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プライマリケアにおける高齢者の尿路感染症には速やかな抗菌薬処方が有効(解説:小金丸博氏)-1023

 尿路感染症は高齢者における最も代表的な細菌感染症である。重症度は自然軽快する軽症のものから、死亡率が20~40%に至る重症敗血症まで幅広い。高齢者では典型的な臨床経過や局所症状を認めないことも多く、診断は困難である。そのうえ、65歳以上の女性の20%以上に無症候性細菌尿を認めることが尿路感染症の診断をさらに困難にする。 現在、薬剤耐性菌を減らすための対策として世界中で抗菌薬の適正使用を推進する動きがある。最近の英国からの報告によると、2004年~2014年の間にプライマリケアにおける高齢者の尿路感染症に対する広域抗菌薬の処方は減少していたが、その一方でグラム陰性菌による血流感染症が増加しており、その関連性が議論されている。 本研究は、高齢者の下部尿路感染症患者に対する抗菌薬治療介入の方法と治療成績の関係を検討した後ろ向きコホート研究である。英国のプライマリケアを受診した65歳以上の患者のうち、下部尿路感染症と確定診断、あるいは疑われた全患者を対象とした。無症候性細菌尿、複雑性尿路感染症、入院例などは除外された。抗菌薬の処方タイミングによって、即時処方群(初回診断日に処方)、待機処方群(初回診断日から7日以内に処方)、処方なし群の3群に分類し、診断から60日以内の血流感染症、全死亡率などを比較した。その結果、60日以内の血流感染症の発生率は即時処方群が0.2%だったのに対し、待機処方群は2.2%、処方なし群は2.9%と有意に高率だった(p=0.001)。共変量で補正すると、即時処方群と比較した待機処方群の血流感染症のオッズ比は7.12(95%信頼区間:6.22~8.14)、処方なし群のオッズ比は8.08(同:7.12~9.16)だった。60日以内の全死亡率は、即時処方群が1.6%、待機処方群が2.8%、処方なし群が5.4%だった。多変量Cox回帰モデルで解析した結果、高齢、男性、Charlson併存疾患指数、喫煙などが60日以内の死亡と関連があった。特に、85歳以上の男性において死亡リスクが高かった。 本研究において、高齢者の下部尿路感染症に対して抗菌薬を即時処方することで、その後の血流感染症発生率や死亡率を減らすことが示された。後ろ向き研究であるものの、英国のデータベースを用いた非常に患者数の大きい研究であり、結果の信頼度は高い。研究のlimitationとして、菌名や耐性菌の割合など原因微生物の情報がないこと、患者の服薬遵守率が不明なこと、続発した血流感染症の侵入門戸が尿路かどうか不明なことなどが挙げられる。耐性菌を蔓延させないために抗菌薬の使用量を減らす努力は重要であるが、高齢者の尿路感染症に対して抗菌薬を投与することは妥当と考える。ただし、無症候性細菌尿に対して抗菌薬を投与することは厳に慎まなければならない。 本研究の結果をみると即時処方群が86.6%を占めていたが、本邦では高齢者の尿路感染症に対してもっと高率に抗菌薬を処方していると思われる。処方された抗菌薬をみてみると、トリメトプリム、ニトロフラントインがセファロスポリンやペニシリン系より多かった。キノロン系抗菌薬の割合が4.4%と少なかったことは、日本のプライマリケアの現場でも大いに見習うべき点であろう。

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024)意外と多い、乳房下の皮膚トラブル【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第24回 意外と多い、乳房下の皮膚トラブルしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今回は、高齢者でよく見かける皮膚トラブルについて描きました。高齢者の皮膚トラブルは、爪白癬、皮脂欠乏性湿疹、褥瘡、おむつ皮膚炎などさまざまですが、意外とあるのが“乳房下の間擦疹”。間擦疹とは、乳房下や腋窩など、皮膚がくっついてこすれる部分(間擦部)に起こる皮疹のことです。一般的には高温多湿の夏に起こりやすく、とくに肥満や多汗症の人によく見られます。老人性円背の方にも多く、“やっとの思いで間擦部を広げて診察をする”といったパターンも少なくありません。お胸の大きさにかかわらず起こりうる疾患ですが、とくにお胸のたわわな方は間擦部も広いため、症状が広範囲にわたってしまいます(大きなお胸の思わぬ罠…!?)。こうした乳房下の間擦疹。紅斑を見たときにまず考えたいのが、真菌感染の有無。蒸れる間擦部では真菌感染が起こりやすいため、必ず顕微鏡検査をして、真菌がいないことを確認したうえでステロイド軟膏の外用を行います(真菌が確認されたら、抗真菌薬の外用を行います)。いずれにしても、患部を乾燥した状態に保つことが必要なため、亜鉛華軟膏の重層塗布や、ガーゼを挟み込むなどの方法で、間擦部の乾燥を促すことも大切です。高齢者に意外と多い、乳房下の間擦疹についてでした。それでは、また~!

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低侵襲血腫除去+血栓溶解、脳内出血の予後を改善するか/Lancet

 30mL以上の脳内出血の治療において、MISTIEと呼ばれる画像ガイド下経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチは、標準治療と比較して1年後の機能的アウトカムを改善しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のDaniel F. Hanley氏らが行ったMISTIE III試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年3月9日号に掲載された。テント上脳出血による急性脳卒中は、合併症や死亡のリスクが高い。本症への開頭術による血腫除去は有益でないことが、大規模な無作為化試験で示されている。約500例対象に試験、1年後のmRSスコアを評価 研究グループは、低侵襲性の経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチ(MISTIE)の、脳内出血患者の機能的アウトカムの改善効果を検証する目的で、非盲検エンドポイント盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(米国国立神経疾患・脳卒中研究所とGenentech社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上の非外傷性テント上脳内出血(30mL以上)の患者であった。被験者は、血腫の大きさ15mL以下を目標に画像ガイド下MISTIEを施行する群、または標準治療群に無作為に割り付けられた。MISTIEの血栓溶解療法は、アルテプラーゼ1.0mgを8時間ごとに最大9回投与することとした。 主要アウトカムは良好な機能的アウトカムとし、365日時の修正Rankinスケール(mRS)のスコアが0~3と定義され(事前に規定されたベースラインの共変量で補正)、修正intention to treat(mITT)解析が行われた。 2013年12月~2017年8月の期間に、北米、欧州、オーストラリア、アジアの78施設で506例が登録され、499例(MISTIE群:250例、標準治療群:249例)がmITT解析に含まれた。365日mRS 0~3達成率:45% vs.41% ベースラインの全体の年齢中央値は62歳(IQR:52~71)、61%が男性であった。血腫の部位は、大脳基底核が307例(62%)、lobar regionが192例(38%)で、脳内の血腫量は41.8mL(IQR:30.8~54.5)であり、グラスゴー昏睡尺度(GCS)スコアは10(8~13)、NIH脳卒中尺度(NIHSS)は19(15~23)だった。 mITT解析による365日時のmRS 0~3の達成率は、MISTIE群が45%、標準治療群は41%と、両群間に有意な差を認めなかった(補正リスク差:4%、95%信頼区間[CI]:-4~12、p=0.33)。 7日時の死亡率は、MISTIE群が1%(2/255例)、標準治療群は4%(10/251例)であり(p=0.02)、30日時はそれぞれ9%(24例)、15%(37例)であった(p=0.07)。 症候性脳出血(MISTIE群2% vs.標準治療群1%、p=0.33)および脳細菌感染(1% vs.0%、p=0.16)の発生はいずれも同等であったが、無症候性脳出血はMISTIE群で有意に多かった(32% vs.8%、p<0.0001)。また、30日時までに1件以上の重篤な有害事象が発現した患者は、それぞれ30%(76例)、33%(84例)であり、件数は126件、142件と、有意な差がみられた(p=0.012)。 著者は、「これらの知見は、血腫量15mL以下の達成に、より重点を置いたうえで、MISTIE技術のさらなる検討を求めるものである」としている。

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日本ではC. difficile感染症の多くが見過ごされている?

