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検索結果 合計:671件 表示位置:641 - 660

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ブロプレスと利尿剤の合剤 エカード配合錠新発売

 武田薬品工業株式会社は13日、ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)と低用量の利尿剤(一般名:ヒドロクロロチアジド)との合剤である高血圧症治療剤「エカード配合錠LD」「エカード配合錠HD」を発売した。 エカード配合錠は、高血圧治療ガイドラインにおいて併用が推奨されているアンジオテンシンII受容体拮抗剤と低用量の利尿剤を組み合わせた合剤。ヒドロクロロチアジドの含量を通常用量の4分の1である6.25mgとすることで、サイアザイド系利尿剤に一般的に見られる副作用を軽減できると考えられ、臨床第3相試験において降圧効果の増強が認められているという。 製剤の種類は、1日1回の経口投与製剤で、1錠あたりカンデサルタン シレキセチル4mg/ヒドロクロロチアジド6.25 mgを含有する「エカード配合錠LD」と、カンデサルタン シレキセチル8mg/ヒドロクロロチアジド6.25mgを含有する「エカード配合錠HD」の2種類。

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ノルバスクとアムロジンの用法・用量が一部変更に

ファイザー株式会社と大日本住友製薬株式会社は23日、持続性カルシウム拮抗薬「ノルバスク錠/OD錠2.5mg/5mg」ならびに「アムロジン錠/OD錠2.5mg/5mg」(一般名:アムロジピンベシル酸塩)において、高血圧症に対し10mgまで増量可能とする用法・用量の一部変更承認を同日付で取得したと発表した。アムロジピンは、既に欧米など海外では10mg投与が承認されており、増量することによりさらに優れた降圧効果を発揮し、その有効性、安全性は、多数の大規模臨床試験でも確認されている。そのため、両社では、国内でもアムロジピン5mgを超えた投与における適切な有効性・安全性情報を提供するために、高血圧症に対して1日10mgまで増量可能とする開発を行っていた。アムロジピンは、持続的な臨床効果を特徴とし、数多くの臨床エビデンスを有する高血圧症ならびに狭心症の治療薬。日本では1993年の発売以降、降圧治療の第一選択薬の一つとして広く処方されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090223.pdf

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高血圧治療薬コディオが製造販売承認を取得

 ノバルティス ファーマ株式会社は21日、高血圧治療薬として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB:AngiotensinII Type1 Receptor Blocker)の「ディオバン」(一般名:バルサルタン)と、サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジド(HCTZ)の配合剤である「コディオ配合錠MD」(バルサルタン/HCTZとして80mg/6.25mg)、「コディオ配合錠EX」(バルサルタン/HCTZとして80mg/12.5mg)の製造販売承認を取得したと発表した。 コディオは、ARBであるディオバンと少量の利尿薬の配合剤であり、異なる作用機序の薬剤を組み合わせることで降圧効果の増強が期待される。 国内臨床試験において、コディオ配合錠EXは、治験終了時の収縮期血圧のベースラインからの変化量が-22mmHgと強力な降圧効果を示し、投与開始後2週間で平均収縮期血圧140mmHg未満を達成する速い効果発現が確認されたという。同じく国内臨床試験の治験終了時においては、83.3%と高いレスポンダーレートを示したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090121_04.html

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ニューロタン錠に新剤型追加・承認

万有製薬株式会社は15日、販売中のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)「ニューロタン錠」(一般名:ロサルタンカリウム)に従来の25mg錠と50mg錠に加え、新剤型として「ニューロタン錠100mg」の承認を新たに追加取得したと発表した。今回の承認で、用量依存的な降圧効果と蛋白尿抑制効果と、処方可能な1日の最大用量100mgを服用する場合、従来の2錠服用から、1錠の服用が可能になり、コンプライアンスの向上が期待できるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/product_news_0115.html

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高血圧治療薬CS-866AZを国内製造販売承認申請へ

第一三共株式会社は11日、同社が高血圧治療薬として開発したアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタンメドキソミルと、カルシウム拮抗薬アゼルニジピンの配合剤「CS-866AZ」の製造販売承認申請を行ったと発表した。CS-866AZは、同社が創製した高親和性AT1レセプターブロッカーのオルメサルタン メドキソミル(販売名:オルメテック錠)および宇部興産株式会社と共同で研究開発した持続性カルシウム拮抗剤のアゼルニジピン(販売名:カルブロック錠)の配合剤。これまでの臨床試験成績から、CS-866AZはオルメテック、カルブロック、それぞれの単剤よりも良好な降圧作用を示すことが明らかとなったという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/781/081211v1-j.pdf

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ニューロタンのヒトにおける尿酸低下作用の機序が証明される

万有製薬株式会社は9日、同社が販売している高血圧症治療薬ロサルタン(商品名:ニューロタン、アンジオテンシンII受容体拮抗薬:ARB)を用いた臨床研究で、ヒトにおけるロサルタンの尿酸低下作用の機序が初めて証明され、その結果が、米国高血圧学会の学会誌AMERICAN JOURNAL OF HYPERTENSIONに論文掲載されたことを発表した。日本におけるこの臨床研究で、ロサルタンには、降圧作用のみならずヒトの腎尿細管からの尿酸再吸収を担う尿酸トランスポーター(Urate Transporter 1:URAT1)を尿細管管腔側から阻害し、尿酸の再吸収を抑制することで血中の尿酸値を低下させる作用があることが示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/product_news_1209.html

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アリスキレンが65歳以上の患者においてラミプリルよりも強い降圧効果を示す

ノバルティス ファーマ株式会社は17日、スイス本社から11日に発表された新しい臨床データによると、新しいクラスの直接的レニン阻害剤(Direct Renin Inhibitor:DRI)アリスキレン(製品名:米国ではTekturna、その他の国ではRasilez)が65歳以上の高血圧症の患者さんにおいて、アンジオテンシン変換酵素(ACE: angiotensin-converting enzyme)阻害剤のラミプリル(国内未発売)に比べ、有意な降圧効果を示すことが証明されたと発表した。この臨床データはAGELESS試験で得られた結果であり、米国心臓協会(AHA: American Heart Association)の2008年度学術集会で発表されたもの。それによると、アリスキレンは、65歳以上の患者さんにおいて、主要評価項目である12週間の治療後の収縮期血圧を、ACE阻害剤のラミプリルに比べてさらに2.3 mmHg低下させたという。AGELESS試験は65歳以上の収縮期高血圧の患者900名を対象に実施され、12週間の治療後、アリスキレン(1日150mgから300mgに増量)は収縮期血圧を13.6 mmHg低下させた。この降圧効果は、ラミプリル(1日5mgから10mgに増量)群の患者さんの収縮期血圧の低下(11.3 mmHg)に比べ強いものであり(p< 0.0001)、また、拡張期血圧においても同様の結果が得られたという〔アリスキレン群:4.8 mmHg、ラミプリル群:3.5 mmHg(p< 0.0001)〕。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20081117.html

