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重症患者における低血糖、死亡リスクを1.4~2.1倍に増大

 重症患者において、低血糖は死亡リスクを1.4~2.1倍増大することが明らかにされた。死亡リスクは中等症低血糖よりも重症低血糖のほうがさらに増大し、血液分布異常性ショックによる死亡との関連が最も強かった。オーストラリア・シドニー大学のSimon Finfer氏らにより行われたNormoglycemia in Intensive Care Evaluation-Survival Using Glucose Algorithm Regulation(NICE-SUGAR)試験の結果で、これまで重症患者における低血糖が死亡に結びつくのかどうかは明らかではなかった。なお、同関連の因果関係については、この試験では明らかにはならなかった。NEJM誌2012年9月20日号掲載より。強化血糖コントロール群の8割が、中程度以上の低血糖研究グループは、集中治療室(ICU)で治療を受けていた6,026例を無作為に2群に分け、一方には強化血糖コントロールを、もう一方には標準血糖コントロールを行った。被験者のうち、中等症低血糖(41~70mg/dL)と重症低血糖(40mg/dL以下)を発症した人について、それぞれ死亡リスクを調べ、低血糖を発症しなかった人と比較した。その結果、中等症低血糖が認められたのは被験者の45%にあたる2,714例で、そのうち2,237例(82.4%)が強化血糖コントロール群(同群全体の74.2%)であり、477例が標準血糖コントロール群(同群全体の15.8%)だった。被験者のうち重症低血糖だったのは、3.7%にあたる223例で、そのうち208例(93.3%)が強化血糖コントロール群(同群全体の6.9%)、15例が標準血糖コントロール群(同群全体の0.5%)だった。死亡リスク、中等症低血糖で1.4倍、重症低血糖で2.1倍に低血糖が認められなかった3,089例のうち、死亡したのは726例(23.5%)だった。一方で、中等症低血糖を有した死亡は774例(28.5%)、重症低血糖を有した死亡は79例(35.4%)だった。中等症または重症低血糖の認められた人の低血糖が認められなかった人に対する死亡に関するハザード比は、それぞれ1.41(95%信頼区間:1.21~1.62、p<0.001)、2.10(同:1.59~2.77、p<0.001)だった。なかでも、中等症低血糖が1日超認められた人は、1日の人に比べ、死亡リスクは有意に高くなる関連がみられた(p=0.01)。また、インスリン非投与で重症低血糖の認められた人の死亡リスクも高く、低血糖の認められなかった人に対する死亡に関するハザード比は3.84(同:2.37~6.23、p

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多発性硬化症に対する新規経口薬BG-12、年間再発リスクを低下

 再発寛解型多発性硬化症に対し、新規開発中の経口薬BG-12(フマル酸ジメチル)は、プラセボと比較して長期の年間再発リスクを低下し、神経放射線学的転帰が有意に改善したことが示された。BG-12に関する第3相無作為化プラセボ対照試験「Comparator and an Oral Fumarate in Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis:CONFIRM」の結果、報告されたもので、米国・クリーブランドクリニックのRobert J. Fox氏らが、NEJM誌2012年9月20日号で発表した。再発寛解型多発性硬化症は、一般に非経口薬(インターフェロンやグラチラマー酢酸塩)で治療されている。1,400例超を4群に分け2年間追跡、年間再発率を比較試験は28ヵ国、200ヵ所の医療機関で、再発寛解型多発性硬化症の患者1,417例を登録して行われた。研究グループは被験者を4群に分け、1群にはBG-12 240mgを1日2回投与、別の群には同1日3回投与、さらに別の群にはグラチラマー酢酸塩20mgを1日1回皮下注射、もう一群にはプラセボをそれぞれ投与した。被験者の平均年齢は、36~37歳、女性被験者の割合が約7割だった。主要エンドポイントは、2年時点の年間再発率だった。試験は、グラチラマー酢酸塩に対するBG-12の優位性や非劣性を検証するようにはデザインされなかった。240mgを1日2回投与で再発の相対リスクは44%減、3回投与で51%減その結果、2年時点の年間再発率は、BG-12 1日2回投与群が0.22、同1日3回投与群が0.20、グラチラマー酢酸塩群が0.29、プラセボ群が0.40であり、試験薬および実薬群はいずれもプラセボより有意に低下した。相対リスク減少率はそれぞれ、44%(p<0.001)、51%(p<0.001)、29%(p=0.01)だった。MRI診断では、BG-12 1日2回群、同1日3回群、グラチラマー酢酸塩群ともに、プラセボと比較してT2強調画像による高信号部の新たな出現または増大(3群ともp<0.001)が有意に少なかった。T1強調画像による低信号部の新たな病変(各群p<0.001、p<0.001、p=0.002)の数も有意に減少した。有害事象としてプラセボ群に比べ高率に認められたのは、顔面紅潮、BG-12群での胃腸症状などだった。一方、BG-12群での悪性新生物や日和見感染は認められなかった。

