Amplatzer Septal Occluder –A Japanese clinical trial–. Circ J 2002; 66: 791-794. 3)Kim NK et al . Eight-french intracardiac echocardiography: safe and effective guidance for transcatheter closure in atrial septal defects. Circ J 2012; 76: 2119-2123. 4)Du ZD et al. Comparison between transcatheter and surgical closure of secundum atrial septal defect in children and adults. J Am Coll Cardiol 2002; 39: 1836- 1844. 5)Murphy JG et al. Long-term outcome after the surgical repair of isolated atrial septal defect. N Engl J Med 1990; 323: 1645-1650. 6)Gatzoulis MA et al. Atrial arrhythmia after surgical closure of atrial septal defects in adults. N Engl J Med 1999; 340: 839-846. 7)Taniguchi M et al. Transcatheter closure of atrial septal defect in elderly patients with permanent atrial fibrillation. Catheter Cardiovasc Interv 2009; 73: 682–686. 8)Hirabayashi A et al. Continuous epoprostenol therapy and septal defect closure in a patient with severe pulmonary hypertension. Catheter Cardiovasc Interv 2009; 73: 688-691. 9)Nakagawa K et al. Transcatheter closure of atrial septal defect in a geriatric population. Catheter Cardiovasc Interv 2012; 80: 84-90. 10)Amin Z et al. Erosion of amplatzer septal occluder device after closure of secundum atrial septal defects: Review of registry of complications and recommendations to minimize future risk. Catheter Cardiovasc Interv 2004; 63: 496-502.

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ギラン・バレー症候群〔GBS : Guillain-Barre syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome: GBS)は急性発症の四肢筋力低下を主徴とする単相性の末梢神経障害である。多くの症例で呼吸器系、消化器系などの先行感染を有し、自己免疫機序によって発症する。■ 疫学頻度は人口10万人当たり年間1~2人前後であり、男女比は約3 : 2で男性に多い。平均年齢は40歳前後であるが、あらゆる年齢層にみられる。■ 病因GBSの病因には液性免疫・細胞性免疫、感染因子・宿主因子が複合的に関与していると考えられている。GBS患者の急性期血清では、50~60%にヒト末梢神経に存在するさまざまな糖脂質に対する抗体が検出される。中性糖脂質であるガラクトセレブロシドや、シアル酸を有するスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドのGD1bやGM1などで免疫され、血中に抗体の上昇を認めた動物では、補体の活性化などを介して、末梢神経障害を生じることから、これらの抗体の病態への直接的関与が示唆されている。