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edaravone dexborneol、急性期脳梗塞患者の機能アウトカムを改善か(解説:内山真一郎氏)

 edaravone dexborneolは、中国で開発されたエダラボンとdexborneolの合剤であり、日本で使用されている注射薬のエダラボンと異なり、舌下錠であり、エダラボンの抗酸化作用とdexborneolの抗炎症作用を併せ持つことから、エダラボンの単剤よりも多面的な神経保護効果が期待されている。前回行われたTASTE試験では、再灌流療法を受けていない急性虚血性脳卒中患者においてedaravone dexborneolはエダラボンを上回る転帰改善効果が報告されている。 今回のTASTE-2試験では、発症後24時間以内の症例において再灌流療法前にedaravone dexborneol(4対1の割合)またはプラセボを静脈内投与し、その後10~14日間投与して90日後の転帰を改変ランキンスケール(mRS)で評価したところ、mRS 0~2の転帰良好例はプラセボと有意差がなかったが、重症度(NIHSS)と虚血病巣の広がり(ASPECTS)にミスマッチがあった症例に限定すると、転帰良好例は実薬群で有意に多かった。今後、この薬剤が世界標準の治療薬として認められるには、中国外での臨床試験により有効性を検証する必要がある。エダラボンは日本で開発された薬剤であり、日本で脳梗塞急性期治療薬として広く用いられているが、今のところ、日本では本薬剤の臨床試験は計画されていないようである。

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ステント重視? 心房細動重視?(解説:後藤信哉氏)

 「ステント血栓症には抗血小板薬」「心房細動の脳卒中予防には抗凝固薬」のように、適応症、製薬企業によるマーケティング戦略は切り分けられていた。血栓予防には、抗凝固薬、抗血小板薬ともに有用であるが、いずれも出血合併症を増加させる。抗血栓効果は抗凝固薬のほうが強いが、出血合併症も多いという状況で冠動脈にはステントを入れた心房細動例の至適抗血栓が探索された。ステント治療後の標準療法である抗血小板薬併用療法のみでも重篤な出血合併症は多発する。抗凝固薬を併用すると出血イベントリスクは著しく増加してしまう。抗血小板薬ないし抗凝固薬を止めて出血イベントリスクを受け入れ、可能なレベルまで低減させる必要がある。 冠動脈疾患に対するステント治療後の血栓イベントリスクは時に致死的である。本試験ではステント留置後最低1年経過している心房細動合併例を、抗凝固薬単剤と抗凝固薬・P2Y12 ADP受容体阻害薬群にランダムに振り分けた。本研究はプラクティカルな研究であるため、有効性と安全性の複合エンドポイントが用いられた。エンドポイントは総死亡・心筋梗塞・ステント血栓症・脳梗塞・全身性塞栓症・重篤な出血イベントである。複合エンドポイントが複合的すぎて検証された仮説は明確とは言えなくなっている。しかし、重篤な出血も含めたイベントリスクが単剤群にて9.6%、抗凝固薬とP2Y12阻害薬の併用群では17.2%であったので、実臨床では1年以上経過した症例は抗凝固薬単剤でよいとの結論には、とくに反対ではない。 NEJMは臨床医学の最高権威の雑誌であるが、本研究は複合エンドポイントを用いた仮説が明確でない研究であり、また研究が施行されたのが韓国のみであるため一般性にも疑問が残る。NEJMの掲載競争は以前ほどtightではないのかもしれない。

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高齢者だから一律に減量・ICI単剤ではない!【高齢者がん治療 虎の巻】第6回

講師紹介<今回のPoint>高齢者にも適応可能な標準治療が増えており、「高齢だから治療しない」という考えはもはや通用しない。免疫チェックポイント阻害薬は、高齢者でも適切に使えば有効性があり、副作用リスクとのバランスを見ながら“使いどころ”を見極めることが重要。ベストサポーティブケアは多職種と共有しながら日常診療に組み込むことで実践的な価値が生まれる。<症例>81歳、男性。嗄声のため耳鼻科を受診したところ胸部CTで左肺に腫瘤を指摘された。精査の結果、肺腺がんStageIVB(骨転移、副腎転移あり)と診断され、本人は積極的な治療を希望している。既往に高血圧、脂質異常症、脊柱管狭窄症があり、Performance Status(PS)は1。82歳の妻と同居しているが、妻は脳梗塞後遺症のため介護が必要である。息子夫婦は車で40分程度の地域で生活している。娘は他県に嫁いでおり、治療のサポートは困難である。遺伝子変異検査ではドライバー変異なしPD-L1 TPS 5%G8:11点(失点項目:年齢、併用薬数、BMI、食事量の減少など)CARGスコア:platinum-doubletを想定 11点[高リスク(陽性項目:年齢、転倒歴、歩行)]多職種カンファレンスで治療方針を決定することになった。「高齢だから治療しない」はもう古い―肺がん治療にエビデンスあり75歳の日本人の平均余命は、男性で12.13年、女性で15.74年とされています1)。一方、切除不能・進行非小細胞肺がんでベストサポーティブケア(BSC)のみが行われた場合、予後は一般に1年未満です。そのため、明らかな命に関わる併存疾患がない場合には、遺伝子変異が陰性であっても、暦年齢のみで治療を見送るのではなく、何らかの積極的治療を検討する必要があります。以下は70歳以上を対象とした主な非小細胞肺がんの臨床試験の要約です。(表1)画像を拡大する免疫チェックポイント阻害薬の有効性と“使いどころ”現在、ドライバー遺伝子変異が陰性の非小細胞肺がんに対しては、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を中心とした治療が1次治療の主軸となっています。しかしながら、高齢者に対してICIをどのように使用するのかの指針はなく、irAE管理の問題から高齢者には使用しにくいという声もあると聞きます。以下に、ICI関連の高齢者を対象とした臨床試験をまとめます。(表2)画像を拡大するNEJ057試験の結果からは、一部の高齢者ではICI単剤が適切と考えられることが示唆されており、どのような患者がその適応となるかを見極めることが重要です。また、免疫老化の影響から高齢者ではICIの効果が劣る可能性が指摘される一方で、臨床試験の結果からは、高齢者こそICIの恩恵を受ける可能性があるとも考えられます。治療選択にあたっては、PD-L1発現、腫瘍サイズや転移部位といった腫瘍側の因子に加えて、個々の免疫状態を考慮することが重要です。暦年齢にとらわれず、適切な症例選択を行うことで、ICI治療の真の価値を引き出すことが可能になります。高齢者機能評価(GA)の日常診療での有用性筆者らは、根治的治療が困難な75歳以上の非小細胞肺がん患者1,020例を対象に、患者満足度を主要評価項目としたクラスターランダム化第III相比較試験「ENSURE-GA study」を実施しました。本試験は全国78施設に協力いただき、治療開始前にGAを実施し、その結果を患者・家族と共有するとともに多職種チームにより脆弱性を認めた項目に関してできる限り介入をする群(GAM群)と、GAの結果は提供せず通常通りに診療を実施する非介入群(SC群)に施設をランダム化しました。その結果、GAM群では患者満足度が有意に上昇することが明らかとなりました2)。また、本試験では開始前と終了後に参加施設へアンケート調査を実施したところ、試験開始時にGAを日常診療で実施している施設の割合は25%にとどまっていました。ところが、2022年の試験終了時には、GA導入率は56%と大幅に上昇していました。さらに、「GAの実施は日常診療に役立ったか?」という問いに対しては、すべての施設から「役立った」との肯定的な回答が得られています。これらの結果は、GAの実施が患者満足度を向上させるのみならず、医療現場への定着・活用を促す実践的な意義を示しています。今後は、治療適応の見極めにとどまらず、患者の価値観や希望に基づいた支援を継続的に提供するための枠組みとして、GAのさらなる普及が期待されます。冒頭の症例の治療選択肢に正解はないと思います。GA結果を患者と家族に提示しつつ、患者の希望や環境に合わせた治療を、医療者とともに納得して選択した治療内容が正解だと思います。どの治療を選ぶとしても食事量の低下や転倒歴への対応、有害事象を早めに覚知できる体制を構築してから治療を開始することが重要です。日本人肺がん患者におけるG8とCARGスコア:ENSURE-GA試験より第2回ではG8(Geriatric 8)、第5回ではCARGスコア(Cancer and Aging Research Groupスコア)を紹介しましたが、いずれも「日本では妥当性が検証されていない点に注意」と述べました。ENSURE-GA試験では、これらのスクリーニングツールについて日本人肺がん患者における実際の妥当性を検討しています。G8については、国際的なカットオフ値である14点を用いた場合、91.4%(908例中834例)が陽性と判定され、ほとんどの症例が「脆弱性あり」とされました3)。この結果は、「日本人高齢者においては従来の基準は過度に感度が高過ぎる可能性」を示唆しており、日本人に適したカットオフ値の再検討や、肺がん患者に特化した新たなスクリーニングツールの開発の必要性を浮き彫りにしています。現時点では、75歳以上の非小細胞肺がん患者でG8が15点以上の症例は、上位10%の“お元気な”高齢者とみなすことができるため、ほぼperfect healthとして標準的治療を選択するといった活用法が有効です。一方、CARGスコアについては、治療レジメンごとに有害事象との関連を解析しましたが、Grade3以上の有害事象を予測するには十分な鑑別能は確認されませんでした(表3)4)。今後はがん種別・治療内容別に有害事象をより精緻に予測できる新たなスコアリングツールの開発が求められます。(表3)画像を拡大する1)厚生労働省:令和5年簡易生命表の概況2)Soda S, et al. J Clin Oncol. 2023;41:12041.3)中島和寿. 第64回日本肺癌学会学術集会(2023年). 「高齢肺癌患者における機能評価の有用性を検討するクラスターランダム化第III相試験 (ENSURE-GA study)」4)ASCO2024:Geriatric assessment in older patients with non-small cell lung cancer: Insights from a cluster-randomized, phase III trial-ENSURE-GA study (NEJ041/CS-Lung001).

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1月20日 血栓予防の日【今日は何の日?】

【1月20日 血栓予防の日】〔由来〕「大寒」に前後する、この時季は血栓ができやすいという背景と「20」を「ツマル」と語呂合わせして日本ナットウキナーゼ協会が制定。「ナットウキナーゼ」が血栓を溶解し、脳梗塞や心筋梗塞を予防する効果があることを啓発している。関連コンテンツ小児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)【すぐに使える小児診療のヒント】副作用編:下痢(抗がん剤治療中の下痢対応)【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】2日目のカレーは食中毒のリスク【患者説明用スライド】コーヒー摂取量と便秘・下痢、IBDとの関連は?心筋梗塞後の便秘、心不全入院リスクが上昇~日本人データ

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edaravone dexborneol、急性期脳梗塞患者の機能アウトカムを改善か/JAMA

 発症後24時間以内に血管内血栓除去術(EVT)を受ける急性虚血性脳卒中患者において、edaravone dexborneolの投与はプラセボと比較し、重篤な有害事象を増加させることなく90日時点の機能的自立を改善する傾向が認められた。中国・首都医科大学のChunjuan Wang氏らTASTE-2 investigatorsが、同国106施設において実施した研究者主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TASTE-2試験」の結果を報告した。edaravone dexborneolは、エダラボンとdexborneolを4対1の比率で配合した薬剤で、相乗的な抗酸化作用と抗炎症作用により脳細胞保護効果を発揮することが再灌流動物モデルで示されていた。これまでに再灌流療法を受けていない急性虚血性脳卒中患者の機能転帰を改善することが示されていたが、再灌流療法を受ける患者における有効性は不明であった。なお、今回の結果について著者は、「主に入院時にミスマッチが認められた患者集団によって得られたものと考えられる。今後、この集団を対象とした試験が必要である」とまとめている。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。血管内治療前に初回投与し10~14日継続、対プラセボの有効性・安全性を評価 研究グループは、18~80歳で、急性虚血性脳卒中と診断され、NIHSSスコア(範囲:0~42、高スコアほど神経学的機能障害が重度)が6~25、ASPECTS(範囲:0~10、低スコアほど梗塞範囲が大きい)が6~10で、前方循環の主幹動脈閉塞(内頸動脈、T字分岐または中大脳動脈のM1)を有し、発症後24時間以内にEVTが予定されている患者を、edaravone dexborneol群(1回37.5mg:エダラボン30mg+dexborneol 7.5mg)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日2回、10~14日間、各回30分かけて静脈内投与した。いずれも、EVT実施前(大腿動脈穿刺まで)に初回投与を行った。 有効性の主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])が0~2の機能的自立を達成した患者の割合。安全性の主要アウトカムは、重篤な有害事象であった。 2022年3月18日~2023年2月17日に1万4,233例がスクリーニングされ、1,362例が無作為化された(edaravone dexborneol群690例、プラセボ群672例)。このうち各群1例が、90日時点で追跡不能により有効性の解析から除外され、修正ITT集団1,360例を対象に解析が行われた。90日時点のmRSスコア0~2達成患者割合は、55.0%vs.49.6% 修正ITT集団において、edaravone dexborneol群では689例中379例(55.0%)、プラセボ群では671例中333例(49.6%)が90日時点で機能的自立を達成した(リスク比:1.11[95%信頼区間[CI]:1.00~1.23]、リスク群間差:5.4%[95%CI:0.1~10.7]、p=0.05)。 事前に規定されたサブグループ解析の結果、入院時にミスマッチ(NIHSSスコア10以上かつASPECTS 9以上、またはNIHSSスコア20以上かつASPECTS 7以上と定義)を有する患者において、edaravone dexborneol群とプラセボ群との違いが大きいことが示された(55.5%[178/321例]vs.42.9%[134/312例]、リスク比:1.29[95%CI:1.10~1.52]、リスク群間差:13.0%[95%CI:5.6~20.3]、交互作用のp=0.003)。 重篤な有害事象の発現割合は、edaravone dexborneol群27.2%(188/690例)、プラセボ群25.7%(173/672例)であり、両群で同程度であった(リスク比:1.06[95%CI:0.89~1.26]、リスク群間差:1.5%[95%CI:-3.2~6.2]、p=0.53)。

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一貫の幸福、循環器内科医が綴る「鮨」と「脂」の甘美な誘惑【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第92回

第一章:静寂のカウンターで出会う一貫の小宇宙「うん、旨い」と思わず心の中で声が弾みます。鮨屋の静かな空気の中で、最初の一貫を口に運ぶその一瞬は、何度繰り返しても特別な儀式です。舌に触れた瞬間にシャリがふわりとほどけ、酢の香りが鼻を抜け、ネタの旨みが怒涛のように押し寄せます。計算し尽くされた温度や切りつけ、そして職人が生み出すほんのわずかな間の妙が、こちらの乱れた感情まで整えてくれます。仕事の雑音は消え去り、世界はカウンターと目の前の一貫だけの純粋な空間に変わります。二貫目、三貫目と進むほど、最初の「旨い」が心地よく反響し、大将の鮮やかな所作や包丁がまな板を叩く音、差し出された熱いアガリの湯気までもが味の一部となって、私の記憶に静かに染み込んでいきます。私は、理屈抜きに鮨が好きなのです。第二章:漢字が語る「魚」と「旨」の熟成ロマンスところで、「鮨」という漢字の成り立ちは実に見事だと思いませんか。魚偏の右隣に「旨い」を添えて「鮨」と書くのは、まさに言い得て妙というほかありません。「旨」という字の源を辿ると、スプーンのような匙の中に甘いものが入っている様子を表しており、凝縮された美味しいものを意味しています。大昔の鮨は、今のような握り鮨の形ではなく、魚と米を塩で漬け込み、時間をかけて自然発酵させる「なれずし」であったそうです。つまり「鮨」とは、魚が熟成して旨くなった状態に重点を置いた文字なのです。他にも魚偏に「作る」と書く「鮓」という字がありますが、これは「酸っぱい」という意味を持っており、発酵による酸味や保存性を強調しています。現代で一般的な「寿司」という表記は、江戸時代に作られた縁起の良い当て字ですので、職人のこだわりや、ムラサキをひと塗りした魚そのものの味を強調したい私としては、あえて「鮨」という字を使いたいと考えます。第三章:脳をハックする「脂」という名の快楽物質さて、職業柄どうしても気付いてしまうのですが、「鮨」という字は「脂」という字にどこか似ています。循環器内科医である私が、日々の診療で嫌というほど目にする脂質異常症の要となる文字です。「脂」の偏である「月」は、夜空に輝く天体ではなく「肉」という字が簡略化された「にくづき」と呼ばれるものです。腹、腕、臓といった体の一部を表す漢字に使われる通り、「脂」とは体の中でも特にエネルギーが凝縮された美味しい部分を指しています。味覚において脂質がおいしさの鍵となることには、実は明確な科学的理由があります。脂質は風味のキャリアとして、旨味や香り成分を溶かし込む性質を持っています。水である唾液はすぐに飲み込まれて流れてしまいますが、適度な粘り気がある脂は舌の表面に薄い膜を作るため、味の成分が味蕾にとどまる時間が長くなり、私たちはそれを「コクがある」とか「余韻が長い」と感知するのです。さらに脂は口の中で体温によって溶け出し、そのとろける食感が脳に強力な快感を与えます。鼻を抜けるナミダの刺激さえも、脂の甘みを引き立てるアクセントに変わる。人間は長い飢餓の歴史を経てきたため、少量で高いエネルギーを得られる脂質を美味しいと感じるように、脳がしっかりとプログラミングされているのです。第四章:ステーキとハンバーグに隠された「脂」の増幅理論この脂質の誘惑は鮨だけではなく、サーロインステーキなどの肉料理でも同様です。牛肉において脂は、肉の繊維の中にある旨味を液体化させて舌のセンサーに届けるための、いわば天然の増幅器のような役割を果たしています。和牛が美味しい最大の理由は、単に脂の量が多いからではなく、脂の質そのものに秘密があります。和牛の脂には、オリーブオイルの主成分でもあるオレイン酸が含まれているのです。この性質を利用して、パサつきやすい赤身の塊肉に無数の針で和牛の脂を注入し、無理やりジューシーに仕上げる「牛脂注入肉」という技術も存在します。日本の法律では、これらを流通時に明記する義務がありますが、この「脂で旨味を補強する」という発想をより家庭的かつ合法的に活用した調理法が、みんなが大好きなハンバーグです。第五章:アミノ酸が爆発する「熟成」という名の魔法再び私がこよなく愛する鮨の話に戻りますが、鮨屋で「シマアジを3日寝かせた」「マグロを1週間置いた」と言うのは聞いたことがあると思います。単に柔らかくするためではありません。肉も魚も、死後しばらく経つと死後硬直によって一度は身が硬くなります。しかし、そこから適切な温度でじっくりと寝かせることで、細胞内の酵素が働き始めてタンパク質が分解され、グルタミン酸などのアミノ酸へと変わります。これこそが「旨味」の正体であり、素材のポテンシャルを最大限に引き出すために時間を調理道具として使う、人類の知恵が詰まった高度な技術です。「鮨」という漢字を選んだ先人たちは、魚が腐敗へと向かう一歩手前で旨味が爆発する瞬間を、見事に捉えていたと言えるでしょう。第六章:黄金の三角形が生み出す「もう一貫」の無限ループ世界中の都市で「Sushi」の看板を見かけるようになったのは、酢飯に含まれる「酢」が人間の味覚システムを完璧にハックしているからだと考えています。酸には脂のしつこさを切り、旨味を際立たせる効果があります。脂は旨味の運び役として優秀ですが、多すぎると口の中が脂の膜で覆われて味覚が鈍くなってしまいます。ここで酢の効いたシャリが登場し、脂の重たさを中和して口の中をさっぱりと洗い流してくれるのです。この「リセット」という役割において、忘れてはならないのがガリです。次のネタに移る前に舌を清める、味の句読点です。板場でお客の食べるペースを計り、食欲を適度に刺激するための調整役としての意味も込められています。鮨には「旨味・脂・酸」という黄金の三角形が揃っており、この完璧なサイクルがあるからこそ、私たちは「もう一貫」と飽きることなく食べ続けられるのです。鮨はまさに、一切れの魚を一つの完成された宇宙へと昇華させる究極のエンターテインメントと言えるでしょう。第七章:ドーパミンとLDL、幸福と代償のせめぎ合い脂の乗ったトロを口に含んだ瞬間、脳内ではドーパミンが放たれ、幸福感が一気に立ち上がります。これは人類が飢餓と共に生きてきた歴史の名残であり、「高エネルギーなものを見逃すな」という原始的な生存戦略のスイッチが入る瞬間でもあります。しかし循環器内科医としての私の視点は、どうしてもその先を見てしまいます。脂質の過剰摂取は、血中LDLコレステロールを増やします。本来は細胞に必要な物資を届ける運び屋ですが、余れば血管壁に居座り、静かに動脈硬化を進めていく厄介な同居人となります。心筋梗塞や脳梗塞は、ある日突然起こる出来事ではなく、日々の「美味しい」の積み重ねの延長線上にあります。では、鮨は不健康な誘惑なのでしょうか。私は、そうは思いません。なぜなら鮨という料理は、脂を無制限に肯定する構造にはなっていないからです。一貫は小さい。脂のピークは酢飯の酸で必ず切られる。ガリが入り、アガリで間が置かれる。これは快楽を暴走させないための、驚くほど理性的な設計です。ドーパミンを出しすぎず、LDLコレステロールを積み上げすぎないための、日本料理が長い時間をかけて編み出した安全装置と言ってもいい。最後に熱いアガリを啜り、ふっと我に返る。満腹ではなく、満ち足りて席を立つ、この感覚こそが鮨の真骨頂です。循環器内科医として断言します。本当に怖いのは脂そのものではありません。止まらない脂、考えずに摂る脂です。一貫ずつ供され、考えながら味わい、自然と箸が止まる。鮨とは、幸福と健康の折り合いを最初から織り込んで完成された料理なのです。だから私は今日も、安心してこう呟きます。「……もう一貫、お願いします」※登場した鮨屋の符牒……シャリ:米、アガリ:茶、ムラサキ:醤油、ナミダ:わさび、ガリ:生姜

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1月9日 風邪の日【今日は何の日?】

【1月9日 風邪の日】〔由来〕寛政7(1795)年の旧暦の今日、第4代横綱で63連勝の記録を持つ谷風 梶之助が風邪で亡くなったことに由来して制定。インフルエンザや風邪が流行する季節でもあることから、医療機関や教育機関で風邪などへの予防啓発で周知されている。関連コンテンツ今冬のインフルエンザ診療のポイント【診療よろず相談TV】急性呼吸器感染症の5類位置付けに関するQ&A【患者説明用スライド】風邪や咳症状に対する日本での市販薬使用状況は?「風邪のときのスープ」に効果はある?風邪予防にビタミンDは効果なし?~メタ解析

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「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」改訂のポイント

 2025年6月、日本認知症学会、日本老年精神医学会、日本神経学会、日本精神神経学会、日本老年医学会、日本神経治療学会の監修により、「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」が公表された1)。2016年の第2版公表から9年ぶりとなる今回の改訂では、最新のエビデンスと新規薬剤の登場を踏まえた、より実践的な治療アルゴリズムが示されている。 本稿では、本ガイドラインのワーキンググループの主任研究者を務めた筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学 教授の新井 哲明氏による解説を基に、改訂のポイントと臨床における留意点をまとめる。地域医療におけるBPSD対応の切実なニーズ 認知症患者数は2025年に約471万例、2060年には約645万例に達すると推計されている2)。認知症患者の60〜90%が最低1つは経験するとされるBPSD(行動・心理症状)は、患者本人のQOL低下や早期の施設入所リスクを高めるだけでなく、とくにBPSDにおける過活動・攻撃的行動は、介護者への負担増大により不適切なケアを誘発する「悪循環」を招く最大の要因となっている。 認知症におけるBPSD(行動・心理症状)は、心理症状として、抑うつ、不安、焦燥、無気力・無関心、妄想などがあり、行動症状として、興奮、大声を出す、叩くなどの攻撃的な行動、同じ行動を繰り返す常同行動、徘徊などがある。 この悪循環を防ぐためには、BPSDへの早期かつ適切な介入が不可欠である。地域での支援体制が不可欠であり、とくにかかりつけ医の役割が大きく、早期発見や家族支援、地域包括支援センターや専門医との連携を通じて、認知症の人と家族を支える役割が求められている。 新井氏が紹介した、かかりつけ医200人(内科、精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科)を対象としたアンケート調査では、以下の実態が明らかになった。・処方実態:非専門医であっても約8割がBPSDに対して抗精神病薬を処方している。・処方理由:「危険度が高い時」「介護負担が高い時」が主な理由となっている。・66%の医師が従来のガイドライン(第2版)を活用(参照・利用)している。 この結果は、地域医療の現場においてBPSDへの薬物療法がすでに広く行われていることを示唆しており、より安全で適正な使用指針の普及が急務であった。ガイドライン第3版:BPSDへの対応の原則 今回のガイドライン改訂(第3版)は、新規薬剤の登場やエビデンスの蓄積を反映し、より実践的なアルゴリズムへと刷新された。BPSDへの対応においては、まず以下の原則を順守することが重要となる。 原則として、「緊急性が高く速やかな薬物治療の開始を要するような精神症状が認められた場合には、認知症疾患医療センターを含めた認知症専門医がいる医療機関に紹介する」とされている。たとえば、重度のうつ状態、他者に危害を加える可能性が非常に高い妄想、自分自身や他者を危険にさらす原因となる攻撃性などがそれに相当する。 かかりつけ医・認知症サポート医で対応する場合は以下を考慮する。・せん妄の除外・BPSD様症状を引き起こし得る病態の鑑別:感染症、脱水、便秘、疼痛など・BPSD様症状を引き起こし得る薬剤の除外・レビー小体型認知症の可能性:幻視や妄想、抗精神病薬への過敏性に注意が必要 上記のとおり病態を把握した後、環境調整、ケアの変更、リハビリテーションの利用など、非薬物的介入を優先する。症状が改善しない場合にのみ薬物療法を検討する。薬物治療を開始する際は、低用量で開始する。 向精神薬を使用する場合には、本人・家族との共同意思決定(SDM:Shared Decision Making)のプロセスを経ることが明記された。本人の意思が確認できる場合は、アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)などによる話し合いを尊重し、本人の理解が不十分な場合や意思が確認できない場合は、家族などと繰り返し話し合い、本人の推定意思と最善利益を踏まえて方針を決定する。向精神薬の使用中は常に減量・中止を念頭に置き、長期使用は避ける、などが明記されている。5つのカテゴリー分類とアルゴリズムの明確化 第2版からの大きな変更点として、BPSDの症状分類が整理された。「過食・異食・徘徊・介護の抵抗」といった薬剤効果が乏しい症状は独立カテゴリーから外れた(非薬物的対応を推奨)。症状は以下の5つに分類され、それぞれの対応方針がアルゴリズムで示されている。・幻覚・妄想:まずメマンチンや抑肝散の投与を検討する。これらにより標的症状が改善せず緊急性が高い場合、抗精神病薬の投与を検討する。レビー小体型認知症にみられる幻視には、まずコリンエステラーゼ阻害薬を投与することが望ましい。・易刺激性・焦燥性興奮(アジテーション):アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動または攻撃的言動に対しては、ブレクスピプラゾールが保険適用を有する。・不安・抑うつ:抗うつ薬やタンドスピロン、抑肝散、クエチアピンの使用を検討する。・アパシー:非薬物的介入が基本だが、コリンエステラーゼ阻害薬が有効なことがある。・睡眠障害:睡眠衛生指導や睡眠覚醒リズムの確立のための環境調整を行った上で、病態に応じてオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬、抗うつ薬(トラゾドン)の使用を検討する。 BPSDに対する薬剤開始後は、副作用のモニタリングを行った後、患者本人の苦痛や介護者/家族の負担が軽減したかどうかを評価する。NPI-Q(Neuropsychiatric Inventory - Questionnaire)を用いて効果の定量的な評価を行うことが望ましい。抗精神病薬の適正使用と各薬剤の臨床的位置づけ とくに介護負担の大きい易刺激性・焦燥性興奮(アジテーション)について、アルツハイマー型と診断された患者には、非薬物的介入が無効な場合、ブレクスピプラゾールのみ保険適用となっている。 クエチアピン、ハロペリドール、ペロスピロン、リスペリドンに関しては、原則として、器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認めるとの通達がある(2011年9月28日、厚生労働省保険局医療課長、保医発0928第1号、社会保険診療報酬支払基金、第9次審査情報提供)。このうち、ハロペリドールは錐体外路系副作用が強いことから、パーキンソン病、レビー小体型認知症には使用禁忌である。 チアプリドは、脳梗塞後遺症に伴う精神興奮・徘徊・せん妄に保険適用があるため、血管性認知症患者における易刺激性・焦燥性興奮に対して使用を考慮してもよい。 睡眠障害に対しては、睡眠薬の項の記載に従った薬剤選択を行い、それでも改善のない場合は、クエチアピンの使用を考慮してもよい。レビー小体型認知症の幻覚・妄想、易刺激性・焦燥性興奮、不安・抑うつ、睡眠障害に対しても、クエチアピンの使用を考慮してもよいと記載されている。 本ガイドラインでは、抗精神病薬の副作用についても詳細に記載されている。留意点として以下のような項目が記載されている。・抗精神病薬の併用(2剤以上)は避ける。・2週間くらいの時間をかけて薬効を評価する。・常に減量・中止が可能かを検討し、長期使用は避ける。抗精神病薬でBPSDが軽快した場合には、投与開始4ヵ月以内に減量・中止を試みる。ブレクスピプラゾールへの期待 2024年9月、ブレクスピプラゾールは「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する過活動又は攻撃的言動」に対し、国内で初めて効能・効果を取得した。・対象:易刺激性・焦燥性興奮といった内的な不穏を背景とする攻撃的言動に適応となる。単なる徘徊や、これらを伴わない幻覚・妄想は適応外である。・有効性:国内第II/III相試験(BRIDGE試験)において、CMAIスコア(アジテーション指標)を有意に改善させた。・安全性:錐体外路症状などの副作用リスクは比較的低いとされるが、他の抗精神病薬と同様に、傾眠、運動緩慢、流涎過多などへの注意は必要である。 本ガイドライン改訂を受けて、大塚製薬主催で6月23日に開催されたプレスセミナーにて、新井氏は自ら経験した症例として「夫婦間で、妻の妄想から暴言・暴力に発展したケース」を紹介した。ブレクスピプラゾールの投与によって症状が落ち着き、夫婦関係も良好になったことを挙げ、本剤が患者の在宅生活の継続に寄与する可能性を示唆した。 新井氏は、「ガイドラインが改訂され、治療アルゴリズムや薬剤の位置づけが明確化された。これらの情報が広くかかりつけ医・認知症サポート医に普及することで、より適切なBPSD診療が実現し、本人のQOL向上や介護負担の軽減といった社会的課題の解決につながることが期待される」と結んだ。

