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第57回日本肺癌学会、福岡で開催

 第57回日本肺癌学会学術集会が、2016年12月19日~21日まで福岡市の福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センターを会場として開催される。 学術集会の会長である九州大学大学院付属胸部疾患研究施設 教授 中西洋一氏は、第13回肺がん医療向上委員会にて当学術集会のハイライトを紹介。今回のテーマは「Innovation for the Next Stage- 肺癌にかかわるすべての人のために-」とし、学術の振興と国際化、チーム医療プログラムの充実、患者・家族向けプログラムの3点をポイントとした。演題数も1,500以上と過去最多で、シンポジウム18セッション、ワークショップ3セッション、教育演題18講演が予定され、Patient Advocate Programも用意されている。 12月20日のプレナリーセッションでは、プラチナ既治療非小細胞肺がんへのS-1とドセタキセルの比較第III相試験(EAST-LC)、T790M陽性の非小細胞肺がんでのオシメルチニブと化学療法の比較試験(AURA3)が発表され、同日のアンコールセッションでは、IB-IIIA期非小細胞肺がんの術後補助化学療法比較第III相試験(SLCG0401)、ALK陽性肺がんに対するアレクチニブとクリゾチニブの比較第III相試験(J-ALEX)、PD-L1高発現未治療非小細胞肺がんにおけるペムブロリズマブの第III相試験(KEYNOTE-024)の結果がレビューされる。 国際化の流れを受け、世界の肺癌診療をリードする海外演者26名を招聘。12月19日のシンポジウム2 「ALK戦線異常あり」ではAlice T. Shaw氏が、12月21日のシンポジウム17「トランスレーショナルリサーチ」では、Chung-Ming Tsai氏と現世界肺癌学会会長のDavid Carbone氏が、同日の招請講演では前世界肺癌学会会長のTony S. K. Mok氏が登壇する。 また、ニボルマブの薬価問題を受け、12月20日の特別企画「医療費とガイドライン」、同日の学術委員会シンポジウム「医療経済から観た適切な肺がん治療」が開催される。第57回日本肺癌学会学術集会のホームページはこちら

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早期乳がんの遺伝子診断で過剰な術後化療を回避/NEJM

 遺伝子診断の導入により、臨床リスクが高い乳がん患者の半数近くが、術後の化学療法は不要と判定され、毒性を伴う化学療法による過剰治療の回避につながる可能性があることが、ポルトガル・Champalimaud臨床センターのFatima Cardoso氏らが行ったMINDACT試験で示された。研究の成果はNEJM誌2016年8月25日号に掲載された。早期乳がん患者への術後補助療法の適用は、腫瘍および患者の特性に基づく臨床リスクで決定される。これらの特性を判定する診断ツールのアルゴリズムは、個々の患者の腫瘍の生物学的特性を考慮していないため、多くの患者が過剰治療となり、効果のない治療による毒性のリスクに曝されている可能性があるという。70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)は、早期乳がん女性の臨床アウトカムの予測を改善することが示されている。遺伝子診断追加の臨床的有用性を無作為化試験で評価 MINDACT試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する無作為化第III相試験(欧州委員会第6次フレームワークプログラムなどの助成による)。 2007~2011年に、欧州9ヵ国112施設で患者登録を行った。対象は、年齢18~70歳、組織学的に浸潤性の原発乳がん(Stage T1、T2、切除可能なT3)が確認され、リンパ節転移陰性の女性であった(2009年8月以降は、最大3個の腋窩リンパ節転移のある女性も可とした)。 ゲノムリスクは、70遺伝子シグニチャーで評価し、臨床リスクの評価には、改訂版Adjuvant! Onlineを用いた。 双方のリスクが低い患者は、術後補助化学療法が施行されなかったが、両リスクが高い患者には行われた。2つのリスクが一致しない患者は、いずれかのリスクに基づき、化学療法を施行する群と施行しない群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、無遠隔転移生存とし、初回遠隔転移の発現または死亡までの期間と定義した。臨床リスクは高いが、ゲノムリスクが低く、化学療法を行わなかった患者において、5年無遠隔転移生存率の95%信頼区間(CI)の下限値が92%(非劣性境界)を上回るかを検討した。術後補助化学療法なしでも、5年無遠隔転移リスク上昇せず 6,693例が登録された。年齢は、<35歳が1.8%、35~49歳が31.4%、50~70歳が65.9%、>70歳が0.8%であり、リンパ節転移陰性が79.0%、ホルモン受容体陽性が88.4%、HER2陰性は90.3%であった。 低臨床リスク/低ゲノムリスク群は2,745例(41.0%)、低臨床リスク/高ゲノムリスク群は592例(8.8%)、高臨床リスク/低ゲノムリスク群は1,550例(23.2%)、高臨床リスク/高ゲノムリスク群は1,806例(27.0%)であった。 高臨床リスク/低ゲノムリスク群の化学療法非施行例の5年無遠隔転移生存率は、94.7%(95%CI:92.5~96.2)であり、95%CI下限値≧92%を満たした。 同群の化学療法非施行例と施行例の5年無遠隔転移生存率の絶対差は1.5ポイントであり、非施行例のほうが低かったが、有意な差は認めなかった(ハザード比[HR]:0.78、95%CI:0.50~1.21、p=0.27)。 エストロゲン受容体陽性、HER2陰性、リンパ節転移陰性、同陽性のサブグループの無遠隔転移生存率も、同様の結果であった。 著者は、「70遺伝子シグニチャーを加えることで、臨床リスクは高いがゲノムリスクは低い患者において、5年時の遠隔転移または死亡のリスクを高めることなく、毒性を伴う化学療法を回避できる可能性が示唆された」とまとめ、「これらの知見により、臨床リスクの高い乳がん女性の約46%は、化学療法を必要としない可能性がある」と指摘している。

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トリプルネガティブ乳がん、veliparib+CBDCA併用の術前化学療法でpCR向上/NEJM

 トリプルネガティブの乳がん患者では、術前補助化学療法として標準療法に加え、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬veliparib+カルボプラチンを併用することで、病理学的完全奏効率が向上することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らが、多施設共同の適応的無作為化第II相試験「I-SPY2」で明らかにしたもので、NEJM誌2016年7月7日号で発表した。乳がんは、遺伝的・臨床的不均一性から有効な治療の特定が困難になっている。研究グループは、実験的試験で効果のあるがんサブタイプを見つけることを目的とした。被験者を10種のバイオマーカー標識に分類 試験は、腫瘍が直径2.5cm以上でステージIIまたはIIIの乳がんの女性を対象に、実験的レジメンにより治療アウトカムが向上する乳がんサブタイプについて調べるもので、現在も継続中である。 具体的には、乳がんをヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)、ホルモン受容体、70の遺伝子アッセイにより8つのバイオマーカー・サブタイプに分類。そのうえで、あらかじめ定義したバイオマーカーの組み合わせで10種のバイオマーカー標識を作成し、標準治療と実験的レジメンを比較することとした。被験者は、標準療法よりも良好な成績のレジメンを受けられるよう、バイオマーカー・サブタイプ内で適応的無作為化を行った。 今回報告されている標準療法にveliparibとカルボプラチンを併用するレジメンは、HER2陰性腫瘍について検討され、3標識について評価が行われた。 主要評価項目は、病理学的な完全奏効で、治療中にMRIで腫瘍体積を測定して完全奏効を予測する形で評価。また、ベイズ確率で第III相試験での成功予測が高いと示されたレジメンについて、第II相から第III相へ進めると判定することとした。標準療法にveliparib+カルボプラチンで病理学的完全奏効が51% veliparib+カルボプラチンを投与した被験者は72例、対照群は44例だった。トリプルネガティブ(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2が陰性など)の患者において、化学療法終了時点で病理学的完全奏効が予測された人の割合は、veliparib+カルボプラチン群が51%(95%ベイズ確率区間:36~66)だったのに対し、対照群では26%(同:9~43)だった。 また、トリプルネガティブ乳がんに関して、veliparib+カルボプラチンレジメン治療が第III相で成功する確率は88%だった。 なお、veliparib+カルボプラチン群の毒性は、対照群より高かった。

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膵がん切除後のS-1とゲムシタビンによる補助化学療法の有用性(解説:上村 直実 氏)-560

