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胃食道逆流症では腹八分が大事

胃食道逆流症の人は腹八分が大切です 満腹になるまで食べると胃壁が伸びます。食道に近いところの胃壁が伸びると食道と胃の境界部のしまりがゆるむため、胃液が食道に逆流して胸やけが起こります。 食べ過ぎて太ると胃が圧迫され、逆流が起こりやすくなります。監修:島根大学医学部第2内科 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.木下 芳一氏

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P3-09-01 A multicenter randomized study comparing the dose dense G-CSF-supported sequential administration of FEC→Docetaxel versus Docetaxel+Cyclophosphamide as adjuvant chemotherapy in women with HER2(-), axillary lymph node(+) breast cancer.

腋窩リンパ節転移陽性乳がんにおける補助療法としてのFEC→ドセタキセル逐次レジメンとTCレジメンの比較ギリシャの Hellenic Oncology Research Group(HORG)からの報告である。アントラサイクリンとタキサンの逐次投与は、腋窩リンパ節転移陽性乳がんの補助療法として非常に有効である。一方、非アントラサイクリンレジメンであるドセタキセル+シクロホスファミド(TCレジメン)は、4サイクルのドキソルビシン+シクロホスファミドより有効であることが示されている。この多施設ランダム化比較試験は、腋窩リンパ節転移陽性、HER2陰性の早期乳がんにおける補助療法において、FEC→ ドセタキセルとTCを比較することを目的として計画された。主要評価項目は3年のDFSであり、副次評価項目はOS、毒性および安全性である。3年のDFSが85%であると仮定し、7%の差を80%のパワー(αエラー=0.05)で検出するために、1群322例が必要であると判断された。組み入れ基準は、HER2陰性の浸潤性乳がん、外科的断端陰性、リンパ節転移1個以上、遠隔転移の所見なし、PS 0~2、重篤な心疾患がなくLVEF>50%、がんの既往や重大な薬剤の使用がなく、インフォームド・コンセントが得られていること、である。A群はFEC (500/75/500) x4→ドセタキセル (75) x4+ G-CSFサポート、B群はTC (75/600) x6である(図1)。【図1】図1を拡大するA群は326例、B群は324例で、年齢はA群のほうが若い傾向にあった(54歳:59歳、p=0.0001)が、閉経状態、リンパ節転移の程度(N1-3が各群60%と67%)、ホルモン受容体、組織型ともに差はなかった。生存率はDFS、OSともにまったく差はなかった(図2a、b)。DFSのサブグループ解析でも年齢、閉経状態、リンパ節転移の程度、組織型、ホルモン受容体で大きな違いはなかった。化学療法の完遂率はそれぞれ97%、93%でありA群で有意に良好であった(p=0.03)。減量率は1.4%と1%で差がなく、遅延率は6.4%と3.8%でありB群で有意に良好であった(p=0.0001)。グレード2~4の毒性として好中球減少性発熱はいずれも1%、貧血、粘膜炎、無力症はA群で高く、貧血、アレルギーはB群で有意に高かった。【図2a】図2aを拡大する【図2b】図2bを拡大するこの結果はUSON9735(J Clin Oncol. 2006; 24: 5381~5387.)で示されたTC4サイクルのAC4サイクルに対する優越性をより担保するものである。本臨床試験ではTCを6サイクル行っているが、過去において同一抗がん薬剤での4サイクル以上の有効性は示されておらず、かつ4サイクルで十分ACを上回っていること、6サイクルではさらに毒性が強くなることから、個人的にはTCは4サイクルで十分ではないかと考えている。

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高リスクの小児慢性疾患、総合的ケアで医療費減/JAMA

 慢性疾患を有する高リスクの小児に対し、患者・家族中心の医療(medical home)に基づき専門的治療を含めた総合的なケアの提供は、通常ケアの提供と比較して、重篤な疾患およびコストの低減に結び付くことが、米国・テキサス大学医療センターのRicardo A. Mosquera氏らによる無作為化試験の結果、示された。患者・家族中心の医療は成人または小児慢性疾患における有害転帰やコストの低減には結び付かないとされている。研究グループは、高リスクのとくに小児慢性疾患では、費用対効果が優れる可能性があるとして本検討を行った。JAMA誌2014年12月24・31日号掲載の報告より。総合的ケア提供vs. 通常ケア提供を無作為化試験 試験は、総合的ケアを提供することで、慢性疾患を有する小児における重篤な疾患(死亡、ICU入室または7日超の入院)の予防および/もしくはコストの低減をもたらすかを評価することが目的だった。 総合的ケアの提供は、テキサス大学の高リスク小児クリニックで行われた。先行試験に基づき整備されたクリニックは、週40時間オープン、慢性疾患児に関する幅広い関心を持つ小児呼吸器科医と2人の看護師が配置されプライマリケアを提供。医師と看護師は電話を共有しており、患児の両親はいつでも直接電話で相談することができた。クリニックには、栄養士やソーシャルワーカーも配置され、また同一クリニックで迅速に有効な治療を行うため、定期的に専門医による治療も提供された。それらの専門家によるアドバイスも24時間電話で受けることができた。 一方、通常ケアは、2週間に1回、専門医、ソーシャルワーカー、栄養士による治療やコンサルテーションを提供するもので、プライマリケアではなかった。 試験は、慢性疾患(前年に緊急部門受診3回以上、入院2回以上または小児ICU入室1回以上、入院推定リスク50%以上)を有する小児を、総合的ケア提供群(105例)と通常ケア提供群(96例)に無作為に割り付けて検討した。被験者登録は2011年3月~2013年2月に行われ、アウトカム評価は2013年8月31日まで行われた。 主要アウトカムは、重篤な疾患(死亡、ICU入室または7日超の入院)を有した小児、およびコストとした。副次アウトカムは各児の重篤疾患、医療サービス、メディケア支払、医学校収入およびコストであった。重篤疾患の発生、コストのいずれも低減 intent-to-treat解析の結果、総合的ケアは、重篤疾患を有する小児の割合、総病院およびクリニックコストの両方を低減した。前者は小児100人年当たり総合的ケア群10例vs.通常ケア群22例で、率比(RR)0.45(95%信頼区間[CI]:0.28~0.73)、後者は同じく1万6,523ドルvs. 2万6,781ドルで、RRは0.58(同:0.38~0.88)であった。ネット財政ベネフィット分析では、総合的ケアの中性費用(cost neutral)またはコスト抑制の割合は97%であった。 総合的ケアは、重篤疾患を抑制し(小児100人年当たり16 vs. 44、RR:0.33、95%CI:0.17~0.66)、緊急部門受診(90 vs. 190、同0.48、0.34~0.67)、入院例(69 vs. 131、0.51、0.33~0.77)、小児ICU入室(9 vs. 26、0.35、0.18~0.70)、入院日数(276 vs. 635、0.36、0.19~0.67)を低減した。 メディケア支払も、小児1人年当たり6,243ドル(95%CI:1,302~1万1,678ドル)減少した。医学校の持ち出し(コスト-収入)は、小児1人年当たり6,018ドルの増大だった。

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PARAMEDIC試験:心肺蘇生の現場において機械が人を超える時代は来るのか?(解説:矢崎 義直 氏)-301

