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認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは?

 認知症治療において、興奮症状などを抑制する目的で抗精神病薬が用いられることは少なくない。今後、認知症の増加に伴い、使用頻度がますます増加すると予想されることから、日本老年精神医学会では、認知症に対する抗精神病薬の使用状況について実態調査を行い、死亡率との関係を調べる計画である。 このたび、カナダ・Women's College HospitalのPaula A. Rochon氏らは住民ベースの後ろ向きコホート研究から、認知症における非定型抗精神病薬投与と重大なイベント発症との関係を調査した。その結果、非定型抗精神病経口薬治療について、認知症高齢者では開始直後の重大イベントの発生リスクが高いこと、また治療開始後30日までの重大イベントについては全体でも階層グループ(ケアや年齢、併存疾患などによる)別にみた場合でも、女性よりも男性のほうが一貫してリスクが高いことが示された。Journal of the American Geriatrics Society誌2013年1月号(オンライン版2013年1月10日号)の掲載報告。 研究グループは、高齢者の薬物療法における性差について明らかにすることを目的とした。カナダ、オンタリオ州に居住する認知症高齢者で、2007年4月1日~2010年3月1日の間に、新規に非定型抗精神病経口薬治療を開始した2万1,526人(女性1万3,760人、男性7,766人)を対象とした。重大イベントを、治療開始後30日までの入院または死亡と定義し、女性、男性の未調整/調整オッズ比を、全コホートならびに各階層群(治療、年齢、チャールソン併存疾患指数(CCI)、抗精神病薬投与量に基づく)において算出し、比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・調査対象の2万1,526人(年齢中央値84歳)のうち、1,889人(8.8%)が重大なイベントを有した。女性は1,044人(7.6%)、男性は845人(10.9%)であった。・死亡例は、女性363人(2.6%)、男性355人(4.6%)であった。・30日の追跡調査期間における入院または死亡は、男性のほうが女性よりも多く発生しており(補正オッズ比:1.47、95%CI:1.33~1.62)、その傾向は各階層別にみた場合も一貫していた。・女性と男性の間での重大イベント発症について、薬剤投与量に準じたリスクの勾配が認められた。関連医療ニュース ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う? ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は?

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新型PTCAバルーンカテーテル「イマージ」発売

 ボストン・サイエンティフィック ジャパンは、新型PTCAバルーンカテーテル「イマージ」を発売した。 イマージは、国内初となる1.2mm径で、RBP(Rated Burst Pressure)18気圧の耐圧性を実現した。RBP拡張時に1.2mm径の拡張径は1.45mmにまで大きくなるという。また、困難な冠動脈病変部に対処するデリバリー性能を提供するために設計された次世代前拡張用バルーンカテーテルである。さらにフレキシブルで短いチップ構造を採用し、病変部での抵抗やステントのストラットでの引っ掛かりが軽減されており、新規の親水性コーティングが施されている。 イマージは、1.2mm~3.5mm径という多様なサイズを取り揃えており、バルーン長は8mm~30mmとなっている。詳細はプレスリリースへhttp://www.bostonscientific.jp/NewsEvents/NewsRelease.bsci?method=DETAIL&id=10179982&navRelId=1006.1017

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ダーモスコピー、すでに皮膚科開業医にとってルーチンアイテムに

 ダーモスコピーは皮膚科開業医でどれほど使用されているのか。フランス・Centre Hospitalier Lyon SudのC. Moulin氏らが全国調査を行った結果、有効回答者1,576人のうち94.6%が「使用している」と回答し、「女性」「45歳未満」の医師での使用が有意に高いことなどが発表された。これまで、オーストラリアやアメリカとは異なり、ダーモスコピーはヨーロッパ諸国では広く使用されていると言われていた。しかし、公式に調査発表されたデータはなく、本調査がヨーロッパで行われた初の調査となる。著者は、「分類や選別のバイアスがあるにもかかわらず、ダーモスコピーはすでにフランスの皮膚科開業医には著しく浸透しており、色素性病変と非色素性病変の両方の診療に日常的に用いていることが明らかになった」と結論している。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月16日号(オンライン版2012年12月17日号)の掲載報告。 調査は、フランスの皮膚科開業医におけるダーモスコピーの使用とトレーニングの実態について明らかにし、定量化することを目的とした。 調査票は、人口動態学的特性、ダーモスコピーの使用とトレーニング、ダーモスコピーに対する医師の見解などが含まれた19項目からなり、郵送でフランスの全皮膚科開業医に送付された。研究グループは、質問のキー項目として「あなたは、ダーモスコピーを使用していますか」に対して回答している調査票のみに着目した。 主な結果は以下のとおり。・調査票は3,179人に郵送され、1,611人から回答を得られた。そのうち、解析が可能であったのは1,576人分(49・6%)であった。・大半の回答者がダーモスコピーを「使用している」(94.6%)と明言し、「1日に数回使用している」(82.7%)、および/または「非色素性病変の診断に使用している」(87.7%)と回答した。・ダーモスコピーに関するトレーニングは主として、本(75.8%)、および/またはカンファレンス(88.6%)を通して行っていた。また、12.8%が専門学位を取得したことを報告していた。・ダーモスコピーは、「早期の黒色腫の検出」(86.6%)、「生検の減少」(74.6%)に役立っていた。・多変量解析の結果、「女性」(オッズ比:1.89、95%CI:1.15~3.10)「45歳未満」(同:2.85、95%CI:1.14~7.11)で、ダーモスコピーの有意に高い使用率が認められた。

