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根治手術を受けた肺がん患者さんは術後補助化学療法をどう捉えているか【肺がんインタビュー】 第79回

第79回 根治手術を受けた肺がん患者さんは術後補助化学療法をどう捉えているか出演:広島大学 腫瘍外科 岡田 守人氏非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期治療のエビデンスが続々と発表されている。その一方で、手術後の患者さんが抱く不安や心情、術後補助化学療法に対する考え方は明らかではない。それらを把握するため100名を超える根治手術を受けた非小細胞肺がん患者さんへのアンケートが行われた。同アンケートの監修者である広島大学の岡田守人氏に、アンケートの結果とそこから得られた知見について聞いた。

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米国の肺がんアジュバント実施率53% ガイドライン準拠に改善の余地(ALCHEMIST)/JAMA Oncol

 米国の早期非小細胞肺がん(NSCLC)ではガイドラインに沿った標準治療をどの程度行っているのか。全米の後ろ向きコホート試験の結果、実施割合には改善の余地があることが明らかになった。 米国のNCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドラインでは、リンパ節郭清を含めた外科的切除と術後補助化学療法を適切な患者に行うことが早期NSCLCの標準治療となっている。しかし、以前から多くの患者が、そのような治療を受けていないとされる。 そこでNCCNガイドラインに準拠した手術と補助化学療法がどの程度行われているかを、全米の補助療法の大規模スクリーニング試験ALCHEMIST(Adjuvant Lung Cancer Enrichment Maker Identification and Screening Trial)で確認した。 この試験では、リンパ節郭清を含めた外科的切除と術後補助化学療法を標準治療をする、4cm以上の原発腫瘍および/またはリンパ節転移を有するStage IB〜IIIA(AJCC7版)NSCLC患者が登録されている。 主な結果は以下のとおり。・2014年8月18日〜19年4月1日に登録された患者は2,833例であった。・そのうち外科切除を受けた患者は95%、2,699例であった。・適切と見なされるリンパ節郭清を受けた患者は53%に留まった。・術後補助療法を受けた患者についても57%に留まった。・4サイクルのプラチナベースの術後補助療法を受けた患者は44%、シスプラチンベースの術後補助療法を受けた患者は34%であった。・これらの結果は、人種や民族間で変わらなかった。 筆者は「この結果は術後補助療法試験の解釈に影響する。早期NSCLCに対する標準治療の使用を最適化するための努力が必要であることを示唆している」と述べている。

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ニボルマブ、尿路上皮がんにおける術後補助療法の国内承認取得

 2022年3月28日、小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、尿路上皮がんの術後補助療法に対して、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の効能または効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(ONO-4538-33)の結果に基づいたものである。 CheckMate-274試験は、膀胱または上部尿路(腎盂または尿管)が原発である根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法群とプラセボ群を比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験。ニボルマブが尿路上皮がんの術後補助療法として統計学的に有意な結果 主要評価項目は全無作為化患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者における無病生存期間(DFS)であり、ニボルマブ単剤療法群で統計学的に有意な延長を示した。全無作為化患者におけるDFS中央値はニボルマブ単剤療法群で20.8ヵ月、プラセボ群で10.8ヵ月であり、ニボルマブ単剤療法群はプラセボ群と比較して、2倍近く延長し、再発または死亡リスクを30%低減した(ハザード比[HR]:0.70、98.22%信頼区間[CI]:0.55~0.90、p=0.0008)。PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるDFS中央値は、ニボルマブ単剤療法群で未達、プラセボ群で8.4ヵ月と、ニボルマブ単剤療法群はプラセボ群と比較して、再発または死亡リスクを45%低減した(HR:0.55、98.72%CI:0.35~0.85、p=0.0005)。ニボルマブ単剤療法の安全性プロファイルは、これまでにニボルマブの固形がんの試験で認められているものと一貫していた。 尿路上皮がんは腎盂、尿管、膀胱および尿道に発生する悪性腫瘍で、そのほとんどが膀胱がんである。膀胱がんの標準治療は術前補助化学療法とそれに続く根治的切除術であるが、転移性がんとして再発した患者の予後は不良であるため、再発抑制を目的とした術後補助療法への医療ニーズは高いと考えられている。

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胆道がんの術後補助化学療法にS-1が有用(JCOG1202)/日本臨床腫瘍学会

 S-1による術後補助化学療法は胃がん、膵がんにおいて有用性が示され、日本における標準療法となっている。このS-1術後補助化学療法が胆道がんにおいても有用であるかを見たJCOG1202試験の結果を、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で戸高 明子氏(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)が発表した。胆道がんに対してS-1術後補助化学療法が標準治療になる[JCOG1202:ASCOT試験]・対象:根治切除術が行われた胆道がん患者(PS0~1)・試験群:手術単独群と術後補助化学療法群(S-1を40mg/m2、1日2回、4週内服し2週休薬を1コースとして計4コース)に1対1で無作為に割り付け・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無再発生存期間(RFS)、完了率、安全性 S-1術後補助化学療法が胆道がんにおいても有用であるかを見たJCOG1202試験の主な結果は以下のとおり。・2013年9月~2018年6月に国内38施設から440例が登録され、手術単独群に222例、術後補助化学療法群に218例が組み入れられた。・主要評価項目の3年生存割合は、手術単独群67.6(61.0~73.3)%に対し、術後補助化学療法群は77.1(70.9~82.1)%、ハザード比 0.694(95%信頼区間:0.514~0.935、p=0.008)であり、術後補助化学療法群の優位性が示された。全サブグループで同様の結果となった。・副次評価項目のRFSは、手術単独群50.9(44.1~57.2)%に対し、術後補助化学療法群は62.4(55.6~68.4)%、ハザード比 0.797(0.613~1.035)であり、術後補助化学療法群の優位性は示されなかった。・術後補助化学療法群の完了率は72.5%、有害事象としては軽度の骨髄抑制、下痢、疲労、食欲不振、皮疹などが多く認められたが、Grade3以上は1~3%程度であり、認容性は良好であった。 戸高氏は「本結果によって、根治切除術を受けた胆道がんに対し、S-1による術後補助化学療法が標準治療になると考えられる。有効性が示されなかったRFSにおいても生存曲線の差異は認められ、長期追跡が必要だ。根治切除後も再発リスクが高い胆道がんにおいて、術後補助化学療法の有用性が立証されたのは大きな一歩であり、S-1は日本で既に多くのがん種に広く用いられており、提供体制もスムーズだろう」とした。

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Stage I 非小細胞肺がん 再発高リスク群では補助化学療法が有効/Ann Thorac Surg