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外科医のキャリア終盤に思い出した 何でも診られる医者への憧れ【ReGeneral インタビュー】第3回

外科医のキャリア終盤に思い出した 何でも診られる医者への憧れ「手術だけしていればいい環境じゃなかった」そう語るのは、総合医育成プログラムを受講中の五本木 武志氏。卒後すぐに消化器外科でキャリアをスタートし、現在は28診療科・331床を持つ筑波学園病院の病院長として、最前線で地域医療を率いています。外科外来、救急、病棟診療に加え、病院運営まで担う多忙な身で、なぜ総合医育成プログラムを受講しているのか?その理由にキャリアの次の一手を探ります。即決受講の背景に 外科医としての“憧れ”と現場の必然――総合医育成プログラムの受講は即断即決だったと伺っています。その理由は。2024年2月にたまたま知人から総合医育成プログラムを紹介されて、即刻申し込みました。もともと、卒後6年間、消化器外科のレジデントとして筑波大附属病院にいた間、3年以上は、外の病院でありとあらゆる疾患の患者を診ていました。手術だけでなく打撲から肺炎まで、本当に何でもです。レジデント時代の指導教官は外科医で、本当に何でも診る先生でした。その人のようになりたいという憧れもありました。当時からちょこちょこ勉強はしていたけども手術が忙しくて体系的に学ぶ暇はもちろんありません。昔から総合的な診療を学びたい思いがあったので、話を聞いたときに、これだ!と思いました。もっとも、2024年は病院長になったのと重なって、ほとんど受講できませんでした。2025年に非同期型・同期型の混合学習1)になって、ようやく受けられるようになりました。修了要件まであと2単位。もうすぐ修了です。本では学べなかった“現場の勘所”を、プロから教わる――プログラムで扱うのは内科領域が多いと思います。専門外の講義を受ける感想は。正直にいって、すべてが楽しいです。肺炎だとか脳卒中だとか、わからないことはいままではすべて本で勉強してきました。周りに教えてくれる先生もいませんでしたから。ずっと持っていたのは、本にはこう書いてあるけど、実際に診るときはどうなっているんだろう、という疑問です。プログラムでは、領域ごとに専門医や総合医の先生から、教科書だけではカバーできない話が聞ける。肺炎ひとつにしても、こういうときはこういう肺炎を考える、こういう抗菌薬を使うといった、現場の勘所を教わるのが、皮膚科でも腎臓でも、血液内科でも、毎回楽しかったです。総合診療で光る外科医の嗅覚・待つ力を学ぶ挑戦――外科医だから苦労したことはありますか。そうですね、外科の早く結論を出したがる癖はあります。外科医って手術をするにしてもしないにしても、なるべく早く決断してすぐに実行したい。それが日常になっていて、様子を見るという選択に慣れていないところがあります。だから、内科の先生の待つ力、忍耐力はすごいなと思います。外科医の即断即決を活かすときと、ここは内科医の様子を見る力を使うという使い分けができてくるのが理想ですね。――外科医の特性が活きる場面は。そのとき一番重要な問題に切り込む習慣は、総合診療でも役立っていると感じます。外科医の嗅覚ともいえるかもしれません。何が一番やばくて問題なのかを嗅ぎ当てるんです。問題の核心に回り道せずに切り込んでいけるのは強みですね。もちろん、総合診療ではさまざまな情報を集めて結論を出す力が必須で、そこを内科の先生から学んでいます。膝関節穿刺を実演で教える熱意、コミュニケーションのプロから教わる人間力――印象的な講義はありましたか?整形外科の仲田和正先生のセッションは印象に残っています。膝関節穿刺のレクチャーで、ご自分の膝に針を刺して実演してくれた。こんな先生、そうそういません。こういう先生に教わる研修医は幸せだろうなと思いました。それから、ノンテクニカルスキルコースはどれも新鮮で面白かったです。MBTI2)やミーティング・ファシリテーション3)といった、医者になってからまず聞く機会のない分野の講義です。ノンテクの先生方は、相手のスタンスやものの見方をふまえて、人に教えるプロという感じです。どうしても医者は立場的に上から目線になりがちで、看護師やほかの医療者と話すとき、一方的になってしまう。それがノンテクのセッションを受けてから、相手の性格や考え方を推測して話す心の余裕ができてきた。たとえば「俺はこう思うけど、君の意見は?」ときくことができるようになりました。断定しすぎずに話す、相手に意見を求めることができることで、医療者・患者問わず、コミュニケーションによい影響があり、それが治療にもつながっていると感じています。次に受けるコーチングの授業も楽しみにしています。脳卒中から小児まで。幅広く診療に活きる学び――学んだことをどのように現場で使っていますか。毎日、ありとあらゆる場面で使っています。なぜかというと、週3回の外科外来のほかに、救急搬送・ウォークインで来る救急外来の対応も当番制で持っています。救急は若い先生たちが主だけど、忙しくて断らなくちゃいけないとなったときは俺を呼べと言ってあるので、最終的に誰も診る人がいない救急患者は僕に回ってきます。小児も肺炎も骨折も、何でもです。それに、うちのような一般病院は、病院として総合的に見る必要があって、救急診療科という部門を作りました。ここでの受け持ち患者が10人。疾患は脳卒中亜急性期、肺炎、尿路感染、脊椎圧迫骨折まで、本当にさまざまです。こういう何でも診る環境で、肺炎っぽい徴候の患者が来た、血液疾患を疑う患者が来たというとき、受講前は本やネットで調べていたのが、今はレクチャーの資料を引っ張り出しています。現場の目線で何を考えてどう進めるかが整理されていて、効率が圧倒的によくなりました。熱発の子どもが来たときに、身体のどんな兆候を一番先に診るか、除外すべき疾患、必要な検査、治療の選択肢がパッケージで出てくる。そういう感じでプログラムの内容は現場で助けてくれています。みんな受けた方がいいんじゃないかって思います。手術を若手に託した後、僕たちはどう働くか――もともと総合的な診療に興味があったとのことですが、いつから実際にいまの診療スタイルになってきたのですか。外科医は皆いつか手術をやめるときが来るでしょう。だいたい最初に目が見えなくなる。僕も老眼も始まる50代くらいから「救急領域に近いところで生きていかなくちゃいけない」と思い始めていました。今62歳で、手術は自分がやるよりも若い先生方に任せて引き継いでもらっています。手術をやめた後にどう医者を続けるかには、若手育成、管理職などいろいろ道があって、僕は以前から救急と総合診療に興味があったから今の働き方になっています。病院長になったので現場と管理を両輪で回している感じですね。トップが動くと病院が動く・現場で示すリーダーシップ――病院長として、総合医を病院内に増やすためにどのような取り組みをしていますか。僕がしているのは背中を見せること。上からやれと言っても、人は動かないと思うんです。今までうちの病院では誰も総合診療をしていなかったから、自分が患者を受け持って診る。僕たちはこういう診療をしていくぞと現場で示す。そうすると、病院が力を入れて向かっていく方向が明確になると思います。口で言うよりも効果があると信じています。立ち上げた救急診療科の医師はまだ2人。ここから同じ志を持つ仲間を増やしたい。背中を見せると同時リクルートも進めて、グループを大きくしたいと思っています。外科医の強みと総合診療で、医者として長く生きる――総合診療に興味を持った外科の先生方にメッセージを。総合診療をしてみようと思ったとき、外科のキャリアは非常に有利です。手術後は、肺炎になったり脳梗塞が起きたり、細かい不具合が次々と起きます。かといって、すぐに呼吸器内科や脳神経外科に転科するわけじゃない。そのまま外科で全身を診て、必要なら連携する。そこで外科医は患者全体を診る癖がついています。その経験は、総合医としての診療にも直結する。だから自信を持って学んでほしいです。切った後に全身を診てきた習慣や経験が大きな武器になります。高齢者はどんどん増えていて、専門だけやっていればいい病院が減っていくことは明らかです。「この疾患は、外科の領域ではない」と自分で線を引いていたら、世界がどんどん狭まってしまう。若い先生は若いうちから、そうでない先生は今から、自分の専門ではないと切り捨てずに、視野を広げ、関心を持つことが医者として長生きすることにつながるんじゃないかと思います。自信をもって新しいことを学んでみてください。 引用 1) 非同期型学習はeラーニングを用いた自己学習で、自分のペースでいつでもどこでも受講可能。同期型学習はWeb会議ツールを使用したライブ研修。土日祝の決められた時間にリアルタイムでグループディスカッションなどを行う 2) Myers-Briggs Type Indicatorの略称。ユングのタイプ論をもとにして開発された自己分析メソッドを活用した、 性格タイプ別コミュニケーションに関する研修 3) 医療チームにおけるミーティングを活性化させ、会議の質と効率を向上させるための、会議ファシリテーションの実践的スキルを学ぶ研修