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危険・有害な飲酒、プライマリ・ケアで介入強度を高めても改善されず/BMJ

 危険・有害な飲酒(hazardous or harmful drinking)に対する簡易介入(brief intervention)の抑制効果は、その強度を高くしても改善されないことが、英国ニューカッスル大学のEileen Kaner氏らの検討で示された。WHOが行った国際試験では、プライマリ・ケアを日常的に受診する患者の約20~30%が危険・有害な飲酒者だという。アルコール摂取に対するプライマリ・ケア医による簡易介入(簡単な助言や心理カウンセリング)により、危険・有害な飲酒が有意に低減する可能性が指摘されているが、どの程度の介入が最適かは明らかにされていない。BMJ誌2013年1月26日号(オンライン版2013年1月9日号)掲載の報告。高強度の介入の有用性をクラスター無作為化試験で評価 SIPS(Screening and Intervention Programme for Sensible drinking)試験は、簡易介入の強度が高いほうが危険・有害な飲酒の低減効果は優れるとの仮説を検証するプラグマティックなクラスター無作為化対照比較。 2008年5月~2009年7月までに、イングランド北東部と南東部およびロンドン市のプライマリ・ケア施設を受診した18歳以上の3,562人のうち、2,991人(84.0%)が登録された。このうち900人(30.1%)が危険・有害な飲酒者と判定され、756人(84.0%)が簡易介入を受けた。 全体の平均年齢は44.5歳、男性が62.2%、白人が91.7%、喫煙者が34.2%だった。説明書(http://www.sips.iop.kcl.ac.uk/pil.php)のみの対照群、5分間の簡易な助言を受ける群、20分間のライフスタイルに関する簡易なカウンセリングを受ける群の3群に分けられた。 主要評価項目は、6ヵ月の介入後にアルコール使用障害特定テスト(alcohol use disorders identification test; AUDIT)で評価した自己申告による危険・有害な飲酒の状態とした。AUDITスコア<8点の場合に陰性(非危険・非有害な飲酒)と判定された。書面による結果のフィードバックが最適な抑制戦略の可能性も フォローアップ率は6ヵ月後が83%(644人)、12ヵ月後は79%(617例)であり、いずれの時点でもintention-to-treat(ITT)集団のAUDIT陰性率は3群間で同等であった。 6ヵ月後の対照群と比較したAUDIT陰性率のオッズ比は、5分簡易助言群が0.85[95%信頼区間(CI):0.52~1.39]、20分ライフスタイル簡易カウンセリング群は0.78(同:0.48~1.25)であった。per-protocol集団の解析でも同様の結果が得られ、3群間に有意な差は認めなかった。 12ヵ月後の対照群と比較したAUDIT陰性率のオッズ比は、5分簡易助言群が0.91(95%CI:0.53~1.56)、20分ライフスタイル簡易カウンセリング群は0.99(95%CI:0.60~1.62)だった。 著者は、「参加者全員にアウトカムがフィードバックされたが、それでも説明書のみの対照群に比べ、5分簡易助言群、20分ライフスタイル簡易カウンセリング群ともに危険・有害な飲酒の抑制効果は認められなかった」とし、「プライマリ・ケアにおける最適な危険・有害な飲酒の抑制戦略は、患者への書面による結果のフィードバックである可能性がある」と指摘している。

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SMSを活用した教育介入で、てんかん患者の健康関連QOLが改善

 てんかん患者における健康関連QOL(HRQoL)の改善は、さまざまな治療プログラムおよび行動介入において着目すべき課題となっている。マレーシア・Sultan Zainal Abidin大学のPei Lin Lua氏らは、SMS(Short Message Service)を活用した教育プログラムのてんかん患者のHRQoLに及ぼす影響の検討、ならびに良好なHRQoLの予測因子を明らかにすることを試みた。Quality of Life Research誌オンライン版2013年1月18日号の掲載報告。 マレーシア半島東海岸にある3つの公立病院のてんかん外来患者を適格症例とし、印刷物による教育資材のみが提供された群(対照群)と、印刷物に加えてモバイルてんかん教育システム(Mobile Epilepsy Educational System:MEES)によりSMSを受信した群(介入群)に無作為化した。HRQoLはThe Malay Quality of Life in Epilepsy Inventory-30(QOLIE-30のマレー語版)を用いて評価した。統計解析ソフトSPSS 16を使用し、記述統計、ペアt検定、共分散分析および多重ロジスティック回帰分析などによりデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・登録されたのは、てんかん患者144例であった。・患者背景は、年齢が30.5±11.8歳、未婚者が60.4%、教育レベルはマレーシア教育検定〔Sijil Pelajaran Malaysia:SPM、ケンブリッジシステムのOレベル(中等課程)〕以下が76.4%、罹病期間5年を超える例が51.1%であった。・想定される交絡因子調整後、介入群は対照群と比べて「発作への不安」「全般的QOL」「情緒的健康」「社会的役割」「総スコア」をはじめ、HRQoLプロファイルの改善が認められた(p<0.05)。・共変量調整後、SMSを追加したてんかん教育プログラムは、てんかん患者における良好なHRQoLの有意な予測因子であることが示された。・著者は、「SMSによる継続的な情報提供は、てんかん患者のHRQoLに好影響を及ぼすようである」と結論するとともに、「本研究は将来的なイノベーションの礎となるものであり、てんかん患者・家族がウェルフェアおよびHRQoLを確保するための努力を後押しするものである」と成果を強調した。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・抗てんかん薬、神経膠腫術後患者の言語記憶を改善