 わが国の肺癌診療ガイドラインでは2cmを超えるStage IA/BおよびIIA(TNM病期分類8版)の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するテガフール・ウラシルの術後補助療法は推奨または提案、という位置づけである。 広島大学の津谷康大氏らによる、再発高リスクのStage I(TNM8版)完全切除NSCLCに対する補助化学療法の有効性を評価した試験結果がThe Annals of Thoracic Surgery誌に発表された。 同試験では、肺葉切除術を受けたStage I NSCLC1,278例のデータを前向きに収集し、分析した。再発リスク因子は、無再発生存率(RFS)のCox比例ハザードモデルを基に規定し、補助化学療法実施患者と非実施患者の生存率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・RFSリスク因子としては、年齢70歳超、浸潤径2cm超、リンパ管侵襲、血管侵襲、臓側胸膜浸潤が同定された。・高リスク群(641例)においては、5年RFS(補助化学療法実施群81.4%対非実施群73.8%)、5年OS(補助化学療法実施群92.7%対非実施群73.8%)、とRFS、OSともに補助化学療法実施群で有意に長かった(5年RFS p=0.023、5年OS p<0.0001)。・低リスク群(637例)においては、補助化学療法実施群と非実施群の5年RFSは差はなかった(補助化学療法実施群98.1%対非実施群95.7%、p=0.30)。 補助化学療法は、病理学的T1c/T2a、リンパ節/血管侵襲など、高再発リスクを有するStage I NSCLC患者において、生存を改善する可能性が示唆される。

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早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善/NEJM

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法でペムブロリズマブ+化学療法→術後補助療法でペムブロリズマブによる治療は、術前補助療法での化学療法のみと比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長することが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが21ヵ国181施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-522試験」で示された。すでに本試験の最初の解析において、術前補助化学療法にペムブロリズマブを追加することで、根治的手術実施時に病理学的完全奏効(pCR)(乳房内に浸潤がんがなく、リンパ節転移陰性と定義)を得られた患者の割合が有意に増加することが報告されていた。NEJM誌2022年2月10日号掲載の報告。術前化学療法へのPEM追加+術後PEMの有効性を、プラセボと比較 研究グループは、未治療の早期TNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 ペムブロリズマブ+化学療法群では、術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後補助療法としてペムブロリズマブを3週ごとに9サイクル投与した。プラセボ+化学療法群では、術前補助療法でプラセボ+化学療法(同上)、術後補助療法でプラセボを投与した。 主要評価項目は、pCRおよびEFS(無作為化から、根治的手術不能となる病勢進行、局所または遠隔再発、2次原発がんの発生、または全死因死亡までの期間と定義)とし、安全性についても評価した。3年EFS率は84.5% vs.76.8% 2017年3月~2018年9月に計1,174例が割り付けられた(ペムブロリズマブ+化学療法群784例、プラセボ+化学療法群390例)。 計画されていた今回の第4回中間解析(データカットオフ日:2021年3月23日)における追跡期間中央値は39.1ヵ月(範囲:30.0~48.0)で、EFSのイベントはペムブロリズマブ+化学療法群で123例(15.7%)、プラセボ+化学療法群で93例(23.8%)に認められた。 3年無イベント生存率は、ペムブロリズマブ+化学療法群84.5%(95%信頼区間[CI]:81.7~86.9)、プラセボ+化学療法群76.8%(72.2~80.7)であった(イベントまたは死亡のハザード比:0.63、95%CI:0.48~0.82、p<0.001)。 有害事象は主に術前補助療法期に発現し、ペムブロリズマブおよび化学療法ですでに確立されている安全性プロファイルと一致していた。

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ペムブロリズマブの非小細胞肺がん術後アジュバント、無病生存率を改善/Merck

 Merck社は、2022年1月10日、EORTCおよびETOPとともに、第III相KEYNOTE-091(EORTC-1416-LCG / ETOP-8-15 - PEARLS)試験の結果を発表した。  独立データモニタリング委員会による中間分析では、主要要評価項目の1つであるステージIB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)全集団のDFS(無病生存期間)について、ペムブロリズマブ治療群はプラセボ群と比較して、PD-L1発現を問わず、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。 ただし、もう1つの主要評価項目である高PD-L1発現(TPS≥50%)集団のDFSは、事前に指定された統計計画による統計的有意を示さなかった。高PD-L1発現患者のDFSは引き続き分析される、また副次的評価項目である全生存期間(OS)も評価される。 同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、以前に報告されたものと一致していた。結果は、今後の医学会議で発表され、規制当局に提出される。 KEYNOTE-091試験は、ステージIB~IIIAの肺葉切除または肺切除後(±補助化学療法)のNSCLC患者の補助治療において、ペムブロリズマブをプラセボと比較する無作為化第III相試験。主要評価項目は、全集団および高PD-L1発現患者のDFSである。副次的評価項目は、OSおよび肺がん特異的死亡率など。

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EGFR陽性肺がんに対する術後オシメルチニブの効果は化学療法の有無で変わるか(ADAURA)/JTO

 Stage IB~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)には、術後補助化学療法が推奨されているが、その評価は必ずしも芳しくはないようだ。 そのような中、EGFR変異陽性NSCLCに対する術後補助療法の第III相ADAURA試験において、オシメルチニブが有意に無病生存期間(DFS)の改善を示した。このたび、化学療法による前治療の有無と、オシメルチニブの有効性を検討した、同試験の探索的研究の結果がJournal of Thoracic Oncology誌に発表されている。・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)でStage IB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者、PS 0〜1・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療・対照群:プラセボ 化学療法による前治療も許容された・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるStage II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)、推定HR=0.70[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL 主な結果は以下のとおり。・術後補助化学療法の前治療を受けたのは、全対象682例中410例(オシメルチニブ群203例、プラセボ群207例)であった。治療サイクルの中央値は4.0であった。・補助化学療法の実施は70歳以上の患者に比べ、70歳未満の患者(70歳以上対70歳未満:42%対66%)、Stage II〜IIIAの患者(Stage IB対 II〜IIIA:26%対76%)、アジアで登録された患者(アジア以外で登録対アジアで登録:53%対65%)で多かった。・DFSはオシメルチニブ群が良好で、対プラセボのハザード比(HR)は、補助化学療法施行患者で0.16(95%CI:0.10~0.26)、補助化学療法非施行患者では0.23(95%CI:0.13~0.40)であった。この傾向はStage関係なく観察されている。  今回の探索的研究の結果は、前治療の補助化学療法の実施にかかわらず、Stage IB~IIIA のEGFR変異NSCLCに対するオシメルチニブの術後補助療の有効性を支持するものだ、と筆者は結論付けている。

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術後化療なしのTN乳がん患者、TILとPD-L1で予後を層別化可能/ESMO2021