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トランスジェンダー女性のホルモン治療は心血管リスクを高めない

 トランスジェンダー女性が、男性から女性への性別移行のために女性ホルモンの一種であるエストラジオールを使用しても、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることはないことが、新たな研究で示された。それどころか、トランスジェンダー女性に対するホルモン治療は、生まれつきの性別と性自認が一致するシスジェンダー男性と比べて、心臓や血管に対する保護的な効果がある可能性が示されたという。アムステルダム大学医療センター(オランダ)のLieve Mees van Zijverden氏らによるこの研究の詳細は、「European Heart Journal」に11月4日掲載された。 生まれつきの性別と性自認が一致しないトランスジェンダーの人は、胸の膨らみや低音の声など、自認する性により近い身体的特徴を得るためにホルモン治療を受けることを選択する人が多い。しかし過去の研究では、そのようなホルモン治療はトランスジェンダー女性の心血管イベントリスクの上昇と関連することが示唆されている。 Van Zijverden氏らは今回、Amsterdam Cohort of Gender Dysphoria(ACOG)のデータを用いて、トランスジェンダー女性2,714人、およびトランスジェンダー男性1,617人の健康状態を、一般人口と比較した。 その結果、エストラジオールを使用しているトランスジェンダー女性では、シスジェンダー男性と比べて心筋梗塞のリスクが50%低く(標準化罹患比0.50、95%信頼区間0.32〜0.71)、脳血管障害リスクは同程度であり(同0.94、0.72〜1.19)、静脈血栓塞栓症リスクは81%高い(同1.81、1.33〜2.35)ことが明らかになった。一方、トランスジェンダー男性では、シスジェンダー女性と比べて心筋梗塞リスクが約4倍高く(同4.20、2.72〜6.01)、脳血管障害リスクは55%高く(同1.55、1.01〜2.20)、静脈血栓塞栓症リスクは同程度(同1.00、0.53〜1.61)であった。 論文の上席著者でアムステルダム大学医療センター内分泌学教授のMartin den Heijer氏は、「先行研究では、トランスジェンダー女性の心筋梗塞や脳卒中のリスクがシスジェンダーの男性と比べて高い可能性が示唆されていた。われわれは、この結果に納得できなかった。今回の研究では、エストラジオールを使用しているトランスジェンダー女性において、心筋梗塞や脳梗塞のリスク上昇は認められなかった」とニュースリリースの中で説明している。同氏は、「エストラジオールには、心臓や血管を保護する作用があると考えられているが、今回の研究結果はそうした知見に合致するものだ」と指摘し、「今回の研究によって、長い間われわれを悩ませてきたパラドックスが解決された」と話している。 研究グループは、「全体として、これらの結果は、シスジェンダーの男性と女性の心血管リスクと一致していた。一般的に男性は女性よりも心臓の問題を抱えるリスクが高く、生殖器の違いがその一因となっている」と説明している。Van Zijverden氏は、「トランスジェンダー男性では、テストステロンの使用が血圧の軽度の上昇やコレステロール値の悪化を引き起こすことがあり、それによって心血管疾患のリスクが高まると考えられている」と説明している。 研究グループはまた、トランスジェンダー男性における心血管リスクの上昇には、ホルモン以外の要因も関与している可能性を指摘している。「そのため、今回の研究では、教育レベルや就労経験、収入などの生活習慣要因や社会経済的要因も考慮に入れて分析した。しかし、これらの要因ではリスク上昇のごく一部しか説明できないことが判明した」とvan Zijverden氏は説明する。同氏は、「トランスジェンダー男性のリスク上昇およびトランスジェンダー女性のリスク低下の正確な原因を明らかにするため、さらなる研究が必要だ」との見解を示している。

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アブレーション後のAF患者、長期DOAC投与は必要か/NEJM

 1年以上前に心房細動に対するカテーテルアブレーションが成功している脳卒中リスク因子を有する患者において、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)リバーロキサバンの投与は抗血小板薬アスピリンと比較して、3年後の時点での脳卒中、全身性塞栓症、新規潜因性塞栓性脳卒中の複合アウトカムの発生率を低減せず、大出血の頻度は同程度だが、小出血および臨床的に重要な非大出血の発生率が高いことが示された。カナダ・McGill UniversityのAtul Verma氏らOCEAN Investigatorsが国際的な臨床試験「OCEAN試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2025年11月8日号掲載の報告。6ヵ国の前向き無作為化試験 OCEAN試験は6ヵ国56施設で実施した研究者主導型の前向き非盲検(アウトカム評価者盲検)無作為化試験であり、2016年3月~2022年7月に参加者の無作為化を行った(Bayerなどの助成を受けた)。 試験登録の1年以上前に、非弁膜症性心房細動に対するカテーテルアブレーションに成功し、CHA2DS2-VAScスコア(0~9点、高スコアほど脳卒中のリスクが高い)が1点以上(女性および血管疾患がリスク因子の患者では2点以上)の患者1,284例(平均年齢66.3[SD 7.3]歳、女性28.6%、平均CHA2DS2-VAScスコア2.2[SD 1.1]点、同スコア3点以上の患者の割合31.9%)を対象とした。 これらの参加者を、アスピリン(施設の所在地域の入手可能状況に応じて70~120mg/日)群643例、またはリバーロキサバン(15mg/日)群641例に無作為に割り付け、3年間追跡した。 有効性の主要アウトカムは、脳卒中、全身性塞栓症、新規潜因性塞栓性脳卒中(MRI上で大きさが15mm以上の新規梗塞が1つ以上と定義)の複合とした。主要アウトカムの構成要素にも差はない 主要アウトカムのイベントは、リバーロキサバン群で5例(0.8%、0.31件/100人年)、アスピリン群で9例(1.4%、0.66件/100人年)に発生し、両群間に有意な差を認めなかった(相対リスク:0.56、95%信頼区間[CI]:0.19~1.65、3年時の絶対リスク群間差:-0.6%ポイント、95%CI:-1.8~0.5、p=0.28)。 副次アウトカムである脳卒中(リバーロキサバン群0.8%vs.アスピリン群1.1%、相対リスク:0.72、95%CI:0.23~2.25)、全身性塞栓症(0%vs.0%)、新規潜因性塞栓性脳卒中(0%vs.0.3%、0)の発生率は両群間に差がなかった。また、15mm未満の新規脳梗塞の頻度にも差はみられなかった(3.9%vs.4.4%、0.89、0.51~1.55)。主要複合安全性アウトカムも同程度 3年の時点で致死的出血および大出血の複合(主要複合安全性アウトカム)は、リバーロキサバン群で10例(1.6%)、アスピリン群で4例(0.6%)に発現した(ハザード比[HR]:2.51、95%CI:0.79~7.95)。致死的出血の報告はなく、大出血がそれぞれ10例(1.6%)および4例(0.6%)にみられた(2.51、0.79~7.95)。 一方、臨床的に重要な非大出血(リバーロキサバン群5.5%vs.アスピリン群1.6%、HR:3.51、95%CI:1.75~7.03)および小出血(11.5%vs.3.1%、3.71、2.29~6.01)は、リバーロキサバン群で高頻度であった。 著者は、「脳卒中および新規潜因性塞栓性脳卒中の発生率は、両群とも予想を大きく下回った。全体の96%の患者では、3年後のMRIで新規脳梗塞を認めなかった」「心房細動アブレーションが成功し、脳卒中リスク因子を有する患者では、脳卒中の発生はまれであり、抗凝固療法継続の有益性はみられなかった」「本試験の参加者と同程度の脳卒中リスクを有するアブレーション成功後の心房細動患者では、アスピリンまたは抗凝固療法のいずれかを継続することが妥当と考えられるが、患者は抗凝固療法には臨床的に重要な出血リスクの増加が伴うことを認識すべきだろう」としている。

