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1901.

Stage IV非小細胞肺がんの2次治療におけるラムシルマブの有用性/Lancet

 ラムシルマブ(国内未承認)+ドセタキセル併用療法は、Stage IV非小細胞肺がん(NSCLC)の2次治療において生存期間を有意に延長し、ラムシルマブ追加によるQOLの増悪も認めないことが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEdward B Garon氏らが行ったREVEL試験で示された。ラムシルマブは、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-2の細胞外ドメインを標的とするヒトIgG1モノクローナル抗体で、すべてのVEGFリガンドの結合と受容体の活性化を阻害する。本薬剤は、進行胃がんの2次治療に関する2つの第III相試験で、単剤またはパクリタキセルとの併用で生存期間を有意に改善することが示されている。Lancet誌オンライン版2014年6月2日号掲載の報告。ラムシルマブ上乗せの有用性を無作為化試験で評価 REVEL試験は、Stage IV NSCLCに対する2次治療としてのラムシルマブ+ドセタキセル療法の有用性を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、プラチナ製剤ベースの化学療法による1次治療中または終了後に病勢が進行した扁平上皮がんまたは非扁平上皮がん患者であった。 患者は、性別、地域、全身状態(PS)、前維持療法の有無で層別化され、1サイクル(21日)の第1日にラムシルマブ(10mg/kg)+ドセタキセル(75mg/m2)を投与する群またはプラセボ+ドセタキセル(75mg/m2)を投与する群に無作為に割り付けられた。治療は、病勢進行、許容されない有害事象、患者の希望による治療中止、死亡のいずれかのイベントが起きるまで継続された。 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)とし、有害事象、QOLの評価も行った。2次治療でとくに重要となる上乗せに伴う総QOLの増悪はなかった 2010年12月3日~2013年1月24日までに、6ヵ国26施設から1,253例が登録され、ラムシルマブ群に628例(年齢中央値62歳、男性67%)、プラセボ群には625例(61歳、66%)が割り付けられた。東アジア人(韓国、台湾)が各群に7%ずつ含まれた。データのカットオフ日(2013年12月20日)までに884例が死亡した(打ち切り率は29%)。 OS中央値は、ラムシルマブ群が10.5ヵ月であり、プラセボ群の9.1ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.75~0.98、p=0.023)。また、PFS中央値はラムシルマブ群が4.5ヵ月、プラセボ群は3.0ヵ月で、やはり有意差を認めた(0.76、0.68~0.86、p<0.0001)。 担当医判定によるORR(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])は、ラムシルマブ群が23%と、プラセボ群の14%よりも有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.89、95%CI:1.41~2.54、p<0.0001)。また、病勢コントロール率(DCR、CR+PR+安定[SD])は、それぞれ64%、53%であり、有意差を認めた(1.60、1.28~2.01、p<0.0001)。扁平上皮がんと非扁平上皮がんのORR、DCRは全体の成績と同等であった。 治療関連有害事象は、ラムシルマブ群の98%(613/627例)、プラセボ群の95%(594/618例)に発現した。最も高頻度に認められたGrade 3以上の有害事象は、好中球減少(ラムシルマブ群:49%、プラセボ群:40%)、発熱性好中球減少(16%、10%)、疲労感(14%、10%)、白血球減少(14%、12%)、高血圧(6%、2%)であった。 治療関連有害事象による死亡(5%[31例]、6%[35例])およびGrade 3以上の肺出血(1%[8例]、1%[8例])の頻度は両群間に差はなかった。毒性は適切な減量や支持療法で管理可能であった。 著者は、「ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法は、Stage IV NSCLC患者の2次治療において生存期間を改善した」とまとめ、「プラチナ製剤ベースの1次治療が無効であった進行NSCLC患者の2次治療におけるVEGFRを標的とする治療法の有用性を示すエビデンスが得られた。また、新規のがん治療法のリスク・ベネフィット評価では、とくに2次治療においては緩和的効果をも考慮する必要があるため、QOL評価が重要となるが、ラムシルマブを追加しても、患者の自己申告による総QOLの増悪は認めなかった」と考察している。

1902.

タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究

 欧州の集団では、いくつかの研究でタバコの煙の吸入が肺がんリスクの増加と関連していることが示されている。愛知県がんセンター研究所の福本 紘一氏らは、日本の集団におけるタバコの煙の吸入と肺がんリスクとの関係を明らかにするために、大規模な症例対照研究を実施した。その結果、日本の集団においても、累積喫煙量にかかわらず、タバコの煙を吸い込むことが肺がんリスクであることが示唆された。European Journal of Cancer Prevention誌オンライン版2014年6月6日号に掲載。 組織学的に確認され新たに肺がんと診断された患者を症例群(n=653)とし、対照群(n=1,281)には病院対照(n=453)と地域対照(n=828)を含めた。オッズ比と95%信頼区間(CI)は、年齢、性別、飲酒状況、果物や野菜の摂取量、肺がんの家族歴、職業、教育年数などの基本的な交絡変数を調整し、無条件ロジスティック回帰分析を用いて推計した。 主な結果は以下のとおり。・基本的な交絡因子を調整したオッズ比は、非喫煙者に比べ、タバコの煙を吸い込まない喫煙経験者で1.72(95%CI:1.15~2.59)、タバコの煙を吸い込む喫煙経験者で3.28(95%CI:2.38~4.53)であった。・喫煙経験者に限定すると、基本的な交絡因子と肺がんリスクの累積喫煙量(pack-year)を調整したオッズ比は、煙を吸い込む群が吸い込まない群に比べ1.52(95%CI:1.06~2.18、p=0.021)であった。・腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、および他の組織型でのサブグループ解析においても、統計学的に有意ではなかったが、同様のパターンが認められた。

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喫煙者では血清尿酸値が低いと肺がんになりやすい?

 血清尿酸値が低い喫煙群ではCOPDと肺がんの有病率が高かったことが英国Research Department of Primary Care and Population HealthのLaura J Horsfall氏らにより報告された。Thorax誌オンライン版2014年6月5日の掲載報告。 人間の血清中で抗酸化作用のある分子で最も数の多いものは尿酸である。今回、血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に関係があるのか、さらに喫煙状況による影響の変化も含めて調査した。 2000年1月1日~2012年12月31日の間に血清尿酸値が測定されていたコホートを「The Health Improvement Network(THIN)英国プライマリ・ケア・データベース」より抽出した。新たにCOPDと肺がんを診断する場合は診療記録の診断コードで確認した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の対象人数は100万2,496人年であり、そのうちCOPDは3,901例、肺がんは1,015例であった。・多変量解析の結果、喫煙群において血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に強い負の相関が認められたが(p<0.001)、非喫煙群や過去に喫煙歴のあった群(現在は非喫煙)では、その関係が認められなかった。・1日に20本以上喫煙する群における肺がんで最も強い負の相関が認められ、血清尿酸値が100~250 µmol/Lの群では1万例あたり97例だったのに対し(95%CI:68~126)、438~700 µmol/Lの群では1万例あたり28例であった(95%CI:14~41)。

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COPD合併肺がん患者、肺線維症で肺切除後の生存率が低下

