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スマートイヤリングで健康状態を追跡

 健康状態を把握するイヤリング型のウェアラブルデバイスThermal Earringの開発に関する研究成果が、米ワシントン大学(UW)ポール・G・アレン・スクール・オブ・コンピューター・サイエンス&エンジニアリングのQiuyue Shirley Xue氏らにより報告された。このイヤリングは、耳たぶの温度を継続的にモニタリングすることが可能であり、6人を対象にした小規模試験では、安静時の皮膚温の感知においてスマートウォッチよりも優れていることが示されたという。この研究結果は、「Proceedings of the ACM on Interactive Mobile Wearable and Ubiquitous Technologies」に1月12日掲載された。 Xue氏は、「私は健康管理のためにスマートウォッチを使っているが、多くの人がスマートウォッチはファッション性に欠け、かさばる上に着用感も良くないと感じていることに気が付いていた」と、スマートイヤリングの開発に至った背景を説明している。 「イヤリングにできるほど小さく、また頻回な充電を必要としない頑丈なウェアラブルデバイスを作ることは工学的な挑戦であった」と研究グループは振り返る。論文の共著者である米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のYujia Nancy Liu氏は、「通常、電力を長持ちさせたいのであればバッテリーを大きくしなければならないが、それではサイズが犠牲になってしまう。ワイヤレスにすることで消費電力も増える」と話す。 このような問題を乗り越えて作り出されたスマートイヤリングのプロトタイプは、縦31mm、横11.3mm、重さ335mgと、小さなペーパークリップと同等の大きさと重さで、バッテリーは28日間持つという。イヤリングには、耳に接する上部とその数センチ下の下部に、それぞれ耳たぶの体温を測定するセンサーと気温を測定するセンサーが搭載されている。下部にはBluetoothのチップとアンテナも内蔵されており、Bluetoothのアドバタイズ(Bluetooth機器がペアリング可能であることを伝える信号)を使用してスマートフォンなどのデバイスにデータを転送する。データの転送後、イヤリングは節電のためにディープスリープモードに入る。このイヤリングはまた、精度に影響を与えることなくレジンや宝石などで装飾することも可能だという。 研究グループは、このイヤリングを6人の人に着用してもらい、スマートウォッチによる測定結果と比較した。その結果、安静時の耳たぶの温度の最大標準偏差は、スマートイヤリングでは0.32℃、スマートウォッチでは0.72℃であり、前者の測定結果の方が安定していることが示唆された。 また、体温が37.8℃以上の発熱患者5人(ただし、1人は37.6℃)と平熱(37℃前後)の健康な対照者20人を対象に、室温が20〜22℃の類似した環境でスマートイヤリングによる体温測定を行った。その結果、耳たぶの温度は、発熱患者で平均35.62±1.8℃であったのに対し健康な人では29.7±0.74℃であり、スマートイヤリングを発熱患者のモニタリングに活用できる可能性も示唆された。このほか、スマートイヤリングは、食事、運動、ストレス、女性での排卵に関連した体温変化の検出にも優れていたという。 Xue氏は、「Apple WatchやFitbitのようなウェアラブルデバイスにも温度センサーが内蔵されているが、1日の平均体温しか分からない上に、手首や手の温度の測定値は排卵を追跡するにはノイズが多過ぎる。われわれは、イヤリング型のウェアラブルデバイスが、特に女性やファッションに関心のある人にとっても魅力的な選択肢となり得るかを見てみたかった」と説明している。 研究グループは、それぞれの潜在的な用途に適合するようにスマートイヤリングのアルゴリズムを訓練し、より広範なテストを行う予定である。Xue氏は、「将来的には、このイヤリングにより心拍数や活動量のモニタリングもできるようになるかもしれない」と話している。また、このイヤリングは、太陽エネルギーやイヤリングの振動により生じる運動エネルギーで駆動するようにできる可能性もあるという。

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昭和医科大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門【大学医局紹介~がん診療編】

林 直輝 氏(教授/診療科長)垂野 香苗 氏(准教授/診療科長補佐)成井 理加 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み、医師の育成方針当院のブレストセンターは、診察室、マンモグラフィ撮影室、超音波室、処置室、患者の集うリボンズハウスなどを1つのエリアに備え、患者中心の理想的な環境を提供しています。また、附属病院も含めて年間1,000件以上の手術を行う国内最大規模の、多くの若い力で活気に溢れた医局です。乳がん診療の発展と社会貢献のために、“乳がん診療の発展と社会に貢献できる視野の広い医師になる”、“良い臨床医になるためにScienceを理解する”を2つの柱として、臨床、研究、教育を進めています。臨床面での強み臨床面での当院の大きな強みは、国内でも早くから取り組んでいる遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)、MRIガイド下生検などです。さらに、乳がん診療における多方面からのde-escalationに取り組んでおり、手術の縮小を目指す臨床試験だけでなく、画期的な治療法である短期加速乳房照射「SAVI」を導入しています。これは通常約5週間かかる乳房部分切除後の照射を2~5日のみで完結するもので、time toxicityの新たな解決法になります。新しい技術を活用しながら、乳がん診療の進歩に貢献し、患者に最適な治療を提供するチームを目指します。医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力昭和医科大学乳腺外科の英語表記は、”Breast Surgical Oncology”です。乳がんに関わる周術期の治療のみではなく、診断から手術、再発転移までの治療を幅広く行う診療科です。また、HBOCなどの多診療科での連携した診療や昭和医科大学内のさまざまな研究所と連携した新薬の治験や臨床研究も多数行っております。また、ほかの診療科との連携も大学病院でありながらしやすい環境にあるのも魅力です。大学というバックグラウンドもあり、臨床と研究にバランスよく関われるのが当院の魅力であると思います。一般病院では難しい研究の支援も大学として、昭和医科大学統括研究推進センター(Showa Medical University Research Administration Center:SURAC)を中心に力を入れており、さまざまな支援を受けることができます。医局の雰囲気、魅力昭和医科大学の乳腺外科は、外科学講座を構成する一部門として、2010年に創設されたまだまだ歴史の浅い医局です。しかし、附属4病院(旗の台、豊洲、藤が丘、横浜市北部)、NTT東日本関東病院の乳腺外科を統括し、合わせて1,000件以上の乳がん手術を行っています。本部は、旗の台にある昭和医科大学附属病院で、日本で有数のブレストセンターがあります。昭和大学出身者が比較的多いですが、出身大学、初期研修病院などはさまざまです。また、途中入局の医師も多く在籍しており、異なるバックグラウンドの医師が在籍しております。女性医師も多く在籍しており、産休、育休の取得や時短勤務にも対応しております。また、毎朝のカンファレンスなどでの情報共有や、コミュニケーションの時間を重視しています。医学生/初期研修医へのメッセージ乳がん領域の診療は、画像診断、手術、薬物療法とさまざまな領域の発展が日進月歩です。将来的に何をどのように専門にしていくかは、医学生・初期研修医の段階で決めるのは難しいと思いますし、実際経験してみて自分の適性というものがわかることも多々あります。乳腺外科の分野でまず、幅広くいろいろなことを学び、自分の適性やビジョンを定めていくことをおすすめします。当科では、その点幅広い経験ができ、乳腺・乳がん診療に将来的に関わっていくうえで多岐にわたる経験を通じて、その後の進路を選択することができると思います。興味のある先生はぜひ一度見学にいらしてください。いつでも大歓迎です。毎朝行われるカンファレンスこれまでの経歴・同医局を選んだ理由2017年地方大学卒業後、初期研修は都内の他大学病院で1年目を大学、2年目を市中病院で研修を行いました。研修医のときに回った乳腺外科に興味を持ち、働きやすさとやりがいの両方から、乳腺外科への入局を考えるようになりました。同医局を選んだ理由としては大きく3つあります。1つ目は手術件数の多さです。私が入局を考えていた頃は新専門医制度が開始した直後であり、その制度もまだ不明な点も多く、大学病院など大きな病院での外科専門医取得を考えました。その中でも乳がん手術件数の多い当医局を入局先の候補として考え、実際に見学して入局を決定しました。2つ目は働きやすさです。見学した際に、他大学から入局されている先輩がいるかどうか、先輩方の雰囲気などを確認しました。当医局は、他大学や他研修先から入局する人も多く、上級医の先生方もほかの病院で勤務していた方が多いです。そのため外部からの入局者を歓迎している雰囲気があります。3つ目は早くから乳腺外科としての経験を多く積むことができることです。これに関しては、メリットデメリットどちらもあるかと思いますが、自分のやりたいことが決まっている方には、早くから乳腺外科の外来や手術などを経験できる点が良いと思います。現在学んでいること・今後のキャリアプラン現在私は医師7年目で、今年乳腺専門医を取得しました。3〜5年目は、外科プログラムに則り経験を積み、5年目頃からは乳腺外科を中心に診療を行っています。入局以降、上級医の先生にご指導いただき、毎年の学会発表や乳腺専門医の取得に必要な論文などを書かせていただきました。当医局では多くの症例と乳がん診療の経験豊富な先生方の指導のもと、専門医取得を行うことができます。専門医取得後のキャリアはさまざまです。自分のやりたいことがあれば、それを相談できる環境にあると思います。乳腺外科を考えられている方、ほかの科と乳腺外科とで迷われている方はぜひ一度見学にいらしてください。日本乳癌学会学術総会で昭和医科大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門住所〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8問い合わせ先breast.ikyoku@gmail.com医局ホームページ昭和医科大学病院乳腺外科昭和医科大学病院ブレストセンター専門医取得実績のある学会日本外科学会日本乳癌学会遺伝性腫瘍学会臨床腫瘍学会 など研修プログラムの特徴(1)乳がんの診断から手術、薬物療法と乳がんに関わる一連の治療をトータルで学ぶことができます。(2)放射線科、形成外科、産婦人科、遺伝診療部など多診療科に関わるチーム医療を学ぶことができます。(3)外科専門医、乳腺専門医の要件に十分な症例経験を積むことができます。

