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エキスパートに聞く!「内科医がおさえるべき皮膚診療ポイント」Q&A part2

CareNet.comでは『内科で診る皮膚疾患特集』を配信するにあたり、事前に会員の先生より質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、三橋善比古先生にご回答いただきましたので、全2回でお届けします。患者さんから黒色の色素斑が良性か悪性か聞かれ、判断が難しいことがあります。すべてを皮膚科専門医に紹介するわけにもいかず困ります。どのように対処したらよいでしょうか?黒色の悪性皮膚疾患の代表は悪性黒色腫と考えます。臨床診断の目安としてABCDE基準を紹介します。Aはasymmetry、非対称性かどうかです。鑑別対象になる良性の色素細胞性母斑は、同じ速度でゆっくりと拡大するので円型が基本です。悪性黒色腫は拡大する速度が方向によって異なるので非対称性になることが多いのです。Bはborder、境界が明瞭でないことです。一方、母斑は明瞭であることが多いのです。Cはcolor、色調です。母斑は均一ですが、悪性黒色腫は黒色調にムラがあるほか、脱色素を生じて白い部分や、炎症のため赤いところなど、多彩な色調になるのです。Dはdiameter、直径です。母斑は先天性のものを除けば小さいものが多く、手掌と足底では4mm以下、それ以外では6mm以下がほとんどです。この大きさを超えたものは悪性黒色腫の可能性があります。最後のEはElevation、隆起に注意します。ただ、母斑も真皮内の母斑細胞が増加するとドーム状に隆起しています。平坦だった色素性病変が隆起してきたら、急速に細胞増殖が生じていると考えられます。悪性黒色腫の徴候です。基底細胞癌も黒色の悪性腫瘍です。中高年者の顔面や体の正中部に好発します。角化がみられず、表面がつるっとしています。良性で、中高齢者に好発する脂漏性角化症(老人性疣贅)と区別する必要があります。脂漏性角化症は角化していて、表面がくすんだ感じがあります。悪性黒色腫と色素細胞性母斑、基底細胞癌と脂漏性角化症は、ダーモスコピー検査で区別できることが多いです。慣れてくれば、基底細胞癌は直径1~2mm程度でも疑うことができるようになります。2種の塗り薬の重ね塗りはどんな場合に意味があるのでしょうか?外用薬の重ね塗りは、外用薬の相乗効果を期待して行われます。保湿薬とステロイド薬、ステロイド薬と亜鉛化軟膏などの組み合わせがあります。前者は乾燥皮膚で湿疹もみられるときに、乾燥した面に保湿薬を塗り、その後、湿疹性変化が見られる部分にステロイド薬を塗ってもらいます。相乗効果のほか、ステロイド薬の塗り過ぎを防ぐ効果も期待できます。後者は湿潤した湿疹性病変に、まずステロイド薬を塗り、その上に亜鉛化軟膏をかぶせて滲出液を軽減する効果を期待します。一方、2回塗ることは、患者には時間や労力の負担になり、コンプライアンスを下げる欠点があります。そのため、初めから2種類の外用薬を混合して処方することがあります。こちらの欠点は、組み合わせによってはpHや組成に変化を来して、期待した効果が得られなくなる可能性があることです。食物アレルギーと皮膚疾患にはどのような関連があるのでしょうか?食物アレルギーはI型アレルギーです。I型アレルギーの皮膚症状は蕁麻疹です。したがって、食物アレルギーでは蕁麻疹を生じ、重篤な場合はショックを引き起こします。一方、アトピー性皮膚炎でも食物の関連が指摘されています。しかし、アトピー性皮膚炎の皮膚病変は湿疹です。湿疹はIV型アレルギーで生じます。したがって、アトピー性皮膚炎における食物の関与は、単純なI型アレルギーとしてではないと考えられます。ただし、アトピー性皮膚炎患者が純粋な食物アレルギーを合併していることがあります。そのような、合併ではないアトピー性皮膚炎に対する食物の関与は、I型アレルギーの特殊型である遅延相反応や、IV型アレルギーの特殊型であるTh2型反応などで生じている可能性があります。これらの反応では、純粋なI型アレルギーのように蕁麻疹やショックを生じることはありません。分子標的薬の副作用対策とその予防法について教えてください薬剤がいったん体内に入った後で全身に生じる副作用は、従来は薬疹と呼ばれ、その対応は当該薬剤を中止することでした。中止する理由は、皮膚に生じた症状はアレルギーや中毒によるもので、そのまま薬剤摂取を続けると、いずれ障害は体内の全臓器に波及する可能性があると考えられるためでした。ところが、分子標的薬登場後、この考えを修正する必要が出てきました。分子標的薬は特定の分子を標的にしているため、アレルギーや中毒ではなく、作用の一つとして皮膚に症状が現れることが多いのです。ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)、エルロチニブ塩酸塩(同:タルセバ)などのEGFR阻害薬の場合は、EGFRが毛嚢細胞に大量に発現しているため、薬の作用として毛嚢を破壊し、その結果、毛嚢炎、ざ瘡、ざ瘡様発疹などと表現される皮膚病変を生じます。この場合、皮膚病変は薬の効果の一つと考えることもできます。そのため、中止する必要はないことになります。薬疹ではなく、皮膚障害と呼んで区別しているのはこのためです。皮膚病変を対症的に治療して、我慢できる程度であれば原疾患の治療を続けることになります。ところが、ここで大きな問題があります。このような分子標的薬も、従来通りのアレルギー性の薬疹を起こすことがあることです。中毒性表皮壊死症(TEN)やStevens-Johnson症候群などの重篤な病型も報告されています。発疹出現時、各分子標的薬に特有の皮膚障害か従来の薬疹かを区別することが大事です。これは、時に皮膚科専門医にも難しいことがあります。生検してはいけない皮膚病変にはどのようなものがあるのでしょうか?生検してはいけない皮膚病変はないと思います。生検のデメリットと生検で得る可能性がある情報のどちらが大きいかで決定するべきです。たとえば悪性黒色腫は生検すべきではない、とする考えがあります。しかし、生検しなければ診断できないことがあります。また、治療を決定するための深さを知るためには生検が必要です。悪性黒色腫が考えられるときの生検は、できる限り、病変内を切開するincisional biopsyではなく、病変全体を切除するexcisional biopsyを行います。また、生検の結果、悪性黒色腫の診断が確定することを考えて、1ヵ月以内に拡大切除ができることを確認しておきます。血管肉腫も必要最小限の生検にとどめるべき疾患です。生検によって転移を促進する可能性があります。しかし、診断確定のための生検は必要です。治療する環境を整えてから生検するのがよいでしょう。爪の生検は悪性疾患が考えられるときや、炎症性疾患でも、診断確定することで大きな利益がある場合にとどめるべきです。爪に不可逆的な変形を残す可能性があることをよく説明して、患者の同意を得て行うことが必須です。前胸部の生検は大きな瘢痕を残したり、ケロイド発生の危険性があります。組織検査のメリットがあるかどうか考え、患者に説明してから行うべきでしょう。