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歯周病は脳にダメージを与え脳卒中のリスクを高める

 歯周病が脳の血管にダメージを与えたり、脳卒中のリスクを高めたりする可能性のあることが、2件の研究で明らかになった。歯周病と虫歯の両方がある場合には、脳卒中のリスクが86%上昇することや、習慣的なケアによってそのリスクを大きく抑制できる可能性があることも報告された。いずれも、米サウスカロライナ大学のSouvik Sen氏らの研究の結果であり、詳細は「Neurology Open Access」に10月22日掲載された。 一つ目の研究は、歯周病のある人とない人の脳画像を比較するというもの。解析対象は、一般住民のアテローム性動脈硬化リスク因子に関する大規模疫学研究「ARIC研究」のサブスタディーとして実施された、口腔状態の詳細な検査も行う「Dental ARIC」の参加者のうち、脳画像データのある1,143人(平均年齢77歳、男性45%)。このうち800人が歯周病ありと判定された。結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種、喫煙、高血圧、糖尿病など)を調整後、歯周病のある人は脳の白質高信号域(認知機能低下リスクの高さと関連のある部分)の体積が有意に大きく(P=0.012)、その体積と歯周病の重症度との有意な関連も認められた(ρ=0.076、P=0.011)。 二つ目の研究もDental ARICのデータが用いられた。解析対象5,986人(平均年齢63±5.6歳、男性48%)のうち、1,640人は口腔の健康状態が良好、3,151人は歯周病があり、1,195人は歯周病と虫歯が併存していた。そして、それら両者が併存していると、虚血性脳卒中のリスクが86%有意に高く(ハザード比〔HR〕1.86〔95%信頼区間1.32~2.61〕)、主要心血管イベントのリスクも36%有意に高いことが分かった(HR1.36〔同1.10~1.69〕)。また虚血性脳卒中の病型別の検討では、血栓性脳梗塞(HR2.27〔1.22~4.24〕)、および心原性脳塞栓(HR2.58〔1.27~5.26〕)のいずれも、有意なリスク上昇が認められた。 一方、希望につながるデータも示された。歯磨きやデンタルヘルスで日常的な口腔ケアを行い、定期的に歯科へ通院している人は、歯周病が約3割少なく(オッズ比〔OR〕0.71〔0.58~0.86〕)、歯周病と虫歯の併存が約8割少ないという(OR0.19〔0.15~0.25〕)、有意な関連が観察された。 報告された2件の研究結果は、口腔衛生状態が良くないことが脳卒中を引き起こすという直接的な因果関係を証明するものではない。しかし、口腔内の炎症が心臓と脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があるとする、近年増加しているエビデンスを裏付けるものと言える。これらのデータを基に研究者らは、「歯と歯茎の健康を維持することが、脳卒中リスクを軽減する簡単な方法の一つになる可能性がある」と述べている。 なお、世界保健機関(WHO)は、世界中で35億人が歯周病や虫歯を有していると報告している。また米国心臓協会(AHA)によると、米国では毎年79万5,000人以上が脳卒中を発症しているという。

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左心耳閉鎖手技(LAAO)の行く末を占う(OPTION試験)(解説:香坂俊氏)

 このOPTION試験は、心房細動(AF)アブレーションを受け、かつCHA2DS2-VAScが高い患者を対象に、「その後もふつうに抗凝固薬を飲み続けるか」「左心耳閉鎖手技(LAAO)に切り替えるか」を1:1で比較した国際RCTとなります。1,600例を組み入れ、LAAO群はWATCHMANで閉鎖した後所定期間だけ抗血栓を行い、その後半年ほどで中止し、対照群はDOACを含む標準的な内服抗凝固薬を続けるという設計で行われました。結果として、主要安全エンドポイント(手技に直接関係しない大出血+臨床的に問題となる非大出血)は36ヵ月でLAAO 8.5%vs.OAC 18.1%でLAAO群に少なく(p<0.001)、主要有効性エンドポイント(全死亡・脳卒中・全身性塞栓の複合)は5.3%vs.5.8%で非劣性となりました。 アブレーション後にLAAOまで一緒にやってしまう発想は現実的です。ただ、自分が考える問題点は大きく2つあります。第一に、本試験のOAC群の出血率が実臨床のDOAC単剤よりやや高めで、近年のリアルワールドで見られる年間1%以下の大出血とは開きがあります。※OPTION試験の主要安全エンドポイントは「手技に関係しない大出血+臨床的に問題となる非大出血(CRNM)」で、36ヵ月でLAAO 8.5%vs.OAC 18.1%。一方、同試験での「大出血(手技関連も含めて)」という副次安全エンドポイントは3.9%vs.5.0%/36ヵ月で、これは年間に直すとおおむね1.3%/年vs.1.7%/年程度。 第二に、LAAOにはperidevice leak(閉じ残り)という固有の弱点が残ります。最近の報告でも、WATCHMANでも20〜30%、一部シリーズでは30〜40%近くで遅発性のリークが見つかり、このリークがあると脳梗塞・全身塞栓が増えるという相関がはっきりしてきています(このことはOPTION試験に関するNEJMのCorrespondenceでも強調されています)。OPTIONでは36ヵ月までで有効性はOACと同等でしたが、リークが増えてくるのはそれ以降となる可能性があり、すると「閉じたはずの左心耳からまた血栓が…」ということが起こりえます。また、第一の問題点と逆で、DOACのような「単純化された介入(ワルファリンと比較して)」に対して、LAAOのような「より複雑な介入」はRCTよりもリアルワールドでの成績が悪くなる傾向にある、というところも気掛かりな点となります。 この領域では今回のOPTION試験のほかに、PRAGUE-17(Osmancik P, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:3122-3135.)という高出血リスクのAFでLAAOとOACを直接ぶつけた試験があります(4年フォローで非劣性)。このPRAGUE-17とOPTIONで少しずつ「どういう患者群にLAAO?」というところは埋まってきていますが、オーソドックスなコメントとなりますが、より大規模・長期の試験結果を待つ必要があるかと感じます(2026年以降、CHAMPION-AF試験など本当に大きな規模のRCTの結果が公表されてくる予定です。Rationale and design of a randomized study comparing the Watchman FLX device to DOACs in patients with atrial fibrillation - ScienceDirect)。それまでは、LAAOの実施に当たっては、(1)リークのリスク、(2)DOAC最適投与と比べたときの安全性、(3)高齢化・心不全合併などリアルな患者群でのpreference、というところがカギとなるでしょう。

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治療法、どこまでの説明が必要?【医療訴訟の争点】第16回

