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医師による身体活動量の評価は慢性疾患の予防につながる

 医師が患者の身体活動量について尋ねることは、慢性疾患の予防に役立つ可能性があるようだ。米アイオワ大学ヘルスケア医療センターの患者を対象にした調査結果から、中強度から高強度の身体活動を週に150分以上というガイドラインの推奨を満たしていた人では、高血圧や心疾患、糖尿病など19種類の慢性疾患の発症リスクが有意に低いことが示された。論文の上席著者である、アイオワ大学健康・人間生理学分野のLucas Carr氏らによるこの研究結果は、「Preventing Chronic Disease」1月号に掲載された。 この研究でCarr氏らは、2017年11月1日から2022年12月1日の間にアイオワ大学ヘルスケア医療センターで健康診断を受けた患者を対象に、Exercise Vital Sign(EVS)質問票を用いた身体活動量のスクリーニングを受けた患者と受けていない患者の健康状態を比較した。また、スクリーニングで測定された身体活動量の違いに基づく健康状態の比較も行った。 EVS質問票は、「中強度から高強度の身体活動(早歩きなど)を週に平均何日程度行っていますか」と「中強度から高強度の身体活動を平均何分間行っていますか」の2つの質問で構成されている。Carr氏は、「この2つの質問には、通常は30秒もあれば回答できるので、患者の診察の妨げになることはない。それにもかかわらず、患者の全体的な健康状態について多くの情報を得ることができる」と述べている。 Carr氏らはまず、EVSの有効なデータがそろった患者7,261人と、スクリーニングを受けていない患者3万3,445人の比較を行った。その結果、身体活動量のスクリーニングを受けた患者は、受けていない患者に比べて、肥満(15%対18%)、うつ病(17%対19%)、高血圧(22%対28%)、合併症のない糖尿病(5.9%対8.5%)、合併症を伴う糖尿病(4.4%対7.3%)、貧血(4.6%対6.1%)、甲状腺機能低下症(9.3%対10.0%)、うっ血性心不全(1.1%対1.9%)、および中等度の腎不全(1.8%対2.5%)の発症率が有意に低いことが明らかになった。 次に、身体活動量のスクリーニングを受けた7,261人の患者を身体活動量に基づき、十分な身体活動量(4,382人、60%)、不十分な身体活動量(2,607人、36%)、身体活動を全く行わない(272人、4%)の3群に分けて健康状態を比較した。その結果、十分な身体活動量の群は、不十分な身体活動量の群や身体活動を全く行わない群に比べて、肥満、うつ病、合併症のない/合併症を伴う高血圧・糖尿病、弁膜症、うっ血性心不全など、身体活動不足に関連する19種類の併存疾患のリスクが低いことが示された。 こうした結果に基づき研究グループは、医師に対し、患者に身体活動量について質問し、活動量を増やす必要がある患者には活動量を増やすように促すことを推奨している。Carr氏は、「現在の医療環境では、患者の身体活動量を増やすために医師が支援を行っても、それに対する報酬を得ることは難しい。身体活動量の不足を報告している患者に対しては、身体活動の処方や地域の健康専門家などの支援サービスと簡単につながるための選択肢が必要だ」と述べている。 Carr氏は、「この研究は、たとえ短時間であっても、患者と身体活動習慣について話すことの大切さを強調している」との見方を示す。なお、2024年12月に「Journal of Physical Activity and Health」に発表した関連研究でCarr氏らは、医師が患者への身体活動のカウンセリングを行った場合、保険会社が医師に95%近くの確率で払い戻しを行っていることを明らかにしている。同氏は、「われわれの研究結果は、推奨されている身体活動に関する請求コードを医療従事者が申請すると、高確率で払い戻しが行われていることを示唆している。この結果は、身体活動量の評価とカウンセリングサービスを提供する取り組みの推進を支持するものだ」と結論付けている。

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副腎性クッシング症候群〔Adrenal Cushing's syndrome〕