 早期トリプルネガティブ(TN)乳がんにおいて、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)とPD-L1を組み合わせると、術後補助化学療法を受けていないTN乳がん患者の予後を層別化できることが示された。間質TIL(sTIL)が30%以上かつPD-L1陰性の患者は予後が良好であり、補助化学療法を省略できる可能性がある。国立がん研究センター中央病院の矢崎 秀氏らは、補助化学療法を受けていない早期TN乳がん患者の予後と、TILとPD-L1、Tertiary lymphoid structures(TLS)の関連を検討した後ろ向き解析の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。 2001~15年に国立がん研究センター中央病院で術後補助化学療法を受けなかったStageI~IIIのTN乳がん患者を特定、sTIL、TLSおよびPD-L1発現状態を手術標本で評価した。sTILとTLSはそれぞれガイドラインと以前の研究に従って評価され、免疫細胞におけるPD-L1の発現状態は、VENTANASP142アッセイによって評価された。 sTIL-highを≧30%、PD-L1陽性(+)をIC≧1と定義し、4つのグループに分類した:sTIL-high/PD-L1(+)、sTIL-high/PD-L1(+)、sTIL-high/PD-L1(-)、sTIL-high/PD-L1(-)。コックス比例ハザードモデルを使用して、sTIL、TLS、およびPD-L1の予後予測因子としての価値を検討した。 主な結果は以下のとおり。・125例が解析対象とされ年齢中央値は68(32~99)歳、69%がT1、85%がリンパ節転移陰性だった。・sTILの中央値は10%(IQR:0~30)であり、35例(28%)はsTILが30%以上だった。・36例(29%)がPD-L1陽性、63例(50%)がTLSを示した。・sTIL-high/PD-L1(+)が28例(22.4%)、sTIL-low/PD-L1(+)が8例(6.4%)、sTIL-high/PD-L1(-)が7例(5.6%)、sTIL-low/PD-L1(-)が82例(65.6%)だった。・多変量解析の結果、sTIL≧30%は無浸潤疾患生存(iDFS)率の改善と有意に関連し(HR: 0.19、95%信頼区間[CI]:0.059~0.62、p=0.006)、PD-L1陽性はiDFSの悪化と有意に関連していた(HR:3.39、95%CI:1.07~10.8、p=0.039)。一方で、TLSとiDFSの間に関連はみられなかった(HR:0.95、95%CI:0.31~2.91、p=0.93)。・sTIL-high/PD-L1(-)の腫瘍の患者は最も予後が良好であり(5年iDFS率:100%)、sTIL-low/PD-L1(+)の腫瘍の患者は予後が最も悪かった(5年iDFS率:28.6%、95%CI:4.1~61.2)。・sTIL-high/PD-L1(+)の腫瘍(5年iDFS率:80.7%、95%CI:56.3~92.3)およびsTIL-low/ PD-L1(-)の腫瘍(5年iDFS率:83.6%、95%CI:72.9~90.4)の患者は中等度の予後だった(p<0.001)。 研究者らは、sTILとPD-L1はそれぞれ予後の改善と悪化に有意に関連しており、それらの組み合わせで、補助化学療法を受けていないTN乳がんの予後を層別化できるとまとめている。症例の5.6%を占めたsTIL-high/PD-L1(-)の早期TN乳がん患者では、補助化学療法なしで良好な予後を示していた。

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アテゾリズマブ術後補助療法、PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIAのNSCLC患者で有益(IMpower010)/ESMO2021

 完全切除および補助化学療法後の早期(Stage IB~IIIA)肺がん患者へのアテゾリズマブを評価した「IMpower010試験」の最新の中間解析結果を、スペイン・Vall d'Hebron University HospitalのEnriqueta Felip氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。 腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現している(PD-L1 TC≧1%)Stage II~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)において、アテゾリズマブは再発または死亡リスクを34%低下したこと、再発部位について両群で明確な違いはみられないが、再発までの期間はアテゾリズマブ群のほうが延長したことなどが報告された。 IMpower010試験は、完全切除および補助化学療法後の早期肺がん患者へのアテゾリズマブによるアジュバント免疫療法(CIT)の有効性と安全性を、支持療法(BSC)と比較した初となる第III相無作為化試験。「ASCO 2021」において、アテゾリズマブ群で無病生存期間(DFS)に関する有益性が統計的に有意であったことが報告されたが、今回研究グループは、再発部位と再発後治療に着目した探索的結果を加えて報告した。・対象:UICC/AJCC第7版定義のStage IB~IIIAのNSCLC、手術後にシスプラチンを含む補助化学療法(最大4サイクル)を受けた1,005例・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日3週ごと16サイクル・対照群:BSC・評価項目[主要評価項目]治験医師評価による階層的DFS:(1)PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団、(2)Stage II~IIIA全集団、(3)ITT(Stage IB~IIIA全無作為化)集団[副次評価項目]ITT集団の全生存期間(OS)、PD-L1 TC≧50% Stage II~IIIA集団のDFS、全3集団の3年・5年DFS 主な結果は以下のとおり。・DFSに関する有意性の境界を越えていたのは、(1)PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団(ハザード比[HR]:0.66[95%信頼区間[CI]:0.50~0.88]、p=0.004)、(2)Stage II~IIIA全集団(0.79[0.64~0.96]、p=0.02)であった。(3)ITT集団は越えていなかった(0.81、0.67~0.99)、p=0.04)。・PD-L1発現率が高いほどDFSの改善が大きいことが認められた。サブグループ解析で、PD-L1 TC 1~49%はHR:0.87(95%CI:0.60~1.26)、≧50%はHR:0.43(0.27~0.68)であった。・PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団の再発率は、アテゾリズマブ群29.4%、BSC群44.7%であった。・再発パターンは両群で差はなかった。PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団における、局所領域のみの再発率はアテゾリズマブ群47.9%、BSC群41.2%、遠隔再発のみは38.4%、39.2%などであった。・無作為化から再発までの期間は、3集団ともにアテゾリズマブ群が延長した。PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団では、アテゾリズマブ群17.6ヵ月(範囲:0.7~42.3)、BSC群10.9ヵ月(1.3~37.3)であった。・再発後の治療は両群とも化学療法が最も多かったが、CITの使用は3集団ともにBSC群で多かった。PD-L1 TC≧1%のStage II~IIIA集団ではアテゾリズマブ群11.0%に対し、BSC群35.3%であった。また、同集団での再発後放射線治療の実施は、アテゾリズマブ群43.8%、BSC群47.1%、手術の施行は16.4%、10.8%であった。 Felip氏は、「IMpower010試験において、アテゾリズマブはPD-L1 TC≧1% Stage II~IIIAのNSCLC患者の再発または死亡リスクを34%低下したことが示され、同集団の標準治療を変え得る可能がある」とまとめた。

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高リスク尿路上皮がんのニボルマブ術後補助療法をFDAが承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年8月20日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学療法やリンパ節転移の有無、PD-L1の発現レベルにかかわらず、根治切除後の再発リスクが高い尿路上皮がん(UC)患者の術後補助療法として、ニボルマブを承認したと発表。 この承認は、ニボルマブとプラセボを比較した第III相CheckMate-274試験に基づいている。 同試験において、ニボルマブ群は、プラセボ群と比較して、無病生存期間(DFS)中央値を延長した(ニボルマブ群20.8ヵ月 vs.プラセボ群10.8ヵ月、ハザード比:0.70、95% CI:0.57~0.86、p=0.0008)。