症例患者の罹患する疾患に対して複数の治療法が存在するも、患者の状態から選択が困難と考えざるを得ない治療法が存在することもある。そのような治療法についても医師は説明義務を負うのか。本稿では、医師が“選択は困難”と考えた治療法の説明義務が争点となった東京地裁令和4年12月9日判決を紹介する。<登場人物>患者女性(87歳)原告患者の子(次男)被告基幹病院、脳神経内科担当医、脳神経内科部長事案の概要は以下の通りである。平成24年2月29日午前10時頃コンビニエンスストアの駐車場で倒れているところを発見午前10時45分頃被告病院に救急搬送。救急医の診察時、(1)失語の状態で発語はまったく見られない、(2)痛み刺激に対し、左上下肢は動くが、右上下肢に動きは見られない、(3)左共同偏視(両目が左を向いて固定された状態)、(4)右バビンスキー反射(足の裏をこすると足の親指が上を向いてしまう状態)陽性の所見。救急医は脳神経内科にコンサルト。神経内科医(被告医師)が診療を担当し、(1)右注視麻痺、(2)右顔面筋力低下、(3)右上下肢動きなし、(4)失語の状態にある旨の所見を確認した。頭部CTで出血所見はなく、脳梗塞と診断された。被告医師は、患者が87歳と高齢であり、広範な脳のダメージが示唆され重症例であることから、アルテプラーゼによる静注血栓溶解(rt-PA)療法の施行は困難と判断した。また、血液検査の結果、クレアチニンは0.95mg/dL(基準値0.47mg/dLないし0.79mg/dL)、血中尿素窒素は17mg/dL(基準値8mg/dLないし22mg/dL)であり、腎機能障害が認められたことから、腎障害や高齢者における致死的副作用の報告が多いエダラボンの適応ではないと判断した。被告医師は、患者の長男に対し、患者の病状説明を行い、診断は脳梗塞と考えること、治療は、抗凝固療薬の点滴によるが、出血の危険性が高いと判断されれば使用しないこと等を説明した。なお、長男から、被告医師に対し、rt-PA療法やエダラボン投与に関する質問やこれらの治療の要望はなかった。MRI検査にて深部白質にDWI高信号が認められるとの所見であったことから、被告医師は、本件患者はアテローム血栓性脳梗塞である可能性が高いと判断し、アルガトロバンの投与による抗凝固療法を行うことを決定した。4月25日本件患者は要介護5の認定5月7日リハビリテーション病院へ転院令和元年12月23日老衰により死亡実際の裁判結果本件では、(1)rt-PA療法に係る問診・診断義務違反および説明義務違反、(2)エダラボンの投与に係る診断義務違反、説明義務違反および治療義務違反が争点となったが、裁判所は以下の判断をし、原告の請求をいずれも棄却した。(1)rt-PA療法に係る問診・診断義務違反及び説明義務違反について原告は、本件患者にはrt-PA療法の適応があったことから、被告医師はその実施に向けて、未発症時刻の確認、NIHSSによる重症度評価及び頭部CTの画像診断といった問診・診断を行い、原告らに対し同療法について説明する義務を負っていた旨を主張した。これに対し、裁判所は以下の点を指摘し、「未発症時刻の確認、NIHSSによる重症度評価及び頭部CTの画像診断を行うまでもなく、本件患者に対しrt-PA療法を実施しないとした被告医師の判断は、医学的合理性に基づくものというべきであり、医師の裁量を逸脱するものとは認められない」とした。本件患者が、当時87歳であり、本件当時の「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針(2005年10月)」において慎重投与とされる基準(75歳)を大きく上回っていたこと。被告医師が本件患者を診察した際の状態は、右注視麻痺、右顔面筋力低下、右上下肢動きなし、失語の状態にあるというものであり、NIHSSによる評価はともかく、前頭葉、頭頂葉並びに側頭葉に関連し得る広い範囲に及ぶ脳のダメージが示唆され、脳梗塞の中でも重症と評価できるものであったこと。治療指針のチェックリストの1項目でも慎重投与とされる基準に該当すれば、適応の可否を慎重に判断することとされ、とくに高齢、重症例では治療成功率は低く、症候性頭蓋内出血の危険性も高くなると考えられるとされていること。その上で、原告らがrt-PA療法の実施可能性等について強い関心を有し、これを被告医師に伝えていたとは認められないことを指摘し、「被告医師が、本件患者やその家族に対しrt-PA療法について説明すべき義務を負うとは認められない」と結論付けた。(2)エダラボンの投与に係る診断義務違反、説明義務違反及び治療義務違反について原告は、本件患者に対しエダラボンを投与することが可能であり、被告医師は、本件患者の腎機能の評価を行ってエダラボンを投与し、原告らに対しエダラボンについて説明する注意義務を負っていた旨を主張した。これに対し、裁判所は、以下の点を指摘し、「87歳という高齢で、高度に近い中等度の腎機能障害が認められた本件患者に対しエダラボンを投与しないとした被告医師の判断は、医学的合理性に基づくものというべきであり、医師の裁量を逸脱するものとは認められない」とした。本件当時87歳、体重は48kgであり、血液検査の結果、クレアチニンの値は0.95mg/dLであるなど、高度に近い中等度の腎機能障害を来していたといえること。エダラボンは、腎機能障害、高齢者には慎重投与とされていること。とくに80歳以上の高齢者においては、致命的な経過をたどる例が多く報告され、製薬会社が緊急安全情報を発していること。その上で、原告らがエダラボンの投与について強い関心を有し、これを被告医師に伝えていたとは認められないことを指摘し、「被告医師が、本件患者やその家族に対しエダラボンについて説明すべき義務を負うとは認められない」と結論付けた。注意ポイント解説本件は、高齢脳梗塞患者における急性期治療の選択と説明義務の範囲が争われた事案であり、裁判所は、当時の診療指針や添付文書に示された「慎重投与」基準を踏まえ、rt-PA療法やエダラボン投与といった積極的治療は、副作用リスクが高いとされる高齢・重症例では、医学的裁量に基づく非実施が正当とされ得るとして、医師の判断を尊重する判断をした。また、説明義務の発生についても、患者や家族らがその治療法に強い関心を示し、それを医師に伝えていたわけではないことを指摘し、医師が「適応がないと判断した治療」については説明義務が生じないとした。これは、説明義務の範囲があくまで医療水準に照らした「実施を検討すべき治療」に限られることを示すものといえる。もっとも、本件は、いずれの治療を選択するにしても直ちにその適応を判断しなければならないものであったため、時間をかけた検査の要否や、治療法の採否につき、医師の裁量が認められたとの要素があると考えられる。患者の状態・症状等から「慎重投与」の基準をわずかに逸脱するにとどまっていたり、副作用リスクが高いとの報告がされていなかったりすれば、医師の裁量は狭まることとなり、ほかにありうる治療法としてrt-PA療法やエダラボン投与につき、説明をする義務があったとされる可能性がある点に留意する必要がある。また、今回問題となったrt-PA療法は、本件当時(平成24年=2012年)は、75歳以上は慎重投与とされていたが、その後、慎重投与は80歳以上となるなど、年齢の点は緩和されるなど変化が生じている。同様に、エダラボンの投与についても、本件当時よりも報告例の集積がされた結果、投与に対する考え方にも変更がありうるところである。このため、本判決の判断が現在も同様に当てはまるとは限らず、いずれにしても診療時の医学的知見を踏まえ、患者の状態を考慮した上での判断となることに留意が必要である。医療者の視点今回の裁判所の判断は、臨床現場における医師の判断プロセスを尊重したものであり、実臨床の感覚に近いものと言えます。本件の87歳というご高齢の患者さんのように、複数のリスクを抱えている方への治療方針の決定は、常に難しい判断を迫られます。とくに脳梗塞急性期のrt-PA療法は、有効性が期待される一方で、重篤な出血のリスクを伴います。当時のガイドラインで75歳以上が慎重投与とされていた中、87歳で、かつ臨床症状から重症と判断される患者さんに対して、治療の利益よりも不利益が上回る可能性を重くみて治療を実施しない、という判断は、多くの医師が同様の結論に至る可能性のある、医学的合理性に基づいたものと考えられます。エダラボン投与に関しても、腎機能障害や高齢者への慎重投与が求められており、医師の判断は妥当なものであったと判断されたのでしょう。一方で、裁判所が「家族が強い関心を示していなかったため、説明義務はなかった」と判断した点については、実臨床では注意が必要です。訴訟上の義務は発生しないとしても、患者さんやご家族との信頼関係を築く上では、たとえリスクが高く実施が難しいと判断した治療法であっても、そのような選択肢が存在すること、そしてなぜそれを選ばないのかを丁寧に説明することが望ましいからです。後から「なぜあの治療法の説明をしてくれなかったのか」という不信感につながることを避けるためにも、積極的な情報提供が重要になる場面は少なくありません。医療技術やガイドラインは日々更新されるため、常に最新の情報を収集し続ける姿勢が不可欠です。その上で、個々の患者さんの状況に応じた最善の選択肢を、ご本人やご家族と共に考えていく丁寧な対話こそが、訴訟リスクを低減し、より良い医療を実現する鍵となるでしょう。Take home message治療選択においては、ガイドラインや添付文書において慎重投与とされているケースについて、その選択をしない医師の裁量的判断が尊重される場合もあるため、これらの記載内容を常にアップデートしておく必要がある。医師の裁量に基づく非実施が医学的合理性を有する治療法については、患者や家族らがその治療法に強い関心を示してない場合には、説明義務違反はないとされることもある。

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心房細動患者における脳梗塞リスクを示すバイオマーカーを同定

 抗凝固療法を受けている心房細動(AF)患者においても、既知の脳梗塞リスクのバイオマーカーは脳梗塞リスクと正の関連を示し、そのうち2種類のバイオマーカーがAF患者の脳卒中発症の予測精度を改善する可能性があるとする2報の研究結果が、「Journal of Thrombosis and Haemostasis」に8月6日掲載された。 米バーモント大学のSamuel A.P. Short氏らは、抗凝固療法を受けているAF患者におけるバイオマーカーと脳梗塞リスクの関連を検討するために、登録時に45歳以上であった黒人および白人の成人3万239人を対象とし、前向きコホート研究を実施した。ベースライン時に、対象者の9種類のバイオマーカーが測定された。解析の結果、ワルファリンを内服していたAF患者713人のうち67人(9%)が、12年間の追跡期間中に初発の脳梗塞を発症していた。交絡因子を調整した後も、標準偏差1単位の上昇ごとに、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、血液凝固第VIII因子、D-ダイマー、成長分化因子-15(GDF-15)は、いずれも新規脳卒中発症と正の関連を示した。ハザード比は、NT-proBNPで1.49(95%信頼区間1.11〜2.02)、GDF-15で1.28(同0.92〜1.77)であった。ただし、D-ダイマーとGDF-15の関連は、統計学的に有意とはならなかった。 2件目の研究で、Short氏らは、以前一般集団で脳卒中リスクと関連が報告されていたバイオマーカーが、AF患者でも同様に脳卒中リスクと関連するか、さらにCHA2DS2-VAScスコアによる予測を改善できるかを検討した。13年間の追跡期間中に、AF患者2,411人のうち163人(7%)が初発の脳梗塞を発症していた。解析の結果、NT-proBNP、GDF-15、シスタチンC、インターロイキン6(IL-6)、リポ蛋白(a)の高値は、それぞれ独立して脳卒中リスクの上昇と関連していた。CHA2DS2-VAScモデルの適合度と予測能は、これらのバイオマーカーを加えることで大きく改善した。NT-proBNPとGDF-15の2種類のみを追加したモデルが、最も適合性・予測能に優れていた。 Short氏は、「今回示されたモデルにより、医師は抗凝固療法の対象となる患者をより適切に選択できるようになり、救命や医療費削減につながる可能性がある」と述べている。

