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緑内障による失明、その移行率や予測因子は?

 緑内障は失明の主たる原因である。イタリア・ミラノ大学のLuca Rossetti氏らは、欧州の大学病院7施設で治療した緑内障患者を対象に、失明への移行率や危険因子について後ろ向きに調査した。その結果、約20%の患者が失明に至っていた。緑内障による失明の特徴としては、診断あるいは専門医への紹介が遅いことと、多くの症例が正常眼圧で疾患が進行し、目標眼圧は達成されていたことが挙げられたという。失明の予測因子は、大学病院初診時のMD値ならびに眼圧(IOP)高値、および高齢者であった。PLoS One誌オンライン版2015年8月24日号の掲載報告。 対象は、少なくとも片眼が緑内障の連続症例2,402例で、診療記録に基づき失明群とそれ以外(対照群)に分けて解析した。失明は、視力0.05または視野消失(10deg未満)と定義した。 主な結果は以下のとおり。・失明患者の割合は、初診時で片眼11.0%、両眼1.6%であったが、7.5±5.5年(範囲1~25年)の追跡期間終了時はそれぞれ15.5%および3.6%であった。・失明(少なくとも片眼)への移行率は1.1%/年であった。・134眼(97例)は、追跡期間中に原発開放隅角緑内障(POAG)によって失明した。・これらの患者において、初診時のMD値は-17.1±8.3dB、IOPは17.1±6.6mmHgであった。・追跡期間中にIOPは14%減少したが、MD値は1.1±3.5dB/年悪化した。この悪化は対照群(0.2±1.6dB/年)の5倍に上った。・多変量解析において、緑内障による失明の予測因子は大学病院初診時のMD値(p<0.001)およびIOP(p<0.001)、高齢者(p<0.001)であった。

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アポ蛋白C3のアンチセンス療法による難治性高トリグリセライド血症治療の新たな可能性(解説:山下 静也 氏)-407

 血清アポリポ蛋白(アポ)C3は、トリグリセライド(TG)リッチリポ蛋白、とくに動脈硬化惹起性の強いレムナントリポ蛋白の構成成分の1つで、主に肝臓で合成される。カイロミクロン、VLDLなどに含まれるTGは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)により分解され、遊離脂肪酸を放出してレムナントリポ蛋白となる。この過程はアポC2により活性化されるが、逆にアポC3はLPLによる分解を阻害し、血清TG値を上昇させる1)。また、中間比重リポ蛋白(IDL)をLDLに変換する肝性リパーゼ(HL)の活性やHDLのremodelingを、高濃度のアポC3が抑制する2)。さらに、アポC3はTGリッチレムナントリポ蛋白の肝臓での取り込みを抑制することも報告されており3)、アポC3の過剰は高TG血症、高レムナント血症、食後高脂血症を引き起こす。さらに、アポC3は細胞内でTG合成を促進し、肝臓でのVLDLの合成と分泌を増加させる4)。したがって、アポC3濃度の上昇はTGリッチリポ蛋白の分解のみならず、血中からのクリアランスの抑制を惹起し、動脈硬化惹起性であるVLDLやカイロミクロンレムナントの血中蓄積を引き起こす。 APOC3遺伝子欠損マウスでは、血清TGが低下し、食後高脂血症が防御される5)。ヒトではLancaster Amish の約5%がAPOC3遺伝子の欠失変異であるR19Xのヘテロ接合体であり、これらではアポC3濃度が半減し、空腹時および食後のTG値が有意に低く、冠動脈石灰化の頻度が60%も低い6)。Jorgensen氏らは、デンマークの2つの地域住民を対象とした前向き調査である、Copenhagen City Heart StudyとCopenhagen General Population Studyに参加した7万5,725例のデータを前向きに解析し、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたりTGが低値の集団において虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かを検討した7)。その結果、虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値の低下に伴って減少し、<90mg/dLの被験者は≧350mg/dLの場合に比べ、発症率が有意に低かった。また、APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合体の機能欠失変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)の保有者では、変異のない被験者よりも非空腹時TGが平均44%低値であり、虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は有意に少なかった。したがって、APOC3遺伝子の機能欠失型変異はTG値の低下、虚血性血管疾患のリスク減少と関連し、APOC3は心血管リスクの低減を目的とする薬剤の有望な新たな標的と考えられた。APOC3遺伝子の変異に関する同様の論文も発表されている8)。 このように、動脈硬化性疾患の発症抑制を目指したアポC3の制御による高TG血症の治療は、最近のトピックスとなっている。一方、家族性LPL欠損症等に起因する1,000mg/dLを超える高カイロミクロン血症は、難治性膵炎、発疹性黄色腫の原因となり、厳重な脂肪摂取の制限が必須である。しかしながら、治療にはきわめて抵抗性であり、フィブラート、ニコチン酸誘導体、ω3脂肪酸製剤を併用しても治療効果が十分ではなく、新たな治療法の開発が模索されていた。その中で、海外ではAAVベクターを用いたLPL遺伝子治療が試みられてきたが、膵炎の頻度は減らせるものの、TG値の顕著な低下は認められていない9)。 今回のアポC3アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた試験では、空腹時TG値が350~2,000mg/dL(単独療法群)、225~2,000mg/dL(フィブラート併用群)の患者に対して、APOC3遺伝子の発現を新規アンチセンスオリゴヌクレオチド製剤(ISIS 304801)の週1回投与で抑制し、用量依存性にアポC3とTG値の有意な低下が認められた。副作用についても、顕著なものは認められていない。ISIS 304801は第2世代のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤で、ヒトAPOC3 mRNAと選択的に結合し、ribonuclease H を介したmRNA分解により、APOC3 mRNA を減少させることで血中アポC3濃度を低下させる。すでに健常volunteerの第I相および家族性LPL欠損症の少数例での成績10)が報告されている。本報告は、さらにこれを発展させて、単独投与群、フィブラート併用群の2群において、用量についても検討した無作為、プラセボ対照、用量変更した第II相試験で、一部LPL欠損症ヘテロ接合体が含まれている。ISIS 304801投与により、アポC3が低下し、TGも顕著に低下したことは、本アンチセンス療法の有望性を示唆している。高カイロミクロン血症における膵炎の予防だけでなく、中等度高TG血症の症例では心血管イベント抑制につながる可能性もある11)。興味ある成果は、高TG血症の改善に伴ってHDL-C値が増加し、またLDL-C値も増加したことである。LPL抑制状態ではカイロミクロン由来の脂質のHDLへの転送が障害されており、HDL-C増加はC3減少によるLPL活性増加を反映していると考えられる。LDL-Cの増加は、おそらくVLDL→IDL→LDLへ変換が促進された結果であろうが、これが長期的に心血管イベントリスクの増悪につながるか否かは注意深く観察する必要があろう。また、アポC3の低下がLPL活性の増加につながったのか、あるいはTGの低下がTGリッチリポ蛋白の肝臓でのクリアランスの増加によるものなのか、あるいはアポC3アンチセンスオリゴヌクレオチドによるアポC3合成の減少が、肝細胞内でVLDLの分泌値低下を起こしたのかは、本研究では明らかにされていない。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドの注射による局所の変化以外に、長期的な副作用について、今後慎重な解析が必要であろう。【参考文献】1)Ginsberg HN, et al. J Clin Invest. 1986;78:1287-1295. 2)Kinnunen PK, et al. FEBS Lett. 1976;65:354-357. 3)Windler E, et al. J Lipid Res. 1985;26:556-565. 4)Qin W, et al. J Biol Chem. 2011;286:27769-27780. 5)Maeda N, et al. J Biol Chem. 1994;269:23610-23616. 6)Pollin TI, et al. Science. 2008;322:1702-1705. 7)Jorgensen AB, et al. N Engl J Med. 2014;371:32-41. 8)TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project, National Heart, Lung, and Blood Institute, et al. N Engl J Med. 2014;371:22-31.9)Burnett JR, et al. Curr Opin Mol Ther. 2009;11:681-691. 10)Gaudet D, et al. N Engl J Med. 2014;371:2200-2206. 11)Christian JB, et al. Am J Med. 2014;127:36-44.e1.