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降圧薬カンデサルタン、2型糖尿病の網膜症に対する有効性を確認

アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)であるカンデサルタンは、2型糖尿病における軽度~中等度の網膜症に対する改善効果を有することが、国際的な大規模臨床試験DIRECT-Protect 2により明らかとなった。糖尿病性網膜症は、依然として生産労働年齢人口の失明の主要原因である。2型糖尿病の診断時に約40%が網膜症を併発しており、6年後にはさらに22%が発症するとされる。これに対し降圧薬の有効性が示唆されているが、網膜症をエンドポイントした試験は行われていないという。デンマークOdense大学病院眼科のAnne Katrin Sjolie氏が、Lancet誌2008年10月18日号(オンライン版2008年9月25日号)で報告した。軽度~中等度の網膜症が見られる2型糖尿病患者が対象研究グループは、2型糖尿病患者における網膜症の進行に対するカンデサルタンの抑制効果について検討した。本試験は、309施設が参加した国際的な二重盲検プラセボ対照パラレルグループ無作為化試験である。軽度~中等度の網膜症が見られる2型糖尿病患者が、カンデサルタン16mg/日を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。カンデサルタンの用量は1ヵ月後に32mg/日に増量された。主要評価項目は網膜症の進行、副次評価項目はその退縮とした。網膜症の進行リスクは同等、退縮効果はカンデサルタンが有意に優れる1,905例(37~75歳)が登録され、カンデサルタン群に951例が、プラセボ群には954例が割り付けられた。網膜症がEarly Treatment Diabetic Retinopathy Studyのスケールで3段階以上進行した症例の割合は、カンデサルタン群が17%(161例)、プラセボ群は19%(182例)であった。網膜症の進行リスクは、プラセボ群に比しカンデサルタン群で13%低下したが、有意差は認めなかった(p=0.20)。網膜症の退縮効果は、カンデサルタン群がプラセボ群よりも有意に優れた(ハザード比:1.34、p=0.009)。このハザード比は、ベースライン時のリスク因子や試験中の血圧の変動で補正しても低下せず、有意差は維持された。カンデサルタン群では、試験終了時における網膜症の軽症化の変化率が、全体としてプラセボ群よりも有意に大きかった(オッズ比:1.17、p=0.003)。有害事象ついては両群間に差は見られなかった。著者は、「カンデサルタンは、軽度~中等度の網膜症を有する2型糖尿病において、網膜症の改善効果を発揮する可能性がある」と結論し、「その良好な有効性は、高度な退縮効果とある程度の進行抑制効果によると考えられる」としている。(菅野守:医学ライター)

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薬物治療開始血圧値、降圧目標値ともに年々低下傾向 -「ケアネット 高血圧白書2004-2008」より-

ケアネットが提供するサービスに利用登録している医師(ケアネット会員医師)に対する「高血圧症に関する医師の治療意識」に関する5年間におよぶ調査結果より、薬物治療開始血圧値、降圧目標値ともに年々低下傾向にあることが明らかになった。ケアネットでは、毎年6月(2004年は5月に実施)に「高血圧症に関する医師の治療意識に関するインターネット調査」をケアネット会員医師に対し実施し、目標回収数を500名(2007年までは1,000名)とし、2004年より実施してきた。本調査項目の中から、「薬物治療開始血圧値」と「降圧目標値」に関する5年間におよぶ調査の結果がまとまったので以下に示す。「薬物治療開始血圧値」は、5年間で6.5~3.3mmHg低下高血圧患者の年齢区分別に「降圧薬の投与を開始する判断基準となる血圧値」を記入形式で尋ね、平均値を算出した。その結果、患者年齢が高いほど薬物治療の開始血圧値(平均)は高めだが、その値は年々低下し、年齢層間の差異は縮小しており、薬物治療に対し、積極的になっている傾向がうかがえた。 65歳未満患者: 151.8mmHg(2004年5月)→148.5mmHg(2008年6月)65~74歳患者: 155.1mmHg(2004年5月)→150.6mmHg(2008年6月)75歳以上患者: 160.4mmHg(2004年5月)→153.9mmHg(2008年6月)「降圧目標値」も、5年間で4.3~1.2mmHg低下高血圧患者の年齢区分別に「降圧治療の目標としている血圧値」を記入形式で尋ね、平均値を算出した。患者年齢が高いほど治療の目標血圧値(平均)は高めだが、その値は年々低下し、年齢層間の差異は縮小しており、血圧コントロールの重要性への認識が高まっていることがうかがえた。 65歳未満患者: 133.3mmHg(2004年)→132.1mmHg(2008年)65~74歳患者: 137.4mmHg(2004年)→135.4mmHg(2008年)75歳以上患者: 142.7mmHg(2004年)→138.4mmHg(2008年)後期高齢者の薬物治療には、まだ消極的「薬物治療開始血圧値」の回答分布をまとめたところ、患者の年齢が65歳未満においては、2004年調査では150mmHgを降圧薬の投与を開始する判断基準となる血圧値としている医師が最も多かったが(140mmHg:22%、150mmHg:37%、160mmHg:31%)、2008年調査で最も多かった「薬物治療開始血圧値」は140mmHgであった(140mmHg:36%、150mmHg:34%、160mmHg:19%)。一方、75歳以上の後期高齢者に対しては、2008年調査においても160mmHg以上になってから薬物治療を考慮する医師が全体の45%を占めた。すなわち、患者の血圧が140、150mmHgでは薬物治療を開始せず、しばらく生活習慣の改善を指導し、血圧が160mmHg付近に達した時点で、ようやく薬剤処方を検討するといった消極的な医師が多いことがうかがえる。10年前の常識が非常識になる!?これは「加齢に伴い血圧が高くなるのは生理現象であり、治療の必要性はない」、「収縮期血圧は“年齢+90mmHg”くらいを目安に」という考え方が長らく支配的であり、2000年6月に発表された「高血圧治療ガイドライン2000(JSH2000)」においても80-89歳の患者に対する薬物治療開始血圧値は「160~180mmHg以上/90mmHg以上」が推奨されていたことが影響していると考えられる。現在のJSH2004では“患者年齢に関わらず、生活習慣の修正を指導し、1~3ヵ月後に140/90mmHg以上なら降圧薬治療を開始すべき”と推奨しており、薬物治療開始を単純に血圧値での判断するようなものではないが、「薬物治療開始血圧値」は140/90mmHgである。また、本年5月には「80歳以上の高血圧患者に対しても薬物治療によって、脳卒中、心不全の発症率を抑えることができ、死亡率も低下する」という後期高齢者の降圧薬治療を支持する結果が発表されている1)。このHYVET(Hypertension in the Very Elderly Trial)と呼ばれる大規模介入試験は、80歳以上の収縮期高血圧症3,845例を対象に、利尿薬インダパミド±ACE阻害薬ペリンドプリルによる降圧薬治療群とプラセボ群を無作為化比較したものであり、降圧薬治療によって1次評価項目である「脳卒中発症」が30%低下し(p=0.06)、「総死亡」が21%低下した(p=0.02)。[詳しくはこちら]第31回高血圧学会学術総会でのディスカッションに期待!2009年1月、日本高血圧学会によりJSH2004が5年ぶりに改訂され、「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」が発行される予定である。今回は前述のHYVETなど2004年以降に発表された海外の大規模介入試験だけでなく、日本人を対象とした大規模介入試験もエビデンスとして取り入れられることになっており、注目が高まっている。なお、この新しいガイドラインの草案は、2008年10月11日に「第31回日本高血圧学会学術総会」の『特別企画 JSH2009ガイドライン』にて議論される予定である。このセッションにおいても『高齢者高血圧』は採り上げられており、樂木宏実氏(大阪大学大学院老年・腎臓内科学)の講演の後、指定討論者として桑島巌氏(東京都老人医療センター循環器科)という活発な討論が期待される本学術総会の目玉の1つである。 文献1) Beckett NS et al :N Engl J Med. 2008; 358: 1887-1898.(ケアネット 藤原 健次)