GBS患者では先行感染を有することが多いが、先行感染因子として同定されたものとしてはCampylobacter jejuni、Mycoplasma pneumoniae、サイトメガロウィルス(CMV)、EBウィルスなどが知られている。なかでもC. jejuni やM. pneumoniaeの菌体外膜には末梢神経構成成分の糖脂質と分子相同性を有する糖鎖が発現しているため、感染による免疫反応により糖鎖に対する抗体が産生され、自己抗体として働いて本症候群が発症するという、分子相同性機序が考えられている。C. jejuniやM. pneumoniaeの感染者の一部にしかGBSを発症しないことから、宿主側の免疫遺伝学的背景も発症には関与していると考えられている。■ 症状先行感染の後に、四肢の進行性筋力低下を呈する。運動麻痺が優位であるが、感覚障害もみられることが多く、さまざまな脳神経障害(顔面神経麻痺、眼筋麻痺、嚥下・構音障害など)や、洞性頻脈や徐脈、起立性低血圧、神経因性膀胱などの自律神経障害もみられる。通常1~2週間で症状が完成し、4週間を超えて症状が増悪することのない単相性の経過をとるが、ピーク時には寝たきりになるケースも多く、呼吸筋麻痺を来す重症例もみられる。■ 分類非典型的な臨床症状を有したり、障害の分布が特異なものが特殊病型として認識されている。急性発症の外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失を3主徴とするFisher症候群がGBSの亜型として広く知られている。ほぼ運動障害のみの純粋運動型(pure motor GBS)や、感覚障害のみを呈する純粋感覚型(pure sensory GBS)、運動失調症状のみを呈する運動失調型(ataxic GBS)、深部感覚障害による運動失調が前景に立つ病型(sensory-ataxic GBS)、球麻痺を伴い上肢および上肢帯に筋力低下が限局する咽頭頸上腕型(pharyngeal-cervical-brachial [ PCB ] variant of GBS)や、上肢のみ脱力を呈する上肢型、下肢のみの脱力を来す下肢型、脳神経障害のみを来す多発脳神経麻痺(multiple cranial neuritis)などが知られている。急性に自律神経障害を来す急性汎自律神経異常症(acute pandysautonomia)もGBSの亜型と捉える考えもある。■ 予後多くの症例で数ヵ月以内に社会復帰が可能であるが、なかには重篤な後遺症を残す例も存在する。死亡例も数%あり、2~5%で再発がみられる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)典型的な経過、症状を呈する症例では病歴と臨床症候のみから診断が可能であるが、種々の検査を施行し、他疾患を除外することが大切である。電気生理学的検査では、神経伝導検査(nerve conduction study : NCS) においてH波・F波の消失・潜時延長、遠位潜時の延長、複合筋活動電位振幅の低下、伝導ブロックなどが高率に認められる。脳脊髄液検査では、細胞数は上昇せず蛋白レベルが上昇する「蛋白細胞解離」を認める。NCS、脳脊髄検査いずれにおいても、発症早期では異常を示さないことがあり、初回の検査で異常がないことをもってGBSの診断を否定的に考えるべきではない。経過をみて再検査を施行することも必要である。過半数の症例で、さまざまな糖脂質に対する抗体や、単独の糖脂質ではなく2種類の分子が形成する複合体に反応する抗体の上昇がみられる1)。発症初期より陽性となることが多く、初期診断において有用である。これらの抗体は、先行感染因子のもつ糖鎖に対する免疫反応の結果として産生されることが多く、標的抗原の局在部位を選択的に障害して、独特の臨床病型を来すと考えられる。IgG GD1a/GD1b複合体、GD1b/GT1b複合体に特異的に反応する抗体は人工呼吸器装着の必要な重症例に多いことが報告されており、臨床経過観察に重要な指標といえる。表に抗糖脂質(ガングリオシド)抗体および抗糖脂質複合体抗体と関連が報告されている臨床的特徴を示す。