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Dr.光冨の肺がんキーワード解説「ROS1」【肺がんインタビュー】 第84回

第84回 Dr.光冨の肺がんキーワード解説「ROS1」肺がんではさまざまなドライバー変異が解明されている。それに伴い、種々の標的治療薬が登場する。それら最新の情報の中から、臨床家が知っておくべき基本情報を近畿大学の光冨徹哉氏が解説する。

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進展型小細胞肺がんの1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法(KEYNOTE-604)/WCLC2022

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブと化学療法の併用が良好な成績を示した。試験結果は、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRudin氏により世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。 ES-SCLCの1次治療におけるエトポシド+カルボプラチン(EP)とペムブロリズマブの併用はプラセボとの併用に比べ、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することがKEYNOTE-604試験の結果で示されている(HR:0.75)。WCLC2022では、35サイクルを完遂した患者における3.5年の追跡結果が、全生存期間(OS)を含め発表された。・対象:未治療のStage IVのSCLC・試験薬群:ペムブロリズマブ+EP 3週ごと4サイクル →ペムブロリズマブ 3週ごと31サイクル(n=228)・対照群:プラセボ+EP 3週ごと4サイクル →プラセボ 3週ごと31サイクル(n=225)・評価項目[複合主要評価項目]盲検化独立中央委員会(BICR)評価のPFSとOS[副次評価項目]全奏効率(ORR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・無作為割付けからデータカットオフまでの期間は43.3ヵ月であった。 ・ITT集団のOS中央値はペムブロリズマブ群10.8ヵ月、プラセボ群9.7ヵ月であった (HR: 0.76、95%CI:0.63〜0.93)・ITT集団のPFSはペムブロリズマブ群4.8ヵ月、プラセボ群4.30ヵ月であった (HR:0.70、95%CI:0.57〜0.85)。 ・ORRはペムブロリズマブ群 70.6%、プラセボ群61.8%であった。・DoRはペムブロリズマブ群 4.2ヵ月、プラセボ群3.7ヵ月であった。・全有害事象(AE)はペムブロリズマブ群の100%、プラセボ群の99%で発現した。・免疫関連有害事象はベムプロ群の27.4%、プラセボ群の12.1%で発現した。 およそ3.5年の追跡の結果、ペムブロリズマブ+EPはES-SCLCに対し、OSとPFSに関して臨床的に意味のある改善を維持した。

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アテゾリズマブによるNSCLCアジュバントのOS中間解析(IMpower010)/WCLC2022

 完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアテゾリズマブの術後補助療法を評価した第III相非盲検試験IMpower010の全生存期間(OS)の中間解析が発表された。PD-L1≧1%のStage II〜IIIA集団において、アテゾリズマブはBSCよりも良好な傾向を示した。IMpower010のOS中間解析はPD-L1≧1%でアテゾリズマブが良好 中間解析でアテゾリズマブの術後補助療法はStage II~IIIAの無病生存期間(DFS)を有意に改善に改善した。しかし、前回の中間分析の時点ではOSは未達成であった。世界肺癌学会(WCLC2022)では、OSと安全性の評価がスペイン・Vall d’Hebron大学病院のE.Felip氏から発表された。・対象:UICC/AJCC第7版定義のStage IB~IIIAのNSCLC、手術後にシスプラチンベースの補助化学療法(最大4サイクル)を受けた1,005例・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日3週ごと16サイクルまたは1年・対照群:BSC・評価項目[主要評価項目]治験医師評価による階層的DFS:(1)PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団、(2)Stage II~IIIA全集団、(3)ITT(Stage IB~IIIA全無作為化)集団[副次評価項目]ITT集団の全生存期間(OS)、PD-L1 TC≧50% Stage II~IIIA集団のDFS、全集団の3年・5年DFS IMpower010のOS中間解析の主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は45.3ヵ月であった(データカットオフ2022年4月18日)。・PD-L1 TC≧1%のStage II~IIIA集団におけるOS中央値は、アテゾリズマブ群、BSC群とも未到達、36ヵ月OSはそれぞれ82.1%と78.9%であった(HR:0.71、95%CI:0.49~1.03)・全無作為化集団(Stage II〜IIIA)のOS中央値は、アテゾリズマブ群、BSC群とも未到達(HR:0.95、95%CI:0.74〜1.24)であった。・OSのサブグループ解析では、ほとんどの項目でアテゾリズマブが良好であった。・PD-L1発現別にみると、PD-L1≧50%のHRは0.43(95%CI:0.49~10.78)、1~49%のHRは0.95(95%CI:0.59~1.54)、PD-L1<1%のHRは1.36(95%CI:0.93~1.99)であった。・追跡期間を追加しても安全性プロファイルに変化はなかった。