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腎同種移植片拒絶反応の未知の表現型を同定、高い移植片喪失リスク示す/Lancet

 フランス国立保健医学研究所(INSERM)のCarmen Lefaucheur氏らの研究グループは、腎同種移植片の拒絶反応の未知の表現型として、「抗体関連型血管性拒絶反応(antibody-mediated vascular rejection:ABMR/V+)」を同定したことを、Lancet誌2013年1月26日号(オンライン版2012年11月23日号)で報告した。このタイプの拒絶反応は全体の約2割を占め、移植片喪失リスクが既知のタイプの拒絶反応に比べて高いこともわかった。現在の国際分類では2つの急性拒絶反応の表現型(T細胞関連型拒絶反応、抗体関連型急性拒絶反応)が示されているが、表現型とアウトカムの臨床的関連は複雑なため、その同定は困難であり、見逃されている表現型が治療に直接悪影響を及ぼしている可能性があるという。拒絶反応のパターンを地域住民ベースの調査で評価 研究グループは、腎同種移植片拒絶反応の表現型の特性を評価して抗HLA抗体との関連を同定し、予後を正確に予測することを目的に、地域住民ベースの調査を行った。 1998年1月1日~2008年12月31日までに、パリ市のNecker病院およびSaint-Louis病院でABO適合型腎移植を受けた患者を対象とした。フォローアップは2010年3月31日まで行われた。急性拒絶反応をきたした患者の生検標本を調べ、移植片の機能低下と病変の病理組織学的な特性の関連に基づいて定義づけを行った。 主要評価項目は腎同種移植片喪失(再透析)とした。さらに、拒絶反応のパターンを検討するために、移植片の組織像、生検標本のC4d沈着、ドナー特異的抗HLA抗体を調べることで、拒絶反応エピソードのレトロスペクティブな評価を行った新たな治療法の開発につながる可能性も 2,079例が主解析の対象となり、そのうち302例(15%)が生検で急性拒絶反応を証明された。拒絶反応例の平均年齢は45歳(非拒絶反応例49歳、p<0.0001)、男性が49%(同:69%、p<0.0001)、再移植例は40%(同:12%、p<0.0001)であった。 以下の4つの腎同種移植片拒絶反応パターンが同定された。1)T細胞関連型血管性拒絶反応(TCMR/V+、26例、9%)、2)抗体関連型血管性拒絶反応(ABMR/V+、64例、21%)、3)T細胞関連型非血管炎性拒絶反応(TCMR/V-、139例、46%)、4)抗体関連型非血管炎性拒絶反応(ABMR/V-、73例、24%)。 このうちABMR/V+は、これまで認識されていない表現型であり、循環血中のドナー特異的抗HLA抗体による動脈内膜炎で特徴づけられた。 TCMR/V-と比べた場合の移植片喪失のリスクは、ABMR/V-が2.93倍(p=0.0237)で、ABMR/V+は9.07倍(p<0.0001)に達していたが、TCMR/V+ではハザード比が1.5であったものの有意差は認めなかった(p=0.60)。 著者は、「現在の腎移植片拒絶反応の分類にはないタイプの拒絶反応――抗体関連型血管性拒絶反応(ABMR/V+)――を同定した。この移植片喪失リスクが高い拒絶反応が広く知られるようになれば、抗HLA抗体を標的とした戦略など新たな治療法の開発につながり、多くの腎同種移植片が救済される可能性がある」と結論している。なお、これらの知見は、マウスモデルで確立されている動脈硬化の免疫学的な進展の概念がヒトでも支持されることを示唆するという。

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術後のAcute Pain Serviceを利用できない患者には経口オピオイド療法を

 術後痛など急性痛に対応するAcute Pain Service(APS)を受けない、すなわち局所麻酔法や患者自己管理鎮痛法を受けることができない患者は、激しい術後疼痛に苦しむ。こうした患者に対しては経口オピオイド療法が有効であり、治療アルゴリズムは外科病棟で実行可能であることがドイツ・ミュンスター大学病院のE.M. Pogatzki-Zahn氏らによる前向き観察研究で示された。Der Schmerz誌オンライン版2013年1月17日号の掲載報告。 耳鼻咽喉科、外傷外科および一般外科で手術を受ける患者を対象に、徐放性(CR)オキシコドン、速放性(IR)ヒドロモルフォンを含む経口オピオイド、および非オピオイド性鎮痛薬からなる経口療法を実施した。 手術当日術前および手術後12時間毎に最高4日間、CRオキシコドンを投与した。疼痛スケール(0~10)が安静時3または体動時5を上回り患者の希望があった場合、IRヒドロモルフォンで治療した。 手術当日および手術後4日間の計5日間アンケートを用いて評価した。また、同様の調査を手術後6ヵ月および12ヵ月に行った。 主な結果は以下のとおり。・計275例が登録された(耳鼻咽喉科163例、外傷外科82例、一般外科30例)。・疼痛スケール中央値は、安静時3以下および体動時5以下であった。・外傷外科手術を受けた患者は、耳鼻咽喉科手術および一般外科手術を受けた患者と比較してより多くのCRオキシコドンを必要とした(p<0.001)。・一般外科および外傷外科手術を受けた患者は、耳鼻咽喉科手術を受けた患者より便秘の頻度が高かった。・嘔吐は手術の種類に関係なく、手術当日20~30%からその後は10%以下まで減少した。・重篤な有害事象は観察されなかった。・手術前のうつ病スコアが高かった患者はそうでない患者に比べ、手術直後により大きな痛みを報告した。・手術後6ヵ月および12ヵ月に持続性の術後痛を訴えた患者は、それぞれ11例(15.7%)および7例(14.9%)であった。これらの患者は、手術後1日目の急性痛が大きかった。