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せん妄は超高齢者における認知症の強いリスク因子

 せん妄は85歳以上の超高齢者(oldest-old)における認知症の強いリスク因子であることが、英国・ケンブリッジ大学のDavis氏らによる集団コホート研究の結果、報告された。著者は、「適正な集団をサンプルとした初の知見である」と本研究の成果を強調している。これまでも、せん妄は認知症のリスクであり、認知症患者においては衰弱を加速することが示唆されていたが、先行研究ではベースラインでの認知機能状態の把握が完全ではなかった。Brain 誌2012年9月号(オンライン版2012年8月9日号)の掲載報告。 Vantaa 85+試験と命名された本研究は、ベースラインで85歳以上であった553例(適格者の92%)を3、5、8、10年時点で評価した。せん妄が認知症発症および認知機能低下のリスク因子であること、およびせん妄既往の有無を問わずに認知症と認知症の神経病理学的マーカーとの関連を評価して病理学的レベルでのせん妄の影響についても調べた。脳剖検は被験者の52%で行った。 固定および無作為化効果回帰モデルを用いて全被験者を対象に、1)せん妄と認知症発症との関連、2)MMSE(Mini-Mental State Examination)スコア減少との関連を評価した。認知症と一般的な神経病理学的マーカーとの関連(アルツハイマー型、梗塞型、レビー小体型)モデルを作成し、せん妄の既往で階層化した。主な結果は以下のとおり。・せん妄は、認知症発症リスクを増大した(オッズ比:8.7、95%CI:2.1~35)。・せん妄は、認知症重症度の増悪(同:3.1、1.5~6.3)、および全般的な認知機能スコアの低下とも関連した(同:2.8、1.4~5.5)。・試験集団全体で、せん妄のある人は、ない人よりもMMSEスコアが毎年1.0ポイント以上(95%CI:0.11~1.89)多く減少した。・認知症でせん妄歴のない高齢者(232例)は、すべての病理学的因子が認知症と有意に関連していた。・しかし、せん妄を有する認知症の高齢者(58例)は、認知症と病理学的マーカーとの関連は認められなかった。たとえば、神経原線維変化(Braak)ステージがより高いことと認知症との関連は、せん妄歴のない場合は有意であったが(オッズ比:2.0、95%CI:1.1~3.5、p=0.02)、せん妄歴がある場合は有意ではなかった(同:1.2、0.2~6.7、p=0.85)。・これらの傾向は、アミロイド斑、アポリポ蛋白ε、梗塞の存在、レビー小体に関連するα-synucleinopathy、および黒質におけるニューロン損失に関しても認められた。関連医療ニュース ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認 ・せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い! ・せん妄の早期発見が可能に

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ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?!

 統合失調症治療では、抗精神病薬の多剤併用や大量投与がしばしば行われる。多剤併用・大量投与によりさまざまな弊害も報告されている。Suokas氏らはフィンランドにおける大規模な全国調査を行い、統合失調症患者における長期的な抗精神病薬の多剤併用率と予測因子を調査した。Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol誌オンライン版2012年9月25日号の報告。 2000年~2007年の間に統合失調症により少なくとも1回以上入院し、2007年3月に生存していた統合失調症患者をフィンランドのレジスター・ベースより抽出し、縦断的研究を行った。コホートへのエントリーは2000年~2007年の期間における統合失調症による初回入院時とし、2007年3月1日の抗精神病薬多剤併用の評価データを取得した。対象患者数は16,083例(慢性期患者8,037例、初発および罹病期間の短い患者8,046例)。抗精神病薬の多剤併用は2種類以上を60日以上投与した場合とした。主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の多剤併用率は46.2%であり(患者数:7,436例、平均年齢:47.5歳、男性率:55%)、罹病期間の長い患者で多かった。・多剤併用との関連因子は、「入院期間が長いこと」、および「男性」であった。とくに、慢性期統合失調症患者では、過去のベンゾジアゼピン系薬剤の使用と関連が認められた。また、抗うつ薬の使用との関連性は認められなかった。関連医療ニュース ・日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か?

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体重に関する“いじめ”はうつ病のリスクファクター

 太っている子供はいじめられやすい傾向がある。そして体重に関連するいじめは、うつ病や摂食障害を引き起こすリスクとなる。米国Madowitz氏らは肥満児に対するいじめがうつ病発症のリスク上昇や不健康な体重管理行動と関連するかを検証した。その結果、著者らは「体重に関連するいじめに悩む肥満児は、通常体重の子供と比較しうつ病のレベルが高い」ことを、Pediatr Obes誌オンライン版2012年9月19日号で報告した。 対象は肥満児80名(平均年齢:10.03歳、平均BMI:27.37、白人比率:29.37%、女性比率:58.8%)。肥満児における体重に関するいじめと、うつ病、不健康な体重管理行動(UWCBs)との関係を調査した。自己申告調査により、抑うつ症状、UWCBs、いじめの有無や原因、頻度などを収集した。分析には年齢や性別をコントロールした後、ロジスティック回帰分析、線形回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・他の子供からいじめを受けた肥満児はうつ病のレベルが有意に高く(B=6.1 [SE=2.3])、5回以上のUWCBsを経験していた(OR=5.1 [CI=1.5~17.4])。・同級生からいじめを受けた肥満児はうつ病のレベルが有意に高かった(B=2.3 [SE=0.8])。・体重に関するいじめの頻度、件数は抑うつ症状と有意に関連していた(それぞれ、B=2.5 [SE=0.8]、B=4.6 [SE=1.5])。・家族によるいじめとの有意な相関は認められなかった。関連医療ニュース ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」? ・太る!境界性人格障害「MetS有病率2倍」