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アリスキレン、肥満の高血圧患者において利尿剤よりも有意な降圧効果を示す

ノバルティス ファーマ株式会社は、新しいクラスの直接的レニン阻害剤(Direct Renin Inhibitor:DRI)アリスキレン(製品名:米国ではTekturna、それ以外ではRasilez)が、肥満の高血圧患者において、利尿剤ヒドロクロロチアジド(HCT)単独よりも有意に血圧を低下させることが確認されたと発表した。2008年度欧州心臓病学会(ESC: European Society of Cardiology)で発表された事後解析では、アリスキレン300mgを単独で使用した場合、座位収縮期血圧が平均で16.7mmHg低下したということが示された。これに対し、HCTによる座位収縮期血圧の低下は平均で12.2mmHgだった。また、拡張期血圧の低下については、HCTの9.1mmHgに対してアリスキレンは12.3mmHgだった(p

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欧州心臓病学会にて大規模臨床試験「TRANSCEND」発表される

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology: ESC)において高血圧治療薬ミカルディス(テルミサルタン)のアウトカム試験TRANSCENDの結果が報告され、ミカルディス群はプラセボ群と比較して、心血管イベント高リスク患者での心血管死、心筋梗塞、脳卒中発症リスクの抑制効果が13%高いことが証明されたと発表した。TRANSCEND(Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE-iNtolerant subjects with cardiovascular Disease)は、ONTARGET試験に並行して実施された試験で、ACE阻害薬に忍容性の認められない心血管イベント高リスク患者5,926人(40ヵ国)を対象に、ミカルディス群のプラセボ群に対する心血管イベント抑制効果および忍容性を検討したもの。抗血小板薬、スタチンなどの標準的治療が施された上に、ミカルディスまたはプラセボ群ともにRAS抑制薬以外の降圧薬の併用が認められていたことも、試験の特徴として挙げられる。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/08_0902.html

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新たな脳卒中の再発予防手段の誕生か? ~EPAが脳卒中の再発リスクを抑制(JELISサブ解析)~

高純度EPA製剤の有用性を検討したJELIS*(Japan EPA Lipid Intervention Study)のサブ解析が、雑誌『Stroke』のオンライン版に掲載された(1)。今回発表されたサブ解析は、脳卒中の発症抑制効果を調べたものである。結果、脳卒中の初発予防に関して、EPA投与群で8,841例中133例(1.5%)、EPA非投与群で8,862例中114例(1.3%)の発症率となり、統計学的な有意差は認められなかった。一方、脳卒中の再発予防に関しては、EPA投与群で485例中33例(6.8%)、EPA非投与群で457例中48例(10.5%)の発症率となり、相対リスクは20%減少した。わが国では、降圧療法の普及などにより、脳卒中の死亡者数が大きく減少したことは有名である。しかし、ここ数年その減少は下げ止まり、再び上昇に転じる様相も見せている。また脳卒中の慢性期患者は増加し、「寝たきりの原因の第一位」、「医療費第一位」という新たな問題を生み出している。そのようなことから、現在、降圧に次ぐ新たな治療手段が求められていた。これまで、アトルバスタチンを用いたSPARCL(Stroke Prevention by Aggressive Reduction of Cholesterol Lowering)で、脳卒中の再発抑制が認められたことから、新たな脳卒中再発抑制手段としてアトルバスタチンによるLDLコレステロールの管理が期待されていた(2)。今回発表されたJELISサブ解析の結果は、アトルバスタチンに続き、脳卒中再発予防に対する新たな手段としての「高純度EPA製剤」を提案したと言えるのではないだろうか。*JELIS(Japan EPA Lipid Intervention Study)日本人の高コレステロール血症18,645例(1次予防:14,931例、二次予防:3,664例)を対象とした無作為化非盲検化比較試験で、スタチン療法に加え、EPAの投与により心血管イベントの発症が抑制されるかを検討した試験。約5年間の追跡調査の結果、1次エンドポイント(主要な冠動脈イベント)はEPA投与群で有意に19%減少した(3)。既にスタチンが投与されている患者に対してもEPAを投与することにより、さらに心血管イベントを抑制できることを示した。 (1) Tanaka K et al. Stroke. 2008, [Epub](2) Amarenco et al. N Engl J Med. 2006; 355: 549-559(3) Yokoyama M et al. Lancet. 2007; 369: 1090-1098(ケアネット 鈴木 渉)