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タバコの原材料は輸入品ばかり?!

タバコの原材料は輸入品ばかり?! 国内で流通しているタバコの日本のタバコ産業6割を占める国産タバコです国内の葉タバコ生産輸入の葉タバコが、原材料の2/3は輸入した(平成26年度)(平成26年度)葉タバコを使用しています。(平成26年度) たばこ規制枠組み条約(FCTC)17条では、政府によるタバコ農家の転業支援を義務付けています。 タバコ農家の生活守りたいのであれば、タバコの購入・喫煙を続けるのではなく、輸入制限と転業・転作支援を推進しましょう。耕作者:5,911戸生産高:約1.9万t輸入量:約5.8万t国産タバコ(JTによる製造独占)販売数量国内シェア1,074億本(平成26年度)59.9% (平成26年度)財務省資料より一部改変社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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タバコとPM2.5

タバコとPM2.5PM2.5(μg/m3)【タバコによるPM2.5の汚染度合】1600… タバコは国内最大級のPM2.5発生源です700自由喫煙の居酒屋喫煙室不完全分煙の居酒屋(喫煙席)600 喫煙居酒屋のPM2.5濃度はもっとも数値が高かったときの北京なみタクシー内喫煙2人喫茶店500喫煙室緊急事態駅喫煙コーナー不完全分煙の居酒屋(禁煙席)400場外券売所 さらに、タバコの煙には人体に有害なガス成分が含まれています。完全分煙のファストフード店(喫煙席)300ファストフード店200大いに危険パチンコ店喫茶店PM2.5+有毒ガス100危険完全分煙のファストフード店(禁煙席)全面禁煙のコーヒー店日本禁煙学会資料より一部改変0社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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「受動喫煙は有害ではない」その論文、本当?

「受動喫煙は有害ではない」その論文、本当?タバコ産業から金をもらっている研究者タバコ産業から金をもらっていない研究者受動喫煙は有害だという論文2編(6%)65編(87%)受動喫煙は有害とはいえないという論文29編(94%)10編(13%)調査期間 1980年~1995年Barnes DE, et al. JAMA.1998;279:1566-1570.タバコ産業から研究資金をもらっている学者が受動喫煙の害を否定する論文を書いている!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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精神疾患の診断、過去の診断名が大きく影響

 精神医学において診断はユビキタスであり、ベネフィットをもたらす一方で、ラベリング効果の弊害となりうる。英国・キングストン大学のDanny C.K. Lam氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)併存の診断という不適切な提示がパニック症患者に対する臨床医の判断に影響を及ぼすかどうかを評価した。その結果、診断がもたらす保険数理的価値にかかわらず、現在も問題が併存しているように見える状況下では、臨床医は過去の診断名に大きく影響されることを明らかにした。著者らは、「したがって臨床医は、患者の記述に診断ラベルを使用すること、および過去の診断名が今もなお妥当であるかを確かめることに注意すべきだ。そうしたラベルが自身の臨床診断に影響しうることを忘れず、絶えず診断名に疑問を持つよう努めるべきである」とまとめている。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、与えられた情報の内容によって臨床医の判断がどのように影響されるかを評価する実験的研究を行った。臨床医265人に対して、1人の女性が単純性の“パニック症”の経験を述べているビデオを見せ、その後、彼女の現在の問題と起こりうる予後を評価してもらった。ビデオを見せる前に臨床医には彼女の情報を書面で与えた。その際、与える情報によって臨床医を3群に無作為に割り付けた。(1)個人データおよび一般的背景の情報のみ、(2)(1)の内容+BPDと一致する行動記述、(3)(2)の内容+診断名(BPDの既往歴)。 主な結果は以下のとおり。・BPDの診断名は、情報のみまたはBPD“症状”の行動記述よりも、患者の問題や予後に関するネガティブな評価と関係していた。・診断名は、治療への取り組みや反応といった治療変数のみならず、リスク問題や対人関係の有効性に関する医師の判断に、不適切かつネガティブな影響を与える可能性があった。関連医療ニュース 統合失調症の正確な早期診断のためには うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上 境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは  担当者へのご意見箱はこちら

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がん患者の再発VTEへのtinzaparin vs.ワルファリン/JAMA

 急性静脈血栓塞栓症(VTE)を呈した担がん(active cancer)患者に対し、低分子ヘパリン製剤tinzaparinは、ワルファリンとの比較においてVTE再発を抑制しなかったことが報告された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のAgnes Y. Y. Lee氏らが、900例を対象とした国際多施設共同無作為化試験の結果、報告した。複合アウトカム評価による本検討では、全死因死亡と重大出血抑制との関連は示されなかったが、臨床的に意味のある非重大出血の抑制は認められた。著者は、「再発VTリスクが高い患者で結果が異なるかについて、さらなる検討を行う必要がある」と述べている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。32ヵ国164施設900例を対象に無作為化試験 急性VTEを呈した担がん患者の治療については、先行研究の単施設大規模試験の結果を踏まえて、ワルファリンよりも低分子ヘパリンが推奨されている。 今回研究グループは、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北米、中米、南米の32ヵ国164施設で被験者を登録し、tinzaparin vs.ワルファリンの有効性と安全性について検討した。試験期間は2010年8月~2013年11月、無作為化非盲検試験にて試験アウトカムの評価は盲検化中央判定にて検討した。 被験者は、担がん状態(組織学的または細胞診で確認がされており、次のいずれかに当てはまる患者:(1)過去6ヵ月間にがんと診断、(2)再発、局所進行または転移性、(3)過去6ヵ月間にがん治療、(4)非完全寛解の造血器腫瘍)、客観的診断による近位部型深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症を有し、余命は6ヵ月超、抗凝固薬の禁忌なしの18歳以上成人であった。無作為に2群に割り付け、一方にはtinzaparin 175 IU/kgが1日1回6ヵ月投与(tinzaparin群449例)。もう一方は6ヵ月間の従来療法群として、最初の5~10日間tinzaparin 175 IU/kg 1日1回を投与したのち、ワルファリン単独投与でINR2.0~3.0を維持した(ワルファリン群451例)。 フォローアップ訪問が、7、14、30日、以後30日間ごとに180日時点まで行われ、また再発VTEの徴候や症状がみられないか、スタッフによる電話フォローが、月ごとの訪問後2週目に行われた。 主要有効性アウトカムは、中央判定による再発DVT、致死的または非致死的肺塞栓症、2次性VTE発生の複合とした。安全性アウトカムは、重大出血、臨床的に意味のある非重大出血、全死因死亡などだった。tinzaparin群の再発VTE、有意な抑制は認められず 結果、再発VTEの発生は、tinzaparin群31/449例、ワルファリン群45/451例だった。6ヵ月間の累積発生率は、tinzaparin群7.2% vs. ワルファリン群10.5%で、有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.41~1.03、p=0.07)。 同様に、重大出血(12例 vs.11例、HR:0.89、95%CI:0.40~1.99、p=0.77)、全死因死亡(150例 vs.138例、1.08、0.85~1.36、p=0.54)でも有意差はみられなかった。 一方で臨床的に意義のある非重大出血の発生については、tinzaparin群の有意な低下が認められた(49/449例 vs.69/451例、HR:0.58、95%CI:0.40~0.84、p=0.004)。

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肥満を引き起こす遺伝子のメカニズムが判明/NEJM

 ゲノムワイド研究の進展により、疾患関連の遺伝子座の特定が可能となっている。FTO遺伝子座は、肥満症との遺伝的関連が最も強いことが知られているが、その関連メカニズムは明らかになっていない。米国ハーバード・メディカル・スクールのMelina Claussnitzer氏らは、ヒトおよびマウスを用いた検討から、脂肪細胞の熱産生抑制と関連するFTOアレル遺伝子の存在、およびその基本メカニズムを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告。エピゲノムデータ、アレル活性などを調べ肥満メカニズムを解明 研究グループは、FTO遺伝子座と肥満症の関連の制御回路と基本メカニズムを明らかにするために、エピゲノムデータ、アレル活性、モチーフ保存性、レギュレータ発現、遺伝子共発現パターンを調べた。 患者およびマウスサンプルでみられた所見からの予測や、患者サンプルでのCRISPR-Cas9ゲノム編集を用いた予測を検証した。白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変えうるメカニズムも明らかに データから、肥満症と関連するFTOアレル遺伝子の存在が示された。同関連では、脂肪前駆細胞が自律的に、ミトコンドリア熱産生を抑制し肥満症をもたらしていた。具体的には、rs1421085 T-to-C一塩基多型が、転写制御タンパク質ARID5Bのモチーフを乱し、それにより前脂肪細胞の発現が促進され、早期脂肪細胞分化におけるIRX3とIRX5発現が倍増する。これによりミトコンドリアの熱産生は5分の1となり、脂肪細胞は、エネルギー消費型のベージュ脂肪細胞(ブライト細胞)からエネルギー貯蔵型の白色脂肪細胞に変化し、脂質の蓄積が増大していくとのメカニズムが判明した。 そして、マウスにおける検討で、脂肪細胞のIrx3抑制により、身体活動や食行動を変化せずに、体重減少とエネルギー消費が増大したことが示された。 また、リスクとなるアレル遺伝子を持つ患者において、脂肪細胞のIRX3またはIRX5のノックダウンにより、熱産生能が7倍まで回復した。一方これら遺伝子の過剰な発現は、非リスク・アレル遺伝子キャリアの脂肪細胞では相反する効果をもたらすことが示された。 さらに、リスク・アレル遺伝子を有する被験者の脂肪細胞のrs1421085において、CRISPR-Cas9編集によるARID5Bモチーフを修復することで、IRX3またはIRX5の発現は抑制され、褐色脂肪細胞プログラムが起動し、熱産生能が7倍まで上昇した。

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リラグルチド、肥満糖尿病患者の減量に有効/JAMA

 過体重/肥満(BMI 27.0以上)の2型糖尿病患者へのリラグルチド皮下注3.0mg(商品名:ビクトーザ)1日1回投与は、プラセボと比較して56週の間、有意な体重減少が認められ、5%以上または10%超の減量達成者の割合も有意に多かったことが示された。英国・レスター大学のMelanie J. Davies 氏らが、二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、報告した。体重の5~10%減少は、2型糖尿病および糖尿病関連の合併症を改善することが示唆されているが、現時点では、安全性、有効性が認められた体重コントロール薬はない。著者は今回の結果を踏まえて、さらなる検討を行い、より長期的に有効性、安全性を評価する必要があるとまとめている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。リラグルチド3.0mg、1.8mg、プラセボを投与し体重減少について比較 試験は2011年6月~2013年1月にかけて9ヵ国(フランス、ドイツ、イスラエル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国[イングランド/スコットランド]、米国)の126施設で被験者を募り行われた。 被験者の適格基準は、BMI 27.0以上、18歳以上、経口血糖降下薬0~3種類(メトホルミン、チアゾリジンジオン系薬、SU薬)服用、体重安定、HbA1c 7.0~10.0%であった。 1,361例がスクリーニングを受け、試験適格であった846例が3群に無作為に割り付けられた。各群の被験者は、12週間のoff-drugフォローアップ後、56週間にわたり、1日1回の(1)リラグルチド皮下注3.0mg投与(423例)、(2)同1.8mg投与(211例)、(3)プラセボ投与(212例)の介入を受けた。また全員が食事制限(総エネルギー摂取量を500kcal/日減らすよう推奨)と運動プログラム(早歩きを週150分)を受けた。 主要エンドポイントは3つで、56週時点の相対的な体重変化、ベースライン体重より5%以上減少した被験者の割合、または同10%超減少した被験者の割合であった。3.0mg群は、10%超体重減少者についても有意な差 被験者のベースライン体重は、リラグルチド3.0mg群105.7kg、同1.8mg群105.8kg、プラセボ群106.5kgであった。また、各群の平均年齢は55.0/54.9/54.7歳、女性被験者割合が48.0/48.8/54.2%、平均BMIは37.1/37.0/37.4、糖尿病罹病期間は7.5/7.4/6.7年などであった。 56週間の体重減少は、リラグルチド3.0mg群が6.0%(6.4kg)、1.8mg群4.7%(5.0kg)、プラセボ群2.0%(2.2kg)であった。対プラセボ群の推定差はリラグルチド3.0mg群-4.00%(95%信頼区間[CI]:-5.10~-2.90%、p<0.001)、同1.8mg群-2.71%(同:-4.00~-1.42%、p<0.001)であった。 5%以上体重減少者の割合は、リラグルチド3.0mg群54.3%、1.8mg群40.4%、プラセボ群21.4%であった。同様に対プラセボ群の推定差は、32.9%(95%CI:24.6~41.2%、p<0.001)、19.0%(同:9.1~28.8%、p<0.001)であった。 10%超体重減少者の割合は、それぞれ25.2%、15.9%、6.7%で、同様に対プラセボ群の推定差は、18.5%(95%CI:12.7~24.4%、p<0.001)、9.3%(同:2.7~15.8%、p=0.006)であった。 安全性に関しては、胃腸障害の報告が、プラセボ群(39.2%)と比較してリラグルチド3.0mg群(65.2%)、同1.8mg群(56.2%)で多かった。膵炎の報告例はなかった。