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肥満外科手術患者の術後20年間の医療サービス利用コスト

 肥満外科手術を受けた患者の20年間の医療サービス利用について、従来療法を受けた対照群と比較した結果、手術群のほうが入院医療を多く利用しており、最初の6年間は外来利用も多かったが、それ以降の外来利用は両群で有意差はなかった。また、7~20年目の薬剤コストは手術群のほうが有意に低かったことが報告された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のMartin Neovius氏らによるSwedish Obese Subjects試験の結果で、肥満外科手術は体重減を維持し、糖尿病、心血管イベント、がんの発生率を低下し生存を改善することが示されていたが、長期にわたる医療サービス利用への影響については不明であった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。入院、外来、薬剤コストを従来療法群と比較Swedish Obese Subjects試験は、スウェーデンヘルスケアシステムで現在進行中の前向き非無作為化対照介入試験であり、1987~2001年に肥満外科手術を受けた2,010例と適合させた対照群2,037例を対象とした。被験者は、37~60歳、BMIが男性34以上、女性38以上を適格とした。手術群は、13%が胃バイパス術を、19%は胃バンディング術を、68%が垂直遮断胃形成術を受けた。対照群は従来肥満療法を受けた。主要評価項目は、年当たりの入院日数(追跡期間:1~20年、データ収集:1987~2009年、追跡期間中央値15年)と、非プライマリ・ケア外来受診回数(同:2~20年、2001~2009年、9年)、National Patient RegisterとPrescribed Drug Registerから入手した薬品コスト(同:7~20年、2005~2011年、6年)。レジストリデータは、99%以上の患者で完全に結合できた(4,047のうち4,044例)。平均差は、ベースラインでの年齢、性、喫煙、糖尿病ステータス、BMI、算入期間(入院治療解析のために)、試験開始前年の入院日について調整した。追跡7~20年の平均年間薬剤コスト、手術群930ドル、対照群1,123ドル追跡20年間の平均累積入院日数は、手術群54日に対し対照群は40日だった(平均差:15、95%信頼区間:2~27、p=0.03)。追跡2~6年の平均累積年間入院日数は、手術群1.7日に対し対照群は1.2日だった(同:0.5、0.2~0.7、p<0.001)。追跡7~20年の同値は両群とも1.8日だった(同:0.0、-0.3~0.3、p=0.95)。追跡2~6年の年間平均外来受診日数は、手術群1.3日に対し対照群は1.1日だった(同:0.3、0.1~0.4、p=0.003)。しかし7年目からは両群間の差は認められなかった(1.8日vs. 1.9日、同:-0.2、-0.4~0.1、p=0.12)。追跡7~20年の平均年間薬剤コストは、手術群930ドルに対し対照群1,123ドルだった(同:-228、-335~-121、p<0.001)。

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破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用

 小児および青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性に関するメタ解析が行われた。破壊的行動障害は注意欠如・多動性障害(ADHD)と関連していることが多い。精神科医療サービスの利用も多く、非定型抗精神病薬のような薬物治療が行われる可能性もある。一方で、小児と青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用が有意に増加しているというエビデンスも増えており、ニュージーランド・Health WaikatoのLoy JH氏らは、プラセボと比較した有効性と安全性を評価した。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。 2011年8月に、CENTRAL(2011、Issue 3)、MEDLINE(1948~2011年8月第1週)、EMBASE(1980~2011年第32週)などを検索し、破壊的行動障害と診断された18歳以下の小児および青少年を対象とする無作為化試験を、試験設定を問わず適格とした。対象には、破壊的行動障害に併せてADHD、大うつ病、不安障害の診断を受けている被験者も対象に含んだ。試験選択とデータ抽出、処理は2人の独立したレビュワーによって行われた。 解析の結果について、著者は「小児および青少年の破壊的行動障害において、攻撃性軽減や行為障害に対するリスペリドンの短期の有効性について、限定的なエビデンスが得られた」とまとめたが、解析に組み込んだ試験の規模や精度などの問題に触れ、「最新知見を反映する質の高い大規模かつ長期の臨床試験が必要である」と指摘した。主な結果は以下のとおり。・解析には、8件の無作為化試験(2000~2008年)が含まれた。7試験(5~18歳)はリスペリドンを、1試験はクエチアピンを評価したものであった。・3試験は多施設試験であった。また7試験は急性期の有効性を、1試験は6ヵ月の維持期以降の再発までの時間を評価したものであった。・メタ解析の主要アウトカムは、攻撃性、行為障害、体重変化としたが、利用できるデータが限定的であった[各試験報告の平均スコア変化(平均差)および最終/事後介入粗スコアの格差や、使用されたアウトカム尺度の相違のため]。また個々の試験の治療効果サイズについても可能な限りHedges' g.を用いて評価した。・攻撃性について2つのメタ解析を行った。第1のメタ解析は、Aberrant Behaviour Checklist(ABC)Irritabilityサブスケールスコア(範囲:0~45)の平均差(MD)が用いられていた3試験(n=238)を組み込んだ。結果、リスペリドン群の最終平均スコアはプラセボ群よりも6.49ポイント低かった(95%CI:-8.79~-4.19)。・第2のメタ解析は、2試験(n=57)を組み込んだ。それぞれ異なるアウトカム尺度が用いられていたため[Overt Aggression Scale(modified)(OAS-M)とOAS]、標準化した平均差を用いた。結果、推定効果は-0.18(95%CI:-0.70~0.34)であったが統計的に有意ではなかった。・行為障害についても2つのメタ解析を行った。第1のメタ解析は、いずれもNisonger Child Behaviour Rating Form - Conduct Problem subscale(NCBRF-CP、範囲:0~48))が用いられていた2試験(n=225)を組み込んだ。結果、リスペリドン群の最終平均スコアはプラセボ群よりも8.61ポイント低かった(95%CI:-11.49~-5.74)。・第2のメタ解析は、Conners' Parent Rating Scale - Conduct Problem subscale(CPRS-CP)を用いた2試験(n=36)を組み込んだ。結果、治療群の最終平均スコアはプラセボ群よりも12.67ポイント低かった(95%CI:-37.45~12.11)が、統計的に有意ではなかった。・体重増加の副作用に関しては、2試験(n=138)のメタ解析で、治療期間中、プラセボ群よりもリスペリドン群で平均2.37kg増加したことが示された。・個々の試験によって、リスペリドンの攻撃性および行為障害に対する効果サイズは幅(小から大まで)があった。推定効果サイズの精度は試験間でばらつきがあった。関連医療ニュース ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」 ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」?