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BPLTTCから新たなメタ解析:65歳の上下で降圧薬の有用性を比較

降圧大規模試験に関する前向きメタ解析であるBlood Pressure Lowering Treatment Trialists’Collaboration(BPLTTC)から新たなデータが報告された。65歳未満の高血圧患者には「ACE阻害薬」、「より積極的な降圧」、「利尿薬またはβ遮断薬」がイベント抑制の観点からは好ましいようだ。BMJ誌2008年5月17日号(オンライン版2008年5月14日号)からの報告。31試験20満例弱を対象今回解析対象となったのは31試験に参加した190,606例。異なった薬剤あるいは降圧目標を比較した降圧無作為化試験のうち、1,000人年以上の規模を持ち2006年9月までにデータを入手でき、かつ本メタ解析が事前に定めている患者情報の得られた試験である。65歳「未満」群(平均年齢57歳)と「以上」群(平均年齢72歳)に分け、1次評価項目である心血管系イベント(脳血管障害、冠動脈イベント[突然死含む]、心不全)のリスクが比較された。65歳「以上」「未満」間で有意なバラツキみられず結果だが、まずプラセボ群と比較したACE阻害薬群、Ca拮抗薬群の心血管系イベント減少率は65歳「未満」「以上」で同等だった。すなわちプラセボ群と比較したACE阻害薬群の心血管系イベント相対リスクは、65歳未満で0.76(95%信頼区間:0.66~0.88)、65歳以上で0.83(95%信頼区間:0.74~0.94)[バラツキ:P=0.37]、Ca拮抗薬群では65歳未満0.84(95%信頼区間:0.54~1.31)、65歳以上0.74(95%信頼区間:0.59~0.92))[バラツキ:P=0.59]だった。「非積極的降圧」と「積極的降圧」を比較しても同様で、積極的降圧群の相対リスクは65歳未満で0.88(95%信頼区間:0.75~1.04)、65歳以上1.03(95%信頼区間:0.83~1.24 [バラツキ:P=0.24] となっていた。「ACE阻害薬 vs 利尿薬またはβ遮断薬」、「Ca拮抗薬 vs 利尿薬またはβ遮断薬」、「ACE阻害薬 vs Ca拮抗薬」、「ARB vs その他」で比較しても同様で、65歳「以上」と「未満」の間にイベント抑制作用の有意なバラツキはみられなかった。65歳「未満」・「以上」ではなく年齢を連続変数として解析しても、各種降圧薬による心血管系イベント抑制作用は有意な影響を受けていなかった。なお65歳「未満」と「以上」の間に「一定度の降圧により得られるイベント相対リスクの減少率」の差もなかった。降圧治療は少なくとも本解析で検討された範囲であれば年齢の高低を問わず有用であり、また年齢により降圧薬の有用性に差はない──と研究者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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Challenge DM study発表される! -血糖管理に加えて徹底した血圧管理が心血管系イベントを抑制する重要な戦略-