 膵がんは、最も予後の悪い悪性腫瘍の1つであり、手術可能な早期がんで発見され治癒切除術が施行された場合でも、その5年生存率は20%程度であるとされている。手術単独での再発率が高いため、治癒率を上げるために補助化学療法が必要となる。膵がん切除後の補助化学療法は、ゲムシタビンを使用したものが標準レジメンとされているが、今回、日本で胃がんや大腸がんに対する主要な経口抗がん剤であるS-1の有用性を検討するため、S-1とゲムシタビンとのRCT「JASPAC-01研究」の結果が報告された。 「JASPAC-01」は、日本人を対象に行われた無作為化非盲検多施設共同の第III相試験で、組織学的に確認された切除可能な浸潤性膵管がんで、かつ病理学的にStageI~III、肉眼的に完全切除され残存腫瘍が認められないと判定された385例を対象として、S-1群192例とゲムシタビン群193例に割り付けられた。主要評価項目である全生存期間では、5年生存率はゲムシタビン群24.4%(95%CI:18.6~30.8)に対し、S-1群は44.1%(95%CI:36.9~51.1)であり、ゲムシタビン群に対するS-1群の死亡ハザード比は0.57(同:0.44~0.72)であった。すなわち、S-1を用いた補助化学療法の死亡リスクがゲムシタビンに比べて40%以上も低下することが示されたのである。有害事象に関しては、Grade3または4の白血球減少症および好中球減少症、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加は、ゲムシタビン群でより高率に認められたが、S-1群で高率にみられたのは口内炎や下痢であった。 S-1は、日本で開発された経口抗がん剤であり、胃がんや大腸がんに対する化学療法の主要薬剤として頻用されているが、欧米とくに米国における臨床試験の際に有害事象発生率が高率であったことから、欧米では敬遠される傾向がある。今後、非アジア人の患者でも臨床的評価を行うべきであるという著者らの主張が通ることが期待される。

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日本人の膵がん術後補助化学療法、S-1 vs.GEM/Lancet

 日本人膵がん患者の切除後の補助化学療法は、S-1が標準治療となりうることが示された静岡県立静岡がんセンターの上坂克彦氏らによる「JASPAC-01」の結果が、Lancet誌オンライン版2016年6月2日号に掲載された。本検討においてゲムシタビンに比べS-1補助化学療法により死亡リスクが約4割低下することなどが示された。膵がん術後の補助化学療法はゲムシタビンが標準治療とされているが、今回の試験では、死亡リスクについてS-1のゲムシタビンに対する非劣性のみならず優越性も示された。385例の患者を対象に試験 「JASPAC-01」は、日本人を対象に行われた無作為化非盲検多施設共同のフェーズ3試験。2007年4月1日~2010年6月29日にかけて、日本国内33ヵ所の医療機関で、組織学的に確認された切除可能な浸潤性膵管がんで、病理学的にStageI~III、肉眼的に完全切除され顕微鏡による残存腫瘍が認められない20歳以上の患者385例を対象に行われた。 研究グループは切除後に被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはゲムシタビン(4週1サイクルとし1,000mg/m2を1、8、15日目に投与を6サイクル、193例)を、もう一方の群にはS-1(6週1サイクルとし体表面積に応じて40、50、60mg/回・1日2回を1~28日連続投与を4サイクル、192例)を、それぞれ投与した。 主要評価項目は、全生存期間。評価はper-protocol集団で、不適格患者および割り付け治療を受けなかった患者を除外して行った。また、S-1の非劣性が確認された場合、log-rank検定で全生存期間に関するS-1の優越性も検討することが事前規定のプロトコルとされていた。 全生存および無再発生存期間は、Kaplan-Meier法を用いて算出し、S-1のゲムシタビンに対する非劣性は、Cox比例ハザードモデルを用いて評価。死亡予想ハザード比(HR)は0.87で非劣性マージンは1.25(検出力80%:片側タイプ1エラー2.5%)とした。死亡に関するS-1群のゲムシタビン群に対するハザード比は0.57 無作為化を受けた被験者のうち、不適格3例、治療を受けなかった5例を除く、ゲムシタビン群190例、S-1群187例が解析対象となった。試験は2012年9月、独立データ・安全モニタリング委員会の勧告を受け、中間解析による有効性が事前に規定した早期終了基準に適合したため、すべての治療プロトコルが終わった時点で終了となった。 2016年1月15日までの追跡データを解析した結果、5年全生存率はゲムシタビン群24.4%(95%信頼区間[CI]:18.6~30.8)に対し、S-1群は44.1%(同:36.9~51.1)と高率で、死亡ハザード比は0.57(同:0.44~0.72)であった(非劣性に関するp<0.0001、優越性に関するp<0.0001)。 Grade3または4の白血球減少症、好中球減少症、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加は、ゲムシタビン群でより高率に認められた。一方でS-1群でより高率にみられたのは、口内炎、下痢であった。 今回の結果について著者は、「結果について、非アジア人の患者で評価を行うべきである」とまとめている。

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術後補助化学療法が有効なStageII大腸がんのバイオマーカー/NEJM

 StageII大腸がんのうち、腫瘍細胞にcaudal-type homeobox transcription factor 2(CDX2)の発現がみられない患者は再発リスクが高く、術後補助化学療法からベネフィットを得る可能性が高いことが、米国・コロンビア大学のPiero Dalerba氏らの検討で明らかとなった。高リスクStageII大腸がんの同定は、術後補助化学療法を要する患者の選択において重要とされる。マイクロアレイによる幹細胞や前駆細胞由来の多遺伝子発現解析が期待されているが、臨床での使用は困難だという。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。臨床で使用可能なバイオマーカーを探索、検証 研究グループは、臨床で使用できるStageII/III大腸がんの予後を予測するバイオマーカーを確立するための検討を行った(National Comprehensive Cancer Networkなどの助成による)。 新たなバイオインフォマティクスのアプローチを用いて、遺伝子発現アレイで結腸上皮の分化のバイオマーカーを探索し、臨床での診断検査に使用可能かを基準に、候補遺伝子を順位付けした。 独立のレトロスペクティブなStageII/III大腸がん患者コホートのサブグループ解析を行い、最上位の候補遺伝子と無病生存(DFS、転移・再発のない生存)および術後補助療法のベネフィットとの関連を検証した。陰性例は再発リスクが高く、補助化学療法の効果が高い スクリーニング検査では、転写因子CDX2が最上位であった。2,115の腫瘍検体のうち87検体(4.1%)ではCDX2の発現を認めなかった。 探索データセットは466例で、そのうちCDX2陰性大腸がんが32例(6.9%)、陽性大腸がんは434例(93.1%)であった。5年DFS率は、陰性例が41%であり、陽性例の74%に比べ有意に不良であった(p<0.001)。このうち病理所見のある216例で多変量解析を行ったところ、CDX2陰性例は陽性よりも再発リスクが有意に高かった(再発のハザード比[HR]:3.44、95%信頼区間[CI]:1.60~7.38、p=0.002)。 検証データセットは314例で、CDX2蛋白陰性大腸がんが38例(12.1%)、陽性大腸がん患者は276例(87.9%)であった。5年DFS率は、陰性例が48%と、陽性例の71%に比し有意に不良であり(p<0.001)、全生存率にも有意差がみられた(33 vs. 59%、p<0.001)。多変量解析では、陰性例は陽性例よりも再発リスクが有意に高かった(HR:2.42、95%CI:1.36~4.29、p=0.003)。 この2つのサブグループのいずれにおいても、これらの知見は患者の年齢、性別、腫瘍のStageやGradeとは独立していた。 StageII大腸がん患者に限定した5年DFS率の解析を行ったところ、探索データセットではCDX2陰性例(15例)が49%と、陽性例(191例)の87%に比べ有意に低く(p=0.003)、検証データセットでは陰性例(15例)が51%であり、陽性例(106例)の80%に比し有意に低値であった(p=0.004)。 全患者コホートの統合データベースの解析では、5年DFS率はCDX2陰性StageII大腸がんで補助化学療法を受けた23例が91%と、補助化学療法を受けなかった25例の56%よりも高値を示した(p=0.006)。 著者は「CDX2発現の欠損により、術後補助化学療法からベネフィットが得られると考えられる高リスクのStageII大腸がん患者のサブグループが同定された」とまとめ、「通常は手術のみとされるStageII大腸がんのうち、CDX2陰性例には術後補助化学療法が治療選択肢となる可能性がある。本試験は探索的でレトロスペクティブな検討であるため、さらなる検証を要する」と指摘している。

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乳がん術後化学療法中のLHRHa、卵巣機能を長期保護/JAMA

