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膵神経内分泌腫瘍〔P-NET : pancreatic neuroendocrine tumor〕

1 疾患概要■ 概念・定義神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor: NET)は、神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称で、膵臓、下垂体、消化管、肺、子宮頸部など全身のさまざまな臓器に発生する。NETは比較的まれで進行も緩徐と考えられているが、基本的に悪性のポテンシャルを有する腫瘍である。ホルモンやアミンの過剰分泌を伴う機能性と非機能性に大別される。■ 疫学1)pNETの発症数欧米では膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor: pNET)は膵腫瘍全体の1~2%、年間有病数は人口10万人あたり1人以下と報告されている。日本における2005年の1年間のpNETの受療者数は約2,845人、人口10万人あたりの有病患者数は約2.23人、新規発症率は人口10万人あたり約1.01人と推定された。発症平均年齢は57.6歳で、60代にピークがあり、全体の15.8%を占めている。一方、2010年1年間のpNETの受療者数は約3,379人、人口10万人あたりの有病患者数は約2.69人、新規発症率は人口10万人あたり約1.27人と推定され、増加傾向がみられた。2)疾患別頻度2005年のわが国の疫学調査では、非機能性pNETが全体の47.4%を占め、機能性は49.4%を占めていた。2010年では、非機能性・機能性pNETの割合はそれぞれ34.5%と65.5%であり、非機能性腫瘍の割合が増えた。インスリノーマ20.9%、ガストリノーマ8.2%、グルカゴノーマ3.2%、ソマトスタチノーマ0.3%であった。機能性・非機能性腫瘍の割合は、欧米の報告に近づいたが、わが国では機能性腫瘍においてインスリノーマが多い傾向にある。■ 病因NETの発生にPI3K (phosphoinositide 3-kinase)-Akt経路が関わっていると考えられている。NETでは家族性発症するものが知られており、多発性内分泌腫瘍症I型(MEN-1)では原因遺伝子が同定され、下垂体腫瘍、副甲状腺腫瘍やpNETを来す。また、結節性硬化症、神経線維症、Von Hippel-Lindau(VHL)病を含む遺伝性腫瘍性疾患ではpNETの発生にmTOR経路が関連していると考えられているが、病因の詳細はいまだ不明である。■ 症状2005年のわが国における全国疫学調査によると、「症状あり」で来院した症例が全体の60%で、最も頻度が高いのは低血糖由来の症状であった。一方、無症状で検診にて偶然発見された症例は全体の24%であった。また、有症状例において何らかの症状が出現してからpNETと診断されるまで、平均約22ヵ月を要している。1)機能性腫瘍の症状機能性pNETは腫瘍が放出するホルモンによる内分泌症状をもたらすが、転移性のものは悪性腫瘍として生命予後に関わるという別の側面も持つ。また、ホルモン分泌も単一ではなく、複数のホルモンを分泌する腫瘍も認められる。主な内分泌症状を表1に示した。画像を拡大する2)非機能性腫瘍の症状非機能性腫瘍では特異的症状を呈さず、腫瘍増大による症状(周囲への圧迫・浸潤)や遠隔転移によって発見されることが多い。初発症状は腹痛、体重減少、食欲低下、嘔気などであるが、いずれも非特異的である。有肝転移例の進行例では、肝機能障害・黄疸が認められる。■ 分類上述したとおり、機能性腫瘍と非機能性腫瘍に大別される。遺伝性疾患(MEN-1、VHL)を合併するものもある。わが国においてはMEN-1合併の頻度は、2010年の調査ではpNET全体で4.3%であった。その中で、ガストリノーマは16.3%と最も高率にMEN-1を合併しており、非機能性pNETでは 4.0%であった。欧米の報告では非機能性pNETのMEN-1合併頻度は約30%であり、日本と大きな差を認めた。pNETの病理組織学的診断は、とくに切除不能腫瘍の治療方針決定に重要な情報となる。WHO 2010年分類を表2に示す。画像を拡大する■ 予後予後に与える因子は複数認められ、遠隔転移(肝転移)の有無、遺伝性疾患の有無、組織学的分類が影響を与える。欧米の報告によると5年生存率は、腫瘍が局所に留まっている症例で71%、局所浸潤が認められる症例で55%、遠隔転移を有する症例で23%とされる。インスリノーマ以外は遠隔転移を有する率が高く、予後不良である。単発例で転移がなく、治癒切除が施行できた症例の予後は良好である。WHO 2010分類でNECと診断された症例は、進行が早く、予後はさらに不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 存在診断症状や画像所見よりpNETが疑われた場合、各種膵ホルモンの基礎値を測定する。MEN-1を合併する頻度が高いことから、初診時に副甲状腺機能亢進症のスクリーニングで血清Ca、P値、intact-PTHを測定する。腫瘍マーカーとして神経内分泌細胞から合成・分泌されるクロモグラニンA(CgA)の有用性が知られているが、わが国ではいまだに保険適用がない。ほかに腫瘍マーカーとしてはNSEも用いられるが感度は低い。症状、検査などからインスリノーマやガストリノーマが疑われた場合、負荷試験(絶食試験、カルチコール負荷試験)を加えることで存在診断を進める。■ 局在診断pNETの多くは、多血性で内部均一な腫瘍であり、典型例では診断は容易であるが、乏血性を示すものや嚢胞変性を伴うような非典型例では、膵がんや嚢胞性膵腫瘍など他の膵腫瘍との鑑別が問題となる。インスリノーマやガストリノーマでは腫瘍径が小さいものも多く、正確な局在診断が重要である。症例に応じて各種modalityを組み合わせて診断する。1)腹部超音波検査内部均一な低エコー腫瘤として描出される。最も低侵襲であり、スクリーニングとして重要である。2)腹部CTダイナミックCTにて動脈相で非常に強く造影される。肝転移やリンパ節転移の検出にも優れており、ステージングの診断の際に必須である。3)腹部MRIT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を呈する。CT同様、造影MRIでは腫瘍濃染を呈する。4)超音波内視鏡(EUS)辺縁整、内部均一な低エコー腫瘤として描出される。膵全体を観察でき、1cm以下の小病変も同定できる。診断率は80~95%程度とCTやMRIより優れており、原発巣の局在診断において非常に有用である。さらにEUS-FNAを併用することで組織診断が可能である。 5)選択的動脈内刺激薬注入法(SASI TEST)〔図1〕機能性腫瘍の局在診断に有用なmodalityである。腹部動脈造影の際に肝静脈内にカテーテルを留置し、膵の各領域を支配する動脈から刺激薬(カルシウム)を注入後、肝静脈血中のインスリン(ガストリン)値を測定し、その上昇から腫瘍の局在を判定する方法である。腫瘍の栄養動脈を同定することで他のmodalityでは描出困難な腫瘍の存在領域診断が可能であり、インスリノーマやガストリノーマの術前検査としてとくに有用である。画像を拡大する6)ソマトスタチンレセプターシンチグラフィー(SRS)pNETではソマトスタチンレセプター(SSTR)、とくにSSTR2が高率に発現している。SSTR2に強い結合能を持つオクトレオチドを用いたソマトスタチンレセプターシンチグラフィー(SRS)が、海外では広く行われており、転移巣を含めた全身検索に有用である。わが国では保険適用がないため、臨床試験として限られた施設でしか施行されていない。早期の国内承認が期待される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 外科的治療pNETの治療法の第1選択は外科治療であり、小さな単発の腫瘍に対しては、腫瘍核出術が標準術式である。多発性腫瘍、膵実質内の腫瘍など核出困難例は膵頭十二指腸切除術、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術、または膵体尾部切除術、膵分節切除術が行われる。肝転移を有する症例でも切除可能なものは積極的に切除する。1)分子標的薬近年、pNETに対するさまざまな分子標的薬を用いた臨床試験が行われてきた。その結果、mTOR阻害薬であるエベロリムス(商品名:アフィニトール)とマルチキナーゼ阻害薬であるスニチニブ(同:スーテント)が進行性pNET (NET G1/G2)に有効であることが示された。米国NCCNガイドラインでも推奨され(図2)、最近わが国でもpNETに対して保険適用が追加承認された(表3)。2015年の膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドラインでは、pNETに対するエベロリムスやスニチニブ療法はグレードBで推奨されているが、さまざまな有害事象に対する注意や対策が必要である(表3)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する2)全身化学療法(殺細胞性抗腫瘍療法)進行性pNETに対する全身化学療法は、わが国においてはいまだコンセンサスがなく、保険適用外のレジメンが多い。(1)NET G1/G2に対する全身化学療法進行性の高分化型pNET(NET G1/G2相当)に対し、欧米で使用されてきた化学療法剤の中ではストレプトゾシン(STZ[同: ザノサー点滴静注])が代表的であるが、わが国ではこれまで製造販売されていなかった。国内でpNETおよび消化管NETに対するSTZの第I/II相試験が多施設共同で行われ、2014年にわが国でも保険適用され、2015年2月より国内販売された。膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドラインでは、pNET に対するSTZ療法はグレードC1と位置づけられている。他ではアルキル化剤であるダカルバジン(同: ダカルバジン)の報告もあるが保険承認されていない。(2)NECに対する全身化学療法pNETのうち低分化型腫瘍(WHO分類2010でNEC)は病理学的に小細胞肺がんに類似しており、進行も非常に速いことから、小細胞肺がんに準じた治療が行われている。肝胆道・膵由来のNECに対するエトポシド/CDDP併用療法の結果をretrospectiveに解析した報告では、奏効率14%、PFS中央値 1.8ヵ月、OS中央値が5.8ヵ月であった。わが国で実施された小細胞肺がんに対する第III相試験においてイリノテカン/CDDP併用療法がエトポシド/CDDP併用療法より効果を示したことを受けて、肺外のNECに対しても期待されている。現在、膵・消化管NECに対し、エトポシド/CDDP併用療法 vs. イリノテカン/CDDP併用療法の国内比較第III相試験が行われている。3)ソマトスタチンアナログ(SA)SAは広範な神経内分泌細胞でのペプチドホルモンの合成・分泌を阻害する作用を有している。オクトレオチド(同:サンドスタチン)を含むSAが持つ機能性NETに対する効果について、症候に対するresponseが平均73%(50~100%)といわれている。2009年に中腸由来の転移性高分化型NET(NET G1/G2相当)に対するオクトレオチドLARの抗腫瘍効果が示された(PROMID study)。pNETに対するSAの抗腫瘍効果に関しては、これまで十分なエビデンスは得られてこなかったが、2014年にランレオチド・オートゲル(同:ソマチュリン)のpNET・消化管NETに対する無増悪生存期間延長効果が報告された(CLARINET study)。それを受けてNCCNガイドラインでは、pNETに対するSAの位置づけが変わったが(図2)、わが国のガイドラインでは抗腫瘍効果を目的とした、NETに対するSAの明確な推奨はない。現在、わが国での承認を目的に、ランレオチド・オートゲルの国内第II相試験が進行中である。■ 肝転移に対する治療pNETの肝転移は疼痛や腫瘍浸潤による症状、もしくは内分泌症状が認められるまで気が付かれないことも多く、肝転移を伴った症例の80~90%は診断時すでに治癒切除が困難である。pNETの肝転移は血流が豊富であり、腫瘍への血流は90%以上肝動脈から供給されていることから、肝細胞がんと同様に動脈塞栓療法(transarterial embolization: TAE)や動脈塞栓化学療法(transarterial chemoembolization: TACE)がpNETの肝転移(とくに高腫瘍量)の局所治療として有用である。TAE後の生存率に関する報告はさまざまで5年生存率が0~71%(中央値50%)、生存期間中央値も20~80ヵ月と幅がある。腫瘍数が限られている症例では、ラジオ波焼灼術(RFA)が有用とする報告もある。わが国の診療ガイドラインでは、肝転移巣に対する局所療法はグレードC1と位置付けされている。4 今後の展望今までpNETに関しての診断・治療に関する明確な指針が、わが国にはなかったが、2013年にweb上でガイドラインが公開され、2015年には「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン」として発刊された。今後、わが国におけるpNET診療の向上が期待される。pNETに対する薬物療法の臨床試験としては、進行性のG1/G2 pNETを対象に新規SAであるSOM230(パシレオチド)/RAD001(エベロリムス)併用療法とRAD001単独療法を比較したランダム化第II相試験がGlobal治験として行われ、現在解析中である。テモゾロミド(同: テモダール)は、副作用が軽減されたダカルバジンの経口抗がん剤であり、国内では悪性神経膠腫に保険適用を得ている薬剤であるが、進行性NET患者に対する他薬剤との併用療法の臨床試験が行われており、サリドマイド(同: サレド)やカペシタビン(同: ゼローダ)やベバシズマブ(同: アバスチン)などの薬剤との併用療法が期待されている。最近の話題の1つとして、WHO分類でNECに分類される腫瘍の中に、高分化なものと低分化なものが含まれている可能性が指摘されている。高分化NECに対する分子標的薬治療の可能性も提案されているが、今後の検討が待たれる。診断ツールとして有用な、血中クロモグラニンAの測定や、SRSが1日も早くわが国でも保険承認されることを希望するとともに、海外で臨床試験として施行されているPRRT(peptide receptor radionuclide therapy)の国内導入も今後の希望である。5 主たる診療科消化器内科、消化器外科、内分泌内科、内分泌外科、腫瘍内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究情報日本神経内分泌腫瘍研究会(Japan NeuroEndocrine Tumor Society: JNETS)(医療従事者(専門医)向けのまとまった情報)独立行政法人 国立がん研究センター「がん情報サービス」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)NET Links(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)がん情報サイト(Cancer Information Japan)(患者向けの情報)がんを学ぶ(患者向け情報)(患者向けの情報)患者会情報NPOパンキャンジャパン(pNET患者と家族の会)1)日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS) 膵・消化管神経内分泌腫瘍診療ガイドライン作成委員会編.膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン; 2015.2)Ito T, et al. J Gastroenterol. 2010; 45:234-243.3)Yao JC, et al. N Eng J Med. 2012; 364:514-523.4)Raymond E, et al. N Eng J Med. 2011; 364:501-513.公開履歴初回2013年02月28日更新2015年09月18日

