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ALK阻害薬未治療の局所進行または転移のあるALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、brigatinibの有効性をクリゾチニブと比較した第III相ALTA-1L試験の最初の中間解析結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺癌会議(WCLC2018)で、コロラド大学がんセンターのRoss Camidge氏により発表された。 ALTA-1L試験は、上記患者を対象としたbrigatinibのオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。患者は、brigatinib 180mg/日(7日間の導入期間においては90mg/日)投与群、もしくはクリゾチニブ250mg×2/日投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は独立評価委員会が評価した無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目には、客観的奏効率(ORR)、頭蓋内病変におけるORR、頭蓋内病変におけるPFS、全生存期間、安全性および忍容性が含まれている。PFSイベントの約50%および約75%が発生した時点の2回にわたり、主要評価項目に対する中間解析を行うことが事前に設定されていた。brigatinibが少なくとも6ヵ月クリゾチニブを上回るPFSの改善を示すために、合計約198件のPFSイベントが発生した時点で、主要評価項目の最終解析が行われる予定。 主な結果は以下のとおり。・brigatinib群に137例、クリゾチニブ群に138例の患者が組み入れられた。・年齢中央値はbrigatinib群58歳/クリゾチニブ群60歳。26%/27%に化学療法歴があり、29%/30%がベースライン時に脳転移を有していた。・データカットオフ(2018年2月19日)の追跡期間中央値は11.0ヵ月/9.25ヵ月。・99件のPFSイベント発生時点で独立評価委員会が盲検下で評価したPFS中央値は、brigatinib群NR(95%信頼区間[CI]:NR~NR)、クリゾチニブ群9.8ヵ月(95%CI:9.0~12.9)、ハザード比0.49(95%CI:0.33~0.74、log-rank検定:p=0.0007)で、brigatinib群で統計学的に有意に延長した。・confirmed ORRはそれぞれ71%(95%CI:62~78)、60%(95%CI:51~68)で、ベースライン時に測定可能な頭蓋内病変のあった患者のconfirmed ORRはそれぞれ78% (95%CI:52~94)、29%(95%CI:11~52)であった。・Grade3以上の治療下で発現した有害事象(TEAE)は、多くみられたものからbrigatinib群でCPK上昇(16.2%)、リパーゼ上昇(13.2%)、高血圧(9.6%)。 クリゾチニブ群でALT(9.5%)、AST(5.8%)、リパーゼ(5.1%)の上昇であった・間質性肺疾患(ILD)/肺炎の発現率は、3.7%/2.2%。AEによる治療中止は11.8%/ 8.8%で、brigatinib群の安全性プロファイルは、従来報告されているものと同様であった。 Camidge氏は、「9~11ヵ月という短期間のフォローアップの時点で、クリゾチニブと比較したbrigatinibの明らかな有効性が示されている。この差異は、脳転移に対する影響が大きいと考えられる。脳外の疾患制御に対する両剤の差異が今後現れなければ、PFSがさらに改善される可能性もある」と述べている。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考NCT 02737501(Clinical Trials.gov)Camidge DR., et al.N Engl J Med. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]■関連記事brigatinib、ALK肺がん1次治療でPFSを有意に改善(ALTA-1L)/武田薬品工業クリゾチニブ抵抗性ALK肺がんにおけるbrigatinibの成績:ALTA/WCLC2017新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA