サイト内検索|page:3

検索結果 合計:718件 表示位置:41 - 60

41.

冬季に高齢者の入浴は要注意

冬季の高齢者の入浴はなぜ危険?■冬季こそ高齢者は入浴時に気を付けよう65歳以上の高齢者で入浴中に意識を失い、そのまま浴槽内で溺れて亡くなるという不慮の事故が増えています。毎年11月~4月にかけて多く発生し、高齢者の浴槽内での不慮の溺死および溺水の死亡者数は4,750人(厚生労働省人口動態統計[令和3年])で、交通事故死の亡者数2,150人のおよそ2倍です。原因の1つは、急な温度差による血圧の急激な変化です。血圧の急激な変化により一時的に脳内に血液が回らない貧血状態になり、一過性の意識障害を起こし、浴槽内で溺れて死亡するものと考えられています。【とくに注意が必要な人】・65歳以上の高齢者・血圧が不安定な人・以前風呂場でめまいや立ちくらみを起こした人政府広報オンラインより引用(2024年12月16日閲覧)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202111/1.htmlCopyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

42.

更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ

 経口エストロゲン・プロゲスチン療法は、虚血性心疾患および静脈血栓塞栓症のリスク増加と関連していた。一方、合成ホルモン剤tiboloneは、虚血性心疾患、脳梗塞、心筋梗塞のリスク増加と関連していたが、静脈血栓塞栓症とは関連していなかった。スウェーデン・ウプサラ大学のTherese Johansson氏らが、スウェーデン統計局、ならびに保健福祉庁の処方薬登録、全国患者登録、がん登録および死因登録のデータを用いて行った、無作為化比較試験(RCT)を模倣するtarget trialの結果を報告した。閉経後10年以上経過後または60歳を超えてからの経口エストロゲン・プロゲスチン療法開始は、心疾患、脳卒中、静脈血栓塞栓症のリスクが増加する可能性が示唆されているが、現行更年期ホルモン補充療法の心血管疾患リスクに関する研究は不足していた。BMJ誌2024年11月27日号掲載の報告。スウェーデンの50~58歳の女性約92万例を解析 研究グループは、2007年7月~2018年12月の間に毎月、対象を登録して追跡を開始し、138のネステッド試験がデザインされた。 対象は、追跡開始前に過去2年間ホルモン補充療法を行っておらず、心血管疾患やがんならびに子宮摘出術または両側卵巣摘出術の既往歴がない50~58歳の女性で、追跡開始時の処方薬の種類により8つの群(持続的経口併用療法、逐次的経口併用療法、経口エストロゲン単独療法、経口エストロゲン+レボノルゲストレル放出子宮内システム併用、tibolone、経皮併用療法、経皮エストロゲン単独療法、ホルモン補充療法を開始せず)のいずれかに分類し、主要エンドポイントの発生、死亡、転居または2年間のいずれか早い時点まで追跡した。 主要エンドポイントは、静脈血栓塞栓症、虚血性心疾患、脳梗塞、心筋梗塞であった。それぞれ個別または複合のアウトカムとして解析し、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推算した。 解析対象は、138試験において少なくとも1試験で適格基準を満たした91万9,614例で、このうちホルモン補充療法を開始した女性が7万7,512例、開始しなかった女性が84万2,102例であった。持続的経口併用療法は、虚血性心疾患および静脈血栓塞栓症のリスクが増加 追跡期間中(2年間)に、主要エンドポイントのイベントは2万4,089例に発生した。1万360例(43.0%)で虚血性心疾患、4,098例(17.0%)で脳梗塞、4,312例(17.9%)で心筋梗塞、9,196例(38.2%)で静脈血栓塞栓症が発生していた。 ITT解析の結果、tiboloneは、ホルモン補充療法を開始しなかった女性と比較して虚血性心疾患のリスク増加と関連していた(HR:1.52、95%CI:1.11~2.08)。また、tibolone(HR:1.46、95%CI:1.00~2.14)、ならびに持続的経口併用療法(1.21、1.00~1.46)は、虚血性心疾患のリスクが高かった。 持続的経口併用療法(HR:1.61、95%CI:1.35~1.92)、逐次的経口併用療法(2.00、1.61~2.49)、および経口エストロゲン単独療法(1.57、1.02~2.44)は、静脈血栓塞栓症のリスクが高かった。 追加のper protocol解析では、tiboloneは脳梗塞(HR:1.97、95%CI:1.02~3.78)および心筋梗塞(1.94、1.01~3.73)のリスク増加と関連していることが示された。

43.

日本人の主な死因、10年間の変化

日本人の主な死因、10年間の変化350悪性新生物(腫瘍)300死亡率(人口10万対)250心疾患(高血圧性を除く)200老衰150100脳血管疾患肺炎誤嚥性肺炎新型コロナ腎不全不慮の事故5002014201520162017201820192020アルツハイマー病202120222023 [年]厚生労働省「人口動態統計」2023年(確定数)保管統計表 死亡(年次)「第5表-11 死因順位別にみた年次別死亡率(人口10万対)」「第5表-13 死因(死因簡単分類)別にみた性・年次別死亡数及び死亡率(人口10万対)」より集計Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

44.