 Clostridioides(Clostridium) difficileは、先進国における医療関連感染性下痢症の主要な原因である。後ろ向き研究では、日本では欧州や北米よりC. difficile感染症(CDI)の発生率が低いことが示されている。CDI発生率が実際に低いのか、不適切なC. difficile検査によるものかを調べるため、国立感染症研究所の加藤はる氏らが前向き研究を実施した。その結果、臨床的に意義のある下痢症患者を積極的に検査することによって、CDI発生率はわが国における今までの報告より高かった。この結果から、著者らは「日本ではCDI診断のための細菌学的検査が不適切であるため、多くのCDI患者が見過ごされていることを示唆している」と述べている。Anaerobe誌オンライン版2019年3月11日号に掲載。 本研究は、2014年5月~2015年5月に日本の12医療施設(20病棟)で実施されたCDIの前向きコホート研究。24時間以内に3回以上の下痢便(Bristol stool Grade 6~7)が認められた患者が登録された。CDIは、酵素免疫アッセイによる糞便中toxin A/B検出、核酸増幅検査による糞便中toxin B遺伝子検出、または毒素産生性C. difficile培養検査における陽性例と定義した。C. difficile分離株について、PCR-ribotyping(RT)、slpA-sequence typing(slpA-ST)、薬剤感受性試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・CDIの全体の発生率は、7.4 CDI/10,000 patient-days(PD)であった。・発生率は、5つのICU病棟で最も高かった(22.2 CDI/10,000PD、範囲:13.9~75.5)。・検査頻度とCDI発生率は高度に相関していた(R2=0.91)。・分離株146株のうち、RT 018/018''が最も多く(29%)、続いて014(23%)、002(12%)、369(11%)の型が続いた。・15の非ICU病棟のうち、2病棟でCDI発生率が高く(13.0、15.9 CDI/10,000PD)、それぞれRT 018/slpA-ST smz-02および018"/smz-01による患者クラスターが認められた。・RT 018/018"分離株はすべて、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、クリンダマイシン、エリスロマイシンに対して耐性であった。

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再発ヘルペスを患者判断の服薬で抑止

 再発性単純疱疹の初期症状に対し、患者判断で抗ヘルペスウイルス薬の服用を開始できるPIT(Patient Initiated Therapy)としての用法・用量がわが国で初めて承認された。 これを機に、2019年3月6日、マルホ株式会社が開催したメディアセミナーにて、本田 まりこ氏(東京慈恵会医科大学皮膚科 客員教授/まりこの皮フ科 院長)が、ヘルペスウイルスによる感染症について、最新の動向と治療戦略を語った。PITは海外での標準的な治療法 ヘルペスウイルスは、初感染後、生涯にわたって神経節に潜伏感染する。なかでも単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症は、免疫力の低下をきっかけに再発を繰り返す。年間再発回数は、HSV-1(主に口唇ヘルペスの原因)感染者で平均2.14回、HSV-2(主に性器ヘルペスの原因)感染者で平均9.34回というデータが報告されている。 抗ヘルペスウイルス薬による再発性単純疱疹の治療は、発病初期に近いほど効果が期待されるが、初期症状のうちに医療機関を受診できる患者は少ない。しかし患者の多くは、痒みや違和感などといった再発の初期症状を、皮膚症状が発現する前に自覚しているという。 患者が再発ヘルペスの初期症状を自覚した時点で、あらかじめ処方された経口抗ヘルペスウイルス薬を服用する方法は「PIT」と呼ばれ、海外においては再発性単純疱疹の標準的治療法として位置付けられている。早期の再発治療で、患者のQOL向上を目指す 再発は一般的に軽症例が多いが、年に複数回繰り返されるので、患者の精神的な負担にもなると考えられている。一方、免疫不全患者ではびらんから潰瘍に進行することもあり、予防と早期治療が求められる。 2019年2月、ファムシクロビル錠250mg(商品名:ファムビル)に、PITの用法・用量として、再発性の単純疱疹に対する適応が追加された。これによって、患者は再発性単純疱疹の初期症状に対し、あらかじめ処方された本剤を1回1000mg、1日2回服用することで、自己判断による再発治療が可能となった。 本田氏は、「抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える薬であるため、発症初期に服用しないと意味がない。再発時の初期症状に対し、適切な薬剤を服用すると、病変の出現を予防できることがある。処方時、患者には正しい服薬指導をしておくことが重要」と述べ、講演を終えた。

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新規のアミノグリコシド系抗菌薬plazomicinの複雑性尿路感染症に対する効果(解説:吉田敦氏)-1013

 腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の薬剤耐性は、現在、われわれが日常最も遭遇する薬剤耐性と言ってよいであろう。たとえば本邦で分離される大腸菌の約4割はフルオロキノロン耐性、約2割はESBL産生菌である。実際に複雑性尿路感染症の治療を開始する際に、主原因である腸内細菌細菌の抗菌薬耐性をまったく危惧しない場合は、ほぼないと言えるのではないだろうか。そして結果としてβラクタム系およびフルオロキノロン系が使用できないと判明した際、残る貴重な選択肢の1つはアミノグリコシド系であるが、腎障害等の副作用が使用を慎重にさせている点は否めない。 今回の検討では、腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症例をアミノグリコシド系であるplazomicin群(1日1回静脈内投与)とメロペネム群にランダムに割り付け、少なくとも4日間以上続けた後、およそ8割の例で経口抗菌薬に変更し、合計7~10日の治療期間としている。なお投与開始から5日目、および15~19日目の臨床的、微生物学的改善がプライマリーエンドポイントとして設定された。そして結果としてplazomicinはおおよそメロペネムに劣らなかったが、特に15~19日目における臨床的、微生物学的改善率がplazomicin群において高かった。 本検討において最も関心が持たれる点はおそらく、(1)薬剤耐性菌の内訳と、それらへの効果、(2)plazomicinの副作用の有無と程度、(3)経口抗菌薬による影響、そして(4)再発に対する効果ではないだろうか。今回の検討例ではレボフロキサシン耐性は約4割、ESBL産生は約3割、カルバペネム系耐性(CRE)は約4%であるから、本邦の現在よりやや耐性株が多い。そしてESBL産生菌、アミノグリコシド(AMK、GM、TOBのいずれか)耐性株ともにplazomicin群がメロペネム群よりも微生物学的改善率が高かった。検討例はクレアチニンクリアランスが30mL/min以上の者であるが、うち30~60mL/minが35%、60~90mL/minが38%、90mL/min以上が26%を占める。このような集団でのCr 0.5mg/dL以上の上昇例がplazomicin群で7%、メロペネム群で4%認められた。一方、経口抗菌薬の第1選択はレボフロキサシンであるが、実際にはレボフロキサシン耐性株分離例の60%でレボフロキサシンが選択されていた。また治療後の無症候性細菌尿と、それに関連する再発がplazomicin群で低かった。 ほかにも結果解釈上の注意点がある。まず微生物学的改善の基準は、尿路の基礎状態にかかわらず、治療前に尿中菌数が105CFU/mL以上であったものが、治療後104CFU/mL未満になることと定義している点である。尿中菌数とその低下は基礎状態にも左右されるし、実際の低下度合いについては示されていない。さらに微生物学的改善の評価における重要な点として、当初から検討薬に耐性である例は除外されていることである(plazomicin感性は4μg/mL以下としている)。また治療前に感性であったものが、治療後に耐性になった例はplazomicin群の方がやや多かった。 以上のような注意点はあるものの、多剤耐性菌が関わりやすい複雑性尿路感染症の治療手段として有用な選択肢が増えた点は首肯できると言えよう。なおplazomicinはアミノグリコシド修飾酵素によって不活化されにくい点が従来のアミノグリコシドに勝る利点であるが、リボゾームRNAのメチル化酵素を産生するNDM型カルバペネマーゼ産生菌には耐性であり1)、ブドウ糖非発酵菌のPseudomonas、Acinetobacterについては従来のアミノグリコシドを凌駕するものではないと言われている2)。反面、尿路感染症では関与は少ないが、MRSAに対する効果が報告されている3)。本邦への導入検討に際しては、本邦の分離株を対象とした感受性分布ならびに耐性機構に関するサーベイランスが行われるのが望ましいと考える。そのような検討が進むことに期待したい。

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1日1回plazomicin、複雑性尿路感染症に有効/NEJM

 多剤耐性株を含む腸内細菌細菌による複雑性尿路感染症(UTI)および急性腎盂腎炎の治療において、plazomicin1日1回投与はメロペネムに対し非劣性であることが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian M. E. Wagenlehner氏らが行ったEPIC試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年2月21日号に掲載された。近年、グラム陰性尿路病原菌では多剤耐性菌が増加し、重篤な感染症に対する新たな治療薬が求められている。plazomicinは、アミノグリコシド系抗菌薬で、カルバペネム耐性を含む多剤耐性腸内細菌細菌に対し殺菌活性を発揮するという。非劣性を検証する無作為化試験 本研究は、急性腎盂腎炎を含む複雑性UTIの治療におけるplazomicinのメロペネムに対する非劣性の検証を目的とする国際的な二重盲検無作為化第III相試験である(Achaogen社などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、クレアチニンクリアランス>30mL/分で、膿尿がみられ、4日以上の抗菌薬静脈内投与を要する複雑性UTIまたは急性腎盂腎炎の患者であった。 被験者は、plazomicin(15mg/kg体重、1日1回)またはメロペネム(1g、8時間ごと)を静脈内投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。4日以上の静脈内投与を施行後、経口投与へのステップダウンを選択できることとし、合計7~10日の治療が行われた。 主要エンドポイントは、微生物学的修正intention-to-treat(ITT)集団における治療開始5日時と治癒判定の受診時(治療開始から15~19日)の複合治癒(臨床的治癒、微生物学的除菌)であった。非劣性マージンは15ポイントとした。24~32日時の微生物学的・臨床的再発率も良好 2016年1月~9月の期間に、北米と欧州の68施設で609例が登録され、このうち604例(99.2%)が修正ITT集団(安全性解析の対象)、388例(63.7%)が微生物学的修正ITT集団に含まれた。 微生物学的修正ITT集団の平均年齢は59.4歳、72.2%に腎機能障害が認められた。複雑性UTIが58.2%、急性腎盂腎炎は41.8%であった。平均静脈内投与期間は両群とも5.5日、平均静脈内投与+経口投与期間はplazomicin群が9.2日、メロペネム群は8.9日であり、それぞれ80.6%、76.6%で経口薬(主にレボフロキサシン)へのステップダウン治療が行われていた。 有効性の主要エンドポイントに関して、plazomicinはメロペネムに対し非劣性であった。治療開始5日時の複合治癒は、plazomicin群の88.0%(168/191例)、メロペネム群の91.4%(180/197例)で観察された(差:-3.4ポイント、95%信頼区間[CI]:-10.0~3.1)。また、治癒判定受診時の複合治癒は、それぞれ81.7%(156/191例)および70.1%(138/197例)で観察された(11.6ポイント、2.7~20.3)。 治癒判定受診時の除菌率は、plazomicin群がメロペネム群に比べ、アミノグリコシド系抗菌薬に感受性のない腸内細菌細菌(78.8 vs.68.6%)および基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌細菌(82.4 vs.75.0%)において高かった。 治療開始24~32日のフォローアップでは、plazomicin群はメロペネム群に比し、複合治癒の割合が高く(77.0 vs.60.4%、差:16.6ポイント、95%CI:7.0~25.7)、微生物学的再発率(3.7 vs.8.1%)および臨床的再発率(1.6 vs.7.1%)が低かった。 plazomicin群で頻度の高い有害事象は、下痢(2.3%)、高血圧(2.3%)、頭痛(1.3%)、悪心(1.3%)、嘔吐(1.3%)、低血圧(1.0%)であった。腎機能低下に関連する有害事象は、plazomicin群の3.6%、メロペネム群の1.3%にみられ、重篤な有害事象は両群とも1.7%に認められた。また、血清クレアチニン値のベースラインから0.5mg/dL以上(40μmol/L以上)の上昇が、plazomicin群の7.0%(21/300例)およびメロペネム群の4.0%(12/297例)に発生した。 著者は、「これらの知見は、他のアミノグリコシド系抗菌薬に感受性のない腸内細菌細菌や、ESBL産生腸内細菌細菌に起因する感染症を含む複雑性UTIおよび急性腎盂腎炎の成人患者の治療における、plazomicin 1日1回投与を支持するものである」としている。