 PARAMEDIC試験は、自動心臓マッサージシステムLUCAS-2の院外心停止に対する有効性を検討した無作為割り付け臨床試験である。 LUCAS-2は100回/分のペースで深さ4~5cmの胸骨圧迫が可能でリコイルも完全に行える。当然疲れ知らずで、バッテリーの続く限り延々と胸骨圧迫を続けてくれるため、蘇生ガイドラインで推奨される質の高い絶え間ない心臓マッサージが可能である。本邦でも実際に使用している施設が増えている。 まさに猫の手も借りたいほど人手が必要な救急現場において、このLUCAS-2は救世主のはずだが、不思議なことにいまだ有効性を示唆するエビデンスがない。過去に院外心停止患者に対する自動心マの有効性を、用手胸骨圧迫と比較した2つの大規模な無作為割り付け試験(CIRC試験、LINC試験)が行われたが、いずれも生存率において用手に勝る結果は得られていない。 本試験はLUCAS-2群と用手胸骨圧迫群を1対2に無作為割り付けし、主要アウトカムは心停止から30日時点の生存率とした。救急隊は試験用にインテンシブなトレーニングを受けたわけでもなく、試験中LUCAS-2使用経験は個々で1~2回/年など、実臨床に近い状態で試験が実施されている。ただし、LUCAS-2群に割り付けされたものの、患者の状態や装置の問題などで装置が使用されなかったケースが4割にも上っている点には留意すべきである。 結果的には両者で生存率に差はなく、これまでの試験結果を裏付けるものとなったが、神経学的予後に関しては、対照群と比べLUCAS-2群で少し劣り、LINC試験とは異なる結果であった。サブ解析である心室細動、心室頻拍症例ではLUCAS-2群で生存率がやや低下した。これらの理由として装置装着によるCPRの中断や初回ショックの遅れなどを挙げている。 また、数こそ少ないがLUCAS-2による有害事象7例(胸部打撲、裂傷、口腔内出血)は留意すべきであり、実臨床ではもう少し多い印象がある。体格による装置の調整は利くものの、やはり欧米人と日本人では体格をはじめ、さまざまな点で異なるため、わが国での臨床試験も必要と考える。 今回、LUCAS-2は用手胸骨圧迫に勝る結果は得られなかったが、逆にいえばガイドラインにおけるクラスIの治療と同等の効果を得られたことになる。用手胸骨圧迫が困難な移動中の救急車内での使用や人員不足の解消など、状況によっては効果が得られることは間違いない。 また、薬剤の介入試験と異なり、デバイスが関与する介入試験はラーニングカーブがあることに注目したい。今後、装置装着の訓練を続け、経験を積んでいけばよりよい結果が期待できるはずである。 最後に科学的でない余計なコメントかもしれないが、機械と人による心マの効果が同等であるという現状で、自分や家族が患者であったならば、心理的に人の手で助けてもらいたいと思うのは私だけだろうか。

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在宅で診る肺炎診療の実際

■在宅高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎在宅高齢者の発熱の原因として最も多いのは肺炎である1)。在宅医療を受けている患者の多くは嚥下障害を起こしやすい、脳血管性障害、中枢性変性疾患、認知症を患っており、寝たきり状態の患者や経管栄養を行っている患者も含まれていて、肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎である。日本呼吸器学会は2005年に「成人市中肺炎診療ガイドライン(改訂版)」を、2008年には「成人院内肺炎診療ガイドライン」を作成したが、在宅高齢者の肺炎診療に適するものではなかった。その後、2011年に「医療介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン」が作成された。NHCAPの定義と発症機序は表1 2)および表2 2)に示されるように、在宅療養患者が該当しており、その特徴は市中肺炎と院内肺炎の中間に位置し、その本質は高齢者における誤嚥性肺炎を中心とした予後不良肺炎と、高度医療の結果生じた耐性菌性肺炎の混在したもの、としている。本稿では、NHCAPガイドライン(以下「ガイドライン」と略す)に沿って、実際に在宅医療の現場で行っている肺炎診療を紹介していく。表1 NHCAP の定義1.長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神病床も含む)2.90日以内に病院を退院した3.介護を必要とする高齢者、身障者4.通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬などによる治療)を受けている・介護の基準PS3: 限られた自分の身の回りのことしかできない、日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす、以上を目安とする表2 NHCAP の主な発症機序1.誤嚥性肺炎2.インフルエンザ後の2次性細菌性肺炎3.透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎(MRSA肺炎など)4.免疫抑制薬や抗がん剤による治療中に発症した日和見感染症としての肺炎を受けている■在宅での肺炎診断在宅患者の診察では、平素より経皮的酸素飽和度(SpO2)を測定しておき、発熱時には変化がないかを必ず確認する。高齢者は、咳や痰などの一般的症状に乏しいが、多くの場合で発熱を伴う。しかし、発熱を伴わない場合もあるので注意する。聴診所見では、必ずしも特異的な所見がなく、脱水を伴っている場合はcoarse crackleは聴取しにくくなる。血液検査では、発症直後でも上昇しやすい白血球数を参考にするが、数が正常でも左方移動がみられれば有意と考える。CRPは、発症直後には上昇しにくいので、発症当日のCRP 値で重症度を評価することはできない。必要に応じてX線ポータブル検査を依頼する。■NHCAPにおける原因菌ガイドラインによると原因菌として表3 2)が考えられている。表3 NHCAP における原因菌●耐性菌のリスクがない場合肺炎球菌MSSAグラム陰性腸内細菌(クレブシエラ属、大腸菌など)インフルエンザ菌口腔内レンサ球菌非定型病原体(とくにクラミドフィラ属)●耐性菌のリスクがある場合(上記の菌種に加え、下記の菌を考慮する)緑膿菌MRSAアシネトバクター属ESBL産生腸内細菌ガイドラインでは、在宅療養している高齢者や寝たきりの患者では、喀出痰の採取は困難であり、また口腔内常在菌や気道内定着菌が混入するため、起因菌同定の意義は低く、診断や治療の相対的な判断材料として用い、抗菌薬の選択にはエンピリック治療を優先すべきである、とされている。実際の現場では、喀出痰が採取できる患者は肺炎が疑われた場合、抗菌薬を開始する前にグラム染色と好気性培養検査を依頼し、初期のエンピリック治療に反応が不十分な場合、その結果を参考に抗菌薬の変更を考慮している。■ガイドラインで示された治療区分とはガイドラインでは、市中肺炎診療ガイドラインで示しているような重症度基準(A-DROP分類)では、予後との関連がはっきりしなかったため、治療区分という考え方が導入された。この治療区分(図1)2)に沿って抗菌薬が推奨されている(図2)2)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するここでのポイントは、耐性菌のリスクの有無(90日以内の抗菌薬の投与、経管栄養があり、MRSAが分離された既往歴)が、問われていることである。■在宅患者における肺炎の重症度判断PSI(pneumonia severity index)は、患者を年齢、既往歴、身体所見・検査所見の異常など20因子による総得点により、最も正確に肺炎の重症度判定ができる尺度として有名である。そこで筆者の診療所では在宅診療対象患者のみを対象に、血液検査・画像所見の結果がなくても肺炎の重症度を推定できる方法はないかを検討した。身体所見や患者背景から得られた総得点をPSI for home-care based patients(PSI-HC)と名付け、この得点を基に患者を分類したところ、血液検査や画像所見がなくても予後を反映するものであった3)。当院ではそれを基に「発熱フェイスシート」を作成し、重症度の把握と家族への説明に利用している(図3)。なお、図中の死亡率は1年間における97人の肺炎患者をレトロスペクティブにみた値であり、今後さらなる検討が必要な参考値である。画像を拡大する■在宅における肺炎治療の実際実際の現場では、治療区分で入院が必要とされるB群でも、連日の抗菌薬投与ができるようであれば在宅での治療も可能である。先述したように、喀出痰が採取できない症例が多いため、在宅高齢者の肺炎の起因菌についての大規模なデータはないが、グラム陰性菌、嫌気性菌が主な起因菌であるといわれている。グラム陰性菌に抗菌力が強く、ブドウ球菌や肺炎球菌などのグラム陽性菌や一部の嫌気性菌を広くカバーする、ニューセフェムやレスピラトリーキノロンを第1選択としている。●経口投与の場合:レボフロキサシン(商品名:クラビット[LVFX])、モキシフロキサシン(同:アベロックス[MFLX])LVFXは1日1回500mgを標準投与量・法とする。腎排泄型の抗菌薬であり、糸球体濾過量(GFR)に応じて減量する。MFLXは主に肝代謝排泄型の抗菌薬であり、腎機能にかかわらず、1日1回400mgを標準投与量とする。●静脈投与の場合:セフトリアキソン(同:ロセフィン[CTRX])血中半減期が7~8時間と最も長いので1日1回投与でも十分な効果を発揮し、胆汁排泄型であることからGFRの低下を認める高齢者にも安心して使用できる。CTRXは緑膿菌に対して抗菌力がほとんどなく、ブドウ球菌、嫌気性菌などにも強い抗菌力はないといわれており、ガイドライン上でも誤嚥性肺炎には不適と記載されているが、筆者らは誤嚥性肺炎を含む、肺炎初期治療としてほとんどの患者に使用し、十分な効果を認めている。また、過去90日以内に抗菌薬の使用がある場合にも、同様に効果を認めている。3日間投与して解熱傾向を認めないときには、耐性菌や緑膿菌を考慮した抗菌薬に変更する。嫌気性菌をカバーする目的で、クリンダマイシン内服の併用やブドウ球菌や嫌気性菌に、より効果の強いニューキノロン内服を併用することもある。■入院適用はどのような場合か在宅では、病院と比較すると正確な診断は困難である。しかし、全身状態が保たれ、介護する家族など条件に恵まれれば、在宅で治療可能な場合が多い。筆者らは、先述した在宅患者の肺炎の重症度(PSI-HC)を利用して重症度の把握、家族への説明を行ったうえで、患者や家族の意思を尊重し、入院治療にするか在宅治療にするかを決定している。在宅高齢者が入院という環境変化により、肺炎は治癒したけれども、認知機能の悪化やADL低下などを経験している場合も少なくない。過去にそのような体験がある場合には、在宅でできる最大限の治療を行ってほしいと所望されることが多い。ただ、医療的には、高度の低酸素血症、意識低下や血圧低下を伴う重症肺炎や、エンピリック治療で正しく選択された抗菌薬を使い、3日~1週間近く治療を行っても改善傾向が明らかでない場合に入院を検討している。また、介護面では重症度にかかわらず、介護量が増えて家族や介護者が対応できない場合にも入院を考慮している。■肺炎予防と再発対策誤嚥性肺炎の治療および予防として表42)が挙げられる。表4 NHCAP における誤嚥性肺炎の治療方針1)抗菌薬治療(口腔内常在菌、嫌気菌に有効な薬剤を優先する)2)PPV 接種は可能であれば実施(重症化を防ぐためにインフルエンザワクチンの接種が望ましい)3)口腔ケアを行う4)摂食・嚥下リハビリテーションを行う5)嚥下機能を改善させる薬物療法を考慮(ACE阻害薬、シロスタゾール、など)6)意識レベルを高める努力(鎮静薬、睡眠薬の減量、中止、など)7)嚥下困難を生ずる薬剤の減量、中止8)栄養状態の改善を図る(ただし、PEG〔胃ろう〕自体に肺炎予防のエビデンスはない)9)就寝時の体位は頭位(上半身)の軽度挙上が望ましいガイドラインではNHCAPの主な発症機序として誤嚥性肺炎のほか、インフルエンザと関連する2次性細菌性肺炎の重要性が提案されており、わが国でも高齢者施設におけるインフルエンザワクチン、そして肺炎球菌ワクチンの効果がはっきり示されたこともあり、両ワクチンの接種が勧められる4)。日々の生活の中では、口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションは重要であり、歯科医師・歯科衛生士や言語聴覚士との連携で、より質の高いケアを提供することができる。●文献1)Yokobayashi K,et al. BMJ Open. 2014 Jul 9;4(7):e004998.2)日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会. 医療・介護関連肺炎診療ガイドライン. 2011.3)Ishibashi F, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014 Mar 12 . [Epub ahead of print].4)Maruyama T,et al. BMJ. 2010 Mar 8;340:c1004.●関連リンク日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン

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ホジキンリンパ腫のABVD、BとDの除外は可能か/Lancet

 ドイツ・ホジキン研究グループ(GHSG)によるHD10試験では、早期ホジキンリンパ腫(HL)のfavourable risk例の治療として、ABVD(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)レジメンを2サイクル施行後に総線量20Gyの放射線区域照射(IFRT)を行い、5年生存率(OS)が96.6%、5年無治療失敗(freedom from treatment failure:FFTF)率は91.2%と良好な成績が得られている。一方、HL患者の治療関連副作用は30年以上持続するとの報告があり、さらなる安全性の改善が求められている。そこで、GHSGは、ABVDからのブレオマイシンとダカルバジンの除外の可能性の検討を目的にHD13試験を行った。研究の詳細はLancet誌オンライン版2014年12月21日号に掲載された。治療強度減弱の非劣性を無作為化試験で検証 GHSG HD13試験は、HLの治療において、標準治療であるABVDレジメンの治療強度を減弱させても、有効性を低下させずに毒性や副作用の軽減が可能であるかを検証する非盲検無作為化非劣性試験(Deutsche Krebshilfe and Swiss State Secretariat for Education and Researchの助成による)。対象は、新規に診断されたStage I/IIの古典的ホジキンリンパ腫またはAnn Arbor Stage IB/IIA/IIBの結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のfavourable risk例であった。 被験者は、ABVDを施行する群、ABVDからダカルバジンを除外したABV、ブレオマイシンを除外したAVD、2剤とも除外したAVを施行する群の4群に無作為に割り付けられた。いずれの治療群も、4週を1サイクルとして第1、15日に標準用量を投与し、2サイクルの治療が行われた。化学療法終了から4~6週後にIFRTを行った(総線量30Gy、1回1.8~2.0Gyを週5回)。主要評価項目はFFTFとした。 症例登録は2003年1月28日に開始されたが、AV群とABV群はイベント発生率が高かったため、それぞれ2005年9月30日、2006年2月10日に早期中止となり、ABVD群とAVD群は2009年9月30日まで登録を継続した。腫瘍コントロールを保持できず ドイツ、チェコ共和国、スイス、オランダ、オーストリアの405施設から登録された1,502例が解析の対象となった。内訳は、ABVD群が566例、ABV群が198例、AVD群が571例、AV群は167例であった。全体の年齢中央値は39歳、男性が60%だった。 5年FFTF率は、ABVD群が93.1%、ABV群が81.4%、AVD群が89.2%、AV群は77.1%であった。ABVD群に比べ、ダカルバジンを含まない2つのレジメンのFFTF率は有意に低く、ABV群との5年群間差は−11.5%(95%信頼区間[CI]:-18.3~-4.7)で、ハザード比(HR)は2.06(95%CI:1.21~3.52)であり、AV群との5年群間差は-15.2%(-23.0~-7.4)、HRは2.57(1.51~4.40)であった。AVD群でもABVD群に対する非劣性は確認できず、5年群間差は-3.9%(-7.7~-0.1)、HRは1.50(1.00~2.26)だった。 完全寛解率は、ダカルバジンを含むABVD群が97.2%、AVD群は98.1%であり、ABV群の95.5%、AV群の88.6%よりも良好であった。また、5年無増悪生存率(PFS)も、ABVD群が93.5%、AVD群は89.6%であり、ABV群の82.1%、AV群の78.9%に比べて高かった。一方、5年OSはABVD群が97.6%、ABV群が94.1%、AVD群が97.6%、AV群は98.1%であり、各群間に差を認めなかった。 WHO Grade III/IVの有害事象の発現率は、ABVD群が33%であり、ABV群の28%、AVD群の26%、AV群の26%よりも高かった。最も頻度の高い有害事象は白血球減少であり、ブレオマイシンを含む群で高頻度にみられた。 著者は、「ABVDからダカルバジンやブレオマイシンを除外すると、腫瘍コントロールが低下する。この知見は、今後もABVD 2サイクル+IFRTを標準治療として継続することを強く支持するもの」と結論し、「次なる課題は、予後予測マーカーとしてのPETの役割と、新たな標的治療薬の検討である」と指摘している。