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重篤な職業性接触皮膚炎1,000例を検証、多発しやすい職業などが明らかに

 職業性接触皮膚炎は頻度が高いことが知られるが、重篤例の頻度も高いことが、デンマーク・コペンハーゲン大学ゲントフテ病院のJakob Ferlov Schwensen氏らによる調査の結果、明らかになった。また、刺激性接触皮膚炎のほうがアレルギー性接触皮膚炎よりも発症年齢が有意に低いことや、男女別にみた発症頻度の高い職業なども明らかになった。著者は「本研究は、職業性接触皮膚炎について、普遍的かつ特異的な予防のための新たなアプローチを示唆するものとなった」と結論している。Contact Dermatitis誌2013年5月号の掲載報告。 Schwensen氏らは、職業性接触皮膚炎は疫学的な解明が、その予防の基本的素地の改善につながる可能性があるとして、重篤な職業性接触皮膚炎のリスクがある職業を特定することを目的に、同院のナショナルアレルギー研究センターで治療が行われた1,000例について検証した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象群は、女性618人、男性382人であった。・平均発症年齢は、男女ともアレルギー性接触皮膚炎よりも刺激性接触皮膚炎のほうが、アトピー性皮膚炎の併存の有無にかかわらず、有意に低かった。・女性でリスクの高い職業は、料理人、肉屋、美容師、パン屋で、発症例は年間1万人当たり23.3~96.8例であった。・男性でリスクの高い職業は、塗装工、料理人、機械工、錠前屋、パン屋で、発症例は年間1万人当たり16.5~32.3例であった。・以上の結果から職業性接触皮膚炎の重篤例は頻度が高いことが明らかになった。著者は、「長年にわたる問題として文書化され、職業リスクとリスク因子が明らかになっているにもかかわらず、ヨーロッパでは効果的で組織的な介入および予防の計画が手つかずであることが懸念される」と指摘したうえで、「本研究が、職業性接触皮膚炎の普遍的かつ具体的な予防のための新たなアプローチを示唆するものとなった」とまとめている。

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エキスパートに聞く!「内科医がおさえるべき皮膚診療ポイント」Q&A part1

CareNet.comでは『内科で診る皮膚疾患特集』を配信するにあたり、事前に会員の先生より質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、三橋善比古先生にご回答いただきましたので、全2回でお届けします。皮膚科専門医に紹介すべき疾患の見分け方、緊急性のある皮膚疾患の見分け方のポイントがあれば教えてください。発熱がある場合は緊急性があることが多いと思います。皮膚所見では、全身が赤い紅皮症状態、水疱形成や粘膜症状がある例が重症疾患のことが多いと思います。数日間観察して悪化傾向があれば、その後も悪化することが考えられるので紹介すべきです。この悪化傾向は必ずしも面積の拡大を意味しません。中毒疹は体幹に始まり、軽快するときに四肢に拡大していくことが多いのです。面積が拡大しているので悪化していると解釈されることが多いですが、実際は軽快していることもあります。この場合、色調や浸潤に注意すると、面積は拡大しても赤みが薄くなって浸潤が改善していることがあります。これは軽快の徴候です。プライマリ・ケアで注意すべき皮膚疾患はどのようなものがあるでしょうか?湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹、表在性白癬で、全皮膚疾患患者の半分程度を占めるとされています。これらの疾患に対応できればかなりの部分をカバーできると思われます。白癬を疑うケース:内科外来では顕微鏡やKOH検査ができません。そのような場合、どのように対処すべきでしょうか? まず抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきかなど悩みます。皮膚科でKOH検査を行っても湿疹か白癬か判別できないことがあります。このような場合は、必ず後日再来する約束をしてステロイド薬の外用を行い、再度、真菌鏡検を行って診断を確定することがあります。この場合、ステロイド薬外用は、湿疹性病変を治療することで白癬病変を明瞭化すること、かゆみを取り除くという意味があります。真菌鏡検ができないときはこの手は使えませんので、まず抗真菌薬を外用する方がよいと思います。ステロイド外用で真菌病変が悪化してしまうことを避けるためです。蕁麻疹について:受診時には皮疹が消失している症例にはどのように対処したらよいでしょうか?蕁麻疹は膨疹を特徴とする疾患です。膨疹は短時間で出没することが特徴です。出たり消えたりしているわけです。全体としては続いていることもあるし、全体が消えてしまうこともあります。従って、診察の時に発疹がまったくないことは珍しくありません。むしろこれが、他の疾患ではみられない蕁麻疹の特徴です。蕁麻疹はアレルギー性のほか、運動誘発性、寒冷、温熱、コリン性など原因は多彩です。蕁麻疹の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服が第一選択です。ステロイド外用はあまり意味がありません。もし外用薬を処方する場合は、ジフェンヒドラミン(商品名:レスタミンコーワクリーム)などのステロイドを含まないものがよいでしょう。複数の皮膚病変が合併している場合の対処法について教えてください。複数の皮膚病変の合併と聞いて、真っ先に、水虫(足白癬)に細菌の二次感染が合併している状態を思い出しました。このような患者は、これから暑くなってくると毎日のように来院されます。また、足白癬の治療のための外用薬による接触皮膚炎を合併している患者もおられます。これら3疾患を併発していることもあります。このようなときの治療は、後で生じたものから治療するという原則があります。白癬に細菌感染では、細菌感染から治療します。接触皮膚炎を合併していたら、まず接触皮膚炎を治療します。原則にこだわるよりも、急を要するものから治療すると考えるのがいいかも知れません。いずれにしても、白癬の治療は最後でよいのです。

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アレルギーのフェノタイプがCOPDに及ぼす影響は?