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マンモグラフィ検診の過剰診断率情報が、受診動向に影響/BMJ

 乳がんのマンモグラフィ検診の過剰診断について知る一般女性は少なく、高い過剰診断率に関する情報は検診の受診動向に影響を及ぼす可能性があることが、オーストラリア・シドニー大学のJolyn Hersch氏らの検討で示された。マンモグラフィ検診では、生存中には臨床的に発現しない病変を検出する過剰診断のリスクがあるが、このリスクの程度には大きな幅がある。乳がんの過剰診断の社会的認知度は低く、一般の女性が過剰診断にどう対応するか、検診の選択の際にこれらの情報をどう活用するかに関するエビデンスはほとんどないという。BMJ誌2013年1月26号(オンライン版2013年1月23日号)掲載の報告。過剰診断の認識が、検診に対する考え方に及ぼす影響を評価 研究グループは、マンモグラフィ検診における過剰診断(生存中には臨床的に発現しない病変の検出)の実態に関する情報への女性の反応を調査し、過剰診断の認識が検診に対する考え方や意向に及ぼす影響を評価する質的研究を行った。 対象は、乳がんの既往歴のない40~79歳の女性50人で、教育歴や検診への参加歴はさまざまであった。 これらの女性が、過剰診断に関する説明を受け、過剰診断率がそれぞれ1~10%、30%、50%とする論文データと、検診がもたらすベネフィットに関するエビデンスに基づく情報を提供された。その後、グループでディスカッションを行った。慎重な情報伝達の必要性を強調すべき 50人の女性のうち、40~49歳が19人、50~69歳が16人、70~79歳は15人であった。マンモグラフィ検診歴のある女性は31人(62%)だった。 乳がんの過剰診断について事前に知っていた女性は少なかった。過剰診断の事実を知って多くの女性が驚きの反応を示したが、ほとんどが問題を理解した。 過剰診断への反応やその程度はさまざまであった。最も高い過剰診断率(50%)の場合、受診の意志決定の際はより慎重な態度が必要と考える女性がいたのに対し、過剰診断率が低~中(1~10%、30%)の場合は、女性の考え方や意向に及ぼす影響は少なく、多くの女性が検診への姿勢に変化を示さなかった。 過剰診断の情報を得ることで、別の検診法への関心や、検診でみつかったがんを治療するか、別のアプローチ[経過観察(watchful waiting)など]を考慮するかという問題への関心を示した女性もいた。 情報の受け止め方もさまざまであった。多くの女性は、過剰診断について自分で考えることが重要であり、受診の可否の選択に情報を活かそうと考えたが、誰かに検診を受けるよう強く薦めてもらいたいと考える女性も多かった。 著者は、「さまざまな社会経済的背景を持つ女性たちは、マンモグラフィ検診の過剰診断の問題を理解し、関連情報の価値を判断した。検診の受診への意思には、過剰診断率の情報が大きな影響を及ぼした」とまとめ、「過剰診断は多くの人びとにとって初耳で、思いがけないものである。それゆえ、十分に考えずに検診や治療の可否の決定をしている可能性があるため、慎重な情報伝達の必要性を強調すべきである」と指摘している。

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スパイロメトリーの活用状況などに関するアンケート

対象ケアネット会員の医師 呼吸器科162名、内科738名方法インターネット調査実施期間2013年1月24日~1月31日Q1呼吸機能を測定するスパイロメーターをお持ちですか?Q2(Q1.で「はい」と回答した先生にお聞きします)COPDスクリーニングの目的でスパイロメーターはどのくらいの頻度で使用されていますか?Q3COPDの診断・治療を行う際に、日本呼吸器学会による「COPD診断と治療のためのガイドライン」を参考にしていますか?Q4COPDの診断・治療を行う際に「GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)」を参考にしていますか?2013年1月ケアネット調べ

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ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?