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【緊急寄稿】働き方改革、スタート目前!米国医師の働き方を変えた「10の仕組み」~第2回・スマホアプリ編~

第1回は米国病院の勤務体系についてご紹介しました。今回は米国と日本の臨床現場での大きな違いの1つとなっている、「スマホアプリ」がテーマです。多くの専用アプリが導入されており、業務の効率化や働き方改革に大きく貢献しています。今回は、その例をいくつかご紹介します。仕組み5:Haiku日本の電子カルテは富士通などが主流ですが、米国ではEpic Systemsの「Epic」という電子カルテシステムがシェアのトップを占めています。このEpicにはさまざまな便利機能が付いているのですが、一番大きな利点は「スマホで電子カルテを閲覧できる」ことです。スマホでは「Haiku」という名前のアプリで、由来はおそらく日本語の俳句から取ったものだと思うのですが、正確なところはよくわかりません。このアプリでは患者さんのカルテをどこでも閲覧可能で、業務効率が格段に上がります。血液検査データや画像検査の結果もアプリ上で閲覧できるため、検査データを確認するために電子カルテ用のパソコンを立ち上げる必要もなくなります。また、患者さんの皮膚所見など、カルテに取り込みたい画像がある場合には、アプリを立ち上げて患者さんを選択し、スマホで写真を撮影するだけで簡単に追加することができます。以前の日本の職場では、デジタルカメラで写真を撮り、USBでパソコンにつないで…という手順を追う必要があり、「Haiku」によって大幅な時間短縮になっています。さらに、Epicには「Epic chat」というメッセンジャー機能があり、看護師とのやりとりや他科へのコンサルトをLINEのような感覚で行えます。日本で働いていた時には院内PHSに頻繁に電話がかかってくるのがストレスでしたが、Epic chatでは空いた時間にまとめて返信できるので、業務に集中することができます。さらに、「消化管出血の患者さんへの治療介入を消化器内科、消化器外科、放射線科のどの医師が担当するかディスカッションする」という際、日本では専攻医の自分が仲介役となって各科の医師に何回も電話する必要がありましたが、Epic chatでは関係する科のグループチャットを作ってそこで議論ができるため、非常に効率が良いと感じます。仕組み6:Doximity「Doximity」というアプリは、遠隔診療やオンラインFAXの機能が充実しています。たとえば、「患者さんやその家族にスマホから電話をかけたいが、自分の電話番号は知られたくない」といったときに、このアプリから通話をすると、病院の電話番号経由で患者さんに電話をかけることができます。電子カルテの遠隔利用とこのサービスを組み合わせることで、医師は自宅からでも患者さんの家族に電話をかけたり、病状説明をしたりすることができます。また、日本と同じく、米国でもいまだに他の医療機関とFAXでのやりとりをするケースがあるのですが、Doximityはアプリ内で自分のFAX番号を作成して、送られてきたFAXをそのままスマホで閲覧したり、スマホで撮影した画像をFAXで送ることができたりする機能があります。シンプルですが、FAXに関連するトラブルを最小限にできるため、重宝しています。日本でも遠隔診療を進めるうえで、こうしたアプリの需要が高まってくるのではないでしょうか。仕組み7:AMiON米国では多くの医師が看護師のようなシフト制で働いています。そのため、「どの科のどの医師がその時間を担当しているか」を把握する必要があるのですが、その際に使われているのが「AMiON」という当直表管理アプリです。いわば「オンラインで見られる当直表」で、どの科の医師がどういうスケジュールで働いているかが、一目でわかります。勤務の交代があった場合でもオンライン上で簡単に変更ができます。日本では当直の変更があるたびに事務職員の方が当直表を新しく印刷して張り替える、ということをしていたので、それと比較して格段に効率的です。