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C型肝炎へのDAA、実臨床での有効性を前向き調査/Lancet

 直接作用型抗ウイルス薬(DAA)は、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療に広範に使用されてきたが、その実臨床における有効性の報告は十分でなく、投与例と非投与例を比較した調査はほとんどないという。今回、フランス・ソルボンヌ大学のFabrice Carrat氏らの前向き調査(French ANRS CO22 Hepather cohort研究)により、DAAは慢性C型肝炎による死亡および肝細胞がんのリスクを低減することが確認された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年2月11日号に掲載された。ウイルス蛋白を標的とするDAA(NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬、NS5A複製複合体阻害薬)の2剤または3剤併用療法は、HCV感染に対し汎遺伝子型の有効性を示し、95%を超える持続的ウイルス陰性化(SVR)を達成している。DAAの有無でアウトカムを比較するフランスの前向きコホート研究 研究グループは、DAA治療を受けた患者と受けていない患者で、死亡、肝細胞がん、非代償性肝硬変の発生率を比較するコホート研究を実施した(INSERM-ANRS[France Recherche Nord & Sud Sida-HIV Hepatites]などの助成による)。 フランスの32の肝臓病専門施設で、HCV感染成人患者を前向きに登録した。慢性B型肝炎患者、非代償性肝硬変・肝細胞がん・肝移植の既往歴のある患者、第1世代プロテアーゼ阻害薬の有無にかかわらずインターフェロン-リバビリン治療を受けた患者は除外された。 試験の主要アウトカムは、全死因死亡、肝細胞がん、非代償性肝硬変の発生の複合とした。時間依存型Cox比例ハザードモデルを用いて、DAAとこれらアウトカムの関連を定量化した。 2012年8月~2015年12月の期間に、1万166例が登録された。このうちフォローアップ情報が得られた9,895例(97%)が解析に含まれた。全体の年齢中央値は56.0歳(IQR:50.0~64.0)で、53%が男性であった。補正前は高リスク、多変量で補正後は有意にリスク低下 フォローアップ期間中に7,344例がDAA治療を開始し、これらの患者のフォローアップ期間中央値(未治療+治療期間)は33.4ヵ月(IQR:24.0~40.7)であった。2,551例は、最終受診時にもDAA治療を受けておらず、フォローアップ期間中央値は31.2ヵ月(IQR:21.5~41.0)だった。 DAA治療群は非治療群に比べ、年齢が高く、男性が多く、BMIが高値で、過量アルコール摂取歴のある患者が多かった。また、DAA治療群は、肝疾患や他の併存疾患の重症度が高かった。さらに、DAA治療群は、HCV感染の診断後の期間が長く、肝硬変への罹患、HCV治療中、ゲノタイプ3型の患者が多かった。 試験期間中に218例(DAA治療群:129例、DAA非治療群:89例)が死亡し、このうち73例(48例、25例)が肝臓関連死、114例(61例、53例)は非肝臓関連死で、31例(20例、11例)は分類不能であった。258例(187例、71例)が肝細胞がん、106例(74例、32例)が非代償性肝硬変を発症した。25例が肝移植を受けた。 未補正では、DAA治療群のほうが非治療群に比べ、肝細胞がん(未補正ハザード比[HR]:2.77、95%信頼区間[CI]:2.07~3.71、p<0.0001)および非代償性肝硬変(3.83、2.29~6.42、p<0.0001)のリスクが有意に高かった。 これに対し、年齢、性別、BMI、地理的発生源、感染経路、肝線維化スコア(fibrosis score)、HCV未治療、HCVゲノタイプ、アルコール摂取、糖尿病、動脈性高血圧、生物学的変量(アルブミン、AST、ALT、ヘモグロビン、プロトロンビン時間、血小板数、α-フェトプロテイン)、肝硬変患者の末期肝疾患モデル(MELD)スコアで補正したところ、DAA治療群では非治療群と比較して、全死因死亡(補正後HR:0.48、95%CI:0.33~0.70、p=0.0001)および肝細胞がん(0.66、0.46~0.93、p=0.018)のリスクが有意に低下し、未補正での非代償性肝硬変のリスクの有意差は消失した(1.14、0.57~2.27、p=0.72)。 また、全死因死亡のうち、肝臓関連死(0.39、0.21~0.71、p=0.0020)と非肝臓関連死(0.60、0.36~1.00、p=0.048)のリスクは、いずれもDAA治療群で有意に低かった。 著者は、「DAA治療は、あらゆるC型肝炎患者において考慮すべきである」と結論し、「今回の結果は、重症度の低い患者へフォローアップの対象を拡大し、DAAの長期的な臨床効果の評価を行うことを支持するものである」としている。

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インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解

 2019年2月27日、日本医師会の釜萢 敏氏(常任理事)が、今季における季節性インフルエンザについて、診断方法や治療薬の選択、“隠れインフルエンザ”への対応など、世間の話題も踏まえた見解を記者会見で発表した。 昨季に続き、今季もインフルエンザは大規模な流行となったが、患者数は2019年第4週(1月21~27日)をピークに収束をみせている。ピーク時の患者数は昨年を上回ったものの、累積の推計受診者数は、昨季の推計全罹患者数を下回る見通しだ。 ワクチンの供給がより円滑に行われた結果とも考えられるが、最も需要が高かった11月の供給量は必ずしも十分でなかったという。ワクチンについては、引き続き対策を講じていく必要があるだろう。診断に、必ずしも迅速診断キットは必要でない 釜萢氏は、インフルエンザの診断に関して、「迅速診断検査は、必ずしも全例に実施する必要はない」と世間における認識の是正を求めた。「検査はあくまでも補助なので、一番大事なのは患者さんの症状をしっかり把握すること。周辺の流行状況や罹患者との接触の有無などを踏まえて、総合的に判断すべき」とコメントした。 迅速診断キットの判定について、最近の傾向としては、急激な発熱などの発症から約6時間以降で検出される場合が多いという。しかし、確実な判定が出るまでの時間については一概に言えないため、最終的には医師の判断となる。 「処方薬は、患者さんの希望にかかわらず、医師がきちんと判断し、同意を得たうえで処方するもの。新たな作用機序を持つバロキサビル(商品名:ゾフルーザ)については、まだ十分な知見が揃っていない。耐性ウイルスの出現など考慮すべき点もあるので、従来の薬の使用も併せて検討すべき」と、新規抗インフルエンザウイルス薬については慎重な姿勢を示した。治癒証明書は医師が書かなくてもよい 児童生徒などの出席停止期間については、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」と学校保健安全法施行規則によって定められている。医師は、その基準を踏まえたうえで診断し、出席可能となる条件と日数を患者に伝えなければならない。インフルエンザに関しては、治癒証明書のために再度受診させる必要はなく、自治体や学校が作成した証明書に保護者または本人が記入して、学校に提出すれば問題ない。 インフルエンザに罹患した場合の対応は職場においても同様で、周りに感染を拡大させないことが重要である。抗インフルエンザ薬の内服によって、症状が出る時間を短縮できるが、症状がなくてもウイルスは排出されるため、感染拡大を防止するには、基準日数を厳守したほうが確実だ。“隠れインフルエンザ”から感染が拡大する可能性は低い 世間の話題として、特徴的な症状がみられないにもかかわらず、抗原検査をすると陽性判定の“隠れインフルエンザ”に対する不安が強まっている。しかし、こういった症状は流行地域でみられる場合が多く、流行していない地域では少ないという。原因としては、ウイルスと接触することで抗体が作られ、通常より症状が抑えられることなどが考えられる。しかし、患者本人は元気でも、他人にうつしてしまう危険性を理解し、通常のインフルエンザと同様の対策が求められる。