1 疾患概要■ 定義クッシング症候群は、副腎皮質から慢性的に過剰産生されるコルチゾールにより、中心性肥満や満月様顔貌といった特徴的な臨床徴候を示し、糖・脂質代謝異常、高血圧などの合併症を伴う疾患である。手術により治癒が期待できる内分泌性高血圧症の1つである。 広義のクッシング症候群は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)依存性クッシング症候群(下垂体性のクッシング病や異所性ACTH産生腫瘍など)とACTH非依存性クッシング症候群(副腎性クッシング症候群)に大別され、本稿では副腎性クッシング症候群について解説する。■ 疫学厚生省特定疾患副腎ホルモン産生異常症調査研究班による全国実態調査では、日本全国で1年間に約50症例の副腎性クッシング症候群の発症が報告されている。CT検査などが行われる機会が増えた現在では、副腎偶発腫を契機に診断される症例が増加していると考えられる。副腎腺腫によるクッシング症候群の男女比は1: 4と女性に多く、30~40代に好発する。■ 病因副腎皮質の腺腫やがんなどにおいてコルチゾールが過剰産生される。その分子メカニズムとしてcAMP-プロテインキナーゼA(protein kinase A:PKA)経路およびWNT-βカテニンシグナル経路の異常が示されている。顕性クッシング症候群を生じる症例の約85%で症例の副腎皮質腺腫において、PKAの触媒サブユニットをコードするPRKACA(protein kinase A catalytic subunit α)遺伝子、およびアデニル酸シクラーゼを活性化することによりcAMP産生に関わるタンパク質をコードするGNAS(α subunit of the stimulatory G protein)遺伝子、WNTシグナル伝達経路の細胞内シグナル伝達因子であるβカテニンをコードするCTNNB1(β catenin)遺伝子の変異を認めることが報告されている。■ 症状クッシング症候群に特異的な症状として、中心性肥満(顔、頸部、体幹のみの肥満)、満月様顔貌、鎖骨上および肩甲骨上部の脂肪沈着(野牛肩:buffalo hump)、皮膚の菲薄化、皮下溢血、赤色皮膚線条、近位筋萎縮による筋力低下があり「クッシング徴候」と言う。その他、耐糖能異常、高血圧、脂質異常症や性腺機能低下症、骨粗鬆症、精神障害、ざ瘡、多毛を認めることもある。■ 分類副腎腫瘍によるもの、副腎結節性過形成によるものに大別される。副腎腫瘍には副腎皮質腺腫、副腎皮質がんがあり、副腎結節性過形成にはACTH非依存性大結節性過形成(primary bilateral macronodular adrenal hyperplasia:PBMAH)、原発性色素性結節状副腎皮質病変(primary pigmented nodular adrenocortical disease:PPNAD)が含まれる。顕性クッシング症候群のうちPBMAH、PPNADの頻度は併せて5.8%とまれである。また、クッシング徴候を欠くがコルチゾール自律分泌を認める症例を「サブクリニカルクッシング症候群」と言う。■ 予後副腎皮質腺腫によるクッシング症候群は、治療によりコルチゾールを正常化できた症例では同年代とほぼ同程度の予後が期待できる。治療しなければ、感染症や心血管疾患のリスクが増加し、予後に影響することが示されており、早期発見、治療が重要である。一方、副腎皮質がんはきわめて悪性度が高く、急速に進行し、肝臓や肺などへの遠隔転移を認めることも多く予後不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)クッシング徴候や副腎偶発腫、また、治療抵抗性の糖尿病、高血圧、年齢不相応の骨粗鬆症を認めた際は、クッシング症候群を疑い精査を行う。まず、病歴、服薬状況の問診によりステロイド投与による医原性クッシング症候群を除外し、血中コルチゾール濃度に影響を及ぼす薬剤(表)の使用を確認する。表 クッシング症候群の診断に影響する可能性がある薬剤(左側は一般名、右側は商品名)画像を拡大する血中コルチゾール濃度は視床下部から分泌されるCRHの調節により早朝に高値になり、夜間には低値になる日内変動を示す。クッシング症候群ではCRHの調節を受けないため、コルチゾールの日内変動は消失し、デキサメタゾン内服により抑制されない。そのため、24時間尿中遊離コルチゾール高値、デキサメタゾン1mg抑制試験で翌朝血清コルチゾール値≧5μg/dL、夜間血清コルチゾール濃度≧5μg/dLのうち、2つ以上あればクッシング症候群と診断する。さらに早朝の血漿ACTH濃度を測定し、測定感度以下(<5μg/mL)に抑制されていれば副腎性クッシング症候群と診断する。