 COPDと喘息は、いずれも種々の外来因子(アレルゲン、喫煙など)に肺組織が反応する病態である。オランダ仮説のように、これら2つの疾患は気道組織の傷害に対する感受性が亢進し、気道リモデリングが起こりやすいという共通病態に基づいた症候群であり、両疾患は単に表現型の違いを見ているにすぎないとする考え方もある。 このような背景の中、米国のジョンズ・ホプキンス大学Daniel B. Jamieson氏らにより、COPDとアレルギーのフェノタイプ(表現型)がどのように関係しているかについて研究が行われた。American journal of respiratory and critical care medicine誌オンライン版2013年5月13日号の掲載報告。 本研究はNHANES III(国民健康栄養調査)とCODE(COPD・国内エンドトキシン コホート)の2つを分析したものである。NHANES III からは、40歳超で喫煙歴があり、FEV1/FVCが70%未満かつ喘息と診断されていないCOPD患者1,381例が選ばれた。医師による花粉症、もしくはアレルギー性の上気道症状の診断を受けた患者について、アレルギーのフェノタイプありと定義した。CODEでは、喫煙歴を有するCOPD患者77例を抽出し、通年性のアレルゲンに対する特異的IgE反応検査によりアレルギー感作を評価した。アレルギーのフェノタイプが呼吸器症状やCOPD増悪と関係しているかの評価には、二変量解析または多変量解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・NHANES IIIの多変量解析の結果、アレルギーのフェノタイプを有する患者(296例)では、喘鳴、慢性的な咳、慢性的な喀痰が有意に多く(それぞれ、オッズ比[OR]:2.1, p<0.01、OR:1.9, p=0.01、OR:1.5, p<0.05)、医師の迅速な処置を要するCOPD増悪のリスクも有意に高かった(OR:1.7, p=0.04)・CODEの多変量解析の結果、アレルギー感作を有する患者は喘鳴、咳による夜間の目覚め、医師の迅速な訪問が有意に多く(それぞれ、OR:5.91, p<0.01、OR:4.20, p=0.03、OR:11.05, p<0.01)、抗菌薬を必要とするCOPD増悪のリスクも有意に高かった(OR:3.79, p=0.02) このように、COPD患者では、アレルギーのフェノタイプが呼吸器症状の悪化やCOPD増悪のリスクと関連していることが示唆された。

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慢性蕁麻疹の血小板活性化、重症度と相関

 慢性蕁麻疹と血小板活性化との関連について、これまで十分に検討した報告はほとんどみられていない。インド・医学教育研究大学院ジャワハル研究所(JIPMER)のLaxmisha Chandrashekar氏らは、健康な対照との比較による横断的研究を行った。その結果、慢性蕁麻疹患者における血小板活性化は有意で、とくに自己反応性を有する患者で顕著であったことを報告した。Platelets誌オンライン版2013年4月15日号の掲載報告。 研究対象は、慢性蕁麻疹患者45例と、年齢・性をマッチさせた健康な対照45例であった。蕁麻疹重症度スコアを用いて、疾患重症度を評価し、患者群の被験者については全員に自己血清皮内検査(autologous plasma skin test:APST)を行った。 血小板数および指標は、血液自動レーザー光分析器によって算定した。また全被験者について、血小板凝集能と血漿可溶性P-セレクチン値を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対照群と比較して慢性蕁麻疹患者群では、平均血小板容積(MPV)と血小板分布幅(PDW)の値が有意に高いことが観察された。・血小板凝集能と血漿可溶性P-セレクチン値は、対照群と比較して慢性蕁麻疹患者群で有意に高かった。・蕁麻疹重症度スコアは、血小板凝集能と血漿可溶性P-セレクチン値と明らかな関連性が認められた。・APST陽性患者はAPST陰性患者との比較において、血小板凝集能と血漿可溶性P-セレクチン値が有意に高かった。血小板活性化は自己免疫反応を有する群でとくに有意であった。

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専門職や技術職である妊婦の子どもは、アトピー性皮膚炎発症リスクが増大

 専門職や技術職に就く女性は、妊娠中の仕事のストレスが高まるほどに、生まれてくる子どものアトピー性皮膚炎発症リスクが増大することが、台湾・行政院衛生署台湾医院のI.J. Wang氏らによる前向きコホート研究の結果、明らかにされた。Wang氏らは、アトピー性皮膚炎は生後間もなく発症する頻度が高く、その問題を検討する際は生命を得た早期段階でのリスク因子について考えることが重要であるとして、これまで検討されていなかった、母体の職業的曝露と子どものアトピー性皮膚炎発症との関連について調べた。British Journal of Dermatology誌2013年4月号の掲載報告。 研究グループは、多段階層別化システマティックサンプリング法を用いて、台湾のバースレジストリから2万4,200組の母子を集めた。 出産後質問票を用いて、妊娠中の母親の職業、仕事上のストレス、勤務時間、勤務シフトおよび潜在的交絡因子の情報を集め、3歳時点で家庭面談を行い、アトピー性皮膚炎発症に関する情報を評価した。多変量ロジスティック回帰分析にて、母体の就労状況とアトピー性皮膚炎の関連について検討した。 主な結果は以下のとおり。・1万9,381例の母親のうち1万1,962例(61.7%)が、妊娠中も就労していた。・妊娠中も働いていた母親から生まれた子どもは、働いていなかった母親から生まれた子どもと比べてアトピー性皮膚炎発症のリスクが増大した(オッズ比[OR]:1.38、95%CI:1.25~1.53)。・同リスクは、専門職や技術職であった母親の子どもでは、より高かった(OR:1.64、95%CI:1.44~1.87)。・また同リスクは、妊娠中の仕事上のストレスが高まるほど上昇することが認められた(傾向のp<0.01)。・アトピー性皮膚炎を有した子どもの母親は、有さなかった子どもの母親と比べて勤務時間が有意に長かった(p<0.0001)。勤務シフトについては有意な関連はみられなかった。

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乳児期の重度のアトピーや食物アレルギー、小児期のマラセチア感作リスクと関連

 1歳未満の乳児期に重度のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを有すると、小児期にマラセチアに対する感作を有するリスクが高くなっていたことを、フィンランド・タンペレ大学病院のO-M. Kekki氏らが10年間のフォローアップの結果、報告した。マラセチアは、ヒトの皮膚に常在する酵母様真菌だが、アトピー性皮膚炎では疾患の増悪に関与することが知られる。Pediatric Allergy and Immunology誌2013年5月号(オンライン版2013年4月3日号)の掲載報告。 研究グループは、乳児期から食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を有している小児について、10年フォローアップ時でのマラセチアに対する感作の有病率を調べた。 対象は、1歳未満でアトピー性皮膚炎かつ牛乳/小麦アレルギーと診断された乳児187例であった。アトピー性皮膚炎の部位は、初診時の診療記録で評価し、10年フォローアップ時はSCORADで評価した。また、11歳時にImmunoCAPにて、マラセチアに対する特異的IgEを評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験児187例は、24例(13%)が牛乳アレルギーを、71例(38%)が小麦アレルギーを、92例(49%)が牛乳と小麦アレルギーの両方を有していた。アトピー性皮膚炎の重症度の内訳は、軽度が94例(50%)、中等度が57例(30%)、重度が36例(19%)であった。・10年フォローアップ時点で、19例(10%)が継続して牛乳または小麦アレルギー(もしくはその両方)を有していた。アトピー性皮膚炎は147例(79%)が軽度であり、30例(16%)がSCORADスコア0であった。・被験児187例のうち、マラセチア属特異的IgE陽性(≧0.35kU/L)者は27%であった。M. sympodialis特異的IgE陽性者は20%であった。・乳児期のアトピー性皮膚炎の範囲は、10年フォローアップ時にマラセチア特異的IgEを有するより高いリスクと関連していた。・食物アレルギーのリスク比は、マラセチア特異的IgE陽性の場合、3.11(95%CI:2.05~4.72、p<0.001)であった。