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Dr.小川のアグレッシブ腹部エコー 肝臓編

第1回 基本を押さえて異常を知る!超音波解剖と走査のポイント第2回 びまん性肝疾患1 -脂肪肝を中心に-第3回 びまん性肝疾患2 -エコーパターンと肝内脈管評価を中心に-第4回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん1 -基本を押さえる- 第5回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん2 -バリエーションを学ぶ-第6回 肝腫瘤性病変3 -症例から学ぶ- 超音波検査は非侵襲的で触診感覚で行えることから、患者にとっても、医師にとっても非常に有用な検査です。その超音波を使いこなすにはどうすればよいのでしょうか。その答えは、この番組の中にあります。肝臓の疾患にフォーカスし、さまざまな症例の超音波画像から、何をどう見ていくのかを徹底的に解説します。これを見ると超音波画像がみるみる見えるようになるでしょう。第1回 基本を押さえて異常を知る!超音波解剖と走査のポイント超音画像を見てすぐに所見を述べられますか?なぜ答えることができないのでしょうか。それは超音波検査の「客観性の低さ」が問題なのです。その問題を解決するためには、撮影方法と肝臓の解剖理解して、標的臓器がわかるようになりそして、評価方法がわかるようになることです。そのためにも正常超音波画像を頭にたたき込みましょう。肝臓の超音波画像描出のコツは、メルクマールとなる門脈の描出、区域を意識する、呼吸の利用などなど、コツをしっかりと伝授します。まずは「基本を押さえて異常を知る」ことです。第2回 びまん性肝疾患1 -脂肪肝を中心に- びまん性肝疾患の評価方法、脂肪肝のエコー画像の特徴について解説します。肝臓を観察する上でのチェックポイントは大きく6つあります。1.肝臓の大きさ、2.肝臓の輪郭の評価(形態的な変化)、3.内部エコーの評価、4.肝内脈管・胆管の変化、5.肝外の随伴所見の有無、6.肝腫瘤性病変の有無です。今回は、前半の3つについて実際の症例画像を挙げながら詳しく説明していきます。CT画像や組織所見などとの比較も行います。これを見ればみるみる見えるようになるでしょう!第3回 びまん性肝疾患2 -エコーパターンと肝内脈管評価を中心に-内部エコーのエコーパターンは肝実質の線維化、壊死、胆汁うっ滞、血流障害などのさまざまな要因によって超音波の伝搬が不均一になるために現れる変化です。健常者では均一な像を呈していますが、肝硬変化、重症化するに伴い不均一化は進み、また、原因疾患によってそのパターンは異なります。また、肝内脈管の評価の際にも同様の変化を見ることができます。第3回では、第2回に続き、肝臓を観察する上での6つチェックポイント、1.肝臓の大きさ、2.肝臓の輪郭の評価(形態的な変化)、3.内部エコーの評価、4.肝内脈管・胆管の変化、5.肝外の随伴所見の有無、6.肝腫瘤性病変の有無 の3(エコーパターン)、4、5について解説していきます。第4回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん1 -基本を押さえる- 肝腫瘤性病変の評価方法と肝細胞がんの典型的な超音波画像について解説します。超音波装置の発展により、5mm大の結節性病変が散見されるようになったが、この結節をどう評価するか、CTやMRIで描出されない結節をどう扱うかなど悩んだことはありませんか?超音波は所見を撮りに行く検査です!なぜその所見が得られるか、何が臨床の場で重要なのかなど腫瘤性病変に関する考え方を学んでください。そうすれば撮り方も変わっていくでしょう。第5回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん2 -バリエーションを学ぶ-肝腫瘤性病変の評価方法と肝細胞がんの典型的な超音波画像についての解説Part2です。腫瘤性病自体の画像の評価からはもちろんのこと、その周辺に起こる画像の変化から読み取ることもダジです。Halo(ハロー:腫瘤の辺縁環状低エコー帯)、側方エコー(Lateral Shadow:外側陰影)、後方エコーなど、なぜそのような画像の変化が起こるのか、突き詰めていきましょう。そして、その意味がわかれば、より適切に病態を把握できるようになります。第6回 肝腫瘤性病変3 -症例から学ぶ- 今回は、総まとめとして患者情報、検査結果、そしてエコー画像が提示される症例を診断していきます。これまでに学んだ肝臓観察時のチェックポイント-1.肝臓の大きさ、2、肝臓の輪郭、3.内部エコー、4.肝内脈管・胆管の変化、5.肝外随伴所見、6.肝内腫瘤性病変 を一つひとつ見ていきましょう。

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事例41 ヒアルロン酸の査定【斬らレセプト】

解説事例では、高血圧症と肝機能障害で通院中の患者に肝硬変を疑いD007 「42」ヒアルロン酸を実施したところ、C事由(医学的理由による不適当と判断されるもの)にて査定となった。同検査は、算定留意事項に「(前略)慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる」とある。さらに、支払基金の審査情報提供では「『慢性肝炎』の病名の無い『肝機能障害』又は『肝細胞がん疑い』及び『肝硬変』が確定している場合は、同検査は診断の参考とならない」と示されている。認める場合は、「原発性胆汁性肝硬変」の診断時に参考とする場合と示されている。事例に記載されている「肝機能障害」からは「慢性肝炎」であることが読み取れない。また、「慢性肝炎」の判断ができない中での「肝硬変の疑い」では、肝生検の必要性が読み取れないとして、医学的に不適当と判断されたことが考えられる。保険請求では、その行為が必要であったことが、第三者に読み取れるよう診断傷病を記載することが肝要なのである。

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甲状腺がん治療薬レンバチニブをFDAが承認

 エーザイ株式会社は16日、米国子会社であるエーザイ・インクが、自社創製の新規抗がん剤「Lenvima」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんに係る適応で、米国食品医薬品局( FDA)より承認を取得したことをお知らせします。同剤は優先審査品目に指定されていたが、優先審査終了目標日より約 2ヵ月早い迅速な承認となったという。なお、今回の米国での承認が同剤に関する世界で初めての承認となる。 「Lenvima」は、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬であり、とくに甲状腺がんの増殖、腫瘍血管新生に関与するVEGFR、FGFR およびRETを同時に阻害する。また、本剤は、VEGFR2 とのX線結晶構造解析から、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された最初の薬剤であり、速度論的解析からは、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されている。 今回の承認は、392人の進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの患者を対象とした多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床第III相試験(SELECT試験)の結果に基づいているという。同試験において、「Lenvima」投与群はプラセボ投与群に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間 (progression free survival: PFS)を統計学的に有意に延長した[p<0.001、Lenvima18.3ヵ月 vs プラセボ 3.6ヵ月(中央値)、ハザード比 0.21(99%信頼区間=0.14-0.31)]。また、Lenvimaは、プラセボに対して統計学的に有意に高い奏効率(完全奏効および部分奏効の割合)を示した(p<0.001、Lenvima 64.8% vs プラセボ 1.5%)。とくに、Lenvima投与群では、完全奏効が 1.5%(4例)確認されました(プラセボ投与群では0例)。Lenvima投与群において高頻度(頻度40%以上)に認められた副作用は、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労・無力症(59.0%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)でした。 同剤は、現在、日本、欧州のほか、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシア、オーストラリア、ブラジルで承認申請中であり、欧州では迅速審査品目に指定されている。引き続き、世界各国で承認申請を進め、承認取得後には同社が各国での販売を行なう予定。また、同剤に関しては、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第III相試験や腎細胞がん、非小細胞肺がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第II相試験が進行中とのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へ