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少量飲酒でも発がんリスクは上昇する?/BMJ

 米国人では、大量飲酒は何種かのがんリスクを上昇することが知られている。ハーバードTHチャン公衆衛生大学院のYin Cao氏らは今回、少量~中等量の飲酒(女性1日1杯、男性1日1~2杯)により、有意差はないものの発がんリスクがわずかに上昇することを確認した。一方で、喫煙と独立した飲酒の役割は明らかになっていない。米国では非喫煙者が増加しているが、先行研究で喫煙は、飲酒ががんに及ぼす影響を部分的に促進する可能性があることが示されているものの、非喫煙者に喫煙者に関する知見をそのまま当てはめることはできないという。BMJ誌オンライン版2015年8月18日号掲載の報告より。少量~中等量飲酒の非喫煙者のリスクを2つのコホート試験で検討 研究グループは、アルコール摂取量が少量~中等量の非喫煙者の発がんリスクを定量化し、飲酒パターンが発がんリスクに及ぼす影響を評価するために、米国で進行中の2つの前向きコホート試験のデータを解析した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study:登録時30~55歳、1980年以降)および医療従事者追跡調査(Professionals Follow-up Study:登録時40~75歳、1986年以降)の参加者(女性:8万8,084例、男性:4万7,881例)の2010年までの追跡データを使用した。 1日アルコール摂取量(g/日)は、アルコール飲料のタイプ別に計算して合計量を算出し、6段階に分けた(非飲酒、0.1~4.9g/日、5~14.9g/日、15~29.9g/日、30~44.9g/日、45g以上/日)。少量~中等量のアルコール摂取とは、女性の場合は0.1~14.9g/日、男性は0.1~29.9g/日と定義した。 ビールは12オンス(355mL)でアルコール12.8g、ライト・ビールは12オンスで同11.3g、ワインは4オンス(118mL)で同11.0g(2006年に1杯分5オンス[148mL]に増量)、蒸留酒は標準量(44mL)で同14.0gとした。 がん全体のリスクのほか、アルコール関連がん(大腸がん、乳がん[女性]、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、肝がん、食道がん)のリスクについて評価を行った。 最長30年のフォローアップ期間中に、女性1万9,269例、男性7,571例(非進行性の前立腺がんを除く)ががんを発症した。ベースラインのアルコール摂取量中央値は、女性が1.8g/日、男性は5.6g/日であった。生涯非喫煙女性は1日1杯の飲酒で乳がんリスクが上昇 非飲酒群に比べ、女性の少量~中等量群のがん全体の相対リスク(RR)は、0.1~4.9g/日群が1.02(95%信頼区間[CI]:0.98~1.06)、5~14.9g/日群は1.04(95%CI:1.00~1.09)であった(傾向検定:p=0.12)。 同様に、男性では、0.1~4.9g/日群のRRが1.03(95%CI:0.96~1.11)、5~14.9g/日群が1.05(95%CI:0.97~1.12)、15~29.9g/日群は1.06(0.98~1.15)だった(傾向検定:p=0.31)。 少量~中等量群とがん全体の関連は、元喫煙者や生涯非喫煙者で類似していたが、中等量以上(30g/日以上)のアルコールを摂取する群では生涯非喫煙者よりも元喫煙者でがん全体のリスクがより高かった。 事前に定義されたアルコール関連がんのリスク上昇は、少量~中等量群の生涯非喫煙者の男性では明確ではなかった(傾向検定:p=0.18)が、5~14.9g/日群の生涯非喫煙女性ではアルコール関連がんのリスクが有意に上昇しており(RR:1.13、95%CI:1.06~1.20)、とくに乳がんのリスクが高かった。 より頻回の飲酒をする群や大量飲酒のエピソードのある群では、全体のアルコール摂取で補正後のがん全体のリスクは、男女ともにそれ以上増大することはなかった。 著者は、「少量~中等量のアルコール摂取者は男女ともに、がん全体のリスクがわずかに上昇していたが、有意ではなかった。1日に1~2杯の飲酒をする男性では、アルコール関連がんは主に喫煙者で発症しており、生涯非喫煙者のリスクははっきりしなかった。これに対し、1日に1杯の飲酒をする非喫煙女性ではアルコール関連がん(主に乳がん)のリスクが上昇していた」とまとめている。

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長時間労働は、冠動脈心疾患よりも脳卒中のリスクを高める/Lancet