画像を拡大する鑑別疾患としては、血管炎性ニューロパチー、サルコイドニューロパチー、膠原病に伴うニューロパチー、ライム病、神経痛性筋萎縮症、傍腫瘍性ニューロパチー、悪性リンパ腫に伴うニューロパチーなどの各種末梢神経障害、脊髄・脊髄根を圧迫する頸椎症性脊髄症や椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、重症筋無力症、周期性四肢麻痺、転換性障害(ヒステリーなど)など急性~亜急性に筋力低下を来す疾患が挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)急性期治療として免疫療法が有効である。免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)と血液浄化療法のいずれかを第一選択とする。高齢者、小児、心血管系の自律神経障害を有する例、全身感染症合併例ではIVIgが、IgA欠損症や血栓、塞栓症の危険の高い例などでは血漿交換が選択される。そうした要因がない場合では、身体への負担の少なさや、特別な設備を必要としないことからIVIgが施行されることが多い。IVIgと血液浄化療法では有効性に差を認めない。いずれの治療も発症から2週間以内に治療が開始された場合に、効果が高いとされている。4 今後の展望GBSでは発症早期に正確に診断し、急性期に適切な治療を開始することが重要であり、急性期の診断技術の向上が期待される。血中抗糖脂質抗体は急性期に陽性となるため、急性期診断では、抗体の検出率の向上が大事な役割となる。糖脂質にリン脂質を混合することにより抗体が検出可能となることがあり、これらの手法を用いることにより検出率が向上する。今後も抗体検出率の向上や新たな抗体の発見が予想される。また、少数ではあるが、重症例や難治例、後遺症が残るケースが存在する。重症例や難治例を予測することにより、さらに強い治療を施行したり、人工呼吸器装着へのリスク管理も可能となると考えられる。予後予測因子としてmodified Erasmus GBS Outcome Score (mEGOS) 2)やErasmus GBS Respiratory Insufficiency Score (EGRIS) 3)が発表され、また、前述のように陽性となる糖脂質(ガングリオシド)抗体によっても人工呼吸器装着が必要な症例の予測に使える可能性がある。治療に関しては、明確なエビデンスは得られていないが、IVIgとステロイドの併用がIVIg単独治療よりも有効であることを示唆する報告がある。神経障害に関与する補体系を抑制する治療の開発も考えられる。また、Naチャネル阻害薬(flecainide acetate)の軸索変性の保護作用の報告や、シクロオキシゲナーゼ2阻害薬(celecoxib)による炎症細胞浸潤の抑制が報告されており、これらの新規治療薬の有効性のさらなる検討が待たれる。5 主たる診療科神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Kaida K, et al. J Neuroimmunol. 2010 ; 223 : 5-12.2)Walgaard C, et al. Neurology. 2011 ; 76 : 968-975.3)Walgaard C, et al. Ann Neurol. 2010 ; 67 : 781-787.日本神経学会監修.「ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群診療ガイドライン」作成委員会編. ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群診療ガイドライン2013. 南江堂; 2013

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当直の前後も通常勤務がいまだ「常識」 約35%の医師が当直が原因のヒヤリ・ハットを経験