急性期脳梗塞の血栓除去術、バルーンガイドカテーテルは有用か/Lancet

 前方循環の大血管閉塞による急性期虚血性脳卒中患者に対する血管内血栓除去術において、従来のガイドカテーテルを使用した場合と比較してバルーンガイドカテーテルは、むしろ機能回復が不良であり、死亡率も高い傾向にあることが、中国・海軍軍医大学長海病院のJianmin Liu氏らが実施した「PROTECT-MT試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2024年11月30日号に掲載された。中国の無作為化対照比較試験 PROTECT-MT試験は、急性期虚血性脳卒中の血管内血栓除去術におけるバルーンガイドカテーテルの有効性と安全性の評価を目的とする非盲検(エンドポイント評価は盲検下)無作為化対照比較試験であり、2023年2~11月に中国の28の病院で患者を登録した(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。 年齢18歳以上の急性期虚血性脳卒中で、修正Rankin尺度(mRS)のスコア(0[症状なし]~6[死亡]点)が0または1点であり、現地のガイドラインで症状発現から24時間以内に血管内血栓除去術を受けることが可能な患者を対象とした。 これらの患者を、バルーンガイドカテーテルまたは従来のガイドカテーテルを使用する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。臨床アウトカムのデータを収集する医師は、割り付け情報を知らされなかった。 主要アウトカムは機能回復とし、ITT集団における90日後のmRSスコアの変化で評価した。死亡率も高い傾向に 329例を登録し、バルーンガイドカテーテル群に164例、従来型ガイドカテーテル群に165例を割り付けた。全体の年齢中央値は69歳(四分位範囲[IQR]:59~76)、128例(39%)が女性であった。ベースラインのNIHSSスコア中央値は15点(IQR:11~20)、ASPECTS中央値は8点(6~9)だった。 90日の時点におけるmRSスコア中央値は、従来型ガイドカテーテル群が3点(IQR:2~5)であったのに対し、バルーンガイドカテーテル群は4点(2~5)と有意に悪化していた(補正後共通オッズ比:0.66、95%信頼区間[CI]:0.45~0.98、p=0.037)。 また、安全性のアウトカムである90日時の全死因死亡率(mRS 6点)は、数値上はバルーンガイドカテーテル群のほうが高かったが有意差はなかった(39例[24%]vs.26例[16%]、リスク比[RR]:1.51、95%CI:0.97~2.36、p=0.068)。 頭蓋内出血(バルーンガイドカテーテル群36% vs.従来型ガイドカテーテル群32%、RR:1.12、95%CI:0.83~1.51、p=0.46)および症候性頭蓋内出血(15% vs.11%、1.34、0.76~2.38、p=0.31)の発生率には両群間に差を認めなかった。内頸動脈の重度血管攣縮の頻度が高い とくに注目すべき手技関連合併症では、内頸動脈の重度の血管攣縮の頻度がバルーンガイドカテーテル群で高かった(4% vs.1%、RR:7.04、95%CI:1.15~43.75、p=0.037)。ガイドカテーテル関連の血管解離、血栓除去術関連の血管解離、造影剤の血管外漏出、大腿動脈アクセス関連の合併症の発生率には両群間に差はなかった。 著者は、「本試験は早期中止となっており、治療器具の異質性(さまざまな種類のバルーンやカテーテルの使用を許容)や頭蓋内血管の動脈硬化の割合が高かったことなどの限界があるため、今後、これらの結果を確認し、他の集団への一般化可能性を評価する研究が求められる」としている。

45.

日本人の主な死因(2023年)

日本人の主な死因その他食道 2.8%21.0%前立腺 3.5%肺および気管・気管支19.8%大腸(結腸・直腸)13.9%悪性リンパ腫3.8%アルツハイマー病1.6%その他悪性新生物(腫瘍)25.0%24.3%乳房 4.1%膵胃胆のう・胆道 4.5%10.5%10.1%肝・肝内胆管 6.0%n=38万2,504人腎不全 1.9%心疾患新型コロナウイルス感染症 2.4%不慮の事故2.8%誤嚥性肺炎3.8%(高血圧性を除く)心疾患14.7%老衰脳血管疾患 12.1%6.6%肺炎慢性リウマチ性4.8%心筋症 1.5%0.8%慢性非リウマチ性心内膜疾患5.2%くも膜下出血n=157万6,016人10.7%31.3%n=10万4,533人20.6%心不全42.9%急性心筋梗塞13.4% 不整脈および伝導障害15.6%その他 2.9%脳内出血その他n=23万1,148人脳梗塞55.1%厚生労働省「人口動態統計」2023年(確定数)保管統計表 都道府県編 死亡・死因「第4表-00(全国)死亡数,都道府県・保健所・死因(死因簡単分類)・性別」より集計注:死因順位に用いる分類項目(死因簡単分類表から主要な死因を選択したもの)による順位Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

46.

非肥満2型糖尿病患者の心血管障害へのSGLT2阻害薬の効果は/京大

 糖尿病の薬物治療で頻用されているSGLT2阻害薬。しかし、SGLT2阻害薬の有効性を示した過去の大規模臨床研究の参加者は、平均BMIが30を超える肥満体型の糖尿病患者が多数を占めていた。 わが国の実臨床現場ではBMIが25を下回る糖尿病患者が多く、肥満のない患者でも糖分を尿から排泄するSGLT2阻害薬が本当に有効なのかどうかは、検証が不十分だった。そこで、森 雄一郎氏(京都大学大学院医学系研究科)らの研究グループは、協会けんぽのデータベースを活用し、わが国のSGLT2阻害薬の効果検証を行った。その結果、肥満傾向~肥満の患者ではSGLT2阻害薬の有効性が確認できたが、BMI25未満の患者では明らかではなかったことがわかった。本研究の結果はCardiovascular Diabetology誌2024年10月22日号に掲載された。肥満者にSGLT2阻害薬の主要アウトカムの効果はみられた一方で非肥満者ではみられず この研究は、2型糖尿病でBMIが低~正常の患者におけるSGLT2阻害薬の心血管アウトカムに対する有効性を、従来の試験よりも細かい層別化を用いて検討することを目的に行われた。 研究グループは、2015年4月1日~2022年3月31日の協会けんぽのデータベースを活用し、3,000万例以上の現役世代の保険請求記録および健診記録を用い、標的試験エミュレーションの枠組みを用いたコホート研究を行った。 SGLT2阻害薬の新規使用者13万9,783例とDPP-4阻害薬の使用者13万9,783例をBMI区分(20.0未満、20.0~22.4、22.5~24.9、25.0~29.9、30.0~34.9、35.0以上)で層別化し、マッチングした。主要アウトカムは全死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全。 主な結果は以下のとおり。・参加者の17.3%(4万8,377例)が女性で、31.0%(8万6,536例)のBMIが低~正常だった(20.0未満:1.9%[5,350例]、20.0~22.4:8.5%[2万3,818例]、22.5~24.9:20.5%[5万7,368例])。・追跡期間中央値24ヵ月で、主要なアウトカムは参加者の2.9%(8,165例)に発現した。・SGLT2阻害薬は全集団において主要アウトカムの発生率低下と関連していた(ハザード比[HR]:0.92[95%信頼区間[CI]:0.89~0.96])。・BMIが低~正常の集団では、SGLT2阻害薬は主要アウトカム発生率の低下と関連しなかった(20.0未満のHR:1.08[95%CI:0.80~1.46]、20.0~22.4のHR:1.04[95%CI:0.90~1.20]、22.5~24.9のHR:0.92[95%CI:0.84~1.01])。 この結果から研究グループは、「2型糖尿病患者の心血管イベントに対するSGLT2阻害薬の効果は、BMIが低いほど低減するようであり、BMIが低~正常(25.0未満)の患者では有意ではなかった。これらの結果はSGLT2阻害薬の投与開始時にBMIを考慮することの重要性を示唆している」と述べている。

47.

便秘は心臓病のリスクを高める?

 便秘は心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究では、便秘のある人における主要心血管イベント(MACE)の発生リスクは、正常な排便習慣を持つ人より2倍以上高いことが示されたという。セント・ヴィンセント病院(オーストラリア)の臨床データアナリストであるTenghao Zheng氏らによるこの研究の詳細は、「American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology」に9月24日掲載された。研究グループは、「便秘はMACEのリスク上昇と独立して関連する潜在的なリスク因子であることが明らかになった」と同誌のニュースリリースの中で述べている。 この研究でZheng氏らは、便秘は、高血圧などの従来の心血管疾患のリスク因子とともにMACEリスクに関連しているとの仮説を立て、UKバイオバンク参加者40万8,354人の健康データの分析を通じてその仮説を検証した。データには、電子健康記録、ライフスタイル調査の結果、自己申告による健康状態や薬の使用状況などが含まれていた。参加者のうち、2万3,814人に便秘があることが確認された。MACEは、急性冠症候群、虚血性脳卒中(脳梗塞)、心不全のいずれかの発生と定義された。 解析の結果、便秘のある人は、正常な排便習慣を持つ人と比べてMACEリスクが2倍以上有意に高いことが明らかになった(オッズ比〔OR〕2.15、P<1.00×10-300)。便秘はMACEのサブグループとも有意に関連しており、リスクは、心不全(OR 2.72)、脳梗塞(同2.36)、急性冠症候群(同1.62)の順で高かった。 また、15万7,414人に高血圧の診断歴があり、このうちの8.6%(1万3,469人)には便秘もあった。便秘のない高血圧患者と比べて、便秘のある高血圧患者でもMACEのオッズは有意に高く(OR 1.68)、MACEの発生リスクは34%高いことが示された(ハザード比1.34、P=2.3×10-50)。 さらに、便秘と心血管疾患に関連すると考えられる900万以上の遺伝的変異の解析から、便秘は心血管疾患と約21%から27%の遺伝的変異を共有しており、両者の間に遺伝的相関のあることが明らかになった。さらに、ゲノム解析により、便秘が遺伝的な特性である可能性は約4%と推定された。 研究グループは、このように便秘とMACEの関連が特定されたことで、「プレシジョンメディシン(精密医療)の原則に沿った、個々の患者のリスク評価に基づいた新たな治療介入を見出し、より効果的な管理戦略を実施できるようになる」との見方を示している。 その一方でZheng氏らは、「便秘とMACEの関連をより深く理解するために、さらなる研究が必要である」と述べている。

48.

心房細動を伴う脳梗塞後のDOAC開始、早期vs.晩期/Lancet

 心房細動を伴う虚血性脳卒中後の直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与開始時期について、早期開始(4日以内)は晩期開始(7~14日)に対して、90日時点での複合アウトカム(虚血性脳卒中の再発、症候性頭蓋内出血、分類不能の脳卒中、全身性塞栓症)発生に関して非劣性であることが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDavid J. Werring氏らOPTIMAS investigatorsが、第IV相の多施設共同非盲検無作為化エンドポイント盲検化並行群間比較試験「OPTIMAS試験」の結果を報告した。著者は、「われわれの検討結果は、心房細動を伴う虚血性脳卒中後のDOAC開始を晩期とする、現行のAHA/ASA脳卒中ガイドラインの推奨を支持するものではなかった」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年10月24日号掲載の報告。90日時点の複合アウトカム発生を評価 OPTIMAS試験は、心房細動を伴う急性虚血性脳卒中患者におけるDOACの早期開始と晩期開始の有効性と安全性を比較した試験で、英国の100病院で行われた。対象者は、心房細動を伴う急性虚血性脳卒中の臨床診断を受けており、医師が最適なDOAC開始時期を確信していなかった成人患者とした。 研究グループは被験者を、あらゆるDOACによる抗凝固療法の早期開始(脳卒中発症から4日以内)群または晩期開始(7~14日)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。被験者および治療担当医は治療割り付けをマスクされなかったが、マスクされた独立外部判定委員会によって、すべての入手できた臨床記録、脳画像レポート、ソース画像を用いてすべてのアウトカムの評価が行われた。 主要アウトカムは、修正ITT集団における90日時点の、虚血性脳卒中の再発、症候性頭蓋内出血、分類不能の脳卒中、または全身性塞栓症の複合であった。解析にはゲートキーピング法による階層的アプローチを用い、2%ポイントの非劣性マージンについて検定を行い、次いで優越性の検定を行うこととした。早期開始群の晩期開始群に対する非劣性を確認、優越性は認められず 2019年7月5日~2024年1月31日に、3,648例が早期開始群または晩期開始群に無作為化された。適格基準を満たしていなかった、またはデータを包含することの同意を得られなかった27例を除く、3,621例(早期開始群1,814例、晩期開始群1,807例)が修正ITT集団に組み入れられた。 主要アウトカムは、早期開始群59/1,814例(3.3%)、晩期開始群59/1,807例(3.3%)で発生した(補正後リスク群間差[RD]:0.000、95%信頼区間[CI]:-0.011~0.012)。補正後RDの95%CI上限値は、2%ポイントの非劣性マージンを下回っていた(非劣性のp=0.0003)。優越性は認められなかった(優越性のp=0.96)。 症候性頭蓋内出血の発生は、早期開始群11例(0.6%)に対して晩期開始群12例(0.7%)であった(補正度RD:0.001、95%CI:-0.004~0.006、p=0.78)。

49.

脳卒中後の治療で最善の血栓溶解薬とは?