 肺切除後のCOPD合併肺がん患者において、肺線維症は生存率を低下させる独立したリスクファクターとなることが、東京女子医科大学八千代医療センターの関根 康雄氏らにより報告された。The Thoracic and Cardiovascular Surgeon誌オンライン版2014年5月30日の掲載報告。 本研究の目的はCOPD合併肺がん患者を対象に、肺線維症の有無が肺切除術後合併症や長期の生存率にどれほどインパクトを与えるかを調べる事である。1990年~2005年の期間中に大学病院で肺がんによる肺切除が実施された患者のうち、COPDを合併していた380例を対象にレトロスペクティブなカルテレビューを行った。COPDの定義は術前の1秒率(FEV1/FVC)が70%未満で、肺線維症の定義はCTにより下肺野に明らかな両肺の線維化病変が認められた場合とした。 主な結果は以下のとおり。・COPD合併患者380例のうち、肺線維症が認められたのは41例(10.8%)で、339例(89.2%)では認められなかった。・術前の1秒量は肺線維症を有する患者群で有意に低かった(p<0.05)。・術後急性肺傷害(ALI)と在宅酸素療法は肺線維症を有する患者群で有意に高かったが、30日死亡率は同等であった。・3年間と5年間の累積の生存率は、肺線維症を有する患者群でそれぞれ53.6%、36.9%、肺線維症が認められない患者群では71.4%、66.1%であった(p=0.0009)。・加齢、BMI低値、病理病期の進行、肺線維症の存在は、生存率を低下させる独立したリスクファクターであった。

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喫煙によるがん死亡リスクの増加

タバコを吸っていると、がんによる死亡の危険性は高くなります全てのがん男性 1.97倍、女性1.57倍喉頭がん男性 5.47倍肺がん男性4.79倍、女性3.88倍肝臓がん男性1.81倍、女性1.73倍口腔・口唇・咽頭がん男性2.66倍、女性1.97倍食道がん男性3.39倍、女性1.90倍胃がん男性1.51倍、女性1.22倍膵臓がん男性1.58倍、女性1.73倍尿路(膀胱、腎盂、尿管)がん男性5.35倍、女性1.86倍タバコを吸わない人を1としたときの、タバコを吸っている人のがんによる死亡の危険性Katanoda K, et al. J Epidemiol 2008;18:251-264.Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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進行非小細胞肺がんの2次・3次治療におけるエルロチニブとドセタキセルの比較

 既治療のEGFR変異不特定の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、エルロチニブとドセタキセルの有効性を評価したDELTA試験の結果が、国立病院機構近畿中央胸部疾患センターの川口 知哉氏らにより報告された。同試験は、国内で行われた第III相無作為化試験である。Journal of Clinical Oncology誌 2014年5月19日号の掲載報告。 主要エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、副次的エンドポイントは、全生存期間(OS)、奏効率、安全性、またEGFR野生型腫瘍に対する効果についても検討している。対象は既治療(1または2レジメンの化学療法治療歴あり、ドセタキセルおよびEGFR-TKIは未使用)、IIIBまたはIV 期かつECOG PSが0~2の非小細胞肺がん患者。 主な結果は以下のとおり。・2009年8月から2012年7月まで、エルロチニブ群(150mg/日)150例とドセタキセル群(3週毎に60mg/m2)151例に無作為割り付けされた(そのうちEGFR野生型:エルロチニブ群109例、ドセタキセル群90例)。・全体におけるPFS中央値は、エルロチニブ群、ドセタキセル群でそれぞれ、2.0ヵ月、3.2ヵ月であった(HR 1.22、95%CI:0.97~1.55、p=0.09)。・全体におけるOS中央値は、エルロチニブ群、ドセタキセル群でそれぞれ、14.8ヵ月、12.2ヵ月であった(HR 0.91、95%CI:0.68~1.22、p=0.53)。 EGFR野生型のサブセット解析では・PFS中央値は、エルロチニブ群、ドセタキセル群でそれぞれ、1.3ヵ月、2.9ヵ月であった(HR 1.45、95%CI:1.09~1.94、p=0.01)。・OS中央値は、エルロチニブ群、ドセタキセル群でそれぞれ、9.0ヵ月、10.1ヵ月であった(HR 0.98、 95%CI:0.69~1.39、p=0.91)。

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肺腺がんの分子標的薬選択に多重アッセイ法が有用か/JAMA

 腫瘍形成ドライバー(がん化と増殖に関わる遺伝子変異)をターゲットとする治療薬(分子標的薬)の開発は、肺腺がん患者の治療を変貌させたといわれる。米国・スローンケタリング記念がんセンターのMark G. Kris氏らLung Cancer Mutation Consortiumは、試験担当医が適切に標的治療薬を選択でき、患者を臨床試験に登録できるよう、肺がんの腫瘍形成ドライバーの10遺伝子について検査する多重アッセイを用いて検討した。その結果、検討した肺腺がん患者の64%でターゲットとなるドライバーが検出され、医師が治療法を選択するうえで多重アッセイ法が有用であることが示されたという。JAMA誌2014年5月21日号掲載の報告より。10遺伝子の発現頻度と、分子標的薬治療の割合と生存を評価 本検討は、肺腺がん患者の腫瘍形成ドライバーの検出頻度を明らかにし、特定ドライバーをターゲットとした治療の選択および生存評価に、そのデータを活用することが目的だった。 2009~2012年に米国14地点において、転移性肺腺がんで、全身状態(PS)が0~2の患者を登録し、10遺伝子について調べ、患者、および治療法と生存に関する情報を集めた。検討では、10遺伝子について調べた後、その結果を用いて適合したターゲット治療を選択した。 主要評価項目は、10遺伝子の発現頻度と、分子標的薬治療を受けた患者の割合、生存率とした。遺伝子を検出し分子標的薬治療を受けていた患者の生存は有意に延長 試験期間中に、1,007例の患者が1遺伝子以上の検査を受け、733例が10遺伝子の検査を受けた。 結果、733例のうち466例(64%)の患者で、腫瘍形成ドライバーが見つかった。検査した腫瘍733例のうち見つかったドライバーの内訳は、KRASが182例(25%)、感作EGFRが122例(17%)、ALK再配列が57例(8%)、その他のEGFRが29例(4%)、2以上の遺伝子が見つかったのは24例(3%)、ERBB2(HER2)が19例(3%)、BRAFが16例(2%)、PIK3CAが6例(1%未満)、MET増幅5例(1%未満)、NRASが5例(1%未満)、MEK1が1例(1%未満)、AKT1はゼロだった。 生存期間中央値は、腫瘍形成ドライバーを有し分子標的薬治療を受けていた260例は3.5年(範囲[IQR]:1.96~7.70)、腫瘍形成ドライバーを有していたが分子標的薬治療は受けていなかった318例は2.4年(IQR:0.88~6.20)だった(傾向スコア補正後ハザード比:0.69、95%信頼区間[CI]:0.53~0.9、p=0.006)。 結果を踏まえて著者は、「ドライバーと適合した治療を受けていた患者の生存は延長したが、それが標的治療に基づくものかを調べる無作為化試験を行うことが必要である」とまとめている。

1908.