図に診断のアルゴリズムを示す。図 クッシング症候群の診断アルゴリズム画像を拡大するただし、うつ病、慢性アルコール依存症、神経性やせ症、グルココルチコイド抵抗症、妊娠後期などでは視床下部からのCRH分泌増加による高コルチゾール血症(偽性クッシング症候群)を呈することがあり、抗てんかん薬内服ではデキサメタゾン抑制試験で偽陽性を示すことがあるため、注意が必要である。副腎腫瘍の有無の検索のため腹部CT検査を行う。副腎皮質腺腫は脂肪成分が多いため、単純CT検査で辺縁整、内部均一な10HU未満の低吸収値を認める。直径4cm以上で境界不明瞭、内部が出血や壊死で不均一な腫瘍の場合は副腎皮質がんを疑い、MRIやFDG-PETなどさらなる精査を行う。PBMAHでは著明な両側副腎の結節性腫大を認め、PPNADでは副腎に明らかな腫大や腫瘍を認めない。コルチゾールの過剰産生の局在診断のため131I-アドステロール副腎皮質シンチグラフィを行う。片側性副腎皮質腺腫によるクッシング症候群では、健側副腎に集積抑制を認める。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)副腎皮質腺腫では腹腔鏡下副腎摘出術を施行することで根治が期待できる。術後、対側副腎によるコルチゾール分泌の回復までに6ヵ月~1年を要するため、その間は経口でのグルココルチコイド補充を行う。手術困難な症例や、片側副腎摘出術後の再発例、著明な高コルチゾール血症による糖代謝異常や精神異常、易感染性のため術前に早急なコルチゾールの是正が必要な症例に対しては、副腎皮質ステロイドホルモン合成阻害薬であるメチラポン(商品名:メトピロン)、トリロスタン(同:デソパン)、ミトタン(同:オペプリム)が投与可能である。11β-水酸化酵素阻害薬であるメチラポンは可逆性で即効性があることから最もよく用いられている。副腎皮質がんでは開腹による腫瘍の完全摘出が第1選択であり、術後アジュバント療法として、または手術不能例や再発例に対しては症状軽減のためミトタンを投与する。ミトタンは約25~30%の奏効率とされているが、副作用も少なくないため有効血中濃度を維持できない症例も多い。PBMAHでは、症状が軽微な症例や腫大副腎の左右差もあり、合併症などを考慮して症例ごとに片側あるいは両側副腎摘出術や薬物療法による治療方針を決定する。一部の症例でみられる異所性受容体に対する阻害薬が有効な場合もあるが、長期使用による成績は報告されていない。PPNADでは、顕性クッシング症候群を発症することが多いため、両側副腎全摘が第1選択となる。サブクリニカルクッシング症候群では、副腎腫瘍のサイズや増大傾向、合併症を考慮して症例ごとに経過観察または片側副腎摘出術を検討する。4 今後の展望唾液コルチゾール濃度は、外来での反復検査が可能で、遊離コルチゾール濃度との相関が高いことが知られており、欧米では、夜間の唾液コルチゾール濃度がスクリーニングの初期検査として推奨されているが、わが国ではまだ保険適用ではなくカットオフ値の検討が行われておらず、今後の課題である。また、2021年3月に11β-水酸化酵素阻害薬であるオシロドロスタット(同:イスツリサ)の使用がわが国で承認された。メチラポンと比べて服用回数が少なく、多くの症例で迅速かつ持続的にコルチゾールの正常化が得られるとされており、長期使用成績の報告が待たれる。5 主たる診療科内分泌内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本内分泌学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生省特定疾患副腎ホルモン産生異常症調査研究班 副腎ホルモン産生異常に関する調査研究(医療従事者向けのまとまった情報)1)出村博ほか. 厚生省特定疾患「副腎ホルモン産生異常症」調査研究班 平成7年研究報告書. 1996;236-240.2)Lacroix A, et al. Lancet. 2015;386:913-927.3)Yusuke S, et al.Science. 2014;344:917-920.4)Rege J, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2022;107:e594-e603.5)日本内分泌学会・日本糖尿病学会 編. 内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック. 診断と治療社;2023.p.182-187.6)Nieman Lk, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2008;93:1526-1540.公開履歴初回2025年1月23日

