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Stage III 肺がん、化学放射線療法+免疫療法が期待される理由

 2018年5月25日、第11回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「肺がんの早期治療における免疫治療への期待」が開催された。山本 信之氏(和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授)、髙山 浩一氏(京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 教授)が登壇し、Stage III切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)治療における課題と免疫療法による可能性、およびこれまでほとんど明らかにされてこなかった、Stage III肺がん患者の心理的負担感をテーマに講演した。化学放射線療法と免疫療法の併用による可能性 はじめに山本氏は、NSCLC患者の約2割を占めるStage IIIの患者に対する治療では、根治を目指し、化学療法と根治的胸部放射線療法の併用が標準治療として推奨されていることを説明。第2世代レジメン(MVP)から、第3世代レジメン(カルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+ドセタキセル等)へと新しい抗がん剤が登場しているものの、放射線と併用したときの生存期間延長という意味では、約20年間ほぼ治療の進歩がないことを指摘した。 一方、標準治療が化学療法のみとなるStage IVでは、分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬による治療の進歩が著しい。このうち分子標的治療薬については、「放射線との併用でベネフィットがある可能性はゼロではないが、薬剤性肺炎のリスクがあることから、大規模な臨床試験を実施してその効果を確かめることは難しい」と山本氏は語った。 そこで期待されるのが、免疫チェックポイント阻害薬だ。山本氏は、Stage IV肺がん患者対象の複数の試験で、腫瘍のPD-L1発現率が高いほど免疫チェックポイント阻害薬の奏効率が高いと確認されていること(KEYNOTE-0011)、CheckMate017/0572))、マウスによる実験段階ではあるが、放射線治療によりPD-L1発現が高まり、抗PD-L1抗体と放射線療法を併用すると、各単独療法よりも生存期間が延長すると示唆されていること3)から、「放射線療法が免疫療法の効果を高める可能性がある」と話した。 続いて山本氏は、放射線療法と免疫療法の併用により、放射線照射部位のみでなく、遠方の転移巣においても抗腫瘍免疫反応が活性化される“アブスコパル効果”について言及。悪性黒色腫に対する試験では、イピリムマブ+放射線療法によるアブスコパル効果が確認され、放射線を照射していない部位でも腫瘍縮小効果が確認されている4)という。免疫療法そのものの効果も、早期でより高い? 「腫瘍量が少ないほど免疫療法による治療効果が高いと示唆されていることも5)、Stage IIIでの免疫療法に期待ができる理由の1つ」と山本氏。より早期でより腫瘍量の少ない、手術適応の肺がん患者に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬を投与した結果、ほぼ全例で腫瘍縮小効果が確認されたデータ6)を紹介し、「早期の腫瘍量の少ない病変や微小転移に対し、免疫療法の効果はStage IVよりもさらに高いのではないかと期待される」と話した。心理的な不安感、進行期よりもStage IIIの患者でより強い傾向 続いて髙山氏は、インターネットによる患者調査の結果7)を基に、Stage III肺がん患者における心理的負担感について講演した。「進行期であるStage IVの患者さん対象の調査は行われてきたが、Stage IIIの患者さんの心理的負担感についてはほとんどわかっていなかった」と髙山氏。本調査では、心理的ストレスを数値化するための尺度として、HADS質問票を使用。この質問票は、不安7項目、抑うつ7項目の計14項目からなり、それぞれの状態を点数化して評価する。 調査の結果、化学放射線療法を受けた肺がん患者は、薬物療法を受けた肺がん患者と比較してHADSスコアが高くなる傾向がみられ、特に不安の度合いが高いことが確認された。なかでも、“だんだんと不安が大きくなっていくように感じた”という項目で化学放射線療法を受けた患者の負担感が高かったことに髙山氏は着目。「分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われるStage IVよりも、従来の抗がん剤が使われるStage IIIの治療でより副作用による負担が大きい場合があること、また放射線療法後半における、食事摂取への影響などが背景にあるのではないか」と推察した。 さらに、「Stage IIIでは、初回治療後に無治療で経過観察をする期間が続く。いつ再発するかという不安を抱えながら、“何もしない”ことは大変なストレスだろう」と話し、「免疫療法を含め、このタイミングで何らかの治療の選択肢が生まれれば、心理面でも大きなプラスなのではないか。そしてもちろん、生存期間延長につながる治療法の登場が、病気と治療に直面する患者さんたちにとって、何よりの励みになると期待している」と結んだ。■参考1)Garon EB, et al. N Engl J Med.2015;372;2018-2028.2)Felip E, et al. ESMO 2017.3)Dovedi SJ, et al. Cancer Res.2014;74:5458-5468.4)Postow MA, et al. N Engl J Med.2012;366;925-931.5)Huang AC, et al. Nature.2017;545;60-65.6)Forde PM, et al. N Engl J Med. 2018;378;1976-1986.7)アストラゼネカ株式会社プレスリリース