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アビエイター【強迫性障害】

ハワード・ヒューズ―完璧主義の光と影この映画の舞台は、20世紀前半のアメリカ。黎明期の航空業界と全盛期のハリウッドを股にかけて活躍した実在の人物、ハワード・ヒューズの激動の半生が描かれています。彼は若くして、資産家の両親を失い、その莫大な遺産を受け継ぎ、航空工学の才能と情熱により、飛行機作りと映画作りに明け暮れ、時代のパイオニアとして大成功をおさめます。また、数々のハリウッドの美女たちと浮名を流し、世界一の富と名声をほしいままにします。そんなハワードを衝(つ)き動かすものは、生まれながらの完璧主義と執着心でした。しかし、同時に、それらは諸刃の剣として、彼を苦しめ、数多い奇行の逸話を残しました。社会的な成功者としての強さと心の闇を持つ者としての脆さ、この彼のギャップは、私たちの好奇心を大いに焚きつけます。今回は、この映画を通して、みなさんといっしょにハワード・ヒューズの光と影をメンタルヘルスの視点から探っていきましょう。強迫観念―完璧さを求める心の囚われハワードは若くして、製作した映画で大ヒットを飛ばし、また、自身の設計、操縦した飛行機により世界最速の記録を塗り替えます。さらに、世界一周を4日で成し遂げるという新記録も樹立して、華やかなハリウッドで一躍スポットライトを浴びるようになります。これらの偉業の原動力は、ものごとを何でも丁寧に几帳面にやろうとする彼の完璧主義の性格によるものでした。映画製作では、撮影に納得しないと、時には同じシーンを100テイク近くも撮り直し、編集作業では同じ映像を繰り返し確認し、膨大な時間を費やしています。飛行機製作では、機体の流線形の美しさや操縦かんの触り心地にこだわり続けます。しかし、完璧主義は職業的に生かされる一方、完璧さを求めるあまり、完璧じゃないと気が済まなくなり、本人も周りも苦しむことにもなります。ハワードは、心を許した恋人に打ち明けます。「時々、本当はありえないかもしれないおかしな考えに取り憑(つ)かれ」「正気を失うんじゃないかと怖くなる」と。彼は、自分の心の闇にうすうす気付いていたのでした。自分の性分のおかげで、社会的に成功して、世の中をコントロールできるようになってはいます。しかし、同時に、その性分が裏目に出てしまい、自分でバカバカしい(不合理)と思えることにまでこだわり、その考えに心を囚われ(侵入思考)、自分の心をうまくコントロールできなくなっていくのです。これは、まさに心に強く迫ってくる考えで、強迫観念と呼ばれます。強迫行為―バカバカしいと分かっているのに、やらずにはいられないパーティ会場で、ハワードがトイレで手を洗うシーンが印象的です。彼は、恋人が上層部の男のご機嫌とりをしてベタベタしている様子に苛立ち、トイレに駆け込みます。そして、念入りな手洗いが始まるのです。その後のトイレでの手洗いでのシーンでは、血が出るまでゴシゴシと手洗いを続けます。その痛々しさは、見ている私たちにも伝わってきます。彼に一体、何が起きているのでしょうか?実は、彼の完璧主義は、美しさから清潔さへの追求においても発揮されていました。彼は、ちょっとしたストレスをきっかけに、手の不潔さが気になってしまい、手洗いをしなければ気が済まないという強迫観念で頭の中がいっぱいになります。そして、ついには、手洗いを始めてしまい、止めたいと思いながらも完璧だと自分で納得し安心するまで手洗いを止められないのでした。もはやきれい好きの度を越しています。このように、バカバカしいと分かっているのに、やらずにはいられない行為、やめられない行為を、強迫行為と言います。特に、手洗いを繰り返す行為を洗浄強迫と呼びます。また、確認を繰り返す行為は確認強迫と呼びますが、彼の映画作りや飛行機作りでの度を越した執拗な確認癖は、これに当てはまるとも言えそうです。強迫性恐怖―心の囚われが不安を招くハワードは、飛行機の操縦かんをセロフィンで包んで、清潔にしようとしています。また、トイレでは、たまたま居合わせた体の不自由な男性が、タオルを取ってほしいと頼みますが、彼は「できないんだ」と申し訳なさそうに断っています。もちろん、出る時にトイレのドアノブも触れません。そんな彼が、最愛の恋人が口を付けた牛乳ビンをちょっとためらいながらも思い切って飲むシーンは、また印象的です。その後、恋人とうまくいかなくなり、社会的にピンチになるなどのストレスが引き金となって、症状が悪化していくことが分かりやすく描かれています。強迫観念はエスカレートしていくと、恐怖が募ってきます(強迫性恐怖)。不潔さに対しての強迫観念から不安が強まる場合は、特に不潔恐怖と言います。いわゆる潔癖症です。きれい好きは、裏を返せば、不潔恐怖になりうるのです。彼自身、やがては不潔さを気にするあまり、部屋から出られなくなっていきます。また、不完全さに対しての強迫観念から不安が強まる場合、不完全恐怖と言います。やり直し―完璧でなければ最初から全てをやり直すハワードの浮気が原因でその最愛の恋人が家を出て行った直後のシーン。彼は、自分の衣類が雑然と部屋に投げ出されている状況が際立って目に入ってしまい、不潔さや不完全さへの強迫性恐怖が一気に押し寄せてきます。そして、衝動的に家にあった衣類を全て燃やし始めます。最後には、自分が着ていた服までも燃やし、生まれたままの姿で棒立ちになるのでした。過去を脱ぎ捨て、リセットを望むかのように。これは、完璧でなければ最初から全てをやり直すという、やり直し(取り消し)と呼ばれる心理メカニズム(防衛機制)でもあります。彼の完璧主義の信念に通じるものでもあります。完璧さを求めるあまり、言い換えれば、不完全恐怖から逃れるために、完璧か無のどちらかでなければ気が済まなくなり、無にしてやり直すという強迫行為です。強迫儀式―自分の行動の儀式化その後、ハワードは、飛行機事故で体が不自由になり、ライバル会社に自分の会社を乗っ取られそうになるというプレッシャーもあいまって、ついに、部屋にこもって出られなくなります。そして、彼は、紙、髭、爪が伸び放題のまま、顔も体も洗わずに、素っ裸で延々と自分自身に訴えかけます。「最初から繰り返せ!」と。そして、自分の行動を決められた手順で正確に実行しようとします。まるで儀式を執り行うかのように、同じ言葉や動きを繰り返すのです。これは、強迫儀式と呼ばれます。さらに、この儀式が心の中の言葉やイメージを思い浮かべる行為にまで及ぶと、体の動きがゆっくりになっていきます(強迫性緩慢)。例えるなら、ギアが硬すぎて吹かされ続けている車のエンジンです。こうして、彼の本来の才能や情熱は、食事の用意の仕方やばい菌に触れない方法などの儀式の確立に注がれていったのでした。もともと彼は欲しいものは全てを手に入れられる立場にあり、自分にできないことはないという感覚(万能感)が強かっただけに、誰も彼を止めることができませんでした。だからこそ、病状も深刻化していったと考えられます。強迫性障害―強迫観念と強迫行為を主とする部屋ごもりが長くなるにつれて、ハワードはゴミをため込むようになります。彼の部屋には、彼がものに触れる時に使ったティッシュが山のように床に散乱しています。そして、なんと自分のおしっこを入れたビンを整列させて並べています(強迫的ため込み、強迫的保存症)。潔癖な性格のはずなのに、自分の出した垢、爪、ティッシュ、おしっこなどは大丈夫なのでした。もはや清潔かどうかの判断基準は、彼の思い込み(認知の歪み)によって大きく狂ってしまっていたのです。彼の苦悩と狂気が強烈に描かれているシーンです。