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第8回 呼吸の異常-1 頻呼吸の原因は?【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回は呼吸の異常について取り上げたいと思います。前回お話しした救急のABCを覚えていますか?「気道(Airway)」「呼吸(Breathing)」「循環(Circulation)」でしたね。呼吸の異常に関係するAとBは、バイタルサインでいうと呼吸数です。患者さんを観察し、バイタルサインを評価することによって、気道・呼吸・循環の状態を考え、急を要するか否かを考えてみましょう。患者さんAの場合◎経過──186歳、男性。脳梗塞の既往があります。意思疎通をとることはできますが、左半身の不完全麻痺があり、ベッド上で過ごすことがほとんどです。全介助によって車いすに移乗できます。食事は、お粥と細かくきざんだ軟らかいおかずを何とか自分で食べることができますが、1か月ほど前から介助を必要とすることが多くなってきました。本日、定期の訪問日だったため、薬剤師であるあなたが患者さん宅を訪れると、「ハァハァ」と呼吸が速く、息苦しそうにしていることに気が付きました。家族(妻)から、「調子が悪そうなんですけど、お医者さんに行った方がよいでしょうか...」と相談されました。呼吸の調節さて、呼吸が速いことに気がついたあなたは、呼吸数が増加する原因を考えました。頻呼吸となる原因はいくつかあります。原因1●血液中の酸素濃度が低下、または二酸化炭素濃度が上昇したとき空気の通る気道に異常(気道異物や急性喉頭蓋炎※1など)を来したり、肺に異常(肺炎や心不全など)があると、酸素が取り込めなくなったり二酸化炭素を排出できなくなったりします。血液中の酸素濃度が低下すると、頸動脈や大動脈にある末梢化学受容器(頸動脈小体、大動脈小体)〈図1〉が刺激されます。一方、二酸化炭素濃度が上昇した時は、脳幹(延髄)にある中枢化学受容器が刺激されます。どちらも、頻呼吸となったり1回の呼吸が大きくなったりします。また、呼吸をしようとしても神経や筋の疾患(ギランバレー症候群※2や重症筋無力症、頸髄損傷など)のために、十分に胸が動かない状態でも同様です。原因2●代謝性アシドーシス腎不全などにより血液が酸性に傾いた状態を代謝性アシドーシスと言います。呼吸をすることによって、酸性の状態から正常のpHに戻そうとします。糖尿病性ケトアシドーシス※3が有名です。原因3●過換気症候群※4、ヒステリーなど精神的な問題でも呼吸が速くなります。※1 急性喉頭蓋炎細菌感染により喉頭蓋に炎症を起こす疾患。初発症状は発熱や喉の痛みだが、喉頭蓋が腫れるため気道狭窄を起こし、喘鳴や呼吸困難が現れることがある。※2 ギランバレー症候群筋肉を動かす運動神経の障害のため、手足に力が入らなくなる疾患。重症の場合には中枢神経障害性の呼吸不全が現れる。※3 糖尿病性ケトアシドーシス1型糖尿病患者ではインスリンが欠乏し、細胞は血液中からブドウ糖を取り込むことができない。そのため、脂肪酸からエネルギーを産生する。特にインスリンが絶対的に欠乏した場合(1型糖尿病発症時、インスリンの自己注射を中断した時など)は、脂肪酸代謝が亢進するためケトン体が生合成される。このケトン体により血液が酸性に傾く状態を糖尿病性ケトアシドーシスと呼ぶ。口渇、多尿、悪心・嘔吐、腹痛を引き起こし、脳浮腫、昏睡、死亡に至る場合もある。※4 過換気症候群心理的な原因により過呼吸(深く速い呼吸)となり、血液がアルカリ性に傾く。このため、眩暈、手足のしびれ、時には痙攣や意識障害が現れる。