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乾癬、生物学的製剤との併用療法についてレビュー

 米国・コロラドデンバー大学のApril W. Armstrong氏らは、乾癬患者の生物学的製剤を用いた治療について、他の全身性治療法との併用に関して、エビデンスに基づくガイダンス勧告を示すため、レビューを行った。その結果、推奨される組み合わせは推奨度が高い順に、メトトレキサートとの併用、アシトレチンとの併用、そして光線療法との併用であることなどを報告した。なおレビューの結果を踏まえて著者は「適切に選択された患者においては、慎重に組み合わせを選ぶことで、より大きな効果をもたらすことになり、毒性も最小限にすることができる」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年12月17日号の掲載報告。 多くの乾癬患者にとって生物学的製剤の単独療法は有効であるが、一部の患者は併用療法を必要とする。 研究グループは、エビデンスに基づく、生物学的製剤とその他の全身性治療の併用療法について最適治療の勧告を示すことを目的とした。検討した全身性療法は、光線療法、経口薬療法、他の生物学的製剤であった。 1946年1月1日~2013年6月18日の研究についてMEDLINEデータベースを検索し、Medical Board of the National Psoriasis Foundationが、ディスカッションと投票(voting)によって最適治療として推奨することに至っていたものをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・中等度から重度の乾癬において、併用療法の有効性、安全性を評価した試験はほとんどなかった。・エタネルセプトやアダリムマブのような生物学的製剤を光線療法と併用することは、単独療法よりも疾患重症度のより大きな改善に結び付くようであった。・エタネルセプトとメトトレキサートの併用は、それぞれの単独療法よりも効果的であった。・インフリキシマブとメトトレキサートの併用は、インフリキシマブ単独よりもより大きな改善に結び付いた。・アシトレチンとの併用で、エタネルセプトは、より少ない用量で有効性を得ることができた。・短期使用のシクロスポリンについて、エタネルセプトまたはアダリムマブとの併用は、乾癬フレアをコントロールした。・Medical Board of the National Psoriasis Foundationの専門家の意見に基づき、好ましい第2療法としての併用療法の順位は、生物学的製剤とメトトレキサートの併用、生物学的製剤とアシトレチンの併用、そして生物学的製剤と光線療法の順であった。

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統合失調症、ビタミンD補充で寛解は期待できるか

 ビタミンD欠乏症は、統合失調症の発症に関与する病因の1つである。多くの統合失調症研究において、血清ビタミンD値が低い症例が報告されているが、疾患活動性と血清ビタミンD値との関連性は明らかになっていなかった。トルコ・Ankara Numune Egitim ve Arastirma HastanesiのRabia Nazik Yuksel氏らは、統合失調症とビタミンD欠乏症との関連を明らかにするため、寛解期および急性期の統合失調症患者の血清ビタミンDレベルを健常対照と比較検討した。その結果、急性期統合失調症患者の血清ビタミンD値は、寛解期の患者および健常対照に比べ有意に低いことを報告し、急性期統合失調症とビタミンD欠乏との関連を示唆した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2014年12月号の掲載報告。 研究グループは、疾患活動性の異なる2つの統合失調症グループの総ビタミンD量を比較し、血清総ビタミンD値と疾患活動性の関係を調べた。検討は、寛解期、急性期の統合失調症患者、および年齢と性別でマッチした重大な精神症状を認めない対照例を対象に行われた。疾患活動性は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)およびCGI-S(臨床全般印象・重症度尺度)を用いて評価し、年齢、性別、民族、体重、肌の色、日光曝露時間、栄養評価が網羅された人口統計データを使用した。すべての患者および対照者から血液標本を採取し、総ビタミンD(D2+D3)、カルシウム(Ca)、リン(P)、副甲状腺ホルモン(PTH)値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、寛解期統合失調症患者41例、急性期統合失調症患者40例、健常対照40例であった。・急性期患者のビタミンD値(中央値7.18)は、寛解期患者(同15.03)および健常対照(同15.02)に比べ、有意に低かった(p<0.001)。・ビタミンD値とCGIスコア(r=-0.624、p<0.001)、ビタミンD値とPANNSスコア(r=-0.508、p<0.001)の間に中等度の逆相関が認められた。・各群間で、血清P値、Ca値、PTH値について有意な差は認められなかった(それぞれp=0.099、p=0.943、p=0.762) 。・1週間当たりの日光曝露時間、肌の色、民族、栄養状態による、総ビタミンD値への有意な影響はみられなかった。・ビタミンD合成に関連する重要な因子に相違は認められなかったが、寛解期の患者と比べて急性期の患者では深刻なビタミンD欠乏症が認められ、寛解期の患者と有意な違いを認めた。・ビタミンD欠乏症は急性期エピソードの結果なのか、あるいは原因なのか? 本研究結果から、経路は不明ながら、ビタミンD欠乏症と統合失調症が相互に影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。・現時点のデータでは、ゲノムレベルでの影響の可能性を指摘するにとどまった。・今後、臨床試験による長期フォローアップにより、これらの関係を調べることができると思われた。とくに、長期に治療を継続している統合失調症患者の血清ビタミンD値の状況が期待される。・ビタミンDを豊富に含むサプリメントおよび食事を加味した、適切な治療を考慮すべきと思われた。関連医療ニュース ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学 ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか

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抗うつ薬は有用か、てんかん患者のうつ

 てんかん患者のうつ病に対する治療として、抗うつ薬の有効性と安全性、けいれん発作再発に対する有効性を明らかにするため、英国・Leeds General InfirmaryのMelissa J Maguire氏らは8件の臨床試験をレビューした。その結果、抗うつ薬の有効性に対するエビデンスは非常に少なく、また質の高いエビデンスも存在しないことを明らかにし、同領域において大規模な比較臨床試験の必要性を指摘した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年12月3日号の掲載報告。 うつ病性障害は、てんかん患者の約3分の1に発症する一般的な精神的合併症であり、QOLに多大な悪影響をもたらす。しかし、いずれの抗うつ薬(あるいは種類)最良であるのか、また、けいれん発作を悪化させるリスクなどに関する情報が不確実なため、これらの患者がうつ病に対し適切な治療を受けていないことが懸念される。 研究グループは、これらの課題に取り組み、実臨床および今後の研究に向け情報を提供することを目的とし、てんかん患者のうつ病治療として、抗うつ薬に関する無作為化対照試験および前向き非無作為化試験から得られたエビデンスを統合し、レビューした。主要目的は、うつ症状の治療における抗うつ薬の有効性と安全性、けいれん発作再発に対する有効性の評価とした。 論文検索は、2014年5月31日までに発表された試験を含む、Cochrane Epilepsy Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL 2014, Issue 5)、MEDLINE(Ovid)、SCOPUS、PsycINFO、www.clinicaltrials.gov、その他国際会議議事録にて行い、言語による制限を設けなかった。 うつ症状に対し抗うつ薬治療を実施したてんかん小児および成人患者を対象とした、無作為化対照試験(RCT)および非無作為化コホート対照試験、非対照試験を検索した。介入群は、現行の抗てんかん薬レジメンに抗うつ薬を追加した患者とした。一方、対照群は現行のてんかん薬レジメンに、プラセボ、比較対照の抗うつ薬、心理療法のいずれかを追加、あるいは治療の追加なしの患者とした。 試験デザイン要素、患者背景、各試験のアウトカムを基にデータを抽出。主要アウトカムはうつ病スコアの変化(50%以上の改善を示した人数あるいは平均差)およびけいれん発作頻度の変化(発作の再発あるいはてんかん重積症の発作のどちらか、または両方を発症した患者の平均差あるいは人数)とした。副次アウトカムは有害事象、試験中止例数および中止理由とした。データ抽出は対象試験ごとに2人の執筆者がそれぞれ実施、これによりデータ抽出のクロスチェックとした。無作為化試験および非無作為化試験におけるバイアスの危険性を、コクラン共同計画の拡張バイアスリスク評価ツール(extended Cochrane Collaboration tool for assessing risk of bias)を使用して評価した。バイナリアウトカムは95%信頼区間(CI)を有するリスク比として示した。連続アウトカムは95%CIを伴う標準化平均差、そして95%信頼Clを伴う平均差として示した。可能であればメタ回帰法を用い、想定される不均一性の原因を調査する予定であったが、データ不足により断念した。 主な結果は以下のとおり。・8件の試験(RCTが3件と前向きコホート研究5件)、抗うつ薬治療中のてんかん患者471例を対象にレビューを行った。・RCTはすべて、抗うつ薬と実薬、プラセボまたは無治療との比較を行った単施設での試験であった。・5件の非無作為化前向きコホート研究は、主に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によりうつ病治療中の部分てんかん患者におけるアウトカムを報告するものであった。・すべてのRCTおよび1件の前向きコホート研究については、バイアスのリスクが不明確と評価された。他の4件の前向きコホート研究については、バイアスのリスクが高いと評価された。・うつ病スコアが50%以上改善した割合に対するメタ解析は、比較した治療が異なっていたため実施できなかった。・記述的分析の結果、レスポンダー率は、投与された抗うつ薬の種類によって24%~97%の幅が認められた。・うつ病スコアの平均差に関しては、シタロプラムを用いた2件の前向きコホート研究(計88例)の限定的なメタ解析が実施可能であった。同分析では、うつ病スコアにおける効果予測1.17 (95%CI:0.96~1.38)であり、エビデンスの質は低かった。・てんかん発作頻度に関するRCTのデータがなく、また前向きコホート研究においても、比較対照となる治療が異なるためメタ解析は実施できなかった。記述的分析の結果、SSRIを用いた3件の試験において、発作頻度の有意な上昇は認められなかった。・抗うつ薬の中止理由として、無効よりも有害事象によるものが多かった。・SSRIに関する有害事象として嘔気、めまい、鎮静、胃腸障害、性機能障害が報告された。・3件の比較研究を通し、解析に使用した試験の規模が小さく、比較のために参照した試験が各1件のみであるという理由から、エビデンスの質は中程度と評価した。・最後の比較研究に関しては、2件の参照試験における試験方法に問題があるという点でエビデンスの質が低いと評価した。・てんかん関連うつ症状に対する、抗うつ薬の有効性に関するエビデンスは非常に少なく、ベンラファキシンがうつ症状に対し統計学的に有意な効果を示した小規模なRCTが1件あるのみであった。・てんかん患者のうつ症状治療に際し、抗うつ薬またはその種類の選択に関し情報を提供する質の高いエビデンスはなかった。・今回のレビューでは、SSRIによる発作悪化という観点から、安全性に関するエビデンスの質は低く、また発作に使用できる抗うつ薬の種類や安全性の判定に使用可能な比較対照データはなかった。心理療法は、患者が抗うつ薬の服用を好まない場合や許容できない有害事象のある場合に対して考慮されるが、現在のところ、てんかん患者のうつ病治療として抗うつ薬と心理療法を比較しているデータはなかった。うつ病を有するてんかん患者を対象とした、さらに踏み込んだ抗うつ薬および心理療法に関する大規模コホート比較臨床試験が将来のよりよい治療計画のために必要である。関連医療ニュース どの尺度が最適か、てんかん患者のうつ病検出 てんかん患者のうつ病有病率は高い パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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P3-12-01.Impact of treatment on quality of life (QOL) and menstrual history (MH) in the NSABP B-36

NSABP B-36におけるQOLと月経歴への治療の影響: リンパ節転移陰性乳がんにおけるFECとACを比較する第III相試験からNSABP B-36でFEC-100とACに生存率の差がないことが口演で示されたが、ポスターセッションにて毒性や無月経、QOLの違いについての評価が掲示されていた。QOL評価は、FACT-B、治療に特徴的な症状のチェックリスト、SF-36の中のvitality scaleによって行った。評価時期はベースライン、4サイクル目、6、12、18、24、30、36ヵ月目の来院時である。サンプルサイズは、QOLについては1332例、生理周期については916例であった。FACT-B Trial Outcome Index(TOI)、Symptom severity checklist summary score(SCLSUM)、vitality score(VIT)について、ベースラインのスコア、術式、ホルモン受容体で調整し、2群の比較を行った。化学療法後の無月経の定義は18ヵ月の評価のうち12ヵ月以内に出血がないことであり、手術とホルモン受容体の有無で調整した。結論として、18ヵ月後の無月経の頻度はFEC-100で高く(67.0%>58.8%)、ホルモン受容体陽性(内分泌療法の使用)と関連し、NSABP B-30の結果を担保するものであった。FEC-100は6ヵ月の時点でACよりもQOLが不良だったが、その後12ヵ月以降は差がなかった。症状はいずれも化学療法によって増加し、36ヵ月の時点でもベースラインまでの回復はみられなかった。QOL、vitality、症状は12ヵ月の時点で2群間に差はなかったが、化学療法後に子供を希望する若年者にはACのほうが好ましい、と結んでいる。QOL評価をみるときに注意する問題はSOFT試験のQOL評価(S3-09)でも述べたが、レスポンスシフト、最小重要差、評価項目と評価法の適切さについて常に意識しながらデータを解釈する必要がある、ということを付け加えておきたい。【注】AC:ドキソルビシン+シクロホスファミドFEC:フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド

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S3-02. NSABP B-36 A randomized phase III trial comparing six cycles of 5-fluorouracil (5-FU), epirubicin, and cyclophosphamide (FEC) to four cycles of adriamycin and cyclophosphamide (AC) in patients with node-negative breast cancer(Geyer Jr CE, USA)

