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皆さんは、学会発表や論文執筆に取り組んでいますか? 薬剤師個人が何に取り組んできたのかという実績が重要視されるようになり、本年度からかかりつけ薬剤師に同意していただくには、自身の薬剤師としての経歴、論文発表の実績などを提示することが必要になりました。急に言われてできるものではないため、どうしたらいいのか…と戸惑われている薬剤師さんも多いのではないかと思います。そんな薬剤師さんのお役に立ちそうな情報がありますのでご紹介します。日本高血圧学会は、患者の降圧目標達成率を向上させる戦略として、「高血圧・循環器病予防療養指導士」を柱とした対策を19年版の高血圧治療ガイドラインに盛り込む方針だ。看護師や薬剤師、管理栄養士を中心に4,000人以上を育成し、高血圧や循環器病の指導を薬局や健診機関で行ってもらう。多くの薬剤を服用しなくても患者が降圧目標を達成できるようにするのが狙い。(RISFAX 2018年5月7日付)現在、2019年度の高血圧治療ガイドラインで、降圧目標が140/90mmHgから130/80mmHgへの引き下げが検討されており、もしそうなれば、高血圧患者は4,300万人から6,300万人になると言われています。2,000万人増ですから、医療機関での治療を受ける患者数も明らかに増えるのではないでしょうか。しかも境界域の患者さんには薬物療法だけでなく、とくに生活指導が必要と考えられます。医薬品に関する指導だけでなく、生活指導に関するアドバイスも薬剤師が参加するようになるため、地域における他職種との連携がより重要になることが予想されます。資格取得には学会参加や症例レポートが必要この認定制度の目的について、「第1条:この制度は、循環器病の主たる原因である高血圧等の生活習慣病の改善・予防、および、その他の危険因子の管理に関する療養指導を行うために有能な専門的知識および技術を有する職種の資質向上を図り、よって循環器病の予防や病態改善により国民の健康増進に貢献することを目的とする」(高血圧・循環器病予防療養指導士ホームページより)とあります。また、日本高血圧学会の会見では、「降圧剤を増やさなくても血圧が下がるという指導をしていきたい。多剤の問題も出てきており、薬剤師とも連携したい」という薬剤師に対する期待のコメントも出ています。すでに3回の試験が実施されており、各職種別の合格者数が開示されています。合格した薬剤師は、第1回は12名、第2回は41名でした。第2回は、保健師や看護師、臨床検査技師など、すべての医療系資格保有者の中で薬剤師がもっとも多く合格しています。現在の全認定者数は324人ですが、それをまず1,000人に増やし、将来的に4,000人以上を目指すとのこと。積極的に合格者を増やしたい今は、もしかしたら認定されやすいタイミングなのではないかとこっそり思っています。この試験の受験資格ですが、薬剤師の資格があるだけでは足りません。日本高血圧学会または日本循環器病予防学会への在籍が試験実施日までに1 年以上であることや、一定の学術大会やセミナーや試験当日の講習への参加などが必要になります。申し込み時には、「指導例記録5症例、またはそれに代わるもの」という薬歴に近い症例レポートの提出が必要です。学会への入会や症例レポート作成、もしかしたら学会発表など、かかりつけ薬剤師に求められることが一度に準備できる可能性があります。この高血圧・循環器病予防療養指導士はあくまで一例ですが、薬剤師のサポートが求められている領域に貢献でき、また、かかりつけ薬剤師に必要な実績に何から手を付ければいいかわからない薬剤師さんにとって、日々行っていることが成果として資格取得につなげられるいい機会だと思いますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。日本高血圧学会・日本循環器病予防学会・日本動脈硬化学会 認定 高血圧・循環器病予防療養指導士