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脊髄性筋萎縮症〔SMA:spinal muscular atrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義運動神経系は、脳から脊髄の上位運動ニューロンと、脊髄から筋肉の下位運動ニューロンに大別される。脊髄性筋萎縮症(SMA)では、この脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)が選択的に障害されることにより、下位運動ニューロン障害を示す疾患である。上位運動ニューロン徴候は伴わず、体幹、四肢の近位部優位の筋力低下、筋萎縮を示す1)。■ 疫学筆者らが実施した2017年の1年間における疫学調査では、有病率は総人口10万人当たり1.16、発生率は出生1万人当たり0.6であった。■ 病因SMAの原因遺伝子はSMN1(survival motor neuron 1)遺伝子であり、第5染色体長腕5q13に存在し、同領域に向反性に重複した配列のSMN2遺伝子も存在する(図)。SMN1遺伝子は両親から欠失を受け継ぎ、ホモ接合性の欠失により発症する場合が多い。SMN1遺伝子の下流にはNAIP(neuronal apoptosis inhibitory protein)遺伝子が存在する。臨床的重症度の幅は、SMNタンパク質の発現量、すなわちSMN2遺伝子がどの程度、SMNタンパク質を産生するかで説明できる。臨床像が軽症の場合、SMN1遺伝子欠失ではなく遺伝子変換によりSMN1遺伝子がSMN2遺伝子になること、すなわちSMN2遺伝子の遺伝子産物の量が多くなり、臨床症状の重症から軽症の幅の説明となっている。図 SMAの原因遺伝子(SMN1とSMN2)画像を拡大する■ 分類SMAの分類としては表に示すように、発症年齢、臨床経過に基づき、I型(OMIM#253300)、II型(OMIM#253550)、III型(OMIM#253400)、IV型(OMIM#27115)に分類される。胎児期発症の最重症型を0型と呼ぶこともある。筆者らは運動機能に基づき、I型をIa、 Ib、II型をIIa、 IIb、III型をIIIa、 IIIbにサブタイプ分類し、それぞれの亜型間で運動機能の喪失に有意差があることを示した2)。このような細分類は、薬事承認された核酸医薬品、遺伝子治療薬をはじめ、新規治療薬の長期の有効性評価に有用である。表 最高到達運動機能によるSMAの分類画像を拡大する■ 症状舌や手指の筋線維束性収縮などの脱神経の症状と近位筋優位の骨格筋の筋萎縮を伴った筋力低下の症状を示す。次に型別の症状を示す。I型:重症型、急性乳児型、ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig-Hoffmann)病筋力低下が重症で全身性である。妊娠中の胎動が弱い例も存在する。発症は生後6ヵ月まで。発症後、運動発達は停止し、体幹を動かすこともできず、筋緊張低下のために体が柔らかいフロッピーインファントの状態を呈する。肋間筋に対して横隔膜の筋力が維持されているため吸気時に腹部が膨らみ胸部が陥凹する奇異呼吸を示す。支えなしに座ることができず、哺乳困難、嚥下困難、誤嚥、呼吸不全を伴う。舌の線維束性収縮がみられる。深部腱反射は消失、上肢の末梢神経の障害によって、手の尺側偏位と手首が柔らかく屈曲する形のwrist dropが認められる。人工呼吸管理を行わない場合、死亡年齢は平均6〜9ヵ月であり、2歳までに90%以上が死亡する。II型:中間型、慢性乳児型、デュボビッツ(Dubowitz)病発症は1歳6ヵ月まで。支えなしの起立、歩行ができないが、座位保持が可能である。舌の線維束性収縮や萎縮、手指の振戦がみられる。腱反射は減弱または消失。次第に側弯が著明になる。II型のうち、より重症な症例は呼吸器感染に伴って、呼吸不全を示すことがある。III型:軽症型、慢性型、クーゲルベルグ・ウェランダー(Kugelberg-Welander)病発症は1歳6ヵ月以降。自立歩行を獲得するが、次第に転びやすい、歩けない、立てないという症状が出てくる。後に、上肢の挙上も困難になる。IV型:成人発症小児期や思春期に筋力低下を示すIII型の小児は側弯を示すが、成人発症のSMA患者では側弯は生じない。それぞれの型の中でも臨床的重症度は多様であり、分布は連続性である。■ 予後I型は無治療では1歳までに呼吸筋の筋力低下による呼吸不全の症状を来す。薬物治療をせず、人工呼吸器の管理を行わない状態では、90%以上が2歳までに死亡する。II型は呼吸器感染、無気肺を繰り返す例もあり、その際の呼吸不全が予後を左右する。III型、IV型は生命的な予後は良好である。2017年のヌシネルセン(商品名:スピンラザ)の薬事承認以降、従来のSMAの予後は大きく変貌した。2020年には遺伝子補充療法オナセムノゲンアベパルボベク(同:ゾルゲンスマ)が2歳未満を適応として薬価収載された。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)上記の臨床症状からSMAを疑う。中枢神経機能障害、関節拘縮症、外眼筋、横隔膜、心筋の障害、聴覚障害、著しい顔面筋罹患、知覚障害、血清クレアチンキナーゼ値が正常上限の10倍以上、運動神経伝導速度が正常下限の70%以下、知覚神経活動電位の異常などの所見がある場合、SMAとは考えにくい。SMAにおいて、遺伝子診断は最も広く行われる非侵襲的診断方法であり、確定診断となる。末梢血リンパ球よりDNAを抽出し、SMN1遺伝子のexon 7、8の欠失の有無にて診断し、SMN2遺伝子のコピー数にて型を推定する。SMN1遺伝子のホモ接合性の欠失はI型、II型では90%以上に認められるが、III型、IV型では低く、遺伝子的多様性が考えられる。筋生検は実施されなくなっている。遺伝学的検査によって欠失・変異が同定されなかった場合に、他の疾患の可能性も考えて実施される。SMAでは、小径萎縮筋線維の大集団、群萎縮group atrophy、I型線維の肥大を示す。筋電図では高電位で幅が広いgiant spikeなどの神経原性変化を示す。SMN遺伝子を原因としないSMAにおいて、指定難病(特定疾患)の診断として筋電図が実施される。また、ヌシネルセンなどの治療・治験の有効性評価としてC-MAPが測定されることもある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)遺伝学的検査によりSMN1遺伝子の欠失または変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者へのアンチセンスオリゴ核酸(ASO)薬であるヌシネルセン髄腔内投与3,4)の適応が認められている。乳児型では初回投与後、2週、4週、12週、以降4ヵ月ごとの投与、乳児型以外では初回投与後、4週、12週、以降6ヵ月ごとの投与である。一方、臨床所見は発現していないが遺伝学的検査によりSMAの発症が予測される場合も含み、2歳未満の患者において抗AAV9抗体が陰性であることを確認された患者への遺伝子治療薬オナセムノゲンアベパルボベク静脈内投与が認められている。これは1回投与である。これらの治療開始は、早ければ早いほど有効性も高く、早期診断・早期治療開始が重要である。ベクター製剤の投与では肝機能障害、血小板減少などの副作用が報告されている5)。投与前日からのプレドニゾロン継続投与が必須である。I型、II型では、授乳や嚥下が困難なため経管栄養が必要となる場合がある。また、呼吸器感染、無気肺を繰り返す場合は、これが予後を大きく左右する。I型のほぼ全例で、救命のためには気管内挿管、後に気管切開と人工呼吸管理が必要であったが、上記の治療により人工呼吸管理を要さない例もみられるようになった。I型、II型において、非侵襲的陽圧換気療法(=鼻マスク陽圧換気療法:NIPPV)は有効と考えられるが、小児への使用には多くの困難を伴う。また、すべての型において、筋力に合わせた運動訓練、理学療法を行う。III型、IV型では歩行可能な状態の長期間の維持や関節拘縮の予防のために、理学療法や装具の使用などの検討が必要である。小児においても上肢の筋力が弱いため、手動より電動車椅子の使用によって活動の幅が広くなる。I型やII型では胃食道逆流の治療が必要な場合もある。脊柱変形に対しては脊柱固定術が行われる場合もある。4 今後の展望核酸医薬品はRNAに作用して転写に影響を与えるため、病態修飾治療として症状が固定する前、さらには発症の前に投与することでSMAの症状の発現を抑え、軽減化もしくは無症状化する可能性がある。薬物動態の解析により、高用量による有効性が考えられ、わが国も参加して高用量投与の国際共同治験が開始されている。ヌシネルセンと同様のメカニズムを持つ低分子医薬品経口薬(risdiplam)の開発もなされ治験が実施され、有効性があったとされている。有効性が証明されれば、投与経路が経口であることから負担が軽減するという点でも期待される。アデノ随伴ウイルス(AAV9)をベクターとする遺伝子治療は、疾患の原因であるSMN1遺伝子を静脈注射1回にて投与するもので、第II、第III相試験において乳児への有効性の報告がなされ6)2歳未満を適応として保険収載された。発症前または発症後のできるだけ早期の1回投与で永続的な有効性を示すとされ、次世代のSMA治療といえる。SMAの今後の治療・発症予防としては、遺伝学的解析による新生児スクリーニングを行い、SMN1遺伝子の両アレル性の遺伝子変異を示した例に対する治療により発症抑制を行うことが必要である。これらの治療法の進歩に伴い、SMAの有効性評価の判定にはバイオマーカーの開発が重要である。SMAの有効性評価は、運動機能評価により行われるが、SMAでは年齢や型や運動機能の幅が広く均一の評価法がない。そのために、長期間の有効性を数値などで示すことができない。そこで、均一な評価としてバイオマーカーが必須であると考え、筆者らはイメージングフローサイトメトリーによる血液細胞中のSMNタンパク質量測定を考案した。長期にわたるSMA治療の有効性の指標として有用であると考えている7)。5 主たる診療科小児期発症の場合は神経小児科、15歳以上は脳神経内科が担当する。遺伝学的検査、遺伝カウンセリングは遺伝子診療部が担当する。筆者らの所属する「ゲノム診療科」では、確定診断、出生前診断などの遺伝学的検査とともに、診断・治療・療育などのコンサルトにも対応している。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 脊髄性筋萎縮症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:SMAは国の指定難病、特定疾患に認定されている。厚生労働省補助事業として、行政・福祉・助成制度をはじめとしたさまざまな情報が掲載されている)SMARTコンソーシアム (患者登録システム)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:筆者らの運営しているSMARTコンソーシアムは治療を目指す患者登録システム。実績として登録者による治験実施や新規治療の進歩があった)神経変性疾患領域における基盤的調査研究班(研究代表者:中島健二氏) 脊髄性筋萎縮症(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会(患者とその家族および支援者の会:1999年に設立。ホームページにおける情報提供や定期的な会合など活動を行っている)1)SMA診療マニュアル編集委員会(代表 齋藤加代子)編. 脊髄性筋萎縮症診療マニュアル 第1版. 金芳堂;2012.p.1-5.2)Kaneko K, et al. Brain Dev. 2017;39:763-773.3)Finkel RS, et al. N Engl J Med. 2017;377:1723-1732.4)Mercuri E, et al. N Engl J Med. 2018;378:625-635.5)Waldrop MA, et al. Pediatrics. 2020;146:e20200729.6)Mendell JR, et al. N Engl J Med. 2017;377:1713-1722.7)Otsuki N, et al. PLoS One. 2018;13:e0201764.公開履歴初回2019年2月26日更新2021年2月2日

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「新しいインフル薬は1回飲めば治るんですよね」の意図を探れ!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第19回

冬になるとインフルエンザ患者が多くなり、調剤や吸入指導で忙しくなる!…と身構えていたのに、今シーズンは意外とそうでもなかったかも?と思っている薬剤師さんも多いのではないでしょうか。昨シーズンまではインフルエンザといえば5日間の内服や吸入、もしくは薬局での吸入といった服薬・吸入指導が一般的でした。その中でも吸入薬は、家で吸入する場合であっても、薬局で吸入する場合であっても指導にかなりの時間を取られてきたのではないでしょうか。しかし、2018年3月に発売されたバロキサビル(商品名:ゾフルーザ)によって、服薬・吸入指導の時間が一気に短縮されたように思います。バロキサビルがインフルエンザ患者の4割に処方されているとの報道もありますが、私の感覚としては半分以上がバロキサビルという印象です。そのバロキサビルに関して、早くも心配なニュースが報じられています。国立感染症研究所は、インフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」を服用した患者から、薬が効きにくい耐性変異ウイルスが検出されたと発表した。厚生労働省によると、国の研究機関として実際の治療で検出を確認したのは初めて。(2019年1月26日付 時事通信社)「1回の服用で完結」という夢の新薬のように一般向けにメディアで特集されていますが、残念なことに早くも耐性ウイルスが検出されました。バロキサビルの処方が多いと、投薬カウンターに吸入薬の粉が舞ったり、吸入で苦しくなった子供が吐いたりといった「薬局あるある」が少なくなり、服薬指導が短時間で済むことはとても助かります。しかし、耐性ウイルスについて一般向けのメディアでは十分に報じられていないことに加えて、患者さんがバロキサビルに抱いている印象やその後の行動に多少不安を覚えています。その不安とは、「1回で効くんですよね?」と言う患者さんがとても多いことです。おそらく、「インフルエンザで1回だけ飲めばよい新薬が開発された」というニュースや記事を目にされたのでしょう。服薬が1回というのは事実ですが、1回飲めば翌日にはすっかり回復すると期待している患者さんが多い印象があります。また、ウイルスを排出する期間が短い=周りの人に感染させにくい=外出してOKと思っていることもあるようです。患者さんはキャッチーな言葉だけに注目しがちですし、入手した情報を都合の良いように解釈している可能性もあるため、意図を確認するなど注意が必要です。薬を服用した後や症状が軽快した後でも周りの人にウイルスを感染させる可能性があること、会社や学校は休んで外出を控えること、水分と休養を十分に取ることなどをしっかり伝える必要性を昨シーズン以上に感じています。一般向けのメディアがあおる期待やキャッチーな言葉を患者さんがどのように捉え、どのように行動しようとするのか。われわれ薬剤師がそれを想像し、先回りした服薬指導を行うことの重要性をあらためて感じました。