 脳梗塞患者に対する血栓溶解薬のテネクテプラーゼ(TNK)の適応外使用は、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)のアルテプラーゼ(以下、TPA)による治療よりもわずかに効果的である可能性があるとするシステマティックレビューとメタアナリシスの結果が発表された。TNKによる治療の方が、TPAによる治療よりも、脳梗塞の発症から3カ月後に患者が修正版ランキンスケール(modified Rankin Scale;mRS)で症状がない(0点)か、症状があっても明らかな障害はない(1点)に分類される可能性の高いことが示されたという。アテネ国立カポディストリィアコ大学(ギリシャ)神経学分野教授のGeorgios Tsivgoulis氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に10月16日掲載された。 TNKは、脳梗塞の治療薬としてヨーロッパでは承認されているが、米国では未承認。現時点での欧州脳卒中機構(ESO)の緊急推奨では、非劣性を示したメタアナリシスの結果に基づき、発症から4.5時間未満の脳梗塞に対する治療では、TPAの代わりにTNK0.25mg/kgを使用しても良いとしている。これらのガイドラインの発表以降、さらに4件のランダム化比較試験(RCT)が実施され、追加の知見が得られている。 今回の研究では、現時点で入手可能な11件のRCTの結果を用いてシステマティックレビューとメタアナリシスを実施し、発症後4.5時間以内の脳梗塞の治療におけるTNK0.25mg/kgの有効性と安全性をTPAとの比較で検討した。これらのRCTには、TNKにより治療を受けた患者3,788人と、TPAによる治療を受けた患者3,757人が含まれていた。主要評価項目は、脳梗塞から3カ月後の「優れた機能的アウトカム」(mRSスコアが0〜1点)、副次評価項目は、脳梗塞から3カ月後の「良好な機能的アウトカム」(mRSスコアが0〜2点;2点=軽度の障害)、障害の軽減(mRSスコアが1点以上減少)、症候性頭蓋内出血、および死亡であった。 その結果、TNKによる治療を受けた群では、TPAによる治療を受けた群と比べて「優れた機能的アウトカム」を達成する可能性が5%高く(リスク比〔RR〕1.05、95%信頼区間〔CI〕1.01〜1.10、P=0.012)、障害が軽減している可能性も高い(共通オッズ比1.10、95%CI 1.01〜1.19、P=0.034)ことが示された。しかし、「良好な機能的アウトカム」を達成する可能性については、両群間で同等であった(RR 1.03、95%CI 0.99〜1.07、P=0.142)。また、症候性頭蓋内出血(同1.12、0.83〜1.53、P=0.456)、および死亡(同0.97、0.82〜1.15、P=0.727)のリスクについても有意差は認められなかった。 Tsivgoulis氏は、「われわれのメタアナリシスからは、TNKとTPAの両薬剤の安全性は同等で、脳卒中後の良好な回復の可能性を高めるが、TNKは、優れた回復をもたらす効果と障害軽減効果においては、TPAよりも優れている可能性の高いことが明らかになった」と述べている。その上で、「この結果は、脳梗塞患者の治療には、TPAよりもTNKを使用するべきだという主張を裏付ける結果だ」と話している。

50.

携帯電話の頻用で、CVDリスクが高まる

 携帯電話を頻用することで睡眠障害と心理的ストレスが高まり、心血管疾患(CVD)リスク増加につながる可能性があることが、新たな研究で示された。中国・広州の国立腎臓病臨床研究センターのYanjun Zhang氏らによる本研究は、The Canadian Journal of Cardiology誌オンライン版2024年7月22日号に掲載された。 研究者らは50万例以上が参加する大規模コホートである英国バイオバンクのデータを用い、CVDの既往歴のない44万4,027例を対象とした。携帯電話の定期的な使用は、少なくとも週1回の通話・受信と定義した。携帯電話の使用時間は、過去3ヵ月間の週平均(5分未満、5〜29分、30〜59分、1〜3時間、4〜6時間、6時間以上)を自己申告によって得た。主要評価項目は新規CVD(冠動脈性心疾患[CHD]、心房細動[AF]、心不全[HF]の複合)発症、副次評価項目は新規脳卒中、個別のCHD、AF、HF発症、および頸動脈内膜中膜厚(cIMT)発症 だった。 睡眠パターン、心理的ストレス、神経症の役割を調査するために媒介分析を行った。睡眠スコアは睡眠時間、不眠症、いびきなどの情報から過去の研究に基づいて推定、心理的ストレスの評価にはPHQ-4を使用した。ベースライン時の性別、年齢、居住地域、世帯収入、アルコール摂取、喫煙、身体活動、服薬などの共変量の情報を、アンケートまたはインタビューで収集した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は56.1歳で、男性19万5,623人(44.1%)であった。携帯電話常用群は若年層、現喫煙者、都市在住者の割合が高く、高血圧と糖尿病の既往歴がある人の割合が低かった。・追跡期間中央値12.3年で5万6,181例(12.7%)がCVDを発症した。携帯電話常用群は非常用群と比較して、新規CVDリスクが有意に高く(ハザード比:1.04、95%信頼区間[CI]:1.02~1.06)、cIMTの増加も認められた(オッズ比:1.11、95%CI:1.04~1.18)。・常用群における週当たりの使用時間は、とくに現喫煙者(交互作用のp=0.001)および糖尿病患者(p=0.037)において、新規CVDリスクと正の相関関係を示した。・週当たりの使用時間と新規CVD発症との関係のうち、5.11%は睡眠パターン、11.5%は心理的ストレス、2.25%は神経症が媒介していた。 研究者らは、「携帯電話の週当たりの使用時間は、新規CVDリスクと正の相関関係にあった。これは睡眠不足、心理的ストレス、神経症によって一部を説明できる」としている。

51.

心筋梗塞の血栓溶解療法の時代を思い出す(解説:後藤信哉氏)

 1988年のLancet誌に掲載されたSecond International Study of Infarct Survival (ISIS-2) trialは、心筋梗塞の診療に劇的インパクトをもたらした。抗血小板薬アスピリン、線溶薬ストレプトキナーゼはともに急性心筋梗塞の院内死亡率を25%程度減少させ、両者の併用により死亡率はほぼ半減した。アスピリンはそのまま世界の標準治療になった。ストレプトキナーゼは重篤な出血合併症を増加させたため、出血リスクの少ない薬剤開発が模索された。ストレプトキナーゼにはフィブリン選択性がなかった。体内のフィブリンに結合し、プラスミン産生効果を発揮するt-PAに期待が集まった。フィブリン選択的、1回静注可能など多くの製剤が開発された。しかし、急性心筋梗塞では、薬剤と並行して進歩したカテーテル治療の普及により血栓溶解療法は廃れた。 脳梗塞領域は、1990年代の循環器内科の歴史をたどっている。t-PAフィブリン選択的に作用する線溶薬と期待されていたが、持続静注が必要であった。本研究では1回静注可能なtenecteplaseの非劣性が示された。脳梗塞急性期の再灌流療法により神経学的予後が改善されるインパクトは大きい。線溶薬としては早期に作用するフィブリン選択的薬剤なども開発されるかもしれない。しかし、心筋梗塞と同様に、カテーテル治療も普及するかもしれない。 脳梗塞治療が心筋梗塞治療を後追いしているように見え、今後の治療法の革新が期待される。

52.

