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ビフィズス菌で不安症状が改善

 最近の研究では、ストレス関連精神疾患に常在菌の摂取が好影響を与える可能性があることが示唆されている。しかし、特定の細菌が不安や抑うつ症状にどのような影響を及ぼすかは不明であった。アイルランド・コーク大学のH M Savignac氏らは、2種類のビフィズス菌の不安・抑うつ症状に対する影響や抗うつ薬との比較を行った。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版2014年9月24日号の報告。 先天的不安BALB/cマウスに、ビフィドバクテリウム(B.)ロンガム1714またはB.ブレーベ1205、抗うつ薬エスシタロプラム、溶媒を用いた治療を毎日6週間実施した。行動評価には、ストレス誘発性高体温試験、ガラス玉覆い隠し行動試験、高架式十字迷路試験、オープンフィールド試験、尾懸垂試験、強制水泳試験を用いた。また、急性ストレスに対する生理的反応も評価した。 主な結果は以下のとおり。・両ビフィズス菌治療およびエスシタロプラム治療は、ガラス玉覆い隠し行動試験において不安の軽減が認められた。また一方、B.ロンガム1714治療は、ストレス誘発性高体温を低下させた。・B.ブレーベ1205治療は、高架式十字迷路試験において不安の低下をもたらした。一方、B.ロンガム1714治療は、尾懸垂試験において抗うつ様行動を引き起こした。・しかし、グループ間のコルチコステロンレベルに差はなかった。 以上より、2種類のビフィズス菌が不安マウスの不安を減少させることが示唆された。これらの結果は、各細菌株が内因性の効果を有すること、特定の障害に特異的に有益であることを示している。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 効果不十分なうつ病患者、次の一手のタイミングは  担当者へのご意見箱はこちら

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C型肝炎の適切な治療選択~ガイドライン改訂

 近年、C型肝炎に対する抗ウイルス薬の開発が進んでいる。昨年9月のシメプレビル3剤併用療法に続き、今年7月にインターフェロン(IFN)を併用しないダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法が承認され、今後も新しい抗ウイルス薬の承認が期待されている。このたび、都内にて10月1日(水)に開催されたヤンセンファーマメディアセミナーで、武蔵野赤十字病院 副院長 泉 並木氏が「C型肝炎の最新治療と適切な治療選択の重要性」と題し、9月に改訂された日本肝臓学会の「C型肝炎治療ガイドライン(第3版)」の解説も含めて講演した。肝がん発症を防ぐためには早期の治療が必要 C型肝炎は肝がんの成因の約7割を占める。治療開始年齢と肝がん発症リスクの関係をみると、65歳以上で急激に発症リスクが増加することから、早期の治療が必要という。 治療の第一目標はC型肝炎ウイルス(HCV)の排除であり、抗ウイルス療法が原則である。抗ウイルス療法で使用する薬剤には、抗ウイルス蛋白や免疫を誘導するIFNと、HCVのプロテアーゼ・NS5Bポリメラーゼ・NS5Aを阻害する直接作用型抗ウイルス薬があり、これらの中から、プロテアーゼ阻害剤+ペグインターフェロン(Peg-IFN)+リバビリン、または、2つないしは3つの直接的抗ウイルス薬の組み合わせ(プロテアーゼ阻害剤+NS5A阻害剤、NS5A阻害剤+NS5Bポリメラーゼ阻害剤)が今後主流になる。シメプレビル3剤併用療法は、高齢者や女性にも高い効果 昨年承認されたシメプレビル+Peg-IFN+リバビリンの3剤併用療法は、国内臨床試験において、初回治療と再燃例に対し90%前後という高い抗ウイルス効果を示している。泉氏は、発売後の臨床成績として、武蔵野赤十字病院における2013年12月以降の導入症例101例の治療効果を紹介した。それによると、HCV RNA陰性化率は4週で83%まで達し、早期に効果が認められたという。また、国内臨床試験では対象となっていなかった70歳以上の高齢患者においても、65歳未満、65~69歳と同等の抗ウイルス効果がみられ、男女においても効果に差がなかったとのことである。一方、有害事象は、ほとんどがインターフェロンやリバビリンでみられる症状であり、唯一ビリルビン上昇がシメプレビルでみられる有害事象であるが一過性と説明した。治療選択は専門医の判断が必要 ダクラタスビルとアスナプレビルの発売に合わせて今年9月に改訂された「C型肝炎治療ガイドライン(第3版)」では、ゲノタイプ1b型・高ウイルス量症例に対する初回治療について、高発がんリスク群(高齢者かつ線維化進展例)・中発がんリスク群(高齢者または線維化進展例)・低発がんリスク群(非高齢者かつ線維化軽度例)ごとに、IFN適格例と不適格例に分けて治療の原則を提示している。 まず、IFN適格例では、すべてのリスク群でシメプレビル/Peg-IFN/リバビリン併用を原則としている。またIFN不適格例では、高発がんリスク群はダクラタスビル/アスナプレビル、中発がんリスク群はダクラタスビル/アスナプレビルもしくは治療待機としている。ただし、ダクラタスビル/アスナプレビル治療前には極力Y93/L31変異を測定し、変異があれば治療待機を考慮することとし、治療待機の場合の発がんリスクならびに変異例にダクラタスビル/アスナプレビル治療を行う場合の著効率と多剤耐性獲得のリスクを十分に勘案して方針を決定するとしている。また、低発がんリスク群には、早期の治療導入の必要性は少ないが、Y93/L31変異がない場合に限り、ダクラタスビル/アスナプレビル治療も可能という。 なお、ダクラタスビル/アスナプレビル治療の適応がIFN不適格な患者であるため、本治療を受けた患者については、以後のIFNを含む治療法は医療費助成の対象としない対応方針が示されている。 泉氏は、治療決定に際しては耐性ウイルスの有無を調べることが重要であると述べ、最適な治療選択や医療費助成を受けるために、専門医による判断が必要であることを強調した。日本肝臓学会「C型肝炎治療ガイドライン(第3版)」はこちら

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エボラウイルス病、11月には2万例超えるか/NEJM

 西アフリカのエボラウイルス病(EVD)患者は、感染対策の抜本的な改善がなされなければ、今後、毎週数百~数千例の割合で増加し続け、11月初旬には2万例を超えると予測されることが、WHO Ebola Response Teamの調査で明らかとなった。2014年3月23日、WHOはギニアにおけるEVDのアウトブレイクを公式に認定した。また、8月8日には、この流行に対し「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(public health emergency of international concern)」を宣告している。NEJM誌オンライン版2014年9月23日号掲載の報告。4ヵ国4,010例のデータを詳細に解析 2013年12月30日~2014年9月14日までに、エボラウイルス感染の疑い例および確定例は4,507例に上り、このうち西アフリカ5ヵ国(ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ)からEVDによる死亡例が2,296例報告されている。 WHOの研究チームは、9月14日までにギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの4ヵ国から収集されたエボラウイルス感染疑い例3,343例および確定例667例のデータを詳細に解析した。発熱、疲労感、嘔吐が高頻度、特異的な出血はまれ 患者のほとんどが15~44歳で、男性は49.9%であった。感染の臨床アウトカムが判明している患者の死亡率は70.8%(95%信頼区間[CI]:69~73%)に上った。 発症から感染が確定されるまでにみられた主な症状は、発熱87.1%、疲労感76.4%、食欲減退64.5%、嘔吐67.6%、下痢65.6%、頭痛53.4%、腹痛44.3%で、特異的な出血症状はまれであったが、「説明不能な出血」が18.0%で報告されている。 これらの徴候や症状のほか、潜伏期間(11.4日)、発症間隔(感染源の発症から2次感染者の発症までの期間は15.3日)などの感染過程は、以前のEVDのアウトブレイクの報告と類似していた。 初回指数増殖期のデータに基づくと、推定基本再生産数(basic reproduction number:R0)は、ギニアが1.71、リベリアが1.83、シエラレオネは2.02であった。また、推定現再生産数(current reproduction numbers:R)はそれぞれ1.81、1.51、1.38であり、倍加時間は15.7日、23.6日、30.2日と推算された。 この流行に対する感染対策に変化がないと仮定すると、2014年11月2日までに感染疑い例と確定例の累積報告数はギニアで5,740例、リベリアで9,890例、シエラレオネでは5,000例に及び、全体で2万例を超えることが予測される。 研究チームは、「感染対策の抜本的な改善がなされなければ、今後数ヵ月にわたり、EVD患者および死亡例は毎週数百~数千例の割合で増加し続けると予測される」と結論づけている。

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レスベラトロールがにきび治療のオプションに?