呼吸器の薬の考え方,使い方

呼吸器疾患の治療薬の羅針盤。エキスパートがそのコツを伝授吸入薬、禁煙補助薬、抗結核薬、対症療法に用いる去痰薬や鎮咳薬、肺高血症の治療に用いる循環器系の薬剤、肺がん治療の分子標的薬、意外に深い含嗽薬やトローチまで、呼吸器科で用いる様々な薬の薬剤情報、薬理と臨床試験、処方に際しての注意点など医療従事者が知っておきたい薬の必要知識+αを人気ブログ「呼吸器内科医」の著者が膨大な資料と知見を基に解説します。合間のコラム「本当にあった医学論文」や一口メモも必読!画像をクリックすると、内容の一部をPDFでご覧いただけます。   呼吸器の薬の考え方,使い方定価 4,800円+税判型 A5判頁数 372頁発行 2014年3月著者 倉原 優Amazonでご購入の場合はこちら

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NSCLCに対する術前化学療法の生存ベネフィットをメタ解析で確認/Lancet

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前化学療法は、全生存率、無遠隔転移再発、無再発生存を有意に改善することが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah Burdett氏らNSCLC Meta-analysis Collaborative Groupの検討で明らかとなった。NSCLCに対する最良の治療選択肢は手術とされるが、治癒切除が可能な腫瘍は20~25%にすぎない。術前化学療法は、腫瘍を縮小させて手術可能例を増やし、微小転移を消失させる可能性があるが、手術の時期を遅らせ、無効の場合は腫瘍が切除不能となるリスクがある。術後化学療法の全生存率改善効果はメタ解析で確証されているが、術前化学療法については十分なエビデンスは示されていなかった。Lancet誌2014年5月3日号(オンライン版2014年2月25日号)掲載の報告。術前化学療法の効果をメタ解析で評価 研究グループは、切除可能NSCLCに対する術前化学療法の効果を検証するために、文献の系統的なレビューを行い、個々の患者データに基づくメタ解析を実施した。 1965年1月1日以降に開始された手術単独と術前化学療法+手術を比較した臨床試験の文献を系統的に検索し、個々の試験の最新データについて評価を行った。選出された個々の試験の結果を、固定効果モデルを用いて統合した。 主要評価項目である全生存は、無作為割り付け時から全死因死亡までの期間と定義し、生存例は最終フォローアップ時で打ち切りとした。副次評価項目は、無再発生存、無局所再発、無遠隔転移再発、がん特異的死亡、切除率などであった。5年後の絶対的な生存ベネフィットは5% 日本のJCOG 9209試験を含む15の無作為化対照比較試験に登録された2,385例(無作為割り付けの対象となった患者の92%)が解析の対象となった。男性が80%、年齢中央値は62歳、全身状態(PS)良好が88%で、臨床病期はIB~IIIAが93%を占め、扁平上皮がんが50%、腺がんが29%であり、フォローアップ期間中央値は6年であった。 全生存率は、術前化学療法群が手術単独群に比べ有意に改善し(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.78~0.96、p=0.007)、相対的な死亡リスクが13%減少した。また、全生存率に関して試験間に有意な差は認めなかった(p=0.18、I2=25%)。これは、5年後の全生存率が絶対的に5%改善されたことを意味する(40%から45%へ)。 化学療法レジメンや投与スケジュール、薬剤数、使用されたプラチナ製剤の種類、術後放射線療法の有無が生存に及ぼす影響に関する明確なエビデンスは得られなかった。また、術前化学療法によるベネフィットに、年齢、性、PS、組織型、臨床病期別の差は認めなかった。 ほとんどの患者が臨床病期IB~IIIAであったにもかかわらず、無再発生存(HR:0.85、95%CI:0.76~0.94、p=0.002)および無遠隔転移再発(HR:0.69、95%CI:0.58~0.82、p<0.0001)も術前化学療法群で有意に良好であった。無局所再発は、術前化学療法群で良好な傾向がみられたが、有意な差はなかった(HR:0.88、95%CI:0.73~1.07、p=0.20)。 著者は、「切除可能NSCLCに対する術前化学療法は、全生存率、無遠隔転移再発、無再発生存を有意に改善したことから、妥当な治療選択肢であることが示唆される。手術を延期して術前化学療法を行っても早期死亡が増加することはないと考えられる」とまとめ、「術前化学療法では毒性とのバランスが重要で、本試験では毒性評価はできなかったが、多くの試験では十分に耐容可能と判定されていた」としている。

1910.

EGFR野生型の非小細胞肺がんに対するEGFR-TKIと化学療法を比較した初のメタアナリシス(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(195)より-

このメタアナリシスは、INTEREST試験、IPASS試験などの有名な試験を含む11の研究において、EGFR野生型の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と通常の化学療法を比較解析したものである。 結論から言えば、現在の臨床に大きな影響は与えないものと考えてよさそうだ。EGFR遺伝子変異陰性例に対して、おおむね通常の化学療法のほうがEGFR-TKIよりも効果的というプラクティスに変わりはない。このメタアナリシスでは、想定よりもEGFR-TKIの効果が高いように見えるが、EGFR-TKIを使用した研究はクロスオーバーが可能なデザインになっており、これが生存期間の解析に大きな影響を与えていることを加味しなければならない。 現在の進行NSCLCに対する治療は、EGFR遺伝子変異が陽性であればファーストライン治療としてEGFR-TKIあるいは白金製剤を用いた併用療法が推奨される。しかし、EGFR遺伝子変異陰性例であっても、セカンドライン以降でエルロチニブのエビデンスが高いことが知られている。ただ、EGFR遺伝子変異陰性例に対するゲフィチニブについては、エルロチニブほど効果が高くないと考えられている。これはINTEREST試験やIPASS試験の結果によるものと思われる(議論の余地がまだまだある論点ではあるが)。2011年にイレッサの添付文書が改訂され、適応はEGFR遺伝子変異陽性例のみとなった。  一方で、前述したとおりエルロチニブはEGFR遺伝子変異陰性例にも効果があると考えられている。有名な試験としてSATURN試験がある。白金製剤を含む併用療法を4サイクル行い、スイッチメンテナンスとしてエルロチニブまたはプラセボを投与した試験である。これによれば、エルロチニブはEGFR遺伝子変異陰性でも無増悪生存期間(PFS)、OSを延長した。また、本メタアナリシスに含まれる研究としては、近年発表されたTAILOR試験がやはりエルロチニブによってPFSを延長している。  厳密にどのキナーゼを阻害するかがEGFR-TKIごとに異なっているため、そもそも第1世代EGFR-TKIとしてまとめてメタアナリシスすることにどこまで意義があるのか、いささか疑問は残るが、本メタアナリシスはEGFR野生型に対するEGFR-TKIと通常の化学療法を比較した初めてのメタアナリシスであるため、今後のEGFR-TKIの研究に参考になることは間違いないだろう。

1911.