これは、最近、社会問題にもなっている「ゴミ屋敷」の主人の収集癖にもつながってくる症状とも言えます。そのゴミに価値があるかどうかは本人の思い込みによるものが大きいようです。また、彼は言葉を繰り返して言ってしまい、止まらなくなる症状がいくつかのシーンで見られます。「青写真を見せろ」「ミルクをもって来い」「最初からやり直せ」「風邪をうつしたくない」「未来への道だ」などの言葉でした。相手や周りに変だと思われることは重々自覚しており、苦しそうに手で口を塞いでいます。このように、やってはいけないと思えば思うほど(禁断的思考)、やらずにはいられなくなる行為も強迫行為と言えます。以上を振り返ると、ハワード・ヒューズは、強迫観念と強迫行為を主として、強迫性恐怖、強迫儀式、強迫性緩慢、強迫的ため込み、禁断的思考などの多彩な症状も見られる、重度の強迫性障害を患っていたことが伺えます。原因(1)―思い通りの子ども時代それでは、ハワードはなぜ強迫性障害になってしまったのでしょうか?すでに、彼の完璧主義で潔癖な性格とストレスについて触れましたが、そもそもなぜ彼はこんな性格になったのでしょうか? ハワードの生い立ちを調べると、14歳で飛行訓練を受けるなど、彼はとても裕福な家庭で育ちました。しかも、11歳にして故郷ヒューストンで第1号となる無線放送セットを作り上げるなど、頭も抜群に良かったようです。幼少期の病気による聴覚障害を除くと、彼は一貫してもてはやされ、自分の思うままの子ども時代を過ごし、挫折などの失敗体験が少なすぎていました。これが、彼の完璧主義の性格を作り上げたようです。原因(2)―母親の言いつけさらに、母親の絶大な影響がありました。彼が幼少期に母親から言いつけられる記憶を思い出すシーンがあります。裸の自分が母親に体を洗われている場面です。母親から「か・く・り(隔離)・・・、分かるかしら?」「伝染病がどんなに恐ろしいかも知っている?」「あなたは安全じゃないのよ」と言い諭されています。ここから、母親自身が不潔なものに対して神経質で過保護であることが伺えます。実際の伝記にも、母親は学校の先生、ボーイスカウトの隊長、サマーキャンプの指導員に「病気の人に近付けないで」との内容の手紙を書いていたというエピソードが残っています。彼の周りも母親の訴えに気を使って、彼を見かけると、「具合は悪くないか?」と過剰に気にかけていたようです。このようにして、幼い頃から、母親を中心として周りが病気を予防しようと過剰にかかわること(弁別刺激)により、彼は清潔であれば褒められるということを学び(オペラント学習)、潔癖は良いことであるという考え方(認知)が、繰り返し刷り込まれていった(強化)のです。これが、彼の潔癖な性格を形作りました。そして、大人になったハワードが具合を悪くした時につぶやくのは、「か・く・り・だ(隔離だ)」でした。あの母親の言葉です。この言葉は、彼の生涯において根深く付きまとっていることが伺えます。まさに、彼の人生の本質的な部分です。この隔離とは、もともとはコレラなど伝染病の患者を隔離する意味がありますが、自分の感情や行動に実感が伴わなくなる心理メカニズム(防衛機制)である「(感情の)隔離」「分離」をほのめかしているようにも思えます。部屋にこもって強迫儀式や強迫性緩慢に陥っている彼は、まさに、心を囚われ、自分自身が「隔離」されてしまっているのでした。ちなみに、最近、ばい菌や臭いをイメージ化した過剰な徐菌や消臭のテレビコマーシャルをよく見かけます。この影響が子どもたちをハワードのような不潔恐怖だけでなく、口臭・腋臭などの自分の匂いへの恐怖(自己臭恐怖)を持つ神経質な大人へと駆り立てていくのではないかと心配になってしまいます。実際に、清潔すぎる環境で育った子どもたちは、異物に対しての免疫が過敏に働き(アレルギー)、喘息や花粉症になりやすくなると言われています。さらには、体のアレルギー反応だけでなく、心の「アレルギー反応」として、汚れたものや臭うものへの恐怖が高まってしまうということも考えられるわけです。原因(3)―遺伝的な傾向ヒトが完璧さを求める欲求にもっと根源的な理由はないでしょうか?完璧さとは、対称性、正確性、美意識であり、そこには秩序があります。この秩序の欲求は、どうやら、動物の縄張りを守る習性(縄張り行動)に由来し、脈々と私たちの遺伝子にもそれぞれ多かれ少なかれ受け継がれ、組み込まれているようです。ですので、この遺伝的な傾向が強いだけで、強迫性障害になりやすくなるとも言えます。つまり、ハワードの強迫性障害は、子ども時代の裕福さや母親などの周りのかかわり、成人後のストレス(環境因子)だけでなく、ヒトそれぞれが元来持っている遺伝的な傾向(個体因子)も絡み合った結果として、出来上がったのではないかということが考えられます。治療―薬物療法と認知行動療法部屋にこもっていたハワードでしたが、ライバル会社と手を組んでいる議員から汚職の疑いをかけられ、ついに強制的に公聴会に呼び出されます。彼が外出を決意した時、助けにやってきた恋人とのやり取りが興味深いです。彼女は言います。「さあ、ここ(洗面所)で顔を洗いなさい」「私はどこにも行かないわよ」と。「きみには清潔に見えるかい?」というハワードに、彼女は「何も清潔なものなんかないわよ」「でも私たちはベストを尽くすものよ」と言い、彼に顔を洗わせる後押しをします。これは、あえて恐怖の対称に曝(さら)されて逃げ出したくなる反応を妨害し、馴らしていく(馴化)という治療法でもあります(曝露反応妨害法)。すっきりした彼は、思わず言います。「結婚しないか?」と。うわての彼女は「私のためにやってくれたのね」と受け流します。好ましい行動に対して賞賛を与えており、この行動を強化しようとしています(オペラント強化技法)。かつて幼少期に強化された潔癖な考え方を拭い去り(学習解除)、不潔にこだわらないという新しい考え方に修正しようとしています。このように、もともとの不潔なものに対する思考パターン(認知パターン)、行動パターンを変えていく治療法をまとめて認知行動療法と呼びます。現在の強迫性障害の治療は、薬物療法とこの認知行動療法が主流です。シネマセラピーラストシーンでハワードは、ついに、世界最大の飛行機を完成させ、自らが操縦し、飛行を達成させます。この飛行機は、今でも最長の翼幅を持つ航空機として、記録を保持し続けています。しかし、映画では描かれていない晩年の彼は、強迫性障害を悪化させ、事故による痛みの治療で覚えてしまった麻薬を乱用してしまい、薬物依存症にもなっていました。彼は、全財産をなげうってまで、飛行機作りに全てを賭けていました。そこまでして彼が飛行機をこよなく愛したのは、飛ぶことで全てを超越し、心の安らぎが得られるからだったようです。彼は、アビエイター(飛行機操縦士)として、自分の飛行機を完璧に操縦することができました。しかし、皮肉にも、自分の心は、完璧さを求めるあまりに制御が利かない「自動操縦」になってしまい、生涯最後まで「手動操縦」をうまく行うことはできなかったのでした。ハワード・ヒューズの生き様と心の病気は、まさにコインの裏と表です。私たちは、ハワードから完璧さや潔癖さを求めることの危うさを教わることで、ほどよい心の操縦法を見出していくことができるのではないでしょうか?1)エキスパートによる強迫性障害(OCD)(星和書店) 上島国利2)標準精神医学(医学書院) 野村総一郎3)STEP精神科(海馬書房) 岸本年史4)“Howard Hughes: His life and Madness”5)Donald L. Barlett & James B. Steele