 アルツハイマー病(AD)において、メマンチンとコリンエステラーゼ阻害薬との併用はどの程度のベネフィットが期待できるのか。米国・マサチューセッツ総合病院のAlireza Atri 氏らは、AD患者におけるドネペジルとメマンチンの併用療法の有効性と安全性について検討を行った。その結果、両薬剤の併用は統計学的有意かつ臨床的に意義のある効果をもたらし、忍容性も良好であることを報告した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。 本研究では、中等度から高度のAD患者および中等度のAD患者において、固定用量のドネペジルにメマンチンを追加した併用療法の有効性と安全性を評価するためPost hocメタアナリシスを行った。固定用量のコリンエステラーゼ阻害薬にメマンチン20mg/日またはプラセボを追加して比較検討した24週間無作為化二重盲検プラセボ対照試験2件の解析を行った。解析対象はMini-Mental State Examination(MMSE)スコア20点未満で、ドネペジル10mg/日による治療を受けている510例。内訳は、中等度から高度のAD患者(MMSE:5~19点、MOD-SEVサブグループ)と中等度AD患者(MMSE:10~19点、MODサブグループ、367例)であった。有効性については、認知、機能および全身状態に関する各尺度を用いて評価した。さらに、有効性に関する3つのドメインと安全性(治療関連有害事象)のベースラインからの低下が同時に認められた場合、これを「顕著な臨床的悪化」として評価した。 主な結果は以下のとおり。・24週時点のMOD-SEVサブグループにおける成績:ドネペジルにメマンチンを追加投与した患者は、プラセボを追加投与した患者と比べて認知(p<0.0001)、機能(p=0.02)、全身状態(p=0.010)が有意に良好で、標準化平均差(SMDs)はそれぞれ0.36、0.21、0.23であった(途中で脱落した症例も解析対象から除外せずに評価)。・24週時点のMODサブグループにおける成績:MOD-SEV サブグループと同様、メマンチンを追加投与した患者は、プラセボを追加投与した患者と比べて認知(p=0.008)、機能(p=0.04)、全身状態(p=0.008)が有意に良好で、SMDs はそれぞれ0.28、0.21、0.28であった。・両サブグループともドネペジルにメマンチンを追加した患者は、プラセボを追加投与した患者と比べて「顕著な臨床的悪化」を認めた患者が有意に少なかった(MOD-SEV:8.7%対20.4%、p=0.0002/MOD:5.9%対15.0%、p=0.006)。・有害事象の発現頻度は両群間で同程度であった。関連医療ニュース ・認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは… ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・認知症ケアでプライマリケア・リエゾンに求められる3つのポイント

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経口アザチオプリン、難治性小児アトピー性皮膚炎にベネフィットをもたらす可能性

 難治性小児アトピー性皮膚炎に対する経口アザチオプリン(商品名:アザニンほか、アトピー性皮膚炎には適応外)は、ベネフィットがある可能性を、米国・ジョージタウン大学医学部のMaura Caufield氏らが無作為化試験の結果、報告した。欧米ではアザチオプリンは、難治性アトピー性皮膚炎などでステロイドを節減する薬物として処方されるが、小児アトピー性皮膚炎での適正使用とモニタリングについては、前向きデータが限られており、Caufield氏らは、アザチオプリンの治療反応とモニタリングのあり方について検討した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年1月号(オンライン版2012年8月11日号)の掲載報告。 研究グループは、アザチオプリンの治療反応を評価し、治療中にTPMT(thiopurine methyltransferase)活性を繰り返し測定することの必要性、および6-チオグアニンヌクレオチド(6-TGN)ならびに6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝レベルの測定が有用であるかについて調べた。 重症難治性アトピー性皮膚炎の小児を対象に、経口アザチオプリンを投与し、前向きに追跡。疾患重症度は、SCORing AD指数によって判定した。 TPMTはベースラインで測定した後、症状の改善や十分な効果が得られない場合、あるいは治療反応が認められた場合に、6-TGNや6-MPとともに繰り返し測定した。 主な内容は以下のとおり。・被験児は12例であった。・アザチオプリン治療は、1例を除いた全患者の臨床的改善と関連していた。・有害事象はほとんどみられなかった。・3例では、治療中のTPMT活性に有意な変化がみられた。そのうち2例は軽度な低下を示し、1例は中間値から標準値へと増大する酵素誘導性を示した。・一方、こうした変化(臨床的効果と逆相関を示すような変化)は、6-TGNあるいは6-MP値ではみられなかった。・著者は、本試験が小規模であり限界があるとした上で、「難治性小児アトピー性皮膚炎治療において、アザチオプリンはベネフィットがある可能性が示された」と結論。また、「TPMT活性の反復評価が治療未反応あるいは反応の評価に有用であり、さらなる試験の根拠となりうる。対照的に、治療期間中のチオプリン代謝活性の測定は臨床的に役立たなかった」と報告した。