非小細胞肺がん治療の新規EGFR-TKI「ジオトリフ」薬価収載

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の肺がん治療薬ジオトリフ(一般名:アファチニブマレイン酸塩)が、2014年4月17日薬価収載された。適応症は、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん。同社は、同日「ジオトリフ発売記者説明会」を開催。和歌山県立医科大学 山本 信之氏、国立がん研究センター中央病院 山崎 直也氏、神奈川県立循環器呼吸器病センター 加藤 晃史氏が、同薬剤の有効性および有害事象について紹介した。 山本氏は、ジオトリフの薬剤特性および臨床試験の結果について紹介。同薬剤は、EGFRのみならずHER2、HER3、HER4といったすべてのErbBファミリーの受容体を持続的かつ選択的に阻害することで、従来阻害できなかったヘテロ二量体によるシグナル伝達も複合的に阻害する。また、共有結合により不可逆的に結合することで、シグナル伝達をより効果的に阻害できる可能性がある。国際共同第III相臨床試験であるLUX-Lung3試験では、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおいて、化学療法(CDDP+PEM)と比較し有意に無増悪生存期間(PFS)を延長している。とくに日本人のサブグループのPFS中央値は13.8ヵ月と良好である。山本氏は、近年著しい改善を示すPFSをさらに延長させる可能性があると述べた。 次に、山崎氏は、同薬剤の有害事象である皮膚障害について紹介。従来のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(以下EGFR-TKI)共通の有害事象として皮膚障害があり、ジオトリフも同様に皮膚障害が発生する。なかでも、同薬剤に特徴的なのは、他のEGFR-TKIと比較して爪囲炎など爪の異常の発生頻度が高い印象があることだと述べた。山崎氏はまた、皮膚障害の発生頻度と治療効果が相関することに触れ、皮膚障害の悪化により治療を断念することのないよう、予防と適切な治療により重症化を防ぐことが肝要であると述べた。 最後に、加藤氏は、同薬剤の有害事象である下痢・間質性肺疾患のマネジメントについて紹介。同薬剤による下痢は、グレード3以上の重症例も少なくない。しかしながら、下痢が原因の投与中止例はなく、早期に適切な対応を行うことで、コントロール可能であると述べた。一方、間質性肺疾患は、同薬剤の投与中止理由の最も多い有害事象である。とはいえ、日本人における発生頻度は3%程度と、他のEGFR-TKIと比較し高いとはいえないようである。加藤氏はまた、間質性肺疾患についても、症状チェック、リスク因子の鑑別などで早期発見、早期治療が重要であると述べた。ジオトリフの薬価は以下のとおり。ジオトリフ錠20mg1錠:5,840.70円、30mg1錠:8,547.40円、40mg1錠:11,198.50円 、50mg1錠:12,760.00円

1912.

EGFR野生型NSCLCにおける第1世代TKI vs. 化学療法/JAMA

 EGFR野生型(WT-EGFR)進行非小細胞肺がん(NSCLC)では、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と比較して、従来化学療法のほうが、無増悪生存(PFS)の改善が有意であることが示された。全生存率も化学療法のほうが高かったが有意ではなかった。韓国・ソウル大学のJune-Koo Lee氏らによる無作為化試験11件のメタ解析の結果、示された。現行ガイドラインでは治療歴のあるNSCLC患者について、EGFR TKIと化学療法の両方を標準治療の選択肢として推奨している。しかし、WT-EGFRを有する患者においてEGFR TKIの有効性が化学療法と同程度であるのかについては、明らかになっていなかった。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。WT-EGFR患者1,605例が含まれた11論文をメタ解析 WT-EGFR進行NSCLC患者について、第1世代EGFR TKIと化学療法の、生存との関連を調べるメタ解析は、2013年12月までに発表された各データソースの論文を探索して行われた。具体的には、PubMed、EMBASE、Cochrane databaseほか、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のミーティングアブストラクトから、進行NSCLC患者におけるEGFR TKIと化学療法を比較した無作為化試験を選択した。 検索で得られた1,947本の論文のうち、WT-EGFRを有する患者1,605例が含まれていた11論文を解析に組み込んだ。 データの抽出はレビュワー2名によって行われ、試験特徴とアウトカムを抽出。バイアスのリスクについては、コクランツールを用いて評価し、すべての計測値をランダム効果モデルを用いてプールし、95%信頼区間(CI)を算出した。 主要アウトカムはPFSで、ハザード比(HR)で評価した。副次アウトカムは、客観的な奏効率と全生存で、それぞれ相対リスク、HRで評価した。化学療法のほうがPFSを有意に改善、全生存の有意差はみられず 結果、WT-EGFRを有する患者において、化学療法はTKIと比較して、PFSを有意に改善した(TKIのHR:1.41、95%CI:1.10~1.81、p<0.001)。 治療選択順位(第1選択か第2選択か、それ以降か)、試験薬の違い、人種/民族性、EGFR変異解析法のサブグループ間の差は統計的に有意ではなかった。ただし、EGFR変異解析法に関して、直接塩基配列決定法よりも高感度検出法を用いた試験のほうが、化学療法のPFSベネフィットとの関連が有意であった(TKIのHR:1.84、95%CI:1.35~2.52)。また、治療選択順位に関して、化学療法のPFS改善との関連は、第2選択かそれ以降であった試験でも、有意であった(同:1.34、1.09~1.65)。 客観的奏効率は、化学療法でより高かった[化学療法:92/549例(16.8%)対TKI:39/540(7.2%)、TKIの相対リスク:1.11、95%CI:1.02~1.21]。しかし、全生存に関して統計的有意差は観察されなかった(TKIのHR:1.08、95%CI:0.96~1.22)。

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特発性肺線維症(IPF)への挑戦

 2014年4月3日(木)都内にて、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社主催のメディアセミナー「呼吸器領域における難病への挑戦~特発性肺線維症(IPF)~」が開催された。当日は、自治医科大学呼吸器内科 教授 杉山幸比古氏、東邦大学医学部呼吸器内科学分野 教授 本間 栄氏が、特発性肺線維症(以下IPF)について、それぞれ疫学・病態、治療の進歩に関して講演した。 杉山氏は、IPFの疫学と病態について紹介した。IPFは特発性間質性肺炎に属するが、その中でも症例数が最も多く、また予後が不良な病態である。本邦におけるIPFの発症率はおおよそ10万人対2人、有病率は10万人対10人であり、全国で1万3,000人以上の患者がいるとされる。杉山氏は実際には、それ以上の患者がいるとも考えられると述べた。 IPFの生存中央値は鑑別診断後35ヵ月であり、予後不良のがんと大きな差はない。とはいえ、進行パターンはさまざまで、緩除に進行するものもあれば急速に進行するケースもある。主な症状は労作時呼吸困難、乾性咳嗽であるが、初期には年齢のせいとされることも少なくないという。IPFの死亡原因は慢性呼吸不全、急性増悪、肺がんが多くを占めるが、重要な問題として挙げられるのが、急性増悪と肺がんの合併といえる。急性増悪では、緩除に進行していたケースが急激に死に至ることも少なくなく、IPF患者では通常の喫煙者に比べ数十倍肺がんを発生しやすいという。 本間氏はIPFの治療について紹介した。IPFは特発性間質性肺炎の中でも最も治療反応性が低く、ほかの病型とは異なった治療戦略がとられる。IPFの治療ゴールは、生存期間の延長、呼吸機能の維持・低下の抑制、急性増悪の予防である。 治療法としては、酸素療法、呼吸リハビリテーション、薬物療法が主なものである。呼吸リハビリテーションについては近年、運動耐容能、症状、健康関連QOLの改善など、その有効性が明らかになってきている。 薬物療法については、従来ステロイドパルス療法が中心であったが、近年N-アセチルシステイン(NAC)、ピルフェニドンの有効性が明らかになってきている。さらに、本年5月に開催されるATS(米国胸部学会)では、INPULSIS試験(チロシンキナーゼ阻害薬)、ASCEND試験(ピルフェニドン)、PANTHER試験(NAC単独療法)などの臨床試験も発表予定であり、IPFの薬物療法に関するエビデンスが一気に充実してくると期待される。