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MASLD患者の転帰、発症リスクに性差

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は世界的に増加傾向にあり、好ましくない肝臓や肝臓以外における転帰の主な原因となっている。米国のMASLD患者のデータを使用し、性別と肝臓および肝臓以外の転帰との関連性を調査した、米国・スタンフォード大学医療センターのTaotao Yan氏らによる研究がJAMA Network Open誌2024年12月4日号に掲載された。 研究者らは2007~22年のMerative MarketScanデータベースからMASLDの成人患者を特定し、傾向スコアマッチングを使用して男性/女性群のベースライン特性のバランスを取った。肝臓関連の転帰(肝硬変、肝代償不全、肝細胞がん[HCC])と肝臓以外の転帰(心血管系疾患[CVD]、慢性腎臓病[CKD]、肝臓以外の性別に関係ないがん)の発生率を推定し、性別ごとに比較した。 主な結果は以下のとおり。・MASLD患者76万1,403例のうち、ベースライン特性がマッチした男女34万4,436組が分析に含まれた。平均年齢(52.7歳/53.0歳)のほか、糖尿病や高血圧などの既往症、服薬状況などは2群間でバランスが取れていた。・女性は男性と比較して、1,000人年当たりのあらゆる肝臓関連の転帰(12.72対11.53)および肝硬変(12.68対11.55)の発生率が有意に高かった。・一方、男性は肝代償不全(10.40対9.37、ハザード比[HR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.08~1.14)、HCC(1.88対0.73、HR:2.59、95%CI:2.39~2.80)、CVD(17.89対12.89、HR:1.40、95%CI:1.37~1.43)、CKD(16.61対14.42、HR:1.16、95%CI:1.13~1.18)、および性別に関係のないがん(6.68対5.06、HR:1.32、95%CI:1.27~1.37)の発生率が高かった。 著者らは「これは性別とMASLDの好ましくない臨床転帰との関連性を調べるために設計された最大のコホート研究だ。女性のほうが肝硬変の発症率とリスクが高いことがわかったが、これはMASLDが米国の女性における肝移植の主な適応であるという観察結果と一致している。既存の研究結果と同様に、本研究でも、男性のMASLD患者はHCCリスク増との有意な関連性がわかった。さらに、男性のMASLD患者は女性よりもCVDと性別に関係のないがんのリスクが高いことで、一般集団では男性が女性よりもCVDとがんリスクが高いという既存の知識を裏付けた。私たちの研究は、MASLD患者の肝臓および肝臓以外の臨床転帰のリスクに有意な性差があるという証拠を提供し、性別に基づいたMASLD予防、モニタリング、および治療管理戦略の方針を支援するものである」とまとめた。

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妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA

 妊娠糖尿病治療において、経口血糖降下薬(メトホルミンおよび必要に応じてグリベンクラミドを追加)は、インスリンと比較して、在胎不当過大児の出生割合に関する非劣性基準を満たさなかった。オランダ・アムステルダム大学医療センターのDoortje Rademaker氏らが、無作為化非盲検非劣性試験の結果を報告した。妊娠糖尿病のコントロールにおいて、メトホルミンおよびグリベンクラミドの単剤投与はインスリンの代替として使用されているが、これらの経口血糖降下薬による治療がインスリン単独の治療と比較して、周産期アウトカムに関して非劣性であるかどうかは明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年1月6日号掲載の報告。在胎不当過大児の増加予防に関して非劣性であるかを検証 研究グループは、2016年6月~2022年11月にオランダの25医療センターで、経口血糖降下薬による治療戦略がインスリン療法に対して、在胎不当過大児の増加予防に関して非劣性であるかを検証した。