 過酸化ベンゾイルとの比較において、レスベラトロールの持続的な抗菌活性と細胞毒性の減少が認められたことが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEmma J. M. Taylor氏らによる検討の結果、示された。著者は、「今回示された結果は、レスベラトロールが、にきび治療の新たな治療オプションまたは補助療法として可能性があることを示唆するものである」とまとめている。抗酸化物質のレスベラトロール(3,5,4’-trihydroxystilbene)には、抗菌特性を含む多様な生物学的効果が含まれていることが知られている。Dermatology and Therapy誌オンライン版2014年9月17日号の掲載報告。 にきびは毛包脂腺系の疾患で、アクネ桿菌(P. acnes)に対する炎症性宿主免疫反応を特徴とする。 研究グループは、レスベラトロールのにきび治療薬としての可能性を明らかにするため、レスベラトロールもしくは過酸化ベンゾイルで治療したアクネ桿菌について、コロニー形成ユニット(CFU)アッセイと透過型電子顕微鏡を用いた、抗菌効果の評価を行った。また、ヒト健康ボランティアから血液の提供を受け、MTSアッセイで単球とケラチノサイトの細胞毒性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・レスベラトロールは、アクネ桿菌に対して持続的な抗菌活性を示した。一方、にきびの抗菌治療に一般的に用いられる過酸化ベンゾイルの殺菌効果は短期的であった。・レスベラトロールと過酸化ベンゾイルの組み合わせは、初期の抗菌活性が高く、細菌の発育を持続的に抑制した。・レスベラトロールで治療されたアクネ桿菌の電子顕微鏡による観察で、細菌形態の変化(膜の消失、細胞外の線毛構造の崩壊)が確認された。・レスベラトロールの細胞毒性は、過酸化ベンゾイルより少なかった。

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HPVスクリーニングに尿検査が有用/BMJ

 尿検査による子宮頸部ヒトパピローマウイルス(HPV)検出の精度は良好と思われ、初尿サンプルを用いるのがランダム尿や中間尿を用いるよりも正確であることが判明した。英国・ロンドン大学のNeha Pathak氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。細胞診検査による子宮頸部HPV検出は精度の高いスクリーニング法とされるが、侵襲的な検査のため現行スクリーニングプログラムの大きな障壁となっている。今回の結果を踏まえて著者は、「サブグループで子宮頸部細胞診検査が困難であるときは、受け入れ可能な選択肢として尿中HPV検出を検討すべきであろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年9月16日号掲載の報告より。尿中HPV DNA検出と子宮頸部HPV DNA検出の比較試験をメタ解析 研究グループは、2013年12月時点で電子データベースなどを用いて、女性を対象とした尿中HPV DNA検出と子宮頸部HPV DNA検出の精度を比較した試験論文を検索した。特定した論文から、患者特性、試験背景、バイアスリスク、検査精度に関するデータを抽出し、2×2分割表解析と、二変量混合効果モデルのメタ解析を行った。HPV16、18の検出感度は73%、特異度98%、初尿サンプルが有用 検索により発表論文16件を特定し、14試験、1,443例のデータをメタ解析に組み込んだ。 大半の試験で、初尿サンプルを用いたPCR法が採用されていた。 尿検査によるあらゆるHPV検出のプール感度は87%(95%信頼区間[CI]:78~92%)、同特異度は94%(同:82~98%)であった。また高リスクHPV検出のプール感度は77%(同:68~84%)、同特異度は88%(同:58~97%)であった。また、HPV16、18検出のプール感度は73%(同:56~86%)、同特異度は98%(同:91~100%)であった。 メタ回帰分析により、尿サンプルは初尿サンプルを用いたほうが、ランダムまたは中間尿サンプルを用いた場合よりも、感度が増大することが明らかになった(相対的感度:1.2、95%CI:1.06~1.37、p=0.004)。特異度は、尿サンプルによる有意な違いは認められなかった(p=0.46)。 なお、本検討について著者は、尿中HPV検査の方法論が厳格には統一されていないこと、各試験間の精度についての検証が行われていなかったため、限定的なものであることとしている。その上で、HPV検出の代替法としてさらなる検討と尿検査の標準化を行うことが必要であると提言している。

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日本初“外用”爪白癬治療剤の特徴と有用性

 2014年9月2日(火)、爪白癬治療剤エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン爪外用液10%)が発売された。本剤は、日本初の外用爪白癬治療剤で、科研製薬が創製した新規トリアゾール系化合物エフィナコナゾールを有効成分とする。 本剤の発売によって治療選択肢が増えた爪白癬治療。その現状および課題、新薬への期待について紹介する。爪白癬とは 爪白癬とは、皮膚糸状菌(白癬菌)が爪および爪の下の皮膚(爪床)に入って生じた感染症で、日本の有病者は1,100万人ともいわれている。 爪白癬はかゆみなどの症状はなく、主に爪の混濁、肥厚、変形などの外見上の変化を来す。病態が進行すると、肥厚した爪が靴で押さえられて痛くなったり、歩きづらくなったりすることもある。 また、身体の他部位や家族などへ感染が広がることもあるので、速やかに治療する必要がある。これまでの爪白癬治療と課題 これまで、日本国内で爪白癬に適応のある治療薬は、経口抗真菌薬のみであった。経口抗真菌薬のメリットとして、血流に乗って爪床で抗真菌作用を示すこと、他部位の白癬菌感染にも効果が期待できるといったことが挙げられる。 しかし、肝障害などの副作用や他剤との薬物相互作用が生じることがあるため、高齢者や合併症によって複数の薬剤を服用している患者さんでは、注意が必要となる。 経口抗真菌薬を服用できない場合は、適応外とはなるが、爪を削ったうえで外用抗真菌薬が塗布されることもあった。これまでの外用抗真菌薬は、爪床まで浸透しにくく、爪白癬には効果が期待できないためである。爪床まで浸透する外用抗真菌剤特徴 エフィナコナゾールは、エルゴステロールの生合成を阻害することで、抗真菌活性を発揮する。ケラチン親和性が低いため、爪の表面に塗るだけで爪床まで浸透し、爪白癬に効果が期待できる薬剤である。 なお、処方の際は、直接鏡検または培養などにより確定診断を行い、他疾患と鑑別する必要がある。有効性 日本人を含む国際共同第III相試験および海外第III相試験で、感染面積が20~50%(中等度)の爪白癬患者を対象とし、基剤群との二重盲検比較を行った。 エフィナコナゾールまたは基剤を48週間投与し、投与開始後52週目の完全治癒率、真菌学的治癒率、臨床的有効率などを評価した。その結果、エフィナコナゾール群は基剤群に比べて、有意な差が認められた。 なお、52週目の真菌学的治癒率(KOH直接鏡検と真菌培養検査がともに陰性の割合)は55.2%であった。安全性 上記の2試験における臨床検査値異常を含む副作用発現は、安全性評価対象例1,227例中78例(6.4%)であった。頻度の高いものは皮膚炎、水疱、紅斑、そう痒などで、主に適用部位にみられた。 血中移行性は低いため、経口抗真菌薬で問題となる全身性の副作用や薬物相互作用を回避できるという点でも期待が高い。使用方法 1日1回、罹患爪全体に塗布する。爪がひどく濡れている状態での塗布は避け、清潔な状態での塗布が望ましい。 爪の表面全体および皮膚との境界部まで塗布するが、皮膚に付着すると刺激を感じることがあるため、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取る。完全に治癒するまで継続使用が大切 本剤は、爪の白癬菌に作用するもので、すでに変化した爪の外観を改善するものではない。爪が生え変わるまでは白癬菌が爪の中に残っていることもあるため、健康な爪に生え変わるまで継続して治療を続ける必要がある。 完全に治癒する前に自己判断で中断すると、再発・悪化、他部位や他者へ感染するおそれがある。また、すでに家族が罹患している場合は、白癬菌の移し合いにならないように全員で治癒を目指したい。早期治療、継続治療のために 最後に、クレナフィン爪外用液について、科研製薬株式会社の製品担当者に話を聞いた。「これまで、日本では外用の爪白癬治療剤はなく、経口抗真菌薬ではカバーしきれない症例も多くみられた。本剤の登場により、より安全・簡便に有効性が期待できるため、新たな選択肢として先生方や患者さんのお役に立てるのではないかと考えている」としたうえで、「爪白癬の症状は外見の変化が主で、痛みやかゆみが少ないので、病気と認識していない患者さんも少なくない。早期治療、継続治療の必要性を説明するため、情報を提供していきたい」と語った。 新たな治療選択肢であるクレナフィン爪外用液によって、患者さんのQOLおよび全身性副作用や薬物相互作用への懸念が少ない爪白癬治療の実現につながるものと考えられる。また、外用剤という利便性から良好なアドヒアランスが見込まれ、治療の継続につながることが期待される。