17,000例を超える糖尿病合併高血圧例の観察研究がお披露目 23日、第51回日本糖尿病学会年次総会において河盛隆造氏(順天堂大学医学部)は、17,000例を超える糖尿病を合併した高血圧症例に関する観察研究『Candesartan antiHypertensive Assessment for Long Life Enrolled by General practitioners - target on hypertension with Diabetes Mellitus (Challenge-DM) study』の結果を初めて公表し、血糖管理に加えて血圧を130/80mmHg未満にコントロールすることで、さらに30%の心血管疾患系イベントの発症を抑制できることを示した。Challenge-DM studyは、糖尿病を合併した高血圧症例17,622例にカンデサルタンをベースとした治療を施行し、平均2年5ヵ月追跡した観察研究である。総イベントは突然死、脳血管系イベント、心血管系イベント、脳・心血管疾患系イベント、重篤な不整脈、重篤な腎障害、その他の血管障害と設定された。130/80mmHg未満にコントロールされていた症例は20%に満たない 『高血圧治療ガイドライン2004年版』(JSH2004)では糖尿病を合併した高血圧症の降圧目標を130/80mmHg未満と設定しているが、Challenge-DM studyにおいてこの目標値に到達した割合は1年後で13.6%、3年後で18.0%に留まった。降圧目標未達例における使用降圧薬数は平均1.9剤、カンデサルタンの平均用量は7.3mg/日と、標準用量の8mgを下回っていた。 一方、血糖管理については『糖尿病治療ガイド2008-2009』では、HbA1c<6.5%を「良」とし、まずは「良」を目指すべき管理目標値として定めているが、この推奨値に到達した割合は1年後で44.8%、3年後で45.4%であった。血圧値、HbA1c値、総コレステロール値、トリグリセリド値の全てがガイドライン推奨値に到達した割合は3年後においてもわずか3.2%に過ぎなかった。血糖管理+血圧管理によって、さらに30%のイベント抑制が可能に 有効性評価対象症例数16,869例中、826例に総イベントが認められ、これは年間1,000人あたり20.7人が発現することになり、この成績について河盛氏は、「10年も前に発表された久山町研究と大きく変化していない」と治療の選択が増えたにも関わらず改善していない状況を問題視した。 これをHbA1c値が6.5%未満に到達した7,651例と、6.5%以上であった9,017例に分けて解析すると、6.5%未満にコントロールすることで総イベント発現率が15%有意に低下することが示された。さらに6.5%未満にコントロールされていた7,651例を血圧値が130/80mmHg未満であった1,391例と130/80mmHg以上であった6,260例に分けて解析すると、降圧目標に達していた130/80mmHg未満群では、達していなかった群に比べて30%有意に軽減できることが明らかにされた。このことは日本人の糖尿病を合併した高血圧症例においてHbA1c値を6.5%未満にコントロールすることの重要性を示した初のエビデンスであるとともに、血圧を130/80mmHg未満に低下させることの意義を示した。 >総イベントの発現率を使用されていた糖尿病治療薬別にみると、インスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンが投与されていた群では、非投与群に比べ有意に少なかったという糖尿病を治療する医師の立場にとって非常に興味深い結果が得られたと発表した。 以上、Challenge-DM studyについて発表された内容をまとめてみたが、ここからは既報の糖尿病合併高血圧症に関する知見より、今回発表されたChallenge-DM studyも交えて考察してみる。糖尿病と高血圧は合併しやすく、合併することで危険度が高まる 糖尿病症例では高血圧を併発しやすく、端野・壮瞥町研究によると糖尿病の実に62%が高血圧を伴っている1)。またその逆も然りで、高血圧患者において糖尿病の頻度は2~3倍高い。糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ、心血管系疾患が2~3倍高率に発症する。高血圧の合併は心血管系疾患の発症率をさらに2~3倍増加させる。厳格な血圧管理によって心血管系イベントが抑制できることは証明済み このような糖尿病合併高血圧に対し、厳格な血圧管理(平均144/82mmHg)を行った群と、通常の血圧管理(平均154/87mmHg)を行った群を比較した介入試験UK Prospective Diabetes Study Group(UKPDS)試験において、厳格な血圧管理によって心血管系疾患の発症率が有意に少ないことが示された2)。また、最適な降圧目標を検証するために実施されたHypertension Optimal Treatment (HOT)試験では、拡張期血圧80mmHg以下を降圧目標にした群で、85mmHg以下群、90mmHg以下群に比べて心血管系イベントの発現リスクが有意に低かったことが示された3)。これらの試験結果より「糖尿病を合併した高血圧」においては130/80mmHg未満を降圧目標として設定されている。糖尿病患者さんの血圧コントロールは難しい しかし、この降圧目標はReal Worldでは20%も達成されておらず、わが国で2002年に実施された疫学研究によると、糖尿病合併高血圧症例のわずか11.3%しか130/80mmHg未満に達成していない4)。また、降圧薬を服用中の高血圧症例のうち、糖尿病を合併していた症例における解析においては、家庭血圧計において130/80mmHg未満に到達していた割合は18%に過ぎなかったことも報告されている5)。Challenge-DM studyにおいても目標血圧到達率は20%未満であり、目標到達の難しさを支持している。8割以上の医師が「糖尿病患者さんの血圧は130/80mmHg以下に!」と考えている 弊社が高血圧症例を10例/月以上診察しているケアネット会員医師を対象に実施した2007年6月に実施したアンケート調査によると、回答した81%の医師が糖尿病合併高血圧症に対しては130/80mmHg以下を治療目標としており、この点ではガイドラインが推奨する目標値との乖離はそれほど大きくない(ただし、58%の医師が130/80mmHgと回答)。心血管イベント発現抑制のカギは「徹底した血圧管理」 前述のUKPDS試験は収縮期血圧を10mmHg、拡張期血圧を5mmHg低下させることにより、HbA1c値を0.9%低下させるよりも、合併症のリスク低下が大きい傾向が認められ、糖尿病患者における血圧管理の重要性も示した。この結果は、糖尿病患者において血圧のコントロールが血糖のコントロールに勝るとも劣らない効果を有することと、血圧は低ければ低いほどよいことを示した。Challenge-DM studyは、血糖値に加えて血圧値もガイドラインで推奨されている範囲にコントロールできた場合、血糖値だけがコントロールできている場合よりさらにイベントの発現を30%低下させられることを証明した。この研究では血糖値と血圧値が目標レベルに達していたのは8%ほどであったが、とくに達成率が低かった血圧値をより厳格に管理することで心血管系疾患の発症を抑制されることができるのではないだろうか。カンデサルタンとピオグリタゾンの併用に新たな可能性 「HbA1c値を6.5%未満に管理した上で血圧を厳格にコントロールする」、Challenge-DM studyはもう1つイベントの発現を低下させる戦略を示している。ピオグリタゾン投与例では、非投与例に比べ、総イベント発現率が有意に少なかった。 これに関連して、最近、熊本大学 中村・光山氏のグループは、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)においてピオグリタゾンの糖代謝改善作用と独立した心筋における抗炎症作用、線維化抑制作用、血管内皮機能改善作用、心筋・血管に対する抗酸化作用があることをHypertension誌に発表した6)。そしてこれらの作用はカンデサルタンの併用により増強されるというのである。 今回、Challenge-DM studyにおいてピオグリタゾン投与例でイベント発症率が低かったことは、基礎研究の結果が臨床においてその有効性が窺えたと考えられる。今後、無作為化比較試験が実施され、この新しいレジメンの有用性が証明されることを期待したい。1) Iimura O:Hypertens Res.1996;19(Suppl 1):S1-S82) UK Prospective Diabetes Study Group:BMJ.1998;317:703-7133) Hansson L et al:Lancet.1998;351:1755-17624) Mori H et al:Hypertens Res.2006;29:143-1515) Obara T et al:Diabetes Res Clin Pract.2006;73:276-2836) Nakamura T et al:Hypertensio

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複数バイオマーカーの使用が心血管系の死亡リスク予測に有用

心血管系に起因する高齢者の死亡リスクを予測するために、スウェーデン・ウプサラ大学のBjorn Zethelius氏らは、確立したリスク因子の他に、異なる疾患経路に複数のバイオマーカーを加えることの有用性を検討。心血管だけでなく腎の異常についてのバイオマーカーも加えると、心血管系の死亡リスクの層別化が改善されると報告している。NEJM誌2008年5月15日号より。高齢男性対象に腎不全と炎症のマーカーも追加高齢男性を対象とした地域ベースのコホート研究である「ウプサラ成人男性縦断研究」(ULSAM)のデータを使い、参加者1,135例(ベースラインの平均年齢71歳)について、追跡調査(中央値10.0年)を行った。心筋細胞傷害、左室機能不全、腎不全および炎症を反映するバイオマーカー(それぞれトロポニンI、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド、シスタチンC、C反応性蛋白)の組み合わせが、すでに確立している心血管疾患のリスク因子(年齢、収縮期血圧、降圧剤使用の有無、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール、脂質降下剤使用の有無、糖尿病の有無、喫煙状態、肥満度指数)に基づく評価より、個人のリスク層別化を改善するかどうかを検討した。心血管疾患の有無にかかわらずリスク予測を改善追跡調査の間に1,135例中315例が死亡し、うち136例は心血管疾患による死亡だった。確立したリスク因子で補正したコックス比例ハザードモデルでは、すべてのバイオマーカーが、心血管系の原因による死亡リスクを有意に予測した。前記の4バイオマーカーを、確立したリスク因子のモデルに組み込むと、C統計量は、全コホート(バイオマーカー有:0.766対バイオマーカー無:0.664、P

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ARBは心筋梗塞の発症抑制についてACE阻害薬より劣るのか? -ARB史上最大規模の試験「ONTARGET試験」は何をもたらしたか(2)-

 “ARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させるのか?”、“ARBの心筋梗塞発症抑制はACE阻害薬より劣るのか?”-これらの疑問に対する答えを一身に背負わされてきた試験が先ごろ発表された。冠動脈疾患ハイリスク例に対してACE阻害薬とARB テルミサルタン、そしてその2剤併用療法を比較したONTARGET試験1)だ。ARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させる!? この疑問について注目を集めるきっかけを2004年に発表されたVALUE試験2)にまで遡ってみた。ハイリスク高血圧患者に対して、バルサルタンを投与した場合、アムロジピンより心筋梗塞の発症率が有意に高かったのである。VALUE試験において心筋梗塞の発症は二次評価項目ではあったが、このような結果が発表前に誰が予想しただろうか。 その年の11月、米国トロント総合病院心臓外科のVerma氏は、この結果を受け、「Angiotensin receptor blockers and myocardial infarction –These drugs may increase myocardial infarction and patients may need to be told」というタイトルの論文をBMJ誌に発表した3)。ここでは前述のVALUE試験以外にもCHARM-Alternative試験などの結果からARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させる可能性があり、ONTARGET試験の結果が発表されるまで、「ARBが咳の出ないACE阻害薬」と考えることに慎重になる必要があると言及した。そしてこの論争を投げかけたVerma氏も結論をONTARGET試験に委ねたのであった。ARBは心筋梗塞の発症リスクを高めない! その半年後、2005年夏にはARBの有用性を検証した無作為化比較試験のメタアナリシスが2報発表された4,5)。いずれの論文においても「ARBは心筋梗塞の発症リスクを有意に高めない」という結論に達し、Verma氏の仮説を支持するものとはならなかった。そしてここでもONTARGET試験がこの問題を解決する結果を導いてくれるものだと、ONTARGET試験に期待が寄せられた。ACE阻害薬は降圧効果と独立した冠動脈疾患発症抑制作用が認められる 一方、降圧薬の違いによるのアウトカムの格差に関するいくつかのメタアナリシスを発表してきたBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration (BPLTTC)は、2007年にACE阻害薬とARBのメタアナリシスを発表した6)。これによると5mmHgの降圧に対して冠動脈疾患の発症リスクをACE阻害薬は16%、ARBは17%減少させると推算されている。一方、降圧効果と独立した冠動脈疾患発症抑制作用はACE阻害薬だけに認められることを示した。 しかし、BPLTTCのメタアナリシスにおいては解析対象となった26の比較試験のうち、ACE阻害薬とARBをhead-to-headで比較した試験はわずか3つしか含まれていなかった。ELITEII7)(慢性心不全3,152例、カプトプリル vsロサルタン)、OPTIMAAL8)(急性心筋梗塞5,477例、カプトプリル vsロサルタン)、VALIANT9)(急性心筋梗塞9,818例、カプトプリル vsバルサルタン)の3つだ。これら個々の比較試験における心筋梗塞発症率や、これら3試験のメタアナリシス6)における冠動脈疾患発症率においてはACE阻害薬カプトプリルとARBの間には有意な差を認めてない。この有名なメタアナリシスもまた「ACE阻害薬とARBを直接比較した非常に大規模な比較試験であるONTARGET試験がこの疑問に対して何らかの重要な情報を与えてくれる」だろうとONTARGET試験への期待を抱かせたのであった。 「ARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させる」のではと懸念される中、慢性心不全例へのARBカンデサルタンの有用性を検証したCHARM試験のOverall解析においてカンデサルタンの投与によって慢性心不全例の心筋梗塞の発症率が有意に抑制されたとの報告10)もあったことは押さえておきたい。 ARBと心筋梗塞発症の議論を一身に背負わされたONTARGET試験 このようにONTARGET試験は「脳心血管イベントの高リスク患者におけるARBテルミサルタンのACE阻害薬に対する非劣性を検証する」といった主要目的とは別のところで、「心筋梗塞の発症抑制に関してARBがACE阻害薬より劣るか否か(もしかすると優るのか)」も明らかしてくれるのではないかと期待された試験でもあった。 そして2008年春、ONTARGET試験は発表された1)。この試験では〈1〉冠動脈疾患、〈2〉末梢動脈疾患、〈3〉脳血管疾患、〈4〉臓器障害を伴う糖尿病の4つのうちいずれかを有する55歳以上の者を対象として、〈1〉ARBテルミサルタン、〈2〉ACE阻害薬ラミプリル、〈3〉その併用の3群のうちいずれかの治療が施され、〈1〉心血管死、〈2〉非致死的心筋梗塞、〈3〉非致死的脳卒中、〈4〉うっ血性心不全による入院のいずれかが発症率が主要評価項目として検証された。中央値56ヵ月、すなわち4年と8ヵ月において主要評価項目はテルミサルタン群とラミプリル群でそれぞれ16.7%、16.5%発症し、テルミサルタンのラミプリルに対する非劣性が証明された。 一方、主要評価項目の構成要素の1つとされた「非致死的心筋梗塞」は25,620例中1,291例(5.0%)に発症した。治療群別に見ると、ラミプリル群で4.8%、テルミサルタン群で5.2%であり、テルミサルタンによる治療を受けた場合、5年弱の間に心筋梗塞を発症する危険性はラミプリルと差がないという結果となった(相対リスク1.07、95%信頼区間:0.94-1.22)。すなわち、心筋梗塞発症抑制効果はテルミサルタンとラミプリルで同程度であり、Verma氏の論説から始まった「ARB投与、少なくともテルミサルタン投与の懸念」を払拭するものとなったとみている。1) ONTARGET Investigators:N Engl J Med. 2008;358:1547-15592) Julius S et al.: Lancet. 2004;363:2022-20313) Verma S et al:BMJ. 2004 ;329:1248-12494) McDonald MA et al.: BMJ. 2005;331:873.5) Verdecchia P et al:Eur Heart J. 2005;26:2381-2386.6) Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration:J Hypertens. 2007;25:951-9587) Pitt B et al:Lancet. 2000;355:1582-1587.8) Dickstein K et al:Lancet. 2002;360:752-760.9) Pitt B et al:N Engl J Med. 2003;348:1309-1321.10) Demers C et al:JAMA. 2005;294:1794-1798.