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進行NSCLC1次治療のプラチナダブレット:VNR+CDDP vs DTX+CDDP

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、VNR+CDDP(VC療法)とDTX+CDDP(DC療法)の効果の同等性については議論の残るところである。中国・安徽省立医院のGuodong Shen氏らは、進行NSCLCの1次治療におけるVCとDC療法の比較を目的としてメタアナリシスを行った。Molecular and Clinical Oncology誌2014年1月2日号の掲載報告。 論文は、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、EMBASE、Chinese Biomedical Literature database(CBM)を通し2013年5月分まで検索され、9件の無作為比較試験(総患者数1,886例)が分析された。エンドポイントは、全奏効率、生存率と毒性であった。 主な結果は以下のとおり。・奏効率はDC群で有意に高かった(RR=0.83、95%CI:0.73~0.95、p=0.007)。・2年生存率はDC群で有意に高かった(RR=0.65、95%CI:0.50~0.84、p=0.001)。・1年生存率は同等であった(RR=0.90、95%CI:0.81~1.01、p=0.07)。・毒性については、VC群でグレード3/4の白血球減少(OR=1.26、95%CI:1.02~1.54、p<0.05)、貧血(OR=3.40、95%CI:2.42~4.76、p<0.05)、嘔吐(OR=1.58、95%CI:1.14~2.20、p<0.05)が多く、DC群でグレード3/4の下痢が多かった(OR=0.31、95%CI:0.18~0.55、p<0.0001)。グレード3/4の好中球減少、血小板減少、悪心については両群間で有意な差はなかった。 DC療法がVC療法と比較してQOLを改善するというエビデンスはないが、このメタアナリシスではDC療法の進行NSCLCの1次治療としての利点が示された。近年、がん細胞シグナル伝達研究の進化により、分子標的治療が新たな治療選択肢として現れた。著者らは、将来、これらのレジメンは標的治療を追加する際の潜在的プラットフォームとなる可能性があるとしている。

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非小細胞肺がんに有望な新規ALK阻害薬/NEJM

 未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)再構成を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、新しいALK阻害薬であるセリチニブは有望である可能性が示された。米国・マサチューセッツ総合病院のAlice T. Shaw氏らが、ALK阻害薬クリゾチニブ投与中に増悪した例を含む進行ALK再構成NSCLC患者を対象とした第I相臨床試験の結果、ALK耐性変異の有無にかかわらず高い活性が示された。ALK再構成NSCLCは、クリゾチニブに感受性を示すが、大多数の患者において耐性が生じる。セリチニブは、クリゾチニブよりも強い抗腫瘍効果を示すことが前臨床試験で示され、新たなALK阻害薬として期待されている。NEJM誌2014年3月27日号掲載の報告より。ALKに遺伝子変化を有する進行がん患者を対象に検討 試験は、ALKに遺伝子変化を有する進行がん患者を対象に、セリチニブ50~750mgを1日1回経口投与して行われた。試験の拡大期には、最大耐用量が投与された。 患者のセリチニブに対する安全性、薬物動態特性、抗腫瘍活性について評価した。なお、クリゾチニブの投与中に増悪したNSCLC患者群において、ALKの耐性変異の有無を調べるため、セリチニブ投与前に腫瘍生検を行った。 2012年10月19日時点で、合計130例の患者が治療を受けた。59例が用量漸増期に登録され、71例は拡大期の登録であった。 被験者130例の年齢は中央値53歳、ECOGスコア1の被験者が68%、NSCLC患者は94%であった。セリチニブ1日400mg以上NSCLC、全奏効率58%、無増悪生存期間中央値7.0ヵ月 セリチニブの最大耐用量1日1回750mgの投与下において、用量制限毒性イベントとして、下痢、嘔吐、脱水症状、アミノトランスフェラーゼ値の上昇、低リン酸血症などが認められた。 NSCLC患者においてセリチニブ1日400mg以上を投与された114例の全奏効率は58%(95%信頼区間[CI]:48~67)だった。同患者の無増悪生存期間中央値は7.0ヵ月(同:5.6~9.5)であった。 また、クリゾチニブ投与歴があった80例の奏効率は56%(同:45~67)であった。奏効は、ALKにさまざまな耐性変異がある患者および変異が検出されなかった患者においても認められた。同患者の無増悪生存期間中央値は6.9ヵ月(同:5.3~8.8)であった。クリゾチニブ投与歴がなかった34例では、無増悪生存期間中央値は10.4ヵ月(同:4.6~算出不可)であった。

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非小細胞肺がんの予後は術前化学療法により改善するか(コメンテーター:小林 英夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(187)より-

全世界で毎年150万人の新規肺がんが診断され、その8割は非小細胞肺がん(NSCLCs)で、切除だけで完治が期待できる症例は20~25%程度である。術前化学療法は腫瘍径や転移巣の縮小効果を期待できる一方で、手術を遅らせ、がんの進行により切除不能になってしまうことも時にありうる。 これまで、術前化学療法が予後改善に結びつくことを期待し、多くの臨床試験が実施されてきたが、いまだ最終的な結論には至っていない。その理由の一つは、非小細胞肺がんの多様性・不均一性にある。 今回紹介したLancetの論文はシステマティックレビューとメタ解析を用い、術前化学療法が予後を改善するという結果だが、結語ではNSCLCsにおいて術前化学療法を導入することが望ましい、ないし導入すべき、という記載でなく、valid optionとの表現がなされている。 2014年に日本肺癌学会肺癌診療ガイドライン改訂版が発刊予定なので、日本の現況と比較し、概説する。 本論文で取り上げた対象報告は1965年以降の発刊が対象だが、当然ながら1990年代以降の成績が主体となっている。一言で術前化学療法と一括しているが、術後化学療法導入例や放射線療法実施例も混在しており、純粋に術前化学療法単独の比較解析ではない。 また背景因子が、臨床病期はIBが最多、次いでIIB、IIIAであること、扁平上皮がんが最多で腺がんの2倍弱、男性が8割、60歳以下が4割、などは日本の現状と大きく異なることに留意する必要がある。本邦での切除対象非小細胞肺がんは臨床病期IA、IBが主で、腺がんが多く、男性が6割、切除症例の8割弱は60歳以上、と背景因子が異なる。 日本肺癌学会のガイドラインでは、非小細胞肺がんの術前治療として、I-IIIAに術前プラチナ併用化学療法を考慮してもよい、一部のIIIA(N2)に対して術前化学放射線療法を考慮してもよい、との見解が発表予定である。裏付けとなる検索対象論文は2編しか同一ではないものの、結語は大筋類似している。 結論として術前化学療法の意義は存在すると考えられるものの、実地医療では症例ごとの治療選択において、各臨床病期別での成績が求められる。臨床病期を評価するうえでcT3における不均一性の認識も重要である。現在のT3には胸壁、横隔膜、心嚢などへの浸潤と、腫瘍先進部、無気肺などいくつかのカテゴリーが混在し、予後の不均一性が問題であるので、新たなT3基準が検討されており、UICCのTNM分類も近々に新分類が発表予定である。 メタ解析により総括的な術前化学療法の価値が認められても、次の段階として非小細胞肺がんの病期別・層別化成績、そして最終段階としての個別化医療の選択基準が解明されて初めて臨床に還元できる研究となる。本邦の実地臨床ではI期症例の術前化学療法はごく少数でのみ導入されている。II期でも臨床試験以外で積極的に導入する施設は決して多いものではない。臨床病期をさらに層別化したうえで、術前化学療法の意義を明らかにできる報告の登場が待たれる。