NSABP B-36:リンパ節転移陰性乳がんにおいて6サイクルのFECと4サイクルのACを比較する無作為化第III相試験投与量はAC(60/600)x4、FEC(500/100/500) x6である(図1)。もともとはCOX2阻害剤であるセレコキシブの効果もみるための2x2要因試験であった。しかし、心毒性の問題からセレコキシブの投与は中止となり、2群として試験は継続された。主要評価項目はリンパ節転移陰性乳がんにおいてFEC-100がACよりDFSの延長において優れているかを評価するものである。副次的評価項目はOSの延長、毒性の比較、QOLの違いをみることである。統計学的仮説は、5年のDFSがACとFEC-100とで84.7%から89.2%に改善することをみるのに0.75のハザード比を検出することである。そのために80%の検出力で385のイベントが必要とされた。DFSの違いはタイプ1エラーレベル両側α=0.05で検定する層別化log rankテストで、ハザード比と信頼区間はCoxハザードモデルで評価した。【図1】図1を拡大する2014年1月31日の時点で、400のDFSイベントが報告されため、試験を終了し、予定された分析を行った。中央観察期間は82.8ヵ月(7年)であった。年齢は50歳未満が約40%、ホルモン受容体陰性が約35%、腫瘍径2cm未満が50.0%、グレード3が43~44%であった。人種は白人が約85%であった。乳房部分切除術は68%で施行され、トラスツズマブは10~11%で投与された。グレード3~4の毒性発現率は倦怠感、好中球減少性発熱、感染、口腔粘膜炎、血小板減少、血栓塞栓のイベントはいずれもFEC-100で高かった。化学療法中の死亡はACで2例(腸炎、その他の死)、FEC-100で5例(好中球減少性発熱、血栓塞栓症、心内膜炎、その他の突然死、その他の死)に認められた。DFS、OSともにまったく差を認めなかった(図2a,b)。本試験でのACのDFSは82.3%と仮説通りであり、FEC-100でも82.1%と数値上もまったく変化をもたらさなかったことから、リンパ節転移陰性陽性にかかわらず、この結果は十分われわれに意義をもたらすものである。遠隔再発もACで66例(4.8%)、FEC-100で63例(4.7%)と同等であった。サブセット解析ではERの状況で傾向に差があるが、薬剤の性質が類似していることから、この違いを意味のあるものと捉えることはできない(図3)。【図2a】図2aを拡大する【図2b】図2bを拡大する【図3】図3を拡大するつまりA(ドキソルビシン)をE(エピルビシン)にしても、投与量を増やしても、サイクル数を増やしても治療効果は上がらないということである。さて、ここで過去の報告を簡単に整理してみよう。多くのデータからAと同等の効果を及ぼすにはEは1.2から1.5程度(おそらく1.5)の増量が必要である。すなわちA60とE90がほぼ同等と推測される。一方、うっ血性心不全5%の発生頻度は、Aでは累積投与量400(Cancer. 2003; 97: 2869-2879.)、Eでは920(J Clin Oncol. 1998; 16:3502-3508.)となっているが、評価基準も対象も異なっており、安全性に関してもEがAより優っているとは安易に判断しないほうがよい。ドキソルビシンの投与量による効果の違いCALGB8541: N+において、CAFの投与量は300/30/300、400/40/400よりも600/60/600が治療効果が高い(J Natl Cancer Inst. 1998; 90: 1205-1211.)。CALGB9344: N+において、ACの投与量を60/600、75/600、90/600と上げても治療効果は変わらない(J Clin Oncol. 2003; 21: 976-983.)。Eも同様に限界を超えるとは通常考えにくいことから、E90程度が至適投与量と考えたほうがよいだろう。過去には主にCMFとの比較において、アントラサイクリンの投与量による効果が検証されているが、注意しなければならないのは、治療効果はconventional CMF>iv CMFなので、あくまでconventional CMFと比較したデータをみなければならない(conventional CMFは、classical CMF、oral CMFとも呼ばれている)。ドキソルビシンのサイクル数による効果の違いCALGB40101:N0から3ケ(N0が94%を占める)において、AC4サイクルと6サイクルで4年のRFSは変わらない(J Clin Oncol. 2012; 30: 4071-34076.)。本試験では単独のパクリタキセル(80mg/m2 毎週投与または175mg/m2 2週毎投与)でも4サイクルと6サイクルで比較しており、やはり全く差はなかった。ドキソルビシンとCMFの比較NSABP B-15: N+において、3年でAC (60/600) x4 =conventional CMF(J Clin Oncol. 1990; 8: 1483-1496.)。SWOG 8897: ハイリスクのN0において、CAF(60) x6 = conventional CMF.(J Clin Oncol. 2005; 23: 8313-8321.)。エピルビシンとCMFの比較(エピルビシンの投与量比較を含む)FASG05: N+において、10年で FEC (500/50/500) x6 < FEC (500/100/500) x6 (J Clin Oncol. 2005; 23: 2686-2693.)。N+において、4年でEC (60/500) x8 < EC (100/830) x8 = conventional CMF (J Clin Oncol. 2001; 19: 3103-3110.)。ICCG: N+ において、4.5年で FEC (600/50/600) x6 = conventional CMF (J Clin Oncol. 1996; 14: 35-45.)。NCIC.CTG MA.5: N+において、10年でCE(60x2)F = conventional CMF(J Clin Oncol. 2005; 23: 5166-5170.)。※ HER2過剰発現別にみると、HER2陰性では差がないが、陽性では有意差あり(OSにおける多変量解析)(Clin Cancer Res. 2012; 18: 2402-2412.)。Dose denseItaly: N0〜N+において、FEC(600/60/600) x6 2 weeks = 3 weeks(J Natl Cancer Inst. 2005; 97: 1724-1733.)。※ HER2過剰発現別にみると、HER2陰性で差ないが、陽性では有意差あり(OSにおける多変量解析)(Br J Cancer. 2005; 93: 7-14.)。またコントロール群がそもそも標準ではなく、何ら参考にならない試験もある。例…GEICAM: N0〜N+において、3-week FAC(500/50/500)x6 > 3-week CMF(600/60/600) x6 (Ann Oncol. 2003; 14: 833-842.)。このようにみてくると、乳がん術後補助療法においてエピルビシンがドキソルビシンに優っているとする根拠はそもそも乏しかったことがわかる。エピルビシンのコストはドキソルビシンよりも高いため、私たちはこのことを十分踏まえながら薬剤選択を行う必要があるだろう。【注】AC:ドキソルビシン+シクロホスファミドFEC:フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミドCMF:シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル

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個別遺伝子診断データを国で共有するのは有用か/Lancet

 遺伝子診断は現在、希少な疾患の臨床診断に応用され始めているが、一方で、個々の研究解析で得られたゲノム所見は共有されるべきものなのか、いくつのカテゴリーで共有されるべきものなのかといった問題が国際的な議論のトピックとなっている。また、臨床的に重要な異型を確認し共有するための強固な分析ワークフローの開発も重要な課題となっている。英国・Wellcome Trust Genome CampusのCaroline F Wright氏らは、発達障害に焦点を当てた分析ワークフローの開発に取り組み、その概要と臨床的有用性について報告した。Lancet誌オンライン版2014年12月16日号掲載の報告より。英国内の発達障害未診断の子供および両親のゲノムデータを分析 研究グループによる発達障害解読(Deciphering Developmental Disorders:DDD)研究は、英国内を網羅する患者募集ネットワークを整備して行われた。同ネットワークには臨床医180人が関与し、全24地域の遺伝子サービスを網羅していた。ゲノムワイド・マイクロアレイを行い、発達障害未診断の子供およびその両親の全エクソームシーケンスを行った。 データを分析後、関連遺伝子異型を各地の臨床ゲノムチームを介して個々の研究参加者に返信した。分析データを基に、未診断1,133例の27%に診断 結果、エクソームシーケンスとマイクロアレイ分析から約8万の遺伝子異型が特定された。そのうちおよそ400は稀少なもので、変異したタンパク質であると予測された。 新規および既知の発達障害遺伝子とは異なる変異体に焦点を当てることにより、以前に調査はされていたが発達障害が未診断であった1,133例の小児のうち、27%について診断をつけることができた。 両親がノーマルな家系において、子供と両親の全エクソームシーケンスにより、子供のみのシーケンスと比べて、臨床的な評価が必要な原因異型を10倍量減らすことができた。 既知の遺伝子で特定された診断異型の多くは新規のものであり、既知の疾患バリエーションの直近データベースにないものであった。 今回の検討を踏まえて著者は、「強固なワークフローの実施が、大規模なスケールの稀少疾患研究を可能とし、臨床医と研究参加者に診断所見のフィードバックを可能とする」と述べ、「系統的な臨床データの記録、遺伝子表現型知識ベースの整理、臨床意思決定支援ソフトウェアの開発が、さらなる異型除外を自動で行うために必要である。一方で、研究設定内での臨床報告システムの開発と維持には相当なリソースが必要でもある」と指摘している。

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LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)-300