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2型糖尿病患者への積極的治療は動脈硬化を退縮するが…

心血管疾患(CVD)リスクの高い2型糖尿病患者の、リスク因子コントロールの目標値について、MedStar Research Institute(米国)のBarbara V. Howard氏らの検証結果が発表された。JAMA誌2008年4月9日号より。動脈硬化進行を「積極的治療群」と「標準治療群」とで比較本研究は2型糖尿病を有する40歳以上の米国原住民(American Indians)男女が対象。「SANDS」(Stop Atheroschlerosis in Native Diabetics Study)と呼ばれる。CVD履歴のない参加者499例をLDLコレステロールと収縮期血圧(SBP)の目標値をそれぞれ、「70mg/dL以下」「115mmHg以下」に定めた「積極的治療群」(n=252)と、「100mg/dL以下」「130mmHg以下」に定めた「標準目標治療群」(n=247)とに無作為に割り付け、無症状アテローム性動脈硬化症の進行が比較された。実施場所はオクラホマ州1、アリゾナ州2、サウスダコタ州1の計4つのクリニカルセンター。追跡期間は2003年4月~2007年7月にわたる間の3年。主要エンドポイントは総頸動脈内膜中膜厚(IMT)により評価されるアテローム性動脈硬化の変化。副次エンドポイントは、他の頸動脈、心臓超音波検査、CVDイベント発生とされた。介入後のLDL・SBPの平均値(最低12カ月間)は、「積極的治療群」では72mg/dL・117mmHg(95%信頼区間:69~75、115~118)、「標準目標治療群」は104mg/dL・129mm Hg(101~106、128~130)で、両群とも治療目標値はほぼ達成維持された。CVDイベント発生に有意差なし、「積極群」の降圧薬に関する有害事象多しで…「積極的治療群」ではIMTの退縮(-0.012mm)が認められた。一方の「標準目標治療群」は進行(0.038mm)していた(P

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小児の糖尿病性腎症予防には血糖管理が最も重要

成人の糖尿病患者では腎症抑制には血糖管理と並び降圧が非常に重要だが、未成年では血糖コントロールこそが最重要のようだ。また成人と異なり、腎機能障害を来しやすいのは女性だという。Addenbrooke’s Hospital(米国)のRakesh Amin氏らによる研究がBMJ誌HPで2008年3月18日付早期公開された(本誌収載2008年3月29日号)。500例超をおよそ10年間観察本検討はOxford regional prospective studyのデータを用いて行われた。本スタディは、16歳未満で1型糖尿病の診断から3ヵ月以内の患者を前向きに観察している。1986年から1997年の間に527例が登録され、2005年まで年1回の健診を受けながら、平均9.8年間追跡された。微量アルブミン尿の定義は尿中アルブミン/クレアチニン比で定義され、男児では3.5~35mg/mmoL、女児では4.0~47mg/mmoLとされた。その結果、135例(26%)で微量アルブミン尿が認められた。微量アルブミン尿が陽性となった平均年齢は16.1歳だった。糖尿病罹患期間別に見ると、糖尿病と診断されてから10年後で25.7%(95%信頼区間:21.3~30.1%)、19年後では50.7%(95%信頼区間:40.5~60.9%)が微量アルブミン尿陽性となっていた。微量アルブミン尿陽性となる危険因子として、「HbA1c高値」「女児」「拡張期血圧高値」「若年での糖尿病診断」が挙げられたが、多変量で補正後は「HbA1c高値」と「女性」のみが、微量アルブミン尿陽性の有意な危険因子だった。「HbA1cの1%上昇」により「陽性」のハザード比は1.39倍と有意に増加し(95%信頼区間:1.27~1.52)、「女性」では男性に比べ1.43倍に増加していた(95%信頼区間:1.02~2.06)。成人とは異なり「女性」で腎障害進展リスクが高くなっている点にAmin氏らは注意を呼びかけている。いつから治療を開始するか微量アルブミン尿陽性となった135例中17例(13%)では、顕性蛋白尿までの進展が観察された。危険因子としては「HbA1c高値」「持続性微量アルブミン尿」「間欠性微量アルブミン尿」「収縮期血圧高値」が挙ったが、多変量解析後も有意だったのは「HbA1c高値」(1.42)、「持続性微量アルブミン尿」(27.72)、「間欠性微量アルブミン尿」(8.76)の3つのみだった(カッコ内はハザード比)。本試験では、18歳以上で「高血圧」あるいは「持続性微量アルブミン尿」のいずれかを認めた場合、ACE阻害薬またはβ遮断薬で治療することになっており、20例が服薬を開始したが、7例(35%)が顕性蛋白尿に移行した。例数が少ないため確証とはならないが、より早期からの介入が有用である可能性が示されたと言えよう。成人糖尿病患者では、2型糖尿病を対象とした検討だが、早期のACE阻害薬服用開始により微量アルブミン尿出現が遅延するというBENEDICT研究が報告されている。(宇津貴史:医学レポーター)

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ACE阻害薬とARBの併用療法は心血管疾患発症抑制においてもはや有用でない-ARB史上最大規模の試験「ONTARGET試験」は何をもたらしたか(1)-