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第30回 医療に絶対を求める裁判所の結論への疑問

■今回のテーマのポイント1.乳腺疾患で一番訴訟が多いのは乳がんである2.乳がんに関する訴訟では、診断、手術適応、説明義務違反が主として争われている3.本事例における病理診断に対する裁判所の過失判断の枠組みには問題があり、再考の必要がある■事件のサマリ原告患者X被告Y病院 Z医師(病理医)争点診断ミスによる債務不履行責任結果原告勝訴、1,645万円の損害賠償事件の概要45歳女性(X)。平成13年10月、市の乳がん検診を受診し、左乳腺腫瘤を指摘されたことから、近医を受診し、超音波検査を受けたところ、やはり、同部に腫瘤が認められました。Xは、同月23日に精査のためY病院を受診し、A医師により、触診、超音波検査、マンモグラフィーおよび吸引細胞診などが行われました。超音波検査の結果は、乳がんを疑うとされましたが、マンモグラフィーではがんは指摘されませんでした。Y病院の病理医のZ医師は、Xの吸引細胞診の検体を観察し、細胞診検査報告書に、「血性で汚い背景です。クロマチン増量、核小体腫大、核大小不同を示す不規則重積性のみられるatypical cell(異型細胞)がみられます。Papilo tubular Ca(乳頭腺管がん)を考えます。診断PAP ClassⅤ(パパニコロウ分類)」などと記載してA医師に報告しました。以上から、A医師は、Xに対し、検査の結果、左乳腺腫瘤はがんであったと伝え、11月7日に、左乳房の非定型乳房切除術を行いました。ところが、切除検体を用いた病理診断の結果は、「全体像を総合的に検討すると、病変は、増殖が強く、典型的とはいえないが、乳管内乳頭腫である可能性を第一に考える」と診断されました。これに対し、Xは、不必要な手術を受けた結果、左肩関節の可動域制限および乳房再建手術を受けることとなったなどとして、Y病院および、病理医のZ医師に対し、約2,720万円の損害賠償請求を行いました事件の判決細胞診の判定としては、従来より、パパニコロウ分類が用いられている。このパパニコロウ分類においては、細胞診所見において異型細胞をみないものがクラスI、異型細胞はあるが悪性細胞をみないものがクラスII、悪性を疑わせる細胞をみるが確診できないものがクラスIII、悪性の疑いが極めて濃厚な異型細胞を認める場合がクラスIV、悪性と診断可能な異型細胞を認める場合がクラスVとされている。このように、クラスVとの診断は、疑いを超えて確診に至ったものであるから、クラスVというためには、診断時の所見に照らし、悪性と診断できる確実な根拠があることが必要であるというべきである。上記のとおり、本件では、術前の細胞診の結果、クラスVと診断されているにもかかわらず、術後の組織検査においては、被告病院を含む3つの医療機関において、いずれも良性である乳管内乳頭腫との診断がされており、術前の細胞診のプレパラートについても、他院において、クラスIIとの判定がされている。その上、本件当時被告病院に勤務していた細胞検査技師は、他施設の検査技師も悪性を疑うという意見であったこと及び被告病院で再度検討した結果としてもがんの可能性がないとは言い切れないとの判断であったことを陳述しているところ、これらの判断を上記分類に当てはめた結果については何ら言及されていないが、悪性を確診するとか、これを強く疑うとの記載がないことからすると、せいぜいクラスIIIに分類すべきとの判断と理解でき、この陳述からしても、被告Z医師の判定は誤りであったとうかがわれるところである。・・・・(判決文中略)・・・・上記で認定説示した事実と弁論の全趣旨によると、被告Z医師には、細胞診の検体からは良性の可能性も否定できず、さらに生検等によってこの点を精査すべきであったにもかかわらず(この点は、仮に、判定がクラスIVであっても同様である)、良性の可能性を疑う余地がないかのような判定をした点において、細胞診の診断を誤った過失があると認められる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年6月23日判タ1246号274頁)ポイント解説■乳腺疾患の訴訟の現状今回は乳腺疾患です。乳腺疾患で最も訴訟が多いのは乳がんであり、疾患全体の中でその多くを占めています。乳がんに関する訴訟の原告勝訴率は、55.6%と高いのですが、平均認容額は、約1,387万円とそれほど高額とはなっていません(表1)。これは、乳がんに関する訴訟では、悪性疾患であるにもかかわらず、生存患者からの訴訟が多く、かつ、がん自体が根治していてもなお訴訟に到っていることが原因となっています。参考までに肝細胞がんに関する訴訟(20件)では、患者転帰が生存である率は4.8%しかなく、膵がんに関する訴訟(4件)では0%です。一方、乳がんに関する訴訟では、55.6%と高率であり、かつ、乳がん自体は根治している事例が3件(33.3%)もあります(表2)。乳がんに関する訴訟は大きく分けて3つの類型があります。1つは、本件で取り扱ったような誤診事例であり、もう1つは、不必要に拡大手術を行ったとして争われる事例であり、最後の1つが、説明義務違反の事例です。悪性疾患であることからか、不必要な拡大手術を行ったとして争われている事例では、原告勝訴事例はありません。しかし、良性の腫瘍を誤って悪性と診断し、切除した場合(誤診事例)には、原告が勝訴しています。やはり、結果が(後になってからではありますが)明らかである分、裁判所の判断が厳しくなるものと思われます。■病理医が訴えられ敗訴本件の判決で大きな問題といえるのは、病院とともに、病理医が個人として訴えられており、かつ、敗訴している点です(約1,645万円の損害賠償)。本判決の判断枠組みは非常にシンプルで、「ClassVは、悪性と診断できる確実な根拠があることが必要」であるところ、「他の病理医がClassIIと診断している」したがって、「良性の可能性を疑う余地があるのにClassVとしたのは過失」というものです(図)。しかし、この判断枠組みに従うと、後に他の病理医が良性と診断すると、過失と認定されることとなってしまいます。ご存じのとおり、病理診断には診断基準はあるものの、経験に基づく総合判断によることから、病理医により診断が分かれることがしばしばあります。そのような場合、結果として誤って悪性度を高く判断をしたら、過失と認定されるとなると、病理医は、ClassVと診断できなくなってしまいます。誰がみても明らかなものでない限り、Class Vと書けなくなってしまうとなると、Class IIIやIVとして要再検査とする病理診断が跋扈することとなり、患者は無駄な検査の負担を負うこととなりますし、場合によっては、治療の時期が遅れて生命に関わることもありえます(もし、仮に結果として悪性であったのに萎縮診断によりClass IIIと書いたため治療が遅れたとして訴訟された場合には、同一の判断枠組みを用いて過失はないと判断するのでしょうか)。もちろん、誰がみても明らかな水準の誤診であった場合には、病理医に責任があるとされることは止むを得ません。本事例がどちらであったかは判断できませんが、すくなくとも、本判決における判断の枠組みは、病理医に対し強い萎縮効果を持たせることは明白であり、その結果、過剰な検査などによる負担を負うのは患者です。現在は、だいぶ改善していますが、福島大野病院事件以前の判決では、このような現場を無視した過剰かつ、過酷な判決がしばしば見受けられました。司法と医療の相互理解を深め、萎縮効果を生むような判決が示されないよう努力していく必要があります。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年6月23日判タ1246号274頁

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野菜摂取増で肝細胞がんリスク低下

 野菜の摂取量を1日当たり100g増やすことで肝細胞がん(HCC)の発症リスクが8%低下することが、中国・浙江がん病院のYang Yang氏らのメタ解析によって明らかとなった。果物では同様の結果は認められなかった。著者らは、今回の知見について、検証アンケートや交絡因子を厳密にコントロールしたさらなる研究によって確認されるべきとしている。Gastroenterology誌オンライン版8月12日号掲載の報告。 これまで、野菜や果物の抗がん作用については広く調査されてきたが、野菜や果物の摂取量とHCC発症との関係については、定量化されていない。この関連性を明らかにするために、観察研究のメタ解析を行った。 1956年から2014年5月31日までに投稿された論文をPubMed、Web of Science、EMBASEを用いて検索し、適格な研究を同定した。ランダム効果モデルを用いて要約相対リスク(RRs)を算出し、用量反応解析により関連性を定量的に評価した。各研究間のばらつきは、コクランのQとI2統計量を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本メタ解析には、19件の研究に129万45例の参加者と3,912例のHCC患者が含まれていた。・野菜の低摂取群と比較した、野菜高摂取群のHCC要約RRは0.72(95%信頼区間[CI]:0.63~0.83)であった。また、1日当たりの野菜摂取量が100g増えるとリスクは8%低下した(要約RR 0.92、95%CI:0.88~0.95)。・サブグループ解析では、この逆相関の関連性が、肝炎の既往歴、飲酒、喫煙、エネルギー摂取量にかかわらず変化しないことが示された。・果物の低摂取群と比較し、果物高摂取群におけるHCCの要約RRは0.93(95%CI:0.80~1.09)であり、1日当たりの果物摂取量が100g増えることによる要約RRは0.99(95%CI:0.94~1.05)であった。

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分子標的治療薬登場で甲状腺がん治療はどう変わる?

 今年6月、甲状腺がんで初めての分子標的治療薬として、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)が「根治切除不能な分化型甲状腺がん」に対して承認された。これまでは外科医でほぼ完結していた甲状腺がん治療が、分子標的治療薬の登場によってどのように変わっていくのだろうか。7月29日(火)、都内で開催されたプレスセミナー(主催:バイエル薬品株式会社)で、甲状腺がん治療の現状と今後のあり方、ソラフェニブの臨床成績と副作用のマネージメントについて、日本医科大学内分泌外科学分野 教授 杉谷 巌氏と国立がん研究センター東病院頭頸部内科 科長 田原 信氏がそれぞれ講演した。甲状腺がん治療の現状 甲状腺がんは、予後良好な乳頭がんが9割以上を占める。近年、2cm以下の乳頭がんが増加しているが、これは発見されるがんが増えたためと考えられている。一方、死亡率は変化していないことから、背景には少数ではあるが予後不良の高リスクがんがあると考えられることから、杉谷氏は「治療開始時点における適切な予後予測、および治療方針決定のための適切なリスク分類が必要」と言う。 治療については、欧米と日本では考え方が異なる。欧米では、ほぼすべての患者で甲状腺を全摘し放射性ヨウ素内用治療を行っているが、日本では、予後のよいがんであることからQOLを考慮し、部分切除により甲状腺機能を残すようにすることも多い。こうした現状を踏まえ「甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010年版」(日本内分泌外科学会/日本甲状腺外科学会)でも、TNM分類にて、T>5cm、N1、Ex2、M1のいずれかを満たせば高リスク群とみなし、甲状腺全摘(+郭清)を推奨しているが、低リスク群との間に“グレーゾーン”を設け、患者さんの要望を踏まえて治療を決定する選択余地を残している。高リスク患者の治療に分子標的治療薬が登場 高リスクの場合、甲状腺全摘、隣接臓器合併切除、拡大リンパ節郭清といった局所治療を実施する。その後の全身治療として、放射性ヨウ素内用療法、甲状腺ホルモン療法(TSH抑制療法)があるが、杉谷氏はこれらの治療効果は見込めないと言う。というのは、これらの治療は、ヨウ素を取り込んだりTSHの影響を受けたりする甲状腺の性質を利用しているが、高リスクの甲状腺がんではこの甲状腺本来の性質が失われているためである。 このようななか、甲状腺がんの発生・進行の分子メカニズムが少しずつ判明してきており、分子標的治療薬として現在までにソラフェニブ、lenvatinib、vandetanibなどのチロシンキナーゼ阻害薬の国際的な臨床試験が実施され、今回ソラフェニブが承認された。杉谷氏は、今後の甲状腺治療において腫瘍内科とタッグを組んでいくことに期待している。 一方で、杉谷氏は分子標的治療薬の課題として、1)完全寛解例がほとんどない、2)個別の効果予測がまだできない、3)併用療法や2次治療についての検討はこれからである、4)治療が高額、5)特有の副作用の管理が難しい、といった点を挙げている。 さらに、今後の甲状腺がん治療については、外科医、腫瘍内科医、内分泌内科医、放射線科医、緩和ケア医による新たなチーム医療システムを築き上げることが必要な時期に来ているとし、そこで新たなエビデンスを構築することが必要と強調した。分子標的治療薬ソラフェニブの有効性 腫瘍内科の田原氏は、日本から国際共同第III相臨床試験(DECISION試験)に参加した経験をもとに、試験成績や副作用マネージメントについて紹介した。 DECISION試験は、予後不良で有効な標準治療がない、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行または転移性分化型甲状腺がん患者を対象に実施したプラセボ対照比較試験である。 本試験で、分子標的治療薬であるソラフェニブは、主要評価項目である無増悪生存期間を有意に改善し、中央値を5ヵ月間延長した(ソラフェニブ群10.8ヵ月vsプラセボ群5.8ヵ月、ハザード比:0.59、95%CI:0.45~0.76)。 なお、副次的評価項目である全生存期間は、両群とも中央値に達しておらず、差は認められなかった(ハザード比:0.80、95%CI:0.54~1.19、p=0.14)。その考えられる理由として、田原氏は、本試験では病勢進行時の盲検解除およびソラフェニブへのクロスオーバーが可能であり、プラセボ群の71.4%がクロスオーバーされたことを挙げた。ソラフェニブの安全性と副作用マネージメント 安全性については、血清TSH増加、低カルシウム血症、二次性悪性腫瘍(皮膚扁平上皮がんなど)といった他のがんとは異なる副作用が認められたものの、主な副作用は手足の皮膚反応、下痢、脱毛、皮疹/落屑、疲労、高血圧などで、おおむね既知の安全性プロファイルとほぼ同様という。田原氏は「高血圧、手足症候群、下痢などの副作用に対する適切なマネージメントが治療継続に必要であり、腫瘍内科医が治療に携わることが重要である」と強調した。 また、日本人では5割の患者でグレード3以上の手足の皮膚反応が認められたという。これについて、田原氏は「甲状腺がんでは、腎細胞がんや肝細胞がんで同薬を投与されている患者さんよりも全身状態(PS)がよい人が多く、仕事やゴルフなどに出かけるなど、よく動くため皮膚障害が多かったのではないか」と考察し、使用開始1ヵ月間は活動を控えてもらうなど、患者指導の重要性について語った。