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深掘りしてみよう!ベバシズマブ併用化学療法【見落とさない!がんの心毒性】第14回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》63歳男性。1年前に大腸がん(臨床病期III期)を発症し、横行結腸切除術と術後化学療法を受けた。高血圧と下肢深部静脈血栓症(以下VTE)を合併しており、オルメサルタンとエドキサバンを服用している。最近になり、咳・息切れが現れ、精査したところ肺腺がんと診断された。胸水、肝転移および微少な脳転移があり、臨床病期IVB期であった。大血管浸潤や中枢気道への露頭病変は認められなかった。ドライバー遺伝子変異は陰性で、PD-L1 TPS 1%であった。血痰や神経症状はなく、Performance statusは0であった。一次治療として、中心静脈ポートを留置した上で、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン療法(IMpower150レジメン)を行う方針とした。【問題】本症例のベバシズマブ投与に関する以下の記述のうち、正しいものを1つ選んでください。a. 肺腺がんの適応はない。b. 脳転移があり禁忌である。c. 治療中のVTEがあり禁忌である。d. 投与後は高血圧の悪化に注意する。e. 中心静脈ポートの留置は禁忌である。最新の『肺癌診療ガイドライン2021年度版』において、プラチナ製剤併用療法にベバシズマブを併用した治療を行うよう提案されています(CQ74 推奨の強さ: 2、エビデンスの強さ: A)。メタアナリシスでは、プラチナ製剤併用療法にベバシズマブを追加することでPFSやOSの延長が認められています12,13)。本症例で紹介したIMpower150レジメンは、化学療法未治療の非小細胞肺がん患者の、とくにEGFR遺伝子変異や肝転移を有する症例において良好な成績をおさめています14)。近年の研究15)において、VEGFには免疫系への関与が示唆されており、抗VEGF薬による免疫活性化と血管正常化による遊走促進といった機序により、免疫チェックポイント阻害薬との併用(複合免疫療法)においても重要な位置付けとなってきました。一方、本稿でも紹介した通り、ベバシズマブには薬理作用に準じた特徴的な副作用が存在するため、リスクベネフィットを十分考慮した上で投与を検討すべきと思われ、投与後については徹底した副作用モニタリングが必要となります。(謝辞)本文の作成に際し、新潟県立がんセンター新潟病院・呼吸器内科 三浦 理氏に監修いただきました。1)Johnson DH, et al. J Clin Oncol. 2004;22:2184-2191.2)Sandler AB, et al. J Clin Oncol. 2009;27:1405-1412.3)Socinski MA, et al. J Clin Oncol. 2009;27:5255-5261.4)Srivastava G, et al. J Thorac Oncol. 2009;4:333-337.5)Hurwitz HI, et al. J Clin Oncol. 2011;29:1757-1764.6)Zaborowska-Szmit M, et al. J Clin Med. 2020;9:1268.7)Nalluri SR, et al. JAMA. 2008;300:2277-2285.8)Yan LZ, et al. J Oncol Pharm Pract. 2018;24:209-217.9)Dahlberg SE, et al. J Clin Oncol. 2010;28:949-954.10)Zawacki WJ, et al. J Vasc Interv Radiol. 2009;20:624-627.11)吉野 真樹ほか.日本病院薬剤師会雑誌. 2012;48:307-311.12)Lima AB, et al .PLoS One. 2011;6:e22681.13)Soria JC, et al. Ann Oncol. 2013;24:20-30.14)Socinski MA, et al. N Engl J Med. 2018;378:2288-2301.15)Manegold C, et al. J Thorac Oncol. 2017;12:194-207.講師紹介