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NSCLCに対する術前化学療法によって5年生存率改善/Lancet

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の“術前”化学療法は、全生存、遠隔再発までの期間、無再発生存を有意に改善することが、英国・NSCLCメタ解析共同研究グループによる検討の結果、示された。これまで同患者について、“術後”化学療法のメタ解析において生存を改善することは示されていた。解析には、無作為化試験被験者の92%のデータが組み込まれ、stage IB~IIIAの患者が主であったことなどを踏まえて、研究グループは「今回の結果は、術前化学療法が有効な治療オプションとなりうることを示すものである」とまとめている。なお、毒性作用については本検討では評価できなかった。Lancet誌オンライン版2014年2月24日号掲載の報告より。全生存を改善するかなどシステマティックレビューとメタ解析で分析 切除可能なNSCLC患者の術前化学療法の有効性を明らかにする検討は、1965年1月以降に開始された化学療法(術前・術後問わない)+手術vs. 手術単独の比較試験の参加者を適格としたシステマティックレビューとメタ解析にて行われた。最新の参加者データを集約し、確認・分析し、無作為化試験の個別データ(公表の有無問わず)を併合して2段階固定効果モデルを作成した。 主要アウトカムは、無作為化から死亡(死因を問わない)までの全生存(生存は最終フォローアップ日に削除されるまでと定義)であった。副次アウトカムは、無再発生存、局所および遠隔再発までの期間、疾患特異生存率、完全および全切除率、術後死亡率であった。事前規定により、試験または患者の特性ごとにあらゆる効果について分析した。5年生存率、5%の改善 適格基準を満たした無作為化試験19本(うち未公表は2本)のうち、データが提供されなかった3本と被験者が2例であった1本を除く、15本・2,385例(無作為化試験参加者の92%に基づく)のデータに基づき本メタ解析は行われた。 15本のうち、年齢・性別・病歴・stageのデータは14本から、全身状態(PS)については11本から入手できた。入手データに基づく患者背景は、大半が男性(80%)で、年齢中央値62歳、PSは良好(88%)であった。またstage IB~IIIAの患者が主で(93%)、扁平上皮がんが50%、腺がんが29%であった。全患者のフォローアップ期間は中央値6年(IQR:4.2~8.2年)であった。 15本・2,385例に基づく解析の結果、術前化学療法の生存に関する有意なベネフィットが認められた。術前化学療法群の死亡は682/1,178例、対照群は745/1,207例で、ハザード比[HR]は0.87(95%信頼区間[CI]:0.78~0.96、p=0.007)、相対リスクで13%の死亡低減が認められた(試験間の差のエビデンスなし、p=0.18、I2=25%)。これは5年で5%の生存率の改善(40%から45%へ)に該当した。 化学療法レジメンやスケジューリング、投薬量、プラチナ製剤使用の有無、あるいは術後放射線療法の有無による、生存への影響の差についてのエビデンスは判明しなかった。また、術前化学療法のベネフィットを得た特定患者タイプ(年齢、性別、PS、組織学的または病期で定義)のエビデンスも判明しなかった。 解析に組み込まれた大部分の患者がstage IB~IIIAであったにもかかわらず、無再発生存(HR:0.85、95%CI:0.76~0.94、p=0.002)、遠隔再発(同:0.69、0.58~0.82、p<0.0001)の結果はいずれも、術前化学療法を有意に支持するものであった。局所再発の結果も、術前化学療法を支持するものであったが統計的に有意ではなかった(同:0.88、0.73~1.07、p=0.20)。

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インターネットのがん情報は要注意

インターネットのがん情報はさまざま情報の質については十分に確認が必要です米国ではNPOや公的機関による情報が多いのに対し、日本のインターネットのがん情報は、医療機関、個人、商業サイトの多さが目立ちます。100%その他21.3%80%患者(家族の個人サイト14.8%60%その他42.8%(特定の治療に関する)商業サイト医療機関サイト8.6%医療機関サイト32.8%NPOまたは公的機関サイト48.6%18.0%40%20%0%NPOまたは公的機関サイト13.1%日本の検索サイト米国の検索サイト日本の検索サイト(Google-Janan、Yahoo-Japan)にて“肺がん”、米国の検索サイト(Google-USA)にて“Lung cancer”で検索された、上位50サイト(広告エリア、重複、健康情報の提供を目的としていないものを除く)について検証(2007年5月実施)Goto Y, et al. J Thorac Oncol 2009;4:829-833.Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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抗がん剤の副作用の発現時期

抗がん剤の投与後にはさまざまな副作用が現れます抗がん剤による主な副作用の発現時期投与日アレルギー反応、吐き気・嘔吐、血管痛、発熱、血圧低下2~7日疲れやすい、だるい、食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢7~14日口内炎、下痢、食欲不振、胃もたれ、骨髄機能の抑制(貧血、白血球減少・血小板減少)14~28日脱毛、皮膚の角化やしみ、手足のしびれ、膀胱炎経過時期によって現れる有害事象は変わってきます独立行政法人国立がん研究センター がん情報サービスよりCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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大腸がん手術後の患者さんへの説明