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大企業が考える従業員のヘルスケア-企業の健康戦略

12月8日(土)慶應義塾大学・信濃町キャンパスにおいて山本雄士氏(株式会社ミナケア 代表取締役)主催による「山本雄士ゼミ」の第8回(後期第3回)が開催された。今回はケーススタディに「Pitney Bowes: Employer Health Strategy」(ピッツニーボウズの健康戦略)を取り上げ、ディスカッションを行った。山本雄士ゼミは、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した山本氏をファシリテーターに迎え、ケーススタディを題材に医療の問題点や今後の取り組みをディスカッションによって学んでいく毎月1回開催のゼミである。アメリカに本社をおく「ピッツニーボウズ」(以下、PBと略す)は、郵便・書類の管理サービス会社として130カ国で事業を展開。従業員は全世界で36,000人、年間売上高は60億ドルの大企業である。うちアメリカ国内の従業員(26,000人)は、4つのグループ(本社勤務、外勤社員等)に分類されて、会社が負担する医療保険等で区分けがなされている。従業員の医療関連での負担支出をみると、医療費1億5千万ドル以上を負担、これを減らすべくさまざまな健康プログラムを用意し、従業員の健康確保と支出削減を考えている。今回は、この取り組みをメインテーマとしてゼミを行った。従業員の病気がもたらす企業への影響はじめにPBの概要を確認したうえで、山本氏より「なぜPBは健康への取り組みを始めたのか?」という問いが発せられた。これに対しゼミ生より、「業務パフォーマンス向上のため」や「コストスコア圧縮のため」、「組織の人的資産の維持」などの回答が寄せられた。これらを受けて、アメリカの企業の一般的な医療保険の概要が説明され、日本と異なり、企業はかなり自由に医療保険の契約交渉ができること、従業員にとって医療保険は非常に大きな福利厚生で労働のインセンティブとなっていることが解説された。PBは、実際に過去、疾病リスクの高い集団を特定し、これに対応するため保険商品を再契約したりするなどしてコスト削減を行ったことが紹介された。続いて山本氏から「あなたが、PBのCEOだとして会社の健康戦略をコスト削減も含めてどう推進するか?」とアイデアを募って話しが進められ、PBが実践した従業員への健康管理の取り組みについてふれた。最後に山本氏より、「アメリカでは医療保険の契約内容により受ける医療に差がでる仕組みで、きちんとアウトカム評価をしているためにこうしたことができる。日本でも企業が医療保険の費用を負担している以上、こうした何か評価できる指標が必要ではないか!」と問題を提起し、今回のゼミを終えた。

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地域でのケア移行、改善介入で不必要な入院が減少/JAMA

 米国メディケア患者は治療移行の間に、不必要な再入院など害悪をもたらす過失に見舞われているという。Colorado Foundation for Medical CareのJane Brock氏らケア移行プロジェクトチームは、ケア移行改善の介入によってメディケア診療報酬支払対象患者の再入院や入院が低減するのかを検証した。JAMA誌2013年1月23日号の掲載報告。14介入地域と50対照地域の比較で、ケア移行改善介入の効果を検討 研究グループは、14の介入地域と50の対照地域について、ケア移行改善実施前(2006~2008年)と実施以降(2009~2010)について、メディケア受給者1,000人当たりの全要因30日再入院率を主要アウトカムとして検討を行った。副次評価項目は、同30日入院率と、全要因30日再入院率/退院率などを含んだ。 14介入地域群のメディケア受給者は、地域により2万2,070人~9万843人にわたった。 介入は、質改善委員会(QIO)が地域組織によるエビデンスベースの改善策が実行しやすいよう技術協力を行い、参加者、実行力、有効性と有害反応のモニタリングを行った。全要因30日再入院率、同入院率は介入により減少 結果、全要因30日再入院率(1,000受給者当たり)は、介入地域群では介入前は15.21であったが介入後は14.34に、対照地域群ではそれぞれ15.03、14.72であった。両群の介入前後の変化の差は0.56/1,000/1地域(95%信頼区間:0.05~1.07、p=0.03)で、介入地域群のほうが再入院率が大きく減っていた。 入院率については、介入地域群では介入前82.27、介入後77.54であり、対照地域群では82.09、79.48であった。両群の介入前後の変化の差は2.12/1,000/1地域(95%信頼区間:0.47~3.77、p=0.01)で、介入地域群の入院率のほうが大きく減っていた。 退院率に対する再入院率の平均値は、介入地域群では介入前18.97%、介入後18.91%であった。対照地域群は18.76%、18.91%で、両群の介入前後の変化に有意差は認められなかった(0.22%、95%信頼区間:-0.08~0.51、p=0.14)。 プロセスコントロールチャートにより、改善は介入直後に始まったことが確認できた。

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ウステキヌマブ、尋常性乾癬患者のBMI値を上昇させない

 慢性尋常性乾癬患者の治療において、ウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)投与を受けた患者は、インフリキシマブ(同:レミケード)治療を受けた患者と比べてBMI値が上昇しなかったことが、イタリア・ヴェローナ大学のP. Gisondi氏らによる前向きコホート研究の結果、示された。同疾患患者では、肥満症など代謝障害がみられる頻度が高い。体重増加は、抗TNF-α治療が引き起こしている可能性が指摘されていたが、一方でIL-12/23阻害薬であるウステキヌマブについて体重への影響は明らかではなかった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月16日号の掲載報告。 本研究は、ウステキヌマブが慢性尋常性乾癬患者のBMI値の変化と関連するかを調べることを目的とした前向き多施設共同研究である。 ウステキヌマブ治療を受ける群とインフリキシマブ治療を受ける群の、7ヵ月間のBMI値の変化について比較した。 主な内容は以下のとおり。・ウステキヌマブ治療群は79例、インフリキシマブ治療群は83例であった。・インフリキシマブ治療群はウステキヌマブ群と比較して7ヵ月後に、BMI値(平均±SD:2.1%±4.5 vs. 0.1%±3.3)、体重(同:2.5kg±3.3 vs. 0.6kg±1.1)の有意な上昇が認められた(いずれもp<0.001)。・2%以上BMI値が上昇した被験者は、インフリキシマブ治療群は45%であった。これに対してウステキヌマブ群は11%であった(p=0.01)。・多変量解析において、インフリキシマブの使用を除いたその他の臨床的指標はいずれもBMI値上昇の予測因子であった。・7ヵ月時点で、ベースラインからの改善50%達成(PASI 50)の割合は、インフリキシマブ治療群96%、ウステキヌマブ治療群82%であった。同75%達成(PASI 75)は、それぞれ69%、58%であった。両群間においてPASI 50とPASI 75の達成率に差は認められなかった。・著者は上記の結果を踏まえて、「両治療群のBMI値上昇の差は、両治療のバイオロジックの違いによる可能性がある」と結論している。

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日本で行われたARBの大規模試験に関する論文が撤回

 1日、欧州心臓病学会の学会誌であるEuropean Heart Journal誌の編集者らは、KYOTO HEART Studyに関する主要論文を同誌から撤回したと発表した。KYOTO HEART Studyは、日本人のハイリスク高血圧患者を対象にARBバルサルタンの追加投与による心血管イベントに対する有用性を検討した大規模臨床試験。編集者らは撤回理由について「この論文に発表されたデータの一部に重大な問題があった」としている。European Heart Journalhttp://eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2013/02/04/eurheartj.eht030.full KYOTO HEART Studyについては、昨年12月にもサブ解析結果に関する論文2報が、日本循環器学会の学会誌であるCirculation Journal誌から撤回されていた。

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検証!統合失調症患者の睡眠状態とは

 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。 対象は統合失調症患者34例(男性22例、女性12例)と健常者34例(男性19例、女性15例)。睡眠覚醒サイクルを評価するためにアクティグラフと睡眠日誌を用いた。睡眠の質の測定にはピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用い、QOLの測定にはWHO(世界保健機関)によるQOL評価尺度の簡易版(WHOQOL-BREF)を用い評価した。精神病理学の評価にはPANSSを用いた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、健常者と比較し、夜間により睡眠をとっていたが、睡眠効率が悪く、睡眠潜時と中途覚醒が有意に高かった。・自己申告によるQOLスコアは、健常者において、4つすべてのドメインで有意に高かった。・PSQIスコアは、統合失調症患者において有意に高く、睡眠の質が悪かった。・統合失調症患者では睡眠-覚醒のパターンが乱れていた(睡眠相前進症候群3例、不規則型睡眠・覚醒パターン3例)。関連医療ニュース ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続 ・不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは ・慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は?

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RAは、関節炎発症前からすでに不顕性炎症が起きているかもしれない

 関節リウマチ(RA)では、関節炎が臨床的に現れる前に抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)や急性相反応物質が増加する可能性があるが、こうした発症前段階ですでに局所の不顕性炎症が起きていることが、オランダ・ライデン大学病院のAnnemarie Krabben氏らによるMRIを用いた検討で明らかになった。Annals of the Rheumatic Diseases誌オンライン版2013年1月19日号の掲載報告。 臨床的関節炎を認めないACPA陽性の関節痛患者21例を対象に、四肢専用1.5テスラMRIを用い手および足関節の画像検査を行った。 比較対照はACPA陽性RA患者22例および無症状対照者19例で、スコアリングはOMERACT-RAMRIS(Outcome Measures in Rheumatology Clinical Trials / Rheumatoid Arthritis Magnetic Resonance Imaging Scoring)を用い炎症(滑膜炎および骨髄浮腫)について評価した。 主な結果は以下のとおり。・中手指節(MCP)関節/近位指節間関節の炎症スコア平均値は、無症状対照者群0.1、ACPA陽性関節痛患者群(有痛関節)0.7、ACPA陽性RA患者群3.7であった(各々p<0.001)。・手首の炎症スコア平均値はそれぞれ0.9、2.3および10.3(各々p<0.001)、中足指節関節はそれぞれ0.5、0.9および3.8(各々p=0.10)であった。・MCP関節の炎症スコアは、C反応性タンパク質および赤血球沈降速度と有意に相関していた(各々r(s)=0.83 および r(s)=0.78)。

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間欠自己導尿カテーテル、タイプ別に比較した尿路感染症リスクの発生/BMJ