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アラスカポックスウイルス、初の死亡例が報告される

 米アラスカ州保健当局は、同州の男性が、主に小型の哺乳類に感染する珍しいウイルスであるアラスカポックスウイルス(Alaskapox virus;AKPV)に感染して死亡したことを、「State of Alaska Epidemiology Bulletin」2月9日号で報告した。アラスカ州疫学課は、死亡したのは、キナイ半島在住の高齢男性で、がん治療による免疫抑制の既往歴があったことを説明し、「これは、入院と死亡に至った重症AKPV感染症の最初の症例だ。患者の免疫不全状態が病気の重症化に寄与したと思われる」と述べている。 アラスカ州保健当局によれば、2015年以来、AKPVのヒトへの感染例はわずか7例しか報告されておらず、この症例の男性が死亡した2024年1月以前に、AKPV感染が原因で入院した人や死亡した人はいなかったという。また、7人の感染者のうちの6人はフェアバンクスノーススター郡に居住しており、同郡ではアカハタネズミやトガリネズミがAKPVに感染していることが確認されている。 保健当局は、AKPV感染で現れる症状は、皮膚病変、リンパ節腫脹、筋肉痛や関節痛などであると説明している。米疾病対策センター(CDC)の疫学者Julia Rogers氏も、「AKPV感染症は症状が軽い場合が多いため、われわれが発見できなかった症例がこれまでにもあったかもしれない。AKPV感染症例の見つけ方を学ぶ医師が増えるにつれ、症例数は増加する可能性がある」とニューヨーク・タイムズ紙に話している。 今回の症例報告によると、男性は2023年9月に右腋窩に赤くて軟らかい丘疹があることに気付き、6週間で数回にわたってかかりつけ医と地元の救急外来を受診した。その際に男性は、よく世話をしている野良猫に引っ掻かれたことが何度もあると話したという。パンチ生検では、悪性腫瘍や細菌感染の証拠は認められなかった。男性には複数の抗菌薬が処方されたがどれも効果を示さず、倦怠感や、右腋窩と肩に痛みが生じ、丘疹も硬化していった。 男性の右腕は可動域が制限されるようになり、11月にその原因として蜂窩織炎の広範な進行が疑われて入院した。その後に移送されたアンカレッジの病院では、「焼けるような痛み」を訴えたという。右腋窩の生検部位は治癒しておらず、その周囲には灰色の凝集性プラークとともに大量の浸出液が認められた。CTとMRIによる検査では、右腋窩および肩に広範な筋炎が確認され、また、体全体に4つの小さな天疱瘡様の病変が認められた。 検査の結果、牛痘、天然痘、その他のウイルスへの感染の可能性は除外され、AKPVの感染症例と一致することが判明した。保健当局によると、この男性は入院中、傷が治るのに時間がかかり、栄養失調、急性腎不全、呼吸不全に陥り、2024年1月下旬に死亡したという。 男性を引っ掻いた野良猫は、エムポックスウイルスが属するオルソポックスウイルス属の検査でも陰性であったが、保健当局は、この野良猫が感染源である可能性があるとの見方を示している。アラスカ州疫学課のチーフJoe McLaughlin氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、「AKPVに感染した患者はいずれも猫か犬を飼っていた」と話している。 McLaughlin氏は、「AKPV感染症はまれであるため、アラスカの人々はこのウイルスを過度に心配すべきではないが、その存在に対する認識を高めるべきだというのが、われわれが伝えたい第一のメッセージだ」と話している。

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論文執筆における生成AIの利用範囲はどこまでか?(解説:折笠秀樹氏)

 ChatGPTなどの生成AI(GAIと呼ぶ)に関する、指針に関する調査報告です。ChatGPTは2022年に生まれ、急拡大したのは周知のとおりです。英文校正や翻訳作業の利用にとどまらず、論文執筆や図表作成にも使われ始めたようです。こうした生成AIの利用に関する指針が出てきたのは見聞きしていましたが、それに関する大々的な調査結果です。 当然ながら、著名な雑誌ほど投稿規定などにいち早く盛り込んでいました。トップジャーナルではすでに87%に及んでいますが、全体で見るとまだ24%しかないようです。生成AIを共著者とすることは、95%以上で禁止しているようです。しかし、生成AIを利用すること自体を禁止しているわけではありません。その範囲はどこまでにすべきかについて、雑誌ごとにばらばらのようです。コンセンサスが得られていないということなのでしょう。 著名な「Science」誌では、生成AIを利用した原稿や図表の作成を禁止したようです。「JAMA」誌では、原稿作成・校閲・修正の段階で生成AIを利用したなら、著者はそのことを謝辞に報告すべきとしたようです(Flanagin A, et al. JAMA. 2024 Mar 7. [Epub ahead of print])。ゴーストライター問題を思い出しました。論文執筆に関与したのに、あえて共著者に含めなかったわけです。生成AIもゴーストライターじゃないのかと思ったわけです。現状では、生成AIの作業は知的活動には当たらないとして、謝辞に示すのが大半のようです。どこまでの作業が許されるかについては、雑誌ごとにまだ揺れているようです。発展途上だから仕方ないことなのでしょう。 上位100の大手出版社の中にも、上位100の科学雑誌の中にも、日本産と思われるものが一つも含まれていないのは寂しい限りです。

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救急部の静脈ルート:18G vs.20Gガチンコ対決【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第253回

救急部の静脈ルート:18G vs.20Gガチンコ対決看護roo!より使用末梢静脈ルートは、救急医療だけでなく入院医療でも必須の処置の1つです。私は研修医の頃、太いルートを入れるのは苦手だったのですが、ベテラン看護師に集中特訓してもらう期間があって、それ以降わりと上手になりました。さて、三次救急の場合、18ゲージのような太いルートと、20ゲージのような細めのルートのどちらがよいでしょうか。当然、太い18ゲージのほうが大量輸液ができるわけで、こちらのほうが挿入難易度が高くなります。また、患者さんにとっても太い穿刺針は強い痛みを伴います。Mitra TP, et al. Spiced RCT: Success and Pain Associated with Intravenous Cannulation in the Emergency Department Randomized Controlled Trial.J Emerg Med. 2024 Feb;66(2):57-63.これは、三次救急の現場において、18ゲージと20ゲージの静脈ルート確保によって、患者が感じる疼痛や、手技の困難さを比較するために行われた単施設研究です。被験者は、18ゲージ群または20ゲージ群のいずれかにランダム化割り付けされました。評価項目は、患者が経験した挿入時の疼痛と、医療従事者が感じた手技上の困難さの2つで、10cmのVAS(Visual Analogue Scale)で評価されました。178例の患者が解析に含まれ、それぞれ89人ずつにランダム化されました。平均疼痛スコア(差0.23、95%信頼区間[CI]:0.56~1.02、p=0.5662)と平均手技難易度スコア(差0.12、95%CI:0.66~0.93、p=0.7396)の間に、統計学的または臨床的に有意差は確認されませんでした。また、18ゲージ群と20ゲージ群の間で、初回のルート確保成功率(89人中75人vs.89人中73人、p=0.1288)、および合併症(89人中1人vs.89人中2人)にも差は確認されませんでした。というわけで、18ゲージでも20ゲージでもそんなに変わりませんよ、というのが今回の研究の結論になります。しかし、個人的にはやはり18ゲージのほうが難しい気がするんですが…。うーむ。そうか、自信を持てということか!