手術のあと大腸がんの手術を受けられた方へ編著:東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学 助教 石黒 めぐみ氏監修:東京医科歯科大学大学院 腫瘍外科学 教授 杉原 健一氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.あなたの受けた手術手術を行った日手術で切除した範囲年月日術式名(受けた手術の名称)きずお腹の創Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.2病理検査の結果深達度□□□□□□大腸癌取扱い規約【第8版】←粘膜大腸(断面)←粘膜下層Tis(粘膜まで)T1(粘膜下層まで)T2(固有筋層まで)T3(漿膜下層まで)T4a(漿膜に露出)T4b(ほかの臓器に浸潤)←固有筋層←漿膜下層←漿膜リンパ節リンパ節転移□ なし□ あり ➡個(□N1 □N2 □N3)以上の結果を総合するとあなたの大腸がんの病理学的進行度(ステージ)はほかの臓器への転移0□ 術前の検査では認めていません□ ほかの臓器への転移が疑われます➡(臓器)ⅠⅡⅢaⅢbⅣと診断されます。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.3【参考】大腸がんの進行度(ステージ)ステージ0粘膜・がんが粘膜の中にとどまっているステージⅠ・がんが粘膜下層あるいは固有筋層までにとどまっている・リンパ節転移がないステージⅡ粘膜下層固有筋層・がんが固有筋層を超えている・リンパ節転移がない漿膜下層漿膜・リンパ節転移があるステージⅢステージⅣⅢa:リンパ節転移が1~3個Ⅲb:リンパ節転移が4個以上・ほかの臓器への転移や腹膜播種がある肝転移Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.リンパ節転移肺転移早期がん進行がん腹膜播種4今後の治療について☑:あなたに当てはまるもの① 大腸がんの「再発」とは?② 大腸がん手術後の定期検査③ 術後補助化学療法④ 一時的人工肛門の閉鎖⑤その他のがんの検診についてCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.5①大腸がんの「再発」とは?a)大腸がんの「再発」とは?・手術でがんをすべて取りきったと思っても一定の割合で再発が起こります。大腸から離れた場所に❝飛び火❞した目に見えない大きさのがん徐々に増えてきて画像に写る大きさのしこりになったもの1cmくらい手術前手術後Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.再発6①大腸がんの「再発」とは?b)大腸がんの再発率・手術のときのステージが進んでいるほど再発する確率(再発率)は高くなります。(%)5030.8%43.240再発率302010013.3%3.7%2.712.124.3結腸がん直腸がん16.75.7ステージⅠステージⅡステージⅢ大腸癌研究会・プロジェクト研究 1991~1996年症例大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.7【参考】大腸がんの5年生存率(%)10094.091.68084.877.760.0604018.8200ステージ0ステージⅠステージⅡ ステージⅢa ステージⅢb ステージⅣ大腸癌研究会・大腸癌全国登録 2000~2004年症例大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.8①大腸がんの「再発」とは?c)大腸がんの主な再発形式・大腸がんの再発には、以下のようなものがあります。遠隔再発ほかの臓器に再発・肝再発腹膜再発吻合部再発(腹膜播種)お腹の中(腹腔内)に種をまいたように散らばって再発腸をつなぎ合わせた部分に再発局所再発・肺再発もともとがんがあった周囲に再発・その他:脳や骨などCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.9②大腸がん手術後の定期検査a)定期検査はなぜ必要?・大腸がんの再発は、手術で取りきれれば治る可能性があります。・再発が起こっていないかどうかをチェックするために手術後には定期的な検査が大切です。・手術のあと、5年間は定期検査を行います。大腸がんの再発のうち、96%が手術後5年以内に起こります。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.10②大腸がん手術後の定期検査b)定期検査のスケジュール(例)・以下のようなスケジュールに従って定期検査を行います。※ステージや患者さんのからだの状態によって多少異なります。1年2年問診・診察3ヵ月ごと直腸指診【直腸がん】3ヵ月ごと4年5年6ヵ月ごと腫瘍マーカー3年胸部・腹部CT6ヵ月ごと6ヵ月ごと骨盤CT【直腸がん】6ヵ月ごと6ヵ月ごと大腸内視鏡検査1~2年ごと大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.11③術後補助化学療法a)術後補助化学療法とは?・からだの中に残っているかもしれない見えないがん細胞を攻撃し、再発を防ぐ あるいは 再発を遅らせることを目的として、手術のあとに行う抗がん剤治療のことを「術後補助化学療法」といいます。【術後補助化学療法の対象となる患者さん】・ステージⅢの患者さん・ステージⅡのうち再発する危険性が高いと思われる患者さん・原則として術後1~2ヵ月を目安に開始し、6ヵ月行います。・通常は2~3週おきの外来通院で治療します。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.12③術後補助化学療法b)術後補助化学療法で使用されるレジメン・大腸がんの術後補助化学療法で使用されるレジメンには、以下のようなものがあります。※レジメンとは、使用する薬剤とその組み合わせ、投与する量やスケジュールなど治療の「レシピ」のようなものです。レジメン剤型投与方法投与スケジュール・5-FU+LV療法注射薬2時間かけて点滴週1回×6回その後2週間休む・UFT+LV療法飲み薬内服(1日3回)4週間内服その後1週間休む・カペシタビン療法飲み薬内服(1日2回)2週間内服その後1週間休む・FOLFOX療法注射薬48時間かけて点滴2週間おき・CapeOX療法飲み薬+注射薬点滴は約2時間カペシタビンは内服(1日2回)点滴+2週間内服その後1週間休むCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.13④一時的人工肛門の閉鎖・今回の手術では、以下のような目的で、一時的な人工肛門を造設しました。□腸のつなぎ目を安静に保ち、縫合不全*を予防するため。□ 術後、縫合不全*が起こったため。*縫合不全:腸のつなぎ目がほころびること・腸のつなぎ目が落ち着いたころを見計らって人工肛門を閉鎖する(もとに戻す)手術を行います。・1~2時間程度の手術です。・今回の手術と同様、全身麻酔で行います。・おおよその入院期間:日程度・手術を行う時期の目安:年お腹の壁(腹壁)月ころCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.口側の腸管皮膚筋層腹膜肛門側の腸管14⑤その他のがんの検診についてa)ほかの臓器のがんの検診について・大腸がんにかかったあとも、ほかの臓器のがんにかかる可能性があります。※大腸がん手術後の患者さんがほかの臓器のがんにかかる頻度は1~5%と報告されています。・大腸がんの手術後には、再発のチェックを目的とした定期検査を行いますが、ほかの臓器のがんの検査としては必ずしも十分ではありません。・自治体などで実施されるがん検診は、積極的に受けましょう。大腸がん手術後の定期検査では見つかりにくいがん・胃がん・食道がん・乳がん・子宮がん・前立腺がん大腸がん手術後の定期検査で見つかりやすいがん・肺がんCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.・肝臓がん15⑤その他のがんの検診についてb)別の大腸がんができる可能性があります・大腸がんの手術を受けたあとも、大腸の別の部分に別の大腸がん/大腸ポリープができる可能性があります。※大腸がん手術後の患者さんで、大腸の別の部分に別の大腸がんができる頻度は1~3%と報告されています。これは一般集団に比べておよそ1.5倍高い頻度です。・5年間の「手術後の定期検査」が終了したあとも、2~3年に1回の大腸内視鏡検査を受けることが勧められます。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.16退院後の生活について① 退院後の食生活② 退院後の日常生活③ 退院後の仕事復帰④ 退院後のスポーツやレジャーCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.17①退院後の食生活・原則として食事の内容に制限はありません。・「ゆっくり、よく噛んで、腹八分目」を心がけましょう。【食事のとり方の基本】➊ 規則正しく食事をとりましょう。➋ ゆっくり、よくかんで食べましょう。➌ 一度にたくさん食べすぎないようにしましょう。➍ バランスよく、消化の良いものを中心にとりましょう。➎ 水分をしっかりとりましょう。➏ アルコールはほどほどに。