血栓除去術は単純CT上の大梗塞に有効か?(解説:内山真一郎氏)

 発症後24時間以内の、単純CTで認めた大梗塞に血管内血栓除去術(IVT)が有効かどうかは証明されていない。 TESLA試験は、前方循環の大血管閉塞があり、単純CT上大梗塞(Alberta Stroke Program Early CT Score、ASPECT2~5)を認めた、発症後24時間以内の300症例を対象とした米国での多施設共同無作為化比較試験であったが、90日後の機能予後はIVT群と通常の内科的治療のみの対照群との間で有意差がなかったという結果であった。 単純CT上の大梗塞を対象とした試験としては、先にTENSION試験が行われていたが、TENSION試験では発症後11時間以内の症例に限定していたのに対してTESLA試験では半数が発症後12時間以上の症例であり、これらの症例では大梗塞による浮腫の影響がIVTの治療効果を弱めた可能性がある。 また、日本で行われたRESCUE Japan-LIMIT試験の二次解析では、ASPECT3以下の症例ではIVTの効果が示されなかったことから、ASPECTレベル別の治療効果もメタ解析により明らかにする必要がある。

53.

世界で年間約700万人が脳卒中により死亡、その数は増加傾向に

 気候変動と食生活の悪化によって、世界の脳卒中の発症率と死亡率が劇的に上昇していることが、オークランド工科大学(ニュージーランド)のValery Feigin氏らのグループによる研究で示された。2021年には世界で約1200万人が脳卒中を発症し、1990年から約70%増加していたことが明らかになったという。詳細は、「The Lancet Neurology」10月号に掲載された。 本研究によると、2021年には、脳卒中の既往歴がある人の数は9380万人、脳卒中の新規発症者数は1190万人、脳卒中による死者数は730万人であり、世界の死因としては、心筋梗塞、新型コロナウイルス感染症に次いで第3位であったという。 専門家は、脳卒中のほとんどは予防可能だとの見方を示す。論文の共著者の1人である米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)のCatherine Johnson氏は、「脳卒中の84%は23の修正可能なリスク因子に関連しており、次世代の脳卒中リスクの状況を変える大きなチャンスはある」と述べている。脳卒中のリスク因子は、大気汚染(気候変動によって悪化)、過体重、高血圧、喫煙、運動不足などであり、研究グループは、これらのリスク因子は全て、低減またはコントロール可能であると指摘している。 脳卒中に関連する死亡者数は何百万人にも上る一方で、脳卒中を起こした後に重度の障害が残る患者も少なくない。今回の研究からは、脳卒中によって失われた健康寿命の年数(障害調整生存年;DALY)は、1990年から2021年にかけて32.2%増加していたことも明らかになった。 では、なぜ脳卒中がここまで増加したのだろうか。研究グループの分析によると、多くの脳卒中のリスク因子に人々がさらされる頻度が上昇し続けていることが原因である可能性があるという。本研究では、1990年から2021年までの間に、高BMI、気温の上昇、加糖飲料の摂取、運動不足、収縮期血圧高値、ω-6多価不飽和脂肪酸が少ない食事に関連してDALYが大幅に増加したことが示された(増加の幅は同順で、88.2%、72.4%、23.4%、11.3%。6.7%、5.3%)。 Johnson氏らは、気温の上昇は、もう1つの脳卒中のリスク因子である大気汚染の悪化を意味していると説明する。同氏らは、「暑くてスモッグの多い日が脳卒中リスクに与える影響を最も強く受けるのは貧しい国である可能性が高く、その影響は気候変動によってさらに悪化し得る」と指摘する。実際、出血性脳卒中のリスクに関しては、現在、汚染された空気を吸い込むことは、喫煙と同程度のリスクをもたらすと考えられているという。脳卒中全体に占める出血性脳卒中の割合は約15%で、虚血性脳卒中(脳梗塞)と比べると大幅に低いにもかかわらず、世界のあらゆる脳卒中に関連した死亡や障害の5割が出血性脳卒中に起因するという。 「脳卒中に関連した健康被害は、アジアやサハラ以南のアフリカ(サブサハラ・アフリカ)で特に大きい。こうした状況は、管理されていないリスク因子、特にコントロール不良の高血圧や、若年成人における肥満や2型糖尿病の増加といった負担の増大と、これらの地域における脳卒中の予防およびケアサービスの不足によって生まれている」とJohnson氏は指摘する。 しかし、こうした状況を変えることは可能であるとJohnson氏は主張する。例えば、大気汚染は気温上昇に密接に関連するため、「緊急の気候変動対策と大気汚染を減らす取り組みの重要性は極めて高い」と言う。さらに同氏は、「高血糖や加糖飲料の多い食事などのリスク因子にさらされる機会が増えているため、肥満やメタボリックシンドロームに照準を合わせた介入が急務である」と述べている。

54.

抗凝固薬の服用理由の仮説を立てて中止提案、そのまま続いていたら…【うまくいく!処方提案プラクティス】第62回

 今回は、直接経口抗凝固薬(DOAC)の服薬理由を検討し、医師との連携によって中止した事例を紹介します。心房細動や脳梗塞の2次予防で服薬しているケースでは、出血リスクなどで一時的に中止できることはあるかと思います。皆さんは新患対応時に、服用薬の理由をどのように確認していますか? 現病歴や既往歴など情報収集を丁寧に行うことで、エンドポイントや目標ラインに合わせて治療を最適化することが可能です。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患認知症(病型は不明)、右大腿骨近位部骨折介護度要介護2服薬管理施設職員が管理処方内容1.エドキサバン錠30mg 1錠 分1 朝食後2.アセトアミノフェン錠200mg 6錠 分3 毎食後本症例のポイントこの患者さんは右大腿骨頸部骨折の手術後にリハビリ調整なども完了して施設入居となりました。持参薬確認と契約のタイミングが合ったため、訪問時に施設スタッフに情報連携をとりました。施設スタッフからは、施設内は歩行器補助を利用しながら移動していて、さらに夜間にベッドから滑り落ちることが続いていると聴取しました。転倒・転落のリスクがあることから抗凝固薬の出血リスクが懸念されます。入居時の情報連携文書としては、診療情報提供書と看護サマリがありましたが、エドキサバンの服用理由がなく、基礎疾患にある右大腿骨遠位部の骨折後の疼痛コントロールのためにアセトアミノフェンの服用を続けていることだけが記録されていました。服用理由の不明な抗凝固薬が“もやもやポイント”であったことから、仮説として近位部骨折手術時に深部静脈血栓症を予防するためにDOACを服用開始したのではないかと想定しました。大腿骨近位部骨折は、深部静脈血栓症の高リスク群に位置付けられている1)ことから、DOACによる抗凝固療法の予防内服が推奨されています。投与期間は、手術後12時間を経過し、出血がないことを確認して11〜14日間の経口投与が推奨1)されており、15日間以上投与した場合の有効性および安全性は検討されていません。この患者さんは施設入居1ヵ月前に手術をしており、15日を超えて服用している状況であることから、仮説どおりの深部静脈血栓症の予防投与であれば有効性・安全性の観点からも中止してよいのではないかと考えました。医師への相談と経過訪問診療時に医師に同席し、エドキサバン服用理由について前医からの情報提供などがあったかどうか確認しました。前医からのDOAC服用理由についての詳細な情報提供がなく、心房細動の既往もないので疑問に思っていたと医師から返答がありました。そこで医師と協力し、入院していた医療機関に問い合わせを行ったところ、薬剤部担当者から深部静脈血栓症予防が終了せずにそのまま服用を続けていたことが発覚しました。前医からは、術後の血管エコーなどの結果からもDOAC終了で問題ないとの返答があり、エドキサバンは終了することとなりました。患者さんは疼痛も安定していたこともあり(可動時の膝関節周りの疼痛なし:NRS0/10)、医師と相談してアセトアミノフェン200mg 4錠 分2 朝夕食後のみに減量することとなりました。1週間後のモニタリングで疼痛悪化はなく、体動時の疼痛もなかったことから、1週間後の診察で再度医師に相談してアセトアミノフェンは頓用に変更しました。その後、疼痛増悪や頓用の使用もなく経過安定しています。1)日本循環器学会編. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)