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C型肝炎ウイルス感染症にエプクルーサ配合錠発売

 ギリアド・サイエンシズは、非代償性肝硬変を伴うC型肝炎ウイルス感染症の成人患者、および直接作用型抗ウイルス療法(DAA)の前治療歴を有する慢性肝炎又は代償性肝硬変を伴うC型肝炎ウイルス感染症の患者に対する1日1回投与の治療薬「エプクルーサ配合錠」(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル)を2月26日に発売した。 本剤は、核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤ソホスブビル(商品名:ソバルディ、2015年3月承認)とNS5A阻害作用を有する新有効成分ベルパタスビルを含有する新規配合剤。日本における非代償性肝硬変を伴うC型肝炎ウイルス感染症の成人患者に対する最初の治療薬であり、また難治性患者に対して新たな治療選択肢を提供できることとなる。<エプクルーサ配合錠の概要>●効能・効果前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善●用法・用量1. 前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善リバビリンとの併用において、通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg 及びベルパタスビルとして100mg)を24週間経口投与する。2. C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして 100mg)を12週間経口投与する。●発売日2019年2月26日●薬価1錠 60,154.50円■関連記事非代償性肝硬変を伴うC型肝炎に初の承認

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細菌性皮膚感染症に新規抗菌薬、MRSAにも有効/NEJM

 新規抗菌薬omadacyclineの急性細菌性皮膚・軟部組織感染症への効果は、リネゾリドに対し非劣性で、安全性プロファイルはほぼ同等であることが、米国・eStudySiteのWilliam O’Riordan氏らが行ったOASIS-1試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年2月7日号に掲載された。急性細菌性皮膚・軟部組織感染症は合併症の発症率が高く、高額な医療費を要する。omadacyclineは、抗菌薬耐性株を含め、この種の感染症を高い頻度で引き起こす病原菌に活性を有する。本薬は、1日1回の経口または静脈内投与が可能なアミノメチルサイクリン系抗菌薬で、テトラサイクリン系薬剤由来の抗菌薬だが、テトラサイクリン耐性の機序である薬剤排出およびリボソーム保護を回避するという。早期臨床効果を無作為化非劣性試験で評価 本研究は、米国、ペルー、南アフリカ共和国および欧州諸国の55施設が参加し、2015~16年に実施された二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験(Paratek Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢18歳以上の皮膚感染症患者であり、創感染(辺縁部からの最短距離が5cm以上)、蜂巣炎/丹毒、大膿瘍(辺縁部からの最短距離が5cm以上、試験集団の最大30%に制限)が含まれた。 被験者は、omadacycline群(100mgを12時間ごとに2回静脈内投与し、以降は24時間ごとに投与)またはリネゾリド群(600mgを12時間ごとに静脈内投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。3日間静脈内投与を行った後、それぞれomadacycline経口投与(300mgを24時間ごと)およびリネゾリド経口投与(600mgを12時間ごと)への移行を可とした。総投与期間は7~14日であった。 主要エンドポイントは、48~72時間の時点での早期臨床効果(救済抗菌薬治療を受けず、病変が20%以上縮小し、生存していることと定義)であった。副次エンドポイントは、最終投与から7~14日後の投与終了後評価時の担当医評価による臨床効果(徴候または症状がそれ以上の抗菌薬治療が不要な程度にまで消失または改善し、生存していることと定義)とされた。非劣性マージンは、10ポイントであった。MSSA、MRSAでの臨床効果はほぼ同等 645例が登録され、omadacycline群に323例(年齢中央値:48歳[範囲:19~88]、女性:37.2%)、リネゾリド群には322例(46歳[18~90]、33.9%)が割り付けられた。修正intention-to-treat(ITT)集団として、それぞれ316例、311例が解析に含まれた。 早期臨床効果の達成率は、omadacycline群が84.8%、リネゾリド群は85.5%と、omadacyclineのリネゾリドに対する非劣性が示された(差:-0.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-6.3~4.9)。また、投与終了後評価で担当医が臨床効果ありと評価した患者の割合は、修正ITT集団ではそれぞれ86.1%、83.6%(差:2.5ポイント、-3.2~8.2)、臨床per-protocol集団では96.3%、93.5%(2.8ポイント、-1.0~6.9)であり、いずれにおいてもomadacyclineの非劣性が確認された。 また、病原菌別の投与終了後評価では、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA、omadacycline群84% vs.リネゾリド群82%)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、83% vs.86%)に対する臨床効果は、両群でほぼ同等であった。 有害事象は、omadacycline群が48.3%、リネゾリド群は45.7%と報告された。治療関連有害事象はそれぞれ18.0%、18.3%に、重篤な有害事象は3.7%、2.5%に認められた。 消化器系有害事象の頻度が最も高く(それぞれ18.0%、15.8%)、なかでも吐き気(12.4%、9.9%)および嘔吐(5.3%、5.0%)の頻度が高かった。omadacycline群の1例(オピエート過量摂取)およびリネゾリド群の2例(心停止、心不全)が死亡した。 著者は、「早期臨床効果を達成した患者のうちomadacycline群の93.7%およびリネゾリド群の90.2%が、投与終了後評価で臨床効果ありと評価された。これは他試験の結果と一致しており、経口薬治療への移行と早期退院の潜在的な臨床ツールとして、リアルワールド設定で早期臨床効果を検討する好機の到来を示唆するものであった」としている。

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上顎歯肉に付着させる口腔咽頭カンジダ症治療薬「オラビ錠口腔用50mg」【下平博士のDIノート】第19回

上顎歯肉に付着させる口腔咽頭カンジダ症治療薬「オラビ錠口腔用50mg」今回は、「ミコナゾール付着錠(商品名:オラビ錠口腔用50mg)」を紹介します。本剤は、口腔内にミコナゾールを持続的に放出する1日1回1錠の口腔粘膜付着型製剤であり、全身的な副作用の低減とアドヒアランスの向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、カンジダ属による口腔咽頭カンジダ症の適応で、2018年9月21日に承認され、2019年2月4日より販売されています。<用法・用量>通常、成人にはミコナゾールとして50mgを1日1回1錠、上顎歯肉(犬歯窩)に付着させます。本剤の使用期間は、原則14日間です。<副作用>国内第III相臨床試験では、本剤を1日1回1錠、14日間口腔内に付着した結果、62例中18例(29.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、味覚異常5例(8.1%)、適用部位不快感3例(4.8%)、腹部不快感、悪心各2例(3.2%)でした(承認時)。錠剤付着部位における粘膜刺激性の副作用(本剤の物理的刺激によると考えられる適用部位不快感を含む)が62例中8例(12.9%)で報告されています。<患者さんへの指導例>1.カンジダ菌の増殖を抑えることで、口腔咽頭カンジダ症を治療する薬です。2.上顎の犬歯の上部にある歯ぐきのくぼみに薬を置き、上唇の上から30秒ほど指で軽く押さえてしっかり付着させてください。薬をなめたり、かんだりしないでください。3.薬を取り換えるときは、前日の薬が残っていた場合は取り除いてから、反対側の歯ぐきのくぼみに新しい薬を付着させてください。4.食べ物の味が変わったなどの体調変化がありましたら、主治医か薬局までご相談ください。5.本剤を付着させたまま飲食をしても構いませんが、ガムなどの本剤を剥がす恐れのある飲食物は避けてください。<Shimo's eyes>口腔咽頭カンジダ症は、主にカンジダ菌(Candida albicans)を起因菌とする真菌感染症です。免疫低下状態の患者さんで発症しやすく、舌の疼痛・灼熱感、味覚異常、嚥下困難、白苔形成、紅斑病変、口角炎などの症状が生じます。従来、口腔咽頭カンジダ症は抗真菌薬による全身療法または局所療法が行われています。局所療法としてはミコナゾールの経口用ゲルが承認されていますが、1日4回塗布する必要があり、アドヒアランスが維持できないこともあります。本剤は、ミコナゾールの新剤形医薬品で、添加物に生体付着性物質の濃縮乳タンパク質を用いたことによって、口腔粘膜に長時間付着させることが可能です。ミコナゾールを口腔内に持続的に放出し、最小発育阻止濃度以上の唾液中ミコナゾール濃度を長時間維持できることから、用法は1日1回となっています。ミコナゾールはCYP3A4およびCYP2C9を阻害するので、ゲル剤と同様に、ワルファリンカリウムやリバーロキサバン、アゼルニジピンなど多くの薬剤が併用禁忌となっています。また、スルホニル尿素系血糖降下薬との併用では、作用増強による低血糖に注意が必要です。口腔咽頭カンジダ症はHIVや悪性腫瘍など、免疫不全を生じる疾病に随伴しやすい疾患ですが、そのような患者さんは多剤服用の傾向にあるので、併用薬のチェックに漏れがないように気を付けなければなりません。なお、本剤は乾燥剤入りのボトル包装品(14錠入)で、湿度の影響を受けやすいのでボトル包装品のまま交付します。使用のたびにボトルのキャップをしっかり締め、直射日光と湿気を避けて室温で保管するように伝えましょう。

