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喘息は肺血栓塞栓症のリスクになるのか?

 喘息患者では肺血栓塞栓症のリスクが増加することが台中病院のWei-Sheng Chung氏らにより報告された。European Respiratory journal誌オンライン版2013年8月29日号の掲載報告。 これまで喘息と肺血栓塞栓症の関係についての研究はあまりなかった。このため、全国的なコホート研究により、これらの関係を検討した。 対象は一般市民の中から、2002年~2008年に新たに喘息と診断された3万1,356例と喘息のない12万5,157例をランダムに選定した(国民健康保険研究データベースを用いて、年齢、性別、指標とした年により調整)。 両群のコホートは肺血栓塞栓症の発症頻度を測定することを目的とし、2010年末までフォローアップした。喘息の有無による肺血栓塞栓症のハザード比をCox比例ハザード回帰分析により検討した。 それぞれ、18万6,182人年の喘息患者と74万3,374人年の喘息のない人々をフォローアップした。喘息患者のコホートでは、喘息のないコホートと比べて、肺血栓塞栓症のハザード比が3.24であった(年齢、性別、併存症やエストロゲンの補充により調整)。また、肺血栓塞栓症のリスクは喘息の増悪頻度や喘息による入院頻度が多い群で有意に増加することもわかった。

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急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は

 急性期統合失調症患者に対し、ハロペリドールの最適な投与量はどの程度なのか。英国・NHS LothianのLorna Donnelly氏らは、この疑問を明らかにするため、無作為化比較試験に関する文献レビューを行った。その結果、>3~7.5mg/日において有効性に関する明確なベネフィットは示されなかったものの、7.5mg/日以上では錐体外路症状の発現を高めることが示されたと報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年8月28日号の掲載報告。 ハロペリドールは、新規治療薬の有効性を評価する際に基準とされる、利用しやすい抗精神病薬である。研究グループは、急性期統合失調症に対するハロペリドールの最適な用量を明らかにすることを目的としてレビューを行った。2010年2月現在のCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを基に、CINAHL、EMBASE、MEDLINE、PsycINFOを用いて検索を行った。急性期統合失調症に対し、ハロペリドール(非デポ製剤)の2用量以上を無作為化試験にて検討し、臨床的に意味のあるアウトカムが報告されている試験を選択した。妥当な選択を行うため、すべての引用を調査するとともに、引用サンプルについても独自に再調査した。議論で同意が得られなかったことについては解決を図り、疑問が残る場合はさらに調査するためフルテキストの文献を入手した。論文を取り寄せてから確実な再調査をし、全文の質を評価した後にデータを抽出した。解析は、intention-to-treat(ITT)にて行い、2つのデータに対するリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。早期の脱落例または追跡不能例はアウトカム不良とみなした。また、ITT解析における連続変数の平均差(MD)、last observation carried forward (LOCF)データを算出し、観察期間の50%以上が追跡不能であった例のデータは除外した。 主な結果は以下のとおり。・無作為化試験19件を選択し解析に組み込んだ。各試験に用いられた用量はすべて異なり19種類が比較検討されていた。・いずれの試験も再発率あるいはQOLの報告はなかった。1試験でハロペリドール低用量 (>1.5~3mg/日)と高用量の比較が行われていた。・標準低用量(>3~7.5mg/日)と標準高用量(>7.5~15mg/日)の比較検討(1試験、被験者48例)において、標準低用量を用いることによる有効性(臨床的に重要な全体的症状の改善)の低下は認められなかった(RR:1.09、95%CI:0.7~1.8、エビデンスの質きわめて低い)。・また、標準低用量(>3~7.5mg/日)と高用量(>15~35mg/日)との比較検討(2試験、81例)でも、標準低用量を用いることによる有効性の低下はみられなかった(RR:0.95、95%CI:0.8~1.2、エビデンスの質きわめて低い)。・ハロペリドール用量「>3~7.5mg/日」は、臨床的に有意な錐体外路の有害事象の発現が、高用量群に比べ低かった。…vs.標準高用量(2試験、64例、RR:0.12、95%CI:0.01~2.1、エビデンスの質きわめて低い)。…vs.高用量(3試験、144例、同:0.59、0.5~0.8、エビデンスの質きわめて低い)。…vs.超高用量(>35mg/日)(2試験、86例、同:0.70、0.5~1.1、エビデンスの質きわめて低い)。・その他の用量比較において、有意な相違は認められなかった。なお、特定の低用量において、臨床的に意味のある差異の検出力が不足していた。・いずれの結果も最終的な結論には至らなかった。母集団が小さく、試験期間が短期であり質的に限界があった。・以上を踏まえて著者は、「合併症のない急性期統合失調症患者に対するハロペリドール処方を7.5mg/日以上とすることに医師が慎重になること、また統合失調症患者がより高用量の服用を躊躇することは、容易に理解できる。低用量レジメンの有効性と忍容性(とくに>1.5~3mg/日)について、さらなる研究が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター 抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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重度狭窄部への予防的PCIが予後改善/NEJM

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者への救急時の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、梗塞部に加え重度狭窄部への予防的PCIを施行することは、重大心血管イベントリスクを有意に低下することが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のDavid S. Wald氏らによる無作為化試験PRAMIの結果、示された。これまで同患者における梗塞部へのPCI施行が予後を改善することは明らかであったが、予防的PCIの予後改善効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。予防的PCI群と非予防的PCI群を比較し予後改善を評価 PRAMI試験は2008~2013年の間、英国内5つの医療施設で行われた。465例のSTEMI(3例は左脚ブロック患者)で梗塞部PCIを受けた患者を登録し、予防的PCI群(234例)または非予防的PCI群(梗塞部のみにPCI施行、231例)に無作為に割り付けて行われた。 主要アウトカムは、心臓関連死・非致死的心筋梗塞・難治性狭心症の複合とし、intention-to-treat解析にて評価した。予防的PCI群の複合アウトカム発生ハザード比0.35 試験は2013年1月までに、データおよび安全性モニタリング委員会によって結果が確定的であるとみなされ、試験の早期中止が勧告された。平均追跡期間は23ヵ月であった。 同期間中の主要アウトカムの発生は、予防的PCI群21例に対し、非予防的PCI群は53例であった。イベント発生率に換算するとそれぞれ100患者当たり9例、23例の発生に相当した(予防的PCI群のハザード比:0.35、95%信頼区間[CI]:0.21~0.58、p<0.001)。 主要複合アウトカムの3つの死亡について個別にみると、心臓関連死亡は0.34(95%CI:0.11~1.08、p=0.07)、非致死的心筋梗塞0.32(同:0.13~0.75、p=0.009)、難治性狭心症0.35(同:0.18~0.69、p=0.002)だった。 これらの結果について、事前規定の5つの共変量(年齢、性、糖尿病の有無、梗塞部位、狭窄を有する冠動脈数)、試験施設の影響はなかった。

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禁煙補助具としての電子タバコの実力

 9月8日ERS(European Respiratory Society:欧州呼吸器学会)Annual Congressにて、初めての電子タバコとニコチンパッチの比較試験の結果が、ニュージーランド・オークランド大学のChris Bullen氏より発表された。 Bullen氏の研究チームは、657人の禁煙を希望する喫煙者を登録し、3つのグループに分けた。グループは13週電子タバコ(ニコチン含量16mg)を与えられた292人、13週ニコチンパッチを提供された292人、プラセボの電子タバコ(ニコチン含量 0)を提供された73人である。試験は13週、上記の禁煙補助具を用い、さらに3ヵ月間追跡した6ヵ月後の試験期間終了時に、参加者が禁煙を継続している否かを評価した。 結果、参加者の5.7%は禁煙を完遂していた。3つのグループの中でもっとも成功割合が高かったのは電子タバコで7.3%であった。ついで、ニコチンパッチグループは5.8%、プラセボグループは4.1%と続いた。また、電子タバコのグループは、禁煙に成功しなかった場合でも、57%の参加者においてタバコ消費量が減少した(ニコチンパッチグループ41%)。 Bullen氏は、「この試験は、電子タバコを禁煙補助具として評価する大きな基準となる。しかし、電子タバコの有効性や長期効果については不明な点も多く、今後はより大規模で長期間の試験の必要性に迫られている」と述べた。

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爪真菌症治癒の再定義を

 米国・University Hospitals Case Medical CenterのM. Ghannoum氏らは、爪真菌症治癒の定義について、菌類学的アウトカムと臨床試験期間の解釈を再検証した。その結果、現状の臨床試験期間は見直す必要があり、爪真菌症治癒の定義は、十分なウォッシュアウト後の臨床所見が、KOH直接鏡検法が陰性か否かにかかわらず、培養検査が陰性であることでみなすべきであると報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。 研究グループは、「現在の爪真菌症外用薬の当局による承認は、完全治癒には、罹患した爪の除去と菌類学的な治癒を含むというあまりにも厳しい定義のため、ネガティブな影響をもたらしている可能性がある」として本検討を行った。 7件の国際共同研究での爪真菌症試験のデータをレビューした。試験には、スクリーニング時にKOH陽性、培養検査陽性で、その後48週間の治療を受けた被験者が登録されていた。さらに研究グループは、94例のKOH陽性/培養検査陰性で52週間追跡を受けた検体について形態学的な菌糸損傷について調べた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ52週時点で集められた3,054例の検体のうち、2,360例が培養検査陰性であった。・しかしながら、そのうち1,857例(78.7%)がKOHは陽性のままであった。・形態学的変化について調べたサブセット検体からは、56例(60%)の塗抹鏡検検体に、菌糸の生育不能を示すと思われる菌糸の破損やねじれを認めた。・以上から、著者は「爪真菌症治癒定義の再評価が必要である。外用薬の臨床試験について、治療期間を再考すべきである」と結論している。また、培養検査が陰性でも塗抹鏡検検体の陽性率が高率であったことや、形態学的な菌糸損傷の所見は偽陽性を示す可能性があることなどに触れ、「十分なウォッシュアウト後の臨床症状の消失は培養検査陰性と結びつけて考え、鏡検が陰性か否かにかかわらず爪真菌症治癒の定義とみなすべきである」とまとめている。

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エキスパートに聞く!「プライマリケア医が診るがん」

プライマリケア医として、どういった基準(タイミング)で専門医へ紹介するべきでしょうか?がんの既往があるか、ないかで分ける必要があります。がんの既往がない患者さんの場合は、諸検査を行い、がんの疑いがある時に、紹介してくださると思います。時々、腫瘍マーカー高値で紹介してくださることがあります。腫瘍マーカーというのは、がんのスクリーニングには推奨されておりませんが、一般検診などで取入れられている場合があります。その場合は、偽陽性であることがありますが、まずは、専門医に紹介してくださってかまいません。がんの既往がある患者さんの場合には、治療後の場合と、治療中の場合に分けられます。手術などの治療後、つまり経過観察している場合には、再発の有無を見極める必要があります。患者さんは、ちょっとした症状で「再発ではないか?」と不安になることが多いのですが、実際患者さんの自覚症状・特に痛みなどの症状から再発が発見されるケースは稀です。がんの再発の多くは無症状のことが多いです。表在リンパ節腫大で発見されることもありますので、身体所見を取っていただきたいです。実際のところ、2~3日で軽快する症状であれば、がんの再発の症状とは考えにくいです。がんの再発を疑う自覚症状としては、持続する症状、徐々に悪化する症状かという2点だと思います。現在がんの治療中の場合:放射線治療を行っている患者さんは、放射線肺臓炎などの放射線有害事象、薬物治療を行っている方では抗がん剤有害事象に注意する必要があります。抗がん剤有害事象では、発熱性好中球減少症が最も注意すべき副作用です。発熱性好中球減少症は、エマージェンシーとなります。また、抗がん剤の最も頻度が高い副作用は、悪心・嘔吐ですが、まずは、一般的な吐き気止めで対処していただければよいと思います。嘔吐が強く脱水が懸念される場合などが紹介のタイミングといえるかも知れません。肺がんの低線量CTを検診に用いると発見率が上がるとの報告を聞きますが、エビデンスはあるでしょうか?ドラフトの段階ではあるもののUS Preventive Task Force(USPSTF:米国予防医学専門委員会)で、Grade Bのrecommendation を出しており、おそらく日本でも推奨グレードは上がってくると思われます。しかしながら、低線量CTが、全ての人に推奨されるのではありません。低線量CTを推奨するきっかけとなった、ランダム化比較試験の対象は、年齢が、55~74歳、喫煙歴が30 pack-year以上(1日喫煙本数x 喫煙年数 ÷20)、または、15年以内に止めているが、それまで喫煙歴があるような、ハイリスクの方に対してのみに有効であったということは覚えておいていただきたいと思います。スパイラルCTのデメリットは偽陽性が出やすいことです。偽陽性が出てしまうとさらなる無駄な検査のみしてしまうことになるという訳です。今後もこの点については検討が必要だと思います。遺伝子検査はなぜ普及しないのでしょうか? 最近話題の乳がんのBRCA1/2遺伝子など一部の遺伝性がんの検査について、欧米諸国では保険適応となっています。この点は、日本は欧米諸国に比べ遅れている点と思います。この背景には認可の問題もあると思いますが、がん遺伝子カウンセラーの育成など体制が整っていないこともあげられるでしょう。在宅医療におけるネットワーク構築について、有効な手段とは?急性期病院と在宅ケアとで密な連携をはかっていくことは、今後のがん診療で最も重要なことと思います。がん緩和ケアの領域では、海外では、ホスピスや緩和ケア病棟は、急性期の症状緩和を担当する緩和ケアのICUのような役割を果たし、症状緩和が得られた時点で、地域の在宅ホスピスと連携をとっています。日本では、在宅で最期を迎える確率は10%、ホスピスが7%ですが、欧米先進諸国での、70~80%(在宅+ホスピスで死亡する割合)と比べると圧倒的に低い数字です。日本では、まだまだ急性期病院で終末期を迎える患者さんが多いことを意味しています。今後、急性期病院と在宅ケア、ホスピスとのさらなるネットワーク作りが必要になってくると思われます。最近の流れとしては、余命告知は行う方向へ向かっているのでしょうか。がんの診断を伝えることに関しては、我が国でもかなりの割合で、診断を伝えるようになってきたと思います。余命告知とは、がんの診断の告知とは大きく異なるものということを認識しなければなりません。余命告知で大きな問題は、多くの医者が、median survival(生存期間中央値)の値を余命と勘違いし、あなたの余命は○ヵ月ですと言っている場合が多いように思います。この数値については大いに注意するべきです。中央値とはご存知の通り、データを小さい順に並べたとき中央に位置する値であり、100人患者さんがいたら、50番目に亡くなった方の生存期間です。がんの生存期間は、患者さんによって非常にバラつきが大きく、正規分布をなさないために平均値ではなく、中央値を使っているだけです。裏を返せば、ある患者集団の生存期間中央値が6ヵ月であった場合、数ヵ月で亡くなる患者さんもいれば、ある患者さんは数年経過しても生きておられるということです。従って、生存期間中央値を患者さん個人の“余命”として当てはめることは、医学的にも間違っているのです。それだけでなく、患者には相当な誤解を与えます。余命6ヵ月と言われれば、患者さんは6ヵ月で自分は死んでしまうと考えます。ある患者さんは、自分は、死亡宣告をされたと、死亡推定日まで、自分の余命はあと、○日と指折り数えていました。中央値ではなく、最悪値としての余命を言う臨床医もいますが、やはり数字を言うことは、患者さんはかなり数字にとらわれてしまいがちですし、誤解も生じやすいため、数字を言うことは慎重にすべきです。可能性・確率を言わない断定的な余命告知することは患者さんを傷つけるだけだと思います。残念ながら、未だがん専門施設でも断定的な余命告知をしている現状があります。大切なことは余命告知ではありません。海外では、余命告知ということはあまり議論にはなっていません。余命というものが、不正確であり、予測不可能なことが多いからです。余命を患者さんに告げることよりも、end of life discussionと言って、どのように最後を迎えるか、どのように生きるかということについて、医療者と患者が話し合いをすることを、ASCO(米国臨床腫瘍学会)でも勧めています。日本でも、このことが必要だと思います。参考:腫瘍内科医 勝俣範之のブログ がん患者さんの食事について。生ものを避けるようにいわれますが、実際にはどのようにアドバイスしたらよいでしょうか?生ものについてのエビデンスなどはあるのでしょうか?生ものを摂取して感染症の発症率が上昇するというエビデンスはありません。ASCOでも、抗がん剤の最中に生ものを避ける必要はないと述べています。血液腫瘍など抗がん剤による強力な免疫抑制が懸念されるのでない限り、生ものでもなんでも好きなものを食べてください、と患者さんへアドバイスすべきでしょう。生ものを避けるより、口腔内に発生する細菌を考慮した口腔ケアの方が重要だと思います。なお、マスクの着用に関しても実はエビデンスはありません。自分の病原菌を周囲に散布しないようにすることはできますが、他人からの感染を予防できるというエビデンスはないのです。

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トラスツズマブ術後治療1年投与と2年投与の比較-ランドマーク解析-(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(129)より-

乳がん治療は、ここ10年間で大きく変革した。それは、乳がんの増殖因子であるHER2に対する抗体治療薬であるトラスツズマブの登場による。従来の抗がん剤治療は、殺細胞薬といって、がん細胞も正常細胞も見境なく殺してしまうものしかなく、患者は副作用に苦しむことを余儀なくされていた。1990年代後半から、がん細胞に特異的に発現しているさまざまな分子に対する分子標的治療薬の開発が行われ、分子標的治療薬は、副作用が少ない治療薬ということで注目を浴びた。血液腫瘍ではグリベックが開発され、固形腫瘍で最初に開発された薬剤が、トラスツズマブである。 トラスツズマブは、HER2陽性転移性乳がんのRCT(ランダム化比較試験)で全生存期間の改善を証明し1)、乳がん治療の歴史を変えた。続いて、術後補助療法のRCTでも無病生存率の改善を示し2), 3)、乳がん治療のスタンダードとなった。本論文は、乳がん術後補助療法のRCTのHERA study3)の追跡結果の報告である。 追跡期間の中央値8年での結果であるが、トラスツズマブ1年間投与群と、2年間投与群の比較をランドマーク法を用いて解析している。ランドマーク法とは、経過観察中のある時点(ランドマーク)までにイベントが発生したかどうかにより対象症例を群分けし、その時点から生存曲線を描く手法である4)。治療開始から1年の時点を起算日(ランドマーク)にして解析を行った結果、1年と2年での無病生存期間には差はなかった(HR 0.99, 95%CI 0.85-1.14, P=0.86)。ランドマーク解析はITT解析ではなく、本来のITT populationから、それぞれの群で、147例、150例除外されて解析されている(Figure 1)ので、バイアスがかかるのではないか?という懸念がある。この試験は、RCTであるので、わざわざランドマーク解析を行わなくてよいと思われる。実際には、最初の1年間は、トラスツズマブを同様に投与されるので、バイアスがかかる余地はほとんどないと思われるが、ITT解析の結果も示して、同様の結果になったといって欲しかったところである。 この試験のもう1つのポイントは、8年のフォローアップ後、トラスツズマブ1年投与群と投与しなかった群と比べて、全生存期間でトラスツズマブ群が優っていたという点である。実は、セカンダリーエンドポイントである全生存期間については、これまでに、追跡期間中央値で1年、2年、4年の時点の3回の報告がある3), 5), 6) 。全生存期間のHR(ハザード比)は、1年、2年、4年、今回の8年のフォローアップ時点で、それぞれ、0.76, 0.66, 0.85, 0.76とかなり変動していて、1年時3)と、4年時6)では、P値がそれぞれP=0.26, P=0.1087と、有意差がない状況になっている。4年時に全生存期間に有意差がなかったことに対する解釈としては、トラスツズマブ投与なし群の患者が、かなりクロスオーバーしてトラスツズマブを受けたことによるのであろうと考察されていた。しかし、8年時の今回の解析では、有意差がついた結果(P=0.0005)となった。 本論文では、クロスオーバーがあったとしてもやはり、トラスツズマブが有効であり、早く治療することが良かったのであろうと考察されている。8年時の今回の解析が行われず、4年時の解析で終わっていたとすれば、トラスツズマブが全生存期間を改善することはできなかったと解釈されていた恐れがある。また、今後さらなる長期フォローアップがなされたら、データが変わってくる可能性も考えられる。 臨床試験のセカンダリーエンドポイントやサブグループ解析の解釈や、生存解析を何度も行っている場合の解釈には慎重でなければならない。臨床試験の解析は、基本的には、プライマリーエンドポイントに対する解析のみ統計学的に正当化される。サブグループ解析を繰り返すと、多重解析となり、偽陽性や偽陰性を引き起こすことが多くなるため、注意が必要である。Japanese Journal of Clinical Oncology投稿に際しての統計解析結果のレポートに関するガイドラインhttp://www.oxfordjournals.org/our_journals/jjco/for_authors/jap.guideline.pdf参考文献1) Slamon DJ et al. N Engl J Med. 2001; 344: 783-792.2) Romond EH et al. N Engl J Med. 2005; 353: 1673-1684.3) Piccart-Gebhart MJ et al. N Engl J Med. 2005; 353: 1659-1672.4) Anderson JR et al. J Clin Oncol. 1983; 1: 710-7195) Smith I et al. Lancet. 2007; 369: 29-36.6) Gianni L et al. Lancet Oncol. 2011; 12: 236-244勝俣 範之先生のブログはこちら