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HER2陽性早期乳がんへのトラスツズマブの上乗せ効果~メタ解析/Lancet Oncol

 HER2陽性早期乳がんに対する補助化学療法へのトラスツズマブ上乗せによる再発率と死亡率への長期的ベネフィットについて、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative group(EBCTCG)が7つの無作為化試験のメタ解析により検討した。その結果、トラスツズマブ上乗せにより、患者および腫瘍の特徴にかかわらず、乳がん再発率を34%、乳がん死亡率を33%減少させたことが示唆された。Lancet Oncology誌2021年8月号に掲載。 本研究は、化学療法+トラスツズマブを化学療法のみと比較した無作為化試験における個々の症例データのメタ解析。リンパ節転移なしまたはありの手術可能な乳がん女性を登録した無作為化試験が含まれる。ベースラインの特徴、最初の遠隔再発と局所再発もしくは2次発がんの日付と部位、死亡の日付と原死因について、各症例のデータを収集した。主要アウトカムは、乳がん再発率、乳がん死亡率、再発なしの死亡率、全死亡率とした。年齢、リンパ節転移の有無、エストロゲン受容体(ER)の状態、試験で層別化し、ITT集団で解析した。トラスツズマブ併用群と化学療法単独群の年間イベント発生率比(RR)とその信頼区間(CI)をlog-rank検定を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした無作為化試験は7件、計1万3,864例で、2000年2月~2005年12月に登録された。・予定治療期間の平均は14.4ヵ月、観察期間中央値は10.7年(四分位範囲:9.5~11.9)だった。・化学療法単独よりトラスツズマブ併用のほうが、乳がんの再発リスク(RR:0.66、95%CI:0.62~0.71、p<0.0001)および乳がん死亡リスク(RR:0.67、95%CI:0.61~0.73、p<0.0001)が低かった。10年での再発率は絶対値で9.0%(95%CI:7.4~10.7、p<0.0001)減少し、乳がん死亡率では6.4%(95%CI:4.9~7.8、p<0.0001)減少、全死亡率では6.5%(95%CI:5.0~8.0、p<0.0001)減少した。再発なしの死亡率は増加しなかった(0.4%、95%CI:-0.3~1.1、p=0.35)。・トラスツズマブ上乗せによる再発率の減少は、無作為化後0~1年で最大であり(RR:0.53、99%CI:0.46〜0.61)、2〜4年(RR:0.73、99%CI:0.62〜0.85)および5~9年(RR:0.80、99%CI:0.64~1.01)ではベネフィットが継続し、10年目以降はほとんどフォローアップされていなかった。また、患者および腫瘍の特徴(ERの状態含む)にかかわらず、同様だった。

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がん化療中の副作用、遠隔モニタリングで症状負荷減少/BMJ

 Advanced Symptom Management System(ASyMS)を用いたがん治療中の遠隔モニタリングにより、症状の負担が有意に減少することが示された。英国・ストラスクライド大学のRoma Maguire氏が、オーストリア、ギリシャ、ノルウェー、アイルランドおよび英国のがんセンター12施設で実施した無作為化評価者盲検比較試験「eSMART試験」の結果を報告した。ASyMSは、携帯電話を用い化学療法の毒性を24時間体制でリアルタイムにモニタリングし管理するシステムである。著者は、「効果量は“中(medium)”(Cohen's d=0.5)であったことから、ASyMSは臨床的に有効と考えられる。遠隔モニタリングシステムは、将来の医療サービス、とくにCOVID-19のパンデミックで生じる混合医療提供モデルには不可欠である」とまとめている。BMJ誌2021年7月21日号掲載の報告。初回または5年ぶりの化学療法を受けるがん患者829例を無作為化し評価 研究グループは、補助化学療法関連副作用の遠隔モニタリングが、症状の負担やQOLなどに及ぼす影響を評価する目的で、初回または5年ぶりの化学療法を受ける、転移のない乳がん、大腸がん、ホジキン病または非ホジキンリンパ腫患者829例を、ASyMSを用いた治療群(介入群、415例)または標準治療群(対照群、414例)に無作為に割り付け、6サイクルの化学療法を行った。 介入群は、ASyMSを用い、10種類の症状(悪心・嘔吐、下痢、便秘、粘膜炎、知覚異常、手足の痛み、インフルエンザ様症状/感染症、疲労感、痛み)および最大6種類の追加症状を評価する質問票(Daily Chemotherapy Toxicity Self-Assessment Questionnaire: DCTAQ)に記入した。 主要評価項目は症状の負担(Memorial Symptom Assessment Scale:MSASで評価)、副次評価項目はそれぞれの評価スケールによる、健康関連QOL(Functional Assessment of Cancer Therapy-General:FACT-G)、支持療法のニーズ(Supportive Care Needs Survey Short-Form:SCNS-SF34)、不安(State-Trait Anxiety Inventory-Revised:STAI-R)、自己効力感(Communication and Attitudinal Self-Efficacy Scale for Cancer:CASE-Cancer)、および労働遂行能力(Work Limitations Questionnaire:WLQ)であった。ASyMSを用いた副作用の遠隔モニタリングで症状負荷が軽減 症状の負担(MSAS総スコア)は、介入群では化学療法前(ベースライン)と同程度であったが、対照群ではサイクル1以降、増加した。ベースラインからの変化量は、介入群が低かった(補正後平均群間差:-0.15、95%信頼区間[CI]:-0.19~-0.12、p<0.001、Cohen's d=0.5)。MSASのサブドメインについても、介入群では対照群と比較し、全体的苦痛指数(-0.21、-0.27~-0.16、p<0.001)、精神症状(-0.16、-0.23~-0.10、p<0.001)、および身体症状(-0.21、-0.26~-0.17、p<0.001)が有意に低いことが示された。 副次評価項目のベースラインからの変化量については、介入群でFACT-G総スコアは高く(補正後平均群間差:4.06、95%CI:2.65~5.46、p<0.001)、STAI-R特性不安(-1.15、-1.90~-0.41、p=0.003)およびSTAI-R状態不安(-1.13、-2.06~-0.20、p=0.02)は低く、CASE-Cancerスコアは高く(0.81、0.19~1.43、p=0.01)、SCNS-SF34はほとんどのドメイン(性的なニーズ、患者ケアとサポートのニーズ、身体と日常生活のニーズ)が低かった。その他のSCNS-SF34ドメインおよびWLQには有意な差はなかった。 ASyMSの安全性は良好であった。好中球減少症が介入群で高頻度にみられた。

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HER2低発現乳がんの臨床的特徴/Lancet Oncol