 年齢中央値39歳の早期乳がん患者の術後化学療法中に、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ(LHRHa)製剤のtriptorelin併用は、化学療法単独と比べて妊娠率について統計的に有意な差はなかったが長期的な卵巣機能の回復率が高いことが、イタリア・IRCCS AOU San Martino-ISTのMatteo Lambertini氏らによる無作為化試験の結果、示された。無増悪生存(DFS)については、試験の検出力に限界があったとしたうえで、統計的有意差は認められなかったと報告している。化学療法中のLHRHa併用は卵巣機能保護戦略として信頼性が高いが、長期的な卵巣機能への影響、および妊娠に関するデータは不足していた。また、併用療法に関する安全性への懸念もあり論争の的となっていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。StageI~III、年齢中央値39歳281例を対象に化学療法単独群と比較 検討は、並行群間比較無作為化非盲検の第III相優越性試験として、イタリアの16病院で行われた。2003年10月~2008年1月の間に、StageI~III、ホルモン受容体陽性または陰性の乳がんで閉経前の女性患者281例(年齢中央値39歳、範囲:24~45歳)を登録。術後/術前補助化学療法の単独を受ける群(対照群、133例)と化学療法+triptorelinを受ける群(LHRHa群、148例)に無作為に割り付け追跡評価した。 事前に計画された主要エンドポイントは、化学療法による早期閉経の発生率であった。事後エンドポイントとして、長期の卵巣機能(毎年の評価で1サイクル以上の月経があった場合に再開と定義)、妊娠、DFSを評価した。 最終フォローアップは2014年6月3日。追跡期間中央値は7.3年(範囲:6.3~8.2年)であった。月経再開5年累積発生率は併用群が1.28倍、妊娠数も有意差はないが2.56倍 結果、月経再開の5年間の推定累積発生率は、LHRHa群72.6%(95%信頼区間[CI]:65.7~80.3%)、対照群64.0%(同:56.2~72.8%)であった(ハザード比[HR]:1.28、95%CI:0.98~1.68、p=0.07、年齢補正後HR:1.48、95%CI:1.12~1.95、p=0.006)。 妊娠発生は、LHRHa群で8例(推定累積発生率:2.1%、95%CI:0.7~6.3%)、対照群は3例(同:1.6%、95%CI:0.4~6.2%)であった(HR:2.56、95%CI:0.68~9.60、p=0.14、年齢補正後HR:2.40、95%CI:0.62~9.22、p=0.20)。 5年DFSは、LHRHa群80.5%(95%CI:73.1~86.1%)、対照群83.7%(95%CI:76.1~89.1%)であった(LHRHa vs.対照のHR:1.17、95%CI:0.72~1.92、p=0.52)。

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ステージII結腸がんへの補助化学療法、再発・生存・QOLへの影響は?

 米国インディアナ大学のCari Lewis氏らは、ステージII結腸がん患者において、診断から24ヵ月にわたり補助化学療法とQOL・再発・生存との関連を検討するコホート研究を行った。その結果、ステージII結腸がんで化学療法を受けた患者は、受けなかった患者に比べ、24ヵ月後のQOL・再発・全死因死亡が不良という傾向がみられた。著者らは「今後、追跡期間の延長とともに、化学療法の種類に焦点を当てた研究が必要である」としている。Supportive care in cancer誌オンライン版2015年9月9日号に掲載。 著者らは、2009~2011年にノースカロライナ州における453例の患者をリクルートし、診断時および診断後12ヵ月と24ヵ月の時点で、QOL、健康維持行動、治療に関して選択式の調査でインタビューした。死亡率のデータはNational Death Indexシステムより取得した。 主な結果は以下のとおり。・計265例が化学療法を受けた。・化学療法の実施は、Functional Assessment of Cancer Treatment(FACT)-Generalの総スコア(p<0.01)、およびFACT-大腸がん用(p<0.01)、身体面(p<0.01)、心理面(p=0.02)、機能面(p<0.01)のスコアと逆相関を示した。・化学療法の実施と精神的健康との逆相関の関係は、白人では維持された(交互作用のp=0.049)がアフリカ系アメリカ人では認められなかった。・化学療法を受けた患者は、再発(OR 2.74、95%CI:1.18~6.35)と全死因死亡(OR 1.95、95%CI:1.05~3.62)のオッズが有意に高いことが示された。

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全周追加切除で早期乳がんの再手術が減少/NEJM

 乳房部分切除術後に切除腔の組織を全周的に追加切除すると、追加切除を行わない場合に比べ断端陽性率が改善し、再手術率が半減することが、米国イェールがんセンターのAnees B Chagpar氏らの検討で示された。早期乳がん女性の多くが乳房部分切除術による温存治療を受けており、全摘出術と同等の生存率が達成されている。一方、部分切除術後の断端陽性率は約20~40%とされ、この場合は局所再発を回避するために再手術を行うことが多い。NEJM誌オンライン版2015年5月30日号掲載の報告より。部分切除術終了後、術中に無作為割り付け 研究グループは、早期乳がんに対する乳房部分切除術時の全周追加切除術の有用性をプロスペクティブに評価する無作為化対照比較試験を行った(イェールがんセンターの助成による)。対象は、年齢18歳以上、針生検でStage 0~IIIの乳がんと診断され、乳房温存術が施行された患者であった。 被験者は、乳房部分切除術時に全周追加切除を施行する群と施行しない群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。割り付けは、外科医が標準的な乳房部分切除術を終了した後、術中に行われた。 断端陽性は、浸潤がんでは切除試料端に腫瘍が接触しており、非浸潤性乳管がん(DCIS)の場合は切除試料端から1mm以内に腫瘍が存在することと定義した。 主要評価項目は断端陽性率であり、副次評価項目は整容性(cosmesis)および切除組織量などとした。整容性の評価は、術後に4段階のリッカート尺度を用いて行い、割り付け群を知らされない状態で患者自身が判定した(手術前後の患者の写真が撮影された)。 2011年10月21日~2013年11月25日に、235例が登録された。年齢中央値は61歳(33~94歳)、フォローアップ期間中央値は22ヵ月だった。再手術率が21%から10%に、整容性も良好 最終的な病理検査では、54例(23%)が浸潤がん、45例(19%)がDCISで、125例(53%)は双方を併発していた。また、11例(5%)は腫瘍が消失しており、術前補助化学療法の完全奏効例などが含まれた。腫瘍最大径中央値は、浸潤がんが1.1cm(0~6.5cm)、DCISは1.0cm(0~9.3cm)であった。ベースラインの人口統計学的、臨床病理学的な背景因子は両群でよくバランスが取れていた。 乳房部分切除術後の割り付け前の断端陽性率は、全周追加切除群が36%(43/119例)、非追加切除群は34%(39/116例)であり、両群に差はなかった(p=0.69)。割り付け後の全周追加切除群の断端陽性率は19%(23/119例)に低下し、非追加切除群(34%)に比べ有意に良好であった(p=0.01)。 再手術を行った患者の86%が断端陽性例で、陰性例に比べ有意に多かった(p<0.001)。再手術率は全周追加切除群が10%であり、非追加切除群の21%に比べ有意に良好だった(p=0.02)。断端陽性例に対し外科医が再手術を行わないと判断した割合は、それぞれ57%、46%であり、両群に差はなかった(p=0.43)。 割り付け前の切除組織量は、全周追加切除群が74.3cm3、非追加切除群は74.2cm3であった(p=0.92)。全周追加切除群の総切除組織量は115.1cm3であり、非追加切除群(74.2cm3)よりも有意に多かった(p<0.001)。 患者自身による整容性の判定は、きわめて良好が全周追加切除群37%、非追加切除群37%、良好がそれぞれ50%、54%、適正が10%、8%、不良は3%、1%であり、両群に差を認めなかった(p=0.69)。血腫は全周追加切除群にはみられず、非追加切除群では3例に認められた(p=0.08)。 著者は、「全周追加切除群の総切除組織量は、他の試験と比較して標準的であった。また、全周追加切除群の患者は、非追加切除群よりも切除組織量が多いにもかかわらず、自分が全周追加切除群に割り付けられたことに気付いておらず、整容性アウトカムの受け入れの程度は両群で同等だった」と考察している。

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低リスクHER2陽性乳がんの術後補助化学療法(解説:笹田 伸介 氏)-306

 化学療法+トラスツズマブはHER2陽性乳がんの再発を抑制し、全生存期間を延長するが、これらの臨床試験は腫瘍径が1cmあるいは2cmを超えるものが対象となっており、1cm以下を対象としたランダム化比較試験は行われていない。そのため、「乳癌診療ガイドライン2013年版」、「NCCNガイドライン2014年版」では0.5cm以下(T1a)のN0症例には術後補助化学療法は推奨されず、0.6~1.0cm(T1b)には考慮するとされている。 後ろ向き解析でMD Anderson Cancer Centerより、1cm以下、N0のHER2陽性乳がん98例(術後化学療法なし)の5年無再発生存率は77.1%と報告されている1)。NCCNデータベースでは、T1bN0症例の5年IDFS(invasive disease free survival)はホルモン受容体および補助療法の有無により68~94%と報告されている2)。 この試験は、腫瘍径3cm以下かつリンパ節転移陰性のHER2陽性乳がん406例(うち1cm以下49.5%)を対象に、パクリタキセルとトラスツズマブによる治療を単アームで検証している。結果は3年IDFSが98.7%であり、有効と判断された。腫瘍径(1cm以下と1cm超)、ホルモン受容体(陽性と陰性)により効果に差は認めなかった。有害事象はGrade2以上の末梢神経障害が13.1%、うっ血性心不全は0.5%に認められたが、トラスツズマブ中止により回復した。 腫瘍径1cmを超える症例が50%登録されていることを考慮すると良好な結果であるが、問題点は比較試験でないこと、対象が3cmまで含まれており従来の試験と重複があること、観察期間が4年と短いことである。従来のアンスラサイクリン+タキサンを中心とする標準治療を塗り替える程の試験ではないが、より毒性の軽い治療としてのオプションになりうる。全症例とも10年までの観察が予定されており、長期予後を確認する必要がある。

111.