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ニボルマブ+化学療法による肺がん術前後補助療法が生存改善(NADIM II) /WCLC2022

 ニボルマブ+化学療法による非小細胞肺がん(NSCLC)の術前後補助療法の第II相試験NADIM IIの成績が世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。スペイン・University Hospital Puerta de Hierro-MajadahondaのProvencio氏から発表された結果は無病生存期間(PFS)、全生存期間(OS)とも良好であった。・対象:切除可能なStage IIIA~III B (AJCC 第8版) NSCLC(EGFR/ALK変異なし)・試験群:ニボルマブ(360mg)+パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC5)3週ごと3サイクル→手術→ニボルマブ(480mg)4週ごと6ヵ月・対照群:パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC5)→手術→観察12週・評価項目:[主要評価項目]ITT集団における病理学的完全奏効(pCR)[副次評価項目]主要な病理学的奏効(MPR)、OS、PFS、バイオマーカーなど 主な結果は以下のとおり。・追跡期間の中央値は 26.1ヵ月であった。・根治的手術を受けた患者はニボルマブ+化学療法群は93%、化学療法群は69.0%であった(OR:5.96、95%CI:1.65〜21.56、p=0.00807)。・追跡期間中央値26.1ヵ月のPFS中央値はニボルマブ+化学療法群は未到達、化学療法群は18.3ヵ月であった(HR:0.48、95%CI:0.25〜0.91、p=0.025)。12ヵ月PFSはそれぞれ89.3%と60.7%、24ヵ月PFSはそれぞれ66.6%と42.3%であった。・OS中央値はニボルマブ+化学療法群、化学療法群とも未到達(HR:0.40、95%CI:0.17〜0.93、p=0.034)、12ヵ月OSはそれぞれ98.2%と60.7%、24ヵ月OSはそれぞれ84.7%と63.4%であった。・ニボルマブ+化学療法群の安全性と忍容性は維持されていた。 NADIM II試験は切除可能なStage IIIA~IIIB NCSLCに対する免疫治療薬ベースの術前補助療法によるOS改善を示した最初の臨床試験であるとProvencio氏は結んだ。

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sugemalimabによるStageIII NSCLC化学放射線療法の地固め療法(GEMSTONE-301)/WCLC2022

 PD-L1阻害薬sumagelimabによる、切除不能なStageIII 非小細胞肺がん(NSCLC)に対する同時化学放射線療法(cCRT)または逐次化学放射線療法(sCRT)後の地固め療法は、有意かつ臨床的に意味のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示した。中国・広東省人民病院のYi-Long氏が、世界肺癌学会(WCLC2022)で発表した第III相試験GEMSTONE-301の結果である。・対象:同時または逐次化学放射線療法後に疾患進行が認められない切除不能StageIII NSCLC・試験群:地固め療法としてsumagelimab(1,200mg)3週ごと24ヵ月まで・対照群:プラセボ3週ごと24ヵ月まで・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央委員会(BICR)評価のPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、治験担当医評価のPFS、全奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はsumagelimab群27.1ヵ月、プラセボ群23.5ヵ月であった。・BICR評価のPFS中央値はsumagelimab群は10.5ヵ月、プラセボ群は6.2ヵ月であった(HR:0.65、95%CI:0.50〜0.84、p=0.0012)。・sCRT集団のPFS中央値はsumagelimab群8.1ヵ月、プラセボ群4.1ヵ月(HR:0.57)、cCRT集団のPFS中央値はsumagelimab群15.7ヵ月、プラセボ群8.3ヵ月(HR:0.71)、と化学放射線療法の方法を問わず、一貫してsumagelimab群で良好であった。・OS中央値は、sumagelimab群未到達、プラセボ群25.9ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.49〜0.97)。・Grade3以上の治療関連有害事象は、sumagelimab群の11.4%で発生した。 2022年6月、sumagelimabは上記の適応で中国で承認されている。