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進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。17ヵ国546例を対象に二重盲検プラセボ対照試験 EVOLVE-1は、ソラフェニブ治療が無効または不耐であった進行肝細胞がん患者に対する、エベロリムス7.5mg/日の有効性と安全性を評価した第III相の国際無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。 被験者は、2010年5月~2012年3月に17ヵ国から登録された成人患者546例で、Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)ステージBまたはCの肝細胞がん、およびChild-Pugh Aの肝硬変を有していた。 無作為化は、地域(アジアvs. その他地域)および大血管浸潤(ありvs. なし)で層別化し、2対1の無作為化スキームにより、エベロリムス群に362例、適合プラセボ群に184例が割り付けられた。なお両群には、最善の支持療法も併せて行われた。 主要エンドポイントはOS、副次エンドポイントは、無増悪期間(TTP)、病勢コントロール率(DCR)(完全奏効[CR]、部分奏効[PR]、安定[SD]の患者の割合)などだった。OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月 結果、両群間でOSの有意差はみられなかった。エベロリムス群の死亡は303例(83.7%)、プラセボ群は151例(82.1%)で(ハザード比[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.86~1.27、p=0.68)、OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月であった。 無増悪期間の中央値は、エベロリムス群3.0ヵ月、プラセボ群2.6ヵ月であり(HR:0.93、95%CI:0.75~1.15)、病勢コントロール率はそれぞれ56.1%、45.1%であった(p=0.01)。 最も共通してみられたgrade 3または4の有害事象は、貧血症(エベロリムス群7.8%vs. プラセボ群3.3%)、無力症(7.8%vs. 5.5%)、食欲不振(6.1%vs. 0.5%)であった。 C型肝炎のフレアがみられた患者はいなかったが、中央検査室での結果、39例の患者(エベロリムス群29例、プラセボ群10例)でB型肝炎の再活性が認められた。全症例が無症候性であったが、エベロリムス投与群3例が治療を中止した。 なおサブグループ解析において、アジア人のエベロリムス群vs. プラセボ群のOSのHRは0.97(95%CI:0.61~1.52)であった。

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ネクサバール、分化型甲状腺がんに対する適応追加承認を取得

 2014 年6月20日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:カーステン・ブルン)は、抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤ネクサバール錠200mg(一般名:ソラフェニブトシル酸塩錠)について、厚生労働省より「根治切除不能な分化型甲状腺がん」に対する追加効能・効果の承認を取得したと発表。ネクサバールの効能効果は、根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、切除不能な肝細胞がんに次いで3つ目。  ネクサバールは、国際共同第III相試験(DECISION 試験)で、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんにおいてプラセボと比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した(プラセボ群 5.8ヵ月、ネクサバール群 10.8ヵ月、HR=0.59,95%CI:0.46~0.76、p

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医療裁判では、医師にどんな尋問が行われるのか? 医学部で模擬証人尋問を開催

 4月10日(木)、群馬大学医学部において、病棟実習が始まる同学部の5年生(約100名)を対象に「医療裁判の模擬証人尋問」が行われた。同大の医学教育の一環として、今回初めて開催されたもので、講師として医師資格をもつ3人の弁護士が指導にあたった。 始めに大磯 義一郎氏(浜松医科大学教授)が、今回取り上げる事案である「アルコール性肝硬変の患者が外来通院していたところ、肝細胞がんで死亡した」ケースについて、その概要説明と基本的な民事裁判の流れをレクチャーした。 講義では、ケースの内容について肝細胞がんの発生機序、疫学、検査、診断、標準的な治療法などの臨床的事項や訴訟に至るまでの経過、裁判開始から証人尋問までの裁判のプロセスを詳細に説明した。また、レクチャーの中では、ケースで問題となった点(例として、本人や家族への説明内容やカルテへの記載など)のほか、将来医学生が医師として臨床現場に出た場合、どのような訴訟リスクが想定されるのか(たとえばガイドライン推奨ではない治療の実施やカルテ不記載の責任など)といった、実践的な視点からも解説がなされた。 続いて、医師への模擬証人尋問となり、原告(患者)側代理人として富永 愛氏(富永愛法律事務所)が、被告(病院)の医師役として大磯氏が、被告(病院)側代理人として小島 崇宏氏(大阪A&M法律事務所)が、それぞれ役割を演じ、実際の医事裁判での証人尋問を再現した。 医師への証人尋問は、提出された証拠書面(カルテや陳述書など)に基づいて、原告側が被告側のさまざまな義務違反が今回の結果を招いたことを証明すべく、約1時間にわたり行われた。 今回のケースでの尋問内容は、「肝細胞がんの経過観察」「精密検査義務」「検査結果報告義務」についてであり、被告側がそれぞれの義務違反を行ったか、また行ったとすればその義務違反と患者死亡という結果に因果関係があったかが、尋問にて争われた。 尋問では、被告側代理人が事実の確認と前述の3つの義務違反の存在を払拭するような尋問を行うのに対し、原告側代理人は提出された証拠との食い違いや各義務違反の証明を導くような尋問を医師役に対して投げかけた。実際に医事裁判で医師にどのような内容の質問がなされるのか、と見守る医学生たちの緊張感漂う空気の中、真に迫ったやり取りが繰り広げられた。 証人尋問後には、聴講した医学生に自身が裁判官として判決を下す「判決シート」が配布された。これにより、模擬裁判を聴講して原告、被告どちらを勝訴とするか、そう考える理由が集計され、報告された。講師の講評の後に質疑応答となり、医学生からは「カルテに書いてはいけない内容はあるのか?」との質問に対して、「カルテには、診断の推論過程を除き、原則何でも書いたほうがよい。とくに患者さんやその家族への伝達は後々裁判になった場合、大切な経過証拠となる」などの具体的なアドバイスがなされ、模擬証人尋問を終えた。 同様のレクチャーは、今後も全国各地で医学生、医療機関で開催され、医師・医療従事者への訴訟リスクの教育・啓発が行われる。●ケアネットの医事裁判のコーナー MediLegal リスクマネジメント

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肝硬変患者の経過観察を十分に行わず肝細胞がんを発見できなかったケース