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喫煙による咽頭がんリスク、非喫煙者の9倍に

 飲酒、喫煙ががん罹患リスクと関連するとの報告は多いが、頭頸部がんと飲酒、喫煙、食習慣との関連をみた研究結果が発表された。米国・ワシントン大学のDaniel P. Lander氏らによる本研究の結果は、JAMA Otolaryngology誌オンライン版2024年2月8日号に掲載された。 本研究は、前立腺がん、肺がん、大腸がんおよび卵巣がん検診に関する臨床試験参加者のコホート解析だった。参加者は55~74歳、1993年11月~2001年7月に全米10施設で募集された。頭頸部がんを発症した参加者は、喫煙、飲酒、食習慣解析のため、人口統計学および頭頸部がん家族歴に加え、喫煙状況および喫煙期間に基づいて対照群とマッチングされた。データ解析は2023年1~11月に行われた。 主な結果は以下のとおり。・計13万9,926例(女性51%、平均年齢62.6[SD 5.4]歳)が解析の対象となった。追跡期間中央値12.1(四分位範囲[IQR]:10.3~13.6)年に571例が頭頸部がんを発症した。・喫煙に関連した頭頸部がんのリスクはがんの部位が肺に近いほど増加し、リスクが最大だったのは喉頭がんだった(現在喫煙者の非喫煙者と比較したハザード比[HR]:9.36、95%信頼区間[CI]:5.78~15.15)。・飲酒と食習慣の解析には、喫煙解析例のうち9万4,466例が含まれ、追跡期間中央値12.2(IQR:10.5~13.6)年で264例が頭頸部がんを発症した。・頭頸部がんリスクは大量飲酒で増加(HR:1.85、95%CI:1.44~2.38)した一方で、全粒穀物の摂取(1オンス/日、HR:0.78、95%CI:0.64~0.94)、果物の摂取(1カップ/日、HR:0.90、95%CI:0.82~0.98)、Healthy Eating Index 2015でスコア化した健康的な食事の摂取(10ポイント、HR:0.87、95%CI:0.78~0.98)で減少した。 研究者らは「喫煙に関連する頭頸部がんのリスクは、肺に近い部位ほど大きくなった。大量飲酒はより大きな頭頸部がんのリスクと関連したが、健康的な食事はリスクの緩やかな低下と関連した」とした。

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男性乳がん患者、乳がん特異的死亡リスクは?

 StageI~IIIのホルモン受容体(HR)陽性の男性乳がん患者における乳がん特異的死亡リスクを調査した結果、そのリスクは少なくとも20年間持続することを、アルゼンチン・Grupo Oncologico Cooperativo del SurのJulieta Leone氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2024年2月29日号掲載の報告。 研究グループは、米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の集団ベースのデータを用いて、1990~2008年に乳がんと診断された男性を対象とした観察コホート研究を実施した。累積発生関数を用いて、乳がん特異的死亡および乳がん非特異的死亡の累積リスクに関するベースライン時の変数を推定した。Fine-Gray回帰を用いてあらかじめ選択した変数と乳がん特異的死亡との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析にはStageI~III、HR陽性の男性乳がん患者2,836例が組み込まれた。診断時の年齢中央値は67歳(四分位範囲:57~76)、追跡期間中央値は15.41年(同:12.08~18.67)であった。・乳がん特異的死亡の20年間の累積リスクは、StageIで12.4%、StageIIで26.2%、StageIIIで46.0%であった。・乳がん特異的死亡リスクのピークは二峰性で、N3で4年後、StageIIIで11年後に認められた。・診断から5年生存した患者において、乳がん特異的死亡リスクが高かったのは、64歳以上よりも50歳未満、グレード1よりもグレード2または3/4、StageIよりもIIまたはIIIであった。

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D2B time短縮で心原性ショック伴うSTEMIの院内死亡率が減少(J-PCIレジストリ)/日本循環器学会

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた心原性ショックを伴うST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者における、Door-to-Balloon(D2B)timeと院内死亡率との関連について、国内の大規模なレジストリである日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)の「J-PCIレジストリ」を用いた解析が行われた。その結果、D2B timeの10分の延長につき、院内死亡率が7%ずつ増加することが示され、D2B timeを短縮することは院内死亡率の減少につながる可能性が示唆された。3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies 1セッションにて、千葉大学医学部附属病院循環器内科の齋藤 佑一氏が発表した。 STEMIの治療成績・予後の決定因子として、発症から冠動脈再灌流までの時間が重要であるものの、その発症時間を正確に同定することが難しいことから、指標として用いられる機会は少ない。そのため、病院到着から再灌流までの時間であるD2B timeが、治療の迅速性を表す実用的な指標として用いられている。しかし、これまでに心原性ショックを合併したSTEMI患者におけるD2B timeに関して検証した報告は乏しい。 J-PCIレジストリは日本において実施されているPCIの約90%をカバーする大規模なデータベースである。本研究ではJ-PCIレジストリデータを用いて、2019年1月~2021年12月にわが国の1,190施設でPCIを受けた73万4,379例のうち、STEMI患者10万672例のデータを解析した。なお本研究では、年齢<20歳もしくは>100歳、STEMI以外のPCI、D2B time<15分未満もしくは>180分、心原性ショックを伴わない心停止症例は除外された。単変量および多変量解析を用いて、D2B timeと院内死亡率との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・プライマリPCIが実施されたSTEMI患者10万672例において、年齢中央値は69.4±13.0歳、女性23.8%、糖尿病有病率35.5%であった。・心原性ショックを合併した(CS+)患者は、1万3,222例(13.1%)であった。そのうち、心原性ショックを経験したが院外心停止を合併しなかった(CS+/CA-)群は7,994例(60.0%)、心原性ショックと心停止を両方とも合併した(CS+/CA+)群は5,278例(40.0%)であった。・機械的補助循環が使用されたのは、CS+/CA-群:42.2%、CS+/CA+群:49.6%であった。・心原性ショックを合併した患者では左冠動脈主幹部病変が多く認められ、CS+/CA-群:10.7%、CS+/CA+群:12.3%であった。・平均D2B timeは、CS-/CA-群:74.0±30.0分、CS+/CA-群:80.2±32.5分、CS+/CA+群:83.7±34.0分であった(p<0.001)。・院内死亡率は、CA-/CA-群:2.3%、CS+/CA-群:17.0%、CS+/CA+群:36.7%であり(p<0.001)、心停止合併症例ではとくに死亡率が高かった。・心原性ショックを合併したSTEMI患者において、D2B timeの延長は、単変量および多変量モデルにおいて死亡率の上昇と有意に関連していた。D2B timeの10分の延長につき、院内死亡率は7%ずつ増加することが示された(調整オッズ比[aOR]:1.07、95%信頼区間[CI]:1.06~1.08)。またD2B timeが院内死亡率に及ぼす影響について、明確な閾値は同定されなかった。・心停止の有無、機械的補助循環の使用、病院ごとの症例数などで層別化された感度分析においても、D2B timeの短縮は一貫して院内死亡率の減少と関連していた。 国内の大規模レジストリデータを用いた本研究により、D2B timeを短縮する努力は心原性ショックを伴うSTEMI患者の臨床転帰を改善する可能性が示唆された。なお本研究はJACC:Asia誌に掲載される予定だ。

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新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)、有効性・安全性を確認/Lancet