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市中肺炎に新規抗菌薬、第III相試験の結果/NEJM

 omadacyclineは、1日1回の静脈内または経口投与が可能な新規アミノメチルサイクリン系抗菌薬。ウクライナ・City Clinical Hospital #6, ZaporizhzhiaのRoman Stets氏らOPTIC試験の研究グループは、本薬が市中細菌性肺炎の入院患者(ICUを除く)へのempirical monotherapyにおいて、モキシフロキサシンに対し非劣性であることを示し、NEJM誌2019年2月7日号で報告した。omadacyclineは、肺組織で高濃度に達し、市中細菌性肺炎を引き起こす一般的な病原菌に対し活性を発揮するという。早期臨床効果を評価する無作為化非劣性試験 本研究は、欧州、北米、南米、中東、アフリカ、アジアの86施設が参加し、2015~17年の期間に実施された、第III相二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性試験である(Paratek Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、4つの症状(咳嗽、膿性痰産生、呼吸困難、胸膜痛)のうち3つ以上がみられ、2つ以上のバイタルサインの異常、1つ以上の市中細菌性肺炎に関連する臨床徴候または検査所見があり、画像所見で肺炎が確認され、Pneumonia Severity Index(PSI、クラスI~V、クラスが高いほど死亡リスクが高い)のリスクがクラスII(割り付け患者の15%以下に制限)、III、IVの患者であった。 被験者は、omadacycline群(100mgを12時間ごとに2回静脈内投与し、以降は100mgを24時間ごとに投与)またはモキシフロキサシン群(400mgを24時間ごとに静脈内投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。3日間静脈内投与を行った後、それぞれomadacycline経口投与(300mgを24時間ごと)およびモキシフロキサシン経口投与(400mgを24時間ごと)への移行を可とした。総投与期間は7~14日であった。 主要エンドポイントは、早期臨床効果(救済抗菌薬治療を受けず、72~120時間の時点で上記の4つの症状のうち2つ以上が改善し、症状が増悪せずに生存していることと定義)とされた。副次エンドポイントは、最終投与から5~10日後の投与終了後評価時の担当医評価による臨床効果(徴候または症状がそれ以上の抗菌薬治療が不要な程度にまで消失または改善することと定義)であった。非劣性マージンは、10ポイントとされた。主要・副次エンドポイントとも非劣性示す intention-to-treat(ITT)集団として、omadacycline群に386例(年齢中央値:61歳[範囲19~97]、>65歳:39.4%、男性:53.9%)、モキシフロキサシン群には388例(63歳[19~94]、44.3%、56.4%)が割り付けられた。 ベースライン時に、ITT集団の49.9%で市中肺炎の原因菌が同定された。M. pneumoniae(33%)の頻度が最も高く、次いでS. pneumoniae(20%)、L. pneumophila(19%)、C. pneumoniae(15%)、H. influenzae(12%)の順だった。 早期臨床効果の達成率は、omadacycline群が81.1%、モキシフロキサシン群は82.7%と、omadacyclineのモキシフロキサシンに対する非劣性が示された(差:-1.6ポイント、95%信頼区間[CI]:-7.1~3.8)。また、投与終了後評価で担当医が臨床効果ありと評価した患者の割合は、それぞれ87.6%、85.1%であり、omadacyclineの非劣性が確認された(差:2.5ポイント、95%CI:-2.4~7.4)。 投与開始後に発現した有害事象は、omadacycline群が41.1%、モキシフロキサシン群は48.5%と報告された。治療関連有害事象(治療割り付け情報を知らされていない医師が判定)は、それぞれ10.2%、17.8%に認められた。重篤な有害事象はそれぞれ6.0%、6.7%にみられた。 消化器系の有害事象の頻度が最も高く(それぞれ10.2%、18.0%)、発現率の差が最も大きかったのは下痢(1.0%、8.0%)で、このうちモキシフロキサシン群の8例(2.1%)はClostridium difficile感染によるものであった。12例(8例、4例)が試験中に死亡し、すべて65歳以上の患者であった。 著者は、「本試験で得られたomadacyclineの定型および非定型呼吸器病原菌に対する抗菌スペクトルや、他の抗菌薬との交差耐性がないなどの知見は、抗菌薬耐性が増加している時代の市中細菌性肺炎の治療における本薬の潜在的な役割を示唆する」としている。

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子宮頸がん、hrHPV検査が高検出率/BMJ

 子宮頸がんの1次検査として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査では液状化検体細胞診(LBC法)と比較し、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード3以上(CIN3)の検出率が約40%、子宮頸がんの検出率は約30%上昇し、3年後のCIN3以上の発生率は非常に低値で、検診間隔の延長を支持する結果が示された。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMatejka Rebolj氏らが、イングランドのプライマリケアでのhrHPV検査による定期の子宮頸がん検診について検討した、観察研究の結果を報告した。15年以上にわたる無作為化比較試験で、現行の標準検査であるLBC法と比較し、CIN2以上の検出に関してhrHPV検査の優越性が示されたことから、他国では検診ガイドラインを改訂し、hrHPVトリアージ検査を併用したLBC法での1次検査から、LBC法のトリアージ検査を併用したhrHPV検査による1次検査に切り替えたところもある。イングランドでは、2019年末までの全国導入を目指しているという。BMJ誌2019年2月6日号掲載の報告。子宮頸がん検診を受けた女性約57万人で、LBC法とhrHPV検査のアウトカムを評価 研究グループは、2013年5月~2014年12月にプライマリケアで子宮頸がん検診を受けた女性57万8,547例を2017年5月まで追跡調査した。18万3,970例(32%)はhrHPV検査による検診を受けていた。 hrHPV検査とLBC法によるトリアージ検査を併用した子宮頸がんの定期検診を行い、hrHPV陽性でLBC陰性の女性に対しては、2回(12ヵ月、24ヵ月時)の早期再受診を推奨した。 主要評価項目は、コルポスコピー(子宮膣部拡大鏡診)受診紹介の頻度、早期再受診の順守、連続した2回の検査においてLBC法と比較した場合のhrHPV検査によるCIN2以上の検出であった。hrHPV検査で、子宮頸がんの検出率が約30%上昇 ベースライン時のhrHPV検査および早期再受診では、約80%以上がコルポスコピーを必要としたが(補正後オッズ比[aOR]:1.77、95%CI:1.73~1.82)、LBC法と比較し、CIN(CIN2以上でaOR:1.49[95%CI:1.43~1.55]、CIN3以上でaOR:1.44[95%CI:1.36~1.51])および子宮頸がん(aOR:1.27、95%CI:0.99~1.63)の検出頻度が高かった。 早期再受診の順守とコルポスコピー紹介受診は、それぞれ80%および95%であった。その後の子宮頸がん発生スクリーニング検査では、hrHPV検査を受けた女性(3万3,506例)のほうが、LBC法を受けた女性(7万7,017例)よりも、CIN3以上の検出がきわめて少なかった(aOR:0.14、95%CI:0.09~0.23)。

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第17回 1回服用のインフルエンザ治療薬の実力は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 インフルエンザは健康な人が罹患しても安静にしていれば自然軽快します。しかし、小児や高齢者、とくに基礎疾患のある高齢者などが罹患すると重篤化しやすく、学校や仕事への影響も大きいので、なかなか自然軽快に任せることは難しい疾患です。インフルエンザの特徴的な症状としては、急速な38度以上の発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、そして上気道症状で、流行期にこれらの症状が出たら罹患が疑われます。発熱、咳、鼻汁などインフルエンザと診断する各所見ごとのオッズ比をみた研究1)では、とくに発熱のオッズ比が3.26(95%信頼区間[CI]:3.87~2.75)と最も高く、流行期に37.8度以上の発熱があればインフルエンザである割合が76.9%とされています。咳と発熱の両方がある場合は79.0%とさらに上がります。実際、解熱薬や咳止め薬が一緒に処方されるシーンも多いですよね。本当にインフルエンザか疑わしい場合や確定診断が必要な場合は迅速診断キットが使われます。159の研究で合計26のインフルエンザ迅速診断キットを評価したメタ解析2)では、プールされた感度および特異度は、それぞれ62.3%(95%CI:57.9%〜66.6%)、98.2%(95%CI:97.5%〜98.7%)でした。感度の高い検査が陰性ならその疾患を除外でき、特異度が高い検査が陽性ならその疾患を確定できます。キットによる差はありますが、感度が60%前後なので陰性でもインフルエンザの除外がしきれない一方で、特異度が98%前後と高いので、陽性ならほぼインフルエンザという判断になります。したがって、迅速診断キットで陰性であっても上記のようなインフルエンザが強く疑われる症状があれば薬物治療の適応になることもあります。バロキサビル群の症状改善はプラセボより速く、類薬と同等インフルエンザに適応のある治療薬としてノイラミニダーゼ阻害薬、麻黄湯や竹茹温胆湯があります。麻黄湯はインフルエンザA型の症状緩和に寄与するとする研究3)や、近年ではその成分のウイルス学的効果を示唆する研究4)もあり大変興味深いのですが、エフェドリンを含むので動悸、発汗など交感神経刺激作用には注意を要します。そして、今最も話題なのがキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性阻害作用を有するバロキサビル(商品名:ゾフルーザ)です。1回投与と簡便なため、処方が激増していますが、その実力はどうなのでしょうか。第II相と第III相の二重遮蔽ランダム化比較試験をまとめて1つの論文にしたものが出ているので紹介します5)。まずはそれぞれの対象患者ですが、第II相試験では、2015年12月~2016年3月にインフルエンザに罹患した20~64歳の日本人です。(1)38度以上の発熱、(2)少なくとも1つの全身症状、(3)少なくとも1つの呼吸器症状、(4)48時間以上症状が継続、(5)迅速抗原検査が陽性、の条件に該当する患者がバロキサビル10mg、20mg、40mgを服用した場合とプラセボを服用した場合の症状が改善するまでの時間をプライマリアウトカムとしています。第III相試験は、2016年12月~2017年3月にインフルエンザ様の症状がみられた12歳~64歳の米国人と日本人で、上記(1)~(4)の症状に該当する患者が組み入れられています。20〜64歳ではバロキサビル(1日目に1回、体重に応じて40mgまたは80mg、残りの4日間はプラセボを使用)、オセルタミビル(75mg、1日2回を5日間)またはプラセボとの比較で、12〜19歳ではバロキサビル(1日目に1回)とプラセボ(1日目に1回)で比較をしています。プライマリアウトカムは第II相試験と同様です。なお、添付文書上は小児の適応がありますが、この論文のみでは12歳未満の小児の服用についての有効性は判断できないので注意が必要です。主な結果を見ていくと、第II相試験では、プラセボ群の症状緩和に要した時間の中央値が77.7時間だったのに対して、バロキサビル10mg群では54.2時間、20mg群では51.0時間、40mgでは49.5時間でした。第III相試験では、症状緩和に要した時間の中央値はバロキサビル群が53.7時間、プラセボ群が80.2時間であり、その差は26.5時間でした。なお、バロキサビル群とオセルタミビル群では同等との結果となっています。バロキサビル耐性ウイルスについては、第II相試験で2.2%、第III相試験で9.7%(いずれもインフルエンザA型感染)で、変異型の場合は高率にウイルスが残存しました。すでに耐性ウイルスを懸念する声も聞こえていますので、むやみに使い過ぎるのも考えものかもしれません。また、これまで十分に確認できなかった、喘息および呼吸器疾患、内分泌疾患、心疾患など基礎疾患をもつ患者や65歳以上の高齢者などのハイリスク群を対象とした第III相試験でも、症状緩和に要した時間はプラセボ群に対する優越性を示しています6)。最後に、同じ1回投与の点滴であるペラミビル(商品名:ラピアクタ)にも触れておくと、こちらもおおむねオセルタミビルと解熱までの時間や症状の変化はほぼ同等の結果となっています7)。点滴なので、流行期に看護師さんの時間が取られるのは難点ではあります。バロキサビル、ペラミビルともに予防投与の可否について聞かれることもありますが、現時点ではエビデンスも適応症もないので原則促さないようにしておくが吉でしょう。一般論としては、これらに限らず1回で治療が終わる薬剤や週1回、月1回投与の製剤は服用が楽な一方で、副作用が出ても休薬対処がしづらいという二面性があることを認識して説明できるとよいかなと思います。1)Monto AS, et al. Arch Intern Med. 2000;160:3243-3247.2)Chartrand C, et al. Ann Intern Med. 2012;156:500-511.3) Nabeshima S, et al. J Infect Chemother. 2012;18:534-543.4) Masui S, et al. Evid Based Complement Alternat Med. 2017;2017:1062065.5)Hayden FG, et al. N Engl J Med. 2018;379:913-923.6)塩野義製薬プレスリリース7)Nakamura S, et al. Open Forum Infect Dis. 2017;4:ofx129.