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糖尿病高齢者に多い皮膚病変とは

 65歳以上高齢者における糖尿病と関連した皮膚疾患の有病率を調べた結果、慢性の皮膚潰瘍、脚部の褐色斑、かゆみが多いことが示された。台湾・高雄退役軍人総合病院のH-W. Tseng氏らが、退役軍人施設に入所する313例について調査し報告した。著者は、「糖尿病にみられる皮膚の特徴を観察することで、糖尿病患者の状態をより完全に評価することが可能である。糖尿病に関連した皮膚の情報は、適切な治療と看護を提供するための基本である」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年9月1日号の掲載報告。 研究グループは、高齢の男性における皮膚疾患と糖尿病および糖尿病に関連した皮膚疾患の統計的な関連性を調べた。 台湾の退役軍人施設で断面調査を行い、入所者の皮膚の症状、主な全身性疾患を記録。年齢、BMI、顕著であった全身性疾患で補正後、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比(OR)とp値を求めて統計的関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、65歳以上男性313例で、そのうち70例(22.4%)が糖尿病を有していた。・糖尿病被験者に最もよくみられた皮膚の症状は、真菌感染症(77%)、脚部の褐色斑(38.3%)であった。・補正後ORの評価により、糖尿病との有意な関連が認められたのは、慢性の皮膚潰瘍(AOR:4.90、95%CI:1.82~13.19、p=0.002)、脚部の褐色斑(同:6.82、3.60~12.89、p<0.001)、かゆみ(同:12.86、4.40~37.59、p<0.001)であった。・糖尿病被験者では、細菌感染症、疥癬、スキンタッグのリスクがわずかだが高かった。

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びまん性汎細気管支炎〔DPB : diffuse panbronchiolitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は病理組織学的には両側びまん性に分布する呼吸細気管支領域の慢性炎症像を特徴とし、臨床的には慢性副鼻腔炎を伴う慢性気道感染症の形を取る疾患である。そもそもDPBの疾患概念は1960年代に、わが国で確立されたものであるが、欧米においてDPBがほとんど存在しないため、長く認知されてこなかった。しかしながら、1983年、本間氏らによりChest誌上に紹介されて以来1)、徐々に理解が深まり、現在では広く認知され欧米の主要な教科書でも必ず触れられる疾患となっている。■ 疫学以前はそれほどまれな疾患ではなく、1970年代には人口10万人対11という有病率の報告もあったが、近年では典型例は激減し、めったに見ることがなくなった2)。男女差はなく、発症年齢は10~70代まで広く分布するが、発症のピークは中年である。多くの例で、幼小児期にまず慢性副鼻腔炎にて発症し、長い年月を経て下気道症状の咳、膿性痰が加わって症状が完成する。近年DPBが激減した背景には、戦後の日本人の生活水準が急速に向上し、栄養状態が大きく改善したことと、後述するマクロライド療法が耳鼻科領域の医師にも普及し、慢性副鼻腔炎の段階で治癒してしまうことの2つが大きな原因と考えられる。■ 病因明確な発症のメカニズムはまったく不明であるが、本症が病態として副鼻腔気管支症候群(sino-bronchial syndrome: SBS)の形を取ることから、背景には何らかの呼吸器系での防御機構の低下・欠損が推定される。さらにDPBでは親子・兄弟例が多く報告され、また家族内に部分症ともいえる慢性副鼻腔炎のみを有する例が多発することから、何らかの強い遺伝的素因に基づいて発症する疾患と考えられる。この観点からHLAの検討が行われ、日本人DPB患者では、一般人にはあまり保有されていないHLA-B54が高頻度に保有されていることが見出された3)。B54は特殊なHLAで、欧米人やアフリカ人にはまったく保有されず、東アジアの日本を含む一部の民族でのみ保有される抗原であり、このことがDPBという疾患が、欧米やアフリカにほとんど存在しないことと関連があると考えられる。■ 症状最も重要な症状は、慢性的な膿性の喀痰である。この症状のない例ではDPBの診断はまったく考えられない。痰に伴って咳があるのと、併存する慢性副鼻腔炎由来の症状である鼻閉、膿性鼻汁、嗅覚の低下が主症状である。疾患が進行していくと、気管支拡張や肺の破壊が進行し、息切れが増強し、呼吸不全状態となっていく。■ 予後1980年代以前のDPBはきわめて予後不良の疾患であり、1981年の調査では初診時からの5年生存率は42%、喀痰中の細菌が緑膿菌に交代してからの5年生存率はわずかに8%であった。しかしながら、1980年代半ばに工藤 翔二氏によるエリスロマイシン少量長期投与法が治療に導入されると予後は著明に改善し、早期に診断されてマクロライドが導入されれば、むしろ予後のよい疾患となった4)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)病歴と特徴ある画像所見から、典型例では診断は難しくない。画像所見としては、胸部X線所見で中下肺野に強い、両側びまん性の辺縁不鮮な小粒状影の多発を認め、これにさまざまな程度の中葉・舌区から始まる気管支拡張像と過膨張所見が加わる。CT(HR-CT)は診断上、きわめて有用であり、(1) びまん性小葉中心性の粒状影、(2) 分岐線状陰影、(3) 気道壁の肥厚と拡張像がみられる。DPBの診断基準(表1)を示す。表1 びまん性汎細気管支炎の診断の手引き1. 概念びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis: DPE)とは、両肺びまん性に存在する呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とし、呼吸機能障害を来す疾患である。病理組織学的には、呼吸細気管支炎を中心とした細気管支炎および細気管支周囲炎であり、リンパ球、形質細胞など円形細胞浸潤と泡沫細胞集簇がみられる。しばしばリンパ濾胞形成を伴い、肉芽組織や瘢痕巣により呼吸細気管支炎の閉塞を来し、進行すると気管支拡張を生じる。男女差はほとんどなく、発病年齢は40~50代をピークとし、若年者から高年齢まで各年代層にわたる。慢性の咳・痰、労作時息切れを主症状とし、高率に慢性副鼻腔炎を合併または既往に持ち、HLA抗原との相関などから遺伝性素因の関与が示唆されている#1。従来、慢性気道感染の進行による呼吸不全のため不良の転帰を取ることが多かったが、近年エリスロマイシン療法などによって予後改善がみられている。2. 主要臨床所見(1) 必須項目1)臨床症状:持続性の咳・痰、および労作時息切れ2)慢性副鼻腔炎の合併ないし既往#23)胸部X線またはCT所見: 胸部X線:両肺野びまん性散布性粒状影#3 胸部CT:両肺野びまん性小葉中心性粒状病変#4(2) 参考項目1)胸部聴診所見:断続性ラ音#52)呼吸機能および血液ガス所見:1秒率低下(70%低下)および低酸素血症(80Torr以下)#63)血液所見:寒冷凝集素価高値#73. 臨床診断(1) 診断の判定確実上記主要所見のうち必須項目1)~3)に加え、参考項目の2項目以上を満たすものほぼ確実必須項目1)~3)を満たすもの可能性あり必須項目のうち1)2)を満たすもの(2) 鑑別診断鑑別診断上注意を要する疾患は、慢性気管支炎、気管支拡張症、線毛不動症候群、閉塞性細気管支炎、嚢胞性線維症などである。病理組織学的検査は本症の確定診断上有用である。[付記]#1日本人症例ではHLA-B54、韓国人症例ではHLA-A11の保有率が高く、現時点では東アジア地域に集積する人種依存症の高い疾患である。#2X線写真で確認のこと。#3しばしば過膨張所見を伴う。進行すると両下肺に気管支拡張所見がみられ、時に巣状肺炎を伴う。#4しばしば細気管支の拡張や壁肥厚がみられる。#5多くは水泡音(coarse crackles)、時に連続性ラ音(wheezes、rhonchi)ないしスクウォーク(squawk)を伴う。#6進行すると肺活量減少、残気量(率)増加を伴う、肺拡散能力の低下はみられない。#7ヒト赤血球凝集法で64倍以上。(厚生省特定疾患びまん性肺疾患調査研究班班会議、平成10年12月12日)SBSの形を取り、画像上、前述のような所見がみられれば、臨床的に診断がなされる。寒冷凝集素価の持続高値、閉塞性換気障害、HLA-B54(+)といった所見が診断をさらに補強する。通常、病理組織検査を必要としないが、非典型例、関節リウマチ合併例、HTLV-1陽性例、他のSBSとの鑑別が難しい例などでは、胸腔鏡下肺生検による検体が必要となる場合もある。近年、DPBが激減していることから経験が不足し、COPD、気管支喘息などと診断されてしまっている例もみられ、注意を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)表2 びまん性汎細気管支炎(DPB)に対するマクロライド療法の治療指針(2000年1月29日)マクロライド少量療法はDPBに対する基本療法であり、早期の症例ほどより高い臨床効果が得られることから、診断後は速やかにマクロライド少量治療法を開始すべきである。 なおマクロライド薬のうち、第1選択薬はエリスロマイシン(EM)である。(投与量及び用法)EM 1日投与量は400または600mgを分2または分3で経口投与する。(効果判定と治療期問)1.臨床効果は2~3ヵ月以内に認められることが多いが、最低6ヵ月は投与して、その臨床効果を判定する。2.長期投与により自覚症状、臨床検査所見(画像、肺機能など)が改善、安定し、重症度分類で4または5級(付記1)程度になれば、通算2年間の投与で終了する。3.終了後症状の再燃がみられれぱ、再投与が必要である。4.広汎な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行症例で有効な場合は、通算2年間に限ることなく継続投与する。(付記)1.4級:咳・痰軽度。痰量10mL以下、息切れの程度はH-J II~III。安静時PaO2は70~79 Torrで、呼吸器症状のため社会での日常生活活動に支障がある。5級:呼吸器症状なし。安静時にPaO2は80 Torr以上。日常生活に支障なし。2.マクロライド薬のうち、現在までに本症に対する有効性が確認されているのは14員環マクロライド薬であり、16員環マクロライド薬は無効である。EMによる副作用や薬剤相互作用がある場合、あるいはEM無効症例では、14員環ニューマクロライド薬の投与を試みる。投与例 1)クラリスロマイシン(CAM)200または400mg 分1または分2経口投与2)ロキシスロマイシン(RXM)150または300mg 分1または分2経口投与炎症が強い例では、殺菌的な抗菌薬の静注やニューキノロン経口薬を短期間投与し、感染・炎症を抑えてから基本的治療に入る。基本的治療はエリスロマイシン、クラリスロマイシンを中心とした14員環マクロライドの少量長期投与である。これらの薬剤の抗炎症効果による改善が、通常投与後2週間くらいから顕著にみられる。エリスロマイシンでは400~600mg/日を6ヵ月~数年間以上用いる。著効が得られた場合はさらに減量して続行してもよい。ただし、気管支拡張が広範囲に進展し、呼吸不全状態にあるような例では、マクロライドの効果も限定的である。有効例では、投与後2週間くらいからまず喀痰量が減少し、この時点ですでに患者も自覚的な改善を認める。さらに数ヵ月~6ヵ月で呼吸機能、胸部X線像の改善がみられていく。同時に慢性副鼻腔炎症状も改善するが、嗅覚に関しては、やや改善に乏しい印象がある。マクロライドは一般的には、長期間投与しても何ら副作用を認めないことが多いが、まれに肝障害や時に胃腸障害を認める。元来マクロライドは、緑膿菌にはまったく抗菌力がないと考えられるが、近年の研究から14員環マクロライドが緑膿菌のquorum sensingという機能を抑制し、毒素産生やバイオフィルム形成を阻害することが解明されてきている。4 今後の展望典型例はほとんどみられなくなったが、日本人にはDPBの素因が今なお確実に受け継がれているはずであり、軽症例や関節リウマチなどの疾患に合併した例などが必ず出現する。 SBSをみた場合には、必ずDPBを第1に疑っていく必要がある。5 主たる診療科呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本呼吸器学会 呼吸器の病気のコーナー(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Homma H, et al. Chest. 1983; 83: 63-69.2)Kono C, et al. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2012; 29: 19-25.3)Sugiyama Y, et al. Am Rev Respir Dis. 1990; 141: 1459-1462.4)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1998; 157: 1829-1832.

