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INTERACT2(Intensive Blood Pressure Reduction in Acute Cerebral Hemorrhage Trial 2)は、脳内出血患者に対する迅速な積極的降圧治療の有効性と安全性を評価することを目的に、多施設共同前向き無作為化非盲検試験として行われた。被験者は、発症6時間以内の脳内出血患者2,839例(平均年齢63.5歳、男性62.9%)で、積極的降圧群(1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHg、1,403例)またはガイドライン推奨群(1時間以内の収縮期血圧目標値<180mmHg、1,436例)に割り付けられた。主要転帰は90日後の死亡と重度身体障害[modified Rankin scale (mRS)で定義されるスコア3~6(死亡)]とされた。 また、両群のmRSの順序尺度解析が行われた。主要転帰が2,794例で判定され、積極的降圧群で719/1,382例(52.0%)、ガイドライン推奨群で785/1,412例(55.6%)となり、積極的降圧群のオッズ比は0.87(95%信頼区間[CI]:0.75~1.01、p=0.06)で有意差はみられなかった。しかし、順序尺度解析では、mRSの低下(機能改善)は積極的降圧群で有意であった(オッズ比:0.87、95%CI:0.77~1.00、p=0.04)。 死亡率は、積極的降圧群11.9%、ガイドライン推奨群12.0%、非致死的重大有害事象の発生は、それぞれ23.3%、23.6%だった。これらの結果から、発症早期の迅速な積極的降圧は、主要転帰を有意に減少させなかったが、機能的転帰の改善をもたらすことが示された。 脳卒中に占める脳内出血の割合が25%を占めるわが国では、INTERACT2の結果は今後の脳卒中治療ガイドラインの改訂に大きな影響を及ぼすと考えられる。現在、急性期の脳内出血に対する迅速降圧治療の有効性に関しては、日本人患者の登録を含むATACH II (Antihypertensive Treatment of Acute Cerebral Hemorrhage) 試験が進行中であり、INTERACT2とともに、その結果が注目される。