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不眠症に対する鍼治療のエビデンスは?

 不眠症に対して、鍼治療のような非薬物療法は多くの人に有効で広く行われているが、いまだエビデンスは不十分であるとされている。中国・香港大学のCheuk DK氏らは、不眠症に対する鍼治療の有効性と安全性を評価するメタ解析を行った。33試験、2,293例を含んだ分析の結果、試験の方法論的な質が不良であったり、不均一性や出版バイアスが高く、鍼治療の支持・不支持を論ずるに足りるエビデンスが十分かつ厳密ではなかった。著者は、「より大規模な質の高い臨床試験が求められる」と述べている。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。 メタ解析は2011年10月に、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、PsycINFOなどを検索して行われた。すべての適格報告の参考文献を精査し、試験報告の執筆者とその分野の専門家と面談した。 不眠症に対する鍼治療について評価したすべての無作為化試験を適格とした。評価の対象は、追加療法あり/なしの鍼治療とプラセボ、シャム、無治療、同一追加療法とを比較した試験で、手法の違う鍼治療や他の治療と鍼治療を比較した試験は除外した。2人の独立したレビュワーがデータを抽出しバイアスリスクを評価。検討は、オッズ比(OR)、二者択一アウトカムおよび連続数値アウトカムの平均差を用いて行われた。データは必要に応じてメタ解析に組み込まれた。主な結果は以下のとおり。・解析には、33試験、いくつかの内科的症状(脳卒中、末期腎不全、閉経期、妊娠、精神病)を有する不眠症患者2,293例(15~98歳)が含まれた。鍼治療、電気鍼治療、指圧療法、磁気指圧療法を評価した。・鍼治療は無治療(2試験、280例)あるいはシャム/プラセボ(2試験、112例)と比較して、より多くの患者の睡眠の質を改善した。無治療との比較のORは13.08(95%CI:1.79~95.59)、シャム/プラセボとの比較のORは6.62(同:1.78~24.55)であった。・しかし、感受性解析で中途試験脱落者のアウトカムがより悪かったと仮定した場合、鍼治療の効果は断定できなかった。・その他の単一治療との比較では、鍼治療はその他の治療の補助的治療として、睡眠の質が改善した人の割合を、わずかだが増大する可能性が示された(13試験、883例、OR:3.08、95%CI:1.93~4.90)。・サブグループ解析では、鍼治療のみ有効性が示され、電気鍼治療の有効性は示されなかった。・すべての試験に高いバイアスリスク、不均一性(不眠症定義、患者特性、経穴、レジメン)が認められた。効果サイズは広範囲な信頼区間に対し概して小さく、出版バイアスの可能性があった。また、有害事象はほとんど報告されず、あっても軽度であった。関連医療ニュース ・長期の睡眠薬服用、依存形成しない?! ・日本人の睡眠満足度は低い「より積極的な問診が必要」 ・“ヨガ”で精神症状とQOLが改善

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Cochraneレビューには、対象試験の利益相反情報の記載が少ない

 Cochraneレビューの多くが、解析対象の試験の資金源や、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を記載していない実態が、カナダMcGill大学(モントリオール)のMichelle Roseman氏らの調査で明らかとなった。系統的レビューとメタ解析のガイドラインでは、解析対象試験の利益相反の記載は求められていないという。最近の研究では、強い影響力を持つ生物医学誌に掲載された薬剤の臨床試験に関する29編のメタ解析のうち、対象試験の資金源の記述があったのは2編のみで、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を提供するものは1編もなかった。一方、質の高いエビデンスに基づくレビューの基準を定めるCochraneレビューに、これらの情報がどの程度記載されているかは不明だった。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月21日号)掲載の報告。利益相反の情報提供を横断的研究で調査研究グループは、2010年に発表された薬物療法に関するCochraneレビューが、解析の対象となった試験の利益相反の情報をどの程度報告しているかを調査し、報告がある場合はレビュー中のどこにその記載があるかについて検討するために横断的研究を行った。対象は、2010年に「系統的レビューに関するCochraneデータベース(Cochrane Database of Systematic Reviews)」で公表された薬物療法に関する系統的レビューで、2008年以降の最新の内容を扱い、複数の無作為化対照比較試験の結果を含むものとした。資金源情報の記載は3分の1に過ぎない対象となった151編のCochraneレビューのうち、解析対象の試験の資金源の情報を報告していたのは46編(30%、95%信頼区間[CI]:24~38)であった。このうち、全試験の資金源の情報を公開していたのは30編(20%、95%CI:14~27)で、16編(11%、95%CI:7~17)は一部の試験の資金源のみを記載していた。151編のうち、著者と製薬企業の金銭的な関係または雇用関係の情報を提供していたのは16編(11%、95%CI:7~17)のみだった。試験の資金源や、著者と製薬企業の関係の情報の記載場所は、バイアスのリスク評価(本文、図、表)のほか対象試験の背景因子の表など多岐にわたり、一貫性がなかった。抄録中に資金源の記載があったのは1編だけだった。著者は、「2010年に発表されたCochraneレビューの多くが試験の資金源や、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を提供していなかった」とまとめ、「利益相反の情報はレビュー中の特定の場所に記述することとし、バイアスのリスク評価に含めるのが望ましいと考えられる。抄録にも記載すべきだろう」と指摘している。