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デング熱での解熱剤に注意~厚労省がガイドライン配布

 9月16日、厚生労働省より全国の地方公共団体の衛生主管部局宛てに「デング熱診療ガイドライン(第1版)」が配布された。本ガイドラインは、全国で131名(9月17日現在)の患者が確認されている中で、一般医療機関への問い合わせも多いことから、9月3日に公開された診療マニュアルの内容を刷新し、あらためて作成されたものである。■妊婦、乳幼児、高齢者は重症化のリスク因子 ガイドラインは、デング熱の概要、症状・所見、診断、治療、予防、参考文献、図表の順で記載されている。 すでに多くのメディアで報道されているように、デング熱の臨床経過について通常は1週間前後の経過で回復すること、典型症状は急激な発熱、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などであることなどの説明が記されている。 注意すべきは、一部の患者が経過中に重症型デングを呈することである。とくにリスク因子としては、妊婦、乳幼児、高齢者、糖尿病、腎不全などがあり、これらの患者では、経過観察でショック、呼吸不全、出血症状、臓器障害がないかどうかの注意が必要となる(なお1999年以降、日本国内で発症した同疾患での死亡者は記録されていない)。■解熱剤はアセトアミノフェンを推奨 デング熱では上記の症状のほか、血液検査で血小板減少、白血球減少が認められる。確定診断では、ウイルス分離やPCR法によるウイルス遺伝子の検出などが用いられるのは、既知のとおりである。症状を認めた時点で、必要に応じ、適切な治療が可能な医療機関への紹介が必要となる。 また、治療では、有効なウイルス薬はなく、輸液などによる対症療法が行われる。その際に投与する解熱剤について、アスピリンは出血傾向やアシドーシスを助長するため使用するべきでなく、同じくイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も胃炎、出血を助長するために使用すべきではないとされている。投与する解熱剤としては、アセトアミノフェンなどが推奨されている。■医療者は診療時にも注意 デング熱には現時点で有効なワクチンがないため、有効な予防対策は蚊に刺されないことである。外出の際は、露出の少ない服装で虫よけスプレーなどによる対策を講じることになる。 1つ注意が必要なことは、患者診療時の医療者への感染である。疑わしい患者の診療時に針刺し事故などの血液曝露で感染する危険があるため、十分に注意するよう促している。 また、患者が出血を伴う場合には、医療従事者は不透過性のガウンおよび手袋を着用し、体液や血液による眼の汚染のリスクがある場合にはアイゴーグルなどで眼を保護する、としている。詳しくは厚生労働省 報道発表資料デング熱、患者さんに聞かれたら・・・