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脳梗塞既往患者のLDL-C目標値、より厳格にすべき?/Circulation

 虚血性脳卒中の既往歴を持つ患者は、脳卒中再発およびその他の主要心血管イベント(MACE)リスクが高い。米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のVictorien Monguillon氏らが、FOURIER試験のデータを用いて行った2次分析の結果、LDL-C値が40mg/dL未満まで低下すると、出血性脳卒中リスクを明らかに増加させることなく、脳卒中再発を含むMACEのリスクが低下することが示された。Circulation誌オンライン版2025年11月3日号掲載の報告より。 著者らは、安定しているアテローム動脈硬化性心血管疾患患者を対象にエボロクマブを評価したプラセボ対照無作為化比較試験FOURIER(追跡期間中央値:2.2年)およびその延長試験FOURIER-OLE(追加追跡期間中央値:5年)における虚血性脳卒中既往患者を対象に解析を実施。到達LDL-C値と、主要エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院または冠動脈血行再建の複合)の発生率、ならびに脳卒中関連アウトカムとの関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・虚血性脳卒中の既往歴(発症から4週間超経過)を有する5,291例が解析に含まれた。・到達LDL-C値は<20mg/dLが666例(12.6%)、20~<40mg/dLが1,410例(26.6%)、40~<55mg/dLが586例(11.1%)、55~<70mg/dLが508例(9.6%)、≧70mg/dLが2,121例(40.1%)であった。・到達LDL-C値が低いほど、主要評価項目、全脳卒中および虚血性脳卒中の発生率は単調減少した(それぞれ傾向のp<0.001、<0.002、<0.002)。・到達LDL-C値が≧70mg/dLの患者と比較した、<40mg/dLの患者における発生率比(IRR)は、主要評価項目0.69(95%信頼区間:0.57~0.84)、全脳卒中0.73(0.53~0.99)、および虚血性脳卒中0.75(0.54~1.05)であった。・出血性脳卒中はまれであり、到達LDL-C値との関連は認められなかった(傾向のp=0.85)。 著者らは、虚血性脳卒中の既往歴を有する患者に対して、より強力なLDL-C低下療法が必要であることを支持する結果とし、最適なLDL-C目標値を確立するためには無作為化比較試験が必要とまとめている。

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動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法後の補助的治療として有効か?(解説:内山真一郎氏)

 PEARL試験は、機械的血栓回収療法により再灌流に成功した、急性期前循環系大血管閉塞性脳梗塞の中国人324例においてアルテプラーゼ動脈内投与群と標準的治療群とを比較した多施設共同非盲検無作為化試験であるが、90日後の転帰良好(改変ランキンスケールスコア0または1)がアルテプラーゼ動脈内投与群で標準的治療群より有意に多かった。 血栓回収療法は大血管閉塞性脳梗塞に対する標準的治療となったが、長期の転帰良好例は依然として半数以下であり、転帰を改善するための補助的治療が必要とされている。血栓回収療法による神経症状改善効果が不十分な理由の1つとして、血栓回収療法後の遠位動脈や微小循環の残存血栓によるno-reflow現象の関与が考えられることから、血栓回収療法後の動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法の補助的治療として転帰改善効果が期待できるかもしれない。ただし、これまでに行われた同様な臨床試験の結果は一致しておらず、現在進行中の他の試験もあるので、それらの結果やメタ解析によるさらなるエビデンスの集積が必要なように思われる。

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機内における急病人の発生頻度は?~84の航空会社での大規模調査

 2025年には約50億人が民間航空機を利用すると予測されている。航空機内での急病(機内医療イベント)は、医療資源が限られ、専門的な治療へのアクセスが遅れるという制約の中で対応が必要となる。米国・デューク大学のAlexandre T. Rotta氏、MedAireのPaulo M. Alves氏らの研究グループは、84の航空会社が参加した大規模な国際データを分析し、機内医療イベントの発生頻度や、航空機の目的地変更につながる要因などを明らかにした。JAMA Network Open誌2025年9月29日号に掲載。 本研究では、2022年1月1日~2023年12月31日の期間に地上支援センターへ報告された、航空会社84社7万7,790例の機内医療イベントを対象に観察コホート研究が実施された。 主な結果は以下のとおり。・全7万7,790例の機内医療イベントにおいて、その発生頻度は乗客100万人当たり39例、フライト212便当たり1例の割合であった。・急病になった乗客は、女性が54.4%、年齢中央値43歳(IQR 27~61)であった。・機内医療イベントによる航空機の目的地変更は1.7%(1,333例)発生した。・全イベントのうち312例(0.4%)が死亡し、年齢中央値69歳(IQR 55~79)であった。急性心疾患による死亡が276例(88.5%)を占め、これらの死亡例において心肺蘇生法が実施されていた。・医療経験を持つ乗客ボランティアは、32.9%(2万5,570例)の医療イベントを支援した。また、目的地変更となった1,333例のうち1,056例(79.2%)、死亡に至った312例のうち246例(78.9%)でボランティアの関与があった。・目的地変更の主な原因は、神経系疾患(542例、40.7%)と心血管系疾患(359例、26.9%)であった。・目的地変更のオッズが高かったのは、脳卒中疑い(調整オッズ比[aOR]:20.35、95%信頼区間[CI]:12.98~31.91)、急性心疾患(aOR:8.16、95%CI:6.38~10.42)、意識変容(aOR:6.96、95%CI:5.98~8.11)であった。・全イベントにおける主な医療介入として、酸素療法(40.8%)、非麻薬性鎮痛薬(15.2%)、制吐薬(14.9%)が使用された。 本研究により、機内医療イベントは従来考えられていたよりも頻繁に発生していることが示された。世界的に航空旅客数が増加し続ける中、機内医療イベントは今後も避けられない課題であり、著者らはこれらの知見が、航空会社の方針、乗務員の訓練、緊急時対応プロトコルの改善に役立つ可能性があると結論付けている。

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左心耳閉鎖術?(解説:後藤信哉氏)

 心房細動の症例は、長期間の観察期間内の脳卒中リスクが高い。心房細動による血流うっ滞が血栓形成に寄与している可能性はある。血流うっ滞による血栓形成は、うっ滞が最も重症になる心耳から始まる可能性がある。そこで左心耳を閉じてしまえば心房細動の脳梗塞予防が可能かもしれないとの仮説につながる。 カテーテルアブレーションを受ければ左房の内膜側に損傷ができるので血栓イベントリスクが上昇する。一時的に抗凝固薬を使用するのは血栓イベント予防に有効と考えられる。左心耳閉鎖が有効であるためには、アブレーションにより傷ついた内膜からの血栓が左心耳にて成長している必要がある。本研究では重篤な出血イベント発現リスクを仮説検証のエンドポイントにしている。全身の凝固機能が低下する抗凝固薬使用時には出血イベントリスクが増加する現実に、本研究でも抗凝固療法群の重篤な出血イベント発現リスクは18.1%と左心耳閉鎖群の8.5%よりも高かった。この結果は予想通りである。 問題の血栓イベントリスクは、36ヵ月の総死亡・脳卒中・全身塞栓症にて定義された。有効性エンドポイント発現率は5.3%と5.8%で両群間に差がなかった。抗凝固薬を使用すると重篤な出血イベントリスクは増える。しかし、現実世界では多くの症例が抗凝固介入を受けている。総死亡・脳卒中・全身塞栓症にて定義される血栓イベントリスクは、抗凝固薬使用時の重篤な出血イベントリスクよりもはるかに低い。左心耳閉塞が血栓イベントリスクに及ぼす効果は未知である。心房細動に対する過剰な抗凝固薬投与の反省の時代が来るかもしれない。

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脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕

近年の知見を反映し52項目を改訂!2022年1月から2023年12月までの2年間に発表された論文のうち「レベル1のエビデンス」「レベル3以下だったエビデンスがレベル2となっていて、かつ、とくに重要と考えられるもの」を採用する方針で、該当する項目(140項目中52項目)を改訂しました。主な改訂点「改訂のポイント」を新設担当班長・副班長がまとめた「改訂のポイント」を各章の冒頭に新設しました。前版から改訂した箇所や改訂の経緯などについて把握する際に、ぜひご活用ください。近年の知見をタイムリーに・広範囲に反映各疾患の治療選択肢として登場したGLP-1受容体作動薬や抗アミロイド抗体治療薬に対する知見、諸々の背景を持つ患者さんへのDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)や抗血小板薬による治療の知見、日進月歩ともいえるMT(経動脈的血行再建療法)の臨床研究成果など、近年の知見を反映した改訂を行いました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕定価8,800円(税込)判型A4判頁数352頁発行2025年8月編集日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会ご購入はこちらご購入はこちら

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