最終フォローアップは2023年5月。 試験には、2週間の食事療法後に血糖コントロールが不十分(空腹時血糖値95mg/dL超[5.3mmol/L超]、食後1時間血糖値140mg/dL超[7.8mmol/L超]、食後2時間血糖値120mg/dL超[6.7mmol/L超]のいずれかとして定義)であった単胎妊娠16~34週の妊娠糖尿病患者820例が登録された。 被験者は、メトホルミン(1日1回500mgで開始し、3日ごとに1日2回1,000mgまたは最大許容量まで増量、409例)またはインスリン(試験施設の処方による、411例)による治療を受ける群に無作為に割り付けられた。メトホルミン群では必要に応じてグリベンクラミドを追加投与した。その後、必要に応じてグリベンクラミドに代えてインスリンを用いた。 主要アウトカムは、在胎不当過大児(在胎期間と性別に基づく出生体重が90パーセンタイル超)の割合の群間差であった。副次アウトカムは、母体の低血糖、帝王切開、妊娠高血圧症候群、妊娠高血圧腎症、母体の体重増加、早産、分娩損傷、新生児の低血糖、新生児の高ビリルビン血症、新生児集中治療室(NICU)入室などであった。在胎不当過大児は経口血糖降下薬群23.9%、インスリン療法群19.9% 被験者820例のベースライン(試験登録時)の平均年齢は33.2(SD 4.7)歳、妊娠時BMI値30.4(6.2)、35%が初産であった。アウトカムの解析(per protocol解析)には、同意を得られなかった被験者、追跡データを得られなかった被験者を除外した、経口血糖降下薬群406例、インスリン療法群398例が対象に含まれた。 試験期間中、インスリンを使用せずに経口血糖降下薬のみ(メトホルミン単剤および必要に応じてグリベンクラミド追加)で血糖コントロールを維持したのは320例(79%)であった。 新生児における在胎不当過大児の割合は、経口血糖降下薬群23.9%(97例)、インスリン療法群19.9%(79例)であり(絶対リスク差:4.0%、95%信頼区間[CI]:-1.7~9.8、非劣性のp=0.09)、絶対リスク差の95%CI値は非劣性マージンの8%を超えていた。 母体の低血糖は、経口血糖降下薬群53例(20.9%)、インスリン療法群26例(10.9%)であった(絶対リスク差:10.0%、95%CI:3.7~21.2)。その他の副次アウトカムは、群間差は認められなかった。

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出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連

 出産後に抜け毛が多い女性は不安が強く、交絡因子を調整後にも独立した関連のあることが明らかになった。東京科学大学病院周産・女性診療科の廣瀬明日香氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」に10月27日掲載された。 個人差があるものの、出産後女性の多くが抜け毛を経験し、一部の女性は帽子やかつらを使用したり外出を控えたりすることがあって、メンタルヘルスに影響が生じる可能性も考えられる。産後の脱毛症の罹患率などの詳細は不明ながら、廣瀬氏らが以前行った調査では、育児中女性の91.8%が「抜け毛が増えた」と回答し、73.1%がそれに関連する不安やストレスを感じていることが明らかにされている。今回の研究では、その調査データをより詳しく解析し、産後脱毛と育児中のメンタルヘルスとの関連を検討した。 2021年6月~2022年4月に東京医科歯科大学病院(現在は東京科学大学病院)と東京都立大塚病院で出産した女性1,579人に対して、出産後10~18カ月時点にオンライン調査への回答協力を依頼。回答を得られた中から、多胎妊娠や出産以前に脱毛症の既往のあった女性を除外した331人を解析対象とした。なお、季節による脱毛量の変化を考慮し、回答依頼は8カ月の間隔をおいて2回実施された。 主な調査項目は、産後の脱毛量の質問(全くない/少し/かなり/非常に多いの四者択一)と、Whooleyの質問票、2項目の全般性不安障害質問票(GAD-2)、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)、およびアテネ不眠尺度(AIS)によるメンタルヘルス状態の評価。