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結核性心膜炎でのステロイドや免疫療法を検証/NEJM

 結核性心膜炎患者に対し、補助的プレドニゾロン治療またはM. indicus pranii免疫療法のいずれも、有意な効果は認められなかったことが示された。南アフリカ共和国のケープタウン大学のBongani M Mayosi氏らが報告した。結核性心膜炎は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有している患者の頻度が高く、抗結核治療にもかかわらず有病率や死亡率が高いことが報告されている。また、補助的グルココルチコイド療法の効果については、死亡率の減少などが報告されていたが、HIV感染症患者についてはがんリスクを増大するといった報告が寄せられ、その使用について国際ガイドラインでは相反する勧告が示されている。研究グループは、補助的プレドニゾロンについてHIV感染症患者を含む結核性心膜炎に対し効果があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。1,400例対象に、プレドニゾロンvs. M. indicus pranii免疫療法vs. プラセボ 検討は無作為化2×2要因試験にて、結核性心膜炎と診断または疑われた患者1,400例を対象に行われた。6週間のプレドニゾロンまたはプラセボを投与する群と、3ヵ月間で5回注射投与するM. indicus pranii免疫療法またはプラセボを投与する群に、無作為に割り付けた。 被験者のうち3分の2がHIV感染症を有していた。 主要有効性アウトカムは、死亡・心タンポナーデ・収縮性心膜炎の複合とした。主要複合アウトカムに有意差なし、がんリスク増大 結果、主要アウトカムの発生について、プレドニゾロン投与群(23.8%)とプラセボ投与群(24.5%)との間に有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.77~1.18、p=0.66)。また、M. indicus pranii免疫療法群(25.0%)とプラセボ投与群(24.3%)との間にも有意差はみられなかった(同:1.03、0.82~1.29、p=0.81)。 一方で、プレドニゾロン治療はプラセボと比較して、収縮性心膜炎の発生(4.4%対7.8%、HR:0.56、95%CI:0.36~0.87、p=0.009)、入院(20.7%vs. 25.2%、HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)を有意に減少したことが示された。 しかし、プレドニゾロン治療およびM. indicus pranii免疫療法とも、それぞれプラセボと比較して、がん発生の有意な増大と関連しており(1.8%vs. 0.6%、HR:3.27、95%CI:1.07~10.03、p=0.03/1.8%vs. 0.5%、同:3.69、1.03~13.24、p=0.03)、主としてHIV関連のがん増大によるものであった。

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HPV16/18型ワクチン、感染歴ある成人にも有効/Lancet

 25歳以上の女性においても、ヒトパピローマウイルス(HPV)16/18型AS04アジュバントワクチンは、31/45型を含むHPV感染および子宮頸部病変に対し効果を発揮することが、オーストラリア・テレソン小児健康リサーチ研究所のS Rachel Skinner氏らが行ったVIVIANE試験で示された。HPV予防ワクチンの主な対象は思春期の少女であるが、すでにHPV 6/11/16/18型ワクチンは成人女性(24~45歳)にも有効との知見がある。発がん性のあるHPVは16/18/45/31/33型が約85%を占めるが、感染歴のある成人女性は新たなパートナーから以前とは異なる型のHPVに感染する可能性が高いという。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告。感染/病変歴ありを含む集団の中間解析 VIVIANE試験は、成人女性に対するHPV 16/18型ワクチンの有効性、安全性、免疫原性の評価を行う進行中の多施設共同二重盲検無作為化対照比較第III相試験。今回、中間解析が行われた。 25歳以上の健常女性が、地域、年齢層、HPV DNA検査、細胞診などを考慮して、HPV 16/18型ワクチンを接種する群または対照群に無作為に割り付けられた。26~35歳と36~45歳が約45%ずつ、46歳以上が約10%となるように登録を行った。各年齢層に、15%を上限にHPV感染または病変の罹患歴のある女性を含めた。 主要評価項目は、6ヵ月時のHPV 16/18型感染または前がん病変(Grade 1以上の子宮頸部上皮内異形成:CIN 1+)に対するワクチンの効果とした。有効性の主要解析はaccording-to-protocol(ATP)集団(全3回のワクチン接種、ベースラインの細胞診でHPV陰性または軽度病変、HPV病変歴なし)で行い、副次解析にはワクチン効果の対象外の発がん性HPV型に対する効果を含めた。平均フォローアップ期間は全ワクチン集団が44.3ヵ月、ATP集団は40.3ヵ月であった。良好な交差防御的効果、Grade 3の注射部位疼痛14% 本試験には12ヵ国が参加した。2006年2月16日に患者登録を開始し、今回の解析の最終受診日は2010年12月10日であった。全ワクチン集団は5,752例(ワクチン群:2,881例、対照群:2,871例)で、そのうちATP集団は4,505例(2,264例、2,241例)であり、HPV感染/病変歴ありが705例(345例、360例)含まれた。 ATP集団全体における6ヵ月後のHPV 16/18型の持続感染またはCIN+の抑制率は81.1%(97.7%信頼区間[CI]:52.1~94.0%)であった。26~35歳では83.5%(同:45.0~96.8%)、36~45歳では77.2%(同:2.8~96.9%)であったが、45歳以上では感染例がなく評価不能であった。 ATP集団の6ヵ月後のHPV 16/18型による意義不明な異型扁平上皮細胞(ASC-US+)の抑制率も93.7%(97.7%CI:71.5~99.5%)と良好であった。また、交差防御的な効果として、HPV 31型(抑制率:79.1%、97.7%CI:27.6~95.9%)およびHPV 45型(同:76.9%、18.5~95.6%)に対する抑制作用が確認された。 全ワクチン集団における6ヵ月後のHPV 16/18型の持続感染またはCIN+の抑制率は43.9%(97.7%CI:23.9~59.0%)、HPV感染/病変歴ありの集団では49.9%(同:-0.3~76.2%)であった。 接種後7日間以内に、注射部位の特定有害事象がワクチン群の85%(2,443/2,881例)にみられ、対照群の67%(1,910/2,871例)に比べ頻度が高かった。このうちGrade 3(正常な身体活動が不能)の疼痛はそれぞれ14%(394例)、3%(88例)に発現した。 重篤な有害事象は、ワクチン群の10%(285/2,881例)、対照群の9%(267/2,871例)に認められ、このうちそれぞれ5例(<1%)、8例(<1%)がワクチン関連と考えられた。17例(ワクチン群:14例、対照群:3例)が死亡したが、ワクチン関連死はなかった。 著者は、「この中間解析の知見は、HPV感染歴のある女性を含む25歳以上の女性にも、本ワクチンはベネフィットをもたらす可能性があるとの見解を支持するもの」と指摘している。

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蚊に刺されないことが最大の予防

 9月11日(木)、都内にて「蚊でうつる感染症~都心のデングを考える」と題し、国立国際医療研究センターメディアセミナーが開催された。今回のセミナーでは、「蚊」にフォーカスを当て、昨今問題となっているデング熱の診療や、蚊が媒介する感染症であるマラリアや日本脳炎などについてミニレクチャーが行われた。■例年100例は報告されるデング熱 はじめに「デング熱について」と題し、怱那 賢志氏(国立国際医療研究センター/国際感染症センター)が、その概要と診療・予防について説明した。 デング熱ウイルスは血清型で4つに分類され、ヤブカであるネッタイシマカとヒトスジシマカの媒介により感染する。前者はわが国に生息していないが、後者は東北地方北部まで生息域を広げており、今後も感染拡大が懸念される。毎年わが国では100例程度の感染が報告されているが、今回の流行はそれが例年になく拡大したものであり、これまでハワイや台湾でも類似の事例が観察されているとのことである。■診断は「時・場所・人」に着目 デング熱の症状としては、高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐などが挙げられる。重篤な合併症はないものの、高熱のため倦怠感が強く入院するケースが多いのが特徴である。 本症では皮疹なども見られるが、これは熱が下がる頃に見られ、病初期には観察されないことが多いとのこと。検査所見では、白血球、血小板減少が特異的に観察されるが、初診時には目立たないことが多く、CRPはあまり上昇しない。 確定診断については、時系列に3段階の検査があり、発症初期(1~5日目)では遺伝子検査、解熱前後期(4日目~)ではIgM抗体検査、回復期(7日目~)ではIgG抗体検査により診断がなされる。診断のポイントとしては、病状の精査のほか、とくに蚊に刺された「時・場所・人」に注目して診断することが大切だという。■虫よけで感染防止 治療は、有効な薬剤がないために支持療法が中心となる。とくに血圧、脈圧の低下時は輸液をしっかりと行い、出血症状や重症化のサインを見逃さないようにすることが重要。また、解熱前後の期間(発症から4~7日)は、とくに重症化する危険があるために、慎重な経過観察を行う必要がある。 デング熱予防対策としては、「防蚊対策」をしっかりすることが大切で、蚊に刺されないために、「肌の露出の少ない服装での外出」、「2時間おきに虫よけスプレーを使用する」、「窓を開けて寝ない」など日常生活で簡単にできるアドバイスを伝え、レクチャーを終えた。■ワクチンで予防できる熱帯の感染症 引き続き、怱那氏より「蚊が媒介する感染症」として「マラリア」「日本脳炎」「黄熱」の各疾患の概要が述べられた。 とくにマラリアは、アフリカなどへの渡航の際に注意を要する疾患であり、潜伏期間が長いのが特徴。渡航者には事前に予防内服薬を服用するよう勧めたほか、医療者に対しては診療に際して「マラリア診断・治療アルゴリズム 第3.1版」などを参考にしてほしいと述べた。 また、「日本脳炎」はわが国で予防接種の空白期があることから、この期間のキャッチアップを含めた対策を、「黄熱」は感染の可能性のある地域・国へ渡航する予定があればワクチン接種が入国の条件となっている場合もあるため、事前の接種を念頭に置いてほしいとレクチャーを終了した。デング熱、患者さんに聞かれたら・・・MDQA特別編 デング熱の疑いでどこまで検査するか【緊急Q&A】〔9/19まで募集〕