ブラック企業並、いやそれ以上と言われるほど勤務医の過酷な労働環境。改善の必要性が叫ばれて久しいですが、実際の現場ではどうなのでしょうか?現在、病院に勤務し、当直勤務をしているケアネット医師会員に勤務状況を聞いてみました。コメントはこちら結果概要当直前後とも通常勤務と答えた医師は8割を超える回答者の平均当直回数は、1ヵ月で3.5回、当直中の平均睡眠時間はおよそ4時間34分であった。年代別に見ると、若いほど当直の回数が多く、当直中の睡眠時間も短かった。大学病院とその他の病院を比較すると、大学病院に勤務する医師のほうが当直回数が多かった。また、当直前後の勤務体系については、当直前は98.3%、当直後は83.3%が通常の勤務をしていると回答。当直後に半日勤務は12.7%、勤務なしは、2.7%、当直前後ともに半日勤務や勤務なしと答えたのはわずか1%であった。ほとんどの医師が、当直時には32時間以上の連続勤務をしていることを示している。医師の当直勤務等による長時間過重労働が問題視されているが、まったく改善されていない現状が明らかとなった。約35%の医師が当直が原因と思われるヒヤリ・ハットを経験当直による睡眠不足や疲労が原因のヒヤリ・ハットの経験の有無を聞いたところ、34.9%の医師が「ある」と答えた。「ある」と答えた医師のほうが、当直回数が多く、当直中の睡眠時間も少ない傾向にあった。また、ヒヤリ・ハットの内容としては、「薬剤の処方(薬剤名・量など)のミス」が最も多く、そのほかにも、「診察中や手術中に眠ってしまった」「患者を間違え、指示を出した」「針刺し事故」といった回答があり、一歩間違えば、大事故につながり得る実態も浮き彫りとなった。「当直明けの通常勤務はツライ」―医師の悲鳴自由回答では、「当直明けはツライ」「当直明けは休みにしてほしい」「せめて半日だけでも」「当直ではなく、夜勤だ」と当直明けの勤務に対し訴える声が多数見られた。一方で、「休むとなると、代わりがいない」「人員不足のため仕方がない」「病院の経営上やむを得ない」など医師の過酷な勤務に頼らざるを得ない現状も浮き彫りとなった。数多くの医師が勤務体制の改善や法的整備を求めている。設問詳細「当直」についてお伺いします。※病院に勤務され、現在、当直勤務のある先生を対象とさせていただきます。Q1.先生の当直の頻度をお聞かせください。月に何回当直があるのか数字を記載してください。[   ]回/月Q2.当直勤務中はどれくらいの時間、寝ることが出来ますか※分は時間に換算してください。例えば6時間30分は6.5(時間)と記載してください。[   ]時間Q3.当直前の勤務体系はどのようになっていますか1.通常勤務2.半日勤務3.勤務なし4.その他【  】Q4.当直後の勤務体系はどのようになっていますか1.通常勤務2.半日勤務3.勤務なし4.その他【  】Q5.当直明けの勤務中に当直による睡眠不足や疲労が原因と思われるヒヤリ・ハット(※)を経験したことがありますか※ヒヤリ・ハット:偶発事象で、適切な処理が行わなければ医療事故につながる可能性のあった事象1.ある2.ないQ5-1.ある場合はどのようなことでしたか[                ]Q6.コメントをお願いします。(当直、勤務体系などに関してのお考えや、これまでに経験されたことなど、どういったことでも結構です。)[                ]2013年3月21日(金)実施有効回答数1,000件調査対象病院勤務で当直勤務のあるCareNet.com医師会員コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)法律上の当直の内容と実情の違いに矛盾を感じる (50代・男性・心臓血管外科)当直明けに休みにすると、その分の人件費が余計にかかる。医療費の値上げが必須(50代・男性・麻酔科)病院当直≠救急外来対応であることを願いたい.(40代・男性・整形外科)主治医制度の廃止、病院集約化ができなければ無理ではあるが、二次救急以上の病院では当直ではなく、夜勤扱いにすべきである。(40代・男性・循環器内科)診療の質を維持するため、当直明けは一定の休息が必要だと思う。(40代・男性・精神科)限られた時間に質のよい睡眠をとれるよう、ベッドや当直室の環境を考えてほしい。(40代・男性・泌尿器科)翌日の仕事効率は落ちるため、明確な勤務体系(半日勤務など)の設定が必要と思います。(30代・男性・放射線科)当直勤務の翌日は午前中勤務にしようという動きがあるが、実際には人手不足のため患者さんのマネージメントなどで通常通りに拘束されてしまう。(50代・男性・血液内科)中身が夜勤なのに当直として勤務体系にカウントされているのは、労働基準法違反(30代・女性・循環器内科)当直後通常勤務は医師になって以来当たり前となっており、特に疑問を抱いていなかったが、最近の裁判などから問題があると再認識している。(50代・男性・循環器内科)当直あけ勤務は非常に危険であり、なくすべきだとおもいます。人が足りないから仕方がないのではなく、当直あけ勤務をしなくていいような人材の集約化を広域地域レベルで行っていくべきだと思います。