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2cm以下の末梢非小細胞肺がん、肺葉切除 vs.縮小手術(CALGB140503) /WCLC2022

 2cm以下の末梢型非小細胞肺がん(NSCLC)に対して肺葉切除術と縮小手術(区域切除または楔状切除)を比較した米国の第III相試験CALGB140503(Alliance)の結果、縮小手術は肺葉切除に非劣性を示した。 試験解析の結果は米国・New York Presbyterian病院のAltorki氏によって世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。 1995年の米国Lung Cancer Study Groupによる肺葉切除と縮小手術の無作為化試験以降、cT1N0の小型NSCLCの標準術式は肺葉切除となっている。近年、小型の末梢非小細胞肺がんの検出が増加し、これらの患者集団に対し、呼吸機能維持を鑑みた縮小手術に関心が寄せられている。そのようななか、本年(2022年)日本で行われたJCOG0802試験が、2cm以下のNSCLCに対する区域切除の肺葉切除に対する非劣性を証明した。米国においてもAltorki氏らにより、臨床的 T1aN0(UICC-7) の2 cm以下の NSCLCに対する肺葉切除と縮小手術を比較した無作為化試験CALGB140503(Alliance)が行われた。・対象:T1aN0(UICC-7) の2 cm以下の末梢型 NSCLC・試験群:区域切除または楔状切除・対照群:肺葉切除・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、6ヵ月時点での呼吸機能、局所/領域および全身性の再発 主な結果は以下のとおり。・2007年6月〜2017年3月に、Stage IAのNSCLC 1,080 例が登録され、697例が無作為に肺葉切除(357例) または部分切除 (340例)に割り付けられた。・5年DFS率は縮小手術群63.6%、肺葉切除群64.1%であった(HR:1.01、90%CI:0.83〜1.24、非劣性片側p=0.0176)。・OS率は縮小手術群80.3%、肺葉切除群78.9%であった(HR:0.95、90% CI:0.75〜1.21、非劣性片側p=0.014)。・全再発率は縮小手術群30.4%、肺葉切除群29.3%であった(p=0.8346)。・局所/領域再発率は縮小手術群と肺葉切除群でそれぞれ13.4%と10%(p=0.2011)、領域再発率はそれぞれ1.8%と2.6%(p=0.6623)、遠隔再発率はそれぞれ15.2%と16.8%であった(p=0.6323)であった。・6ヵ月後のベースラインからのFEV1(%Predicted)の変化は縮小手術群−4.0、肺葉切除群−6.0(p=0.0006)、FVC(%Predicted)はそれぞれ−3と−5(p=0.0712)であった。 この北米/国際無作為化試験では、2cm以下の末梢型NSCLCにおいて縮小手術は肺葉切除に非劣性を示した。発表者のAltorki氏は同試験結果とJCOG0802試験は、部分切除がこれらの患者サブセットのスタンダード治療であることを確立した、と結んだ。

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『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン』 、作成の狙いは?