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事例20 HBs抗体の査定【斬らレセプト】

解説事例では、B型慢性肝炎で治療継続フォロー中の患者に実施した肝炎ウィルス検査4項目が、A事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に3項目へ査定となった。不適当とされた項目はHBs抗体であった。HBs抗体は、主にB型急性肝炎の治癒判定やウィルス性肝炎の既往歴検索に有用な検査とされている。事例でも、現状の判定に有用だと思われるために実施されていた。しかし、治療継続フォロー中の事例で、HBs抗原検査でB型肝炎ウイルスの有無が把握できれば、HBs抗体を検査する必要はなく、過剰検査とみなされる。また、一度陽性になると体内に抗体が長期間にわたり存在して陽性反応が続くという性質上、肝炎の鑑別診断、B型肝炎の経過観察には適さないとされている。今回はこちらを理由に、「傷病名から見て算定は不適当」と判断されたものであろう。同様の理由で、輸血歴や垂直感染の恐れのない小児へのHBs抗体の実施も、査定対象とされているので留意されたい。

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エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

 9月3日(水)、都内にて「西アフリカのエボラ出血熱ウイルス流行と国際社会の課題」と題し、国立国際医療研究センターメディアセミナーが開催された。今回のセミナーでは、実際に現地リベリアで患者の診療や医療従事者への指導を担当した医師も講演し、最新の情報が伝えられた。※画像は、出国時の体温検査(画像提供:国立国際医療研究センター 加藤 康幸氏)対応は1類感染症の疾患 「日本の医療機関における備え、感染対策の基礎」と題し、堀 成美氏(国立国際医療研究センター)が、わが国の感染症対策の概要について説明を行った。 エボラ出血熱は、感染症法上1類感染症として取り扱われており、特定の医療機関で診療を行うこと、また、現在、患者発生に備えて、厚生労働省検疫所や自治体と共同して感染症患者の移送などの訓練を行っていると述べた。ワクチン開発の現状 次に、「ワクチン、治療の現状と課題」をテーマに西條 政幸氏(国立感染症研究所)が、現在のワクチン開発の状況を説明した。 本格的なワクチン開発は、1995年のエボラ出血熱アウトブレイクより行われた。当初は、同疾患に罹患し回復した患者の血液輸血という、中和抗体投与療法から開始された。現在、ウイルス増殖を抑制する抗ウイルス薬T-705と中和活性を有する抗体製剤であるZMappが開発され、サルやマウスによる治験が行われている。 T-705は早い段階の投与で効果を発揮し、マウスについて感染6日後の投与では死亡例がなかったのに対し、8日後の投与では約半数が死亡する結果であったという。また、ZMappは、サルについて感染5日後に投与した群はすべて回復が認められたのに対し、コントロール群では8日以内にすべて死亡したことが報告された。 西條氏はワクチンの特徴として、感染を予防するものではなく、あくまで体内でのウイルス増殖を抑え、重症化を防ぐために使用されるものであることを強調した。 今後のワクチン使用の問題点としては、ヒトへの有効性のほか、安全性、情報開示などさまざまなことが挙げられると提起した。 また最後に、西アフリカの感染拡大について触れ、「ウイルスそのものに変化は見られないものの、感染拡大の阻止には苦慮している。拡大の阻止には、さらなる住民への教育、広報、医療機関への資材の提供などが期待される」と説明した。疾患への知識不足がさらなる感染を招く 続いて、「リベリアにおけるエボラ対策支援活動から」をテーマに、実際にリベリアで活動した加藤 康幸氏(国立国際医療研究センター)が最新情報を紹介した。 リベリアは、乾季のある熱帯雨林気候に属し、人口約420万人。今回の感染拡大は内戦後、国連による平和維持状態が続いている中で起こったものである。 エボラ出血熱は、現在5種類が特定されており、今回の流行はその中でも最強のザイール型と呼ばれているもの。首都を含む広範囲の感染拡大は、新興感染症では世界が初めて経験する事態で、WHO予測では2万人の感染者が予想されているという。 WHOによればエボラ出血熱は、人-人感染でうつり、2~21日で症状を発現、生存率は47%という特徴をもつ。そして、加藤氏によれば、現地では看護をする患者家族や医療スタッフへの感染例が多いとのことである。 典型症状は、出血よりも発熱、下痢と嘔吐であり、現地では、マラリアが通年で流行していることもあり、初期診断時に発熱症状の患者の鑑別診断に苦慮しているとのこと。確定診断は、PCR法による診断が行われ、現地では疑い例の段階で治療・隔離ユニットに収容される。 流行を抑えるためには、隔離と検疫が重要で、現地でも対策が取られているが、医療システムが崩壊していることもあり、順調には進んでいない。そんな中で、さまざまな国、機関の支援により医療の再構築がなされており、今回の支援活動では、感染防止の教育、発熱外来の設置、治療ユニットの設置などが行われた。 現地では、患者の1割が医療従事者であることから、医療従事者の感染防護としては、ガウンなどを重層する国境なき医師団の対策を採用している。また、始業時の体温チェック、バディ体制での病室入室時の防護服チェックなど、万全の態勢を期して臨んでいることなどが紹介された。 治療に関しては、エンピリック治療として抗マラリア薬や抗菌薬の投与が、支持療法として点滴、輸血などが行われている。さらに、疾患啓発や感染防止教育のために、回復患者が医療機関を巡回する取り組みが行われているそうである。 今後の課題として、エボラ出血熱について現地住民への理解の促進、現地の医療システムの復旧、政府などへの信頼性の回復、孤立化による物資不足の解消などが待たれる、と講演を終えた。詳しくは次のサイトをご参照ください。 国立感染症研究所 エボラ出血熱  厚生労働省 感染症法に基づく医師の届け出のお願い