 抗HER2抗体薬物複合体の開発により、HER2低発現の患者を含む乳がん患者に新たな治療オプションがもたらされている。この新たなサブタイプの臨床的・分子生物学的特徴は、HER2陰性乳がん患者とどのように異なるのか。ドイツ・University Hospital of Giessen and MarburgのCarsten Denkert氏らが、術前化学療法への反応や予後を含む、HER2低発現症例の特徴をHER2陰性乳がん症例と比較し、Lancet Oncology誌オンライン版2021年7月9日号に報告した。HER2低発現乳がんはHER2陰性乳がんより生存期間が長い 研究者らは、2012年7月30日~2019年3月20日に実施された4つの前向き試験(GeparSepto、GeparOcto、GeparX、Gain-2 neoadjuvant)において、併用術前補助化学療法で治療されたHER2非増幅型の原発性乳がん患者2,310例のコホートを対象に、プール解析を実施。HER2検査は、すべての試験で参加者の無作為割り付け前に前向きに行われた。HER2低発現の状態の評価は米国臨床腫瘍学会/米国病理学会のガイドラインに基づき、IHC1+またはIHC2+/ in-situ陰性と定義され、HER2陰性はIHC0と定義された。 無病生存率および全生存率のデータは、1,694例(GeparXを除く3試験から)で利用可能であり、追跡期間中央値は46.6ヵ月であった(IQR:35、0~52、3)。2変量および多変量ロジスティック回帰モデルとコックス比例ハザードモデルは、エンドポイントの病理学的完全奏効(pCR)、無病生存率、および全生存率の分析のために事前定義された統計分析計画に基づいて実行された。 HER2低発現乳がん患者の状態を評価した主な結果は以下のとおり。・2,310の腫瘍のうち計1,098(47.5%)がHER2低発現であり、1,212(52.5%)がHER2陰性であった。・HER2低発現腫瘍を有する患者1,098例中703例(64.0%)がホルモン受容体陽性であったのに対し、HER2陰性腫瘍を有する患者では1,212例中445例(36.7%)であった(p<0.0001)。・HER2低発現腫瘍のpCR率は、HER2陰性腫瘍よりも有意に低かった(1,098例中321例[29.2%] vs.1,212例中473例[39.0%]、p=0.0002)。・また、ホルモン受容体陽性サブグループのpCR率は、HER2低発現腫瘍ではHER2陰性腫瘍と比較して有意に低かった(703例中123例 [17.5%] vs.445例中1053例 [23.6%]、p = 0.024)、しかしホルモン受容体陰性サブグループではこの差はみられなかった(395例中198例 [50.1%] vs.767例中368例 [48.0%]、p=0.21)。・HER2低発現腫瘍を有する患者は、HER2陰性腫瘍を有する患者よりも有意に長い生存期間を示した(3年無病生存率:83.4%[95%CI:80.5~85.9] vs.76.1% [72.9~79.0]、層別ログランク検定p=0.0084/3年全生存率:91.6%[84.9~93.4] vs.85.8%[83.0~88.1]、層別ログランク検定p=0.0016)。・ホルモン受容体陰性腫瘍の患者でも生存率に差がみられた(3年無病生存率:84.5%[79.5~88.3] vs.74.4%[70.2~78.0]、層別ログランク検定p=0.0076/3年全生存率:90.2%[86.0~93.2] vs.84.3%[80.7~87.3]、層別ログランク検定p=0.016)、ただしホルモン受容体陽性腫瘍の患者ではみられなかった(3年無病生存率:82.8%[79.1~85.9] vs.79.3%[73.9~83.7]、層別ログランク検定p=0.39/3年全生存率:92.3%[89.6~94.4] vs.88.4%[83.8~91.8]、層別ログランク検定p=0.13)。 研究者らは、これらの結果はHER2低発現腫瘍がHER2陰性腫瘍とは異なり、標準化されたIHC評価によって乳がんの新しいサブグループとして識別できることを示すとまとめている。また、HER2低発現腫瘍には特定の生物学的特徴があり、治療と予後への反応に違いがみられ、治療抵抗性のホルモン受容体陰性腫瘍でとくにその傾向がみられるとしている。