 2022年7月、日本サイコオンコロジー学会 / 日本がんサポーティブケア学会編『がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン 2022年版』(金原出版)が出版された。本ガイドラインはこれが初版となる。作成にあたった日本サイコオンコロジー学会・コミュニケーション小委員会委員長の秋月 伸哉氏(都立駒込病院・精神腫瘍科)に、作成の狙いやに苦労した点について聞いた。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドラインの作成の狙いと経緯は? がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズは2019年に『せん妄ガイドライン』初版でスタートしました。この作成準備をはじめた2015年時点から、続けて『患者-医療者間のコミュニケーション』をガイドライン化する構想はあったのです。ただ、『せん妄』に比べてガイドライン化のハードルが高く、出版までに時間がかかった、という事情があります。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン作成で苦労された点は? まずは「臨床疑問(CQ)や推奨の強さの設定」に苦労しました。コミュニケーションというエビデンスが少なく、白黒付けにくい分野をテーマにしているため、ある程度予想はしていましたが、委員会内や外部学会の方との議論が長引く場面が多々ありました。 たとえば、患者が質問しやすくするための「質問促進リスト」を渡すことがその後の治療に益をもたらすか、といったCQであれば、「渡すか、渡さないか」なので検証する試験を設計できますが、これが「根治しない病気であることを伝える」といったコミュニケーションのパーツの益害を問うとなると、試験として設計しにくく、先行研究がほとんどありません。でもそうした細部も重要なので、できる限りエビデンスを集め、盛り込むように努力しました。 もう一つは、「アウトカムの設定」です。一般のガイドラインでは「患者の生存期間延長に寄与する治療法」が推奨される、というシンプルな構図があります。しかし、コミュニケーションそれ自体は治療ではないので、「医療者への信頼増強」や「適切な治療へのアクセス」といった間接的な寄与、社会的にあるべき情報伝達といった複数のアウトカムを総合して評価する必要がありました。--エビデンス確立が難しい分野で、敢えて「ガイドライン」にされた理由は? 医療者のあいだで「患者コミュニケーションは重要な医療技術である」という統一見解はあっても、それに関する先行研究は少なく、難渋しました。しかし、患者側からのニーズは非常に強いことも感じており、完全なものでなくても、今ある知見をガイドラインとしてまとめ、世に出すことに意味があると考えました。 がん患者とのコミュニケーションでは、再発や予後といった、非常に厳しい情報を伝えねばならない場面が多々あります。決して一律に「こうすべき」とは決められない分野ですが、現場の医療者は日々悩みながら判断し、実行しています。そうしたときに少しでも判断の助けになるものをつくりたい、という思いで取り組みました。 「診療の手引き」など、ガイドラインの体裁をとらない推奨事項のまとめ方もありますが、ガイドラインはその後の標準治療となるもので、インパクトが強い。今後の改訂の機会にまた議論ができますし、医療者教育を考える際にも検討しやすくなります。そうした波及効果に期待しています。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドラインを一番手にとってほしい層は? がん診療に関わる医師、とくに若手の方が今後のがん診療を支える中心なので、まずはそうした方々ですね。それに患者さん自身や患者さんの支援団体の方が読んでいただいても、医療者とのやり取りをより深く捉えるヒントになると思います。【書籍紹介】がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーション ガイドライン 2022年版https://www.carenet.com/store/book/cg003800_index.html

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第3世代EGFR-TKI耐性NSCLCに対するHER3標的ADC U3-1402の第III相試験開始/第一三共

 第一三共は2022年8月9日、HER3に対する抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカン(U3-1402/HER3-DXd)について、EGFR遺伝子変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者への2次治療を対象とした第III相臨床試験(HERTHENA-Lung02)において、最初の患者への投与を開始した。 同試験はEGFR遺伝子変異を有し、第3世代EGFR-TKI治療後に病勢進行した転移のあるNSCLC患者を対象として、U3-1402の有効性および安全性をプラチナ製剤と比較評価する国際第III相臨床試験である。 主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、客観的奏効率、臨床的有効率、病勢コントロール率、奏効期間、安全性など。日本を含むアジア、欧州、北米およびオセアニアで約560例の患者を登録する予定である。 HER3はEGFRファミリーの1つ。NSCLCの83%に発現しており、がん転移頻度の増加や生存率の低下に関係しているとされる。現在HER3を標的とした薬剤はない。

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HER2変異非小細胞肺がんへのトラスツズマブ デルクステカン、FDAが迅速承認

 FDA(米国食品医薬品局)は2022年8月11日、転移を有する既治療のHER2変異非小細胞肺がん (NSCLC) の成人患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン (製品名:エンハーツ)を迅速承認した。エンハーツはHER2変異非小細胞肺がんへの初の薬剤承認となる 今回のエンハーツの迅速承認は、多施設無作為盲検用量最適化試験であるDESTINY-Lung02に基づいたもの。 FDAはコンパニオン診断としてOncomin Dx Target Test(組織)と Guardant Guardant360 CDx(血漿)をエンハーツと同時に承認している。

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実は変わってますよ! WHOの「がん疼痛ガイドライン」【非専門医のための緩和ケアTips】第33回