消化器最終判決判例タイムズ 783号180-190頁概要12年以上にわたって開業医のもとに通院し、糖尿病、肝硬変などの治療を受けていた55歳の男性。ここ1年近く、特段の訴えや所見もないために肝機能検査および腫瘍マーカーのチェックはしていなかった。ところが久しぶりに施行した肝機能検査・腫瘍マーカーが異常高値を示し、CT検査を受けたところ肝左葉全体を埋め尽くす肝細胞がんが発見された。急遽入院治療を受けたが、異常に気づいてから3ヵ月後に死亡した。詳細な経過患者情報55歳男性経過1973年 糖尿病にて総合病院に45日間入院。9月3日当該診療所初診。診断は糖尿病、肝不全。1982年5月26日全身倦怠感、体重減少(61→51kg)を主訴に総合病院外来受診。6月1日精査治療目的で入院となり、肝シンチ、腹部エコー、上部消化管造影、血液検査、尿検査などの結果、糖尿病、胆石症、肝硬変、慢性膵炎と診断された。7月10日肝臓の腹腔鏡検査を予定したが、度々無断外出したり、窃盗容疑で逮捕されるなどの問題があり、強制退院となった。9月6日診療所の通院を月1~4回の割合で再開。その間ほぼ継続してキシリトール(商品名:キシリット)、肝庇護薬グリチルリチン・グリシン・システイン(同:ケベラS)、ビタミン複合剤(同:ネオラミン3B)、ビタミンB12などの点滴とフルスルチアミン(同:アリナミンF)、血糖降下薬ゴンダフォン®、ビタミンB12(同:メチコバール、バンコミン)などの投薬を続ける。食事指導(お酒飲んだら命ないで)や生活指導を実施。ただし、肝細胞がんと診断されるまでのカルテには、検査指示および処方の記載のみで、診察内容(腹水の有無、肝臓触知の結果など)の記載はほとんどなく、1982年9月6日から1986年2月19日までの3年5ヵ月にわたって腹部超音波、腹部CT、肝シンチなどの検査は1回も実施せず。1982年~1984年肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)、AFP測定を不定期に行う。1984年9月4日AFP(-):異常高値となるまでの最終検査。1985年 高血糖(379-473)、貧血(Hb 10.5)がみられたが、特段治療せず。1986年2月15日γ-GTP 414と高値を示したため、肝細胞がんをはじめて疑う。2月19日1年5ヵ月ぶりで行ったAFP測定にて638と異常高値のため、総合病院にCT撮影を依頼。腹水があり、肝左葉はほぼ全体が肝細胞がんに置き変わっていた。門脈左枝から本幹に腫瘍血栓があり、予後は非常に不良であるとの所見であった。2月21日家族に対し、「肝細胞がんに罹患しており、長くもっても7ヵ月、早ければ3ヵ月の余命である」ことを告知し、同日以降、抗がん剤であるリフリール®やウロキナーゼを点滴で投与した。2月25日当該診療所を離れ総合病院に入院し、肝細胞がんの治療を受けた。5月17日肝硬変症を原因とする肝細胞がんにより死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張1.早期発見義務違反1982年9月6日から肝硬変の診断のもとに通院を再開し、肝細胞がん併発の危険性が大きかったのに、1986年2月まで長期間検査をしなかった2.説明義務違反1986年に手遅れとなるまで、肝臓の障害について説明せず、適切な治療を受ける機会を喪失させた3.全身状態管理義務違反1985年中の出血を疑わせる兆候や高血糖状態があったのに、これらを看過したこのような義務違反がなければ、死亡することはなかったか、仮に死を免れなかったとしても少なくとも5年間の延命の可能性があった。病院側(被告)の主張過重な仕事と不規則な生活を続け、入院勧告にも応じなかったことが問題である。1985年中に肝細胞がんを発見できたとしても、もはや切除は不可能であったから、死亡は不可避であった。裁判所の判断説明義務違反医師は肝硬変に罹患していたことを説明し、安静を指示していたことが認められるため、その違反はないとした。全身状態管理違反血糖値の変化は生活の乱れによる可能性も高く、必ずしも投薬によって対処しなければならない状況にあったか否かは明らかではないし、出血の点についても、肝硬変の悪化にどのような影響を与えたのか不明であるため、その違反があるとは認められない。早期発見義務肝硬変があり肝細胞がんに移行する可能性の高い症例では、平均的開業医として6ヵ月に1回程度は肝機能検査、AFP検査、腹部超音波検査を実施するべきであったのに、これを怠った早期発見義務違反がある。しかし、肝細胞がんが半年早く発見され、その時点でとりうる治療手段が講じられたとしても、生存可能期間は1~2年程度であったため、医師が検査を怠ったことと死亡との間には因果関係はない。つまり、検査義務違反がなく早期に肝細胞がんに対する治療が実施されていれば、実際の死期よりもさらに相当期間、生命を保持し得たものと推認することができるため、延命利益が侵害されたと判断された。1,000万円の請求に対し、240万円の支払命令考察今回のケースでは、12年以上にわたってある開業医のところへ定期的に通院していた患者さんが、必要な検査が行われず肝細胞がんの発見が遅れたために、「延命利益を侵害された」と判断されました。今までの裁判では、医師の注意義務違反と患者との死亡との因果関係があるような場合に損害賠償(医療過誤)として支払いが命じられていましたが、最近になって、死亡に対して明確に因果関係がないと判断されても、医師の注意義務違反が原因で延命が侵害されたことを理由として、慰謝料という形で医師に支払いを命じるケースが増加しています。本件でも、「平均的開業医」として当然行うべき種々の検査を実施しなかったことによって、肝細胞がんの発見が遅れたことは認めたものの、肝細胞がんという病気の性質上、根治は難しいと判断され、たとえきちんと検査を実施していても死亡は避けられなかったと判断しています。つまり、適切な時期に適切な検査を定期的に実施し、患者の容態を把握しているかという点が問題視されました。肝細胞がんは年々増加してきており、臓器別死亡数でみると男性で第3位、女性で第4位となっています。なかでも肝細胞がんの約93%が肝炎ウイルス(HCV抗体陽性、HBs抗原陽性)を成因としています。また、原発性肝がんの剖検例611例中、84%が肝硬変症を合併していたという報告もあり、肝硬変患者を外来で経過観察する時には、肝細胞がんの発症を常に念頭におきながら、診察、検査を進めなくてはいけません。消化器

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C型肝炎に対するIFN療法著効後に肝細胞がんを発症する患者の特徴とは

 インターフェロン(IFN)療法によりSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したC型慢性肝炎患者において、血清アルブミン低値およびαフェトプロテイン(AFP)高値は、5年以内の肝細胞がん(HCC)発症の独立因子であることが、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の佐藤 明氏らによる研究で明らかになった。著者らは「IFN療法後のHCC発症を早期に予防するために、これらの値について慎重な評価が必要である」としたうえで、「IFN治療後 10年以内のHCC発症は珍しいことではなく、リスク因子はいまだ不確定であるため、SVR達成後も長期的なフォローアップとHCCの検査を行うべきである」と述べている。Internal medicine誌2013年52巻24号の報告。 本研究の目的は、IFN療法によるSVR達成後に肝細胞がん(HCC)を発症したC型慢性肝炎患者の臨床的特徴を明らかにすることであった。 対象は、SVRを得た後に肝細胞がんを発症した、19施設の患者130例。その臨床的特徴をレトロスペクティブに検討した。 主な結果は以下のとおり。・全130例のうち、男性は107例(82%)であった。・92例(71%)が60歳以上であった。・IFN療法後にHCCを発症するまでの年数は、76例が5年以内、38例が5~10年、16例が10~16.9年であった。・IFN療法施行前に、92例(71%)が肝硬変と低血小板数(15×104cells/μL以下)の両方、またはどちらかを認めた。・多変量解析の結果、血清アルブミン低値(3.9g/dL以下)およびAFP高値(10ng/mL以上)は、IFN療法後5年以内のHCC発症の独立因子であることが同定された。・SVRを達成した4,542例のうち、5.5年間の追跡期間中にHCCを発症したのは109例(2.4%)であり、性別でみると男性4.6%、女性0.6%であった。

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2013年11月にC型肝炎治療ガイドラインが大幅改訂―新薬登場で

 2013年10月3日(木)、ヤンセンファーマ株式会社主催のC型慢性肝炎メディアセミナーが開催され、関西労災病院 病院長の林 紀夫氏より、C型慢性肝炎治療の変遷と最新治療について語られた。また、東京肝臓友の会 事務局長の米澤 敦子氏からは、患者が考えるC型肝炎治療の課題について語られた。 林氏は「11月に発売される新規DAAs(direct-acting antiviral agents:直接作用型抗ウイルス薬)シメプレビルの登場により、C型肝炎治療ガイドラインが大幅に改訂される。未治療例はもちろん、高齢者やインターフェロン(IFN)無効例、過去の治療で効果が十分に得られなかった例にも、有効性と安全性が高く、治療期間の短い新たな治療選択肢を提供できる」と述べた。 今後は、シメプレビルのほかにも現在開発中の新薬が続々と登場し、日本のC型肝炎治療に大きな変革がもたらされると考えられる。C型肝炎は肝がんの主な成因 日本における肝がんの死亡者数は、肺がん、胃がんに続いて3番目に多く、年間約3万人が肝がんにより死亡している(厚生労働省調べ)。C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%の患者が、慢性肝炎から肝硬変、そして肝細胞がんへ至る。日本肝臓学会の肝がん白書(1999)によると、日本における肝硬変・肝がん患者の79%がC型肝炎ウイルス陽性であるという。つまり、C型肝炎のウイルス排除を進めれば、肝がん患者の減少につながるといえる。これまでのC型肝炎治療 C型肝炎の治療はIFN 単独、IFN+リバビリン(RBV)、ペグインターフェロン(PEG-IFN)+RBVと進化を遂げてきたが、日本人に最も多い遺伝子型1b型にはIFNが効きにくく、PEG-IFN+RBV併用療法を48週行っても、初回治療の著効率は約50%であった。また、米澤氏は「治療期間が長期にわたるため、IFNの副作用である発熱や倦怠感、RBVによる貧血などにも長く悩まされ、治療を続けるために仕事をリタイアせざるを得ないなど、患者の人生を大きく左右させてしまう」という問題点を挙げた。テラプレビル3剤併用療法の問題点 2011年9月に承認されたPEG-IFNα-2b+RBV+テラプレビル(TVR)の3剤併用療法により、ウイルス陰性化率(SVR)が飛躍的に向上し、治療期間も従来の48週から24週に大幅短縮された。しかし、TVRは高い頻度で皮疹や貧血などの副作用を伴うことから、肝臓専門医や皮膚科専門医との連携ができる医療機関に使用が限定された。とくに、副作用が出やすい高齢者には使いにくく、治療を中断せざるを得ないなどの問題点があった。シメプレビルの登場 第2世代のプロテアーゼ阻害剤シメプレビルは、優先審査を経て2013年9月に日本で承認された。C型肝炎治療薬としては初めて、欧米に先駆けて承認された期待の薬剤で、2013年11月にも発売される見込みである(製品名:ソブリアードカプセル)。未治療の遺伝子型1のC型慢性肝炎患者を対象に行われた国内第3相試験(CONCERTO試験)においては、シメプレビル+PEG-IFNα-2a+RBVの3剤併用療法(24週)の投与終了後12週までの持続的ウイルス陰性化率(SVR)が88.6%にのぼった。投与終了後24週までのSVRも再燃例で89.8%、無効例で50.9%と、高い有効性が認められた。また、安全性もPEG-IFN+RBVの2剤併用療法と同等であった(第49回日本肝臓学会総会にて発表)。2013年11月、C型肝炎治療ガイドラインが大幅改訂 現在のC型肝炎治療ガイドラインにおいて、遺伝子型1における治療は原則として「TVR+PEG-IFN+RBV」または「PEG-IFN+RBV」とされているが、シメプレビルの登場により、2013年11月に改訂され、これらは「シメプレビル+PEG-IFN+RBV」に変更となる見込みである。1日1回の服用でTVRよりも有効性と安全性が高いシメプレビルが、今後のC型肝炎治療に大きな変革をもたらすと考えられる。今後も新薬が続々登場 現在、国内で開発されている新規DAAsとPEG-IFN+RBVの3剤併用療法は、シメプレビルのほかにもファルダプレビル、vaniprevir、daclatasvirがあり、いずれも遺伝子型1に対する有効性が80~90%と高く、副作用もTVRと比べて低いという。また、IFNフリー療法も開発されており、近い将来、IFNの副作用を懸念することなくさまざまな症例に使用することができるため、期待されている。現在開発中のレジメンは、asunaprevir+daclatasvir、deleobuvir+ファルダプレビル+RBV、sofosbuvir+RBV、ABT450+ABT267+リトナビルであり、いずれも第2、第3相試験中である。「ただし、IFNフリー療法は、IFNの抗ウイルス効果によって耐性株の増殖を抑制することができないため、裾野が広いからといってむやみに使うと耐性変異を起こす危険がある。将来の治療薬に対しての選択肢を奪うこともある」と林氏は注意を投げかけた。まとめ 今後、IFNを使わない新しい治療が登場するが、患者の高齢化と発がんリスクを鑑みると、将来の治療のために待機せず、まずは専門医が遺伝子検査などでしっかりと治療方針を決定したうえで「今ある最新かつベストな治療」を行うべきである。また、IFNフリー療法という選択肢が増えても、IFNはすでにDAAsへの耐性を持つ症例の治療効果も高めることができるため、重要な薬剤であることに変わりはないと考えられる。シメプレビル登場に始まるC型肝炎治療の進化により、肝がんで命を落とす患者が減ることが期待される。