55.

脳卒中の発熱予防は機能回復に有用か?/JAMA

 急性脳血管障害の患者では、発熱の標準治療と比較して、自動体表温度管理装置(Arctic Sun体温管理システム)を用いた予防的正常体温療法による発熱予防は、発熱負荷を効果的に減少させるが、機能回復には改善を認めないことが、米国・Boston University Chobanian and Avedisian School of MedicineのDavid M. Greer氏らが実施した「INTREPID試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年9月25日号に掲載された。7ヵ国のICUの無作為化試験 INTREPID試験は、7ヵ国の43の集中治療室(ICU)で実施した非盲検無作為化試験であり、2017年3月~2021年4月に参加者を登録した(Becton, Dickinson and Companyの助成を受けた)。 年齢18~85歳、急性期脳卒中でICUに入室し、脳卒中発症前は機能的に自立していた患者(修正Rankin尺度[mRS]スコアが0~2点、81~85歳の患者については0点)を対象とした。 被験者を、発熱予防を受ける群または標準治療を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。発熱は、体温38.0℃以上と定義した。発熱予防群では、目標体温を37.0℃とし、ICUで14日間またはICU退室まで、自動体表温度管理装置による体温管理療法を行った。標準治療群では、38℃以上の体温の発生時に標準化された段階的な発熱治療を実施した。 主要アウトカムは1日平均発熱負荷とし、37.9℃以上の体温曲線下面積(総発熱負荷)を急性期の総時間数で割り、24時間を乗じた値(℃・時)と定義した。主な副次アウトカムは、mRS(0点[症状なし]から6点[死亡]までの7段階のうち5点[重度障害]と6点を1つに統合した6カテゴリー)のシフト分析による3ヵ月間の機能回復であった。 予定されていた中間解析で、発熱予防群における主な副次アウトカム(機能回復)の無益性が示されたため、患者登録を中止した。3つのサブタイプとも発熱負荷が良好 677例(年齢中央値62歳、女性345例[51%])を登録し、発熱予防群に339例、標準治療群に338例を割り付けた。677例のうち254例が脳梗塞、223例が脳出血、200例がくも膜下出血だった。433例(64%)が12ヵ月間の試験を完了した。 1日平均発熱負荷は、標準治療群が0.73(SD 1.1)℃・時(範囲:0.0~10.3)であったのに対し、発熱予防群は0.37(1.0)℃・時(0.0~8.0)と有意に低かった(群間差:-0.35°C・時、95%信頼区間[CI]:-0.51~-0.20、p<0.001)。 また、脳卒中サブタイプ別の発熱負荷の群間差は、脳梗塞が-0.10°C・時(95%CI:-0.35~0.15)、脳出血が-0.50°C・時(-0.78~-0.22)、くも膜下出血が-0.52°C・時(-0.81~-0.23)といずれも発熱予防群で良好だった(すべてp<0.001[Wilcoxonの順位和検定])。 一方、3ヵ月の時点で、機能回復には両群間に有意な差を認めなかった(mRSスコア中央値:発熱予防群4.0点vs.標準治療群4.0点、機能的アウトカムの良好な転換のオッズ比:1.09、95%CI:0.81~1.46、p=0.54)。主要有害事象の年間発生率は同程度 急性期におけるすべての主要有害事象(死亡、肺炎、敗血症、悪性脳浮腫)の発生率には両群間で顕著な差はなく、試験期間を通じた発生率(発熱予防群:3ヵ月時47.4%、6ヵ月時48.9%、12ヵ月時49.5%、標準治療群:44.9%、47.9%、48.5%)にも差を認めなかった。 感染症の発生率は、発熱予防群(33.8%)と標準治療群(34.5%)で同程度であった。心イベント(14.5% vs.14.0%)、呼吸器障害(24.5% vs.20.5%)についても両群間に顕著な差はなかった。また、悪寒が発熱予防群で85.5%、標準治療群で24.3%にみられ、発熱予防群の26例(7.7%)が悪寒により治療を中止した。 著者は、「本研究は、発熱リスクの高い患者、とくに72時間以上のICUでの治療を要する重症患者を対象としたが、標準治療群の25%は発熱せず、両群は慎重にマッチングされたため発熱予防群のかなりの割合の患者も発熱しにくかった可能性があり、発熱予防はこれらの患者のアウトカムには影響しない可能性がある」と述べ、「発熱予防が、発熱負荷のある患者または発熱の可能性が非常に高い患者においてのみ、アウトカムを改善するかどうかについては、さらなる検討が必要である」としている。

56.