 新規2型経口生ポリオウイルスワクチン(nOPV2)は、ガンビアの乳幼児において免疫原性があり安全であることを、ガンビア・MRC Unit The Gambia at the London School of Hygiene and Tropical MedicineのMagnus Ochoge氏らが、単施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。nOPV2は、セービン株由来経口生ポリオウイルスワクチンの遺伝的安定性を改善し、ワクチン由来ポリオウイルスの出現を抑制するために開発された。著者は、「本試験の結果は、nOPV2の認可とWHO事前認証を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月22日号掲載の報告。ガンビアの乳児および幼児で、有効性、ロット間の同等性、安全性を検討 研究グループは、ガンビアにおいて2021年2~10月に、生後18週以上52週未満の乳児と1歳以上5歳未満の幼児を登録した。 乳児は、nOPV2の3ロットのうちの1つ(各群670例)またはbOPVの1ロット(335例)の計4群に、2対2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。また、nOPV2の3群のうち、それぞれ224例は2回投与群(1回目投与の28日後に同じロットのnOPV2を投与)に、bOPV群も同様に112例が2回投与群に無作為に割り付けられた。 幼児は、nOPV2(ロット1)群またはbOPV群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、28日間隔で2回投与を受けた。 免疫原性の主要アウトカムは、乳児におけるnOPV2ワクチン1回目投与28日後のポリオウイルス2型のセロコンバージョン(抗体陽転)率で、nOPV2の3群のうち各2群間のセロコンバージョン率の差の95%信頼区間(CI)が-10%から10%の範囲内にある場合、各ロットは同等であるとみなした。 忍容性および安全性の主要アウトカムは、投与後7日までの特定有害事象(solicited adverse events)、28日後までの非特定有害事象(unsolicited adverse events)、および投与後3ヵ月までの重篤な有害事象の発現率で、便中のポリオウイルス排泄量も調査した。全体で2回投与後の抗体保有率は93~96% 乳児2,346例が無作為に割り付けられ、2,345例がワクチンの投与を受け、2,272例が1回投与後の解析対象集団に、また746例が2回投与後の解析対象集団に組み入れられた。幼児は600例が無作為に割り付けられ、全例がワクチン投与を受けた。 乳児の1回投与群におけるセロコンバージョン率は、ロット1が48.9%、ロット2が49.0%、ロット3が49.2%であった。2ロット間のセロコンバージョン率の差の95%CIは、ロット1とロット2の比較で-5.5~5.4、ロット1とロット3の比較で-5.8~5.1、ロット2とロット3の比較で-5.7~5.2であり、ロット間の同等性が示された。 ベースラインにおいて血清陰性であった乳幼児におけるセロコンバージョン率は、乳児で1回投与後が63.3%(316/499例)(95%CI:58.9~67.6)、2回投与後が85.6%(143/167例)(79.4~90.6)、幼児ではそれぞれ65.2%(43/66例)(52.4~76.5)、83.1%(54/65例)(71.7~91.2)であった。 ベースラインにおいて血清陰性および血清陽性であった乳幼児における2回投与後の抗体保有率(血清中和抗体価が≧8を抗体保有と定義)は、乳児で92.9%(604/650例)(95%CI:90.7~94.8)、幼児で95.5%(276/286例)(92.4~97.6)であった。 安全性に関する懸念は認められなかった。1回目投与の7日後にポリオウイルス2型の排泄を認めた乳児は、187例中78例(41.7%)(95%CI:34.6~49.1)であった。

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能登半島地震、医療の復旧支援を厚労大臣に要請/日医

 日本医師会会長の松本 吉郎氏が、2024年3月13日の定例記者会見で、能登半島地震に対する「地域医療、地域包括ケアシステムの復旧支援に関する要請書」を厚生労働大臣の武見 敬三氏に3月8日に直接提出し、長期的な財政支援を要請したことを報告した。 石川県を中心として多数の病院、診療所、介護施設が深刻な被害を受け、今なお本格復旧には至っていない。そこで、大臣との会談で、(1)災害復旧費補助金などによる支援、(2)被災地の医療・介護従事者の確保、(3)他省庁との連携、の3点について配慮を要請し、補助にあたっては被災医療機関が公的か民間かを問わず、事業者負担が極力最小限に抑えられるように求めたという。 とくに、避難者が能登半島に安心して帰還できるよう、離職が相次ぐ看護師や事務職員の確保を含めた被災地の医療機関への支援が不可欠だと強調した。 武見氏は要請書の内容について一定の理解を示し、避難者が元の居住先に戻るためには医療機関や介護施設が復旧している必要があるため、エッセンシャルワーカーの住居確保を優先的に対応していくという意向を示したという。 最後に、「石川県庁のとりまとめによると、災害関連死は1月下旬に15例発生したものの、JMATが多数派遣された2~3月には発生していない。災害救助法の医療関連の適用期間を必要に応じて延長するよう求めつつ、医療ニーズの変化に応じてJMAT派遣を継続していきたい」とまとめた。

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世界の低体重・肥満、約30年でどう変化した?/Lancet

 低体重と肥満は、生涯を通じて有害な健康アウトカムと関連している。国際共同疫学研究グループのNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)が、200の国と地域の成人ならびに学童/若年者における、低体重または痩せと肥満の複合有病率の1990~2022年の変化について解析し報告した。ほとんどの国で低体重と肥満の二重負荷(double burden)が肥満の増加により増しているが、南アジアとアフリカの一部では依然として低体重または痩せが多いという。研究グループは、「肥満の増加を抑制し減少に転じさせる一方で、低体重の負荷への対処には、栄養価の高い食品へのアクセスを強化することによる健康的な食事への移行が必要である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月29日号掲載の報告。2億2,200万例のデータをプール解析 研究グループは、200の国と地域における1990~2022年の、身長と体重の測定値がある地域住民を対象とした研究3,663件、合計2億2,200万例のデータを統合し、階層ベイズモデルを用いてメタ回帰分析を行った。 主要アウトカムは、低体重(20歳以上の成人)または痩せ(5~19歳の学童/若年者)と肥満それぞれの有病率、ならびに複合の有病率とした。成人では、BMI値18.5未満を痩せ、BMI値30以上を肥満、学童/若年者では、BMI値がWHO成長基準の中央値より2 SDを下回っている場合を痩せ、2 SDを上回っている場合を肥満と定義した。低体重または痩せ+肥満の複合有病率は、男女とも約7~8割の国や地域で増加 1990~2022年に、成人における低体重+肥満の複合有病率が減少(観察された変化が真の減少である事後確率は少なくとも0.80)した国は、女性では11ヵ国(6%)、男性では17ヵ国(9%)であった。一方、複合有病率が増加(事後確率が少なくとも0.80)した国は、女性では162ヵ国(81%)、男性では140ヵ国(70%)であった。2022年において、低体重+肥満の複合有病率は、ポリネシア、ミクロネシア、カリブ海の島国、中東および北アフリカの国で最も高かった。 2022年に、女性では177ヵ国(89%)、男性では145ヵ国(73%)において、肥満の有病率が低体重の有病率より高かった(事後確率は少なくとも0.80)が、女性で16ヵ国(8%)、男性で39ヵ国(20%)ではその逆であった。 1990~2022年に、学童/若年者における痩せ+肥満の複合有病率は、女子では5ヵ国(3%)、男子では15ヵ国(8%)で減少(事後確率は少なくとも0.80)し、それぞれ140ヵ国(70%)および137ヵ国(69%)で増加(事後確率は少なくとも0.80)した。2022年において、学童/若年者の痩せ+肥満の複合有病率が最も高かった国は、女子がポリネシア、ミクロネシア、カリブ海の島国、男子がポリネシア、ミクロネシア、カリブ海の島国、チリおよびカタールであった。インドやパキスタンなどの南アジアの一部の国でも、痩せが減少しているにもかかわらず複合有病率は高かった。 2022年に、女子では133ヵ国(67%)、男子では125ヵ国(63%)で、学童/若年者の肥満の有病率が痩せの有病率より高く(事後確率が少なくとも0.80)、その逆はそれぞれ35ヵ国(18%)および42ヵ国(21%)であった。 成人ならびに学童/若年者の両方において、ほぼすべての国で、二重負荷(低体重または痩せと肥満の複合有病率)の増加は肥満の増加によって、減少は低体重または痩せの減少によって引き起こされていた。