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医療法学的視点から見た診療ガイドラインを考える

 9月14日(土)、東京大学医学部(本郷キャンパス)において第4回医療法学シンポジウムが開催され、全国より医師、医療従事者をはじめ約60名が参加した。 今回はテーマに「医療法学的視点から見た診療ガイドライン」を掲げ、診療ガイドラインの医事裁判での引用や使われ方、裁判官の判断に与える影響などについて識者からのレクチャーとパネルディスカッションが行われた。■診療ガイドラインの目的は「医療の均てん化と医療者の教育」 診療ガイドラインは、多種存在しているが、一般的には「医療者と患者が特定の臨床状況で適切な決断を下せるよう支援する目的で、体系的な方法に則って作成された文書」のことであり、その多くの目的は医療の均てん化と医療者の教育である。医師には、診療ガイドラインの内容に沿いつつも、診療では広範な裁量も尊重されており、患者の意向を考慮して個々の患者に最も妥当な治療法を選択することが望ましいとされていることは、医療者には周知の事実である。 しかしながら、ひとたび医療事故が起こり、裁判となった場合、診療ガイドラインがあたかも標準診療の基準のように取り扱われ、ガイドラインから外れた診療がなされた場合、医療者側の診療裁量権よりも、ガイドラインが尊重され、医療機関側に責任を負担させる、という不幸な事態が散見されている。 こうした現実が司法のどのような理論からきているのか、医療者がとり得るべき対応はないのかを今回のシンポジウムで明らかにすることを目的に開催された。■医療と司法の相互理解 最初に慶應義塾大学の古川 俊治氏(医師、弁護士)が、シンポジウムの目的を「医療と司法の相互理解を目指すこと」と述べ、5名の演者によるレクチャーが行われた。 富永愛法律事務所の富永 愛氏(医師、弁護士)は、「医療法学的視点からみた診療ガイドラインの在り方」と題し、がんの中でも特に訴訟が目立つ肝細胞がん、乳がんの裁判を例に「裁判では裁判官は必ずといっていいほど、判断の基準にガイドラインや薬の添付文書に目を通し、ケースによっては判決文で引用するほど訴訟での使用は日常化している。しかし、裁判官は、一律ガイドラインだけで判断しているわけではなくガイドラインを用いる際でも目的意識を持って作成されたものは、その目的趣旨までさかのぼって判断をしている。今後はガイドライン作成時にはその目的や使用対象者を意識して作成する必要がある」と説明した。 東京大学の山田 奈美恵氏(医師)は、医師の立場から「医療者から見た診療ガイドライン」として『肝癌診療ガイドライン』と『乳癌診療ガイドライン』を例に、これら診療ガイドラインの作成過程、臨床現場での使用の実際、その問題点を説明した。最近、医師の診療ガイドラインへの意識は、(訴訟を見据えて)変化しつつあること、診療ガイドラインが抱えるエビデンスレベルに差異があること、研修医などが個別の医学的考察の前に診療ガイドラインを過度に重視することもあることなどの問題点が医師の視点より報告された。 井上法律事務所の山崎 祥光氏(弁護士、医師)は、「ガイドラインの証拠としての扱い」と題し、医事裁判でのガイドラインの証拠能力について説明を行った。裁判官が診療ガイドラインを重視する理由として、医療水準の認定の難しさや、外からみると診療ガイドラインが何らかの「ルール」にみえることが挙げられ、この点につき医療者の考えは司法(裁判官)に十分理解されていないと説明された。今後も、診療ガイドラインが裁判などで使用されることが避けられない以上、診療ガイドラインに、その目的や対象、推奨の強さ、医師の裁量の幅などの前提部分を明確に記載することが重要であると述べた。 浜松医科大学の大磯 義一郎氏(医師、弁護士)は、「医療法学的視点から見た診療ガイドラインのあり方」と題して、(医療側に不利なケースが多い類型の)裁判での診療ガイドラインの使われ方とその判決の状況を説明した。これらを踏まえたうえで医療と司法の診療ガイドラインに対する相互理解を促進するために、司法に誤解され得る表記は避け、前文で医師の裁量権についての記載を行うことや例外事由の列挙を具体的にすること、適切なバージョンアップを行うことなど司法の側にも正しく理解できるようなガイドライン作りの提案を行った。 北浜法律事務所の小島 崇宏氏(医師、弁護士)は、「医療法学的視点から見たより良い診療ガイドラインの提示」として、自身の医事裁判の経験から裁判官は、自身の考える妥当な結論を念頭に、事実認定を試みるという思考パターンであること、そのため診療ガイドラインが時には医師の主張を覆すための証拠として用いられているのが現状であること、したがって、この点を踏まえた診療ガイドライン作りが求められることを説明した。また、医事裁判では、エビデンス不足や記載の曖昧さが裁判の結果を左右するとして、診療ガイドラインの内容について例えばグレードの低いものはその点をわかりやすく記載することや推奨度の高いものでも原則と例外を分けて記載することなど、丁寧な記載が必要と提案を行った。■シンポジウム 医事裁判で問題になる「説明と同意」 大磯義一郎氏の司会の下、再度演者が登壇し、医事裁判での診療ガイドラインの地位や診療ガイドライン以外の審理の際の判断の仕方(例えば鑑定として第三者の立場で医師が呼ばれて証言する)などの現状が伝えられた。また、最近では診療ガイドラインの普及の影響なのか和解で終結するケースの報告が多いことなどがレポートされるとともに、問題点として個々の医療ケースを考えない画一的な診療ガイドラインの当てはめ(例えば大都市の病院と離島の診療所も適用は同じだと考えている)など、裁判での問題も多いことが報告された。特に提案として、診療ガイドラインから外れる診療については、きちんと事前に患者、患者家族に説明し、同意を得ておくことや、診療録への記載が大切であり、紛争化を防ぐためにも十分に行ってもらいたいとアドバイスがなされた。 その他、医事裁判全体については、日常のカルテの記載不足、誤記載や管理不備も問題であり、特に注意が必要である。裁判に発展し、敗訴するケースではこうした点に不備がみられる場合が多いなども報告された。 今後も診療ガイドラインは、医療の発展のためにも必要であり作成されるべきであるが、裁判に使用されかつ重視されることも避けがたい事実であり、「司法にも正しく理解されるかたちに作成する」「医療者も司法の側に普段から説明を行う」などの相互理解が必要であるとシンポジウムを締めくくった。 最後に公益財団法人がん研究会の土屋了介氏(医師)が、閉会の挨拶を述べ、終了した。

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第18回 手技よりも術後管理のミスに力点をおく裁判所

■今回のテーマのポイント1.消化器疾患の訴訟では、大腸がんが2番目に多い疾患であり、縫合不全の事例が最も多く争われている2.裁判所は、縫合不全について手技上の過失を認めることには、慎重である3.その一方で、術後管理の不備については、厳しく判断しようとしているので注意が必要である事件の概要患者X(49歳)は、平成14年11月、健康診断にて大腸ポリープを指摘されたことから、近医を受診したところ、大腸腫瘍(S状結腸)および胆嚢結石と診断されました。Xは、平成15年5月9日、腹腔鏡下胆嚢摘出術および大腸腫瘍摘出術目的にてY病院に入院しました。同月12日、まず腹腔鏡下で胆嚢を摘出し、ペンローズドレーンを留置し、創縫合を行った後、左下腹部を切開し、S状結腸を摘出して、Gambee縫合にて結腸の吻合を行い、ペンローズドレーンを留置しました。術後3日間は順調に経過しましたが、術後4日目の16日に食事を開始したところ、夜より発熱(39.1度)を認め、翌日の採血では白血球数、CRP値の上昇が認められました。しかし、ドレーンからの排液は漿液性であり、腹痛も吻合部とは逆の右腹部であったことから、絶食の上、抗菌薬投与にて保存的に経過を追うこととなりました。ところが、23日になってもXの発熱、白血球増多、CRP値の上昇は改善せず、腹部CT上、腹腔内膿瘍が疑われたことから、縫合不全を考え再手術が行われることとなりました。開腹した結果、結腸の吻合分前壁に2ヵ所の小穴が認められたことから、縫合不全による腹膜炎と診断されました。Xは、人工肛門を設置され、10月7日にY病院を退院し、その後、同年11月20日に人工肛門閉鎖・再建術のため入院加療することとなりました。これに対し、Xは、不適切な手技により縫合不全となったこと、および、術後の管理に不備があったことを理由に、Y病院に対し、約2億2100万円の損害賠償を請求しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者X(49歳)は、平成14年11月、健康診断にて大腸ポリープを指摘されたことから、近医を受診したところ、大腸腫瘍(S状結腸)および胆嚢結石と診断されました。Xは、平成15年5月9日、腹腔鏡下胆嚢摘出術および大腸腫瘍摘出術目的にてY病院に入院しました。なお、Xは1日40本の喫煙をしており、本件手術前に医師より禁煙を指示されましたが、それに従わず喫煙を続けていました。同月12日、A、B、C、D4名の医師により手術が行われました。まず、最もベテランのA医師が腹腔鏡下で胆嚢を摘出し、ペンローズドレーンを留置し、創縫合を行った後、最も若いC医師が左下腹部を切開し、S状結腸を摘出して、Gambee縫合にて結腸の吻合を行い、ペンローズドレーンを留置しました。本件手術に要した時間は、3時間13分でした。術後3日間は順調に経過しましたが、術後4日目の16日に食事を開始したところ、夜より発熱(39.1度)を認め、翌日の採血では白血球数、CRP値の上昇が認められました。しかし、ドレーンからの排液は漿液性であり、腹痛も吻合部とは逆の右腹部であったこと、16日午後3時頃、Xが陰部の疼痛、排尿時痛、および排尿困難を訴えたことからバルーンカテーテルによる尿道損傷、前立腺炎の可能性も考えられたため、絶食の上、抗菌薬投与にて保存的に経過を追うこととなりました。18日には、ドレーン抜去部のガーゼに膿が付着していたことから、腹部CT検査を行ったところ、「直腸膀胱窩から右傍結腸溝にかけて被包化された滲出液を認め、辺縁は淡く濃染し、内部に一部空胞陰影を認めます。腹腔内膿瘍が疑われます。周囲脂肪織の炎症性変化は目立ちません。腹壁下に空胞陰影と内部に滲出液がみられ、術後変化と思われます。腹水、有意なリンパ節腫大は指摘できません」との所見が得られました。縫合不全の可能性は否定できないものの、滲出液が吻合部の左腹部ではなく右腹部にあること、腹痛も左腹部ではなく右腹部であったことから、急性虫垂炎をはじめとする炎症性腸疾患をも疑って治療をするのが相当であると判断し、抗菌薬を変更の上、なお保存的治療が選択されました。ところが、23日になってもXの発熱、白血球増多、CRP値の上昇は改善せず、腹部CT上、腹腔内膿瘍が疑われたことから、縫合不全を考え再手術が行われることとなりました。開腹した結果、結腸の吻合分前壁に2ヵ所の小穴が認められたことから、縫合不全による腹膜炎と診断されました。Xは、人工肛門を設置され、10月7日にY病院を退院し、その後、同年11月20日に人工肛門閉鎖・再建術のため入院加療することとなりました。事件の判決上記認定事実によれば、本件手術におけるS状結腸摘出後の吻合部位において縫合不全が発生したことが認められる。もっとも、上記認定のとおり、吻合手技は縫合不全の発生原因となりうるが、それ以外にも縫合不全の発生原因となるものがあるから、縫合不全が起こったことをもって、直ちに吻合手技に過失があったということはできない。そして、上記認定のとおり、縫合不全を防ぐためには、縫合に際し、適式な術式を選択し、縫合が細かすぎたり結紮が強すぎたりして血行を悪くしないこと、吻合部に緊張をかけないことが必要であるとされていることを考慮すると、債務不履行に該当する吻合手技上の過誤があるというためには、選択した術式が誤りであるとか、縫合が細かすぎた、あるいは結紮が強すぎた、もしくは縫合部に対し過度の緊張を与えたと認められる場合に限られると解するのが相当である。・・・・・・・(中略)・・・・・・・原告らは、C医師は経験の浅い医師であったから縫合不全は縫合手技に起因すると考えられると主張する。B医師のGambee縫合の経験数は不明であるが、上記認定のとおり、本件手術にはD医師が助手として立ち会っているところ、B医師はC医師の先輩であり、被告病院において年間200例程度行われる大腸の手術に関与しているのであるから、C医師の吻合手技に、縫合が細かすぎた、あるいは結紮が強すぎた、もしくは縫合部に対し過度の緊張を与えたといった問題があったにもかかわらず、B医師がそのまま手術を終了させるとは考え難い。また、上記認定のとおり、手術後3日以内に発生した縫合不全については縫合の不備が疑われて再手術が検討されるところ、上記前提事実のとおり、本件手術後3日目である平成15年5月15日までの間に特に異常は窺えなかったところである。これらを考慮すると、原告ら主張の事情をもって吻合技術に問題があったと推認することはできないというべきである。以上のとおり、本件手術は、縫合不全が発生しやすい大腸(S状結腸)を対象とするものであったこと、原告は喫煙者であり、縫合不全の危険因子がないとはいえず、縫合手技以外の原因により縫合不全が発生した可能性が十分あること、C医師による吻合の方法が不適切であったことを裏付ける具体的な事情や証拠はないことを考慮すると、原告に生じた縫合不全がC医師の不適切な吻合操作によるものであると認めることはできないというべきである。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(名古屋地判平成20年2月21日)ポイント解説今回は、各論の2回目として、消化器疾患を紹介します。消化器疾患で最も訴訟が多い疾患は、第15回で紹介した肝細胞がんです。そして、2番目に多いのが、今回紹介する大腸がんです。大腸がんの訴訟において、最も多く争われるのが縫合不全(表)です。ご存じのとおり、縫合不全は、代表的な手術合併症であり、手術を行う限り一定の確率で不可避的に発生します。しかし、非医療者からみると、医療行為によって生じていることは明らかであり、かつ、縫合という素人目には簡単に思える行為であることから訴訟となりやすい類型となっています。しかし、最近の裁判所は、合併症に対する理解が進んできており、本判決のように、単に縫合不全があったことのみをもって過失があるとするような判断はせず、「縫合が細かすぎた、あるいは結紮が強すぎた、もしくは縫合部に対し過度の緊張を与えた」などの具体的な縫合手技に著しく問題があった場合にのみ、手技上の過失があるとしています(表に示した判例においても、手技上の過失を認めた判例は一つもありません)。したがって、現在、手術ビデオなどで手技上の欠陥が一見して明白であるような場合を除き、訴訟において縫合不全が手技ミスによって生じたとする主張が争点となることは少なくなってきています。その代わりといってはなんですが、術後の管理については、厳しく争われる傾向にあります。本事案でも、17日に発熱、白血球増多、CRP値が上昇した際、および18日に腹部CTをとった際に速やかに縫合不全と診断して、ドレーン排液の細菌培養および外科的ドレナージを行うべきであったとして争われました(本件においては術後管理の過失は認められませんでしたが、〔表〕の原告勝訴事例のすべてで術後管理の不備が認められています)。医療行為は行為として不完全性を有します。そして、医療は日々進歩していきます。医学・医療の進歩は、医療者が個々に経験した症例を学会・論文などを介して集約化、情報共有し、それを再検討することで生まれます。しかし、医療行為によって生じた不利益な結果が過失として訴訟の対象(日本では刑事訴追の対象にもなるため萎縮効果が特に強い)となると、医師は恐ろしくて発表することができなくなります。実際に、1999年以降、わが国における合併症に関する症例報告は急速に減少しました。目の前の患者の救済は十分に考えられるべきですが、その過失判断を厳格にすることで達成することは、医学・医療の進歩を阻害し、その結果、多数の国民・患者の適切な治療機会を奪うこととなります。司法と医療の相互理解を深め、典型的な合併症については裁判による責任追及ではなく、医学・医療の進歩にゆだねることが望ましいと考えます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。名古屋地判平成20年2月21日

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第15回 診療ガイドライン その1:ガイドラインから外れた医療行為は違法か!?

■今回のテーマのポイント1.ガイドラインに反する診療は、紛争化のリスクを上げることから注意する必要がある2.裁判所はおおむねガイドラインに沿った判断をする3.ガイドラインに反する診療であっても、直ちに違法とはならないが、少なくとも「相応の医学的根拠」は必要である事件の概要患者X(死亡時79歳)は、昭和43年より糖尿病にてY病院糖尿病代謝科(主治医A医師)に外来通院していました。平成12年に上部内視鏡検査を行ったところ、食道静脈瘤が認められたことから精査した結果、HBV、HCV感染は認められないものの、初期の肝硬変と診断されました。その後、A医師は、外来で定期的に採血にて肝機能及び血小板数を測定していましたが、いずれも正常範囲内で推移しており、上部内視鏡検査上も食道静脈瘤に著変なく、経過観察をしていました。しかし、A医師は、その間、腫瘍マーカーの測定及び腹部超音波検査、CTなどの画像検査は行っていませんでした。Xは、平成18年8月7日21時頃、自宅トイレで倒れ、意識レベルが低下していたことからY病院に入院しました。その際、撮影した胸部CTにて肝臓に腫瘍性病変が認められたことから精査したところ、多発性肝細胞がんと診断され、同年10月23日に死亡しました。これに対し、Xの遺族は、肝硬変があったXに対し、肝細胞がん発見を目的とした検査を長期にわたり行わなかったとして、Y病院に対し、2,350万円の損害賠償を請求しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者X(死亡時79歳)は、糖尿病にてY病院糖尿病代謝科(主治医A医師)に外来通院していました。昭和61年12月に採血検査にて肝機能障害が認められたことから腹部超音波検査を行ったところ、慢性肝疾患及び脂肪肝の疑いと診断されました。平成12年7月に、糖尿病代謝科入院中に上部内視鏡検査を行ったところ、食道静脈瘤が認められたことから精査した結果、HBV、HCV感染は認められないものの、初期の肝硬変と診断されました。その後、A医師は、外来で定期的に採血にて肝機能及び血小板数を測定していましたが、いずれも正常範囲内で推移しており、上部内視鏡検査上も食道静脈瘤に著変なく経過観察をしていました。しかし、A医師は、その間、腫瘍マーカーの測定及び腹部超音波検査、CTなどの画像検査は行っていませんでした。Xは、平成18年8月7日21時頃、心不全のため自宅トイレで倒れ、意識レベルが低下していたことからY病院に入院しました。その際、撮影した胸部CTにて肝臓に腫瘍性病変が認められたことから精査したところ、AFP 30ng/mL、PIVKA-Ⅱ 7,000mAU/mL以上であり、多発性肝細胞がんと診断されました。Xは高齢であり、全身状態も悪かったため、積極的な治療は行われず、同年10月23日に死亡しました。事件の判決診療ガイドラインは、その時点における標準的な知見を集約したものであるから、それに沿うことによって当該治療方法が合理的であると評価される場合が多くなるのはもとより当然である。もっとも、診療ガイドラインはあらゆる症例に適応する絶対的なものとまではいえないから、個々の患者の具体的症状が診療ガイドラインにおいて前提とされる症状と必ずしも一致しないような場合や、患者固有の特殊事情がある場合において、相応の医学的根拠に基づいて個々の患者の状態に応じた治療方法を選択した場合には、それが診療ガイドラインと異なる治療方法であったとしても、直ちに医療機関に期待される合理的行動を逸脱したとは評価できない。そして、上記認定のとおり肝癌診療ガイドラインにおいてサーベイランス(*肝細胞癌早期発見のための定期的な検査(筆者注))の至適間隔に関する明確なエビデンスはないとされており、推奨の強さはグレードC1(行うことを考慮してもよいが十分な科学的根拠がない)と位置づけられていることからすれば、サーベイランスの間隔については一義的に標準化されているとまでは認めがたいのであるから、上記間隔については医師の裁量が認められる余地は相対的に大きくなるものと解される。・・・・・・・(中略)・・・・・・・そこで、被告医師がどの程度の間隔でサーベイランスを行うべきであったかを検討するに、上記認定のとおり肝癌診療ガイドラインにおいて非ウイルス性の肝硬変は肝細胞癌の高危険群とされ、6か月に一回の超音波検査及び腫瘍マーカーの測定が推奨されている。そして、上記認定説示したとおりXの肝硬変は発癌リスクが否定されるものではなかったことに加え、上記で認定のとおり肝硬変の前段階とされる慢性肝炎であっても発癌リスクが相当程度認められることからすれば、Xの肝硬変が初期のものであったとしても、被告A医師がXに対して肝硬変と診断してから一度も超音波検査等を実施しなかったことが相応の医学的根拠に基づくものとは評価しがたい。なお、後記で認定説示した本件での検査結果から、被告A医師においてXの肝硬変がさほど進行していなかったと判断すること自体は不合理であるとはいえない。したがって、これらの検査結果を根拠として、肝癌診療ガイドラインとは異なるサーベイランスを実施していたとしても、上記で説示したとおりサーベイランスの間隔について医師の裁量を認める余地があることを併せ考慮すれば、直ちに不合理であると断定することができないとの見方もあり得ないではない。しかしながら、本件においては、そもそもサーベイランスそれ自体が全く実施されていないことに加え、被告医師において肝癌診療ガイドラインとは異なるサーベイランスを実施することが相当であるとした場合には具体的なサーベイランスの間隔及び方法をどのようなものにするのが妥当であったかという点や、それを裏付ける医学的根拠はどのようなものかという点について何ら被告における主張立証がない。以上の検討によれば、上記で説示したように医療行為において医師の裁量を尊重する必要があること及び肝癌診療ガイドラインが絶対的な基準ではないことを考慮してもなお、被告は、Xに対し、肝癌発見を目的として6か月間隔で腫瘍マーカー及び超音波検査を実施し、腫瘍マーカーの上昇や結節性病変が疑われた場合には造影CT検査等を実施すべきであったというべきである。(* 判決文中、下線は筆者による加筆)(仙台地判平成22年6月30日)ポイント解説今回は、ガイドラインについて解説いたします。ガイドラインは、添付文書同様、裁判所が個別具体的な事例における「医療水準」を判断するにあたり用いられる文書であり、特に、作成当時の多数の専門家間における合意事項が文書化されていることから、訴訟においては重視される傾向があり、民事医療訴訟において重要な文書であるといえます。ただ、ガイドラインは法的に作成が義務付けられた文書ではないこともあり、第12回で紹介した添付文書のように、「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである」(最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁)といった過失の推定効は認められていません。しかし、患者・家族が弁護士に相談した際に、弁護士が当該診療が適切か否か、すなわち事件を受任して裁判をするか否かを判断するにあたり、必ず参照する文書でもあることから、ガイドラインは紛争化するか否かを決定する上でも非常に重要な文書であるといえます。■ガイドラインに対する裁判所の傾向それでは、裁判所のガイドラインに対する姿勢はどのようなものかみてみましょう。本事例のような肝硬変の患者に対しては、肝細胞がんの早期発見のため定期的に腫瘍マーカーや腹部超音波検査等によるサーベイランスを行う必要があると考えられています。したがって、肝硬変の患者に対して、適切な検査を行わなかった結果、肝細胞がんの発見が遅れ、死亡してしまった場合には、医療過誤として訴えられることとなります。そして、このサーベイランスの方法や間隔については、平成11年に作成された「日本医師会生涯教育シリーズ 肝疾患診療マニュアル」と平成17年に第1版が作成された「肝癌診療ガイドライン」(平成21年改訂)の2つのガイドラインがあります。これらのガイドライン作成後に患者が死亡し、肝細胞がんに対するサーベイランスを争点として争われた判決は、民間判例データベースから検索すると6つあります(表1)。画像を拡大する表1をご覧いただけれるとわかるように、サーベイランスに関する判決では、ほとんどが原告勝訴となっています。一般に民事医療訴訟の原告勝訴率が20~40%であることを考えると、その差は明らかといえます。なお、唯一、原告が敗訴している(4)の事例は、患者の受診コンプライアンスが悪く、適切なフォローが困難であった事例であり、それでも、おおむね年2回程度は検査が行われていたことから、このような判断となっています。それではこれらの訴訟において、ガイドラインはどのように使われていたのでしょうか。表2にそれぞれの判決において、裁判所が示した適切なサーベイランス頻度を示します。画像を拡大するそして、平成11年に作成された「日本医師会生涯教育シリーズ 肝疾患診療マニュアル」においては、「肝硬変を超高危険群、ウイルス性の慢性肝炎及び非肝硬変のアルコール性肝障害を高危険群、その他の肝障害を危険群と設定し、これらの患者に対して、それぞれ定期的に諸検査を行うよう指針を定めています。同指針は、超高危険群患者に対しては、AFP検査を月に1回、腹部超音波検査を2、3か月に1回、腹部CT検査を6か月に1回、高危険群患者に対しては、AFP検査を2、3か月に1回、腹部超音波検査を4ないし6か月に1回、腹部CT検査を6か月ないし1年に1回並びに危険群に対しては、AFP検査を6か月に1回、腹部超音波検査及び腹部CT検査を1年に1回行う」と記載されています。また、平成17年に作成された「肝癌診療ガイドライン」においては、「一つの案として、超高危険群に対しては、3~4カ月に 1 回の超音波検査、高危険群に対しては、6カ月に 1回の超音波検査を行うことを提案する。腫瘍マーカー検査については、AFP およびPIVKA-Ⅱを超高危険群では 3~4カ月に 1回、高危険群では 6カ月に 1回の測定を推奨する」と記載されています。表2と比較していただければわかるように、(2)と原告敗訴となった(4)を除いた判決においては、裁判所は、判決文中にガイドラインを引用した上で、ガイドラインに沿った判断をしています。このようにしてみると、ガイドラインに違反した結果、患者に損害が生じた場合には、紛争化しやすいと同時に、裁判においても、ガイドラインに沿った判断がなされやすいということがいえます。■ガイドラインは「不磨の大典」ではないこのようなガイドラインに対する裁判所の傾向をみると、皆さんは違和感を覚えるでしょうし、批判もあるかと思います。ただ、添付文書の時にも説明しましたが、現在の裁判所は、添付文書やガイドラインを不磨の大典としてとらえているわけではありません。本判決においても、「もっとも、診療ガイドラインはあらゆる症例に適応する絶対的なものとまではいえないから、個々の患者の具体的症状が診療ガイドラインにおいて前提とされる症状と必ずしも一致しないような場合や、患者固有の特殊事情がある場合において、相応の医学的根拠に基づいて個々の患者の状態に応じた治療方法を選択した場合には、それが診療ガイドラインと異なる治療方法であったとしても、直ちに医療機関に期待される合理的行動を逸脱したとは評価できない。そして、上記認定のとおり肝癌診療ガイドラインにおいてサーベイランスの至適間隔に関する明確なエビデンスはないとされており、推奨の強さはグレードC1(行うことを考慮してもよいが十分な科学的根拠がない)と位置づけられていることからすれば、サーベイランスの間隔については一義的に標準化されているとまでは認めがたいのであるから、上記間隔については医師の裁量が認められる余地は相対的に大きくなるものと解される」と判示されているように、杓子定規に判断するのではなく一定程度の裁量の幅(グレーゾーン)が認められていると考えられます。ただ、その場合においても、「相応の医学的根拠」は必要であり、肝細胞がんのサーベイランスにおいては、単に「気が付いたらずいぶん期間が開いてしまった」ということでは許されませんので、注意する必要があります。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)仙台地判平成22年6月30日最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁

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インターフェロン治療SVR達成の慢性C型肝炎患者は全死因死亡が有意に低下/JAMA

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症・進行性肝線維症患者の全死因死亡率について、インターフェロン治療により持続的ウイルス学的著効(SVR)がみられる人では有意な低下がみられたことが、オランダ・エラスムス大学のAdriaan J. van der Meer氏らによる評価の結果、明らかにされた。JAMA誌2012年12月26日号掲載より。530例を中央値8.4年追跡、全死因死亡率などを評価 研究グループは、慢性HCV・進行性肝線維症患者におけるSVRと全死因死亡率との関連を評価することを目的に、国際多施設長期フォローアップ研究を行った。 被験者は、ヨーロッパおよびカナダの5つの病院から登録された慢性HCV患者530例で、1990~2003年の間にインターフェロンをベースとした治療を開始し、肝線維症または肝硬変症の進行(Ishakスコア4~6)について組織学的検査に基づき追跡された。 フォローアップは、2010年1月~2011年10月にわたって行われ、全死因死亡率を主要評価項目に、また肝不全、肝細胞がん(HCC)、肝臓関連の死亡または肝移植を副次評価項目として評価が行われた。 530例の被験者の追跡期間中央値は8.4年(IQR:6.4~11.4)だった。ベースラインでの年齢中央値は48歳(同:42~56)で、369例(70%)が男性だった。 肝線維症のIshakスコアは、143例(27%)が4、101例(19%)が5、6は286例(54%)だった。SVR達成・非達成で、10年累積全死因死亡、肝細胞がん、移植などに有意な差 SVRを達成したのは192例(36%)だった。 死亡したのは、SVR患者13例、非SVR患者100例で、10年累積全死因死亡率はSVR患者8.9%[95%信頼区間(CI):3.3~14.5]、非SVR患者26.0%(同:20.2~28.4)で有意な差がみられた(p<0.001)。 時間依存的多変量Cox回帰分析の結果、SVRと全死因死亡低下との有意な関連が認められた[ハザード比(HR):0.26、95%CI:0.14~0.49、p<0.001]。また、肝関連死亡または肝移植の有意な低下(SVR患者3例、非SVR患者103例)も認められた(HR:0.06、95%CI:0.02~0.19、p<0.001)。10年累積肝関連死亡-肝移植発生率は、SVR患者1.9%(95%CI:0.0~4.1)、非SVR患者27.4%(同:22.0~32.8)だった(p<0.001)。 HCCを発症したのはSVR患者7例、非SVR患者76例だった。10年累積発生率はSVR患者5.1%(95%CI:1.3~8.9)、非SVR患者21.8%(同:16.6~27.0)で有意な差が認められた(p<0.001)。 肝不全の発症は、SVR患者4例、非SVR患者111例だった。10年累積発生率はSVR患者2.1%(95%CI:0.0~4.5)、非SVR患者29.9%(同:24.3~35.5)で有意な差が認められた(p<0.001)。

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HIVとHCV重複感染者、肝線維化進むほど肝細胞がんや死亡リスク増大

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染者では、肝線維化が進んでいるほど末期肝疾患・肝細胞がん・死亡の複合リスクが増大することが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のBerkeley N. Limketkai氏らが、600人超の患者について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。638人を中央値5.8年追跡研究グループは、HIVとHCVの重複感染者で、ジョンズ・ホプキンスHIVクリニックで診察を受けている638人(黒人80%、男性66%)について、1993年7月~2011年8月まで、前向きに追跡した。追跡期間中央値は5.82年(四分位範囲:3.42~8.85)だった。肝線維化ステージについては、METAVIRスコアシステムで評価した。主要アウトカムは、末期肝疾患、肝細胞がんまたは死亡の複合アウトカム発生率だった。結果、試験開始時の肝線維化ステージが高いほど主要アウトカム発生率も増加することが示された。主要アウトカム発生率は1,000人・年当たり、肝線維化ステージF0の人は23.63、F1では36.33、F2は53.40、F3は56.14、F4は79.43だった(p

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肝細胞がん治療剤「ミリプラ」1月発売

大日本住友製薬株式会社は12月21日、肝細胞がん治療剤「ミリプラ動注用70mg」(一般名:ミリプラチン水和物)を、2010年1月20日付で発売すると発表した。同剤専用の懸濁用液として「ミリプラ用懸濁用液4mL」(一般名:ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)も同時に発売するとのこと。「ミリプラ動注用70mg」は、「ミリプラ用懸濁用液4mL」に懸濁して肝動脈内に投与する。ミリプラは、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルへの懸濁性に優れている。また、肝動脈内投与後は腫瘍局所に滞留し、長期間に渡って白金成分が徐放され、全身への曝露は少ないという。同社の臨床試験では、再発率の高い肝細胞癌において、初回治療だけでなく、肝切除等の他の治療後に再発した患者に対しても良好な抗腫瘍効果を示したとのこと。また、本治療法で知られている一般的な副作用が認められたが、本治療法に精通した施設においては忍容可能なものであったという。本剤投与による肝動脈の血管障害の報告もなかったとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20091215.pdf

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サーモドックス グローバル第III相臨床試験にて日本登録患者に投薬開始

株式会社ヤクルト本社は28日、セルシオンコーポレーション(以下セルシオン)および同社は、原発性肝がんで最も一般的な肝細胞がん(HCC)を対象にした、セルシオンのグローバル第III相臨床試験であるThermoDox(サーモドックス)のHEAT試験において、日本での最初の患者が登録され、投与が開始したと27日(米国時間)付けで発表したと報告した。ThermoDoxグローバル第III相HCC臨床試験は、高周波アブレーション(RFA)併用群とRFA単独群との比較で、ThermoDoxの安全性および有効性を評価することを目的としている。同試験では、日本、中国、マレーシア、タイ、フィリピン、香港、韓国、台湾、イタリア、米国およびカナダにおいて、最大600人の登録を予定している。セルシオンは、2009年末までに、60の臨床施設を始動させ、2010年の上半期中に患者登録を完了させる予定だという。詳細はプレスリリースへhttp://www.yakult.co.jp/cgi-bin/newsrel/prog/news.cgi?coview+00433

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