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第61回

第61回:ALK-TKIの使い分け、irAEへのステロイド長期使用(視聴者からの質問)キーワード肺がんメラノーマALK-TKIアレクチニブirAE動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。今日はこのプログラムを見てくださっている方からの質問があるので、お答えしたいと思います。1つ目はALKインヒビターをどのように使っているか、ということなんですけども、J-ALEX、Global ALEX study両方で、アレクチニブのPFSの結果がでたので、アレクチニブを1stラインに使うことが多くなっています。ただ、アレクチニブが効かなくなったときはどうするのかということで、リキッドバイオプシーを使って研究を進めるという話を聞いたことあるんですけど、そこに使われるGUARDANTという会社のキット、ALKインヒビター耐性のさまざまなミューテーションについて結果を出してくるので、それを使うことが多くなっています。リキッド・バイオプシーのメリットとしては、病気が進行したときに、繰り返しできる…やはりティシュー・バイオプシーに比べるとやりやすいということなんですけど、ただコストがかかるので、日本では1回の診断につき1回のみと聞いたことがありますが、アメリカでもそれを何回まで許すか、どこまで保険会社が払ってくれるかというのは、まだはっきりしてないようです。数年前にAlice Shaw先生というMGH(Massachusetts General Hospital)の先生が出した論文でも、そういうものを使うことで、kinaseインヒビターをリサイクルできるということがあったので、刻々と変わってく可能性があるものを追跡するというのは、学問的には非常に興味のあるところです。ただ、耐性のミューテーションに対して、この薬が効くとか効かないとか、今一覧表みたいなものが出てるんですけれども、必ずしもそれでは一概には言えないようなこともあるのでそれがまだ難しいところですね。ローラチニブという薬が今、compassionate use、まだFDAには認可されてないけども、そういう特殊なミューテーションがあった場合にはFDAに手紙を書くことで、使うことが許可されるというような状況になっています。効果があることがわかっている薬を、少しでも早く患者さんに届けようというところでしょうか。実際、イピリムマブでも認可数ヵ月前から使いましたし、キイトルーダもそういう状況にありました。もう1つの質問はirAEですね。Immune relaed adverse eventに対してステロイドを長期に使用することがあるかもしれないですけど、どういったところに注意をするかというご質問をいただいたんですけど、ほとんどのirAEのステロイドというのは、僕の印象では9割5分以上は結局中止できるんですけども、確かに中には多発性筋痛症のような感じの方で、5mgとか10mg程度のプレドニゾロンを長く使われている方はいます。何回も7.5とか5とかにテーパリンしようとすると痛みが強くなって日常生活に支障を来たす方はおられますね。そういう方には、骨粗鬆症も考えてビタミンDとカルシウムを飲んでもらったりしてるんですが、それも実際どの程度効果があるのか、わからないところは多いです。あと、やはりホルモン補充…たとえば甲状腺ホルモンとか、副腎不全になってステロイドの補充が必要という人は、ほとんどの場合、長く補充することが必要なようです。2月24日に、NCCNとASCOの共同のirAEに対するガイドラインが出たことは、以前も紹介させていただいたと思うんですけれども。流れとしては昔に乗り比べると、ステロイドから早めにインフリキシマブなどを使うことが多くなってきている印象はあります。抗炎症薬も、新しいものが出てきているので、消化器の先生と一緒に診ながら、新しいインフリキシマブではない抗炎症薬を使っている患者も数人います。この間アジュバントのニボルマブが認可になったんですけれども、クローン病をアクティブに治療されてる方が、StageIIIのメラノーマで来られて、その方は今ニボルマブとクローン病に対するmab(monoclonal antibody)を併用しながら治療しています。どういう結果になるかは、まだわからないですけれど、StageIVに関しては、自己免疫疾患に対するmabを使いながら、メラノーマに対するmabを使っても抗腫瘍効果があったという報告が、ケースレポートレベルでは出ています。大きな臨床試験グループ、ALLIANCEなどではそういう自己免疫疾患がある患者に対する、抗PD-1抗体あるいは抗PD-L1抗体を使うことに対する臨床試験(正確にデータを取ろうということなんですけど)そういう臨床試験も始まるようです。ハーバードとかスローンケタリングになると、たとえば消化器の先生でもirAEのcolitisといった消化器症状を専門にした、若手の研究者の方がたくさん出てきて(います)。そういうことで臨床の知見、経験値は上がってくるものだと考えています。アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに奏効/NEJMShaw AT,et al.Resensitization to Crizotinib by the Lorlatinib ALK Resistance Mutation L1198F.N Engl J Med.2016;374:54-61

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durvalumab、切除不能StageIII NSCLCのOSを有意に改善(PACIFIC)

 AstraZenecaとMedImmuneは2018年5月25日、durvalumabの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験PACIFICにおいて、化学放射線同時併用療法(CRT)後に進行していない切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者の全生存期間(OS)の評価項目を達成したと発表。 独立データモニタリング委員会が実施した中間解析では、プラセボと比べ、durvalumab群で、臨床的に意味のある改善が認められ、統計的に有意なOSベネフィットを示した。これにより、durvalumabは、この試験において、無増悪生存期間(PFS)に続き、2つの主要評価項目を達成したことになる。durvalumabの安全性および耐容性プロファイルは、無増悪生存期間(PFS)分析の時点で報告されたものと一致していた。AstraZenecaは、このPACIFIC試験の結果を今後の医学会議で発表する予定。  PACIFIC試験は、化学放射線療法(CRT)後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者に対するdurvalumabの無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験。26ヵ国235施設から713例の患者が参加している。主要評価項目はPFSとOS、副次評価項目はランドマークPFSとOS、奏効率、奏効期間など。■参考AstraZeneca社プレスリリース■関連記事durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第60回

第60回:Game Changerとなるか?最近の免疫治療データ:NEJM、AACRよりキーワード肺がんメラノーマKEYNOTE-054KEYNOTE-189KEYNOTE-042CheckMate-227肺がんネオアジュバント動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.毎年大きな発表というと、ASCOということだったんですけど、最近すごく分散されてESMOヨーロッパでもgame changing の発表があったり…AACRというのは、研究寄りと思われてたのですけど…今年はAACRでもPractice Changing臨床が変わるような試験がいくつか報告されています。1つはメラノーマのStageIIIに対するペムブロリズマムの結果が報告されたこと、(そして)KEYNOTE-189ですね(これはウォールストリートジャーナルなどにも載りました)。PhaseIIでFDAには認可されていたんですが、その確認で、PhaseIIIでも同様な効果が得られたことが報告されています。(非小細胞肺がんの)1stラインで、カルボラチン・ペメトレキセド・ペムプロリズムの併用が、カルボプラチン・ペメトレキセドの併用に勝っていたと。これはPD-L1発現に関わらず良かったということですね。ただ、よくあるというか当たり前だと思うんですけど、median survival(OS)が12ヵ月、1年生存率が5割くらいと言われていたStageIV肺がんに対し、PhaseIIの時はmedian Progression Free Survival(PFS)が13ヵ月と1年を超えたので、これは実際どんな結果になるかと思ったんですけど、PhaseIIIで蓋を開けてみるとPFSは8.8ヵ月、9ヵ月弱ですね…それでもかなり画期的なんですけど…そういう結果が出ました。PhaseIIでのresponse rateは5割5分とか6割弱だったと思うのですが、それも49%…50%弱とこなれてきた印象あります。ここでcontrol armが、ちょっと興味深いんですけど、カルボ・アリムタのresponse rateが、実は2割を切るぐらいです。従来は3~4割、4割5分というStudyもあったのですが、これ(この試験)に関しては、control groupはかなり低かったですね。ただ、randomizedのcontrol trialでblindedな試験なので、この結果を(信頼して)…カルボ・ペム・ペムの副作用は2剤、単剤より多いですが、効果は高いということです。またASCOで報告したいと思うんですけども、ASCOでKEYNOTE-042、PD-L1発現1%以上の群に(対する)、Chemo vs ペムブロリズマブの結果がPlenary Sessionで報告されるようです。(これも多分Game Changerになると思うのですが)PD-L1の発現率は今、22c3という抗体を使った場合、1%未満になるのが3分の1、1~49%に収まるのが3分の1、50%以上が3分の1と言われています。ペムブロリズマブは50%以上の群に関しては1stラインでは認可になっています(ので)、もし1~49%も1stラインでペムブロリズマブ単剤のほうがChemoより良い、という結果が報告されると、non squamous、squamous含めStageIVの肺がん患者の3分の2は、ペムブロリズマブから始めたほうが良いということになる可能性もあります。カルボ・ペム・ペムであればPD-L1発現関係なしに使えるので、どういうPSの患者さんにはペムブロリズマブ単剤を使ったほうが良いのか、どういう患者さんであれば、カルボプラチン・ペメトレキセド・ペムブロリズマブの3剤併用を使ったほうが良いのか、バイオマーカーも含めて注意深く報告を見守ってみたいと思います。<KEYNOTE-189を含め、数本の免疫CP薬の記事がNEJMに同時掲載されました>resectableな肺がんに対して、ニボルマブのネオ・アジュバントの結果が報告されています。50%ぐらいにmajor tumor responseがあったと、確か11例ぐらいだと思うんですけど、20例resectionして、その半分近くにtumor responseがあったという、ネオ・アジュバントの小さなStudyですが報告が、まったく同じ時のNew England Journalに載りました。もう1つはtumor mutation burdenですね。これはどこの検査を使うのか、いくつのgeneを調べるのか、カットオフ値をどうするのか、まだまったくコンセンサスが出てなくて、議論の分かれるところですけども、1メガベースに10個以上のmutationがある患者さんに対して、イピリムマブとニボルマブを併用することで効果があった、という報告がNew England Journalの同じ号に出ています。1つの号にKEYNOTE-189、ニボルマブのネオ・アジュバント、そしてtumor mutation burdenを使ったイピ・ニボの効果という報告がありました。高リスク悪性黒色腫の術後補助療法でのペムブロリズマブ:第III相試験(KEYNOTE-054)/NEJMNSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験(KEYNOTE-189)/NEJMペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)早期NSCLC、ニボルマブによるネオアジュバントが有望/NEJMニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長(CheckMate-227)/NEJM

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長/NEJM

 ニボルマブとイピリムマブは、第I相CheckMate-012試験で非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に有効性を示し、また腫瘍変異負荷(TMB)はバイオマーカーとして注目されている。そのような中、ニボルマブおよびニボルマブベースのレジメントと化学療法を比較した、無作為化オープンラベルマルチパート第III相CheckMate-227試験から、TMB高レベル患者(1メガベースあたりの変異が10個以上)における、ニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群を比較したPart1の結果が、NEJM誌2018年4月16日号とAACR2018で同時に発表された。・試験対象:PD-L1発現1%以上および1%未満のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群     ニボルマブ単独群(TPS1%以上)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)・対照群:化学療法・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群のPFS、PD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群の全生存期間(OS)、[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ単独群対化学療法群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+化学療法群対化学療法群のOS。そのほか、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・有効なTBMデータを有した1,004例のうち、高TMB(≧10変異/メガベース)患者は444例であった・上記の444例は、無作為にイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例に割り付けられた・高TMB(≧10/メガベース)患者の1年PFS率は、ニボルマブ+イピリムマブ群42.6%、化学療法群13.2%。PFS中央値はニボルマブ+イピリムマブ群7.2ヵ月(95%CI:5.5〜13.2)、化学療法群5.5ヵ月(95%CI:4.4~5.8)と、化学療法に比べ、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に長かった(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81、p<0.001)・PFSサブグループ解析では、PD-L1発現(≧1%、<1%)、また組織型(扁平上皮、非扁平上皮)にかかわらず、ニボルマブ+イピリムマブ群で良好であった・ORRは、ニボルマブ+イピリムマブ群で45.3%、化学療法群で26.9%であった・Grade3/4の治療関連有害事象はニボルマブ+イピリムマブ群31.2%、化学療法36.1%であった  この結果は、高TMBのNSCLC患者における、ニボルマブ・イピリムマブ併用の利点と、患者選択のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷の役割を立証している。■参考CheckMate-227試験(ClinicalTrials.gov)CheckMate-227試験(AACR2018ニュースリリース)

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エピシルが化学療法や放射線療法の口内炎の口腔内疼痛を緩和/Meiji Seikaファルマ

 Meiji Seikaファルマ株式会社は2018年5月16日、局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材エピシル口腔用液(以下、エピシル)の販売を開始した。 エピシルは口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器。口腔粘膜にエピシル適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛を管理および緩和する。エピシルの販売・流通およびプロモーションを行うMeiji エピシルはスウェーデンのCamurus ABにより創製され、2009年に欧州で最初に上市、現在世界10ヵ国で販売されている。日本ではソレイジア・ファーマ株式会社が2017年7月に医療機器製造販売承認を取得し、2018年4月に保険収載された。2016年12月に締結したソレイジア社との契約に基づき、Meijiは日本国内でのエピシルの販売・流通およびプロモーションを行う。販売名:エピシル口腔用液製造販売承認日:2017年7月6日保険収載日:2018年4月1日発売日:2018年5月16日償還価格:752円/mL形状・構造及び原理:口腔内病変の被覆及び保護を目的とする非吸収性の液状機器である。口腔粘膜に適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、口内炎で生じる口腔内疼痛を管理及び緩和する。専用の容器に充填されている。使用目的又は効果:化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和を物理的作用により行う。製造販売元:ソレイジア・ファーマ株式会社販売元:Meiji Seika ファルマ株式会社

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握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。50万人以上で、疾患別の発生率、死亡率との関連を評価 研究グループは、握力と疾患別の発生率、死亡率の関連を評価し、測定項目に加えることでリスクスコアの予測能を増強するかを検証するために、地域住民ベースの前向き研究を行った。 2007年4月~2010年12月の期間に、年齢40~69歳の地域住民がUK Biobankに登録され、このうち握力のデータがある50万2,293例を解析に含めた。被験者は、握力の強さで4群に分類された(Q1:最も弱い群、Q2:2番目に弱い群、Q3:2番目に強い群、Q4:最も強い群)。 握力の強さと、全死因死亡、心血管疾患、呼吸器疾患、COPD、がん(全がん、大腸、肺、乳房、前立腺)の発生率、死亡率の関連を解析した。握力の5kg低下ごとに、死亡リスクが女性で20%、男性で16%増加 全体の平均年齢は56.5(SD 8.1)歳、54.5%が女性であった。平均フォローアップ期間は7.1年(範囲:5.3~9.9)で、この間に1万3,322例(2.7%)が死亡した。 握力が5kg低下するごとに、全死因死亡のハザード比(HR)は男女とも有意に上昇した(女性のHR:1.20、p<0.001、男性のHR:1.16、p<0.001)。同様に、心血管死(1.19、p<0.001、1.22、p<0.001)、呼吸器疾患死(1.31、p<0.001、1.24、p<0.001)、COPD死(1.24、p=0.01、1.19、p<0.001)、全がん死(1.17、p<0.001、1.10、p<0.001)、大腸がん死(1.17、p=0.01、1.18、p<0.001)、肺がん死(1.17、p<0.001、1.08、p=0.001)、乳がん死(1.24、p<0.001)のHRも、握力5kg低下ごとに男女とも有意に上昇したが、前立腺がん死のHR(1.05、p=0.29)には有意な差を認めなかった。これらの関連は、全般に若い年齢層のほうが、わずかに強かった。 筋力低下(女性:握力<16kg、男性:握力<26kg)は、女性の大腸がん、男性の前立腺がん、男女の肺がんを除き、健康アウトカムのハザードの上昇と関連した。 また、従来の診察室で測定するリスク因子(年齢、性別、糖尿病、BMI、収縮期血圧、喫煙)に、握力測定を加えると、C-indexの変化で評価した予測能が、全死因死亡(C-indexの変化:0.013、95%信頼区間[CI]:0.011~0.015、p<0.001)、心血管死(0.012、0.007~0.017、p<0.001)、心血管疾患の発症(0.009、0.007~0.010、p<0.001)に関して有意に改善された。 著者は、「握力の潜在的な臨床的有用性を確立するには、リスクスコアやリスクスクリーニングにおける握力測定の導入に関して、さらなる検討が求められる」と指摘している。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第57回

第57回:チェックポイント阻害薬に対する過剰期待とその対処キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.腎がんに対する免疫チェックポイント阻害薬について、Practice Changingになり得る(という)報告をしました。僕もかなり興奮してお伝えしたように、Complete Responseが9%にみられるということなんですけども、あくまでまだ9%なんですね。こういうふうに、医療者側は、High Expectation(非常に高い期待値)を持って使う、患者さん側のほうもテレビで、ニボルマブあるいはペムブロリズマブのコマーシャルが、どんどん流れてます(このように、非常に高い期待値を持っています)。もう2年前になると思うのですけれども、カーター元大統領が、ペムブロリズマブを使うことで、メラノーマの脳転移、肝転移の(ある)状況で、現在もがんがコントロールされていると。先週もテレビの記者会見に出ておられたみたいで、みんな「昨日カーター大統領でてたね」と、翌日には話題になっていました。そういうふうにして、医療者側も患者さん家族側も、非常に期待が高い中で、効かなかった時にどうすれば良いか、そういうことについてわれわれは準備ができてないのではないかと、あのJennifer Temel先生から、今回もJCOに警鐘を投げかける論文が出ています。うちのジャーナルクラブでも読みましたし、これ非常に面白かったので、緩和医療の同僚だとか、フェローあるいは看護師さんにも共有して、こういうことに僕らも配慮しなきゃ、という話をしたところです。お時間があればぜひ読んでみてください。自分もかなりHigh Expectationで、CRが9%と報告したしてしまったんですけども、そこら辺は自分をうまくコントロールしないといけないのかなと思います。でも実は先週、2例も非常に効いた症例があって、脳転移、肝転移、両側副腎転移、骨転移もある患者さんが、カルボプラチンとペメトレキセド、ペムブロリズマブの治療で…現在はペメトレキセドとペムブロリズマブのメンテナンスしてるんですけど…10ヵ月たった時点のペットCTで、画像上の病変はどこにも認められませんでした。脳転移のほうも全脳照射後なんですけど、病気の進行が見られないと。今までこういうことはみたことなかったので、放射線診断医のほうから、「ケイスケ、この人にどういう治療をしたんだ」というような、かなり興奮した電話がかかってきました。そういった、ExpectationとReality、このバランスをうまく使えるようになりたいと思います。Temel JS, et al. J Clin Oncol. Keeping Expectations in Check With Immune Checkpoint Inhibitors.2018 Jan 25.[Epub ahead of print]

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日本未承認の抗がん剤は65剤、月1千万円超の薬剤も:国立がん研究センター

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)先進医療・費用対効果評価室(室長:藤原 康弘)は2018年4月23日、2015年4月から公開している「国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト」の最新集計結果(2018年4月4日現在)を公開した。 同リストは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)が承認した医薬品のうち、がん領域において日本では未承認あるいは適応外の医薬品と、その1ヵ月当たりの薬剤費を試算したもの。これまで四半期ごとに更新している。【集計結果のポイント】 ・2018年4月時点で、FDA / EMA既承認、日本未承認の抗がん剤はのべ65剤(55薬剤、65適応症)。うち、FDAのブレークスルー・セラピーに指定されている抗がん剤は18剤であった。・適応症の内訳は、血液がん30剤、泌尿器がん(前立腺がんなど)11剤、乳がん5剤、皮膚がん(悪性黒色腫など)4剤、骨軟部腫瘍(肉腫)3剤、肺がん(非小細胞肺がん)3剤、卵巣がん2剤、小児がん2剤が主なものであった。5大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんあるいは子宮がん)のうち、上記の乳がん、肺がん以外のがんでは未承認薬はなかった。・血液がんに対する未承認薬では、新投与経路医薬品や新剤形医薬品などの、同一の有効成分がすでに国内で承認されている抗がん剤が7剤あった。これらを除く新有効成分含有医薬品は、23剤だった。FDA既承認の新有効成分含有医薬品20剤中、2015年以降に承認された抗がん剤は12剤あり、うち8剤は国内での開発が進められている。・泌尿器がんに対する未承認薬では、FDA既承認の8剤中2015年以降に承認された5剤は、いずれも国内での開発が進められている。・日本未承認の65剤の抗がん剤のうち、薬剤費が判明している58剤中45剤において1ヵ月当たりの薬剤費が100万円以上であった。また、1ヵ月当たりの薬剤費が1千万円を超える抗がん剤は3剤で、血液領域のCAR-T細胞療法が2剤、骨軟部腫瘍(肉腫)の免疫賦活薬が1剤だった。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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早期NSCLC、ニボルマブによる術前免疫療法が有望/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法には、過去10年間、ほとんど進展がないという。米国ジョンズ・ホプキンス大学のPatrick M. Forde氏らは、ニボルマブによる術前補助療法は副作用が少なく、計画された手術を遅延させず、切除腫瘍の45%に病理学的奏効をもたらしたとの研究結果を、NEJM誌オンライン版2018年4月16日号で報告した。早期肺がん患者では、PD-1経路の遮断により、宿主免疫の適合能が増大し、腫瘍のクローン不均一性が減弱するため、抗腫瘍効果が増強する可能性がある。また、原発巣は、腫瘍特異的T細胞の増殖と活性化、および微小環境の全身的な監視の抗原源として活用される可能性があるため、術前免疫療法は興味深いアプローチとされる。安全性と実行可能性を検証するパイロット試験 研究グループは、早期NSCLCにおけるニボルマブによる術前補助療法の安全性と実行可能性を評価するパイロット試験を実施した(Cancer Research Institute-Stand Up 2 Cancerなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0/1で、未治療の外科的切除が可能な早期NSCLC(StageI、II、IIIA)の患者であった。ニボルマブ(3mg/kg)は2週ごとに2回投与し、初回投与から約4週後に手術が計画された。 主要エンドポイントは安全性と実行可能性とした。また、原発巣の病理学的奏効、PD-L1の発現、遺伝子変異負荷、遺伝子変異関連のネオアンチゲン特異的T細胞応答の評価も行った。なお、ネオアンチゲンは、がん細胞の遺伝子変異に由来する、細胞傷害性Tリンパ球の標的となる抗原である。 2015年8月~2016年10月の期間に、米国の2施設に22例が登録された。PD-L1発現の有無にかかわらず奏効 全体の平均年齢は66.9±8.3歳、女性が11例(52%)であった。腺がんが62%、StageII/IIIAが81%、喫煙者/元喫煙者が86%を占めた。小細胞肺がん(SCLC)が見つかった1例は治療を中止した。 術前ニボルマブ療法による未知の毒性作用は認められなかった。治療関連有害事象は23%(5/22例、95%信頼区間[CI]:7.8~45.4)にみられたが、Grade3以上は1件のみだった。22例中20例が、計画された2回の投与を完遂した。 治療関連の手術の遅延は認めなかった。2回目の投与から手術までの期間中央値は18日(範囲:11~29)であり、21例中20例(95%)で腫瘍の完全切除が達成された。 切除された20個の腫瘍のうち9個(45%)で病理学的奏効(残存する活動性腫瘍の割合が10%以内)が得られた。3例では、病理学的完全奏効(活動性腫瘍なし)が達成された(1例は肺門リンパ節に腫瘍が残存)。原発巣の病理学的退縮率中央値は-65%であった。また、病理学的奏効例のうち、PD-L1陽性は3例、陰性は2例で、不明が4例だった。 治療前の遺伝子変異負荷の平均値は、病理学的奏効例が非奏効例に比べ有意に高く(p=0.01)、変異負荷はPD-1遮断による病理学的奏効の深さの重要な決定因子と考えられた。 評価が可能であった9例中8例で、腫瘍および末梢血の双方のT細胞クローン数が、ニボルマブ投与後に増加していた。また、病理学的完全奏効が得られた原発巣における遺伝子変異関連のネオアンチゲン特異的T細胞クローンは、治療後2~4週に末梢血で急速に増殖しており、これらのクローンには、ニボルマブ投与前の末梢血では検出されなかったものも含まれた。 著者は、「術前免疫チェックポイント遮断療法は、現在、乳がんやNSCLCの第III相試験など、さまざまながん種で検討が進められており、早期がんの再発抑制や治癒における術前PD-1遮断療法の役割を明らかにするには、これらの試験の長期的なフォローアップが必要である」としている。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS改善(CheckMate-227)/AACR2018

 米国がん研究会議年次集会(AACR2018)で発表されたニボルマブとイピリムマブの第Ⅲ相臨床試験CheckMate-227の結果によると、高腫瘍変異負荷(TMB、>10変異/Mb)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、標準化学療法と比較して、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法が有意に無再発生存率(PFS)を改善した。 CheckMate-227は、未治療のStageIVまたは再発NSCLCの1次治療における大規模オープンラベル無作為化比較試験。試験群はニボルマブ単独、ニボルマブ+イピリムマブまたはニボルマブ+プラチナ・ダブレット化学療法の3種、対照群はプラチナ・ダブレット化学療法単独である。同総会で発表された初の評価項目は、高TMB患者におけるPFSであった。高TMB患者299例のうち139例がニボルマブ+イピリムマブ群に、160例が化学療法PT-DC単独群に割り付けられた。 最低11.5ヵ月以上のフォローアップの結果、ニボルマブ+イピリムマブ群は、プラチナ・ダブレット化学療法単独群と比較して、PFSリスクが42%改善。1年PFS率は43%対13%となった。奏効率はニボルマブ+イピリムマブ群45.3%、PT-DC群では26.9%であった。 ニボルマブ+イピリムマブは良好な忍容性を示し、安全性プロファイルは同レジメンの以前の報告と同様であった。Grade3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ群の31%に対して、プラチナ・ダブレット化学療法単独群では36%であった。全生存率(OS)データは未達成。 この研究は、New England Journal of Medicineに同時に掲載された。■参考AACR2018ニュースリリースCheckMate227試験(N Engl J Med)CheckMate227試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS優越性示す(CheckMate227)

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NSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験/NEJM

 EGFR/ALK変異のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者に対し、ペメトレキセド+プラチナ製剤ベースの標準化学療法にペムブロリズマブを追加することで、化学療法単独よりも、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示された。米国・ニューヨーク大学のLeena Gandhi氏らが、616例の患者を対象に行った第III相二重盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年4月16日号で発表した。変異を伴わない進行NSCLC治療の第1選択は、プラチナ製剤ベースの化学療法である。免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブは第2選択薬として承認されているが、PD-L1の発現が50%以上の患者では、化学療法に代わって第1選択とすることが認められている。化学療法へのペムブロリズマブの追加について第II相試験では、化学療法単独よりも有意に高い奏効率と、PFSの有意な延長が認められていた。化学療法+ペムブロリズマブ200mgをプラセボと比較 研究グループは、EGFR/ALK変異のない転移を有する非扁平上皮NSCLCの未治療患者616例を対象に検討を行った。 無作為に2対1に分け、ペメトレキセド+プラチナ製剤ベースの化学療法に加え、一方の群にはペムブロリズマブ200mgを、もう一方にはプラセボを、それぞれ3週ごと4サイクル投与し、その後ペムブロリズマブまたはプラセボとペメトレキセドによる維持療法を合計35サイクルとなるまで行った。 プラセボ群に割り付けられた被験者で病勢進行が認められた場合は、ペムブロリズマブ単剤療法へのクロスオーバーを行った。 主要エンドポイントはOSとPFSで、盲検化された独立画像中央判定によって評価された。12ヵ月時点の推定全生存率、ペムブロリズマブ併用群69.2%、プラセボ群49.4% 追跡期間の中央値は、10.5ヵ月だった。12ヵ月時点の推定全生存率は、化学療法+ペムブロリズマブ群69.2%(95%信頼区間[CI]:64.1~73.8)に対し、化学療法+プラセボ群は49.4%(同:42.1~56.2)だった(ペムブロリズマブ群の死亡に関するハザード比[HR]:0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.001)。 また、PD-L1陽性細胞の割合で分類したいずれのカテゴリーにおいても、全生存率の改善が認められた。 PFSの中央値は、プラセボ群4.9ヵ月(95%CI:4.7~5.5)だったのに対し、ペムブロリズマブ群は8.8ヵ月(95%CI:7.6~9.2)で、ペムブロリズマブ群の病勢進行または死亡に関するHRは0.52だった(同:0.43~0.64、p<0.001)。 Grade3以上の有害事象の発現頻度は、ペムブロリズマブ群67.2%、プラセボ群65.8%だった。

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抗PD-L1抗体アテゾリズマブ国内発売、肺がん治療に

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:小坂 達朗)は、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として本年1月19日に製造販売承認を取得した抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名テセントリク)について、2018年4月18日薬価収載され販売を開始した。 アテゾリズマブは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質であるPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤。PD-L1は、T細胞の表面上に見られるPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害する。アテゾリズマブはこの結合を阻害しT細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられている。●販売名:テセントリク点滴静注1200 mg●一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)●効能・効果:切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌●用法・用量:通常、成人にはアテゾリズマブ(遺伝子組換え)として1回1,200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。●承認日:2018年1月19日●薬価基準収載日:2018年4月18日●販売開始日:2018年4月18日●使用期限:3年●薬価:テセントリク点滴静注1200 mg 625,567円/1バイアル■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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オシメルチニブ、EGFR変異陽性肺がんの1次治療にFDA承認

 アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は、2018年4月18日、オシメルチニブ(一般名:タグリッソ)がEGFR変異(エクソン19欠失型もしくはエクソン21 L858R 置換型変異)を有し転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表。本承認は、2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次学会において発表されたとともに、New England Journal of Medicineに掲載された第III相FLAURA試験の結果に基づくもの。 2017年、オシメルチニブは1次治療として画期的治療薬指定ならびに優先審査品目指定をFDAにより付与されていた。また、オシメルチニブは欧州連合および日本において1次治療としての使用が薬事審査中であり、当局判断は2018年下半期と予想されている。■参考FLAURA試験(New England Journal of Medicine)FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカオシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第58回

第58回:肺がんのEGFR-TKI、1次治療選択は何?(視聴者からの質問)キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.視聴者からの質問1「肺がんEGFR-TKI、1次治療は何?」薬剤師さんからご質問をいただいたとのことです。昨年のESMOでオシメルチニブ vs. エルロチニブの1stラインの臨床試験がEGFR陽性肺がんに対して行われました。そこで、PFSが17ヵ月と非常に大きな延長認めたんのすが、アメリカではまだオシメルチニブの1stラインの認可はとれていません。(FDAは2018年4月18日、オシメルチニブの1stラインを認可しました。このビデオは、その前に撮影したものです)ただ、なかには副作用でアファチニブが使えなかったとか、あるいはタルセバを使い出したけど、副作用が強かったという人は、比較的早期にスイッチするような形になってきています。実臨床では、T790Mを証明しなくてもスイッチするようなことが起こってきています。ただ、実際どうなるかというのは、まだわからないですよね。よく僕らが言うのは、Big Gunを先に使う方が良いのか、先にアファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブを使って、進行してT790Mがある患者、あるいはT790Mがなくても進行した患者に、オシメルチニブを使うほうが良いのか?臨床試験をしないことには結局のところ分からないのですが…僕が興味あるのはオシメルチニブを1stラインで使った患者さんで再発が起こった場合に、どのような治療行われて、どのようなレスポンスであったかということ。まだ発表はされていないようですけれども、興味がありますね。視聴者からの質問2「ALKインヒビターの使い分けは?」ALKインヒビターでは、アレクチニブが、Global ALEX study…日本ではJ-ALEX…クリゾチニブに比べて画期的にPFSを伸ばすということで、アメリカでは認可になっています。それで、ものすごいマーケティング攻勢があって、自宅にも病院のオフィスにも送られてくるいろいろな雑誌があるんですけども、その雑誌の中に袋とじで入ってくることが多いです。ビニール袋の中に、このような販促のパンフレットが入っています。厚紙で非常にしっかりしてるのですが、これを見ると「Alencensa is FDA approved for first-line treatment on ALK positive metastatic non-small cell lung cancer」と。ここには「Category 1 reffered NCCN」NCCNで奨められていると。非常に丁寧でわかりやすいですが、少なくとも、もう10通ぐらい、このような同じものをもらっています。こういうふうに、一度FDAの認可があると、マーケティング攻勢がかけられるという状況です。僕からすると、こういうところに使うお金があったら、ほかのところに使ったほうが、いいんじゃないかな?と思うんですけれども、製薬会社の担当の方に言わせると、こういうOpportunityがあるのに、それを知らないのは、患者さんにとって不利益だと。だから、そういうことがないように、多くの人に知ってもらいたいんだ、といったことを言われます。同じように、PACIFIC trialの結果で、durvalumabがStageIIIの肺がんで化学放射線療法終了後に1年consolidationのような形で使われることが、認可になったのですけど、それもいろいろな販売促進のアピールがなされています。ここら辺が、オプジーボとかキイトルーダのTVコマーシャルが普通に送られてるアメリカと日本の違いだと思います。

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アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018

 米国がん研究会議年次集会(AACR2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower-150の主要なサブグループの解析結果が発表され、非扁平上皮非小細胞肺がん(NCSLC)の1次治療において、アテゾリズマブの化学療法への追加によって、PD-L1発現、EGFR、ALKステータスに関わらないPFSの改善が示された。 IMpower-150試験はオープンラベル無作為化多施設共同試験・対象:転移を有する非扁平上皮NSCLC 1次治療患者(EGFR変異・ALK再構成陽性=EGFR+/ALK+含む)・試験群 A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP)→アテゾリズマブ B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(Atezo+CP+Bev)→アテゾリズマブ+ベバシズマブ・C群(コントロール):カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(CP+Bev)→ベバシズマブ・評価項目:複合主要評価項目は治験担当医によるPFSおよびOS(ともにEGFR/ALK野生型のITT解析対象患者)、副次評価項目は治験担当医評価によるPFS(全ITT解析対象患者)、独立評価機関(IRF)評価によるPFS、その他ORR、DOR、安全性であった。 ESMO Immuno Oncology 2017おいて、EGFR/ALK野生型のITT解析対象(692例)でのPFSデータが報告され、Atezo+CP+Bev群の8.3ヵ月に対しCP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.62、p<0.0001)という結果であった。今回はAtezo+CP+Bev群対CP+Bev群における、PD-L1発現、エフェクターT細胞の関連遺伝子(Teff)発現、EGFR変異・ALK再構成、肝転移の有無といった主要なサブ解析の結果が発表された。 主な結果は以下のとおり。・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3)のPFSは、Atezo+CP+Bev群12.6ヵ月、CP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.39)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2)のPFSは、それぞれ8.3ヵ月と6.6ヵ月(HR:0.56)、発現なしのPFSは、それぞれ7.1ヵ月と6.9ヵ月(HR:0.77)であった・Teff高発現患者のPFSは、Atezo+CP+Bev群11.3ヵ月、CP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.51)、低発現患者のPFSは、それぞれ7.3ヵ月と7.0ヵ月(HR:0.76)であった・EGFR+/ALK+患者を含むITT解析対象全体(800例)のPFSは、Atezo+CP+Bev群8.3ヵ月、CP+Bev群6.8ヵ月(HR:0.61)であった・EGFR+/ALK+患者のみ(108例)のPFSは、Atezo+CP+Bev群9.7ヵ月、CP+Bev群6.1ヵ月(HR:0.59)であった・肝転移陽性(110例)のPFSは、Atezo+CP+Bev群8.2ヵ月、CP+Bev群5.4ヵ月(HR:0.40)であった。肝転移陰性(690例)のPFSは、それぞれ、8.3ヵ月と7.0ヵ月(HR:0.64)であった 一方、本年(2018年)3月にEGFR/ALK野生型におけるOSの改善が公表されたが、今回の会議では、具体的な数値は明らかにされなかった。■参考IMpower150試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017

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米国の健康状態、州レベルで格差拡大/JAMA

 米国における疾病負荷について、州レベルで格差が認められることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏らUS Burden of Disease Collaboratorsによる検討で明らかにされた。特異的疾患やリスク因子(薬物使用障害、BMI高値、貧しい食生活、空腹時高血糖、アルコール使用障害など)が増大しており、さらなる注意喚起が必要だという。米国の健康アウトカム調査は複数あるが、州ごとの健康評価を統合したものはなかったという。JAMA誌2018年4月10日号掲載の報告。州レベルの平均余命や健康寿命、DALYなどを比較 研究グループは、世界疾病負荷(GBD)研究の結果を用いて、1990~2016年の州レベルの疾病負荷、負傷、リスク因子の傾向を調べた。公表されている試験および入手可能なデータソースを系統的に解析し、年齢・性・地理・年別に疾病負荷を推算した。 333の要因、84のリスク因子について、有病率、罹患率、死亡率、平均余命、健康寿命(HALE)、早期死亡による損失生存年数(YLL)、障害生存年数(YLD)、障害調整生命年(DALY)を95%不確実性区間(UI)とともに求めて評価した。タバコ、BMI高値、アルコール・薬物使用がDALYリスクの3大要因 米国の総死亡率は、1990年は10万人当たり745.2(95%UI:740.6~749.8)であったが、2016年は同578.0(569.4~587.1)へ低下していた。同期間に20~55歳の死亡が、31州およびワシントンD.C.で減少した可能性があった。 2016年において、平均余命はハワイ州が最も長く(81.3年)、ミシシッピ州が最も短く(74.7年)、6.6年の差があった。健康寿命が最も長かったのはミネソタ州で(70.3年)、ウェストバージニア州が最も短く(63.8年)、その差は6.5年であった。 1990~2016年の米国におけるDALYの主な要因は、虚血性心疾患と肺がんであった。3番目は、1990年では腰痛だったが、2016年ではCOPDであった。また、オピオイド使用障害は、1990年ではDALYの11番目の要因であったが、2016年には7番目になっていた(平均変化74.5%[95%UI:42.8~93.9])。 2016年において、タバコの消費、BMI高値、貧しい食生活、アルコールおよび薬物使用、空腹時高血糖、高血圧の6つのリスクが、DALYへのリスク寄与度5%以上であった。 全米各州でDALYのリスク要因のトップは、タバコの消費(32州)、BMI高値(10州)、アルコールおよび薬物使用(8州)の3つで占められた。

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