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アトピー性皮膚炎患者の悩みの種、目の周りの黒ずみへのレーザー治療の有効性

 アトピー性皮膚炎患者の悩みの種となっている目の周りの黒ずみについて、レーザー治療が有効かつ安全に使用可能であることを、韓国・中央大学のKui Young Park氏らがパイロットスタディを行い報告した。アトピー性皮膚炎患者の多くに同症状がみられ治療への希求も高いが、同治療に関する文献的な報告はほとんどなかった。Journal of Cosmetic and Laser Therapy誌オンライン版2013年3月6日号の掲載報告。 研究グループは、2790-nm Er:YSGG(2,790nmエルビウムyttrium scandium gallium garnet)によるレーザー治療について、アトピー性皮膚炎患者の目の周りの黒ずみに対する臨床的有効性と安全性を評価した。 被験者は、軽度のアトピー性皮膚炎患者である21歳超の韓国人10例。アトピー性皮膚炎活動期で治療を要する患者は、レーザー治療後に増悪の可能性があり除外された。 2790-nm Er:YSGGレーザー治療は、フルエンス1.8~2.2J/cm2、スポットサイズ6mm、10%重複でのパルス幅0.3msを指標として、目の周り全体に4週間に1回の間隔で行われた。 有効性の評価は、盲検下で研究者によって0~5の四分位階調度スコアを用いて行われた。また、患者に対して同一スコアを用いた書面で回答を求める満足度の評価を行った。副作用について起こりうるすべての事象について評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療後2ヵ月時点の評価において、74.5%(スコア2.7)の改善を示し、患者満足度(スコアスケール)も平均74%(2.4)が改善を示した。・4ヵ月時点の評価では、同72.5%(2.5)、71.5%(2.3)の改善を示した。・重篤な副作用やアトピー性皮膚炎の増悪は報告されなかった。・アトピー性皮膚炎患者の目の周りの黒ずみについて、2790-nm Er:YSGGレーザー治療は有効かつ安全に使用できる可能性がある。

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大人の重症アトピー性皮膚炎、臨床経過は多様であり層別化が必要

 ドイツ・ボン大学のD. Garmhausen氏らは、青年期および成人期のアトピー性皮膚炎の自然経過を調べ、分類化および重症化するリスク因子の同定を行った。アトピー性皮膚炎は、大半が乳幼児期に発症し小児のうちに寛解に至る。しかし重症例では慢性化して成人に至るケースや、成人期に重症のアトピー性皮膚炎を発症し、重症化が起きるケースもある。これまで、大人のアトピー性皮膚炎の自然経過についてはあまり研究されていなかった。Allergy誌オンライン版2013年3月1日号の掲載報告。 本研究では、アトピー性皮膚炎を経過別に分類し、それらと重症化の特異的リスク因子とを関連づけることを目的とした。 青年期および成人期のアトピー性皮膚炎を有する725例について、詳細な臨床所見と病歴の後ろ向き評価を行った。評価したラボデータには、総・特異的IgE値などが含まれていた。 主な結果は以下のとおり。・研究対象患者725例のうち、607例が、経過タイプ別に分類可能であった。・経過タイプは全部で31コースが記録された。・607例のうち85.7%は、31コースのうちの主要な5コースタイプに分類可能であった。・アトピー性皮膚炎発症が早期で成人期まで慢性症状が持続したタイプの患者と、発症が20歳代以降と遅かったタイプの患者では、感作物質の数、血清総IgE値、皮膚病変の偏向における格差が最も大きかった。・著者は、「本検討から、アトピー性皮膚炎の自然経過は、臨床像によってサブグループに分類可能であることが示された」と結論した。・また、「青年期および成人期のアトピー性皮膚炎は多様であるとの仮説が支持されるとともに、アトピー性皮膚炎患者をさらに入念な層別化の必要性があることが強調された」とまとめている。

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血清ビタミンD値と小児アトピーの重症度、統計学的に有意な関連は認められない