乳がん術後化学療法後の骨髄新生物リスク

 早期乳がんに対する第1世代の術後補助化学療法による試験では、骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病の8年累積発症率は0.27%であった。しかし、フォローアップが十分になされていなかったため、その後の治療関連骨髄新生物のリスクを過小評価している可能性がある。今回、米国ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キメル総合がんセンターのAntonio C. Wolff氏らが、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)乳がんデータベースを用いた早期乳がんの大規模コホートで、骨髄新生物の発症頻度を調査した結果をJournal of clinical oncology誌オンライン版2014年12月22日号に報告した。 対象は、1998~2007年に米国の大学病院で治療を受けたステージI~IIIの乳がん患者2万63例。本研究の結果、放射線療法と術後補助化学療法の両方もしくはどちらかの治療における骨髄新生物発症リスクは低かったものの、以前の結果より高く、5年を過ぎても増加し続けた。著者らは「個人における骨髄新生物リスクと術後補助化学療法による絶対的生存ベネフィットとのバランスを考える必要がある」と指摘している。 主な結果は以下のとおり。・50例が乳がん治療後に骨髄新生物(骨髄性42例、リンパ球性8例)を発症した(追跡期間中央値:5.1年)。・骨髄新生物を発症した患者は、発症しなかった患者と比べて、がんのステージ分布、人種、化学療法は同様であったが、年齢が高かった(年齢中央値:59.1歳対53.9歳、p=0.03)。・骨髄新生物の発症リスクは、化学療法未実施と比べて、手術+化学療法(HR:6.8、95%CI:1.3~36.1)および手術+化学療法+放射線療法(HR:7.6、95%CI:1.6~35.8)で有意に増加した。・1,000人年あたりの骨髄新生物の割合は、0.16(手術)、0.43(手術+放射線療法)、0.46(手術+化学療法)、および0.54(3療法すべて)であった。・骨髄新生物の累積発生率は、5年目から10年目までに倍増(0.24%→0.48%)し、10年時点で患者の9%が生存していた。

112.

PIK3CA変異乳がんは抗HER2療法の効果低い

 乳がんではホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K) / AKT経路の異常はよくみられ、PIK3CAの変異が最も多い。ドイツ乳がんグループのSibylle Loibl氏らは、術前補助化学療法に加えてdualもしくはsingle 抗HER2療法を行ったHER2陽性乳がんにおいて、PIK3CA遺伝子型と病理学的完全寛解(pCR)率との関連を調査した。その結果、PIK3CA変異のあるHER2陽性乳がんでは、アントラサイクリン・タキサンの化学療法と抗HER2療法(dual抗HER2療法であっても)による術前補助化学療法後に、pCRを達成する可能性は低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年9月8日号に掲載。 著者らは、術前補助化学療法の研究(GeparQuattro、GeparQuinto、GeparSixto)の参加者から得られた504の腫瘍サンプルのPIK3CA変異を評価した。すべてのHER2陽性患者はトラスツズマブかラパチニブもしくはその併用のいずれかと、アントラサイクリン・タキサンの化学療法の治療を受けた。PIK3CA変異は、20%以上の腫瘍細胞含有量のコア生検によるホルマリン固定パラフィン包埋組織で、エクソン9とエクソン20のサンガー法による配列決定を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者の21.4%にPIK3CA変異がみられた。・PIK3CA変異型では有意にpCR率が低かった(変異型19.4% vs 野生型32.8%、オッズ比[OR]:0.49、95%CI:0.29~0.83、p=0.008)。・ホルモン感受性(HR)陽性の291例において、pCR率はPIK3CA変異型で11.3%、野生型で27.5%であった(OR:0.34、95%CI:0.15~0.78、p=0.011)。・HR陰性の213例では、pCR率はPIK3CA変異型で30.4%、野生型で40.1%であった(OR:0.65、95%CI:0.32~1.32、p=0.233、相互作用検定p=0.292)。・多変量解析では、HR状況とPIK3CA状況は独立した予測因子であった。・PIK3CA変異のある患者において、ラパチニブ、トラスツズマブ、その併用によるpCR率はそれぞれ16.0%、24.3%、17.4%であった(p=0.654)。野生型の患者では、それぞれ、18.2%、33.0%、37.1%であった(p=0.017)。・無病生存期間および全生存期間は、PIK3CA変異型と野生型との間に統計学的有意差は認められなかった。

113.

糖尿病は大腸がん治癒切除後の予後因子

 国立台湾大学医学院附設病院のKuo-Hsing Chen氏らは、治癒切除を受けた早期結腸がん患者において、糖尿病の有無と予後の関連性を調査した。その結果、早期結腸がん治癒切除後の患者では、糖尿病が全死亡率増加の予測因子であることが示唆された。Oncologist誌オンライン版2014年7月24日号に掲載。 著者らは、2004年1月1日~2008年12月31日にステージI/IIの結腸がんと新規に診断され、治癒切除を受けた結腸がん患者のコホートを、台湾における3つの患者データベースから選択した。また、2型糖尿病、糖尿病治療薬の使用、他の合併症、生存転帰に関する情報を収集し、糖尿病合併患者とそれ以外の患者における結腸がん特異的生存率(CSS)および全生存率(OS)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・結腸がん6,937例が選択され、そのうち1,371例(19.8%)が糖尿病に罹患していた。・糖尿病を合併する結腸がん患者は、合併していない結腸がん患者に比べ、高齢で、補助化学療法を受けていることが少なかった。一方、腫瘍ステージおよびグレードは同等であった。・糖尿病を合併していない結腸がん患者に比べ、合併している結腸がん患者は、OS(5年OS:71.0%対81.7%)、CSS(5年CSS:86.7%対89.2%)ともに有意に低かった。・多変量解析で年齢、性別、ステージ、補助化学療法、合併症を調整後も、全死亡率においては、糖尿病は独立した予後因子であったが(調整ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.18~1.49)、がん特異的死亡率においてはそうではなかった。・糖尿病の薬物療法を受けた結腸がん患者において、インスリンを使用していた患者は使用していない患者よりもCSSとOSが有意に低かった。

114.

ネオアジュバント実施HER2陽性乳がん患者の予後予測

 ネオアジュバント(術前補助化学療法)+トラスツズマブの治療を受けたHER2陽性初期乳がん患者の無病生存(DFS)、同時にDFS予測因子と病理学的反応の予測因子について調査した。対象は2001~2010年に本邦38機関での治療患者829例。京都大学医学部附属病院 乳腺外科 高田 正泰氏らによる多施設後ろ向き観察研究。Breast Cancer Research and Treatment誌2014年5月号(オンライン版2014年3月30日号)の掲載報告。 主な結果は以下のとおり。・3年DFS率は87%(95%CI:85~90)、病理的完全奏効(pCR)率は51%であった。・pCR率は、ER/PgR陰性患者が陽性患者に比べ高かった(64対36%、p<0.001)。・pCR患者は非pCR患者より高いDFS率を示した(93対82%、p<0.001)。独立したDFS不良予測因子・リンパ節転移:cN2~3対cN0(HR 2.63、95%CI:1.36~5.21、p=0.004)。・組織学的異型度:グレード3(HR 1.81、95%CI:1.15~2.91、p=0.011)。・非pCR(HR 1.98、95%CI:1.22~3.24、p=0.005)。ER/PgR陰性におけるDFS不良予測因子・非pCR(HR 2.63、95%CI:1.43~4.90、p=0.002)。・腫瘍進展度:cT3~4対cT1~2(HR 2.20、95%CI:1.16~4.20、p=0.017)。ER/PgR陽性におけるDFS不良予測因子・組織学的異型度:グレード3(HR 3.09、95%CI:1.48~6.62、p=0.003)。・リンパ節転移:cN2~3対cN0(HR 4.26、95%CI:1.53~13.14、p=0.005)。・年齢:40歳以下 対 40歳超(HR 2.40、95%CI:1.12~4.94、p=0.026)。陰性・陽性双方のDFS不良予測因子・厳格なpCR:ER/PgR陰性(HR 2.66、95%CI:1.31~5.97、p=0.006)      :ER/PgR陽性(HR 3.86、95%CI:1.13~24.21、p=0.029) これらの結果は、HER2陽性乳がん患者の的確な予後予測と個別化治療の確立に役立つ可能性がある。