 Door-to-Balloon Time(DTB)に関する議論が脚光を浴びている。医学界で最も権威が高い2誌(NEJMとLancet)がDTBに関する解析結果を掲載し、しかもその指し示す方向が正反対だったのである。さらに驚くべきことに、この2つの解析は同じデータセットから抽出されたものであった。大いなる矛盾ともいえるこの結果をどう解釈していくべきなのか、順番にみていきたい。循環器内科を専門とされない先生方へ  DTBはST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)の患者さんが救急外来のドアを開けてから(Door)、緊急カテで冠動脈インターベンションを受ける(Balloon)までの時間のことを指します。2000年頃よりこのDTBが短ければ短いほどSTEMI患者さんの予後がよいことがわかってきたので、欧米では2005年頃から大規模なキャンペーンが行われました。その結果、2010年頃にはDTB 90分以下という基準を90%の症例で達成するに至り(90/90)、わが国でも遅ればせながら2014年の診療報酬改定にDTBが考慮されるようになりました※。 ただし、最近はDTBが重視されるあまり「行き過ぎ」の声もあり(例:患者さんを一切トイレに行かせなかったり、当直の循環器医を強制的にカテ室に待機させるなど)、あまりに数値優先の現場に反省を促す声も上がっています。※2014年の点数制では、同じSTEMI患者に緊急カテ(ステント留置)を行っても、DTBが90分以下ならば34,380点、これを満たさなければ「不安定狭心症」扱いで24,380点となります。 まず、NEJM側(2013年9月5日号)に掲載された解析1)の要旨は以下の通りである。●2005年から2009年の間に米国で施行された9万6,738例のSTEMI患者が対象となった(515施設からのデータ[NCDR CathPCIレジストリ]、緊急カテの後インターベンションを施行された症例のみ)。●転送症例やDTBが3時間以上かかっている症例は除外。●2005年から2009年までの間に平均DTBは83分から67分に短縮された。●がしかし、その期間の重症度補正された院内死亡率(5.0 vs. 4.7%、p=0.34)に有意差は認められなかった。この結果を受けて、「DTBにもはや意味はなくなった」だとか、「60分でもまだ長すぎる」などという議論が巻き起こり、さらにDTBを医療の質の指標として用いることにも疑問が呈された。 そして、今回Lancet側(オンライン版2014年11月19日号)に掲載された解析2)は以下の通りである。●2005年から2011年の間に米国で施行された15万116例のSTEMI患者が対象となった(423施設からのデータ[NCDR CathPCIレジストリ]、緊急カテの後インターベンションを施行された症例のみ)。●転送症例やDTBが3時間以上、そして15分以下、さらにデータが信頼できない施設の症例は除外。●2005年から2011年までの間に平均DTBは86分から63分に短縮された。●その期間の重症度補正された死亡率は上昇していた(5.0 vs. 4.7%、p=0.34)。●がしかし、DTBが短縮されるごとに死亡のリスクは下降傾向にあり(10分短縮されるごとに約10%院内死亡率が低下)、このトレンドは2005年から2011年の間すべての期間に共通して認められた。 いかがだろうか? Lancet側の論文の著者たちは論文の結語で「緊急カテに回ってくるSTEMI患者の重症度がここ数年で上がってきていて、全体の死亡率は上昇している。しかし、DTBを短縮するごとに予後が改善するトレンドに変更はない」と書いており、個人的にもこの結論は妥当なものと思う。むしろNEJM側の解析が「粗すぎた」のではないか? そうしたところは解析症例を抽出する際の除外基準の緩さにも現れている(Lancet側のほうが除外基準が厳しい;上記赤字部分参照されたい)。 この2つの研究からの“Take Home Message”は以下の2点に集約される。1)“Devil is in the details”。たいていの論文の最も大切な情報はMethodsにひっそりと隠されている。2)大規模データベース研究では重症度補正やサブグループ化など重層的に解析が行われるが、すべて同じ方向を指し示しているか確認する必要がある。これらは後ろ向き解析の宿命のようなもので、逆に前向きのランダム化研究などではこうした複雑な方法論の読み込みは必要ない。ランダム化が適正に行われていれば2群の比較だけに注目すればよく、統計的な補正は補助的な役割に留まるからである。ただし、本当にその論文に準じて自分の診療(practice pattern)を変更しようとするのならば、どのような研究でもMethodsを読み込むことを推奨したい。 最後に、蛇足かもしれないが、日本からもDTBに関する有力な論文が発表されていることを付記したい3)※※。主要なメッセージとしては、DTBの予後改善効果は非常に短い経過(発症2時間以内)で救急外来にやってきたSTEMI患者に限定される、というものだが、この研究では院内死亡率だけでなく長期的な予後も追っており、丁寧に多方面からデータを示している。このあたりのことが現場感覚からいくと存外真実に近いのではないかと思われるが、今後も欧米からのマスデータ、日本からのきめ細かいデータの双方から報告が期待される。※※塩見 紘樹、中川 義久、木村 剛ら(京都大学)によるCREDO-Kyotoコホートの解析。

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「第29回日本医学会総会 2015 関西」事前参加登録 締切迫る!(1月31日)

 「第29回日本医学会総会 2015 関西」の開催が近づいてまいりました。メインテーマ「医学と医療の革新を目指して―健康社会を共に生きるきずなの構築―」のもと、少子超高齢社会に突入した現在が抱える医学・医療の問題について話し合います。 在宅医療や介護、終末期医療、持続可能な医療制度のほか、iPS細胞やロボット手術などの最先端医療、予防医学につながる先制医療、感染症のグローバル化など。多岐にわたるこれらの課題を「20の柱」に整理し分野横断的に議論します。 医学・医療を取り巻く課題の先送りは許されません。「第29回日本医学会総会 2015 関西」ではこれらの課題に正面から向き合います。一人でも多くの方のご参加をお待ちしています。1月31日(土)まで、事前登録受付中! 参加費割引と特典が付いており、お得です。参加登録はこちらから⇒ http://isoukai2015.jp/registration/【事前登録の特典】(1)「産業医セッション」事前申込(席数限定)   最新の残席情報⇒ https://reg-isoukai2015.jp/public/application/add/42(2)プレミアムツアー(先着順)  『普段見られない/入ることができない/体験できない』をテーマに、  総会参加者向けにプレミアムツアーをご用意いたしました。(3)託児室無料サービス(お申込みは1月30日まで)  詳しい情報はこちらから ⇒ http://isoukai2015.jp/registration/nursery.html■開催概要 学術講演    4月11日(土)~13日(月) 国立京都国際会館ほか 学術展示    4月10日(金)~13日(月) 京都市勧業館「みやこめっせ」ほか 一般公開展示  3月28日(土)~4月5日(日)神戸国際展示場ほか 医学史展    2月11日(水・祝)~4月12日(日) 京都大学総合博物館 医総会WEEK  4月4日(土)~12日(日) 京都劇場、メルパルク京都ほか■特別プログラム(敬称略) 開会講演 山中 伸弥(京都大学iPS細胞研究所) 記念講演 日野原 重明(一般財団法人 聖路加国際メディカルセンター) 閉会講演 稲盛 和夫(京セラ株式会社)■学術講演「20の柱」 公式ホームページでは、学術講演「20の柱」の要点をQ&A形式で掲載しています。 詳細はhttp://isoukai2015.jp/program/をご覧ください。■産業医セッション産業医セッションも残席が少なくなっておりますので、お早目にご登録ください! 詳しくは⇒http://isoukai2015.jp/registration/credits.html 残席情報⇒https://reg-isoukai2015.jp/public/application/add/42「第29回日本医学会総会 2015 関西」ホームページhttp://isoukai2015.jp/index.html

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睡眠薬使用で不眠症患者のQOLは改善するのか

 米国・テキサス大学オースティン校のJulieta Scalo氏らは、全米の代表的な検体を用いて、不眠症および処方された睡眠薬の使用と健康関連QOLとの関連を評価した。その結果、処方睡眠薬の使用有無にかかわらず、不眠症は身体的・精神的QOLスコアの低下と関連していること、ベンゾジアゼピン系薬の使用は、身体的QOLスコアのさらなる低下と関連していたことなどを報告した。Quality of Life Research誌オンライン版2014年11月29日号の掲載報告。 本検討は、後ろ向きに評価されていたという点で限定的であったが、初となる国家レベルの処方睡眠薬使用を評価した研究であった。重回帰分析法にて、2005~2009年のMedical Expenditure Panel Surveyの被験者で、不眠症と診断された患者を、非診断群と比較した。また、診断群の患者について、処方睡眠薬使用者と非使用者を比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は、成人10万4,274例であった。そのうち不眠症と診断された人は1.3%(1,401例)であった。・不眠症被験者のうち、45.6%(639例)が、処方睡眠薬を使用していた。・不眠症被験者は、身体的側面のQOL評価項目(PCS)スコアは平均9.2ポイント、精神的側面のQOL評価項目(MCS)スコアは平均7.0ポイント、いずれも有意に低かった(p<0.001)。・人口統計学的および臨床的共変量で補正後も、その差は有意なままだった(PCSスコア5.1ポイント、MCSスコア6.2ポイント、p<0.001)。・不眠症被験者において、処方睡眠薬使用者(639例)と非使用者(762例)の健康関連QOL(HRQoL)のスコアについて、差はみられなかった。・薬のクラス別にみた分析で、ベンゾジアゼピン系薬使用患者(129例)のPCSスコアが、ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト使用患者(493例)と比べて有意に低かった(7.5ポイント差、p<0.001)。しかし、補正後の差は有意ではなかった(3.8ポイント差、p=0.018)。・これらの結果を踏まえて著者は、次なるステップとして、1人の患者で処方睡眠薬の使用と非使用を検討した試験や、さらに不眠症治療効果を測定するHRQoLの感度の評価が必要だとまとめている。関連医療ニュース 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは 新規不眠症治療薬は安全に使用できるか 不眠の薬物療法を減らすには  担当者へのご意見箱はこちら