第33回 実は変わってますよ! WHOの「がん疼痛ガイドライン」今日は緩和ケアにおけるメジャートピックである、がん疼痛に対する鎮痛アプローチのお話です。皆さんはWHOの「がん疼痛ガイドライン」って、聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?この中の「WHOラダー」は、実際の臨床に活用している方も多いと思います。実は最近このアプローチが大きく変わってきているので、一緒に学んでいきましょう。今日の質問がん疼痛における基本指針といえば、WHOラダーですよね。私も長年、ラダーに従って実践してきたのですが、最近、変更があったと聞きました。どういった点が変更されたんでしょうか?ご質問者のおっしゃる通り、WHOのがん疼痛治療が変更になりました。そして私たち、長年緩和ケアに関わってきた医療者にとって非常になじみ深かった、「WHOラダーの推奨」が削除されることになりました。え! と思われた方も多いかもしれませんので、その背景をお話ししていきましょう。1990年代から2000年代に緩和ケアを学んだ方は「がん疼痛といえばWHOラダー!」と教わったと思います。「がん疼痛を見たら、まずはNSAIDsを使用し、弱オピオイドを導入、その後は強オピオイドを用いる」というアプローチです。この「ステップを踏んでいく」のが、ラダー(梯子)の名称たるゆえんです。ただ、最初から強い痛みを訴えるがん患者さんに対し、ラダー通りに「手順を踏む」よりも、最初から強いオピオイドを使用したほうがよいのでは? というのは長く議論されていた点でした。そして、2019年にがん疼痛のWHOガイドラインが改定され、従来の「がん疼痛の5原則」から「ラダーに基づいて」の項目が削除され、4原則となりました。この変更はわれわれにとってどういった意味を持つのでしょうか? ここからは私見になりますが、「今まで以上に、個別の患者さんごとに、最適ながん疼痛への対応が求められる」のだと感じます。「ラダーに従えば、次は弱オピオイドなので、とりあえずそれで処方しよう」といった実践ではなく、痛みの程度や経過の予測を踏まえて、適切な介入が求められているのだと思います。緩和ケアに関わるほとんどの方が耳にしてきた「WHOのガイドライン」もこうして時代に合わせて改定されます。目の前の患者さんにベストの治療を提供するためにわれわれもアップデートしていく必要性を感じます。今回のTips今回のTipsWHOのがん疼痛への鎮痛アプローチが変更されています。これまで以上に個別の患者さんごとに、最適ながん疼痛への対応が求められるでしょう。

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TROP2を標的としたADC(DS-1062)の非小細胞肺がんに対する第Ib相試験の結果を世界肺がん学会(WCLC2022)で発表/第一三共

 第一三共とアストラゼネカは、再発・進行非小細胞肺がん患者(NSCLC)を対象とした、TROP2に対する抗体薬物複合体(ADC)DS-1062(Dato-DXd)とペムブロリズマブの併用の第Ib相臨床試験TROPION-Lung02の中間解析データを世界肺癌学会(WCLC2022)で発表した。DS-1062関連と判定された間質性肺疾患は4例 同試験は、actionableな遺伝子変異のない再発・進行NSCLC約120例を対象に、DS-1062とペムブロリズマブの2剤併用療法と、DS-1062、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤の3剤併用療法の安全性および有効性を評価するグローバル第Ib相臨床試験である。 DS-1062とペムブロリズマブの2剤併用群およびDS-1062、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤の3剤併用群におけるGrade3以上の有害事象はそれぞれ40%と60%にみられた。また、DS-1062関連と判定された間質性肺疾患は4例で、内訳はGrade1が1例、Grade2が1例、Grade3が2例であった。 全患者集団における客観的奏効率(ORR)は、2剤併用群38例において37%、3剤併用群37例において41%であり、病勢コントロール率(DCR)は、両群ともに84%であった。また、前治療歴のない対象患者のORRは、2剤併用群(13例)で62%、3剤併用群(20例)で50%であり、DCRそれぞれ100%と90%であった。

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がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーション ガイドライン 2022年版