(30代・男性・小児科)医師も早く3交替にすべき(50代・男性・血液内科)当直明けは休みとすべきであるが、医師不足のため困難である。コンビニ受診は止めて欲しい。(60代・男性・麻酔科)勤務帯をもっと分業制に、無理なら当直前後の代替の休業時間が必要(20代・男性・糖尿病・代謝・内分泌内科)病院の収益が今の倍にでもならないかぎり、大幅な改善など期待できない(50代・男性・消化器外科)大学勤務医は大学の当直以外に、給与の点で外勤で当直をしなければならない現状がある。 人的問題から、当直の翌日に休むことは考えられない状況である。(40代・男性・外科)人間は喉元過ぎれば熱さ忘れるです.体制を決定するときには当直をしていないので今後も改訂されないでしょう(40代・男性・外科)前後の日は通常勤務ですが、寝当直となることも多く、比較的恵まれていると思っています。当直中の暇な時間は、なるべく論文を執筆したり読んだりするのに用いています。(30代・男性・精神科)頻度を減らせるように当直を設置する病院を減らすべき。(40代・男性・整形外科)やはり当直明けは帰って休みたい。朝から麻酔⇒当直⇒明けて朝から麻酔⇒夜に帰宅後緊急で呼び出し。こういうのは辛い。(30代・男性・麻酔科)当直明け日の手術はつらいです。(40代・男性・外科)当直明けは休みたいが、医師不足のため現状では休めない。他職の方は医師は給与高いので、当然だと思っている人が多い、思いやりの気持ちが少ない。 (60代・男性・外科)大雪で引き継ぎの医師が出勤できず3日続けての日勤・当直勤務となったことがありました(これは看護スタッフや栄養課スタッフも同様でした)。イレギュラー時の勤務体制をどうするかなど事前にもっと詰めておくべきだと感じます。(40代・男性・精神科)世の中の人に夜勤とは違うことを理解して欲しい(50代・男性・外科)勤務医は酷使されています。残業手当もでませんし医師の良心ですべて我慢です。(40代・男性・精神科)常勤医の当直は義務だと思うので,「当直しませんが雇ってくれ」は不可だと思う.ただし,外部の医師が当直を埋めてくれているなら,負担軽減も可能だと思う.(40代・男性・精神科)救急当直は地域のボランティアのようなもの。もっと手当を多くすべき。(30代・男性・糖尿病・代謝・内分泌内科)当直とは、通常勤務ではないため、本来診察業務などを行ってはならないことになっています。急患診察は、医師であっても看護師 の様に、「勤務」で対応する必要があり、近い将来改善されることを望みます。(40代・男性・脳神経外科)都内でも当直制度が崩壊寸前。個人の努力ではもはやどうしようもないところまできている。(30代・男性・心療内科)表向きは当直明けは休みですが、外来等の仕事を休めるわけもないので、労働基準法違反と知りながら病院は見て見ぬふりするだけ(50代・男性・整形外科)リハビリ病院であり、救急の外来は見ていないので、原則寝当直です。たまに起こされるぐらいなので、勤務に配慮はありません。(50代・男性・消化器内科)40才後半以降の夜間当直はきつく、とてもからだに悪いことを実感します。文字通り身を削る思いです。 医療安全の面からも避けるべきと考えます。日直ならまだよいですが。(50代・男性・小児科)重なる時は、なぜか、集中して救急車は救急車を呼び、 急変あればさらなる急変あり、いざというときに大変なのに、 なんもないときは、全くコールすらない時もある。(50代・男性・耳鼻咽喉科)当直勤務の負担を軽減しないと、総合病院から医者が消えます。私は6月末で退職します。(50代・女性・産婦人科)医師も交替勤務制にすべきと考えます。当直とは名ばかりの時間外労働をさせていて、医師数は足りているなどと言っている輩はけしからんと思う。(40代・男性・内科)当直免除の医師と人間関係が悪い(50代・男性・内科)当直の翌日は半休扱いになっているが,実際は普通に勤務をせざるを得ない. 時間外が出るだけでも,昔よりましになったと思えるが,「医師は無料で働いて当然」という風潮を何とかしないと,このあたりは改善されないし,そうこうしているうちに崩壊がどんどん進むのではないかと考える.(40代・男性呼吸器外科)「待たなくて済む」「昼間は仕事(用事)がある」という勝手な理由で夜間受診する患者をいかに抑制するか(ペナルティを与えるか)を考える時期。 昼間と同じ検査能力、診断精度、治療内容を求められることが多い。(50代・男性・泌尿器科)当直明けは休みなり半日勤務なりにして欲しい.(40代・男性・消化器内科 他多数)本来おかしい話で、最大40時間近く病院に拘束されてわずかな手当をもらうだけで、寝不足によるリスク増加を背負う。患者もそんなの望んでないだろうし。昔のたまに急患が来るだけの時代を想定した体制なのが問題。実際は手軽に来る患者が多いのだから、きちっと時間を仕分けて体制を作るべき。(30代・男性・整形外科)上司に訴えても「俺達が若い頃はもっと大変だった」「やってもらわないと病院業務が回らない」とまともに取り合ってくれないばかりか、「若い奴らは根性がない」と非難されていたが、最近は当直明けの業務を少し軽減してくれるので、以前より楽になった。(40代・男性・放射線科)報酬が今以上に増えて忙しくても、自分がやりたいと思わせるか、逆に人手が増えてかみんなで取り合いになるか、ぐらいのことが起こらないと現在の当直の問題は解決しないでしょう。だから、現実は空想でしかありませんし、実現不可能です。悲しいけど、このままやるしかないのです。(40代・男性・外科)当直してくれる医師を増やして欲しい。(40代・男性・精神科 他多数)医師にもきちんとした「労働者」扱いでの待遇を求めます。(40代・男性・内科)今の病院は、病棟の勤務だけなので急変がなければゆっくりできます。(60代・女性・小児科)外科系と内科系の2人当直が望ましい(50代・男性・整形外科)翌日は半日勤務となってはいますが、なかなか休めません。(40代・男性・内科)医師の高齢化が進む当院では常に当直問題が取り上げられるが、具体的解決策がないのが現状であり現状維持を強いられている。(40代・男性・消化器内科)当直明けに仕事がないから、翌日の子供の世話もできることが一番のメリット。(30代・女性・小児科)当直という呼び方になっているが、実際は夜勤の救急外来担当であり、給与や勤務時間は労働基準法に違反していると思われるため、全国的に早急に改善する方向に進んで欲しい。(40代・男性・呼吸器内科)当直明けの勤務はせめて半日にしたいが,常勤医師数が少なく現実的には困難.過疎地域で救急までこなす病院の現実です.(50代・男性・外科)技師さんや看護師さんが当直明け朝で帰っているのをうらやましく見ています。(30代・女性・内科)当直をしないと給料が安いので仕方ない。(30代・男性・循環器内科)医師は厚遇されている点もあり、こういう能力がなければ医師になるべきではないと思う。(40代・男性・糖尿病・代謝・内分泌内科)二次救急の当直もしているが、専門とかけ離れた患者ばかりなので、充実感がなく疲れる。(50代・男性・心臓血管外科)医師として当然の義務。(60代・男性・産婦人科)当直明けの勤務はせめて半日にしたいが,常勤医師数が少なく現実的には困難.過疎地域で救急までこなす病院の現実です.(50代・男性・外科)当直というシステム自体がおかしい。小さな病院に勤めている方には申し訳ないが、労働環境を考えると交代勤務にすべき。夜間緊急で働いた場合、翌日通常業務を行わなくても患者を含めて納得するような社会的環境が必要。(40代・男性・麻酔科)消化器外科医です。 肝切除やPDなど、長時間のオペの前日の当直は、なるべく代わってもらうようにしています。(30代・男性・消化器外科)研修医は守られているが、常勤以上だと翌日も通常通りの勤務となるのはおかしい (40代・男性・循環器内科)眼科当直なので、ほとんど呼ばれません。 ありがたい。(30代・男性・眼科)医師の絶対数が増加して代休がとれるとよいが~他の科の事情、自分の翌日の外来担当や予約を調整するのも苦労だとは思う。(50代・男性・小児科)幸い自分は周りのスタッフ・看護師・コメディカルに助けられて大きなヒヤリ・ハットはありませんが、 ”当直”と称して救急外来と病棟当番を兼ねた勤務は看過できません。 報酬として時間外勤務手当を出すのはもちろん、当直後半日勤務は必要だと思います。 ただ、その時には中小病院で一人診療科の先生たちは出来ない相談ですが・・・。(30代・男性・総合診療科)

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内視鏡中に音楽をかけると不安が減少する【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第16回