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小児インフルワクチン接種は10月がおすすめ?(解説:栗原宏氏)

Strong point ・82万人を対象とした大規模調査・接種時期と診断率の大規模な検討は日本では非常に実施困難Limitation・国土の広い米国では、インフルエンザの蔓延ピークやワクチンの接種状況が地域によって異なる可能性がある・対象は民間保険に加入している小児であり、対象として一般化できない可能性がある・有意差があるとしても実感できるほど大きな差ではない? インフルエンザワクチン接種後の免疫獲得と持続期間を考慮し、米国では9~10月に接種することが推奨されている。 米国では民間保険に加入した小児のワクチン接種が行われており、誕生月に基づいてインフルエンザワクチンを含むワクチン接種スケジュールが組まれている。これを踏まえて本研究では、インフルエンザワクチン接種月とインフルエンザ感染率を比較し、インフルエンザワクチン接種の最適な時期を検討している。本調査では交絡の可能性はあるものの、10月生まれ(=10月にワクチン接種)群の感染率が他の月より有意に低く、推奨されている9~10月という接種時期の妥当性が裏付けられた。 日本国内におけるインフルエンザワクチン接種は任意であり、その接種の時期について公的な推奨時期は設けられていない。ワクチン接種は出荷されたワクチンが医療機関に出回り始めた10月頃から開始され、12月頃までに実施されているのが実情であろう。統計的には有意差があるとはいえ、実社会で有効性が体感できるかは不明だが、本調査を踏まえるならば、就学前の子供に関しては、10月の接種開始後なるべく早めの接種が望ましいと考えられる。※日本におけるインフルエンザワクチンは、1962年から推奨接種、1977年から予防接種法により接種が義務化され、小中学生に集団接種されるようになった。しかしながら副反応による訴訟が相次いだことから、1987年に保護者の同意を得た希望者に接種する方式に変更となり、1994年には任意接種となった。厚労省のデータによれば、1994年以降の数年は供給が激減したが、その後は増加傾向となっている。近年の小児へのインフルエンザワクチン接種率は50-60%程度とされている。

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第88回 麻疹以外でもKoplik斑が出る!?

イラストレインより使用先週も麻疹について取り上げましたが、東京都で感染者が報告されたことで、とうとう全国的にも麻疹が報道されるようになりました。私、先週からずっと言ってますからね!!「2峰目」前の診断が難しい麻疹は、症状でどこまで疑えるかがポイントになります。2峰性の経過なので、2峰目の発熱と発疹で「こりゃ麻疹やで!」ということになりますが、1峰目の発熱時にKoplikが口腔内にみられることがあり(写真1)、これが特異的な所見だと思われてきました。Koplikは、この所見が麻疹にみられることを発見した130年前の医師です(写真2)。「2峰目」前の診断が難しい麻疹は、症状でどこまで疑えるかがポイントになります。2峰性の経過なので、2峰目の発熱と発疹で「こりゃ麻疹やで!」ということになりますが、1峰目の発熱時にKoplikが口腔内にみられることがあり(写真1)、これが特異的な所見だと思われてきました。Koplikは、この所見が麻疹にみられることを発見した130年前の医師です(写真2)。       写真1. Koplik斑        写真2. Henry Koplik(1858~1927年)(Wikipediaより使用)写真1. Koplik斑写真2. Henry Koplik(1858~1927年)(Wikipediaより使用)2峰目で発見する前に麻疹らしいかどうかを判断する上で、Koplik斑は100年以上にわたって小児科医や内科医の間で「定番の所見」として君臨してきました。しかしながら、Koplik斑は感度や特異度についてまとまった報告がなく、他の感染症でも観察されるのではないかという見解もありました。Koplik斑の診断精度をみた国内3,000例以上の研究日本において、2009~14年にかけて、麻疹および麻疹が疑われる3,023例の全国調査が行われました1)。診断はPCRやRT-PCRを用いて行われ、合計3,023例が登録されました。このうち、Koplik斑が観察されたのは717例(23.7%)であり、麻疹と確定した症例の28.2%、風疹と確定した症例の17.4%、パルボウイルスB19感染症と確定した症例の2.0%にみられたのです。その他、アデノウイルス、ライノウイルス、ヘルペスウイルスでもKoplik斑が観察されました。この研究によると、麻疹の診断マーカーとしてのKoplik斑の感度は48%、特異度は80%と報告されています。つまり、風疹を含めた他のウイルス感染症でもKoplik斑が観察されるというわけです。もちろん周囲に麻疹の人がいれば事前確率は高くなりますが、一般的な発熱外来におけるKoplik斑は確実な所見とは言えないのかもしれません。参考文献・参考サイト1)Kimura H, et al. The Association Between Documentation of Koplik Spots and Laboratory Diagnosis of Measles and Other Rash Diseases in a National Measles Surveillance Program in Japan. Front Microbiol. 2019 Feb 18;10:269.

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がん治療中のその輸液、本当に必要ですか?/日本臨床腫瘍学会