 長時間労働を行う労働者は、標準時間労働の場合よりも脳卒中のリスクが高く、冠動脈心疾患のリスクは脳卒中に比べると低いことが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMika Kivimaki氏らIPD-Work Consortiumの検討で示された。長時間労働は心血管疾患や冠動脈心疾患のリスクを増大させることが、日本の調査を含むいくつかの研究で示され、標準時間労働と比較した相対リスク(RR)は約1.4倍に上昇することが知られている。一方、これらの研究の問題点として以下の点が挙げられるという。(1)出版バイアス(結果が肯定的な研究は、否定的な研究に比べ公表される可能性が高い)、(2)逆因果関係(進行性の器質的心血管疾患があるために、イベント発生前の期間の労働時間が短くなった)、(3)交絡関係(長時間労働は社会経済的地位が高い職種で多いが、心血管疾患は地位が低い職種のほうが高頻度)、(4)重要な心血管エンドポイントである脳卒中のリスクを検討した試験がほとんどない。Lancet誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告より。25件の前向きコホート試験のメタ解析 研究グループは、冠動脈心疾患および脳卒中のリスク因子としての長時間労働の影響を評価するために、前向きコホート試験の文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った(英国Medical Research Councilなどの助成による)。 2014年8月20日までにPubMedおよびEmbaseに登録された文献を検索した。また、Individual-Participant-Data Meta-analysis in Working Populations(IPD-Work)Consortiumと、オープンアクセスのデータアーカイブから20件のコホート研究に関する未発表のデータを収集した。 長時間労働の定義は、試験によって45時間以上から55時間以上/週とさまざまであった。本研究では標準時間労働を35~40時間/週とした。逆因果関係によるバイアスを回避するためにフォローアップ期間の最初の3年間に発生したイベントは除外した。また、社会経済的地位に関する層別解析を行った。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、既報と未発表データを統合した。 欧州、米国、オーストラリアの24コホートに関する25件の試験が解析の対象となった。冠動脈心疾患のメタ解析はベースライン時に冠動脈心疾患のない60万3,838例で、脳卒中のメタ解析はベースライン時に脳卒中のない52万8,908例で行われた。 フォローアップ期間は、冠動脈心疾患が510万人年(平均8.5年、イベント発生数4,768件)、脳卒中は380万人年(平均7.2年、イベント発生数1,722件)であった。冠動脈心疾患リスクが13%、脳卒中リスクは33%上昇 年齢、性別、社会経済的地位で補正後の冠動脈心疾患のリスクは、標準時間労働に比べ長時間労働(55時間以上/週)で有意に増大し(RR:1.13、95%信頼区間[CI]:1.02~1.26、p=0.02)、脳卒中のリスクはさらに上昇していた(RR:1.33、95%CI:1.11~1.61、p=0.002)。 この脳卒中の過度のリスクは、逆因果関係、他のリスク因子の多変量補正、脳卒中の確定法(診療記録、患者の自己申告)の違いを考慮した解析を行っても変化しなかった(RRの範囲:1.30~1.42)。 また、長時間労働と冠動脈心疾患のリスクには線形の傾向は認めなかったが、脳卒中のリスクとの間には用量反応関係が認められ、労働時間が長くなるほどリスクが大きくなった。すなわち、脳卒中のRRは、標準時間の労働に比べ、41~48時間/週の労働では1.10(95%CI:0.94~1.28、p=0.24)と10%上昇したものの有意な差はなかったが、49~54時間/週では1.27(1.03~1.56、p=0.03)と27%有意に上昇し、55時間以上/週では1.33(95%CI:1.11~1.61、p=0.002)と33%有意に増大した(傾向検定:p<0.0001)。労働時間カテゴリーの1つの上昇ごと(労働時間が長くなる)の相対リスクは1.11(95%CI:1.05~1.17)であった。 質の高い試験に限定した解析では、社会経済的地位が高い職種ほど長時間労働による冠動脈心疾患のリスクが有意に低かった(地位が低い職種:RR 2.18、p=0.006、中等度の職種:RR 1.22、p=0.40、高い職種:RR 0.87、p=0.56、群間差検定:p=0.001)。 本解析では、試験間の異質性、逆因果関係バイアス、交絡関係は認めず、性別や地域別のばらつきはみられず、脳卒中の確定法の違いの影響もなかったことから、これらの知見は頑健性が高いと考えられる。 著者は、「長時間労働によるリスク上昇は、脳卒中のほうが冠動脈心疾患よりも大きかった」とし、「これらの知見は、長時間労働を行う者では、血管のリスク因子の管理にいっそう注意を払うべきであることを示すもの」と指摘している。

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不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する

 慢性的な不眠症への治療は重要であり、一般に睡眠薬の処方が行われている。しかし、常用や長期使用は、耐性や依存性のリスクや有害事象のリスクを増大するため避けるべきとされ、2012年にアップデートされたBeers criteria(高齢者で不適切な薬物治療)では、高齢者の不眠症治療ではすべてのベンゾジアゼピン系薬を回避するよう示されている。イタリア・CRS4のSilvana Anna Maria Urru氏らは、地域薬局のサーベイデータを用いることで、不眠症に対するベンゾジアゼピン系薬の不適切な処方に関する情報を入手できることを報告した。International Journal of Clinical Pharmacy誌オンライン版2015年7月22日号の掲載報告。 研究グループは、イタリアの8つの地域薬局における観察研究を行い、不眠症に対するベンゾジアゼピン系薬処方の適切さを調べ、地域薬局が不適切な処方のサインを識別できるのか調べた。各薬剤師に、ベンゾジアゼピン系薬が1回以上処方された患者サンプルについてインタビューを行った。最小限のデータセットとして、社会人口統計学的情報、処方薬の適応症、処方期間、睡眠薬の数量、これまでに試みられた投薬中断、ベンゾジアゼピン系薬離脱に関する患者の希望、漸減方法に関する情報を集めた。主要評価項目は、適応症、治療期間、投薬量、投薬中断の試みと方法とした。 主な結果は以下のとおり。・計181例にインタビューが行われた。・約半数の回答者(81例)が、不眠症の治療を受けていることを報告し、62%が高齢者であった(平均年齢68歳、範囲27~93歳)。・52例(64%)が長期投与(>3年)を受けていた。13例(16%)の治療期間は1~3年にわたっていた。・33例がベンゾジアゼピンの服薬中止を支持していたが、全例が中止不成功であった。 今回の結果を踏まえ、著者らは「エビデンスベースのガイドラインをより厳しく遵守することが睡眠薬、鎮静薬の理に適った使用の基本である」と指摘している。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか 長期ベンゾジアゼピン使用は認知症発症に影響するか  担当者へのご意見箱はこちら

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医療機器では市販後臨床試験が重要になりつつある(解説:折笠 秀樹 氏)-404

 薬剤溶出性ステントなどのハイリスクな医療機器で、米国FDAが2010年と2011年に承認した28品目について、機器の一生(Total product life cycle)を調査した。クラス分類で言うとクラスIIIあるいはIVに相当すると思われる。米国ではPMA(Premarket approval)により機器は承認され、その後PAS(Post approval studies)が実施される。機器の一生とは、このPMAとPASで実施される臨床試験として定義する。 28品目は、FDAが有するPMAデータベースから選択された。それらの品目に関係する臨床試験は、米国NIH(国立衛生研究所)が有するClinicalTrials.govデータベースで検索された。全部で286試験が見つかり、そのうち市販前試験が82試験、市販後試験が204試験あった。市販後に実施された臨床試験が75%を占めていた。新薬では当たり前かもしれないが、機器では少し驚かされた。また、FDAが要求した市販後試験よりは自主的研究が多く(85%)、市販後3~5年で完了した臨床試験はわずか13%に過ぎなかった。 わが国でも2014年11月に医薬品医療機器法(いわゆる「薬機法」)が制定され、医療機器は迅速に承認されるようになった。その結果、日本でも市販後に臨床試験が実施される例が増えてくるだろう。しかしながら、米国の調査結果にみられるように、必ずしも首尾よく完了するとは限らない。医療機器ではモデルチェンジがあるため、その一生は短いことが多い。お蔵入りにならないよう、市販後臨床試験を真面目にやっていただきたい。