がん医療の現場で役立つ、適切なコミュニケーションを行うための指針を刊行がん医療では、がんの診断や再発・進行、抗がん治療の中止など、患者にとって衝撃的な情報を伝えたうえで最善の意思決定を行うという、難しいコミュニケーションが必要となる。本書では、そのような「悪い知らせ」を伴う治療選択などの場面における、医療者と成人がん患者のコミュニケーションを対象とし、7件の臨床疑問を設けてエビデンスに基づく解説と推奨を提示した。コミュニケーションに関する基礎知識の解説や、各臨床疑問の補足資料なども多く盛り込まれた、がん医療に携わる医療者必携の1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン 2022年版定価2,420円(税込)判型B5判頁数160頁・図数:19枚発行2022年7月編集日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会電子版でご購入の場合はこちら

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がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 3 遺族ケアガイドライン 2022年版

大切な人を失った遺族の診療とケアに関する、本邦初のガイドラインがんを含めた身体疾患によって、家族や恋人・パートナーなどの重要他者を亡くした遺族の診療とケアに関するガイドライン。死別に伴う悲嘆反応の多くは時間の経過とともに軽減するが、精神心理的苦痛の強い一部の遺族に対しては適切な介入や支援が必要となる。本書では、前半で悲嘆や家族・遺族ケアの基礎知識を総論として解説し、後半では治療的介入が必要な遺族の診断と治療法を解説するとともに、非薬物療法と薬物療法に関する2件の臨床疑問を設けて推奨を提示した。遺族ケアの幅広い知識を得られる、充実した1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 3遺族ケアガイドライン 2022年版定価2,420円(税込)判型B5判頁数144頁・図数:11枚発行2022年7月編集日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会電子版でご購入の場合はこちら

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AIがやって来た!【Dr. 中島の 新・徒然草】(438)

四百三十八の段 AIがやって来た!暑いですね。蝉もうるさいです。ところが、いつの間にか夜は秋の虫が鳴いています。虫の声を聞くと、少し物悲しい気にさせられるのはなぜでしょうか。大した成果もなく1年の半分以上が過ぎてしまった……。そんな後悔の念からくる寂しさかもしれません。さて、ウチの病院にもついにAI、いわゆる人工知能が導入されました。胸部レントゲンを読影してくれるのです。結節影、浸潤影、気胸を見つけては、赤黄緑青などのカラフルな色で表示してくれます。イメージとしては、ちょっと愛想のないSPECTみたいな感じです。これがルーチン的に画像上に表示されるのですが、結構、役に立つ気がします。救急外来での肺炎疑いの場合、「浸潤影かも?」と思うところに色が付いています。実は、私も胸部単純レントゲンの読影にはまったく自信がなかったので、これまでにいろいろな裏ワザを考案してきました。1つは、胸部CTで確認するもの。単純レントゲンで不明瞭でも、胸部CTならクッキリ見えることが多々あります。もう1つは、以前の画像と比較するもの。過去の胸部単純レントゲンがあれば、横に並べて立体視してみます。すると、新たに出現した浸潤影や結節影は浮かび上がって見えるので、この現象を活用してきました。ここにもう1つ加わった新たな裏ワザが、AIです。これで見落としの確率も格段に減るというもの。実際に何例か見たところでは……肺炎初期の浸潤影を指摘した。AIもあまり自信ないのか、緑~紫程度の表示でした。脱水があって不明瞭な段階の浸潤影を、うまく指摘していたと思います。20代の若い女性の結節影を指摘した。AIは自信満々で、赤で表示しました。拡大してみると、直径数ミリの丸いものがあります。年齢からして、肺がんの可能性はあまりないと思うのですが。後で放射線科の先生に確認してみたいと思います。でも、何もなさそう。現時点のAIには、全面的に頼ることはできません。が、徐々に信頼度が上がっていくのだと思います。我々医師も、正しい距離感でAIと付き合っていく必要がありますね。最後に1句暑くても ひたすら働く AIくん

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がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 1 がん患者におけるせん妄ガイドライン 2022年版