 在宅患者にとって、間欠自己導尿カテーテルのタイプは、親水性、ゲルリザーバー、非コートタイプのいずれでも、症候性のカテーテル関連尿路感染症のリスクはほとんど差がないことを、英国・National Clinical Guideline CentreのSarah L Bermingham氏らがシステマティックレビューによるメタ解析を行い報告した。尿道カテーテルを利用している人の罹病状態や死亡の原因の先頭に立つのがカテーテル関連尿路感染症である。感染リスクは留置カテーテル処置患者で最も高く、膀胱管理には間欠導尿が好ましいオプション処置とされているが、これまで、その材質や方法論について、有効性と費用対効果の系統的比較は行われていなかった。BMJ誌2013年1月13日号(オンライン版2013年1月8日号)の掲載報告。親水性、ゲルリザーバー、非コートで比較 本検討は、在宅で間欠自己導尿を行っている患者にとって、最も有効で費用対効果に優れるカテーテルタイプを明らかにすることを目的とした。 システマティックレビューとメタ解析にて検討し、結果は確率的なマルコフ・モデルに組み込まれ、生涯コストとQALY(生活の質で調整した生存年)を比較した。 Medline、Embase、Cochrane、Cinahlのデータベースで2002年~2011年4月18日の間に、間欠自己導尿カテーテルについて親水性タイプ、ゲルリザーバータイプ、非コートタイプを比較している文献を検索した。また、2002年以前の論文の特定にはガイドラインを利用した。清潔(1日1回交換または週に1回交換)vs. 無菌性(使い捨て)非コートカテーテルの比較を行っている試験については、各データベースのサービス開始時点から2011年4月18日の間で検索を行った。 主要評価項目は、症候性尿路感染症、菌血症、死亡、患者の好みまたは快適性、使用したカテーテル数などが含まれた。経済的評価モデルには、尿道炎を含む尿路感染症と費用対効果が含まれ、QALY獲得のために増大するコストを算出して検討した。ほとんど差がないが、費用対効果も考慮し親水性かゲルリザーバーを選択肢とすべき システマティックレビューには8試験が組み込まれた。 間欠自己導尿法の利用は脊髄損傷患者が最も多く、大半は男性患者であった。 無菌性非コート群と比べて、ゲルリザーバー群と親水性群は、1回以上の尿路感染症(UTI)の報告例が有意に少ない傾向がみられた(いずれもp=0.04)。 しかし、親水性群と無菌性非コート群との差は、アウトカムを1ヵ月平均UTIで測定した場合(p=0.84)、または1年時点での総UTIで測定した場合(p=0.60)は有意ではなかった。 清潔非コートタイプと無菌性非コートタイプの比較では、1回以上のUTI報告に差はほとんどなかった(p=0.86)。 最も有効であったのはゲルリザーバータイプであったが、QALY獲得コストが>5万4,350ポンドで、清潔非コートタイプと比べて費用対効果では劣った。 以上の結果を踏まえて著者は、「間欠自己カテーテル法で利用されるカテーテルタイプは、症候性尿路感染症リスクについてはほとんど差がないようである。材質による大きな違いとしては、清潔非コートタイプが最も費用対効果に優れている。しかし、エビデンスベースおよび非コートタイプの呼称についての限界とギャップがあり、予防的観点から患者に与えられるべき選択肢は親水性およびゲルリザーバーとすべきことを推奨する」と結論した。その上で、現場の使用の流れが変わる前に、さらなるデータ(感染症、尿道合併症の発生、患者コンプライアンス、清潔カテーテルの扱い方、QOLなど)の積み上げが必要だと指摘している。

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全米小児病院の再入院率、疾病や病院間で有意な差/JAMA

 米国・ボストン小児病院のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院急性期部門の再入院率を調査した結果、予定外の30日再入院率は6.5%であったことが報告された。再入院率は、患者が入院の間、および退院後に受ける治療の質のインジケーターとして利用される。本調査の再入院率も、疾病や病院間で有意差がみられ、著者は「本病院の質的改善活動に役立つであろう」とまとめている。JAMA誌2013年1月23日号掲載の報告より。1年間の72小児病院57万弱の入院について検証 調査は、小児病院急性期部門の再入院率と、病院間の格差について調べることを目的とした。 2009年7月1日~2010年6月30日の間、米国小児病院・関連施設協会のデータに基づき、72の小児病院での56万8,845件の入院について検証した。 病院、年齢、慢性疾患指標(Chronic Condition Indicators)ごとに30日再入院率を、階層的回帰モデルを用いて算出した。再入院率の「高い」「低い」は、病院ごとに求めた調整後再入院率の平均値にて特定した。 主要評価項目は、すべての診断、または10の入院診断項目で最も高率であった、未計画の30日再入院率とした。計画的再入院は、ICD-9-CMのコードで特定した。再入院率は6.5%、病院間の格差は28.6% 全入院児の未調整30日再入院率は、6.5%(3万6,734件)であった。 同値が「高い」病院と「低い」病院間の格差は大きく、調整後比較で28.6%であった[7.2%(95%信頼区間:7.1~7.2)対5.6%(同:5.6~5.6)]。 10の入院診断について最も高かった再入院率について検証したところ、調整後同割合は17.0%~66.0%にわたり、高い病院と低い病院の差が大きいことが認められた。たとえば、鎌状赤血球の再入院率は、最も高い病院で20.1%(95%信頼区間:20.0~20.3)であったのに対し、最も低い病院では12.7%(同:12.6~12.8)であった。

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空中浮遊微粒子濃度は自殺企図・統合失調症増悪に影響を及ぼす

 イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学のNaomy S. Yackerson氏らは、空中浮遊微粒子の濃度が自殺企図および統合失調症の増悪に及ぼす影響について検討を行った。その結果、風の方向による空中浮遊微粒子濃度の相違が、自殺企図や統合失調症の増悪に影響を及ぼすことを報告し、天候を考慮した対処が精神への有害な影響を予防あるいは緩和しうることを示唆した。International journal of biometeorology誌オンライン版2013年1月16日号の掲載報告。 本研究では、固体の空中浮遊微粒子(SSP)濃度の精神障害発生における役割を評価した。対象は、2001~2002年までの16ヵ月間に、ベン=グリオン大学のBeer-Sheva Mental Health Center(BS-MHC)に記録のあった1,871症例。内訳は、統合失調症(ICD-10:F20-F29)の増悪を理由に入院した者が1,445例、自殺企図(ICD-10:X60-X84)を理由に入院した者が426例であった。SSP濃度と精神障害発生との相関はPearson and Spearman検定により評価し、p 

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