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自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?

 統合失調症やうつ病は自殺の主要なリスクファクターである。とりわけ、中年や高齢者の統合失調症患者による自殺は、社会的な問題ともなっている。しかし、年齢とうつ症状から自殺リスクを予測できるかは、まだわかっていない。米国 Kasckow氏らは統合失調症および閾値下うつ病患者におけるうつ症状と自殺念慮との関係に、年齢がどう関わるかを検討した。Am J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月18日号の報告。閾値下うつ病(Subthreshold Depression)とは、うつ病の診断基準を満たさないレベルの軽度抑うつ状態で、将来うつ病を発症する危険因子と考えられている。 対象は統合失調症または閾値下うつ病の39歳以上の外来患者213例。自殺念慮はInterSePTスケール、臨床全般印象-自殺重症度評価スケールにて評価した。うつ症状はカルガリーうつ病評価尺度で評価した。自殺念慮の予測には、抑うつ症状と年齢との関係について線形回帰を用い評価した。主な結果は以下のとおり。・抑うつ症状は自殺念慮の予測因子であった。・どの年代でも、年齢別抑うつ症状は自殺念慮の予測因子であった。・自殺念慮の予測には、すべての年代において、抑うつ症状を評価することが重要である。関連医療ニュース ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ ・自殺念慮はBMIとも関連(日本人の若者)

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静脈性下腿潰瘍、新規のスプレー式細胞療法が有効

 静脈性下腿潰瘍の治療として、新たに開発されたスプレー式の細胞療法(HP802-247)が有効なことが、米国・マイアミ大学Leonard M Miller医学校のRobert S Kirsner氏らの検討で示された。静脈性下腿潰瘍患者の多くは現在の標準治療では治癒しないという。HP802-247は、増殖を停止させた同種新生児角化細胞と線維芽細胞を含むスプレー薬で、静脈性下腿潰瘍の新たな細胞療法として開発が進められている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年8月3日号)掲載の報告。5群を比較するプラセボ対照無作為化第II相試験研究グループは、慢性静脈性下腿潰瘍に対するHP802-247の有効性と安全性を評価するために、種々の細胞濃度と投与期間を設定した多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した。2009年6月15日~2011年5月5日までに、米国とカナダの28施設から1~3ヵ所の潰瘍(部位:膝~足首、大きさ:2~12cm2[腱、筋肉、骨には及んでいない]、罹患期間:6~104週)を有し、ドップラー超音波検査で静脈逆流が確認され、動脈流は正常な18歳以上の成人外来患者が登録された。これらの患者が、HP802-247を5.0×106細胞/mL(7日ごと)、同(14日ごと)、0.5×106細胞/mL(7日ごと)、同(14日ごと)を投与する群または賦形剤投与群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた。5つの群のすべての患者に4層圧迫包帯が適用され、毎週1回の外来受診時に取り替えられた。試験資金提供者(Healthpoint Biotherapeutics社)、試験監視者、統計学者、担当医、参加施設職員、患者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は12週における創傷範囲の平均変化率とし、初回治療前に試験とは無関係の原因で死亡した1例を除いてintention-to-treat解析を行った。0.5×106細胞/mLの14日ごとの投与で12週後に創傷が約16%縮小228例が登録され、5.0(/7日)群に45例(平均年齢61.8歳、男性56%)、5.0(/14日)群に44例(同:59.8歳、50%)、0.5(/7日)群に43例(同:62.6歳、67%)、0.5(/14日)群に46例(同:61.7歳、57%)、プラセボ群には50例(同:62.1歳、66%)が割り付けられた。205例が治療を完遂した。12週後の創傷範囲の平均縮小率はプラセボ群よりもHP802-247投与群が有意に良好で(p=0.0446)、なかでも0.5(/14日)群が最も優れていた(-15.98%、95%信頼区間[CI]:-26.41~-5.56、p=0.0028)。5.0(/7日)群の縮小率は-11.7%(-22.2~-1.17、p=0.0295)、5.0(/14日)群は-7.60%(-18.2~2.99、p=0.16)、0.5(/7日)群は-9.16%(-19.8~1.44、p=0.09)だった。有害事象の発現状況は5群で同等で、発生率が5%を超えたのは新規皮膚潰瘍と蜂巣炎(評価対象外の創傷部位)のみだった。著者は、「静脈性下腿潰瘍は、再生医療の導入を要することなく、同種新生児角化細胞と線維芽細胞のスプレー薬で治療可能であり、至適用量は0.5×106細胞/mLの14日ごとの投与であることが確認された」と結論し、「至適用量以外のレジメンにもある程度のベネフィットが認められており、HP802-247は静脈性下腿潰瘍治療の標準化に向けた大規模な無作為化試験の候補薬剤として有望と考えられる」と指摘する。

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早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?!