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超早産児の低酸素血症の予後に影響する因子/JAMA

 超早産児は生後数週間にわたり間欠性の低酸素血症や徐脈を経験する可能性がある。これまでその予後については不明であったが、ドイツ・テュービンゲン大学病院のChristian F. Poets氏らによるCanadian Oxygen Trialの事後解析から、月経後年齢(postmenstrual age)36週まで生存した超早産児において、生後2~3ヵ月に発生した1分以上の低酸素エピソードのみが、生後18ヵ月間の有害転帰と有意に関連していることが明らかにされた。この結果について著者は、「今後の研究でも同様の所見が認められれば、そのようなエピソードを予防するための検討が必要になる」とまとめている。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。Canadian Oxygen Trialの事後解析で検討 研究グループはCanadian Oxygen Trialの事後解析により、間欠性低酸素血症または徐脈と、その後の死亡および障害との関連を調べた。対象は、カナダ、米国、アルゼンチン、フィンランド、ドイツ、イスラエルの25病院で、2006年12月~2010年8月に誕生した在胎月齢は23週0日~27週6日、月経後年齢36週まで生存が認められた新生児1,019例であった。 2008年10月~2012年8月に追跡評価を行い、10秒間以上の低酸素エピソード(パルスオキシメーター酸素飽和度[SpO2]80%未満)または徐脈(80拍/分未満)を調べた。サンプリングは、生後最低36週間にわたり24時間、10秒ごとに行われた。 主要アウトカムは、月経後年齢36週後の死亡、修正月齢18ヵ月時の運動機能障害、認知または言語発達遅滞、重度難聴、両眼失明であった。副次アウトカムは、運動機能障害、認知または言語発達遅滞、重度未熟児網膜症などであった。低酸素曝露が長時間の場合にリスク増大 SpO2、脈拍データが記録された期間中央値は68.3日(四分位範囲:56.8~86.0日)であった。 低酸素血症の平均記録時間割合は、最低10%分位群で0.4%、最高10%分位群で13.5%であった。徐脈についてはそれぞれ0.1%、0.3%であった。 主要アウトカムの確認は972例で行われ、414例(42.6%)で発現が認められた。 低酸素エピソードは、月経後年齢36週後の死亡リスクまたは生後18ヵ月時の障害リスクの増大と関連しており、低酸素曝露最高位群56.5%に対し、最低位群は36.9%(モデル相対リスク:1.53、95%信頼区間[CI]:1.21~1.94)であった。この関連について、低酸素エピソードの持続時間で検討した場合、1分以上の場合にのみ有意であった(相対リスク:1.66、95%CI:1.35~2.05、p=0.001 vs.エピソード1分未満の短時間の相対リスク:1.01、95%CI:0.77~1.32、p=0.44)。 副次アウトカムについても同様に、すべての相対リスクが、低酸素曝露が長時間の場合に増大がみられた。 徐脈による、低酸素血症の予後への影響はみられなかった。

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認知機能改善効果が期待される新規抗うつ薬

 大うつ病性障害(MDD)では、しばしば認知機能障害の併発がみられる。いくつかの臨床試験で、MDDに対する抗うつ薬の認知機能促進作用が示されてきた。カナダ・トロント大学のJoshua D. Rosenblat氏らは、MDD患者の認知ドメインに及ぼす抗うつ薬の影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、抗うつ薬は精神運動速度と遅延再生にプラスの影響を及ぼし、なかでもvortioxetineが大きく寄与している可能性を示唆した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、MDDにおけるさまざまな認知ドメインに対する抗うつ薬の影響を統合評価する検討を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、Embase、PsychINFO、Clinicaltrials.govおよび関連するレビュー記事を検索し、2015年4月15日以前に発表された試験を特定した。抗うつ薬の認知機能への影響を評価したランダム化臨床試験のデータを統合し、ランダム効果モデルを用いて標準化平均差(SMD)を決定した。 主な結果は以下のとおり。・vortioxetine(国内未承認、728例)、デュロキセチン(714例)、パロキセチン(23例)、citalopram(国内未承認、84例)、phenelzine(国内未承認、28例)、ノルトリプチリン(32例)、セルトラリン(49例)の認知機能への影響を評価した9件のプラセボ対照ランダム化試験(被験者2,550例)を特定した。・抗うつ薬は、精神運動速度(SMD:0.16、95%信頼区間:0.05~0.27、I2=46%)と遅延再生(同:0.24、0.15~0.34、0%)にプラスの影響を示した。・認知制御および実行機能に対しては、統計学的に有意な影響は認められなかった。・vortioxetineを除外して解析したところ、精神運動速度において注目すべき統計学的有意差の消失が認められた。・SSRI(371例)、SNRI(25例)、三環系抗うつ薬(TCA)(138例)、ノルエピネフリンおよびドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)(46例)の影響を比較した8件の直接比較ランダム化試験が特定された。・それら試験結果を統合し分析した結果、認知機能への影響を示す統計学的有意差は認められなかった。・以上、抗うつ薬では、精神運動速度および遅延再生に対し有意なプラス効果があることを示唆するエビデンスが認められた。・検討は、結果の不均一性、不十分な試験数、サンプルサイズが小さく、結果はきわめて限定的である。関連医療ニュース 新規抗うつ薬の実力、他剤比較で検証 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない  担当者へのご意見箱はこちら

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テストステロンの補充は動脈硬化を進展させるか/JAMA

 テストステロンの長期投与がアテローム性動脈硬化に及ぼす影響は確立されていない。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShehzad Basaria氏らは、今回、TEAAM試験において、加齢に伴いテストステロン値が低下した高齢男性に対するテストステロンの3年投与は、アテローム性動脈硬化を進展させず、性機能や健康関連QOLを低下させないことを示した。近年、米国ではテストステロンを使用する高齢男性が増加しているが、長期投与のベネフィットやリスクは明らかではなく、心血管イベントとの関連については相反する結果が報告され、前臨床研究でも矛盾するデータが示されているという。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。長期投与の影響をプラセボ対照無作為化試験で評価 TEAAM試験は、高齢男性における潜在性のアテローム性動脈硬化の進展に及ぼすテストステロン長期投与の影響を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験(Solvay Pharmaceuticals社などの助成による)。 対象は、年齢60歳以上、朝(午前7~10時)の総テストステロン値が低値または低~正常値(100~400ng/dL)あるいは遊離テストステロン値<50pg/mLの男性であった。 被験者は、テストステロン(75mg)またはプラセボを3年間投与する群に無作為に割り付けられた。投与量は、テストステロン値が500~900ng/dLとなるように調節された。 主要評価項目は、アテローム性動脈硬化の指標である総頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)と冠動脈石灰化(CAC)スコアの複合アウトカムとし、副次評価項目は性機能、健康関連QOLなどであった。 2004年9月~09年2月に、米国の3施設に308例が登録され、テストステロン群に156例、プラセボ群には152例が登録された。IMT、CACスコアに変化なし、性機能、QOLは改善せず 患者背景は両群で類似しており、全体の平均年齢は67.6歳、高血圧が42%、糖尿病が15%、冠動脈疾患が15%、肥満が27%に認められ、43%がスタチンの投与を受けていた。平均総テストステロン値は、テストステロン群が307.2±64.3ng/dL、プラセボ群は307.4±67.4ng/dLだった。 IMTの変化率は、テストステロン群が0.012mm/年、プラセボ群は0.010mm/年で、年齢と施設で補正後の平均差は0.0002mm/年(95%信頼区間[CI]:-0.003~0.003、p=0.89)であり、両群間に有意な差を認めなかった。 また、CACスコアの変化率は、テストステロン群が31.4 Agatston単位/年、プラセボ群は41.4 Agatston単位/年で、補正後の平均差は-10.8 Agatston単位/年(95%CI:-45.7~24.2、p=0.54)であり、両群間に有意差はみられなかった。テストステロン群のテストステロン値の変化は、IMTや石灰化スコアの変化と相関しなかった。 両群間に、性欲(p=0.13)、勃起機能(p=0.10)、総性機能スコア(p=0.09)の差は認めなかった。また、身体機能や健康関連QOLにも有意な差はなかった。 総コレステロール(TC)、HDL-C、LDL-C、トリグリセライド、空腹時血糖値は両群間に差はみられず、国際前立腺症状スコア(IPSS)も同等であったが、ヘマトクリット(p<0.001)、ヘモグロビン(p<0.001)、前立腺特異抗原(PSA)(p=0.01)はテストステロン群で有意に高値であった。 著者は、「本試験の検出力はアテローム性動脈硬化の進展に限られ、心血管イベントを評価するものではないため、これらの知見は心血管におけるテストステロンの安全性を示すものではないことに留意すべき」と指摘している。