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RSウイルス感染にGS-5806が有効/NEJM

 開発中の抗ウイルス薬GS-5806は、RSウイルス(RSV)感染健常人のウイルス量を減少させ、臨床症状の重症度を低下することが、米国・テネシー大学医学大学院のJohn P. DeVincenzo氏らの検討で示された。RSVは乳児の入院の主要な原因であり、重篤な疾患や死亡の原因としての認識が高まっているが、有効性が確認されている抗ウイルス治療はない。GS-5806は、ウイルスエンベロープの宿主細胞膜との融合を阻害することで、低ナノモル濃度でRSVの細胞内侵入を阻止する低分子量の経口薬である。NEJM誌2014年8月21日号掲載の報告。さまざまな用量をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、RSVの臨床株を鼻腔内に接種された健常成人において、GS-5806の有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。 被験者には12日間のモニタリングが行われた。RSV感染検査で陽性または接種5日後のいずれか早いほうの時点で、GS-5806またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。治療薬群は、用量の違いで7つのコホートに分けた。 コホート1~4はGS-5806 50mgを初回投与後25mg/日を4日間投与、コホート5は50mgを初回投与後25mg/日を2日間投与、コホート6は100mgを1回のみ投与、コホート7は10mgを初回投与後5mg/日を4日間投与した。コホート5、6、7の用量選定は、コホート1~4のデータの中間解析後に行った。 主要評価項目は、ウイルス接種後12日間を通じ、薬剤の初回投与以降に採取した鼻洗浄サンプル中の定量的RT-PCRアッセイで測定したウイルス量の曲線下面積(AUC)とした。副次評価項目は、初回投与から5日間の鼻汁の総重量、患者が日誌に記した症状スコアの変化のAUCなどであった。ウイルス量の減少と症状の軽減の関連を証明 コホート1~4には78例が登録され、治療薬群に39例(平均年齢28.6歳、男性74.4%)、プラセボ群にも39例(25.0歳、76.9%)が割り付けられた。 コホート1~4のRSV感染が成立した54例では、治療薬群はプラセボ群に比べウイルス量が少なく(補正後の平均値:250.7 vs. 757.7 log10プラーク形成単位等量[PFUe]×時間/mL、p<0.001)、鼻汁の総重量が低く(平均6.9 vs. 15.1g、p=0.03)、症状スコアのベースライン時からの変化のAUCが小さかった(補正後の平均値:-20.2×時間 vs. 204.9×時間、p=0.005)。コホート5、6、7でも結果はほぼ同様であった。GS-5806投与群で、好中球数の低下(15.4 vs. 0%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇(15.4 vs. 7.7%)などの有害事象の頻度がプラセボ群に比べ高かった。 また有害事象は、GS-5806投与群で好中球数の低下(コホート1~4 vs. プラセボ:15.4% vs. 0%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇(同:15.4% vs. 7.7%)などの頻度が高かった。 著者は、「健常成人を対象としたウイルス接種試験において、GS-5806治療はRSV量を低下させ、RSV感染による臨床症状の重症度を改善した」とまとめ、「この結果は、治療によるRSV量の減少が症状の重症度の軽減と関連することを示すものである」と指摘している。

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細気管支炎の入院判断、酸素飽和度のみではできず/JAMA

 緊急救命室を受診した軽症~中等度の細気管支炎を有する乳幼児について、入院の判断をパルスオキシメーター測定値だけで判断することは適切ではないことが明らかにされた。カナダ・Sick Children病院のSuzanne Schuh氏らが、測定酸素飽和度が実際よりも3%高く測定されるように操作介入した場合に入院率が減るかを、無作為化二重盲検並行群間比較試験により検討した結果、仮定したとおりの結果が得られた。しかし、後日の外来受診者数には有意差がみられず、著者は今回の結果を踏まえて「同測定の活用について再評価する必要があるだろう」と指摘している。JAMA誌2014年8月20日号掲載の報告より。測定値の3%高値表示介入で入院が15%以上減るかを検証 試験、カナダのトロントにおける3次医療を提供する小児緊急救命室で2008~2013年にかけて行われた。 被験者は生後4週~12ヵ月齢の乳児213例で、軽症~中等度の細気管支炎を有していることを除けば健康であり、酸素飽和度は88%以上だった。 被験者を、パルスオキシメーターによる測定飽和度が実際値で表示される群(実測値群)と、実際よりも3%高く表示される群(介入測定値群)に無作為化し、後者の入院率が15%以上減るかを検討した。 主要アウトカムは72時間以内の入院で、同時間内に入院または6時間超の積極的治療を受けた場合と定義した。副次アウトカムは、緊急救命室での酸素補給、緊急救命室退室に関する医師の同意レベル、緊急救命室在室期間、72時間以内の予定外の再受診などとした。介入により入院率に有意な差、しかし後日の外来受診者に有意な差がみられず 72時間以内の入院発生は、実測群は108例のうち44例(41%)、介入測定値群は105例のうち26例(25%)で、16%の有意な差がみられた(95%信頼区間[CI]:3.6~28.4%、p=0.005)。 緊急救命室の医師をランダムエフェクトとして検討しても、主要な治療効果は有意なままだった(補正後オッズ比:4.0、95%CI:1.6~10.5、p=0.009)。 副次アウトカムについては、いずれも両群間の有意差は示されなかった。 その後に細気管支炎で予定外の外来受診をしたのは、実測値群は108例のうち23例(21.3%)、介入測定値群は105例のうち15例(14.3%)だった(両群差:7%、95%CI:-0.3~0.2%、p=0.18)。

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若者への新規髄膜炎ワクチンの効果/Lancet

 4価髄膜炎菌結合型(MenACWY-CRM)ワクチンとB群血清型(4CMenB)ワクチンについて、接種後1ヵ月時点で両群間の髄膜炎菌保菌率に有意差はみられず、接種後1年間の保菌率も低下したことが示された。英国・サウサンプトン大学のRobert C Read氏らによる観察者盲検第III相無作為化試験の結果、報告された。著者は、「広範な接種導入により、伝播が抑制される可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。MenACWY-CRM vs. 4CMenB vs. 日本脳炎ワクチンで検討 髄膜炎菌結合型ワクチンは、個人に対する保護効果だけでなく、伝播の遮断による集団保護効果がもたらされる可能性がある。研究グループは、18~24歳集団について、MenACWY-CRM、4CMenBワクチンの伝播に対する効果を評価した。 試験は2010年9月21日~12月21日に、大学生2,954例を1対1対1の割合で、MenACWY-CRMワクチン接種群(988例)、4CMenBワクチン接種群(979例)、対照として日本脳炎ワクチン接種群(987例)に無作為に割り付けて検討した。接種は1ヵ月間に2回(MenACWY-CRMの2回目はプラセボを接種)行われた。被験者とアウトカム評価者は接種割り付けについてマスキングされた。 髄膜炎菌の保有について、接種前とその後1年間に5回にわたり口咽頭スワブ採取で分離確認した。 主要アウトカムは、各ワクチン接種後1ヵ月の保菌率。副次アウトカムは、主要解析後、試験終了時までの各時点で評価比較した保菌率などだった。副反応や有害事象は試験終了までモニターした。 解析は、修正intention-to-treat集団にて行い、試験登録し試験ワクチンの接種を受け、ベースライン時以降に1回以上スワブ検査を受けた被験者を含めた。日本脳炎ワクチンと比べ2種とも接種後3ヵ月以降の保菌率有意に低下 解析には、MenACWY-CRMワクチン接種群983例、4CMenBワクチン接種群974例、対照群984例が組み込まれた。 試験開始時の髄膜菌保菌率はそれぞれ34%、33%、31%だった。1ヵ月時点の保菌率は、対照群と4CMenB群(オッズ比1.2、95%信頼区間[CI]:0.8~1.7)、またはMenACWY-CRM群(同:0.9、0.6~1.3)の間に有意差はみられなかった。 しかし2回接種後3ヵ月以降に、4CMenB群では対照群と比べて、すべての髄膜炎菌株の保菌率に有意な低下がみられた(低下率18.2%、95%CI:3.4~30.8%)。また、BCWY莢膜群(同26.6%、10.5~39.9%)、CWY莢膜群(同29.6%、8.1~46.0%)、CWY血清群(同28.5%、2.8~47.5%)についても同様に低下がみられた。 対照群と比べた同様の保菌率の有意な低下は、MenACWY-CRM群でもみられた。Y血清群については39.0%(95%CI:17.3~55.0%)、CWY血清群は36.2%(同:15.6~51.7%)の低下が認められた。 一過性の注射部位の痛みと筋痛が4CMenBで増大したが、試験ワクチンに対する忍容性は概して良好であった。安全性に対する懸念は示されなかった。

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日本初のIFNフリー併用療法、海外第3相でも有用/Lancet