 早漏の原因として、ノルアドレナリンやセロトニンなどの自律神経のバランス異常があると考えられている。これらノルアドレナリンやセロトニンの調整にはSSRIやSNRIなどの抗うつ薬が有する薬理作用が有効であるとも考えられる。中国のTao Wu氏らは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み阻害作用を有するがん疼痛治療剤トラマドールの早漏治療に対する有効性および安全性に関してメタアナリシスを行い検討した。Urology誌2012年9月号(オンライン版2012年7月26日号)の報告 Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、Science Citation Index Expandedを用いメタアナリシス、ランダム化および非ランダム化前向き試験を含む文献の検索を行った。エンドポイントは膣内射精潜時(分単位)、有害事象、患者報告によるアウトカム評価。膣内射精までの平均延長時間の差(mean difference)と有害事象を測定するためのオッズ比を算出した。オッズ比はランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いてプールし、異質性に関しても検証した。分析にはコクランのReview Manager (RevMan) 5.1ソフトを用いた。主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たす報告は7報あった。・抽出データのメタアナリシスでは、トラマドールはプラセボと比較し膣内射精潜時を3分延長したが(mean difference:2.77分、95%CI:1.12~4.47、p=0.001)、有害事象発現率は有意に多かった(オッズ比:2.89、95%CI:1.88~4.43、p

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タクロリムス徐放性製剤 米国で承認申請

 アステラス製薬株式会社は25日、タクロリムス徐放性製剤について、米国子会社アステラス ファーマUS, Inc.が、成人腎臓移植患者および成人男性肝臓移植患者における拒絶反応の抑制の効能・効果で、米国食品医薬品局(FDA)に販売許可申請を提出しましたので、お知らせします。 タクロリムス徐放性製剤は、同社が創製した免疫抑制剤「プログラフ」の有効成分であるタクロリムスを含有する1日1回投与の徐放性カプセル製剤。カルシニューリンを阻害することにより、免疫を抑制する。 米国においてタクロリムス徐放性製剤は、2005年12月に腎臓、肝臓、心臓移植患者における拒絶反応の抑制の効能・効果で、FDAに一度申請していた。その後、2009年1月に、承認取得のためFDAから求められた要望を満たす追加試験は実施不可能と考え、申請を取り下げていた。 今回の申請は、2,842名の腎臓移植患者(同剤の投与:1,689名)と689名の肝臓移植患者(同剤の投与:393名)を対象に、米国、カナダ、欧州、オーストラリア、ブラジル、ニュージーランド等で実施した6つの無作為割付比較試験の結果に基づいている。また、臨床試験終了後5年以上経過観察した患者のデータも含まれているとのこと。  同社は、タクロリムス徐放性製剤につき、2007年に欧州で(製品名:アドバグラフ)、2008年に日本で(製品名:グラセプター)、承認を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-157.html

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初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準!

 統合失調症治療においては、初回エピソードでの治療が長期予後に影響を与える。そのため、初回エピソード統合失調症患者では早期改善を目指したより良い治療が求められる。ドイツ Schennach氏らは、1年間の追跡調査により初回エピソード統合失調症における早期治療反応の予測妥当性を評価し、現在用いられているカットオフ値(2週間で20%改善)による結果と比較した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年9月8日号の報告。対象は初回エピソード統合失調症患者132例。治療後、第1~8週目までの精神病理学的改善の妥当性を予測し、52週目までの治療反応を検証した。同様に、最も合理的なカットオフ値を定義した。分析にはROC分析(Receiver operator characteristic)を用いた。新旧の早期治療反応定義の比較にはYouden指数を用いた。主な結果は以下のとおり。・予後を予測するための合理的なカットオフ値として、6週目でのPANSSトータルスコア51.6%改善が最も適切であることが確認された(曲線下面積:0.721)。・このカットオフ値を使用した74例の患者(56%)は、適切な治療反応が得られ、予後も良好であった(感度:0.747)。・「6週目のPANSSトータルスコア51.6%改善」は良好な長期予後を維持するための、早期治療反応に対するカットオフ値として妥当であると考えられる関連医療ニュース ・検証!日本人統合失調症患者の脂質プロファイル ・統合失調症患者における持効性注射剤:80文献レビュー ・認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(22)〕 苦悩のない人生なんて