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ネットによる手洗い行動介入は気道感染症の抑制に有効/Lancet

 インターネットを利用して手洗い行動を促す介入法は、気道感染症の拡大の抑制に有効であることが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏が実施したPRIMIT試験で示された。手洗いは、気道感染症の拡大予防に広く支持され、とくに新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスのパンデミック(pandemic)の際には世界保健機関(WHO)が推奨した。一方、主な感染経路は飛沫とする見解があるなど、手洗いの役割については議論があり、また非貧困地域の成人に関する質の高い無作為化試験のエビデンスはこれまでなかったという。さらに、パンデミックのリスクの増大に伴い、迅速に利用できる低コストの介入法が求められている。Lancet誌オンライン版2015年8月6日号掲載の報告。プライマリケアでのネット介入の効果を検証 PRIMIT試験は、プライマリケアにおいて、手洗い行動へのインターネットを用いた介入(https://www.lifeguideonline.org/player/play/primitdemo)による気道感染症の拡大の抑制効果を評価するオープンラベルの無作為化試験(英国Medical Research Councilの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、1人以上の同居者がいる者とし、英国の一般医(GP)の患者リストから無作為に選んで、インフルエンザの感染拡大を防止する試験への参加を呼びかける書面を郵送した。被験者は、ウェブベースの介入を受ける群(介入群)またはこれを受けない群(対照群)に無作為に割り付けられた。 ウェブベースのセッションは週1回、合計4回行われ、内容は毎回更新された。セッションでは、インフルエンザの重要性や手洗いの役割に関する情報が提供された。また、手洗いの意欲を最大化する計画を立て、手洗い行動を管理し、個々の参加者に合わせたフィードバックを行うなどの介入が行われた。 主要評価項目は16週のフォローアップを完了した集団における気道感染症のエピソードであった。感染率:51 vs.59%、パンデミック期にも有効な可能性 2011年1月17日~2013年3月31日までに、英国内各地域344ヵ所のGP施設に2万66例が登録され、介入群に1万40例、対照群に1万26例が割り付けられた。このうち1万6,908例(84%、介入群8,241例、対照群8,667例)が16週のフォローアップを完了した。 16週時に、介入群の51%(4,242例)が1回以上の気道感染症のエピソードを報告したのに対し、対照群は59%(5,135例)であり、介入による有意な感染抑制効果が認められた(多変量リスク比[mRR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.83~0.89、p<0.0001)。 同居者の気道感染症エピソード(44 vs.49%、mRR:0.88、95%CI:0.85~0.92、p<0.0001)、インフルエンザ様疾患(6 vs.7%、0.80、0.72~0.92、p=0.001)、消化器感染症(21 vs.25%、0.82、0.76~0.88、p<0.0001)も、介入群で有意に抑制された。 介入により、気道感染症は同居者への感染だけでなく同居者からの感染も抑制された。また、16週および1年後のプライマリケアにおける抗菌薬の使用、および気道感染症によるプライマリケアでのコンサルテーションや入院も、介入群で有意に改善された。 試験期間中に両群2人ずつが感染症で入院した。ベースライン時に皮膚症状を認めなかった集団では、介入に伴い軽度の皮膚症状(自己申告)が増加した(4%[231/5,429例] vs.1%[79/6,087例]、p<0.0001)が、皮膚関連のコンサルテーションに影響はなかった。重篤な有害事象は報告されなかった。 著者は、「気道感染症やインフルエンザ様疾患では手から口への感染が重要であり、非パンデミック期における手洗い行動の増加を目指した簡便なインターネットベースの行動介入は、急性気道感染症の抑制に有効であることが示された」とし、「パンデミック期には、より関心が高まり、情報を求めてインターネットへのアクセスが増加することを考慮すると、このような介入はパンデミック期にも効果的に実施可能と考えられる」と指摘している。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第23回

第23回:消化性潰瘍とH. pylori感染症の診断とH. pylori除菌治療について監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 消化器病領域で遭遇する頻度が多い疾患の1つに消化性潰瘍が挙げられますが、その原因のほとんどが、ヘリコバクター・ピロリ菌感染とNSAIDsの使用によるものと言われています。ヘリコバクター・ピロリ菌には日本人の約50%弱が感染していると言われ、がんの発生にも関与しているため、どのような人にどのような検査・治療を行うべきかを理解しておくことが重要です。 除菌治療に関連して、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)などの新しい治療薬も販売されていますが、日本での除菌適応は「H. pylori 陽性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」で、胃炎の場合には上部消化管内視鏡での確認が必須となっていることに注意が必要です。いま一度、既存の診断と除菌治療戦略について知識の整理をしていただければ幸いです。 タイトル:消化性潰瘍とH. pylori感染症の診断とH. pylori除菌治療について以下、 American Family Physician 2015年2月15日号1)より一部改変H. pyloriはグラム陰性菌でおよそ全世界の50%以上の人の胃粘膜に潜んでいると言われ、年代によって感染率は異なる。十二指腸潰瘍の患者の95%に、胃潰瘍の患者の70%の患者に感染が見られる。典型的には幼少期に糞口感染し、数十年間持続する。菌は胃十二指腸潰瘍やMALTリンパ腫、腺がんの発生のリスクとなる。病歴と身体所見は潰瘍、穿孔、出血や悪性腫瘍のリスクを見出すためには重要であるが、リスクファクターと病歴、症状を用いたモデルのシステマティックレビューでは機能性dyspepsiaと器質的疾患を、明確に区別できないとしている。そのため、H. pyloriの検査と治療を行う戦略が、警告症状のないdyspepsia(胸やけ、上腹部不快感)の患者に推奨される。米国消化器病学会では、活動性の消化性潰瘍や消化性潰瘍の既往のある患者、dyspepsia症状のある患者、胃MALTリンパ腫の患者に検査を行うべきとしている。現在無症状である消化性潰瘍の既往のある患者へ検査を行う根拠は、H. pyloriを検出し、治療を行うことで再発のリスクを減らすことができるからである。H. pyloriを検出するための検査と治療の戦略は、dyspepsiaの患者のほか、胃がんのLow Risk群(55歳以下、説明のつかない体重減少や進行する嚥下障害、嚥下痛、嘔吐を繰り返す、消化管がんの家族歴、明らかな消化管出血、腹部腫瘤、鉄欠乏性貧血、黄疸などの警告症状がない)の患者に適当である。内視鏡検査は55歳以上の患者や警告症状のある患者には推奨される。H. pyloriの検査の精度は以下のとおりである。<尿素呼気試験>感度と特異度は100%に達する。尿素呼気試験は除菌判定で選択される検査の1つであり、除菌治療終了から4~6週間空けて検査を行うべきである。プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、検査の少なくとも2週間前からは使用を控えなければならず、幽門側胃切除を行った患者では精度は下がる。<便中抗原検査>モノクローナル抗体を用いた便中抗原検査は、尿素呼気試験と同等の精度を持ち、より安くて簡便にできる検査である。尿素呼気試験のように便中抗原検査は活動性のある感染を検出し、除菌判定に用いることができる。PPIは検査の2週間前より使用を控えるべきだが、尿素呼気試験よりもPPIの使用による影響は少ない。<血清抗原>血清抗原検査は血清中のH. pyloriに特異的なIgGを検出するが、活動性のある感染か、既感染かは区別することができない。そのため除菌判定に用いることはできない。検査の感度は高いが、特異的な検査ではない(筆者注:感度 91~100% 特異度 50~91%)2)。PPIの使用や、抗菌薬の使用歴に影響されないため、PPIを中止できない患者(消化管出血を認める患者、NSAIDsの使用を続けている人)に最も有用である。<内視鏡を用いた生検>内視鏡検査による生検は、55歳以上の患者と1つ以上の警告症状のある患者には、がんやその他の重篤な原因の除外のために推奨される。内視鏡検査を行う前の1~2週間以内のPPIの使用がない患者、または4週間以内のビスマス(止瀉薬)や抗菌薬の使用がない患者において、内視鏡で施行される迅速ウレアーゼテストはH. pylori感染症診断において精度が高く、かつ安価で行える。培養とPCR検査は鋭敏な検査ではあるが、診療所で用いるには容易に利用できる検査ではない。除菌治療すべての消化性潰瘍の患者にH. pyloriの除菌が推奨される。1次除菌療法の除菌率は80%以上である。抗菌薬は地域の耐性菌の状況を踏まえて選択されなければならない。クラリスロマイシン耐性率が低い場所であれば、標準的な3剤併用療法は理にかなった初期治療である。除菌はほとんどの十二指腸潰瘍と、出血の再発リスクをかなり減らしてくれる。消化性潰瘍が原因の出血の再発防止においてはH. pyloriの除菌治療は胃酸分泌抑制薬よりも効果的である。<標準的3剤併用療法>7~10日間の3剤併用療法のレジメン(アモキシシリン1g、PPI、クラリスロマイシン500mgを1日2回)は除菌のFirst Lineとされている。しかし、クラリスロマイシン耐性が増えていることが、除菌率の低下に関連している。そのため、クラリスロマイシン耐性のH. pyloriが15%~20%を超える地域であれば推奨されない。代替療法としては、アモキシシリンの代わりにメトロニダゾール500mg1日2回を代用する。<Sequential Therapy(連続治療)>Sequential TherapyはPPIとアモキシシリン1g1日2回を5日間投与し、次いで5日間PPI、クラリスロマイシン500mg1日2回、メトロニダゾール500mg1日2回を投与する方法である。全体の除菌率は84%、クラリスマイシン耐性株に対して除菌率は74%である。最近の世界規模のメタアナリシスでは、sequential therapyは7日間の3剤併用療法よりも治療効果は優れているが、14日間の3剤併用療法よりも除菌率は劣るという結果が出ている。<ビスマスを含まない4剤併用療法>メトロニダゾール500mg1日2回またはチニダゾール500mg1日2回を標準的な3剤併用療法に加える治療である。Sequential Therapyよりも複雑ではなく、同様の除菌率を示し、クラリスロマイシンとメトロニダゾール耐性株を有する患者でも効果がある。クラリスロマイシンとメトロニダゾールの耐性率が高い地域でも90%にも及ぶ高い除菌率であるが、クラリスロマイシンを10日間服用する分、sequential therapyよりも費用が掛かってしまう。除菌判定H. pyloriの除菌判定のための尿素呼気試験や便中抗原の試験の適応は、潰瘍に関連したH. pylori感染、持続しているdyspepsia症状、MALTリンパ腫に関連したH. pylori感染、胃がんに対しての胃切除が含まれる。判定は除菌治療が終了して4週間後以降に行わなければならない。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Fashner J , et al. Am Fam Physician. 2015;91:236-242. 2) 日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会.H. pylori 感染の診断と治療のガイドライン 2009 改訂版

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繊維摂取と大腸がんの関連~性別や部位で異なる

 これまでの研究において、繊維摂取量と大腸がん発症の間に負の相関が認められているが、がんのステージによる違いは検討されていない。スウェーデン・ルンド大学のAlexandra Vulcan氏らは、The Malmo Diet and Cancer Studyで、繊維摂取量とその供給源、および大腸がん発症との関連を、性別、腫瘍部位、TNM分類ごとに検討した。その結果、繊維摂取量と大腸がんの間に、性別、腫瘍部位、繊維供給源により異なる関連が認められた。とくに果物やベリー類からの高い繊維摂取は、女性において大腸がん発症を防ぐ可能性があるという。The British journal of nutrition誌オンライン版2015年8月18日号に掲載。 The Malmo Diet and Cancer Studyは45~74歳の集団ベースのコホート研究である。著者らは、食事データは改変食事歴法で収集し、TNM分類は病理/臨床記録から取得、再評価した。 主な結果は以下のとおり。・2万7,931人(女性が60%)における42万8,924人年の間に大腸がん728例が認められた。・繊維摂取量と大腸がんリスクとの間に負の相関がみられた(傾向のp=0.026)。・結腸がんに関しては、繊維摂取量と性別の交互作用はボーダーライン上であり(p=0.052)、女性に限れば有意な負の相関(傾向のp=0.013)が認められた。・果物とベリー類の摂取量は、女性において結腸がんと負の相関がみられた(傾向のp=0.022)。・直腸がんにおいて、繊維(p=0.048)および野菜(p=0.039)の摂取量と性別との間に有意な交互作用が認められたが、男女とも繊維摂取量やその供給源の間に有意な関連はみられなかった。・繊維豊富な穀物製品の摂取量とN0M0腫瘍における負の相関を除いて、異なったTNMステージでは有意な関連は認められなかった。

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