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ASCO2021 レポート 老年腫瘍

レポーター紹介これまでは高齢がん患者を対象とした臨床試験が乏しいといわれてきたが、徐々に高齢者を対象とした第III相試験のデータが発表されつつある。ASCO2021では、高齢者進展型小細胞肺がんに対するカルボプラチン+エトポシド併用療法(CE療法)とカルボプラチン+イリノテカン併用療法(CI療法)のランダム化比較第II/III相試験(JCOG1201/TORG1528:#8571)、高齢者化学療法未施行IIIB/IV期扁平上皮肺がんに対するnab-パクリタキセル・カルボプラチン併用療法とドセタキセル単剤療法のランダム化第III相試験(#9031)、76歳以上の切除不能膵がんに対する非手術療法の前向き観察研究(#4123)など、高齢者を対象とした臨床研究の結果が複数、発表されている。これら治療開発に関する第III相試験の情報はさまざまな場所で得られると思われるため詳述はせず、ここでは老年腫瘍学に特徴的な研究を紹介する。高齢者の多様性を示すかのように、今回の発表内容も多様であった。高齢がん患者に対する高齢者総合的機能評価および介入に関するランダム化比較試験(THE 5C STUDY)高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)は、患者が有する身体的・精神的・社会的な機能を多角的に評価し、脆弱な点が見つかれば、それに対するサポートを行う診療手法である。NCCNガイドライン1)をはじめ、高齢がん患者に対してCGAを実施することが推奨されている。これまで、がん領域では高齢者の機能の「評価」だけが注目されることが多かったが、最近では、「脆弱性に対するサポート」まで含めた診療の有用性を評価すべきという風潮になっている。昨年のASCOでは、「高齢がん患者を包括的に評価&サポートする診療」の有用性を評価するランダム化比較試験が4つ発表され、その有用性が検証されつつある。今回、世界的にも注目されていた第5のランダム化比較試験、THE 5C STUDY2)がシンポジウムで発表された。画像を拡大する主な適格規準は、70歳以上、がん薬物治療が予定されている患者(術前補助化学療法、術後補助化学療法は問わず、また分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬も対象)、PS:0~2など。標準診療群は「通常の診療」、試験診療群は「高齢者総合的機能評価および介入(CGAに加え、通常の腫瘍治療に加えて老年医学の訓練を受けたチームによるフォローアップ)を行う診療」である。primary endpointはEORTC QLQ-C30のGlobal health status(項目29および30)で評価した健康関連の生活の質(HR-QOL)であり、key secondary endpointは手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living:IADL)。primary endpointについてはパターン混合モデルを使用した(0、3、6ヵ月目)。カナダの8つの病院から351例の参加者が登録され、治療開始翌日以降に介入が行われた(患者の要望に合わせた研究であるため)。HR-QOLスコアの変化は両群で差がなく(p=0.90)、またIADLも両群間で差はなかった(p=0.54)。筆者はlimitationとして、CGAを実施したタイミングが悪かったことを挙げている。本研究では、患者の利便性を考えて、「治療開始時」または「治療開始後」にCGAを実施していたが、一般的には、治療方針を決定する前にCGAを実施すれば、患者の脆弱性を考慮して適切な治療を選択できると考えられている。しかし、今回は治療開始時または治療開始後にCGAを実施された患者が多かったため、CGAの意義が乏しかった可能性があるという理屈である。その他、COVID-19により、十分な介入ができなかったこと、またHR-QOLが影響を受けた可能性があること、そもそも「高齢がん患者を包括的に評価&サポートする診療」の有用性を評価するためのアウトカムとしてEORTC QLQ-C30のGlobal health statusが適切でなかった可能性などをlimitationに挙げている。昨年のASCOで発表された研究では「高齢がん患者を包括的に評価&サポートする診療」の有用性が示されたが、残念ながら、本試験ではその有用性は検証できなかった。しかし、研究デザインに問題があること、またひと言で「高齢がん患者を包括的に評価&サポートする診療」といっても、その内容はさまざまであることなどから、本試験がnegative studyであるからといって、その有用性が否定されたわけではないだろう。個人的には、筆者がlimitationで挙げているとおり、治療開始「前」にCGAを実施できていれば、より適切な治療が選択され、その結果、介入もより効果的になって、本試験の結果も変わっていたのではないかと想像してしまう。高齢者総合的機能評価と局所進行頭頸部扁平上皮がんの治療方針単施設の後ろ向き研究ではあるが、THE 5C STUDYのlimitationと関係するため、ここで紹介する。要は、治療開始「前」に高齢がん患者を包括的に評価することで、適切な治療を選択できる可能性があるという発表である3)。局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-HNSCC)を伴う高齢者を対象として、2016~18年の間に通常の診療を受けた集団(通常診療コホート)と、2018~20年の間にCGAを実施された集団(CGAコホート)を比較し、実際に受けた治療(標準治療、毒性を弱めた治療、緩和目的の治療、ベストサポーティブケア)、治療完遂割合、奏効割合などを評価した。通常診療コホート96例、CGAコホート81例の計197例の患者が対象となった。CGAコホートでは、通常診療コホートと比較して、標準治療を受ける患者が多かったが(36% vs.21%、p=0.048)、治療完遂割合(84% vs.86%、p=0.805)や奏効割合(73.9% vs.66.7%、p=0.082)に有意な差は認めなかった。これまでは、CGAを実施することで過剰な治療を防ぐことができるという、いわば脆弱な患者を守る方向で議論されることが多いと感じていた。しかし、本研究では、CGAを実施することで標準的な治療を受けることができた患者が増え、またベストサポーティブケアを受ける患者が少なくなるということが示されたことで、CGAにより、過小な治療を受けていた患者が適切な治療を受けられることが示唆されたといえる。つまり、治療開始「前」に高齢がん患者を包括的に評価することは大事という話。Choosing Unwisely(賢くない選択):高齢者における骨髄異形成症候群の確定診断Choosing Wiselyとは科学的な裏付けのない診療を受けないように賢い選択をしましょうという国際的なキャンペーンだが、本研究ではChoosing Unwiselyとして、高齢者に対して骨髄異形成症候群(MDS)の正確な診断をすること、を挙げている4)。MDSに正確な診断(Complete Diagnostic Evaluation:CDE)をするためには、骨髄生検、蛍光 in situ ハイブリダイゼーション、染色体分析が必要だが、この意義があるか否かを2011~14年のメディケアデータベースを用いて検討した。対象は、2011~14年の間に66歳以上でメディケアを受けている患者のうち、MDSの診断を受けており、1種類以上の骨髄細胞減少を有し、MDS診断前後16週間に輸血を受けていない集団(1万6,779例)。CDEが臨床的に正当化されない患者の要因の組み合わせを特定するために、機械学習の手法であるCART(Classification and Regression Tree)分析を行い、CDEの有無による生存率の比較を行うためにCox比例ハザード回帰分析を行った。結果、1種類の血球減少(例:貧血のみ)を有する集団のうち、66~79歳の57.7%(1,156例)、80歳以上の46.0%(860例)がCDEを受けていた。また、血球減少がない患者3,890例のうち、866例がCDEを受けていた。背景因子を調整後の解析では、CDEを受けたことによる生存率の向上は認められなかった(p=0.24)。筆者は、高齢者のMDSに対して不要なCDEを減らすことを提案している。COVID-19患者の全米データベースの「がんコホート」高齢者に限定した研究ではないが、知っておくべきデータだと思うので簡単に紹介する。米国国立衛生研究所(NIH)が運営している全米COVIDコホート共同研究(National COVID Cohort Collaborative:N3C)のデータベースのうち、がん患者のみのコホートが公表された5,6)。N3Cコホートから合計37万2,883例の成人がん患者が同定され、5万4,642例(14.7%)がCOVID-19陽性。入院中のCOVID-19陽性患者の平均在院日数は6日(SD 23.1日)で、COVID-19の初回入院中に死亡した患者は7.0%、侵襲的人工呼吸が必要な患者は4.5%、体外式膜型人工肺(ECMO)が必要な患者は0.1%であった。生存割合は、10日目で86.4%、30日目で63.6%であった。65歳以上の高齢者(HR:6.1、95%CI:4.3~8.7)、併存症スコア2以上(HR:1.15、95%CI:1.1~1.2)などが全死因死亡のリスク増加と関連していた。18~29歳を基準とした場合、30~49歳のHRは1.09(0.67~1.76)、50~64歳では1.13(0.72~1.77)に対して、65歳以上ではHR:6.1と異常に高いことから、これまで以上に、高齢がん患者ではCOVID-19に注意を払う必要があると感じた。もちろん、併存症スコアが上昇するにつれ死亡割合が上昇していることから、暦年齢は併存症スコアに関連している可能性があり、暦年齢だけの問題ではない可能性はある。参考1)NCCN GUIDELINES FOR SPECIFIC POPULATIONS: Older Adult Oncology2)Comprehensive geriatric assessment and management for Canadian elders with Cancer: The 5C study.3)Impact of comprehensive geriatric assesment (CGA) in the treatment decision and outcome of older patients with locally advanced head and neck squamous cell carcinoma (LA-HNSCC).4)Choosing unwisely: Low-value care in older adults with a diagnosis of myelodysplastic syndrome.5)Outcomes of COVID-19 in cancer patients: Report from the National COVID Cohort Collaborative (N3C).6)Sharafeldin N, et al. J Clin Oncol. 2021:Jun 4. [Epub ahead of print]