解析対象者の主な特徴は、出産時年齢が34.5±4.5歳で、経産婦が27.2%、経腟分娩65.8%であり、脱毛量は「全くない」8.2%、「少し」30.8%、「かなり」46.5%、「非常に多い」14.5%だった。 メンタルヘルス状態については、Whooleyの質問票の「気分が落ち込む」に33.5%、「何をしても楽しくない」に22.4%、GAD-2の「緊張や不安、神経過敏を感じる」に28.7%、「心配をコントロールできない」に16.6%が「はい」と回答していた。EPDSは、総合スコアが30点満点中6.5点、不安とうつのサブスケールはそれぞれ9点満点中2.9点、3.7点であり、AISは24点満点中6.8点だった。また、脱毛が「全くない」と回答した人以外に脱毛関連の不安やストレスを質問したところ、「全くない」が26.9%、「少し」が47.2%、「かなり」が18.9%、「非常に強い」が7.0%だった。 脱毛量とメンタルヘルス関連指標との関係性を単変量解析で検討した結果、脱毛量が「非常に多い」群では「全くない」群に比べて、GAD-2の「緊張や不安、神経過敏を感じる」の該当者が有意に多かった(オッズ比〔OR〕4.47〔95%信頼区間1.34~14.93〕、P=0.01)。また有意水準未満ながら、脱毛量が「非常に多い」群はGAD-2の「心配をコントロールできない」(OR4.17〔同0.86~20.26〕、P=0.08)の該当者が多く、EPDSの評価に基づく不安が強い傾向が見られた(係数1.06〔-0.14~2.25〕、P=0.08)。 上記の解析で有意な関連の見られたGAD-2の「緊張や不安、神経過敏を感じる」を従属変数とし、出産時年齢、分娩方法、不妊治療、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、出生時体重、授乳状況、および脱毛量などを独立変数とするロジスティック回帰分析を行ったところ、脱毛量が「非常に多い」こと(調整オッズ比〔aOR〕4.86〔1.21~19.53〕、P=0.026)と、不眠症状(AISが1高いごとにaOR1.26〔1.17~1.35〕、P<0.001)が、それぞれ独立した正の関連因子として抽出された。なお、経産婦であることは、有意な保護的因子として示された(aOR0.53〔0.36~0.80〕、P=0.002)。 著者らは本研究を、「育児中の女性における産後の抜け毛とメンタルヘルスとの関連を示した初のエビデンスである」とした上で、「産後の脱毛量の多さは、GAD-2で評価した不安と独立した関連が認められる」と結論付けている。なお、脱毛を経験した女性がより積極的に回答した可能性があることによる選択バイアスの存在や、横断研究のため因果関係は不明といった限界点とともに、「産後の不安が強い女性ほど、脱毛量をより多く感じやすい可能性もある」との考察が加えられている。

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酔っ払い? ン? 元酔っ払い?【救急外来・当直で魅せる問題解決コンピテンシー】第2回

酔っ払い? ン? 元酔っ払い?Point外傷の病歴や、疑う所見を入念に確認すべし。時間経過で症状の改善が確認できるか?普段の飲酒後とは異なる腹部症状や、意識変容がないか?症例45歳男性。夜中の1時に歓楽街の路地裏で嘔吐を繰り返し、体動困難となっていたところを通行人に発見され救急搬送された。来院時は吐物まみれで臭いも酷かったが、本人は本日の飲酒は大した量でないという。頭部CTで頭部内病変がないことのみ確認し、外来の診察室で寝かせておくことにした。数時間後に様子を伺いに行くと嘔気・嘔吐が改善していないどころか頻呼吸、頻脈も認め、強い腹痛を訴えていた。慌てて施行した血液検査でアニオンギャップ開大のアシドーシスを認め、速やかにビタミンB1と糖の補充、補液を開始した。半年前に妻に捨てられてから自暴自棄となりアルコール漬けの日々を送っていたが、来院3日前から食欲不振があり、景気付けにと繁華街に繰り出したとのことだった。入院時のスクリーニングでCAGE 3点とアルコール依存症が疑われため、ベンゾジアゼピンの予防内服も開始し、本人に治療希望あったため精神科受診の手配もすすめられた。おさえておきたい基本のアプローチ酔っ払い患者だから、と門前払いしたり先入観をもったりするのは避け、むしろ普段より検査も多めにして、慎重に診察にあたり表1に挙げた疾患の可能性を評価しよう。表1 急性アルコール中毒を疑った際の鑑別疾患実際の診療現場では、患者は指示に応じないどころか悪態をつくなど、とても診察どころではない状況も多々あるが、モニター装着のうえ人目につく場所でこまめに様子を観察しよう。意識レベルの経時的な改善がなければ、ほかの原因を考慮すべきだ1)。図1にERでの対応の流れの一例を提示する。図1 ERでの対応の流れの一例画像を拡大する救急の原則はABCの確保にあり、泥酔患者に対してもまずは気道、呼吸、循環が安定していることを確認するようにしたい。外傷診療で生理学的異常、その後解剖学的異常を評価する流れに似ている。アルコール自体で呼吸抑制を来すには血中アルコール濃度(blood alcohol level:BAL)が400mg/dL以上とされ、めったに出くわさないが、吐物などによる窒息の危険は高く、気道確保の必要性について常に考慮しておく。友達が酔っぱらっていたら仰臥位に寝かさずに、昏睡体位をとろう。意識障害の対応の基本である血糖checkも忘れないようにする。糖尿病や肝硬変が背景になければアルコール自体による低血糖の発症は多くないのだが、小児ではその危険性が増すため2)、誤って口にしてしまった場合などではとくに注意したい。血糖補正の際は、ウェルニッケ脳症予防のために、ビタミンB1の同時投与も忘れずに。酔っ払いにルーチンに頭部CTをとっても1.9%しかひっかからない3)。したがって表2のように、外傷の病歴や、頭部外傷、頭蓋底骨折を疑う所見を認める際に頭部CTを施行するようにする。中毒患者では頸椎骨折の際に頸部痛や神経所見があてにならないケースがあるので、頸部もあわせてCTで評価してしまおう。表2 頭部CTを早期に施行すべき場合頭蓋底骨折を示唆する所見がある(raccoon's eye、バトル徴候、髄液漏、鼓膜出血)頭蓋骨骨折が触知できる大きな外力(転倒などではない)による外傷歴があり、意識変容を認めるBALで予測されるよりも意識状態が悪い意識レベルが著明に低下(GCS※≦13)しており、頭部外傷の病歴や懸念があるGCSが低下していく神経局在症状がある※GCS(Glasgow Coma Scale)落ちてはいけない・落ちたくないPitfallsBALはルーチンで測定しないアルコール中毒自体の診断にBALを測定する意義は限定的で、そもそも筆者の施設では測定ができない。GCSの低下をきたすのはBAL≧200mg/dLであったという前向き研究の結果があり4)、前述のように意識障害の鑑別としてアルコール以外の要因を考慮するきっかけにはなる。PointBAL測定は意識障害にほかの鑑別を要するときに直接の測定が困難な場合、浸透圧ギャップ(血清浸透圧-計算上の浸透圧:通常では体内に存在していない物質分の浸透圧が上昇しているため、ギャップが開大する)から算出が可能であり、とくにエタノール以外のアルコール属中毒の際に参考となる。くれぐれも飲酒運転を警察に密告するために用いてはならない。直接治療に関連のない行為を行い、その結果を本人の同意なく第三者に伝えることは守秘義務違反に抵触する。酔い覚ましに…だけの補液は推奨されない二日酔いの朝イチは3号液+ビタミン剤の点滴に限る…なんて先輩からアドバイスを受けたことがある者は少なからずいるだろうが、アルコールの代謝を担うアルコール脱水素酵素は少量のアルコールで飽和状態になってしまうため、摂取した量にかかわらず、体内では20〜30mg/dL/時程度の一定の速度でしかアルコールを代謝できない。Point補液は泥酔患者のER滞在時間を短縮しないアシドーシスや膵炎合併、脱水症など、それ以外に補液を施行すべき病態があれば別だが、泥酔患者でアルコールの代謝を早める目的のみで補液を施行することに効果はなく、ER滞在時間を短縮する結果とはならないことが報告されている5)。アルコール常習犯への対応は慎重に急性アルコール中毒にルーチンで血液検査を行う必要はないが、とくにアルコール依存患者や肝不全合併患者では、血液検査で肝機能や電解質(低マグネシウム血症や低カリウム血症)を確認する。合併症の1つであるアルコール性ケトアシドーシス(alcoholic ketoacidosis:AKA)は、アニオンギャップ開大のアシドーシス所見が決め手ではあるが、嘔吐による代謝性アルカローシス、頻呼吸による呼吸性アルカローシスを合併し、解釈が単純ではない場合がある。ここ数日経口摂取できていない、嘔気・嘔吐、腹痛があるなどの臨床症状から積極的に疑うようにしたい。AKAの治療は脱水の補正と糖分の補充であり、それ自体では致死的な病態とならない。経過でアシドーシスが改善してこないようなら表3の鑑別疾患も念頭に置きたい。なお、ケトン体の存在の確認に試験紙法による尿検査を使用しても、血中で増加しているβヒドロキシ酪酸は反応を示さないので注意されたい。