 血清25ヒドロキシビタミンD値と小児アトピー性皮膚炎の重症度との関連について、統計学的に有意な関連はみられないことが、米国・ウィスコンシン医科大学のYvonne E. Chiuらによる検討の結果、報告された。両者の関連については、逆相関の関連性が示唆されていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年2月14日号の掲載報告。 研究グループは、血清25ヒドロキシビタミンD値とアトピー性皮膚炎重症度について、統計学的に有意な関連が認められるかを評価することを目的に、断面研究を行った。 1~18歳のアトピー性皮膚炎患者を被験者とし、SCORAD(Severity Scoring of Atopic Dermatitis)と血清25ヒドロキシビタミンD値を測定し、単変量試験および多変量モデルを用いて統計学的解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・97例が登録され、94例が解析に組み込まれた。・被験者のうち、ビタミンD欠乏(血清25ヒドロキシビタミンD<20ng/mL)であったのは37例(39%)、不足(同21~29ng/mL)は33例(35%)、充足(同≧30ng/mL)は24例(26%)であった。・血清25ヒドロキシビタミンD値とSCORADの関連は、有意ではなかった(r=-0.001、p=0.99)。・多変量モデル解析の結果、血清25ヒドロキシビタミンDが低値であることと有意な関連が認められたのは、3歳以上(p<0.0001)、黒人(p<0.001)、冬季(p=0.084)であった。・一方で著者は本検討結果について、自然光曝露、ビタミンD摂取、アトピー性治療についてコントロールできていないこと、一時点のみを捕えた調査であることから限界を指摘した。その上で、今回検討した小児集団では、血清25ヒドロキシビタミンD値とアトピー性皮膚炎重症度について有意な関連はみられないと結論した。

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難治性の慢性特発性蕁麻疹、オマリズマブで症状改善/NEJM

 慢性特発性蕁麻疹(chronic idiopathic/spontaneous urticaria)で抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1拮抗薬)の高用量投与でも症状が改善されない患者について、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブの投与により症状が改善されたことが、ドイツ・Charite-UniversitatsmedizinのMarcus Maurer氏らによる第3相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、報告された。慢性特発性蕁麻疹患者の多くが、抗ヒスタミン薬の高用量投与でも症状が改善しない。抗IgE抗体オマリズマブ(商品名:ゾレア、本邦での適応は気管支喘息)の有効性については第2相試験で示され、本試験では有効性と安全性が検討された。NEJM誌オンライン版2013年2月24日号掲載報告より。323例をオマリズマブ75mg、150mg、300mg群とプラセボ群に割り付け検討 第3相試験は、成人および12歳以上の中程度~重度の慢性特発性蕁麻疹患者(抗ヒスタミン薬治療が無効)を対象とした28週間にわたるオマリズマブ治療の有効性と安全性を検討することを目的とした。 466例の患者がスクリーニングを受け、323例(42.5±13.7、76%が女性、平均体重82.4±21.9kg)が3つの皮下注治療(75mg、150mg、300mg)群またはプラセボ群に無作為化された。治療は4週間隔で行われた。12週の治療期間終了後、16週間にわたって追跡が行われた。 主要有効性アウトカムは、かゆみ重症度スコアのベースラインからの変化で週単位で評価が行われた(範囲:0~21週、最高スコアが最も重症度が高いことを示す)。150mg、300mg群で有意に症状が改善、重大有害イベントは300mg群が高い ベースラインのかゆみ重症度スコアは、年齢階層や性別、体重、罹患期間など、全4群において14階層群から得ていた。 12週時点において、プラセボ群のスコアのベースラインからの変化は、平均-5.1±5.6であり、75mg群は-5.9±6.5(p=0.46)、150mg群は-8.1±6.4(p=0.001)、300mg群は-9.8±6.0(p<0.001)であった。また同時点での、事前特定の副次アウトカムについてはほとんどが同等性を示した。有害事象の頻度も同程度であった。 重大な有害イベントの発生は概して低かったが、300mg群(6%)で、プラセボ群(3%)や75mg群および150mg群(いずれも1%)よりも高率だった。

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難治性の慢性特発性蕁麻疹患者、ピロリ菌除菌療法で約3割が症状消失

 抗ヒスタミン薬が無効の慢性特発性蕁麻疹(CU)患者について、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、以下 ピロリ菌)感染症の除菌療法がベネフィットをもたらす可能性が、イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学のE. Magen氏らによる検討の結果、報告された。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。一部のCU患者では抗ヒスタミン薬の常用量投与に耐性を示す。一方、最近の研究報告で、慢性特発性蕁麻疹とピロリ菌感染症との関連が報告されていた。 研究グループは、ピロリ菌感染症の根治がCU患者の抗ヒスタミン薬耐性状況を改善可能かについて調べた。 CU患者の症例を後ろ向きにレビューし、蕁麻疹活性スコア(UAS)の記録と、ピロリ菌感染症について13C-urea breath test(13C-UBT)を行った。 初回投与量の4倍の抗ヒスタミン薬での8週治療にもかかわらずCU改善がみられない患者は難治性CU群とし、反応がみられた患者は反応CU群とした。 難治性CUで13C-UBT陽性の患者に対し、アモキシシリン1g・クラリスロマイシン500mg・オメプラゾール20mgを1日2回、14日間投与した。 CUにおけるピロリ菌除菌の効果は、UASにて評価した(3剤投与開始後のベースライン、8、16、28週時点で評価)。 主な結果は以下のとおり。・難治性CU患者46例のうち、29例(63%)が13C-UBT陽性であった。・29例のうち、18例がピロリ菌感染症の除菌を受けた(サブグループA)。11例は3剤併用療法を辞退した(サブグループB)。なお46例のうち17例は13C-UBT陰性であった(サブグループC)。・サブグループAにおいて、UASはベースラインの5.29±0.94から、8週時点3.62~0.96(p=0.03)、16週時点1.43±0.41(p

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経口アザチオプリン、難治性小児アトピー性皮膚炎にベネフィットをもたらす可能性