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早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。 本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。・対象:年齢18~70歳、リンパ節転移0~3個、遠隔転移のない切除可能な浸潤性原発乳がん(最大腫瘍径5cm)患者 6,693例※70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)の結果、超低リスク:1,000例(15%)、低リスク:3,295例(49%)、高リスク:2,398例(36%)と報告されている。・評価項目:MammaPrint評価による高リスク/低リスク/超低リスク患者における、5年および8年時のDMFIと乳がん特異的生存率(BCSS)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は8.7年。・ゲノムリスクが超低リスクと評価された患者では、>50歳:67%、腫瘍径≦2cm:81%、リンパ節転移陰性:80%、Grade 1または2:96%、HR陽性/HER2陰性:97%であった。術後に全身療法を受けなかったのは16%、内分泌療法を受けたのは69%、化学療法を受けたのは14%だった。・超低リスク患者を臨床リスクでみると、高リスクが259例、低リスクが741例。臨床リスク高の患者は腫瘍径が大きく、Gradeが高く、リンパ節転移陽性の傾向がみられた。・5年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:98.1%(95%信頼区間[CI]:97.2~99.0)、低リスク:97.5%(97.0~98.1)、高リスク:92.5%(91.4~93.6)だった(p<0.0001)。・8年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:97.0%(95.8~98.1)、低リスク:94.5%(93.6~95.3)、高リスク:89.2%(87.9~90.5)だった(p<0.0001)。・臨床病理学的特性および治療特性で調整後のDMFIのハザード比は、超低リスク vs.低リスク:0.65(0.45~0.94)、高リスク vs.低リスク:2.17(1.68~2.80)であった。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化して8年時のDMFIをみると、やや差がみられた(臨床リスク低:97.6%[96.4~98.8]、臨床リスク高:95.0%[92.3~97.8]、p=0.02)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について術後に受けた治療で層別化して8年時のDMFIをみると、全身療法なし:97.8%(95.3~100)、内分泌療法のみ:97.4%(96.1~98.7)、化学療法±内分泌療法:94.9%(94.4~98.7)だった(p=0.37)。臨床病理学的特性で調整後のDMFIのハザード比は、化学療法あり vs.化学療法なし:0.98(0.37~2.61)、内分泌療法あり vs. 内分泌療法なし:0.59(95%CI:0.27~2.13)だった。・8年時のBCSSは、ゲノムリスクの超低リスク:99.6%(99.1~100)、低リスク:98.2%(97.7~98.7)、高リスク:93.7%(92.6~94.7)だった(p<0.0001)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化してBCSSをみると、差はみられなかった(臨床リスク低:99.7%[99.3~100]、臨床リスク高:99.2%[98.0~100]、p=0.96)。 演者のCardozo氏は、MammaPrintによる評価で超低リスクとなった患者では、臨床リスクによらず8年BCSSが99%を超え、8年DMFIが95~98%という優れた予後を示したとまとめ、超低リスク患者は治療のさらなるde-escalationが可能な候補者であるとした。ディスカッサントを務めたフランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏は、本解析だけでは症例数が少ないが、ゲノムリスクが超低リスクかつ臨床リスクが低リスクの患者については術後内分泌療法を省略できる可能性があるとして、より詳細な研究が必要と述べた。

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高リスク尿路上皮がんの術後補助療法、ニボルマブが有効/NEJM

 根治手術を受けた高リスクの筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法において、ニボルマブはプラセボと比較して、6ヵ月後の無病生存率が統計学的に有意に高く、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)発現率≧1%の患者集団でも無病生存(DFS)率が優れることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDean F. Bajorin氏らが実施した「CheckMate 274試験」で示された。NEJM誌2021年6月3日号掲載の報告。29ヵ国156施設の国際的な無作為化第III相試験 研究グループは、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法におけるニボルマブの有用性を評価する目的で、二重盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(Bristol Myers Squibb、Ono Pharmaceuticalの助成による)。2016年4月~2020年1月の期間に、日本を含む29ヵ国156施設で参加者の無作為化が行われた。 対象は、根治手術を受けた再発リスクの高い尿路上皮がん(膀胱、尿管、腎盂を原発とする)で、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であり、シスプラチンベースの術前補助化学療法の有無は問われなかった。被験者は、術後補助療法としてニボルマブ(240mg、静脈内投与)またはプラセボを2週ごとに投与する群に1対1の割合で割り付けられた。投与期間は最長1年間であった。 主要エンドポイントは、intention-to-treat(ITT)集団およびPD-L1発現率≧1%の集団におけるDFS期間(無作為化の日から、初回再発[尿路・尿路外の局所再発または遠隔再発]までの期間、あるいは死亡)であった。尿路外の無再発生存期間を副次エンドポイントとした。尿路外再発は、骨盤内の軟部組織の再発または大動脈分岐部下の骨盤内リンパ節に関連する再発とした。DFS期間が約2倍に延長、治療関連の肺臓炎死が2例 本試験には709例が登録され、ニボルマブ群に353例(平均年齢65.3歳[範囲30~92]、男性75.1%)、プラセボ群に356例(65.9歳[42~88]、77.2%)が割り付けられた。PD-L1発現率≧1%の患者は、ニボルマブ群が140例(39.7%)、プラセボ群は142例(39.9%)であり、術前補助化学療法を受けていた患者はそれぞれ153例(43.3%)および155例(43.5%)であった。 ITT集団における無病生存期間は、ニボルマブ群が20.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.5~27.6)、プラセボ群は10.8ヵ月(8.3~13.9)であった。6ヵ月時の無病生存率は、ニボルマブ群が74.9%と、プラセボ群の60.3%に比べ有意に高率であった(再発または死亡のハザード比[HR]:0.70、98.22%CI:0.55~0.90、p<0.001)。また、PD-L1発現率≧1%の集団の6ヵ月無病生存率は、ニボルマブ群が74.5%であり、プラセボ群の55.7%に比し有意に良好だった(HR:0.55、98.72%CI:0.35~0.85、p<0.001)。 ITT集団における尿路外の無再発生存期間中央値は、ニボルマブ群が22.9ヵ月(95%CI:19.2~33.4)、プラセボ群は13.7ヵ月(8.4~20.3)であった。6ヵ月時の尿路外無再発生存率は、ニボルマブ群が77.0%、プラセボ群は62.7%であった(尿路外の再発または死亡のHR:0.72、0.59~0.89)。また、PD-L1発現率≧1%の集団の6ヵ月時の尿路外の無再発生存率は、ニボルマブ群が75.3%、プラセボ群は56.7%だった(HR:0.55、95%CI:0.39~0.79)。 Grade3以上の治療関連有害事象は、ニボルマブ群が17.9%、プラセボ群は7.2%で発現した。ニボルマブ群で最も頻度の高い有害事象は、そう痒(23.1%)、疲労(17.4%)、下痢(16.8%)であり、Grade3以上ではリパーゼ上昇(5.1%)、アミラーゼ上昇(3.7%)、下痢(0.9%)、大腸炎(0.9%)、肺臓炎(0.9%)の頻度が高かった。治療関連の肺臓炎による死亡が、ニボルマブ群で2例認められた。 著者は、「無再発生存期間のサブグループ解析では、膀胱がん患者は腎盂がんや尿管がん患者よりも、また術前補助化学療法を受けた患者は受けていない患者よりも効果量が大きかったが、試験デザインを考慮すれば、これらは仮説生成的な知見と考えるべきである」としている。