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大腸がん手術後の患者さんへの説明

手術のあと大腸がんの手術を受けられた方へ編著:東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学 助教 石黒 めぐみ氏監修:東京医科歯科大学大学院 腫瘍外科学 教授 杉原 健一氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.あなたの受けた手術手術を行った日手術で切除した範囲年月日術式名(受けた手術の名称)きずお腹の創Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.2病理検査の結果深達度□□□□□□大腸癌取扱い規約【第8版】←粘膜大腸(断面)←粘膜下層Tis(粘膜まで)T1(粘膜下層まで)T2(固有筋層まで)T3(漿膜下層まで)T4a(漿膜に露出)T4b(ほかの臓器に浸潤)←固有筋層←漿膜下層←漿膜リンパ節リンパ節転移□ なし□ あり ➡個(□N1 □N2 □N3)以上の結果を総合するとあなたの大腸がんの病理学的進行度(ステージ)はほかの臓器への転移0□ 術前の検査では認めていません□ ほかの臓器への転移が疑われます➡(臓器)ⅠⅡⅢaⅢbⅣと診断されます。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.3【参考】大腸がんの進行度(ステージ)ステージ0粘膜・がんが粘膜の中にとどまっているステージⅠ・がんが粘膜下層あるいは固有筋層までにとどまっている・リンパ節転移がないステージⅡ粘膜下層固有筋層・がんが固有筋層を超えている・リンパ節転移がない漿膜下層漿膜・リンパ節転移があるステージⅢステージⅣⅢa:リンパ節転移が1~3個Ⅲb:リンパ節転移が4個以上・ほかの臓器への転移や腹膜播種がある肝転移Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.リンパ節転移肺転移早期がん進行がん腹膜播種4今後の治療について☑:あなたに当てはまるもの① 大腸がんの「再発」とは?② 大腸がん手術後の定期検査③ 術後補助化学療法④ 一時的人工肛門の閉鎖⑤その他のがんの検診についてCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.5①大腸がんの「再発」とは?a)大腸がんの「再発」とは?・手術でがんをすべて取りきったと思っても一定の割合で再発が起こります。大腸から離れた場所に❝飛び火❞した目に見えない大きさのがん徐々に増えてきて画像に写る大きさのしこりになったもの1cmくらい手術前手術後Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.再発6①大腸がんの「再発」とは?b)大腸がんの再発率・手術のときのステージが進んでいるほど再発する確率(再発率)は高くなります。(%)5030.8%43.240再発率302010013.3%3.7%2.712.124.3結腸がん直腸がん16.75.7ステージⅠステージⅡステージⅢ大腸癌研究会・プロジェクト研究 1991~1996年症例大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.7【参考】大腸がんの5年生存率(%)10094.091.68084.877.760.0604018.8200ステージ0ステージⅠステージⅡ ステージⅢa ステージⅢb ステージⅣ大腸癌研究会・大腸癌全国登録 2000~2004年症例大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.8①大腸がんの「再発」とは?c)大腸がんの主な再発形式・大腸がんの再発には、以下のようなものがあります。遠隔再発ほかの臓器に再発・肝再発腹膜再発吻合部再発(腹膜播種)お腹の中(腹腔内)に種をまいたように散らばって再発腸をつなぎ合わせた部分に再発局所再発・肺再発もともとがんがあった周囲に再発・その他:脳や骨などCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.9②大腸がん手術後の定期検査a)定期検査はなぜ必要?・大腸がんの再発は、手術で取りきれれば治る可能性があります。・再発が起こっていないかどうかをチェックするために手術後には定期的な検査が大切です。・手術のあと、5年間は定期検査を行います。大腸がんの再発のうち、96%が手術後5年以内に起こります。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.10②大腸がん手術後の定期検査b)定期検査のスケジュール(例)・以下のようなスケジュールに従って定期検査を行います。※ステージや患者さんのからだの状態によって多少異なります。1年2年問診・診察3ヵ月ごと直腸指診【直腸がん】3ヵ月ごと4年5年6ヵ月ごと腫瘍マーカー3年胸部・腹部CT6ヵ月ごと6ヵ月ごと骨盤CT【直腸がん】6ヵ月ごと6ヵ月ごと大腸内視鏡検査1~2年ごと大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.11③術後補助化学療法a)術後補助化学療法とは?・からだの中に残っているかもしれない見えないがん細胞を攻撃し、再発を防ぐ あるいは 再発を遅らせることを目的として、手術のあとに行う抗がん剤治療のことを「術後補助化学療法」といいます。【術後補助化学療法の対象となる患者さん】・ステージⅢの患者さん・ステージⅡのうち再発する危険性が高いと思われる患者さん・原則として術後1~2ヵ月を目安に開始し、6ヵ月行います。・通常は2~3週おきの外来通院で治療します。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.12③術後補助化学療法b)術後補助化学療法で使用されるレジメン・大腸がんの術後補助化学療法で使用されるレジメンには、以下のようなものがあります。※レジメンとは、使用する薬剤とその組み合わせ、投与する量やスケジュールなど治療の「レシピ」のようなものです。レジメン剤型投与方法投与スケジュール・5-FU+LV療法注射薬2時間かけて点滴週1回×6回その後2週間休む・UFT+LV療法飲み薬内服(1日3回)4週間内服その後1週間休む・カペシタビン療法飲み薬内服(1日2回)2週間内服その後1週間休む・FOLFOX療法注射薬48時間かけて点滴2週間おき・CapeOX療法飲み薬+注射薬点滴は約2時間カペシタビンは内服(1日2回)点滴+2週間内服その後1週間休むCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.13④一時的人工肛門の閉鎖・今回の手術では、以下のような目的で、一時的な人工肛門を造設しました。□腸のつなぎ目を安静に保ち、縫合不全*を予防するため。□ 術後、縫合不全*が起こったため。*縫合不全:腸のつなぎ目がほころびること・腸のつなぎ目が落ち着いたころを見計らって人工肛門を閉鎖する(もとに戻す)手術を行います。・1~2時間程度の手術です。・今回の手術と同様、全身麻酔で行います。・おおよその入院期間:日程度・手術を行う時期の目安:年お腹の壁(腹壁)月ころCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.口側の腸管皮膚筋層腹膜肛門側の腸管14⑤その他のがんの検診についてa)ほかの臓器のがんの検診について・大腸がんにかかったあとも、ほかの臓器のがんにかかる可能性があります。※大腸がん手術後の患者さんがほかの臓器のがんにかかる頻度は1~5%と報告されています。・大腸がんの手術後には、再発のチェックを目的とした定期検査を行いますが、ほかの臓器のがんの検査としては必ずしも十分ではありません。・自治体などで実施されるがん検診は、積極的に受けましょう。大腸がん手術後の定期検査では見つかりにくいがん・胃がん・食道がん・乳がん・子宮がん・前立腺がん大腸がん手術後の定期検査で見つかりやすいがん・肺がんCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.・肝臓がん15⑤その他のがんの検診についてb)別の大腸がんができる可能性があります・大腸がんの手術を受けたあとも、大腸の別の部分に別の大腸がん/大腸ポリープができる可能性があります。※大腸がん手術後の患者さんで、大腸の別の部分に別の大腸がんができる頻度は1~3%と報告されています。これは一般集団に比べておよそ1.5倍高い頻度です。・5年間の「手術後の定期検査」が終了したあとも、2~3年に1回の大腸内視鏡検査を受けることが勧められます。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.16退院後の生活について① 退院後の食生活② 退院後の日常生活③ 退院後の仕事復帰④ 退院後のスポーツやレジャーCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.17①退院後の食生活・原則として食事の内容に制限はありません。・「ゆっくり、よく噛んで、腹八分目」を心がけましょう。【食事のとり方の基本】➊ 規則正しく食事をとりましょう。➋ ゆっくり、よくかんで食べましょう。➌ 一度にたくさん食べすぎないようにしましょう。➍ バランスよく、消化の良いものを中心にとりましょう。➎ 水分をしっかりとりましょう。