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前立腺がん、診断後の身体活動が生存率上げる

 前立腺がん診断後の身体活動と死亡率との関連を調べた研究はほとんどない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のStephanie E. Bonn氏らは、前立腺がん診断後の身体活動が全死亡率および前立腺がん特異的死亡率に影響を与えるかどうかを、大規模コホートで検討した。その結果、身体活動性の高さが全死亡率および特異的死亡率の低下と関連することが示された。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2014年12月19日号に掲載。 本研究では、1997~2002年に限局性前立腺がんと診断され、2012年まで追跡調査された男性4,623例のデータを分析した。診断後のレクリエーションの運動強度(METs)、歩行または自転車走行、家事、運動に費やした時間と、全生存期間・前立腺がん特異的死亡までの期間の関連を調べるため、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルで推定した。すべてのモデルで、潜在的な交絡因子について調整した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、561例が死亡し、そのうち194例が前立腺がんにより死亡した。・全死亡率は、レクリエーションを5METs・時/日以上(HR:0.63、95%CI:0.52~0.77)、歩行もしくは自転車走行を20分/日以上(HR:0.70、95%CI:0.57~0.86)、家事を1時間/日以上(HR:0.71、95%CI:0.59~0.86)、運動を1時間/週以上(HR:0.74、95%CI:0.61~0.90)行った男性が、それぞれの活動でより活動性が低い男性と比較して有意に低かった。・前立腺がん特異的死亡率は、歩行または自転車走行20分/日以上(HR:0.61、95%CI:0.43~0.87)、運動1時間/週以上(HR:0.68、95%CI:0.48~0.94)の男性が有意に低かった。

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再発リスク高い閉経前乳がん、卵巣抑制で転帰改善/NEJM

 ホルモン受容体陽性の閉経前乳がん女性の治療では、タモキシフェン(TAM)による術後ホルモン療法が推奨されている。また、これらの患者では卵巣でのエストロゲン産生の抑制が再発を低減することが知られている。そこで、オーストラリア・メルボルン大学のPrudence A FrancisらInternational Breast Cancer Study Group(IBCSG)は、術後TAM療法への卵巣抑制療法の追加の有用性を検討し、再発リスクが高い患者で転帰の改善が得られる可能性があることを確認した。NEJM誌2014年12月11日号掲載の報告。卵巣抑制追加5年治療の効果を無作為化試験で評価 本研究はSOFT試験と呼ばれ、閉経前早期乳がんの術後補助療法において、TAM単独、TAM+卵巣抑制、アロマターゼ阻害薬エキセメスタン+卵巣抑制の3群を比較する無作為化第III相試験である(Pfizer社、Ipsen社、IBCSG、米国立がん研究所の助成による)。今回、フォローアップ期間中央値67ヵ月におけるTAM単独とTAM+卵巣抑制の2群の解析結果が報告された。 被験者は、前化学療法歴の有無で層別化された後、3群に無作為に割り付けられ、5年の治療が行われた。卵巣抑制療法は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)作動薬トリプトレリン(28日ごとに筋注)、両側卵巣摘除術、両側卵巣放射線照射のいずれかを施行した。主要評価項目は無病生存率(DFS)であった。 2003年12月~2011年1月までに、TAM単独群に1,021例、TAM+卵巣抑制群には1,024例が割り付けられた。全体の年齢中央値は43歳、前化学療法歴ありが53.3%、リンパ節転移陽性が34.9%、腫瘍径>2cmが31.9%、前ホルモン療法歴ありは25.7%だった。多変量解析では有意に良好 5年DFSはTAM+卵巣抑制群が86.6%、TAM単独群は84.7%であり、両群間に有意な差は認めなかった(再発、2次浸潤がん、死亡のハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.66~1.04、p=0.10)。一方、多変量解析では、TAM+卵巣抑制群のDFSがTAM単独群よりも有意に良好であった(HR:0.78、95%CI:0.62~0.98、p=0.03)。 再発例のほとんどが化学療法施行後も閉経前状態の患者であったが、これらの患者の5年無乳がん生存率はTAM+卵巣抑制群が82.5%、TAM単独群は78.0%と有意な差はないものの、臨床的に意味のある再発数の減少が認められた(HR:0.78、95%CI:0.60~1.02)。 TAM投与を早期に中止した患者は、TAM+卵巣抑制群が16.7%、TAM単独群は21.7%であり、TAM+卵巣抑制群のトリプトレリン完遂率は80.7%であった。 Grade 3以上の有害事象の発現率は、TAM+卵巣抑制群が31.3%、TAM単独群は23.7%であった。TAM単独群に比べTAM+卵巣抑制群で頻度の高い有害事象として、ホットフラッシュ、発汗、性欲減退、膣乾燥、不眠、うつ状態、筋骨格系症状、高血圧、耐糖能異常(糖尿病)が認められた。また、骨粗鬆症がTAM+卵巣抑制群の5.8%、TAM単独群の3.5%にみられた。 著者は、「患者集団全体では卵巣抑制追加のベネフィットは得られなかったが、再発リスクが高く、術後化学療法が施行されたが閉経に至らなかった患者では、転帰の改善が得られた」と結論している。

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非制限的な輸血でも長期死亡を抑制せず/Lancet

 心血管疾患あるいはリスク因子を有する高齢の高リスク群において、非制限的輸血戦略は制限的輸血戦略と比べて死亡率に影響を及ぼさないことが、米国ロバート・ウッド・ジョンソン大学病院のJeffrey L Carson氏らによる無作為化試験FOCUSの3年生存と死因分析の結果、報告された。死因について群間で差はみられず、著者は、「今回の所見は、輸血は長期的な免疫抑制に結び付き、長期的な死亡率に重篤な影響を与えるという仮説を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告より。長期死亡率を比較分析 輸血は免疫機能を変化させ、そのため感染症やがん再発リスクを増し、長期死亡率に影響を与える可能性がある。限定的な輸血戦略と比較して、よりリベラルに行う非制限な輸血戦略は、心筋に与えるダメージを減らし心合併症を低下し、将来的な心血管疾患による死亡を抑制する可能性が示唆されていた。 研究グループは、非制限的な輸血戦略の有効性を検討するため、限定的な輸血戦略と比較し長期生存への影響を調べた。 FOCUS試験には、50歳以上で心血管疾患の病歴またはリスク因子を有しており、股関節骨折手術後3日以内で100g/L未満のヘモグロビン濃度を呈した患者が適格として、米国とカナダの47病院から登録された。 被験者は無作為に1対1の割合で、一括電話システムによって、非制限的輸血群と限定的輸血群に割り付けられた。非制限的輸血群は、ヘモグロビン濃度が100g/Lを維持するよう輸血が行われ、限定的輸血群は、80g/L未満もしくは貧血症状を呈した場合に輸血が行われた。 なお本検討は、FOCUS試験の副次アウトカムである長期死亡率を分析したものである。長期死亡率は、米国とカナダの死亡レジストリと結び付けて確認した。追跡期間中央値3.1年の死亡率は両群で有意差みられず 2004年7月19日~2009年2月28日の間に、非制限的輸血群に1,007例が、限定的輸血群に1,009例が登録され無作為に割り付けられた。 追跡期間中央値3.1年(IQR:2.4~4.1年)において、841例(42%)が死亡した。 非制限的輸血群の死亡は432例、限定的輸血群の死亡は409例であり、両群間で有意差はみられなかった(ハザード比:1.09、95%信頼区間:0.95~1.25、p=0.21)。 著者は、「輸血が、長期間の免疫抑制につながり、長期死亡を20~25%以上増大したり、死因の要因となるという仮説を支持しない所見が示された」と述べている。

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