禁煙すると心房細動のリスクは短期間で低下する

 喫煙は心房細動のリスク因子だが、禁煙に成功するとそのリスクは速やかに低下することが明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のGregory Marcus氏らの研究によるもので、詳細は「JACC: Clinical Electrophysiology」に9月11日掲載された。研究者らは、「元喫煙者だからといって心房細動になると運命付けられてはいない」と述べている。 心房細動は不整脈の一種で、心臓の上部にある心房と呼ばれる部分が不規則に拍動する病気。このような拍動が現れた時の自覚症状として、動悸やめまいなどを生じることがある。しかしより重要なことは、心臓の中に血液の塊(血栓)が形成されやすくなり、その血栓が脳の動脈に運ばれるという機序での脳梗塞が起こりやすくなる点にある。このようにして起こる脳梗塞は、梗塞の範囲が広く重症になりやすい。 喫煙と心房細動の関連について、本論文の上席著者であるMarcus氏は、「喫煙が心房細動のリスクを高めるという強力なエビデンスがある。しかしその一方で、喫煙者が禁煙した場合の心房細動に関するメリットは明らかでなかった」とし、「われわれは禁煙によって心房細動の発症リスクが下がるのか、それともリスクは変わらないのかを知りたかった」と、研究背景を述べている。 この研究には、英国の大規模疫学研究「UKバイオバンク」に参加している現喫煙者や元喫煙者、14万6,772人(平均年齢57.3±7.9歳、女性48.3%)のデータが用いられた。このうち10万5,429人(71.8%)は元喫煙者、3,966人(2.7%)は研究期間中に禁煙した人で、3万7,377人(25.5%)は喫煙を続けていた。 平均12.7±2.0年の追跡で、1万1,214人(7.6%)が心房細動を発症した。年齢、性別、人種、BMI、教育歴、心血管合併症の既往、飲酒習慣、累積喫煙量(パックイヤー)を調整した上で心房細動の発症リスクを比較。すると、現喫煙者を基準として元喫煙者ではリスクが13%低く(ハザード比〔HR〕0.87〔95%信頼区間0.83~0.91〕)、研究期間中に禁煙した人では18%低かった(HR0.82〔同0.70~0.95〕)。 この結果についてMarcus氏は、「喫煙者に対し、今から禁煙したとしても遅すぎることはなく、また過去の喫煙歴があるからといって心房細動を発症する運命にあるわけではないことを示す、説得力のある新たなエビデンスを得られた。現在喫煙している人や長年喫煙してきた人でも、禁煙によって心房細動のリスクを下げられる」と話している。同氏はまた米国心臓病学会発のリリースの中で、「われわれの研究結果はおそらく、禁煙後には速やかに心房細動のリスクが低下することを示しているのではないか」とも述べている。

57.

非造影CT評価の広範囲脳梗塞、血栓除去術併用は優越性示せず/JAMA

 発症後24時間以内で非造影CTにより広範囲脳梗塞が認められた患者では、内科的治療のみと比較し血栓除去術の併用は90日時の機能的アウトカム改善に関して優越性は示されなかった。米国・Texas Stroke InstituteのAlbert J. Yoo氏らTESLA Investigatorsが、米国47施設で実施された非盲検評価者盲検、ベイジアン・アダプティブ・デザインの第III相無作為化試験「Thrombectomy for Emergent Salvage of Large Anterior Circulation Ischemic Stroke:TESLA試験」の結果を報告した。最近の広範囲脳梗塞の血栓除去術に関する臨床試験は、患者の選択に関して画像診断法や時間枠が不均一であった。非造影CTは最も一般的な脳卒中画像診断法であるが、発症後24時間以内に非造影CTのみで確認された広範囲脳梗塞に対する血栓除去術の有効性は不明であった。JAMA誌オンライン版2024年9月23日号掲載の報告。90日時の機能的アウトカムを内科的治療のみと比較 研究グループは、症状発現から24時間以内で、NIHSSスコアが6以上、内頸動脈または中大脳動脈M1セグメントの閉塞を認め、修正Rankinスケール(mRS)スコアが0~1、非造影CTでASPECTSスコア2~5の大きな梗塞を呈する18~85歳の患者を、血栓除去術+内科的治療群(介入群)または内科的治療単独群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 有効性の主要エンドポイントは、効用加重修正Rankinスケール(UW-mRS、範囲:0[死亡または重度障害]~10[症状なし]、臨床的に意義のある最小変化量0.3)の平均スコアを用いて測定した90日時の機能的アウトカムの改善で、事前に規定した優越性の事後確率閾値は片側0.975以上とした。 安全性の主要エンドポイントは90日死亡率、副次エンドポイントは症候性頭蓋内出血および画像による頭蓋内出血であった。 2019年7月16日~2022年10月17日に302例が無作為化された(最終追跡調査は2023年1月25日)。UW-mRSスコア平均値は2.93 vs.2.27で有意差なし 無作為化された302例のうち、同意撤回などにより治療前に2例が除外され、解析対象は300例(介入群152例、対照群148例)で、女性が138例(46%)、年齢中央値は67歳であった。297例が90日間の追跡調査を完了した。 90日時のUW-mRSスコア平均値(±SD)は、介入群2.93±3.39、対照群2.27±2.98で、補正後群間差は0.63(95%信用区間[CrI]:-0.09~1.34、優越性の事後確率0.96)であった。 90日死亡率は、介入群35.3%(53/150例)、対照群33.3%(49/147例)であり、両群で同程度であった。24時間以内の症候性頭蓋内出血は、介入群で4.0%(6/151例)、対照群で1.3%(2/149例)に発現した。また、脳実質内出血タイプ1が介入群で9.5%(14/148例)、対照群で2.7%(4/146例)、脳実質内出血タイプ2がそれぞれ9.5%(14例)、3.4%(5例)、くも膜下出血が16.2%(24例)、6.2%(9例)に認められた。

58.