 4日、先頃、発表されたONTARGET試験の発表を受けて、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、アステラス製薬株式会社は、ARBテルミサルタン(販売名:ミカルディス)が心血管疾患のハイリスク患者に対して、既に心血管疾患の発症抑制効果が確立しているACE阻害薬ラミプリルと同等の効果を有することを発表し、同日、檜垣實男氏(愛媛大学大学院 病態情報内科学 教授)はその意義についてプレスセミナーにおいて講演した。ここではその内容を基にONTARGET試験に関していくつかの観点からレビューする。ONTARGET試験では心血管イベントハイリスク患者を対象にARB(ミカルディス、一般名:テルミサルタン)単独投与のACE阻害薬(一般名:ラミプリル)単独投与に対する非劣性と、テルミサルタンとACE阻害薬併用療法のACE阻害薬単独投与に対する優越性を検証された。その結果は3月31日、第57回米国心臓病学会(ACC)にて発表された。また、この内容はNew England Journal of Medicine誌4月10日号に発表される予定である(インターネット上には31日、掲載されている)。(1)ACE阻害薬とARBの併用療法はもはや有用でない ONTARGET試験の中で、最も注目した結果は、ACE阻害薬とARBの併用療法が、ACE阻害薬単独投与に比べて優越性を示せなかったことである。ONTARGET試験では、1次評価項目として「心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院のいずれかの発現」と複合心血管イベントが設定されたが、その発現率は、ACE阻害薬単独投与群で16.5%、ACE阻害薬とARBの併用群で16.3%であった。1次評価項目における併用療法のACE阻害薬に対するハザード比は0.99(95%信頼区間:0.92-1.07)であり、ACE阻害薬にARBを併用しても有意な心血管系イベントの改善には至らなかったのだ。 そもそも、なぜ、この試験が行われたか。ACE阻害薬はアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を促進させる酵素ACEを阻害することによってアンジオテンシンIIの産生を抑制する。しかし、アンジオテンシンIIはキマーゼなどACE以外の酵素によっても産生され、完全にはレニン・アンジオテシン系(RAS)をブロックできない。ARBはアンジオテンシンII受容体を直接遮断する。したがってACE阻害薬とARBの併用によるRASのデュアルブロックによって、ACE阻害薬で証明されている数々の心血管疾患発症抑制効果がさらに増強されると期待されていた。 これまでにACE阻害薬とARBの併用療法の有用性を検証した臨床試験はONTARGET試験が初めてではない。大規模な試験としては、心筋梗塞後の左室収縮不全または心不全例に対してバルサルタン(販売名:ディオバン)とカプトプリル(カプトリル)の併用療法の有用性を検証したVALIANT試験と、慢性心不全例に対してカンデサルタン(販売名:ブロプレス)とACE阻害薬(どのACE阻害薬を選択するかは医師の判断:エナラプリル27%、リシノプリル19%、カプトプリル17%)の併用療法の有用性を検証したCHARM-Added試験がある。 これらの結果は対照的なものとなった。すなわち、VALIANT試験では併用療法がACE阻害薬単独投与に対して優越性を示せず、CHARM-Added試験では併用療法が単独療法に対して優越性を示したのである。 Yusuf氏らはONTARGET試験やVALIANT試験の対象は、他の薬剤によって治療が成功している集団であったため、ACE阻害薬とARBの最大投与量を用いたRASのデュアルブロックによる臨床ベネフィットはほとんど得られなかったのではないかと考察している。 また、安全性面に目を向けてみると、ONTARGET試験では、ACE阻害薬とARBの併用療法によって低血圧、失神、腎機能障害、高カリウム血症が有意に増加し、透析を必要とする腎不全も増加傾向にあった。これらを受け、檜垣氏は「ハイリスク例では副作用が増加するだけで、併用療法の有用性は心不全例を除いては期待できない」と述べた。 血圧値は141.8/82.1mmHgからACE阻害薬投与によって6.4/4.3mmHg降下し、ACE阻害薬とARBの併用療法によって9.8/6.3mmHg降下した。すなわち、その差は2.4/1.4mmHg。この血圧差からは4-5%のイベント抑制が期待できるとしているが、今回はそこまでの結果に至らなかった。テルミサルタンを併用しても血圧差が2.4/1.4mmHgであったこと、血圧差があったにも関わらず、一次評価項目で全く差がなかったのはなぜか、まだ疑問は残る。 一方、わが国で保存期腎不全例を対象にACE阻害薬(トランドラプリル)とARB(ロサルタン)の併用療法は、それぞれの単独療法に比べ腎不全への進行を抑制することができたことがCOOPERATE試験より証明されており、我々もLancet誌発表直後に著者の中尾尚之氏に独占インタビューした。心血管疾患発症抑制ではなく、腎疾患の進展抑制における併用療法の効果について期待できるかもしれない。 2007年6月に弊社が独自に調査した結果によると、高血圧症例を10例/月に診察している医師(n=503)がCa拮抗薬およびARBが投与されている例で降圧効果が不十分な場合、増量、切り換え、追加などの中から、ACE阻害薬を追加投与し、3剤併用を選択する割合は平均5.2%であった。まだ、臨床においてはARBとACE阻害薬の併用投与が行われている。今回のONTARGETの結果は、ハイリスク患者における心血管疾患発症抑制を目的としたACE阻害薬とARBの併用療法の臨床意義は期待できないことを証明したといえる。 次回は「ARB投与による冠動脈疾患発症抑制」についてレビューする。

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ケアネット、「ジェネリック医薬品白書2007-2008」を発表

株式会社ケアネットは、2008年4月からのジェネリック医薬品使用促進策に関する厚生労働省の発表を受けて、医師・薬剤師のジェネリック医薬品の使用実態・使用意向に関する調査を実施、『ジェネリック医薬品白書2007-2008』としてまとめました。本白書は、2007年8月、および2008年2月に、医療専門サイト「ケアネット・ドットコム」の会員医師(延べ1,428人)・会員薬剤師(延べ530人)に対して実施した調査の結果を分析したものです。調査結果によると、2007年8月時点での処方実態は、医師からの処方箋の85%が先発医薬品名での処方であり、そのうち「後発医薬品変更可」は23%であった。「後発医薬品変更可」のうち実際ジェネリック医薬品に切替えられたのは17%。したがって、先発医薬品処方のうち、ジェネリック医薬品に切替わった処方は3%足らずである。一方、「ジェネリック医薬品推進派(切替え容認)」の推移を見ると、医師では、2007年8月の24%に対し、2008年2月には31%に増加。同様に薬剤師では16%に対し、24%に増加しており、いずれも拡大傾向にある。また、ジェネリック医薬品の使用意向は医師・薬剤師ともに拡大傾向にあるものの、ジェネリック医薬品の情報不足などの理由で、医師より薬剤師のほうが慎重な姿勢をとっていることが窺える。特にジェネリック医薬品の今後の使用意向について、21%の薬剤師は 「製薬企業からの情報提供により、先発品か後発品かを決める」 と回答。また、32%の薬剤師は「態度未定」と回答している。中でも、今後はジェネリック医薬品の使用は、大学病院や国立病院機構などの門前薬局や、個人経営の薬局などから拡大する可能性が高いことが伺えた。薬効領域別にみると、特に「消化性潰瘍治療剤」「降圧剤」などで、ジェネリック医薬品の使用が進む可能性がある結果となった。 『ジェネリック医薬品白書2007-2008』について医師、薬剤師の属性別に、ジェネリック医薬品の使用実態や使用意向、ならびに使用理由、非使用理由、在庫状況、患者への対応、製薬企業のMR活動などを詳細に分析しています。2006年から2008年までのジェネリック医薬品の使用実態・使用意向の推移データも掲載しています(全62頁)。製薬企業に限定した特別価格 1部10万円(税別)で提供する予定です。 『ジェネリック医薬品白書2007‐2008』 に関するお問合わせマーケティング調査事業部 電話:03-6801-0507

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