 がん患者、とくに終末期の患者において最適な輸液量はどの程度なのか? 第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で企画されたシンポジウム「その治療、やり過ぎじゃないですか?」の中で、猪狩 智生氏(東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野)が、終末期がん患者における輸液の適切な用い方について、ガイドラインでの推奨や近年のエビデンスを交え講演した。「輸液の減量」をがん治療中の腹痛や悪心の治療オプションに 猪狩氏はまず実際の症例として、70代の膵頭部がん(StageIV)患者の事例を紹介した:1次治療(GEM+nab-PTX)後にSDとなったものの、8ヵ月後に腹痛、悪心で緊急入院し、がん性腹膜炎、麻痺性イレウスと診断。中心静脈確保、絶食補液管理(1日2,000mL)となり、腹痛に対しオピオイドを開始したものの症状コントロール困難となった。 このようなケースで治療オプションとなるのは、オピオイドの増量や制吐薬、ステロイド、オクトレオチドの使用などだが、同氏は「輸液の減量も症状緩和のための手段の1つとして加えてほしい」と話した。輸液量で予後は変わるか?また大量の輸液で増悪する可能性のある症状とは 近年報告されているエビデンスとしては、終末期のがん患者において輸液1日1,000mL群(63例)と100mL群(66例)を比較した結果、全生存期間について群間の有意差はなかったという多施設共同無作為化比較試験の報告がある1)。一方で腹膜転移のあるがん患者226例を対象に実施された前向き観察研究では、輸液1日1,000mL群と200mL群の比較において、1,000mL群で浮腫、腹水、胸水の増悪が認められやすかったと報告されている2)。「終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン 2013年版」3)では、終末期がん患者に対する大量輸液で増悪する可能性のある病態・症状としては以下が挙げられている:・浮腫→疼痛、倦怠感・胸水、腹水の増加→腹痛、腹部膨満感、呼吸苦、咳嗽・気道分泌の増加→呼吸苦、咳嗽、喘鳴・せん妄→身の置き所のなさ、疼痛の閾値低下・消化管分泌物の増加→嘔吐、悪心、腹痛 これらの知見から猪狩氏は、終末期がん患者に対する多量の輸液は、全生存期間の延長効果も乏しく、むしろ各種症状を増悪させる可能性があることを指摘した。症状緩和に適した輸液量と減量を検討するタイミング では、実際に症状緩和に適した輸液量とはどのくらいなのか? 日本、韓国、台湾の2,638例を対象に実施された前向き観察研究では、Good Death Scale(GDS)という評価尺度(症状緩和や死の受容といった観点から患者が穏やかな死を迎えられたかの医療者評価)を用いた評価の結果、1日250~499mLの輸液を投与された患者で有意にGDSが高かった4)。 実臨床で輸液の減量を検討するタイミングについて猪狩氏は、Palliative Performance Scale(PPS)20%以下(ADLがベッド上で全介助、食事の経口摂取は少量、意識レベルもややdrowsy)が1つの目安となるのではないかと提案。「PPS20%以下のタイミングがいま投与している輸液量がこのままでいいのかを振り返る1つのポイント。輸液を完全にやめる必要はないが、患者さんの苦痛症状や家族の希望に応じて、減量を選択肢の1つに加えていただきたい」と話して講演を締めくくった。

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砂糖入り飲料は1杯/日でもCKDリスク上昇

 砂糖入り飲料または人工甘味料入り飲料を1日1杯(250mL)以上摂取することで、慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが上昇し、それらの飲料を天然果汁ジュース(natural juice)または水に置き換えるとCKD発症リスクが低下したことを、韓国・延世大学校医科大学のGa Young Heo氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年2月5日号掲載の報告。 砂糖や人工甘味料の摂取と2型糖尿病や心血管系疾患との関連を示すエビデンスは増えているが、腎臓に及ぼす影響については不明な点が多い。そのため研究グループは、英国バイオバンクのデータを用いて、3種類の飲料(砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料、天然果汁ジュース)の摂取量とCKDの発症リスクとの関連、およびこれらの飲料を別の飲料に置き換えた場合の関連を調査するために前向きコホート研究を行った。 対象は、2006~10年に英国バイオバンクに登録し、食事アンケートに回答したCKDの既往歴のない参加者で、最長で2022年10月31日まで追跡された。主要アウトカムはCKDの発症で、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて3種類の飲料とCKD発症との関連を推定した。飲料を別の飲料に置き換えた場合の影響の評価には代替分析法を用いた。 主な結果は以下のとおり。●合計12万7,830人(平均年齢[SD]:55.2[8.0]歳、女性:51.8%)が解析に組み込まれた。追跡期間中央値10.5年(IQR:10.4~11.2)時点で、4,459例(3.5%)がCKDを発症した。●砂糖入り飲料を1日1杯以上摂取している群では、砂糖入り飲料を摂取していない群と比較してCKDの発症リスクが有意に高かった(調整ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.05~1.34、p=0.01)。●人工甘味料入り飲料を1日1杯以上摂取している群でも、人工甘味料入り飲料を摂取していない群と比較してCKDの発症リスクが有意に高かった(aHR:1.26、95%CI:1.12~1.43、p<0.001)。●天然果汁ジュースの摂取とCKD発症との間に有意な関連はみられなかった(aHR:0.99、95%CI:0.87~1.11、p=0.90)。●1日1杯分の砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料を、天然果汁ジュースまたは水に置き換えることは、CKDの発症リスク低下と関連していた。 ・砂糖入り飲料→天然果汁ジュース HR:0.93、95%CI:0.87~0.97、p=0.04 ・砂糖入り飲料→水 HR:0.93、95%CI:0.88~0.99、p=0.03 ・人工甘味料入り飲料→天然果汁ジュース HR:0.90、95%CI:0.84~0.96、p=0.03 ・人工甘味料入り飲料→水 HR:0.91、95%CI:0.86~0.96、p=0.001●砂糖入り飲料を人工甘味料入り飲料に置き換えても、CKD発症との有意な関連は認められなかった。逆も同様であった。

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在胎不当過小に関わる胎盤の異常をドプラ超音波検査で検出

 胎盤と胎児の血流を超音波で測定することで、在胎不当過小(small for gestational age;SGA)に関連する胎盤の異常を見つけられる可能性のあることが、アムステルダム大学メディカルセンター(オランダ)産科学准教授のWessel Ganzevoort氏らの研究から明らかになった。詳細は、「British Journal of Obstetrics & Gynaecology」に2月5日掲載された。 Ganzevoort氏らの説明によると、胎児の約10%は母親の胎内にいる時点で超音波検査によりSGAと判定される。SGAは、同じ在胎期間で生まれた新生児の標準的な体重分布の10パーセンタイル未満に該当する新生児の状態を指す。SGAであっても健康であれば、特別な介入は必要ない。しかし、胎盤に異常がある場合には対処する必要があり、分娩誘発が必要となることもある。Ganzevoort氏は、「こうしたことから、胎盤異常を原因とするSGAの胎児は、追跡が極めて重要だ」と言う。 胎児の成長は通常、超音波検査で確認・追跡されるが、今回の研究では、臍帯(へその緒)の中の血管の抵抗性をより詳細に観察するためにドプラ超音波が用いられた。Ganzevoort氏らによると、ドプラ超音波によって医師は胎盤の状態について重要な手がかりを得ることができるとともに、胎児の脳の血流を捉えることもできる。脳への血流量の異常は胎盤の機能に異常がある可能性を示唆する。Ganzevoort氏らは、「ドプラ超音波を用いることで、医師は胎児がより緊密なモニタリングを必要とするかどうかの判断が可能になる」と説明している。 19施設の二次および三次医療センターで実施されたこの研究では、SGA児における中大脳動脈と臍帯動脈の血流速度の比(umbilicocerebral ratio;UCR)と不良な周産期アウトカムとの関連を検討し、早期分娩がアウトカムに与える影響が調査された。対象者は、1)ドプラ超音波検査でUCRが2回連続で異常値を示し、推定胎児体重(EFW)が妊娠35週目で3パーセンタイル以下、または妊娠36週目で10パーセンタイル以下、2)UCRが一度または断続的に異常値を示した、3)UCRに異常なし、に分類された(ドプラ分類)。1)に分類された妊婦はさらに、妊娠34週で分娩を誘発する群と妊娠37週目まで経過観察する群にランダム化されたが、その途中でランダム化される対象者の数が少な過ぎるため、試験は打ち切られた。ランダム化された妊婦を対象にした解析からは、EFWの中央値倍数(MoM)、妊娠高血圧腎症、およびドプラ分類が、不良な周産期アウトカムの複合と独立して関連することが示された。 Ganzevoort氏は、「こうした体格の小さな胎児のケア計画にドプラ超音波検査を組み込むことで、出産に関わる問題のリスク上昇を検出しやすくなり、モニタリングにつなげやすくなる」と同医療センターのニュースリリースの中で述べ、「ドプラ超音波検査の測定結果が正常な低体重の胎児には、それほど集中的なモニタリングは必要ないという判断ができるため、必要最低限の介入だけで自然分娩を行える可能性が高まる」としている。 なお、Ganzevoort氏らは今回の研究の中で、胎盤機能の異常によって危険な状態にさらされていると考えられる胎児の転帰が、妊娠37週未満での分娩誘発により改善するかどうかについても検討したが、転帰は改善されないことが明らかになった。そのため、同氏らは、こうした胎児は胎内により長い期間とどまることが健康の点では最善なのではないかとの見解を示している。