内視鏡中に音楽をかけると不安が減少する私は呼吸器内科医なので、内視鏡といえば基本的に気管支鏡を意味します。当院では気管支鏡の手技中には音楽をかけていませんが、咽頭喉頭にリドカインを噴霧する際に音楽をかけています。いわゆる癒し系ミュージックやクラシック音楽が主体です。Triller N, et al.Music during bronchoscopic examination: the physiological effects. A randomized trial. Respiration. 2006; 73: 95-99.気管支鏡検査は事前に「咳が出る検査だ」という情報を得るため、声が出せずに息が止まってしまうのではないかと不安を覚える患者さんは少なくありません。気管支鏡中の患者さんの不安を軽減することができれば気管支鏡検査を滞りなく行うことができるのではないか、と考えた筆者らによってこの研究が報告されました。この研究は、気管支鏡中にリラクゼーション音楽をかけることで不安症状の改善が得られるかどうか、血圧や心拍数の変化を抑制できるかどうかを調べたものです。試験期間中、200人の成人患者さんが登録されました。気管支鏡後、患者さんには気管支鏡の手技について0点(問題なかった)から10点(最悪だった)のスコアリングをお願いしました。200人のうち、93人が音楽群、107人が非音楽群にランダムに割り付けられました。これら2群の患者背景に差はみられませんでした。平均手技時間もそれぞれ12.7±6.5分、11.9±6.0分と同等で、スコアリングについても4.6±2.5点、4.6±2.6点と差はありませんでした。しかしながら、手技後の平均心拍数(87.7±14.4/分 vs. 92.7±17.4/分、p = 0.03)、平均収縮期血圧(142.9±21.9 mmHg vs. 149.6±22.4 mmHg、p = 0.03)、平均拡張期血圧(77.6±12.8 mmHg vs. 82.3±12.7 mmHg、p = 0.01)は音楽群のほうが有意に低いという結果でした。確かに手技後のバイタルサインに差はあるようですが、これをもって音楽による不安症状の軽減というには少し飛躍があるような気がします。過去にも同様の研究結果が発表されたことがあるのですが、その結果は一定していません。咳嗽や不快感を軽減したという報告もあれば(Chest. 1995; 108: 129-130.)、ヘッドフォンで音楽を流しても不安症状の軽減がみられなかったとする報告もあります(Chest. 1999; 116: 819-824.)。気管支鏡ではなく消化器内視鏡ではどうかというと、上部消化管内視鏡検査でも同様に不安の軽減がメタアナリシスで報告されています(Endoscopy. 2007; 39: 507-510.)。下部消化管内視鏡にいたっては、内視鏡時の疼痛を軽減したという報告まであります(Dig Liver Dis. 2010; 42: 871-876.)。検査中に音楽を流しても決して害はありませんので(ヘビメタなどはもしかしたら好き嫌いがあるかもしれませんが)、手技の邪魔にならない程度であればリラクゼーション音楽を流してもよいのかな、とも思います。患者さんの音楽の好みも配慮できれば、なおよいですね。

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31)麺類が大好きな人へのアドバイスのコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、私、麺類が大好きなんです。医師どんな麺類がお好みですか?患者うどん、そば、ラーメン、ソーメン、など何でも大好きです。本当にメン食いなんです。ご飯は控えているつもりなんですが・・・医師そうですか。確かに、麺類はおいしいですね。ご飯と違って、あまり噛まなくていいので、つい食べすぎちゃいますよね。患者そうなんです。それにすぐにお腹が空くし・・・医師ご飯1杯(150g = 240kcal)と比べると、うどん・そばなら1玉、ソーメンなら1.5束と同じくらいのカロリーがありますね。患者そんなにあるんですか。ソーメンなら3束くらい、するっと食べてしまいます。太るのは当たり前ですね。医師メン食いの人は要注意ですね。患者はい。わかりました。気をつけます。●ポイント控えているご飯と比較することで、麺類が高カロリーであることを理解してくれます●資料ごはん150g = ソーメン1.5束 = うどん・そば1玉 = ラーメン3/4玉 = 焼きそば・スパゲッティ2/3玉

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