脳梗塞発症後4.5時間以内、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/JAMA

 発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法が適応となる急性虚血性脳卒中患者において、90日後の機能的アウトカムに関してtenecteplaseはアルテプラーゼに対して非劣性であることが認められ、安全性プロファイルも同様であった。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXia Meng氏らが、同国の55施設で実施した無作為化非盲検(評価者盲検)第III相非劣性試験「ORIGINAL試験」の結果を報告した。tenecteplaseはアルテプラーゼの遺伝子組み換え体で、フィブリン特異性が高く半減期が長いことから、単回ボーラス投与が可能である。tenecteplaseはアルテプラーゼと比較して、90日後の機能的アウトカム、死亡率、症候性頭蓋内出血の発生率が同等であることが報告されているが、中国人の急性虚血性脳卒中患者に対するtenecteplase 0.25mg/kgの有効性に関するエビデンスは限られていた。著者は、「本試験の結果は、脳梗塞発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法として、tenecteplaseはアルテプラーゼに代わる適切な治療法であることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年9月12日号掲載の報告。90日後のmRSスコア0または1の割合を比較 研究グループは、脳卒中重症度評価スケール(NIHSS)スコアが1~25で測定可能な神経学的欠損を有し、症状が30分以上持続しており、症状発現後4.5時間以内の18歳以上の急性虚血性脳卒中患者を、tenecteplase(0.25mg/kg静注)群とアルテプラーゼ(0.9mg/kg静注)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、90日時に修正Rankinスケール(mRS)スコア0または1を達成した患者の割合で、非劣性マージンはリスク比(RR)の95%信頼区間(CI)の下限が0.937とした。安全性アウトカムは、試験薬投与終了後36時間以内の症候性頭蓋内出血、90日以内の全死亡、90日時のmRSスコア5または6であった。 2021年7月14日~2023年7月14日に1,504例がスクリーニングされ、このうち1,489例が無作為化された(tenecteplase群744例、アルテプラーゼ群745例)。tenecteplaseの非劣性を検証、症候性頭蓋内出血および90日全死亡は同等以下 1,489例のうち、治療を受けなかった21例と、無作為化手続き完了前に治療を開始したことが判明した3例を除く、計1,465例が有効性の解析対象集団となった。患者背景は、年齢中央値66.0歳、女性446例(30.4%)であった。 90日時にmRSスコア0または1を達成した患者の割合は、tenecteplase群72.7%(532/732例)、アルテプラーゼ群70.3%(515/733例)で、tenecteplaseのアルテプラーゼに対する非劣性が検証された(RR:1.03、95%CI:0.97~1.09、p=0.003)。 症候性頭蓋内出血は、各群で9例(1.2%)に発生し(RR:1.01、95%CI:0.37~2.70)、そのうち、tenecteplase群の3例、アルテプラーゼ群の5例が死亡した。 90日死亡率は、tenecteplase群4.6%(34/732例)、アルテプラーゼ群5.8%(43/733例)であった(RR:0.80、95%CI:0.51~1.23)。

59.

頭蓋内動脈高度狭窄、バルーン血管形成術+積極的内科治療は?/JAMA

 症候性の頭蓋内アテローム性動脈硬化性狭窄(sICAS)患者において、積極的内科治療とバルーン血管形成術の併用は積極的内科治療のみと比較し、試験登録後30日以内の脳卒中または死亡、および30日以降12ヵ月後までの狭窄血管領域の虚血性脳卒中または血行再建の複合リスクが統計学的有意に低下した。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXuan Sun氏らBASIS Investigatorsが、同国の31施設で実施した無作為化非盲検試験「BASIS試験」の結果を報告した。これまでの無作為化試験では、sICAS患者において積極的内科治療より血管内ステント留置術が優れるとの結果は示されていなかったが、バルーン血管形成術については検討されていなかった。著者は今回の結果について、「バルーン血管形成術と積極的内科治療の併用はsICASに対する有効な治療法である可能性が示唆されるものの、実臨床ではバルーン血管形成術後30日以内の脳卒中または死亡のリスクを考慮する必要がある」とまとめている。JAMA誌2024年10月1日号掲載の報告。30日以内の脳卒中/死亡と30日~12ヵ月の虚血性脳卒中/血行再建の複合を評価 研究グループは、35~80歳で、抗血栓薬または血管危険因子の管理を含む治療を1種類以上受けるも、頭蓋内脳主幹動脈の70~99%のアテローム性動脈硬化性狭窄に起因した初発または再発の一過性脳虚血発作(登録前<90日)または虚血性脳卒中(登録前14~90日)を発症した患者を、バルーン血管形成術+積極的内科治療群または積極的内科治療単独群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 積極的内科治療は、アスピリン100mg/日に登録後90日間はクロピドグレル75mg/日を併用し、リスク因子管理として高血圧や糖尿病の管理、禁煙や運動などの生活習慣の改善を行った。 主要アウトカムは、登録後30日以内の脳卒中または死亡、あるいは登録後30日~12ヵ月以内の狭窄血管領域の虚血性脳卒中または血行再建の複合であった。 2018年11月8日~2022年4月2日に、1,409例が適格性を評価され、512例が無作為化された(バルーン血管形成術群256例、積極的内科治療単独群256例)。その後、同意撤回などにより11例が除外され、主要解析対象集団は501例(それぞれ249例、252例)となった。最終追跡調査日は2023年4月3日であった。イベント発生率はバルーン血管形成術群4.4% vs.積極的内科治療単独群13.5% 主要解析対象集団501例の患者背景は、年齢中央値58.0歳、女性が158例(31.5%)であった。 主要アウトカムのイベントは、バルーン血管形成術群で11例(4.4%)、積極的内科治療単独群で34例(13.5%)に発生し、バルーン血管形成術群で発生率が有意に低かった(ハザード比:0.32、95%信頼区間:0.16~0.63、p<0.001)。 副次アウトカムである登録後30日以内のあらゆる脳卒中または死亡は、バルーン血管形成術群で8例(3.2%)、積極的内科治療単独群で4例(1.6%)報告された。登録後30日~12ヵ月の狭窄血管領域の虚血性脳卒中の発生率はそれぞれ0.4%および7.5%、狭窄血管の血行再建はそれぞれ1.2%と8.3%であった。症候性の頭蓋内出血の発生率は、バルーン血管形成術群で1.2%、積極的内科治療単独群で0.4%であった。 バルーン血管形成術群では、手技に伴う合併症が17.4%、動脈解離が14.5%の患者に発生した。

60.

えっ?NEJM?(解説:後藤信哉氏)

 心房細動を合併する安定期冠動脈疾患では、過去のランダム化比較試験の結果を考えると多数の抗血栓治療の組み合わせが考えられる。多数の組み合わせの中から抗凝固薬エドキサバン単剤とエドキサバン/抗血小板薬併用の有効性、安全性がオープンラベルのランダム化比較試験にて検証された。試験のエンドポイントは12ヵ月以内の死亡、心筋梗塞、脳梗塞、全身塞栓症、予定されなかった緊急冠動脈インターベンション、重篤な出血の複合エンドポイントであった。血栓・出血を含み、さらにソフトな緊急冠動脈インターベンションも含めてイベントリスクが見掛け上増加している。東アジアの韓国で施行された試験であり、一般的に臨床的なイベントリスクが低い。clinically relevant non major bleedingとany bleedingの数が抗血栓薬併用群で増加していた。 循環器領域のランダム化比較試験が以前に比較して少ない、心房細動と慢性期冠動脈疾患を対象とした試験は日本で施行されたAFIREなど少ない、との前提でもNEJMに掲載された論文としてのインパクトは大きくない。

検索結果 合計:718件 表示位置:41 - 60