今回は精神科医という立場からあえて批判的に検討してみよう。 BMJは素晴らしいジャーナルであるが、ご存知の通りしばしば英国式ジョークが掲載される。(今でも載っているのだろうか? 私はそれほど熱心な読者ではないので、間違っていたらごめんなさい)たとえば、タイタニック号の生存者が有意に長生きだったかどうか?(ご丁寧に「タイタニックスタディ」と名付けてある。Hanley JA et al. How long did their hearts go on? A Titanic study. BMJ. 2003; 327: 1457-1458.)とか、祈りの治療効果(過去の診療記録上の患者さんたちに対して、改めて祈ってみるという、衝撃のデザインである。Leibovici L. Effects of remote, retroactive intercessory prayer on outcomes in patients with bloodstream infection: randomized controlled trial. BMJ. 2001; 323: 1450-1451.)とかのことである。もちろん本論文はジョークではないようだ。 感情障害(うつ病等)が高い死亡率と関連することはすでに周知であろう。さらにそれが後年の脳梗塞や認知症の発症の危険因子であることも示されている(Framingham Studyなど)。なぜか悪性腫瘍を発症するという報告も多々ある。ここまでは精神科医としても納得できる。しかし本論文では、疾病と認知されない程度の苦悩が、死亡率を上げていると述べている。何点か疑問点を提示したい。 第1点は、GHQ-12はカットオフが3/4で妥当性が確認されているとあるのは、構造化面接による精神疾患診断の有無を外的基準としたと思われるが、カットオフ以下をさらに症候なし(0点)、潜在的(1~3点)に分けることに論理的に意味があるのかという素朴な疑問。第2点は、関連要因として重要と思われる失職、負債、離婚歴、ソーシャルサポート等が検討されていない点。これはデータがないから仕方ないのかもしれないが。第3点、この主張を敷衍すると苦悩は悪であると解釈しうるが(著者らがそこまで意図したかどうかはわからない)、ごく小さな苦悩を治療対象にすることには釈然としない点がある。というのは、今よりも少しよい生活を求めて努力する、あるいはリスクテイキングを行う場合、苦悩は一定の割合で避けられないのではないか? そしてそれはケインズがアニマルスピリットと呼んだような、われわれの生存維持に必要な本能なのではないだろうか(たとえ公衆衛生学的には死亡率の上昇として可視化されるにしても…)。精神科医としては「苦悩のない人生はない」と言いたい。 と、厳しいことを述べたが、批判のための批判をすることは本意ではない。このような議論を喚起した時点で、この論文は有意義である。そして私も苦悩を推奨しているわけではない。最後に、医師とは苦悩の多い職業であるが、読者諸兄にあられては死亡率の上昇と関連することを念頭に、死亡することなく息の長い社会貢献をしていただきたい、とうまくまとめておくことにしようか。

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成人喘息患者における吸入コルチコステロイド投与量の調整

 軽症~中等度成人喘息患者の治療失敗を予防するための吸入コルチコステロイド投与量の調整戦略について、呼気一酸化窒素濃度や症状に基づく調整が、医師の評価に基づく調整よりも優れてはいないことが明らかにされた。米国・テキサス大学のWilliam J. Calhoun氏らによる無作為化比較試験「BASALT」の結果で、これまで同戦略についてはコンセンサスが得られていなかった。JAMA誌2012年9月12日号掲載報告より。医師評価vs.バイオマーカーvs.症状BASALT(Best Adjustment Strategy for Asthma in the Long Term)試験は、2007年6月~2010年7月の間、米国内の10の大学病院が参加するAsthma Clinical Research Networkで被験者を募り、9ヵ月間にわたって行われた無作為化並行3群間プラセボ対照multiply-blinded試験。342例の被験者が、低用量吸入コルチコステロイド療法について、医師評価に基づく調整群(114例、試験完了101例)、バイオマーカー(呼気一酸化窒素濃度)に基づく調整群(115例、同92例)、日々の症状に基づき調整する群(113例、同97例)に無作為に割り付けられた。医師評価調整群とバイオマーカー調整群は6週間ごとに用量を調整、症状調整群はアルブテロール(サルブタモール)の緊急使用ごとの摂取とした。治療失敗までの期間、3つの戦略間に有意差なし主要アウトカムの治療失敗までの期間について、3群間に有意な差は認められなかった。Kaplan-Meier解析による9ヵ月間の治療失敗率は、医師評価調整群22%(97.5%信頼区間:14~33%、イベント件数24件)、バイオマーカー調整群20%(同:13~30%、21件)、症状調整群15%(同:9~25%、16件)だった。ハザード比は、医師評価調整群vs.バイオマーカー調整群が1.2(97.5%信頼区間:0.6~2.3、p=0.68)、医師評価調整群vs.症状調整群が1.6(同:0.8~3.3、p=0.18)、バイオマーカー調整群vs.症状調整群が1.4(97.5%信頼区間:0.6~2.9、p=0.35)だった。

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STEMI患者の死亡率低下、背景にプライマリPCI実施の増大

 フランス・パリ大学のEtienne Puymirat氏らは、フランスにおける1995~2010年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の死亡について調査した結果、STEMI患者の全心血管死は減少しており、その要因として、60歳未満の女性STEMI患者の増加、その他人口動態的特徴の変化および再灌流療法および推奨薬物療法の増加が挙げられたと報告した。本調査は、近年のSTEMI患者の死亡低下と、その主な改善要因として再灌流療法の実施が報告されていることを受けて行われた。JAMA誌2012年9月12日号掲載報告より。15年間のSTEMI患者生存改善の要因を調査調査は、15年間のSTEMI患者生存改善の背景要因としての、再灌流療法関連の可能性について評価を目的とした。各1ヵ月間、4期(1995年、2000年、2005年、2010年)にわたって・フランス国内から登録したSTEMI患者(集中治療室または冠動脈疾患集中治療病棟に入院)6,707例を対象とした。主要評価項目は、粗30日死亡率の経年変化。2010年の人口特性で標準化した死亡率についても評価した。15年間でプライマリPCIは11.9%→60.8%に結果、患者の平均年齢は66.2(SD 14.0)歳から63.3(14.5)歳まで低下していた。併せて、心血管イベント歴と共存症歴も低下していた。患者は若年化が認められ、とくに60歳未満の女性(11.8%→25.5%)、現喫煙者(37.3%→73.1%)、肥満(17.6%→27.1%)が増加していた。発症から入院までの時間は、発症から初回救急コールまでの時間が短縮したことで早まっており、集中治療室の利用も増えていた。再灌流療法はプライマリPCIの大幅な増加(11.9%→60.8%)によって、49.4%から74.7%に増加していた。推奨薬物療法(とくに低用量ヘパリンとスタチン)の早期適用も増加していた。粗30日死亡率は、13.7%(95%信頼区間:12.0~15.4)から4.4%(同:3.5~5.4)まで減少していた。一方、標準化死亡率は11.3%(同:9.5~13.2)から4.4%(同:3.5~5.4)まで減少した。多変量解析の結果、1995年から2010年の死亡率低下は、臨床特性に加えて初期の集団リスクスコアおよび再灌流療法利用について補正後も一貫して認められた。1995年に対する2010年の死亡オッズ比は0.39(95%信頼区間:0.29~0.53、p<0.001)であった。