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1b型感染患者に対し、開発中のNS5A複製複合体阻害薬ダクラタスビル+NS3プロテアーゼ阻害薬アスナプレビルの経口2剤併用療法(日本では今年7月承認、海外では未承認)は、82~90%と高率の持続的ウイルス消失(SVR)を達成し、忍容性も良好であったことが示された。ドイツ・ハノーバー医科大学のMichael Manns氏らが第III相の国際マルチコホート試験の結果、報告した。所見は、未治療、前治療無効および不適格・不耐容であった患者で認められた。慢性HCV感染治療については、インターフェロンやリバビリンを用いない治療が希求されているが、著者は、「今回の結果は、肝硬変患者を含むHCV遺伝子型1b型感染患者に対して、インターフェロンやリバビリン不要の完全経口療法として、ダクラタスビル+アスナプレビルの使用を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。ダクラタスビル+アスナプレビル経口併用療法群vs. プラセボ群 HALLMARK-DUALと命名された本試験は、2012年5月11日~2013年10月9日に18ヵ国116施設で行われた。被験者は、慢性HCV遺伝子型1b型に感染した成人で、未治療、ペグインターフェロンα+リバビリン治療が無効、ペグインターフェロンα+リバビリン治療が不耐容であることが判明していた、または同治療について不適格および不耐容で医学的に不適格な患者であった。 未治療患者は、肝硬変の状態により層別化され、無作為に2対1の割合で、ダクラタスビル60mgを1日1回+アスナプレビル100mgを1日2回投与群、もしくはプラセボ群に割り付けられ12週間投与を受けた。 被験者および試験担当者は治療割付、12週時点のHCV RNAの結果については知らされなかった。 なお未治療患者で併用投与群に割り付けられた患者は、引き続き24週まで非盲検下で投与を受けた。プラセボ群患者は第2の併用投与試験に組み込まれた。前治療無効または不適格等であった患者は、非盲検下でダクラタスビル+アスナプレビル併用投与を24週間受けた。 主要エンドポイントは、治療後12週時点のSVRで、有効性の解析はダクラタスビル+アスナプレビル投与を受けた患者について行われた。12週SVR、未治療患者で併用群90%を達成 試験には、未治療患者307例(併用投与群205例、プラセボ群102例、[無作為化された全患者が治療を受けた])、前治療無効患者205例、不適格等患者235例が組み込まれた。 結果、ダクラタスビル+アスナプレビルによるSVR達成は、未治療群182例(90%、95%信頼区間[CI]:85~94%)、前治療無効群168例(82%、同:77~87%)、不適格等群192例(82%、同:77~87%)だった。 重大有害事象は、それぞれ12例(6%)、11例(5%)、16例(7%)の発生だった。治療中断となった有害事象は、それぞれ6例(3%)、2例(1%)、2例(1%)で、最も共通してみられたのはアラニン(ピルビン酸)またはASTの上昇で、死亡は報告されなかった。また、グレード3または4の検査値異常はほとんどなく、治療初期12週間のALT増加が併用群およびプラセボ群で少数報告された(それぞれ2%未満)。

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献血ドナーのHEV感染率は予想以上/Lancet

 英国の献血ドナー中の遺伝子3型E型肝炎ウイルス(HEV)感染者の割合は0.04%と、予想以上に高率で存在することが明らかになった。また、そうした感染者の献血を受けたレシピエントのうち、同ウイルスへの感染は4割以上で検出されたという。英国National Health Service Blood and TransplantのPatricia E Hewitt氏らが、同国で行われた献血後ろ向きに調査を行い報告した。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告より。HEV RNAについてスクリーニング、レシピエントも追跡調査 研究グループは、2012年10月~2013年9月に、英国南東部で行われた22万5,000件の献血について、後ろ向きにHEV RNAのスクリーニングを行った。 HEV RNAの検出については、血清学的、ゲノムによる系統学的な分析を行った。同献血のレシピエントも特定し、献血による同ウイルス感染のアウトカムについて調査した。HEV感染ドナー、71%が献血時に血清学的陰性 その結果、79例のドナーで遺伝子3型HEVのウイルス血症が検出され、HEV RNAの有病率は、2,848件中1件(0.04%)相当であることが示された。なお、同ウイルス血症を持つドナーのうち56例(71%)が、献血時には血清学的陰性だった。 79例のドナーから129個の血液製剤がつくられ、そのうち62個が60例への輸血に使われていた。同輸血のレシピエント43例について調べたところ、18例(42%)で同感染が認められた。 研究グループは、献血ドナーのHEV RNA罹患率は予想より高かったとまとめている。また、2,848件中1件という有病率から推定すると、試験を行った年に英国内で発生した急性HEV感染の発生件数は8~10万件に上るとしている。

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HCVに1日1回IFNフリーレジメンが有用/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染のインターフェロン(IFN)フリー治療として、シメプレビル+ソホスブビル併用療法は肝線維化の程度にかかわらず高い効果を発揮し、忍容性も良好であることが、米国・テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らが行ったCOSMOS試験で示された。HCV遺伝子型1型感染の治療は、従来のペグインターフェロン+リバビリン療法から直接作用型抗ウイルス薬を含むIFNフリーのレジメンへと進化している。シメプレビルは1日1回経口投与のNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、ソホスブビルは1日1回経口投与のヌクレオチドアナログNS5Bポリメラーゼ阻害薬であり、いずれも未治療および既治療の遺伝子型1型感染患者の第III相試験で良好な持続的ウイルス消失(SVR)率を達成している。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。IFNフリーの併用レジメンの有用性を無作為化試験で評価 COSMOS試験は、慢性HCV感染患者に対するシメプレビル(SIM)+ソホスブビル(SOF)±リバビリン(RBV)併用療法の有用性を検討する非盲検無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、血漿HCV RNA量>10,000IU/mL、HIV血清反応陰性で、代償性肝疾患がみられ、ペグインターフェロン+リバビリン療法が無効または未治療のHCV遺伝子型1型感染患者であった。 被験者は、SIM 150mg/日+SOF 400mg/日+RBV 1,000~1,200mg/日(24週)、SIM 150mg/日+SOF 400mg/日(24週)およびそれぞれを12週投与する4つの治療群に無作為に割り付けられた。さらに、肝線維化の指標であるMETAVIRスコア(F0[線維化なし]~F4[肝硬変])で2つのコホートに分けられた(コホート1[F0~F2]:前治療無効例、コホート2[F3~F4]:前治療無効例、未治療例)。 主要評価項目は、治療終了後12週時のSVR(HCV RNA量<25IU/mL、SVR12)の達成とした。安全性の解析はコホート1と2を合わせて行った。全体のSVR 12達成率は92%、RVR達成率は81% 2011年11月2日~2014年1月29日までに米国の23施設から168例が登録され、167例(コホート1:80例、コホート2:87例)が実際に治療を受けた。全体の年齢中央値は57歳、男性が64%、白人が81%、遺伝子型は1a型が78%、1b型が22%であった。 全体のSVR12達成率は92%(154/167例)であり、コホート1は90%(72/80例)、コホート2は94%(82/87例)であった。RBVの有無別のSVR12達成率は、RBV併用例が91%(98/108例)、RBV非併用例は95%(56/59例)であった。 未治療例のSVR12達成率は95%(38/40例)、前治療無効例は91%(116/127例)であった。また、12週治療例のSVR12達成率は94%(77/82例)、24週治療例は91%(77/85例)だった。 SVR12達成例は全例が治療終了後4週時のSVR(SVR4)をも達成しており、全体のSVR4達成率は91%以上であった。また、全体の迅速ウイルス消失(RVR、治療開始から4週以内のHCV RNA検出不能)の達成率は81%であった。治療期間中にウイルス再燃(viral breakthrough)を含むウイルス学的治療不成功を来した患者はいなかったが、治療終了後に6例でウイルスの再燃がみられた。重篤な有害事象、死亡は治療と関連しない 全体で最も高頻度にみられた有害事象は、疲労(31%[52/167例])、頭痛(20%[33/167例])、悪心(16%[26/167例])であった。 Grade 4の有害事象は、SIM+SOF+RBV(24週)群で1例(2%)、SIM+SOF+RBV(12週)群で1例(2%)、SIM+SOF(24週)群で3例(10%)に認められた。全体で発現率が5%を超えるGrade 3~4の有害事象は、血中アミラーゼ値上昇のみであった。血中アミラーゼ値上昇例は治療を継続したが、臨床的に膵炎を発症した患者はいなかった。 重篤な有害事象は、SIM+SOF+RBV(24週)群で3例(6%)、SIM+SOF(24週)群で1例(3%)に認められ、いずれもコホート2の患者であった。試験期間中に2例が死亡した(治療期間中は1例)。これら重篤な有害事象と死亡はいずれも治療とは関連しないと判定された。 有害事象による治療中止は4例(2%)みられた。いずれも24週治療の患者であったが、3例は12週以前に中止となった。 これらの結果に基づき、現在、リバビリンを使用しないシメプレビル+ソホスブビルの2剤併用療法の有効性と安全性を評価する第III相試験(OPTIMIST試験)が進行中だという。

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