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葉酸摂取は双極性障害の治療に有効

双極性障害の治療に葉酸が有効である可能性について、米国・マサチューセッツ総合病院のJi Hyun Baek氏らがレビューを行った結果を報告した。葉酸は、気分障害の治療に最も広く用いられている栄養補助食品の1つである。Baek氏らは、葉酸の代謝について調べるとともに、双極性障害との関連およびその治療可能性について検討した。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。 レビューは、2012年までに発表されたPubMedおよびCochrane Libraryにて関連論文を検索し、背景情報、作用機序、臨床試験の結果をレビューした。得られた主な所見は以下のとおり。・葉酸は、モノアミン合成とホモシステイン調節にとって重大なメチル化反応に関係する基本的な補因子である。・メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(NAD(P)H)の共通の遺伝子異型(MTHFR)による機能的欠損が、双極性障害の症状に影響を及ぼすこともありうる。・双極性障害の治療に気分安定薬として一般的に用いられるバルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケンほか)とラモトリギン(同:ラミクタール)は、葉酸とホモシステイン代謝を潜在的に阻害する可能性がある。・先行研究において、うつ病治療についての葉酸の有効性は一貫して支持されている。1試験では、躁病の治療における有効性が示されていた。・生化学的な転換を必要としない葉酸製剤は、双極性障害の治療に有益となる可能性がある。・以上のようにレビューの結果、葉酸服用は、双極性障害の治療に有効な可能性があった。また、共通の遺伝子異型MTHFRが、葉酸服用の治療効果に影響する可能性があった。葉酸製剤は、気分安定薬に関連する葉酸欠乏を潜在的に修正することが可能であり、モノアミン合成の正常化に寄与し、アウトカムを改善する可能性があった。関連医療ニュース 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

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ERS2013でTIOSPIR試験の全容を発表

 COPD治療の標準薬となっているチオトロピウム(商品名:スピリーバ)はハンディへラー(ドライパウダー製剤)とレスピマット(MDI:定量噴霧型製剤)の2つの吸入製剤を持つ。しかしながら、近年レスピマットにおいて死亡率増加の可能性を指摘するpooled analysisが発表された。そのため、COPD患者を対象としたチオトロピウムレスピマットの安全性および有効性に関する大規模試験TIOSPIR(TIOtropium Safety and Performance In Respimat)が行われた。New England Journal of Medicine誌にて報告されたその結果(http://www.carenet.com/news/head/carenet/36078)について、9月8日、2013年欧州呼吸器学会(ERS)にて、米国ジョンズ・ホプキンス大学のRobert A.Wise氏より発表された。 TIOSPIR試験は無作為二重盲検、スピリーバレスピマット2.5μgおよび5μg vsスピリーバハンディヘラー18μg の3アーム、ダブルダミーで行われた(レスピマット2.5μgは試験用量)。各群とも治療開始後6週目と12週目に評価し、その後は12週ごと2~3年間にわたり評価した。 プライマリエンドポイントは、死亡率(スピリーバレスピマット2.5μgおよび5μgのハンディヘラー18μgに対する非劣性)。および初回COPD増悪リスク(レスピマット5μgのハンディヘラー18μgに対する優越性)であった。患者条件は ・40歳以上の男女 ・10pack-years以上の喫煙歴を有する ・COPDと診断されている ・FEV1/FVC 70%以下 ・予測FEV1 70%以下 ・ハンディヘラー、レスピマットとも吸入可能などであった。また、実臨床に近い状況とするため、抗コリン薬以外のCOPD基礎治療薬は許可された。 一方、COPD以外の肺疾患、4週間以内の増悪、不安定な心臓疾患を有する患者(6ヵ月以内心臓発作、心筋梗塞、1年以内の致死的なうっ血性心不全、不整脈)、不定期なステロイドの使用例などは除外された。 2010年5月から2011年4月までの期間に患者登録され、50ヵ国1,200施設以上の医療機関で実施された。無作為割り付け対象は、17,183例で、治療17,135例であった。3群間の患者背景に差はなかった。治療期間の中央値は835日(約2.3年)と長期にわたった。<結果> 全死亡率はレスピマット2.5μg群 7.7%、レスピマット5μg群 7.4%、ハンディヘラー18μg群 7.7%で、対ハンディヘラー18μg群のHRはレスピマット2.5μg群 1.00(0.87~1.14)、レスピマット5μg群 0.96(0.84~1.09)であった。レスピマットはいずれの用量でもハンディヘラーとの非劣性が認められた(inferiority margin 1.25)。  死亡例のうち心血管系による死亡は、レスピマット2.5μg群 2.1%、レスピマット5μg群 2.0%、ハンディヘラー18μg群 1.8%で、対ハンディヘラー18μg群のHRはレスピマット2.5μg群 1.17(0.90~1.53)、レスピマット5μg群 1.11(0.85~1.45)であった。なお、不整脈の既往のある患者の死亡は、レスピマット2.5μg群 13.1%(HR 1.02)、レスピマット5μg群 10.6%(HR 0.81)、ハンディヘラー18μg群 12.9%で、対ハンディヘラー18μg群のHRはレスピマット2.5μg 1.02(0.74~1.39)レスピマット5μg群 0.81(0.58~1.12)であった。 増悪については、レスピマット2.5μg群49.4%、レスピマット5μg群47.9%、ハンディヘラー8μg群48.9%で、レスピマット5μg群対ハンディヘラー18μg群のHRは 0.98(0.93~1.03)、p=0.42と同等の結果であった(2.5μg群は49.4%、HR 1.02 [0.96~1.07])。 以上の結果から、チオトロピウムレスピマット2.5μgと5μgはチオトロピウムハンディヘラー18μgと同等の安全性と有効性プロファイルを有する事が示されたとWise氏は述べた。 また、テキサス大学のAntonio Anzueto氏は、期間中に開催されたプレスセミナーにて、以下のようにコメントした。「過去のPooled Analysisは期間が長くなく、対象患者数も十分とはいえない。今回の1万7千例を超える患者を2年以上追跡したTIOSPIRの結果は、過去の報告結果とは一線を画すものだといえる。さらに、世界50ヵ国、1,200施設という非常に多様な患者を対象にした点はCOPDの多様性を反映しており、また実臨床の薬剤の使用も許可したという点で、Real Worldを反映している試験だといえよう。レスピマットの簡便性は患者にとっても恩恵であり、今回の試験結果で使用の障壁は下がる可能性がある。ただし、この試験結果がすべての患者をカバーできるわけではない、医師は各々の患者のリスクを評価して薬剤を使用すべきである」。

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『COPD研究』厳選Pick Up ~海外と日本の見解を比較~

厚生労働省の「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針{健康日本21(第2次)}」では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の認知度を2011(平成23)年の25%から2022(平成34)年度には80%まで向上させることを目標に掲げている。これにより、今後、国を挙げてCOPDの診断と治療を推し進める方針が示されたといえるであろう。COPD関連の大規模試験は欧米主体のものが多いのは事実であるが、国内でもCOPD関連の研究が集積されつつある。そこで今回、国内外におけるCOPD関連の興味深いテーマをいくつかピックアップし、紹介する。COPDには合併症や併存症が潜んでいるこれまで肺の疾患とされてきたCOPDだが、近年は、全身性の炎症性疾患と考えられており、さまざまな合併症や併存症との関係が報告されている(Fabbri L.M, et al. Eur Respir J. 2008; 31: 204-212.)。米国で行われたCOPDと臨床的に関連のある併存症の有病率の横断的大規模調査であるNHANES(米国全国健康・栄養調査) 1999-2008 (Schnell K, et al. BMC Pulm Med .2012; 12: 26.)においても、COPD患者は、COPDではない患者と比較し、循環器疾患や骨粗鬆症、がんなどを併存する割合が有意に高いことが示された。以下の論文は、そのなかでも、COPDと同様、労作時の息切れが主訴であるため、COPDが見逃される可能性のある“心不全”について取り上げている。【海外】2003年3月から2004年12月までの間に米国の259施設より登録された心不全患者のうち、左心収縮機能障害の患者は2万118例で、このうち25%にあたる5,057例がCOPDを併存していた。Mentz RJ, et al. Eur J Heart Fail. 2012; 14: 395-403.【日本】労作時の息切れの鑑別あるいは手術前検診にて、心エコー検査と呼吸機能検査を同時期に施行された患者1,699例において後ろ向きに検討を行ったところ、左室拡張機能障害を有する患者では26%で閉塞性換気障害を認めた。Onishi K, et al. Therapeutic Research. 2009; 30: 807-812.簡便にCOPD患者の健康状態を把握するには?COPD患者のマネジメントを行ううえで、健康状態を常に把握することは重要である。これまでも、COPD患者に対する質問表はあったが、手間や時間を必要とするものも多かった。このような背景の中、開発されたのがCOPD Assessment TestTM(CAT)である。CATは全8項目の短く簡便な質問票であり、より的確な治療や管理を受けられることを目的に開発された。すでに日本語版(http://adoair.jp/disease_info/cat/index.html)もリリースされている。従来の質問票と比べて、CATに妥当性はあるのか。その検証結果を紹介する。【海外】米国の安定期のCOPD患者において、CATとCOPDに特異的な健康関連QOLの評価指標の一つとして広く用いられてきたSGRQ-C(St George's Respiratory Questionnaire for COPD patients)との間に良好な相関関係が認められた(r=0.80, p<0.0001)。Jones PW, et al. Eur Respir J. 2009; 34: 648-654.【日本】相澤氏はJones氏にCATとSGRQ-Cの提供を依頼し、日本人の安定期のCOPD患者についてもCATとSGRQ-Cの関係を検討したところ、同様に相関性が認められた(r=0.82, p<0.001)。相澤久道ほか. 呼吸. 2010; 29: 835-838.気腫型のCOPDは非気腫型より1秒量(FEV1)の経年的低下が大きいCOPDにおいて、FEV1の経年的低下量はアウトカムを判定するうえで重要な指標となる。しかしながら、気腫型のCOPDか非気腫型のCOPDかで、FEV1の経年的低下量に違いがあるかについては、あまり検討されていなかった。【海外】COPD患者について3年間にわたり気管支拡張薬でマネジメントを行い、FEV1の変化を調べた。その結果、胸部CT検査により気腫型(低吸収領域が10%未満)とされた群では、非気腫型の群と比較して、FEV1が平均で327±21mL低く、経年的低下量も13±4mL低かった。Vestbo J, et al. N Engl J Med. 2011; 365: 1184-1192.【日本】北海道大学病院を中心とした多施設共同のCOPD前向きコホート研究では、COPDのFEV1の経年的変化は必ずしもすべての症例で一様に進行・悪化していなかった。さらに、肺気腫の重症度による病型(気腫型/非気腫型)は呼吸機能検査でみた重症度とは独立して、FEV1の経年的変化に影響を与えていた。Nishimura M, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2012; 185: 44-52.西村 正治ほか. 日内会誌. 2013; 102:463-470.3次元胸部CTでCOPDの診断や治療効果を判断できる可能性COPDを診断する場合や治療の経過をみる場合、呼吸機能の数値や臨床症状から判断することが多かった。しかし、3次元胸部CT で気管支壁厚を計測することも、COPDの診断や経過観察を行ううえで有用であることが報告されている。これまで気管支径の測定は各CTスライスに対して手動による抽出が行われてきた。3次元胸部CTは早期から、わが国で積極的に研究が行われてきた分野であり、早期の臨床応用が期待されている。【海外】気道のリモデリングは喘息やCOPDでは一般的な特徴である。しかし、両者を鑑別することが難しいケースが存在する。このような場合に、気道壁の変化やエアートラッピングの量を3次元胸部CTで測定することにより、潜在的な喘息やCOPDの複雑な病理を明らかにし、治療効果を評価するうえでの手助けとなるかもしれない。Dournes G, et al. Pulm Med. 2012;2012:670414.【日本】COPD患者の気流制限は吸入抗コリン薬により改善されることが知られているが、どの部分の気管支拡張が呼吸機能を改善させているのかについてはあまり知られていなかった。そこで吸入抗コリン薬を投与した後、気道内腔のどの部分で変化が起こり、呼吸機能が改善されるのかを3次元胸部CTにより検討した。その結果、抗コリン薬による気管支拡張はFEV1の改善と比例しており、近位の気道より、遠位の気道の拡張のほうが呼吸機能の改善への寄与が大きいことがわかった。Hasegawa M, et al. Thorax. 2009; 64: 332-338.(ケアネット 鎌滝真次)

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アリピプラゾール治療を見極めるタイミングは何週目か

 抗精神病薬の治療効果を見極めるタイミングは難しい。韓国・全北大学医学部のPark Jong-Il氏らは、初回エピソード精神疾患におけるアリピプラゾール治療の有効性および安全性を確認するとともに、同治療の3週時点の反応が2週時点の反応よりもその後の反応を正確に予測することが示されたことを報告した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、初回エピソード精神疾患の治療について、アリピプラゾールの有効性と安全性を調べること、また同治療の早期反応と後発反応の関連について調べる、6週間の非盲検多施設共同試験を行った。被験者は、DSM-IV診断分類で、統合失調症様障害、統合失調情動障害、統合失調症、あるいはその他の特定できない精神障害を有した59例であった。主要評価尺度は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Clinical Global Impression-Severity(CGI-S)尺度であった。安全性の評価は、薬物関連有害事象、体重、脂質関連変数の測定にて行った。また、2週時点、3週時点の反応がその後の6週時点の反応をどの程度予測するかについて感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・被験者59例のうち、38例が6週間の試験を完了できた。・アリピプラゾール治療は、PANSSとCGIスコアにおいて、時間とともに有意な改善を示した。・治療反応率(ベースラインから最終観察までのPANSS総スコアの減少が30%以上と定義)は、69.1%であった。・後発反応を最も正確に予測した(陰性適中率と特異度による)のは、ベースラインから3週時点のPANSS総スコア20%以上の減少であった。・アリピプラゾールの副作用による負荷はわずかであった。体重および代謝への副作用に関しては安全なプロファイルの特徴が示された。・以上から、アリピプラゾールは初回エピソード精神疾患の治療において有効かつ安全であることが示された。治療反応は3週時点のほうが2週時点よりも、その後の反応を正確に予測した。関連医療ニュース 抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか? どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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イソトレチノインの新製剤は吸収率が2倍に

 にきび治療薬として世界中で使用されているイソトレチノイン(国内未承認)は、吸収率を至適なものとするために高脂肪食の摂取が必要とされるが、脂肪食を摂取しない場合に吸収率を高める新しい製剤が開発され、米国食品医薬品局(FDA)において承認されたという。米国・ジェファーソン医科大学のGuy F. Webster氏らは、その薬物動態について従来製剤との比較を行った。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。 研究グループは、イソトレチノインの新製剤(isotretinoin-Lidose)の薬物動態について、従来製剤と比較する、非盲検単回投与無作為化4治療群クロスオーバー比較試験を行った。本検討において製剤の投与は、絶食状態下(一晩断食)と摂食状態下において行われた。 主な結果は以下のとおり。・両製剤は生物学的に同等の条件下で摂取された。・絶食状態における吸収は、予想されたとおり、両剤とも吸収率は低下した。・絶食状態において起きた両製剤間の大きな差は、新製剤の全体的なバイオアベイラビリティが改善したことであった。・絶食状態における投与の新製剤の血漿中平均値は、摂食状態下の66.8%に達した。一方、従来製剤では39.6%にとどまった。・上記の結果から著者は、「一晩断食後に投与した場合、新製剤のイソトレチノインは、従来製剤と薬物動態学的プロファイルは同等であるが、イソトレチノインおよび4-oxo-イソトレチノインの吸収率は2倍であることが認められた」と結論している。

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仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク

 「仕事-家庭葛藤(Work-home interference: WHI)」すなわち仕事と家庭の両立における葛藤の程度には男女差がみられ、WHIが高度な女性は大うつ病になりやすいことなどが、スウェーデン・ストックホルム大学のMagnusson Hanson LL氏らによる長期研究の結果、示された。WHIとうつ病性障害が関連するか否かに関する長期研究は、これまでほとんど行われていないという。Scandinavian Journal of Work, Environment and Health誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、国民を代表する集団を対象に、WHIと大うつ病指標の関連についてプロスペクティブな評価を行った。具体的には、Swedish Longitudinal Occupational Survey of Health(SLOSH)に参加した大うつ病歴および抗うつ薬使用歴のない就労者、男性1,576例、女性1,678例を対象とし、多重ロジスティックおよびCox回帰モデルを用いて、自己報告によるWHIと大うつ病疑い[(Hopkins)Symptom Checklistに基づく簡易自己報告スケールが高スコア]ならびに抗うつ薬による新規治療(処方薬レジスターに基づく)との関連を調べた。観察期間は2年間であった。 主な結果は以下のとおり。・WHIが高度(かなりしばしば/常時)の例が7%、中程度(時々)の例が32%にみられた。・解析結果から、とくに高度WHIと大うつ病や抗うつ薬治療(両方またはどちらか)とがプロスペクティブに関連することが示唆された。同関連は、仕事の時間要因や裁量度(demands、control、support、overtime)などの就労状況で調整した場合も同様であった。・「大うつ病疑い」が惹起される状況に、性別による相違がみられた。別の解析により、WHIが高度な女性においてのみ、大うつ病が有意に惹起されやすいことが示唆された。・また、とりわけ男性で抗うつ薬治療率が高く、これは仕事の内容と一部関連していること、大うつ病は高度のWHIと関連していることなども示唆された。・以上のように、2年間の観察において、高度のWHIは大うつ病と抗うつ薬治療(両方またはどちらか)と関連しており、その影響は性別により若干異なることが明らかになった。関連医療ニュース SRIは月経前症候群の治療に有用か? 「抑うつ+過度な飲酒」その影響は? 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学

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乾癬が就業に与えるリアルな影響

 イタリア・ナポリ大学のAyala.F氏らによって、中等症~重症乾癬患者における、就業への影響が調査された。それによると、乾癬の罹患が患者の就業に対して深刻な影響を及ぼし、雇用の機会、就業日数、将来への期待、収入を得る機会に影響することが報告された。乾癬が及ぼす身体的、心理社会的な影響のため、患者さんは充実した生活を送るのが難しいことがあるが、これまで就業関連への影響については、調査が十分とはいえなかった。J Eur Acad Dermatol Venereolオンライン版2013年8月21日掲載報告。 調査はイタリアの29施設の皮膚科で行われ、787例の被験者が登録された。被験者情報は、来院時の調査票により収集された。 主な結果は以下のとおり。・被験者787例は平均年齢50歳、64%が男性であった。なお、最も多く見られた病型は、尋常性乾癬であった(91.2%)。・調査時点の平均PASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアは10点、平均罹病期間は19年であった。・喫煙者は非喫煙者に比べ、PASIスコアが高かった(10.8 vs 9.4、p=0.02)・55%の被験者ではキャリアアップへの期待が少なかった。・42%の被験者が雇用状態改善の見込みが少なく、35%の被験者が収入を得る機会が減少していると回答した。・約60%の被験者が、乾癬の症状が手足に存在すると、就業が制限されると回答した一方で、実際に退職したのは約25%であった。・約37%の被験者が、検査や治療のために過去3ヵ月間で3~10日仕事を休んだ。・ロジスティック回帰分析によると、就業制限の有意な予測因子は性別、低学歴、病変の数、羞恥心、怒り、自尊心であった。

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小腸用カプセル内視鏡は胃食道病変も見つけられるのか?

 小腸用カプセル内視鏡検査(CE)は、門脈圧亢進症における小腸病変のスクリーニングだけでなく、F2/F3およびLs/Lmの食道静脈瘤、胃体部の門脈圧亢進症性胃症の診断においても信頼性が高いことが、広島大学大学院 消化器・代謝内科の青山 大輝氏らによる研究で明らかになった。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2013年8月23日号の報告。 門脈圧亢進症における小腸病変のスクリーニングに対するCEの有効性が、いくつか報告されている。しかし、胃食道病変のスクリーニングに対する有効性を検討した報告は少ない。そこで、本研究では、CEが門脈圧亢進症における胃食道病変の検出に有用であるかどうかを評価した。 対象は門脈圧亢進症患者119例。全例、食道胃十二指腸内視鏡検査を受けた上でCEを行い、門脈圧亢進症の合併症である食道静脈瘤、胃静脈瘤、門脈圧亢進症性胃症の診断率を評価した。また、静脈瘤の形態、占拠部位、重症度、門脈圧亢進症性胃症の範囲ごとに診断率を評価した。 主な結果は以下のとおり。 <食道静脈瘤>・食道胃十二指腸内視鏡検査により食道静脈瘤と診断されたのは、71例であった。そのうち、CEでも食道静脈瘤と診断できたのは72%(71例中51例)であった。・CEによる食道静脈瘤の形態別の診断率は、F1(直線的で細い)よりもF2(連珠状で中等度)/F3(結節状あるいは腫瘤状)で有意に高かった(87% vs 61%、p=0.03)。・CEによる食道静脈瘤の占拠部位別の診断率は、Li(下部)よりもLs(上部)/ Lm(中部)で有意に高かった(85% vs 55%、p=0.01)。<胃静脈瘤>・食道胃十二指腸内視鏡検査により胃静脈瘤と診断されたのは、29例であった。そのうちCEでも胃静脈瘤と診断できたのはわずか1例であった(29例中1例)。<門脈圧亢進症性胃症>・食道胃十二指腸内視鏡検査により門脈圧亢進症性胃症と診断されたのは35例であった。そのうち、CEでも門脈圧亢進症性胃症と診断できたのは69%(35例中24例)であった。・門脈圧亢進症性胃症の診断率は、重症群と軽症群で有意な差を認めなかった(重症群82% vs 軽症群 63%、p=0.44)。・CEによる門脈圧亢進症性胃症の占拠部位別の診断率は、胃底部よりも胃体部で有意に高かった(胃体部100% vs 胃底部48%、p=0.0009)。 以上の結果より、CEは、門脈圧亢進症におけるF2/F3および上部/中部の食道静脈瘤、胃体部の門脈圧亢進症性胃症の診断において信頼性が高いことが明らかになった。

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空腹時に食料品を買うとカロリーが高くなってしまう【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第2回

空腹時に食料品を買うとカロリーが高くなってしまうおなかぺこぺこの状態でコンビニに行くと、ついついスナック菓子やアイスクリームに手が伸びてしまう・・・なんていう経験はありませんか? 私はグミをこよなく愛しており、とくにドイツの有名グミメーカーのグミは、少し空腹であれば躊躇なく購入します。そんな「ついつい」を医学的に検証した論文があります。最近の報告なのでご存じの方も多いかもしれません。Tal A, et al.Fattening fasting: hungry grocery shoppers buy more calories, not more food.JAMA Intern Med. 2013 Jun 24;173(12):1146-8.5時間空腹を維持した状態で68人(71%が女性)の参加者に対して、昼12時から夕方5時までこの試験に参加してもらいました。半数の参加者にはビスケット類を食べてもらい少なくとも空腹ではない状態になってもらい、残りの半数は空腹のままで試験に臨みました。試験の内容は、オンラインの食料品店で値段を見せずに食料品を購入するというシンプルなものでした(もちろん商品を無料で進呈するというわけではなかったみたいですが)。その結果、空腹だった人は高カロリーの商品をたくさん購入するという結果になりました(p=0.05)。低カロリーの商品については両群ともに差はみられませんでした(p=0.5)。この短報には、もう1つのフォローアップ試験の結果が報告されています。その試験は、空腹であろう時間帯(午後4時~7時)と空腹ではない時間帯(午後1時~4時)の2つの時間帯で、オンラインではない実際の食料品店で行われました。その結果、空腹の時間帯に購入した人は、空腹ではない時間帯に購入した人と比較して、全体の購入物に対する低カロリー食品の比率が少ない(p=0.02)ことが明らかになりました。この研究は、空腹の状態で食料品を購入すると、どうしてもカロリーが高いものを買ってしまうということを示唆しています。当たり前といえば当たり前の結果なのかもしれません。少し掘り下げて考えると、生活習慣病や肥満の患者さんに対して、もしかすると“買い物に行く時間帯”というものが実は大きな影響を与える因子になるのかもしれませんね。私はこれを読んだ後、時間帯だけではなく一緒に行く人によっても大きく差が出るように思いました。それを見透かしたかのように、JAMAの編集後記としてRedberg医師はこう付け加えています。「空腹時だけでなく、小さな子どもと一緒に食料品を買いに行くのもやめたほうがいい――」

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精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか

 初回エピソードの精神疾患患者において、右連合野線条体においてグルタミン酸値の上昇が示されている。しかし、この上昇が、効果的な抗精神病薬治療後に持続するかどうかについては不明であった。メキシコ・Instituto Nacional de Neurologiay NeurocirugiaのCamilo de la Fuente-Sandoval氏らは検討の結果、4週間の抗精神病薬治療により臨床的有効性が認められた初回エピソードの精神疾患患者ではグルタミン酸値が正常化していたことを報告し、「これらの結果は、臨床症状の改善にグルタミン酸値低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論している。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、治療前と治療4週後の同値の測定を行い、性でマッチさせた健常対照被験者のデータとの比較を行った。グルタミン酸値の測定は、陽子磁気共鳴分光学(MRS)を用いて右連合野線条体と右小脳皮質で行った。具体的な試験デザインは、初回エピソードで入院治療を受けた精神疾患患者(24例)と、年齢、性、利き手、喫煙状況でマッチさせた健常対照(18例)による、前後比較試験であった。本検討において被験者は、2回のMRS試験を受けた。MRS試験は、患者被験者はベースライン時と抗精神病薬治療4週後の2回、健常被験者はベースライン時と同撮影時から4週後の2回であった。4週間の抗精神病薬治療は、リスペリドンの経口投与を行い、臨床症状の診断に基づきオープンラベル下で行われた。主要評価項目はグルタミン酸値で、LCModel(バージョン6.2-1T)を用いて推定し、脳脊髄液中の割合で修正算出した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソードの精神疾患患者は、抗精神病薬治療を必要としている状態において、連合野線条体および小脳のグルタミン酸値が、対照群と比べてより高値であった。・臨床的に有効な抗精神病薬治療後は、連合野線条体のグルタミン酸値は有意に減少した。一方、小脳におけるグルタミン酸値に変化はみられなかった。・両群間のグルタミン酸値の有意差は、4週時点では認められなかった。・以上のように、初回エピソードの精神疾患患者においてベースラインでみられたグルタミン酸値の上昇は、臨床的に有効な抗精神病薬治療4週後に正常化していた。・結果を踏まえて著者は、「これらの結果は、臨床症状の改善にはグルタミン酸値の低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論した。関連医療ニュース グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係 検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性

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糖尿病患者の冠動脈疾患リスクを高める遺伝的要因を特定/JAMA

 冠動脈性心疾患(CHD)との関連が、2型糖尿病の人では有意だが、それ以外の人では関連が認められない一塩基多型(SNP)rs10911021の存在が、米国・ハーバード公衆衛生大学院のLu Qi氏らによるゲノムワイド解析の結果、確認された。同SNPは、グルタミン酸の代謝に関与しており、その作用機序的結びつきも明らかになったという。糖尿病ではCHDリスクが高く、先行研究において、糖尿病の人には特有の心血管リスクを高める遺伝的要因があるのではないかと示唆されていた。JAMA誌2013年8月28日号掲載の報告より。遺伝子異型は254万3,016個をゲノム解析 研究グループは、糖尿病患者に特有なCHDの遺伝的要因を特定することを目的に、ゲノムワイド解析を行った。Nurses' Health Study(NHS、登録開始1976年、2008年まで追跡)、Health Professionals Follow-up Study(HPFS、同1986年、2008年)、Joslin Heart Study(2001~2008年に登録)、Gargano Heart Study(同)、Catanzaro Study(2004~2010年に登録)から、5つの独立したCHD症例群と非CHD対照群のセットについて検討した。 解析には、CHD症例1,517例と非CHD対照2,671例が組み込まれた。全例が2型糖尿病を有していた。また、それら糖尿病群について、NHSとHPFSのコホートから抽出した非糖尿病CHD症例737例、非糖尿病非CHD対照1,637例との比較も行った。検討された遺伝子異型は254万3,016個であった。 主要評価項目のCHDは、致死的または非致死的心筋梗塞、冠動脈バイパス術(CABG)、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、血管造影で確認した冠動脈の有意な狭窄と定義した。内皮細胞のグルタミン酸代謝機能を32%低減する糖尿病患者に特有なSNP 結果、糖尿病患者には一貫して染色体1q25の異型(rs10911021)とCHDリスクとの関連が認められた。症例群対対照群のリスク対立遺伝子頻度は、0.733対0.679(オッズ比:1.36、95%信頼区間[CI]:1.22~1.51、p=2×10-8)だった。 同異型とCHDとの関連は、非糖尿病患者の比較検討では検出されなかった。同頻度は0.697対0.696(オッズ比:0.99、95%CI:0.87~1.13、p=0.89)だった(CHDリスクに関する遺伝子×糖尿病の相互作用はp=2×10-4と有意)。 rs10911021リスク対立遺伝子ホモ接合体は、保護的対立遺伝子ホモ接合体と比較して、ヒト内皮細胞における隣接グルタミン酸塩アンモニア・リガーゼ(GLUL)遺伝子の発現を32%減少するという特徴を有していた。また、γ-グルタミルサイクル中間体のピログルタミン酸とグルタミン酸の血漿中比も、リスク対立遺伝子ホモ接合体において減少することが示された。 これらの所見から著者は、「糖尿病以外の患者にはないが、糖尿病患者においてCHDとの関連が有意なSNP、rs10911021が確認された。また同SNPについて、グルタミン酸の代謝機能に関与していることが作用機序的結びつきによって確認された」と結論している。

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腰痛持ち女性の多くがマッサージやカイロに通う

 腰痛患者は補完代替医療(CAM)を含むさまざまな医療サービスを受けているといわれている。なかでも女性は男性よりも頻繁にCAMを利用する傾向にあるが、その利用パターンは十分わかっていない。オーストラリア・シドニー工科大学のVijayendra Murthy氏らは、大規模コホート研究について解析し、腰痛持ちの女性は多くが従来医療と並行してCAMも利用していることを明らかにした。その結果を踏まえて著者は、「腰痛ケアに携わるさまざまな医療従事者のみならず、CAM施術者と患者とのコミュニケーションについても詳細な調査を行う必要がある」とまとめている。Clinical Rheumatology誌オンライン版2013年8月15日の掲載報告。 研究グループは、腰痛のためにCAMを利用した女性の特性や利用率を調査することを目的に、Australian Longitudinal Study on Women’s Healthのデータを用い、60~65歳の女性の参加者について解析した。 主な結果は以下のとおり。・腰痛持ちの女性は、マッサージセラピスト(44.1%、578例)やカイロプラクター(37.3%、488例)の施術を受けることが多かった。・腰痛のためにカイロプラクターの施術を受けた女性は、一般開業医または理学療法士を受診することが少なかった。受診に対する非受診のオッズ比は、一般開業医0.56(95%CI:0.41~0.76)、理学療法士0.53(同:0.39~0.72)であった。・腰痛のためにCAMを受けた女性で、薬剤師を訪問する人は多かった(オッズ比:1.99、95%CI:1.23~3.32)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?

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自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー

 オーストラリア・メルボルン大学のKatrina Williams氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対するSSRIによる治療の有用性についてレビューを行った。その結果、小児に対する有効性および有害性のエビデンスはなく、成人については試験規模が小さくバイアスリスクが不明であり有効性のエビデンスは限定的であることを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年8月20日号の掲載報告。 SSRIは、ASDにしばしば共存するうつ病や不安症、強迫性障害の治療に対して処方が行われている。研究グループは、そうした治療がもたらす影響について、(1)自閉症の中心的特徴(社会的関係性、コミュニケーション、行動の問題)を改善するか、(2)自傷行動のような非中心的特徴である側面を改善するか、(3)成人または小児およびその介護者のQOLを改善するか、(4)短期的または長期的アウトカムを有するか、(5)有害性の発生の5点について検討した。レビューは、CENTRAL、Ovid MEDLINE、Embase、CINAHL、PsycINFO、ERIC、Sociological Abstractsのデータベースを2013年5月時点で検索して行い、また、ClinicalTrials.govやICTRPなども対象とした。文献リストの補充や当該分野の専門家とのコンタクトも行った。ASD患者を対象に、あらゆるSSRIとプラセボの投与について比較した無作為化試験を適格とし、2名の研究者が独立して試験の選択、データの抽出、各試験のバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・9試験、被験者320例がレビューに組み込まれた。小児のみ対象とした試験は5試験、成人のみは4試験であった。・評価に含まれたSSRIは4種類で、フルオキセチン(国内未承認)(3試験)、フルボキサミン(2試験)、フェンフルラミン(国内未承認)(2試験)、シタロプラム(国内未承認)(2試験)であった。・被験者の診断基準、IQ評価の指標は、試験によってさまざまであった。示されていたアウトカム尺度は18種類に及んだ。・複数の試験で、CGIとOCBのアウトカム尺度が用いられていたが、使用されたツールや評価項目は試験によって異なっていた。そのため、1つのアウトカム(改善割合)を除いてメタ解析を行うことは不適当であった。・その中で、大規模かつ質の高い小児の1試験があったが、シタロプラムのポジティブな有効性についてエビデンスは認められなかった。・成人では3試験で、CGIとOCBにおいてポジティブなアウトカム(1試験は攻撃性の改善、2試験は不安症の改善)が示されていたが、試験規模が小さかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療  大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?

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