 難治性小児アトピー性皮膚炎に対する経口アザチオプリン(商品名:アザニンほか、アトピー性皮膚炎には適応外)は、ベネフィットがある可能性を、米国・ジョージタウン大学医学部のMaura Caufield氏らが無作為化試験の結果、報告した。欧米ではアザチオプリンは、難治性アトピー性皮膚炎などでステロイドを節減する薬物として処方されるが、小児アトピー性皮膚炎での適正使用とモニタリングについては、前向きデータが限られており、Caufield氏らは、アザチオプリンの治療反応とモニタリングのあり方について検討した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年1月号(オンライン版2012年8月11日号)の掲載報告。 研究グループは、アザチオプリンの治療反応を評価し、治療中にTPMT(thiopurine methyltransferase)活性を繰り返し測定することの必要性、および6-チオグアニンヌクレオチド(6-TGN)ならびに6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝レベルの測定が有用であるかについて調べた。 重症難治性アトピー性皮膚炎の小児を対象に、経口アザチオプリンを投与し、前向きに追跡。疾患重症度は、SCORing AD指数によって判定した。 TPMTはベースラインで測定した後、症状の改善や十分な効果が得られない場合、あるいは治療反応が認められた場合に、6-TGNや6-MPとともに繰り返し測定した。 主な内容は以下のとおり。・被験児は12例であった。・アザチオプリン治療は、1例を除いた全患者の臨床的改善と関連していた。・有害事象はほとんどみられなかった。・3例では、治療中のTPMT活性に有意な変化がみられた。そのうち2例は軽度な低下を示し、1例は中間値から標準値へと増大する酵素誘導性を示した。・一方、こうした変化(臨床的効果と逆相関を示すような変化)は、6-TGNあるいは6-MP値ではみられなかった。・著者は、本試験が小規模であり限界があるとした上で、「難治性小児アトピー性皮膚炎治療において、アザチオプリンはベネフィットがある可能性が示された」と結論。また、「TPMT活性の反復評価が治療未反応あるいは反応の評価に有用であり、さらなる試験の根拠となりうる。対照的に、治療期間中のチオプリン代謝活性の測定は臨床的に役立たなかった」と報告した。

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エキスパートに聞く!「花粉症」Q&A part2

CareNet.comでは1月の花粉症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より花粉症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、後藤 穣先生にご回答いただきました。今回は残りの5問について回答を掲載します。点鼻用抗ヒスタミン薬の有効性について教えてください。使用するのはどのような症例でしょうか?一般的に、薬剤の即効性を高め副作用発現を減少させるためには、局所投与が必要です。抗ヒスタミン薬の内服によって副作用の問題がある症例では、点鼻抗ヒスタミン薬を使用します。内服薬や点鼻薬で効果が不十分な場合、どのような治療をすればよいでしょうか?薬物療法で効果不十分の場合、レーザー治療を含めた手術療法やアレルゲン免疫療法を考慮します。高度の鼻中隔弯曲症や鼻粘膜腫脹があると、薬剤の無効例が増えてきます。専門医で鼻腔内の診察を受け、他疾患の合併も含めて評価すべきです。初期治療はいつから開始すればよいのでしょうか? また、花粉症予防のための点鼻薬、点眼薬は有効でしょうか?これまで初期療法は、花粉飛散開始日の2週間前からという方法が長く行われてきました。一般的にはそれで間違いないと思います。しかし、近年発売されている抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬では即効性が向上しているので、必ずしも一律に2週間にこだわらず、花粉症症状が少し出始めてからでも、十分効果があると考えられています。初期療法は内服薬だけでなく、点鼻薬、点眼薬でも同様に有効だと考えます。レーザー治療、アレルゲン免疫療法(減感作療法)を適応する症例の選択基準について教えてください。 また、それぞれ何歳から実施可能でしょうか?レーザー治療は、外科手術のひとつですので、薬物療法無効例や鼻粘膜腫脹が高度な症例に行います。また、薬物の副作用があった方や、妊娠中で薬物療法を行えないケースも対象です。免疫療法は、軽症例から重症例まで適応になるので、薬物療法の効果が不十分で、定期的な治療が可能であれば適応になります。手術、注射に耐えられる年齢に行っているので、おおむねレーザーでは10歳以降、皮下免疫療法では4~5歳以降なら実施可能です。ステロイド筋注の是非について教えてください。ステロイド筋注は、決して推奨できる治療方法ではありません。正確な臨床的有効性のデータが少なく、薬剤の特性から副作用が発現した場合にはそれ自体も長く続きます。ステロイド筋注による訴訟のケースも散見されています。

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睡眠障害と皮膚疾患、夜間のひっかき行動は睡眠ステージと関連

 カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のMadhulika A. Gupta氏らは、Clinics in Dermatology誌2013年1月号特集「Psychodermatology」に、「睡眠障害と皮膚疾患」と題するレビュー論文を寄稿した。睡眠は、人の一生のうち約3分の1を占める生命活動だが、睡眠中の皮膚疾患に関する研究はほとんど発表されていない。しかし皮膚疾患による睡眠の乱れが、患者のQOLやメンタルヘルスに有意な影響を及ぼす可能性があり、また場合によっては症状の増悪に通じる可能性があると、本主題の重要性を提起している。 Gupta氏は、臨床における睡眠と皮膚疾患の関連について、次の5つを示し、これらは皮膚疾患治療に重大な影響を及ぼすと述べている。(1)正常な睡眠生理(体温調節、中心体温調節、睡眠の開始など)における皮膚の役割(2)内因性サーカディアンリズムと末梢性サーカディアン“振動子”の皮膚症状への影響(たとえば、炎症性皮膚症患者の夕刻時に最低血中濃度となるコルチゾールレベルにより、夕刻と夜間にかゆみが増大する傾向がみられることなど)(3)かゆみ、多汗症、体温調節の異常といった症状による、本人および家族の睡眠や睡眠関連QOLへの影響(4)不眠症や睡眠時無呼吸、睡眠妨害、サーカディアン障害といった主要な睡眠障害の、皮膚疾患への考えられる影響(たとえば、睡眠時無呼吸での睡眠からの中枢神経系の覚醒は交感神経を活性化し、炎症に結びつくなど)(5)ストレスや精神的障害を伴う一部の皮膚疾患の共存症[たとえば、睡眠関連の主訴と関連している大うつ病や注意欠陥多動性障害(ADHD)] その上で、アトピー性皮膚炎患者の睡眠障害について次のような考察を行っている。・不眠が、アトピー性皮膚炎におけるADHD様症状の病因に関与している可能性がある。・睡眠中のひっかき行動は、各睡眠ステージの間の交感神経活動と関連している可能性があり、通常、ノンレム睡眠ステージ1および2(より深い睡眠ステージであるステージ3、4と比べて)で、最も頻繁に起きている。また、レム睡眠でも頻繁に起きている(ひっかき行動の重症度はステージ2と同程度)。・アトピー性皮膚炎の患者および両親の、夜間のかゆみやひっかき行動の自己申告は概して、ひっかき行動の客観的尺度と関連しない。

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花粉症の治療薬剤に関するアンケート結果

対象ケアネット会員の医師 耳鼻咽喉科101名、内科690名方法インターネット調査実施期間2013年1月8日~1月15日Q1花粉症治療で処方している薬剤の種類をお聞かせください(点眼剤を除く)。(複数回答)Q2花粉症患者への薬剤処方のうち、単剤処方の割合はどれくらいですか?(点眼剤を除く)Q3花粉症治療薬の種類の中で、最も効果が高いと実感しているものから上位2つをお選びください (点眼剤を除く)。2013年1月ケアネット調べ

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