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第5回 全身痛と関連痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第5回 全身痛と関連痛痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。そのために、患者さんは病院や診療所などを受診されます。血圧、脈拍、呼吸数、体温と共に、痛みは「第5のバイタルサイン」とも呼ばれております。近年、全身に痛みを訴えられる患者さんが増えておられます。全身痛と呼んでおりますが比較的若い患者さんが多くなってきたように感じられます。今回は、この全身痛を取り上げ、付随して関連痛を説明したいと思います。全身痛とは全身的に痛みを訴えられる患者さんの痛みを「全身痛」と呼んでいます。いろいろな部位に痛みを訴えられる患者さんや、全身にわたって痛みを訴えられる患者さんなど、その形態はさまざまです。また、重篤な身体疾患を持っていることもあるので注意が必要です。その中で全身痛から発見される疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性強皮症、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病があります。甲状腺機能低下症や有痛性糖尿病性ニューロパチーなどの内分泌疾患もあります。そのほか、ポストポリオ症候群や横紋筋融解症などの神経筋疾患も認められます。横紋筋融解症は、脂質異常症治療薬や抗神経病薬などによる薬剤性疾患によっても生じます。そして、悪性腫瘍では多発性骨髄腫、多発性転移、何より増して全身の骨関節痛、腰背部痛などが生じます。インフルエンザ、ウイルス性肝炎では全身の関節痛や筋肉痛、神経痛がみられます。うつ病、身体表現性疼痛(疼痛性障害、身体化障害など)、自律神経失調症などの精神・神経疾患でも全身痛を訴えます。とくにうつ病では、痛みの部位が変動するのが特徴です。その他、難治性疼痛疾患としての線維筋痛症(FM)(図1)や慢性疲労症候群(CFS)も現在、話題になっています。FMの診断では、(1)広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いていること、(2)図1に示した18ヵ所(圧痛点といいます)を指で押して、11ヵ所以上で痛むことが条件となります。図1 FMの診断における18ヵ所の圧痛点画像を拡大する関連痛とは表層筋膜、アキレス腱、前脛骨筋腱、表在関節、靭帯、脛骨のような表在性の骨などの痛みは、局在性の痛みとして感じます。これに対してより深い部位にある腱、関節、骨などや筋肉内にあるような組織からの痛みは、遠く隔たった皮膚に投射されます。たとえば、上部胸椎の骨膜に刺激を受けた場合には、肩の上部にびまん性の痛みを感じます。また、内臓痛には関連痛が伴います。内臓痛そのものの局在性は不明確ですが、「関連痛」といって、同じ脊髄節支配の皮膚に投射されて痛む部位が明確に示されます。そして、この皮膚におきましては、疼痛過敏や異常知覚を伴ったり、筋肉の緊張、自律神経の異常興奮がみられることもあります(図2)。図2 内臓痛に伴い現れる関連痛の部位画像を拡大するいずれも痛みの部位と性質、随伴症状や検査所見などによって鑑別診断します。そして原疾患が疑われるようであれば、その治療を最重要として、それぞれの専門医に紹介します。原疾患が治癒しても痛みが持続する場合やとくに原疾患がない場合には、痛み治療が必要となります。次回は頭・頸部痛を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修.日本医師会雑誌. 2014;143:120-121.2)山村秀夫ほか編. 痛みを診断する.有斐閣;1984.p.20-38.

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C型肝炎撲滅、2030年の世界目標に向けた介入の有効性/Lancet

 直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)の開発がもたらしたC型肝炎治療の大変革は、公衆衛生上の脅威としてのこの疾患の世界的な根絶に関して、国際的な関心を生み出した。これを受け2017年、世界保健機関(WHO)は、2030年までに根絶との目標を打ち出した。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlastair Heffernan氏らは、WHOのC型肝炎ウイルス(HCV)根絶目標について現状の達成状況を調査した。Lancet誌オンライン版2019年1月28日号掲載の報告。6つのシナリオに基づく介入拡大の世界的な影響を評価 研究グループは、世界的なHCV蔓延に及ぼす公衆衛生的介入の影響を評価し、WHOの根絶目標の条件を満たしているかを検証する目的で、数学的モデルを用いた検討を行った(Wellcome Trustの助成による)。 世界190ヵ国におけるHCV蔓延の動的伝播モデルを開発した。モデルには、人口統計学的要因、注射薬物使用者(PWID)、現行の治療・予防計画の適用範囲、疾病の自然史、HCV有病率、HCVに起因する死亡のデータが組み込まれた。 HCV感染の伝播リスクを低減し、治療機会を改善し、スクリーニングを受ける機会を増やす介入拡大が、世界に及ぼす影響を推定するために、以下の6つのシナリオに基づいて評価を行った。 (1)現状維持:既存の診断・治療レベルに変化がない、(2)介入1:血液安全性と感染管理の推進、(3)介入2:PWIDの健康被害の削減(harm reduction)、(4)介入3:診断時のDAA提供、(5)介入4:診断数を増やすためのアウトリーチ・スクリーニングの実施、(6)DAA非導入:治療をペグインターフェロンと経口リバビリンに限定(DAA使用の影響の調査のため)。HCV感染削減目標、死亡削減目標の達成は2032年か PWIDを除く人口における伝播リスクを80%削減し、健康被害削減サービスの適用範囲をPWIDの40%に拡大する介入により、2030年までに、1,410万件(95%確信区間[CrI]:1,300万~1,520万)の新たな感染が防止される可能性が示された。 また、すべての国で診断時にDAAを提供すると、肝硬変および肝がんによる64万件(95%CrI:62万~67万)の死亡が予防可能であることが示唆された。 ベースライン(2015年)と比較して、予防、スクリーニング、治療介入から成る包括的な対策は、1,510万件(95%CrI:1,380万~1,610万)の新たな感染と、150万件(140万~160万)の肝硬変および肝がんによる死亡を防止し、これにより感染率が81%(78~82)抑制され、死亡率は61%(60~62)低下すると推定された。 これは、WHOのHCV感染削減目標の80%に相当するが、死亡削減目標の65%には達しておらず、目標達成は2032年となる可能性が示された。 世界的な疾病負荷の低減は、予防介入の成功、アウトリーチ・スクリーニングの実践とともに、中国、インド、パキスタンなどの主要な高負荷国における進展に依存することが明らかとなった。 著者は、「HCVの疾病負担の削減には、すべての国において、併用治療とともに、血液安全性と感染管理の推進、PWIDの健康被害削減サービスの拡大と創設、大規模なHCVスクリーニングのさらなる改善が必要である」としている。

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