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認知症になる前に頭の中で何が起きているのか(解説:岡村毅氏)

 アルツハイマー型認知症になる前に頭の中で何が起きているのだろうか? もうすぐ新学期だから、医学生・看護学生に話すつもりでわかりやすく説明しよう。 かつてはアルツハイマー型認知症のことは何もわかっていなかったが、亡くなった人の脳を調べることで、重症になればなるほどアミロイドが溜まり、タウが溜まり、脳が小さくなっている(萎縮という)ということがわかっていた。しかし脳は、たとえば肝臓のように、バイオプシーができないため、実際に生きている人の脳の中で何が起きているのかはわからないという大問題があった。診断に関しても、血液検査や画像検査(こういうのをバイオマーカーという)ではわからないので、臨床診断しかなかったのだ。われわれがいつも使ってきたDSM4やICD10はバイオマーカーを用いない臨床診断である。 しかしアミロイドペットによってアミロイドを見える化できるようになったことで、革命的な変化が始まった。第一にバイオマーカーを用いた新たな診断体系が出来上がった。National Institute on Aging-Alzheimer’s Association group(NIA/AA)の診断基準である。新しい「望遠鏡」ができたのだ。第二に脳の画像やバイオマーカーを追っていく大規模研究が世界規模で行われた。これがAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)であり、わが国のADNIはJ-ADNIという。これにより脳内に何が起きているのかが「見えてきた」。第三にバイオマーカーについてさらにわかってきた、アミロイド⇒タウ⇒神経損傷という順番がわかり、がんのTNM分類のようにATN分類が出来上がった。アミロイド(A)タウ(T)神経損傷(N)である。見えるだけではなく「わかってきた」といったところか。 という大きな流れを見てみると、中国で上記のバイオマーカーの進展を調べたというのがこの研究である。やはりアミロイドが先に動いていることがわかる。この論文の価値は十分に認めたうえで記載するが、大局的には「追試」を行ったともいえる。 さて、時代はすでにアミロイドへの先制介入へと移っている。初期のアルツハイマー型認知症に抗体が進展抑制効果を持つことがわかり、今後はプレクリニカル期へと延びていくだろう。この後の未来のシナリオは3つある。 シナリオ1は、アルツハイマー型認知症が完全に予防できるようになり、認知症の人が減るという未来だ。もし認知症が完全に発症予防できるようになれば人間は神に近づいていくともいえよう。シナリオ2は、アルツハイマー型認知症はある程度ゆっくりになるので、逆に患者が増えていくという未来である。共生がより重要になる。シナリオ3は、実はアルツハイマー型認知症以外にも多数の認知症が隠れており(専門家ならよく知っているのだが)、アルツハイマー型認知症の薬剤が社会に広がることで、むしろ他の治らない認知症が増えていくように見えるという未来である。共生は重要だが、予防もまだまだ最先端課題だ。 どのシナリオになりそうかはここでは私はあえて述べない。私のような精神科医ではなく脳神経内科医なら、もっと正確な未来予測もできるかもしれないことも付記しておく。

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gout(痛風)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第1回

言葉の由来痛風は英語にすると“gout”です。この“gout”、語源は諸説あるようですが、フランス語の“goute”ないし、中世ラテン語の“gutta”という言葉から来ているようです。これらの言葉にはともに“drop”(落とす)という意味があるそうです。「痛風」と「落とす」…。一瞬つながりがわかりにくいですが、痛風という病気は、古くは「血液中の原因物質が関節に“落っこちる”」ことで起きると信じられてきたそうです。ここから、この言葉が当てられたようです。そして、この由来は当たらずといえども遠からずで、痛風とは、尿酸が結晶となって関節内に“落っこちる”ことで起こるのですよね。実際に、“gout”を“drop”(落とす、滴る)という古典的な意味合いで用いるケースも、読み書きでは残っているようです。口語で耳にすることはありませんが、“gouts of phlegm”と言うと、「痰の塊」の意味となり、“drop”に近い意味合いだと思われます。日本語の「痛風」という病名の由来も諸説あるようですが、「風が当たっただけでも痛い」ところから来ている、というのが定説ですね。そう考えると、痛風は英語と日本語でまったく語源が異なるようです。併せて覚えよう! 周辺単語痛風発作gout attack尿酸urate/uric acid結晶crystalプリン体purine関節炎arthritisこの病気、英語で説明できますか?Gout is a common, painful form of arthritis. It causes swollen, red, and stiff joints. It occurs when uric acid builds up in the blood and causes inflammation in the joints.講師紹介

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de novo転移乳がん、治療を受けない場合の生存期間

 新規に転移のある乳がん(dnMBC)と診断され、その後治療を受けなかった患者の全生存期間(OS)中央値は2.5ヵ月と、1回以上治療を受けた患者の36.4ヵ月に比べて有意に短かったことが、米国・Duke University Medical CenterのJennifer K. Plichta氏らの研究でわかった。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2024年3月5日号に掲載。 本研究では、2010~16年における成人dnMBC患者を米国・National Cancer Databaseから抽出し、1回以上治療受けた患者(治療あり群)と理由にかかわらず治療を受けなかった患者(治療なし群)に層別化した。OSはKaplan-Meier法を用いて推定し、OSに関連する因子はCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・5万3,240例のdnMBC患者のうち、治療ありが92.1%、治療なしが7.9%だった。・治療なし群は、年齢が高く(中央値:68歳vs.61歳、p<0.001)、合併症スコアが高く(p<0.001)、トリプルネガティブの割合が高く(17.8% vs.12.6%)、疾病負荷が高かった(転移部位2ヵ所以上:未治療38.2% vs.既治療29.2%、p<0.001)。・OS中央値は治療あり群が36.4ヵ月、治療なし群が2.5ヵ月であった(p<0.001)。・治療なし群のOS悪化に関連する因子は調整後、高齢、高い合併症スコア、高い腫瘍悪性度、トリプルネガティブ(vs.HR+/HER2-)が挙げられた(すべてp<0.05)。 本研究の結果、治療を受けなかったdnMBC患者は、高齢で、合併症があり、臨床的にアグレッシブながんが多く、治療なし患者の予後は治療あり患者と同様、選択された患者および疾患特性と関連していた。著者らは「治療しなかったdnMBCの予後は悲惨」としている。

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