がん診療の現場で役立つ、せん妄に関する指針を3年ぶりに改訂!せん妄はがん医療の現場において高頻度で認められる病態であり、超高齢社会を迎えた日本では今後さらに、せん妄の予防や対策が重要となる。今改訂では、終末期せん妄への対応や、せん妄に対する病院組織としての取り組み方についての解説を総論に加えたほか、「予防」などに関する臨床疑問が新たに追加された。また、薬物療法における薬剤選択や投与量などを解説した「臨床の手引き」の章も新設され、より臨床現場で役立つ1冊となっている。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 1がん患者におけるせん妄ガイドライン 2022年版定価2,640円(税込)判型B5判頁数200頁・図数:3枚・カラー図数:6枚発行2022年6月編集日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会電子版でご購入の場合はこちら

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英語で「…と診断されたことはありますか?」は?【1分★医療英語】第40回

第40回 英語で「…と診断されたことはありますか?」は?Have you ever been diagnosed with diabetes?(糖尿病と診断されたことはありますか?)No, but last year, I was told I had pre-diabetes.(いいえ、でも去年、糖尿病予備軍と言われました)《例文1》I was diagnosed with lung cancer 3 years ago.(私は3年前に肺がんと診断されました)《例文2》Have you ever been told that you have diabetes?(糖尿病と言われたことがありますか?)《解説》「診断」という名詞は“diagnosis”、「診断する」という動詞は“diagnose”です。「diagnose 人 with~」で、「人を~という病気と診断する」という意味になり、“Have you ever been diagnosed with~?”で「~と診断されたことはありますか?」と聞くことができます。特定の既往歴があるかどうかを聞く場合の他の表現として、“Have you ever been told that you have~?”(~と言われたことがありますか)や、さらにシンプルに“Do you have~?”(~がありますか)といった表現もあります。また、関連する用語として「鑑別診断」は“differential diagnosis”、「前糖尿病」や「糖尿病予備軍」は“prediabetes” “borderline diabetes”と表現することを覚えておくと役立ちます。講師紹介

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小型非小細胞肺がんへの術式 区域切除vs.肺葉切除:JCOG0802/WJOG4607L【肺がんインタビュー】 第82回

第82回 小型非小細胞肺がんへの術式 区域切除vs.肺葉切除:JCOG0802/WJOG4607L小型の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する標準外科療法は肺葉切除だが、2cm以下の末梢NSCLCにおいて区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性比較試験「JCOG0802/WJOG4607L」で区域切除の非劣性が示された。試験結果が報告されたLancet(2022年4月23日号)の共著者である国立がん研究センター東病院の坪井正博氏に試験結果を解説いただくと共に、同試験に対するケアネット会員の質問にお答えいただいた。

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2010年代の京都市の肺がん治療、医療費は増加し生存割合は改善/アストラゼネカ

 アストラゼネカと京都市は、京都市におけるがん検診受診率や肺がん患者の治療パターン、予後などに関する行政医療データを解析・調査するための共同研究の結果を発表した。この結果は2022年6月28日付けでValue in Health Regional Issues(電子版)に掲載されている。 2013〜18年度に京都市で肺がんと診断され、治療を受けた4,845名を対象に、肺がんの治療パターン、医療費、予後について解析・調査を行った。 6年の解析期間において、研究対象患者の年齢平均値は73歳から74歳へと推移した。初回治療として手術を受けた患者の割合は、2013年度は35.2%、2018年度は39.6%であった。薬物治療を受けた対象者の割合は2013年度の44.1%から、2018年度は37.6%と各年で上下しながら推移している。肺がん患者における、手術、薬物療法、放射線療法それぞれの年間医療費の合計は2014年度から2018年度で経年的に増加傾向だった。一方、2年以内に死亡する患者の割合は2013年度の42.7%から2016年度の36.8%まで毎年減少している。 同研究では、2010年代の肺がん治療の変化に加え、医療費の増加および生存割合の経年的な改善傾向が記述された。 同共同研究においては、すでに京都市との間で研究期間の延長が合意されており、同市における肺がん検診の受診率や治療パターン、予後など行政医療データをさらに詳しく解析・調査してその結果を発表していく予定である。

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