➏ アルコールはほどほどに。➐ 腸閉塞のサインを知っておきましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.詳しくは24ページ18【参考】一度にたくさん食べ過ぎるとよくない食品・原則として食事の内容に制限はありません。・ただし、以下のような消化されにくい食べ物を一度にたくさん食べると、つまったり流れにくくなったりして、腸閉塞を起こすことがあります。詳しくは24ページ食べ方や調理法を工夫して適量を食べるようにしましょうこんぶ・わかめなどの海藻類ごぼう・れんこんなど繊維質の根菜類きのこ類こんにゃく・よく噛む・こまかく刻む(繊維と垂直に切る)・やわらかく煮込む などまめ類Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.19②退院後の日常生活・退院後2ヵ月ほどはあまり無理をしないほうがよいですが自分の体力の回復に合わせて、徐々に行動範囲を広げていきましょう。・適度に体を動かしましょう。きずおとなしくして創を大事にしていたからといって、きず創の治りやがんの治りがよいわけではありません。適度な運動は体力や筋力を回復させ、胃腸の活動を活発にします。血行をよくし、手術の傷跡の治りもよくします。・まずは散歩や、軽い家事などがよいでしょう。疲れ具合に応じて、出かける時間や距離、作業の量や程度を増やしたりしてみましょう。病院への通院もよいリハビリになります。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.20③退院後の仕事復帰・デスクワーク中心の仕事であれば、手術後1ヵ月程度・からだを動かす仕事であれば、手術後2~3ヵ月程度が復帰の目安です。・軽めの仕事から徐々に始めていくのがよいでしょう。いきなりもとの仕事の内容・量を目指すのではなく、時短勤務や、一時的に仕事の内容を変更すること(外回り→内勤)なども考慮しましょう。・ご家族や職場の人たちのサポートが心身ともに大切です。ひとりで悩まずに、周りの人たちと協力して、手術後の回復期を乗り切りましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.21④退院後のスポーツやレジャー・体を鍛え上げるような激しい運動をする必要はありません。自分の体力に合わせて、好きな運動を生活に取り入れて楽しみましょう。・お腹に力が入るような運動は、手術後2~3ヵ月は控えましょう。腹筋運動、重いものを持ち上げる、ゴルフ、相撲、柔道など。腹壁瘢痕ヘルニアの原因になることがあります。詳しくは25ページ2~3ヵ月は…・もちろん旅行だって楽しめます。とくに制限はありません。はじめのうちはあまり無理のない範囲で楽しみましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.22今後起こりうる手術の影響☑:あなたに当てはまるもの① 腸閉塞(イレウス)② 腹壁瘢痕ヘルニア③ 排便習慣の変化□【結腸がん】□【直腸がん】□【人工肛門】④ 排尿機能障害【直腸がん】⑤ 性機能障害【直腸がん】Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.23①腸閉塞(イレウス)・お腹の手術を受けた後は、癒着などにより、何らかのきっかけで便の通りが突然悪くなることがあります。これを「腸閉塞(イレウス)」といいます。便やガス(おなら)の出が悪くなり、お腹が張ったり、お腹が痛くなったり、嘔吐したりします。・軽い場合は食事をしばらくお休みすれば改善します。それで改善しない場合は、鼻から管を入れて腸の内容物を吸い出したり、手術が必要になる場合もあります。軽いお腹の張りを感じても、便やガス(おなら)が出ている場合は、食事の量を減らして様子を見てください。強い腹痛、嘔吐、排便・排ガスがない などがある場合は、飲食はせずに、ただちに病院に連絡してください。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.24②腹壁瘢痕ヘルニア・お腹の壁(腹筋)を縫い合わせた部分のうち、筋肉に弱いところがあると、そこから腸がお腹の外に脱出することがあります。これを「腹壁瘢痕ヘルニア」といいます。皮膚筋層腹膜小腸・大腸きずお腹に力を入れたり長時間立っていたりすると、お腹の創の付近がポコッと盛り上がり、押すとペコペコします。あおむけに寝たり、お腹の力を抜くことによって、簡単に腸がお腹の中に戻る場合は、日常生活に支障がなければ、治療を急ぐ必要はありません。脱出した腸がねじれて血行が悪くなったりした場合には、強い痛みが起こります。この場合はただちに手術が必要ですので、すぐに病院に連絡してください。・腹壁瘢痕ヘルニアを予防するため、✔ 手術後2~3ヵ月は、腹圧のかかる作業は避けてください。腹筋運動、重いものを持ち上げる、ゴルフ、相撲、柔道など。✔ 太りすぎないように気を付けてください。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.25③排便習慣の変化【結腸がん】・結腸がんの手術では、日常生活に支障が出るような変化はほとんどありません。手術後2~3ヵ月は、やや便通が落ち着かないと感じることもあると思います。時間の経過とともに、少しずつ落ち着いてくるのが一般的です。規則正しい食生活が大切です。とくに朝食はきちんととりましょう。散歩などの適度な運動も効果的です。・便秘・下痢が続くなど、便通にお悩みのときは主治医に相談してください。便を柔らかくする薬や下痢止めなど、いろいろなお薬で改善する場合があります。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.26③排便習慣の変化【直腸がん】・直腸がんの手術では、肛門が残っても、直腸の大部分が切り取られているので、十分に便をためられないために、以下のような排便習慣の変化が見られます。・便の回数が増える・残便感がある・便意をがまんできない・寝ている間やお腹に力を入れたときに便やガスが漏れてしまう※程度には個人差があります。・半年~1年くらいの経過で、徐々に改善してきます。・排便のパターンをつかんで、上手に付き合っていきましょう。対策・夜間や外出時の漏れが心配な場合は、生理用品や尿取りパットを使う。(トイレットペーパーはお尻が荒れてしまうので避ける!)・外出直前の食事は避ける。・駅や外出先では、あらかじめトイレの場所を確認しておく。・シャワートイレがおすすめ(携帯用のものもあります)。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.27③排便習慣の変化【人工肛門】・人工肛門に関する悩みやトラブルがあるときは、「ストーマ外来」で専門の医師・看護師に相談してみましょう。【ストーマ外来のリスト】「日本創傷・オストミー・失禁管理学会」ホームページhttp://www.etwoc.org/stoma.html・人工肛門・人工膀胱をもつ患者さんの会もあります。「日本オストミー協会」ホームページ http://www.joa-net.org/日常生活に役立つさまざまな情報が得られます。・永久人工肛門になった患者さんでは、「直腸膀胱機能障害」(通常は4級)として身体障害者手帳を取得できます。・装具の給付、税の控除などのサービスを受けることができます。・患者さん自身(またはご家族)による申請が必要です。・申請以降に助成が開始されるので、早めに申請の手続きを。・詳しくは、市区町村の福祉担当窓口や、病院の社会福祉士(ソーシャルワーカー)に問い合わせてみましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.28④排尿機能障害【直腸がん】・手術操作による一時的な自律神経のダメージや、がんを取りきるために一部の自律神経を切除したことにより排尿機能に障害が出ることがあります。尿道括約筋対策膀胱● 膀胱のセンサーの障害・尿意がよくわからない・膀胱に尿がたまりすぎてあふれる● 膀胱が収縮する機能の障害・膀胱の壁が固くなって伸びが悪い→あまり尿をためられずにあふれてしまう・押し出す力が弱く、“残尿”が増える・尿意がなくても、一定の時間ごとにトイレに行く。・男性の小用も座ってゆっくりと。・排尿時に下腹部を圧迫する(手で押す+前かがみ)。・症状に応じたお薬で症状が改善する場合があります。・自己導尿(自分で尿道に管を入れて尿を出す)Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.泌尿器科の医師に相談29⑤性機能障害【直腸がん】・手術操作による一時的な自律神経のダメージや、がんを取りきるために一部の自律神経を切除したことにより性機能に障害が出ることがあります。下大静脈腹部大動脈上下腹神経叢下腹神経骨盤神経叢(下下腹神経叢)骨盤内臓神経(勃起神経)直腸への神経枝膀胱への神経枝【男性の場合】・勃起障害・射精障害※女性の場合の性機能への影響はよくわかっていません。・手術の影響による症状です。恥ずかしがらずに主治医に相談しましょう。対策・お薬で改善する場合があります。・専門の医師への相談もできます。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.泌尿器科の医師に相談30

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乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet

 乳がんの病理学的完全奏効は、無再発生存率(EFS)や全生存率(OS)との関連はほとんどなく、代替エンドポイントとしては不適であることを、米国FDAのPatricia Cortazar氏らが、12試験を対象としたプール解析の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2014年2月14日号掲載の報告より。被験者総数約1万2,000例のデータを分析 研究グループは、PubMedやEmbaseなどを基に、術前補助化学療法を行った乳がん患者を対象にした12試験(被験者総数1万1,955例)についてプール解析を行い、病理学的完全奏効と生存率との関連や、同頻度が長期臨床アウトカムの代替エンドポイントとして適切かどうかについて分析を行った。 分析対象とした試験は、200例以上の乳がん患者を対象に術前補助化学療法後に手術を実施し、病理学的完全奏効やEFS、OSについてのデータがあり、追跡期間の中央値が3年以上のものだった。 病理学的完全奏効の定義としては、(1)ypT0 ypN0(原発巣と腋窩リンパ節の浸潤・非浸潤を含めすべてのがん消失)、(2)ypT0/is ypN0(原発巣と腋窩リンパ節の浸潤がん消失)、(3)ypT0/is(原発巣のみ浸潤がん消失)の3種を用い、EFSやOSとの関連を調べた。病理学的完全奏効の頻度の増加と生存率には関連性なし 結果、ypT0 ypN0またはypT0/is ypN0は、EFSとOSの改善に関与しており、ハザード比はEFSがそれぞれ0.44と0.48、OSが0.36と0.36だった。 ypT0 ypN0と長期アウトカムの関連が最も強かったのは、トリプルネガティブ乳がん(EFSハザード比:0.24、OSハザード比:0.16)と、HER2陽性乳がん・ホルモン受容体陰性でトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)投与を受けた人(同0.15、0.08)だった。 試験レベルの分析においては、病理学的完全奏効の頻度の増加とEFS、OSの間には、関連性はほとんど認められなかった(それぞれR2=0.03、R2=0.24)。

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膵がん完全切除患者へのゲムシタビン、無病生存期間2倍に延長/JAMA

 膵がん完全切除患者へのゲムシタビン(商品名:ジェムザールほか)による補助化学療法は、無病生存期間を2倍延長する可能性があることが示された。5年生存率、10年生存率も、補助化学療法により改善が示された。ドイツ・シャリテ大学病院のHelmut Oettle氏らが行った、膵がん完全切除患者に対するゲムシタビンの有効性と安全性に関する第3相治験「CONKO-001」の結果で、JAMA誌2013年10月9日号で発表された。ゲムシタビンは、進行性膵がんの標準治療であるが、補助療法としての生存への効果はこれまで明らかにされていなかった。88ヵ所の医療機関で354例を無作為化 研究グループは、1998年7月~2004年12月にかけて、ドイツ・オーストリアの88ヵ所の医療機関を通じ、膵がん完全切除患者354例を対象に、オープンラベル無作為化試験を開始した。追跡は、2012年9月まで行われた。 被験者は2群に分けられ、一方には補助ゲムシタビン療法(ゲムシタビン1g/m2を第1日、8日、15日に投与、4週間を1サイクル)を6ヵ月間、もう一方の群には経過観察のみが行われた。 主要アウトカムは、無病生存期間だった。2次アウトカムは、治療の安全性および無作為化からの全生存期間だった。無病生存期間の中央値はゲムシタビン群が13.4ヵ月、経過観察群は6.7ヵ月 2012年9月までに再発が認められたのは308例(87.0%、95%信頼区間[CI]:83.1~90.1)、死亡は316例(89.3%、同:85.6~92.1)だった。追跡期間の中央値は、136ヵ月だった。 主要アウトカムの無病生存期間の中央値は、経過観察群が6.7ヵ月(同:6.0~7.5)だったのに対し、ゲムシタビン群は13.4ヵ月(同:11.6~15.3)と、有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.44~0.69、p<0.001)。 また全生存期間の中央値についても、経過観察群の20.2ヵ月に対し、ゲムシタビン群は22.8ヵ月と有意に延長した(同:0.76、0.61~0.95、p=0.01)。 5年生存率は、経過観察群が10.4%(95%CI:5.9~15.0)に対しゲムシタビン群は20.7%(同:14.7~26.6)、10年生存率はそれぞれ7.7%(同:3.6~11.8)と12.2%(同:7.3~17.2)だった。 結果を踏まえて著者は「今回の結果は、補助療法としてのゲムシタビン使用を強く支持するものであった」と結論している。

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早期胃がん術後の抗がん剤副作用で死亡したケース

癌・腫瘍最終判決判例タイムズ 1008号192-204頁概要53歳女性、胃内視鏡検査で胃体部大弯に4~5cmの表層拡大型早期胃がん(IIc + III型)がみつかり、生検では印環細胞がんであった。胃2/3切除およびリンパ節切除が行われ、術後に補助化学療法(テガフール・ウラシル(商品名:UFT)、マイトマイシン(同:MMC)、フルオロウラシル(同:5-FU))が追加された。ところが、5-FU®静注直後から高度の骨髄抑制を生じ、術後3ヵ月(化学療法後2ヵ月)で死亡した。詳細な経過患者情報とくに既往症のない53歳女性経過1992年3月6日背中の痛みを主訴に個人病院を受診。3月18日胃透視検査で胃体部大弯に陥凹性病変がみつかる。4月1日胃内視鏡検査にて、4~5cmに及ぶIIc + III型陥凹性病変が確認され、生検でGroup V印環細胞がんであることがわかり、本人にがんであることを告知の上、手術が予定された。4月17日胃2/3切除およびリンパ節切除術施行。術中所見では漿膜面にがん組織(のちに潰瘍瘢痕を誤認したものと判断された)が露出していて、第2群リンパ節にまで転移が及んでいたため、担当医師らはステージIIIと判断した。4月24日病理検査結果では、リンパ節転移なしと判定。4月30日病理検査結果では、早期胃がんIIc + III、進達度m、印環細胞が増生し、Ul III-IVの潰瘍があり、その周辺にがん細胞があるものの粘膜内にとどまっていた。5月8日病理検査結果では前回と同一で進行がんではないとの報告。ただしその範囲は広く、進達度のみを考慮した胃がん取り扱い規約では早期がんとなるものの、すでに転移が起こっていることもあり得ることが示唆された。5月16日術後経過に問題はなく退院。5月20日白血球数3,800、担当医師らは術後の補助化学療法をすることにし、抗がん剤UFT®の内服を開始(7月2日までの6週間投与)。6月4日白血球数3,900、抗がん剤MMC® 4mg投与(6月25日まで1週間おきに4回投与)。6月18日白血球数3,400。6月29日抗がん剤5-FU® 1,250mg点滴静注。6月30日抗がん剤5-FU® 1,250mg点滴静注。7月1日白血球数2,900。7月3日白血球数2,400、身体中の激痛が生じ再入院。7月4日白血球数2,200、下痢がひどくなり、全身状態悪化。7月6日白血球数1,000、血小板数68,000。7月7日白血球数700、血小板数39,000、大学病院に転院。7月8日一時呼吸停止。血小板低下が著しく、輸血を頻回に施行。7月18日死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張1.リンパ節転移のないmがん(粘膜内がん)に補助化学療法を行った過失診療当時(1992年)の知見をもってしても、表層拡大型IIc + III早期胃がん、ステージI、リンパ節、腹膜、肝臓などのへの転移がなく外科的治癒切除を行った症例に、抗がん剤を投与したのは担当医師の明らかな過失である。しかも、白血球数が低下したり、下痢がみられた状態で抗がん剤5-FU®を投与するのは禁忌であった2.説明義務違反印環細胞がん、表層拡大型胃がんについての例外的危険を強調し、抗がん剤を受け入れざるを得ない方向に誘導した。そして、あえて危険を伴っても補助化学療法を受けるか否かを選択できるような説明義務があったにもかかわらず、これを怠った3.医療知識を獲得して適切な診断・治療を患者に施すべき研鑽義務を怠った病院側(被告)の主張1.リンパ節転移のないmがんに補助化学療法を行った過失術中所見ではがん組織が漿膜面まで明らかにでており、第2群のリンパ節に転移を認めるのでステージIIIであった。病理組織では摘出リンパ節に転移の所見がなく、肝臓などに肉眼的転移所見がみられなかったが、それで転移がなかったとはいえない。本件のような表層拡大型早期胃がんはほかの胃がんに比べて予後が悪く、しかも原発病巣が印環細胞がんという生物学的悪性度のもっとも強いがんであるので、再発防止目的の術後補助化学療法は許されることである。白血球数は抗がん剤の副作用以外によっても減少するので、白血球数のみを根拠に抗がん剤投与の適否を評価するべきではない2.説明義務違反手術で摘出したリンパ節に転移がなく、進達度が粘膜内ではあるが、この結果は絶対的なものではない。しかも原発病巣が生物学的悪性度のもっとも強い印環細胞がんであり、慎重に対処する必要があるので、副作用があるが抗がん剤を投与するかどうか決定するように説明し、患者の同意を得たので説明義務違反はない3.医療知識を獲得して適切な診断・治療を患者に施すべき研鑽義務1980年以降に早期胃がんに対して補助化学療法を行わないとの考えが確立したが、担当医師ががん専門病院に勤務していたのは1970~1980年であり、この当時は抗がん剤の効果をみるために早期胃がんに対しても術後補助化学療法治療試験が盛んに行われていた。したがって、早期胃がんに対して補助化学療法を行わないとの考えを開業医レベルの担当医師に要求するのは無理である裁判所の判断1. リンパ節転移のないmがんに補助化学療法を行った過失担当医師らは肉眼所見でがん組織が漿膜面まで露出していたとするが、これは潰瘍性瘢痕をがんと誤認したものである。また、第2群のリンパ節に転移を認めるステージIIIであったと主張するが、数回にわたって行われた病理検査でがんが認められなかったことを優先するべきであるので、本件は進行がんではない。したがって、そもそも早期がんには不必要かつ有害な抗がん剤を投与したうえに、下痢や白血球減少状態などの副作用がみられている状況下では禁忌とされている5-FU®を、常識では考えられないほど大量投与(通常300~500mgのところを1,250mg)をしたのは、医師として当然の義務を尽くしていないばかりか、抗がん剤の副作用に対する考慮の姿勢がみじんも存在しない。2. 説明義務違反説明義務違反に触れるまでもなく、担当医師に治療行為上の重大な過失があったことは明らかである。3. 医療知識を獲得して適切な診断・治療を患者に施すべき研鑽義務を怠った。担当医師はがん専門病院に勤務していた頃の知見に依拠して弁解に終始しているが、がん治療の方法は日進月歩であり、ある知見もその後の研究や医学的実践において妥当でないものとして否定されることもあるので、胃がんの治療にあたる以上最新の知見の修得に努めるべきである。原告側合計6,733万円の請求を全額認定考察この判例から得られる教訓は、医師として患者さんの治療を担当する以上、常に最新の医学知識を吸収して最良の医療を提供しなければならないということだと思います。いいかえると、最近ようやく臨床の現場に浸透しつつあるEBM(evidence based medicine)の考え方が、医療過誤かどうかを判定する際の基準となる可能性が高いということです。裁判所は、以下の知見はいずれも一般的な医学文献等に掲載されている事項であると判断しました。(1)mがんの再発率はきわめて低いこと(2)抗がん剤は胃がんに対して腫瘍縮小効果はあっても治療効果は認められないこと(3)印環細胞がん・表層拡大型胃がん、潰瘍型胃がんであることは再発のリスクとは関係ないこと(4)抗がん剤には白血球減少をはじめとした重篤な副作用があること(5)抗がん剤は下痢の症状が出現している患者に対して投与するべきでないことこれらの一つ一つは、よく勉強されている先生方にとっては常識的なことではないかと思いますが、医学論文や学会、症例検討会などから疎遠になってしまうと、なかなか得がたい情報でもあると思います。今回の担当医師らは、術中所見からステージIIIの進行がんと判断しましたが、病理組織検査では「転移はないmがんである」と再三にわたって報告が来ました。にもかかわらず、「今までの経験」とか「直感」をもとに、「見た目は転移していそうだから、がんを治療する以上は徹底的に叩こう」と考えて早期がんに対し補助化学療法を行ったのも部分的には理解できます。しかし、われわれの先輩医師たちがたくさんの症例をもとに築き上げたevidenceを無視してまで、独自の治療を展開するのは大きな問題でしょう。ことに、最近では医師に対する世間の評価がますます厳しくなっています。そもそも、総務庁の発行している産業分類ではわれわれ医師は「サービス業」に分類され、医療行為は患者と医療従事者のあいだで取り交わす「サービスの取引」と定義されています。とすると、本件では「自分ががんの研修を行った10~20年前までは早期胃がんに対しても補助化学療法を行っていたので、早期胃がんに補助化学療法を行わないとする最新の知見を要求されても困る」と主張したのは、「患者に対し10~20年前のまちがったサービスしか提供できない」ことと同義であり、このような考え方は利用者(患者)側からみて、とうてい受容できないものと思われます。また、「がんを治療する以上は徹底的に叩こう」ということで5-FU®を通常の2倍以上(通常300~500mgのところを1,250mg)も使用しました。これほど大量の抗がん剤を一気に投与すれば、骨髄抑制などの副作用が出現してもまったく不思議ではなく、とても「知らなかった」ではすまされません。判決文でも、「常識では考えられないほど抗がん剤を大量投与をしたのは、抗がん剤の副作用に対する考慮の姿勢がみじんも存在しない」と厳しく批判されました。「医師には生涯教育が必要だ」、という声は至るところで耳にしますが、今回の事例はまさにそのことを示していると思います。日々遭遇する臨床上の問題についても、一つの考え方にこだわって「これしかない」ときめつけずに、ほかの先生に意見を求めたり、文献検索をしなければならないと痛感させられるような事例でした。癌・腫瘍

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HER2陽性乳がんのトラスツズマブ至適投与期間は?/Lancet

 HER2陽性乳がんの術後補助療法において、HER2阻害薬トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)の投与期間を標準的な1年投与から2年投与に延長しても有効性は改善されないことが、欧州腫瘍学研究所(イタリア、ミラノ市)のAron Goldhirsch氏らが行ったHERA試験で示された。乳がんの約15~20%にHER2遺伝子の過剰発現や増幅がみられる。トラスツズマブは、これらHER2陽性早期乳がんに対する有効性が確立され、術後補助療法として広く用いられている。現在の標準的な投与期間は1年とされるが、至適な投与期間は確立されていない。Lancet誌オンライン版2013年7月18日号掲載の報告。投与期間延長の有効性を無作為化試験で評価 HERA試験は、HER2陽性乳がんに対するトラスツズマブの至適投与期間の決定を目的とする無作為化第III相試験。対象は、標準的な術前または術後補助化学療法、あるいはその両方を受けたHER2陽性の浸潤性早期乳がんであった。 患者は、標準的な1年投与を行う群、1年延長して2年間投与する群、または非投与の観察群のいずれかに無作為に割り付けられた。初回投与量は8mg/kgとし、その後は6mg/kgを3週ごとに静脈内投与した。 主要評価項目は無病生存期間(DFS)とし、フォローアップ期間中央値8年における1年投与群と2年投与群のランドマーク解析および1年投与群と観察群のintention-to-treat解析を行った。DFSに差なく、有害事象は長期投与で多い 2001年12月7日~2005年6月20日までに5,102例が登録され、1年投与群に1,703例、2年投与群に1,701例、観察群には1,698例が割り付けられた。 ランドマーク解析の対象となったのは3,105例(1年投与群1,552例、2年投与群1,553例)であった。このうち1,588例(51.1%)がホルモン受容体陽性で、1,471例(92.6%)が術後ホルモン療法を受けた。2,772例(89.3%)は術後補助化学療法のみを受け、術前補助化学療法は受けていなかった。 DFSイベントは1年投与群の367例、2年投与群の367例に認められ、両群間に差はなかった(ハザード比[HR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.85~1.14、p=0.86)。 Grade 3~4の有害事象は1年投与群が16.3%、2年投与群は20.4%、左室駆出率低下はそれぞれ4.1%、7.2%であり、いずれも2年投与群で頻度が高かった。 初回解析結果の報告後に観察群の52%(884例)がトラスツズマブ投与群へクロスオーバーされたにもかかわらず、観察群に対する1年投与群のHRは、DFSが0.76(95%CI:0.67~0.86、p<0.0001)、全生存(OS)も0.76(0.65~0.88、p=0.0005)であり、1年投与群が有意に良好であった。 著者は、「1年よりも短い投与期間と1年投与との同等性はまだ確かめられていないことから、現時点でのトラスツズマブの投与期間は、従来の1年が事実上の標準である」と指摘している。

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ハーセプチン、乳がん術後補助化学療法への用法・用量追加を公知申請

 中外製薬は7日、「HER2過剰発現が確認された乳癌」「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として販売を行っている抗悪性腫瘍剤トラスツズマブ(遺伝子組換え、販売名:ハーセプチン注射用60、同150)について、「HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法としての1週間間隔投与」の用法・用量追加の公知申請を同日付で厚生労働省に行ったことを発表した。 ハーセプチンは、2012年12月26日に開催された「第14回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、本用法・用量について公知申請に該当と評価された。今回の公知申請は、2013年1月31日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、本用法・用量の追加に対し、公知申請を行って差し支えないと決定されたことに基づくもの。 同社が販売しているハーセプチンは、すでにHER2過剰発現が確認された乳がんに対しては世界100ヵ国以上、HER2過剰発現が確認された胃がんに対しても32ヵ国以上で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/20130207150000.html

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