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認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

 アルツハイマー型認知症治療薬ガランタミンに喫煙欲求を軽減する効果があることが、米国・ペンシルベニア大学のHopkins TJ氏らによるラット試験の結果、示された。現行の禁煙薬物療法では、喫煙再発予防や禁煙維持への効果に限界がある。ガランタミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の1つであり、ニコチン性アセチルコリンレセプターにpositive allosteric modulatorとして作用する。最近、マウスを用いた試験で、ガランタミンがニコチン中断による認知障害を改善したことが示され、ヒトでの喫煙再発予防に寄与する可能性が示唆されていた。Neuropsychopharmacology誌2012年9月号(オンライン版2012年6月6日号)の報告。 研究グループは、先行研究例のない、齧歯動物におけるガランタミン投与がニコチン自己摂取またはニコチン探索行動復活を調整するかについて検討した。また、ガランタミンの効果の普遍性およびその他の行動増強に対する影響についても調べた。主な結果は以下のとおり。・ラットのニコチン自己摂取単位量について、ニコチン0.03mg/kg静注を最大反応用量とする逆U字型用量反応曲線の関連が得られた。・急速ガランタミン投与(例5.0mg/kg)は、FR5(fixed-ratio 5)あるいはPR(progressive ratio)強化スケジュールいずれを維持した場合も、ニコチン自己摂取を軽減した。・ガランタミン投与は、ニコチン探索行動も軽減した。・ショ糖自己摂取または探索行動復活に関するガランタミンの有意な効果は認められなかった。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、ヒトにおいて嘔気・嘔吐をもたらすことが示されている。しかしながら、ニコチン自己摂取を軽減するのに必要な用量の服用では、ガランタミンの嘔気や倦怠感への影響(ラットの異食行動を指標として評価)は認められなかった。関連医療ニュース ・AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは? ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?!

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英国の自殺率上昇、景気後退が影響

 最近の英国の自殺率の上昇は、2008年に始まった財政危機に関連することが、英国・リバプール大学のBen Barr氏らの調査でわかった。英国の自殺率は長期的に低下していたが、2008年に上昇に転じた。2008~2010年の景気後退の影響が示唆されていたが、これを検証する研究は行われていなかった。BMJ誌2012年9月8日号(オンライン版2012年8月14日号)掲載の報告。景気後退と自殺の関連を時系列研究で評価研究グループは、2008~2010年の英国の景気後退の影響が最も大きかった地域の自殺率が高いか否かを検証するために時系列研究(time trend analysis)を実施した。実際の自殺者数を、景気後退以前の状況が持続したと仮定した場合の予測値と比較した。多変量回帰モデルを用いて、失業(保険金受給者データに基づく)と自殺(National Clinical Health Outcomes Databaseに基づく)の変化の関連を定量化した。対象は、2000~2010年に、英国の93地域において自殺または原因不明の傷害による死亡の記録のある集団とした。主要評価項目は景気後退期の自殺者の増加数。景気後退で自殺者が毎年約1,000人増加2008年の経済危機以前の2000~2007年の間は、男性の自殺者は毎年57人[95%信頼区間(CI):-56~-58]、女性は毎年26人(95%CI:-24~-27)減少していた。2008~2010年は、景気が後退しなかった場合の自殺者数の予測値に比べ、男性の実際の自殺者数は毎年846人(95%CI:818~877)多く、女性の自殺者数は毎年155人(95%CI:121~189)増えていた。失業率の短期的な年次変動は、男性の場合、自殺率の年次変動と関連したが、女性にはそのような関連はみられなかった。男性の失業率が10%増加するごとに男性自殺率が有意に1.4%(95%CI:0.5~2.3、p

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日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学

 抗精神病薬服用中の統合失調症患者は脂質異常症を伴うことが多い。しかし、北米や英国の先行研究では、統合失調症患者における抗精神病薬服用による脂質異常症への影響を否定する結果も得られている。新潟大学 渡邉氏らは日本人統合失調症患者における抗精神病薬と脂質異常症との関係を検証した。Gen Hosp Psychiatry誌2012年9月号の報告。 対象は抗精神病薬治療を行っている日本人統合失調症患者157例、健常者136名。対象患者のHDL-C、LDL-C、トリグリセリド(TG)を測定した。分析には、重回帰分析を用いた。なお、両群間の年齢、男女比、BMIは一致していた。主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬による治療を行っている統合失調症患者は対照群と比較し、HDL-Cレベルが有意に低かった(p

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