➐ 腸閉塞のサインを知っておきましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.詳しくは24ページ18【参考】一度にたくさん食べ過ぎるとよくない食品・原則として食事の内容に制限はありません。・ただし、以下のような消化されにくい食べ物を一度にたくさん食べると、つまったり流れにくくなったりして、腸閉塞を起こすことがあります。詳しくは24ページ食べ方や調理法を工夫して適量を食べるようにしましょうこんぶ・わかめなどの海藻類ごぼう・れんこんなど繊維質の根菜類きのこ類こんにゃく・よく噛む・こまかく刻む(繊維と垂直に切る)・やわらかく煮込む などまめ類Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.19②退院後の日常生活・退院後2ヵ月ほどはあまり無理をしないほうがよいですが自分の体力の回復に合わせて、徐々に行動範囲を広げていきましょう。・適度に体を動かしましょう。きずおとなしくして創を大事にしていたからといって、きず創の治りやがんの治りがよいわけではありません。適度な運動は体力や筋力を回復させ、胃腸の活動を活発にします。血行をよくし、手術の傷跡の治りもよくします。・まずは散歩や、軽い家事などがよいでしょう。疲れ具合に応じて、出かける時間や距離、作業の量や程度を増やしたりしてみましょう。病院への通院もよいリハビリになります。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.20③退院後の仕事復帰・デスクワーク中心の仕事であれば、手術後1ヵ月程度・からだを動かす仕事であれば、手術後2~3ヵ月程度が復帰の目安です。・軽めの仕事から徐々に始めていくのがよいでしょう。いきなりもとの仕事の内容・量を目指すのではなく、時短勤務や、一時的に仕事の内容を変更すること(外回り→内勤)なども考慮しましょう。・ご家族や職場の人たちのサポートが心身ともに大切です。ひとりで悩まずに、周りの人たちと協力して、手術後の回復期を乗り切りましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.21④退院後のスポーツやレジャー・体を鍛え上げるような激しい運動をする必要はありません。自分の体力に合わせて、好きな運動を生活に取り入れて楽しみましょう。・お腹に力が入るような運動は、手術後2~3ヵ月は控えましょう。腹筋運動、重いものを持ち上げる、ゴルフ、相撲、柔道など。腹壁瘢痕ヘルニアの原因になることがあります。詳しくは25ページ2~3ヵ月は…・もちろん旅行だって楽しめます。とくに制限はありません。はじめのうちはあまり無理のない範囲で楽しみましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.22今後起こりうる手術の影響☑:あなたに当てはまるもの① 腸閉塞(イレウス)② 腹壁瘢痕ヘルニア③ 排便習慣の変化□【結腸がん】□【直腸がん】□【人工肛門】④ 排尿機能障害【直腸がん】⑤ 性機能障害【直腸がん】Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.23①腸閉塞(イレウス)・お腹の手術を受けた後は、癒着などにより、何らかのきっかけで便の通りが突然悪くなることがあります。これを「腸閉塞(イレウス)」といいます。便やガス(おなら)の出が悪くなり、お腹が張ったり、お腹が痛くなったり、嘔吐したりします。・軽い場合は食事をしばらくお休みすれば改善します。それで改善しない場合は、鼻から管を入れて腸の内容物を吸い出したり、手術が必要になる場合もあります。軽いお腹の張りを感じても、便やガス(おなら)が出ている場合は、食事の量を減らして様子を見てください。強い腹痛、嘔吐、排便・排ガスがない などがある場合は、飲食はせずに、ただちに病院に連絡してください。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.24②腹壁瘢痕ヘルニア・お腹の壁(腹筋)を縫い合わせた部分のうち、筋肉に弱いところがあると、そこから腸がお腹の外に脱出することがあります。これを「腹壁瘢痕ヘルニア」といいます。皮膚筋層腹膜小腸・大腸きずお腹に力を入れたり長時間立っていたりすると、お腹の創の付近がポコッと盛り上がり、押すとペコペコします。あおむけに寝たり、お腹の力を抜くことによって、簡単に腸がお腹の中に戻る場合は、日常生活に支障がなければ、治療を急ぐ必要はありません。脱出した腸がねじれて血行が悪くなったりした場合には、強い痛みが起こります。この場合はただちに手術が必要ですので、すぐに病院に連絡してください。・腹壁瘢痕ヘルニアを予防するため、✔ 手術後2~3ヵ月は、腹圧のかかる作業は避けてください。腹筋運動、重いものを持ち上げる、ゴルフ、相撲、柔道など。✔ 太りすぎないように気を付けてください。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.25③排便習慣の変化【結腸がん】・結腸がんの手術では、日常生活に支障が出るような変化はほとんどありません。手術後2~3ヵ月は、やや便通が落ち着かないと感じることもあると思います。時間の経過とともに、少しずつ落ち着いてくるのが一般的です。規則正しい食生活が大切です。とくに朝食はきちんととりましょう。散歩などの適度な運動も効果的です。・便秘・下痢が続くなど、便通にお悩みのときは主治医に相談してください。便を柔らかくする薬や下痢止めなど、いろいろなお薬で改善する場合があります。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.26③排便習慣の変化【直腸がん】・直腸がんの手術では、肛門が残っても、直腸の大部分が切り取られているので、十分に便をためられないために、以下のような排便習慣の変化が見られます。・便の回数が増える・残便感がある・便意をがまんできない・寝ている間やお腹に力を入れたときに便やガスが漏れてしまう※程度には個人差があります。・半年~1年くらいの経過で、徐々に改善してきます。・排便のパターンをつかんで、上手に付き合っていきましょう。対策・夜間や外出時の漏れが心配な場合は、生理用品や尿取りパットを使う。(トイレットペーパーはお尻が荒れてしまうので避ける!)・外出直前の食事は避ける。・駅や外出先では、あらかじめトイレの場所を確認しておく。・シャワートイレがおすすめ(携帯用のものもあります)。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.27③排便習慣の変化【人工肛門】・人工肛門に関する悩みやトラブルがあるときは、「ストーマ外来」で専門の医師・看護師に相談してみましょう。【ストーマ外来のリスト】「日本創傷・オストミー・失禁管理学会」ホームページhttp://www.etwoc.org/stoma.html・人工肛門・人工膀胱をもつ患者さんの会もあります。「日本オストミー協会」ホームページ http://www.joa-net.org/日常生活に役立つさまざまな情報が得られます。・永久人工肛門になった患者さんでは、「直腸膀胱機能障害」(通常は4級)として身体障害者手帳を取得できます。・装具の給付、税の控除などのサービスを受けることができます。・患者さん自身(またはご家族)による申請が必要です。・申請以降に助成が開始されるので、早めに申請の手続きを。・詳しくは、市区町村の福祉担当窓口や、病院の社会福祉士(ソーシャルワーカー)に問い合わせてみましょう。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.28④排尿機能障害【直腸がん】・手術操作による一時的な自律神経のダメージや、がんを取りきるために一部の自律神経を切除したことにより排尿機能に障害が出ることがあります。尿道括約筋対策膀胱● 膀胱のセンサーの障害・尿意がよくわからない・膀胱に尿がたまりすぎてあふれる● 膀胱が収縮する機能の障害・膀胱の壁が固くなって伸びが悪い→あまり尿をためられずにあふれてしまう・押し出す力が弱く、“残尿”が増える・尿意がなくても、一定の時間ごとにトイレに行く。・男性の小用も座ってゆっくりと。・排尿時に下腹部を圧迫する(手で押す+前かがみ)。・症状に応じたお薬で症状が改善する場合があります。・自己導尿(自分で尿道に管を入れて尿を出す)Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.泌尿器科の医師に相談29⑤性機能障害【直腸がん】・手術操作による一時的な自律神経のダメージや、がんを取りきるために一部の自律神経を切除したことにより性機能に障害が出ることがあります。下大静脈腹部大動脈上下腹神経叢下腹神経骨盤神経叢(下下腹神経叢)骨盤内臓神経(勃起神経)直腸への神経枝膀胱への神経枝【男性の場合】・勃起障害・射精障害※女性の場合の性機能への影響はよくわかっていません。・手術の影響による症状です。恥ずかしがらずに主治医に相談しましょう。対策・お薬で改善する場合があります。・専門の医師への相談もできます。Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.泌尿器科の医師に相談30

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