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肺がん根治手術患者の心理と術後補助化学療法実施に関する因子/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、過去10年以内に肺がんの根治手術を受けたStage II~IIIの肺がん患者(以下、患者)131名を対象に、手術前後に抱く不安や心情を理解するとともに、患者が術後補助化学療法の実施を検討する際に何を重視し、影響を受けるかを把握することを目的に、WEBアンケート調査を実施した。 調査結果から、患者の治療選択における情報入手先として医師が80%を占めており、術後補助化学療法実施の意思決定は、患者が医師からの説明をどのように受け止めたかに大きく左右されることが明らかとなった。また、患者は根治手術を受けたとしても再発の可能性があることを理解しており、手術前後から術後補助化学療法実施時にいたるいずれの過程においても、再発の可能性に不安を感じていた。患者の70%が術後補助化学療法に対して、たとえ再発時期を遅らせるだけになったとしても、「再発を避けるためにやれることはやっておきたい」という考えを持っていることも明らかとなり、再発までの期間の延長が、治癒への期待や個人的な人生のイベント達成、再発後の新たな治療法への期待などにつながっていることが考えられた。同調査を監修した広島大学 腫瘍外科の岡田守人氏は、患者の多くは、生存を長くすることに加えて、無再発期間を重要視していることがわかった。患者の希望を理解したうえで、医師を中心とした多職種連携チームで患者さんをサポートすることがとても重要であると述べている。調査概要・調査期間:2020年10月9日~11月19日・調査対象:肺がんの根治手術を10年以内に受けたStage II~IIIの患者:合計131例・調査方法:Webアンケート調査主な調査結果<医師とのコミュニケーションと患者の意思決定>・根治手術を受けた肺がん患者が、がんと診断された後に治療選択を判断する際の情報入手先は、医師からの説明が80%であった。・医師からの説明は、手術前後、術後補助療法実施時のいずれにおいても、その時点での病状や治療などの短期的な項目に関する割合が70%以上と高く、生活への影響、再発の可能性といったやや長期的な項目の割合は前述の項目と比べると少し低かった。一方、患者は短期的とやや長期的のいずれの項目も詳しく説明を聞きたいと考えていた。<患者の手術前後の心理>・患者は、手術前後、術後補助化学療法実施中いずれも、再発の可能性(83.1%、77.2%、71.9%)と今後の生活(63.4%、60.4%、60%)に不安を感じていた。術後補助化学療法実施時においては、77.3%が副作用に対する不安を感じていた。<術後補助化学療法に対する患者の考え>・「術後補助化学療法によって、再発の割合を下げることができなくても再発の時期を年単位で遅らせる可能性がある」とした場合、「術後補助化学療法を受ける」に共感した患者は70%、「術後補助化学療法を受けない」に共感した患者は30%であった。・「術後補助化学療法を受ける」に対する共感部分は、“やれることはやっておきたい”が100%、“再発による生活・気持ちへの影響”が94%であった。また、“抗がん剤の副作用”は93%が許容していた。・「術後補助化学療法を受けない」に対する共感部分は、“抗がん剤の副作用による生活・気持ちへの影響”が83%、“手術だけで治る可能性/術後補助化学療法によらず再発する可能性”が90%、“抗がん剤は再発してからでよい”が80%であった。

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肝内胆管癌診療ガイドライン2021年版発刊

 日本肝癌研究会が肝内胆管癌診療ガイドライン2021年版を2020年12月に発刊した。これまで胆道癌診療ガイドラインが発刊されてきたが、肝外胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌が対象とされ、肝内胆管癌に対するガイドラインは存在していなかった。肝内胆管癌診療ガイドラインは腫瘤形成型およびその優越型を対象として作成 今回初版となる肝内胆管癌診療ガイドラインは、肝内胆管癌の分類、患者数や治療法などを踏まえ肝内胆管癌のうち腫瘤形成型およびその優越型を対象として作成されている。構成は総論・各論からはじまり、アルゴリズム、Background Statements/Clinical Topics、Clinical Questionsの枠組みで記載されている。 肝内胆管癌診療ガイドラインの主な内容は以下のとおり。<Background Statements/Clinical Topics> BS1:全世界における肝内胆管癌の罹患率の変動と地域特性 BS2:肝内胆管癌発生の危険因子 BS3:本邦と欧州における肝内胆管癌の進行度(Stage)分類の相違点 BS4:肝内胆管における前癌・早期癌病変 BS5:肝内胆管における腫瘍類似病変 CT1:肝門部胆管癌と肝内胆管癌の肝門部浸潤の区別は可能か?<Clinical Questions> CQ1:有効なスクリーニング法はあるか? CQ2:診断に有用な臨床検査は何か? CQ3:診断に有用な画像検査は何か? CQ4:腫瘍の進展範囲(T因子)の診断に有用な検査は何か? CQ5:リンパ節転移の診断に有用な画像検査は何か? CQ6:遠隔転移の診断に有用な画像検査は何か? CQ7:腫瘍生検はどのような症例に行われるべきか? CQ8:腫瘍条件からみた外科治療の適応は? CQ9:安全で合理的な手術術式は? CQ10:リンパ節郭清に意義はあるのか? CQ11:穿刺局所療法の適応となる症例は? CQ12:切除不能肝内胆管癌に推奨される薬物療法は何か? CQ13:術前化学療法は推奨されるか? CQ14:術後補助化学療法は推奨されるか? CQ15:切除不能肝内胆管癌に定位放射線治療は推奨されるか? CQ16:切除不能肝内胆管癌に粒子線治療は推奨されるか?

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オシメルチニブの肺がんアジュバント、化学療法歴の有無にかかわらずDFS延長/アストラゼネカ

 アストラゼネカ社は、2021年2月8日、第III相ADAURA試験の探索的解析の良好な結果から、オシメルチニブ、(商品名:タグリッソ)が、EGFR遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、術後補助化学療法歴の有無、また疾患のステージにかかわらず、無病生存期間(DFS)を延長することが示されたと発表した。これは、昨年発表された術後補助療法におけるオシメルチニブの主要評価項目であるDFSの顕著な延長という結果をさらに支持するものとしている。同試験の結果は、国際肺癌学会(IASLC)が主催する2020年世界肺癌学会(WCLC)(2021年1月開催)で発表された。 全症例を対象としたこの探索的解析において、オシメルチニブによる術後補助療法は、術後補助化学療法歴のある患者では再発または死亡リスクを84%減少させ(HR:0.16、95%CI:0.10〜0.26)、術後補助化学療法歴のない患者では77%減少させた(HR:0.23、95%CI:0.13〜0.40)。なおDFSの延長の有用性は各ステージで同程度であった。 さらに、ADAURA試験で実施された患者報告アウトカムに関する探索的事後解析では、オシメルチニブの投与を受けた患者の生活の質は維持されており、オシメルチニブ投与群とプラセボ投与群とでは身体的または精神的健康度に関して臨床的に意義のある差はなかったことが示された。 オシメルチニブの安全性と忍容性はこれまでの試験と一致しており、治験担当医師評価によるGrade3以上の有害事象発生率は、オシメルチニブ投与群で20%、プラセボ投与群で13%であった。

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