表3 アルコール性ケトアシドーシス(AKA)の鑑別疾患糖尿病性ケトアシドーシス重症膵炎メタノール、エチレングリコール中毒特発性細菌性腹膜炎ワンポイントレッスンアルコール離脱症候群アルコール常用者で、飲酒から6時間以上間隔が空いた際に出現する交感神経賦活症状(発汗、頻脈など)、不眠、幻視、嘔気・嘔吐、手指振戦、強直間代性発作で鑑別に挙げる。診断基準はDSM-5で定められているので参照いただきたい。慢性的なアルコール飲酒は脳内のGABAA受容体の感受性低下とNMDA受容体の増加を起こしており、アルコール摂取の急激な中止により興奮系であるNMDA受容体が活性化して症状が出現する。図26)のような時間経過で振戦せん妄へと移行していくが、早期に治療介入することで予防できる。図2 アルコール離脱症候群の重症度と時間経過画像を拡大する軽症症状は見逃がされやすく、またけいれんは飲酒中断後早期から生じ得るため注意が必要だ。治療の基本はベンゾジアゼピン系で、アルコールと同様にGABAA受容体に作用させ興奮を抑制させる。けいれん発作中ならジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾン)5〜10mgの静注を行うが、ルート確保困難な際はこだわらず、ミダゾラム(同:ドルミカム)10mgの筋注・口腔内・鼻腔内投与を行う。内服投与の際には、より作用時間の長いジアゼパム(代謝産物まで抑制効果を有する)やクロルジアゼポキシドを選択すればよい。アルコールの嗜好歴がある患者が入院する際には、アルコール依存のスクリーニングに有用7)なCAGE質問スクリーニング(表4)8)を用いて離脱予防の適応を判断しよう。表4 CAGE質問スクリーニング画像を拡大するウェルニッケ・コルサコフ症候群、脚気心慢性のアルコール摂取状態ではアルコール代謝においてビタミンB1が消費されるようになり、まともな食事を摂らなくなることも合わさりビタミンB1欠乏症を生じる。このうち神経系異常を引き起こしたものがウェルニッケ・コルサコフ症候群(dry beriberi)、心血管系異常を引き起こしたものを脚気心(wet beriberi)で、両者のオーバーラップも起こり得る。ウェルニッケ脳症は急性で可逆的とされる脳症のため積極的に疑い治療介入をしたいところだが、古典的3徴とされる眼球運動障害(眼球麻痺・眼振)、意識変容、失調のすべてを満たすものは16%だったとの報告もあり9)、これにこだわると見逃しやすい。Caineらが報告した診断基準(表5)は感度85%、特異度100%と報告されており10)、ぜひとも押さえておきたい。ビタミンB1は水溶性で必要以上の量は腎排泄されるので、疑えば治療doseである高用量チアミンで治療開始してしまおう。表5 ウェルニッケ脳症診断基準勉強するための推奨文献Sturmann K, et al. Alcohol-Related Emergencies: A New Look At An Old Problem. Emergency Medicine Practice. 2001;3:1-23.Muncie HL, et al. Am Fam Physician. 2013;88:589-595.参考1)Nore AK, et al. Tidsskr Nor Laegeforen. 2001;121:1055-1058.2)Lamminpaa A. Eur J Pediatr. 1994;153:868-872.3)Godbout BJ, et al. Emerg Radiol. 2011;18:381-384.4)Galbraith S, et al. Br J Surg. 1976;63:128-130.5)Homma Y, et al. Am J Emerg Med. 2018;36:673-676.6)Kattimani S, Bharadwaj B. Ind Psychiatry J. 2013;22:100-108.7)Fiellin DA, et al. Arch Intern Med. 2000;160:1977-1989.8)Ewing JA. JAMA. 1984;252:1905-1907.9)Harper CG, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1986;49:341-345.10)Caine D, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1997;62:51-60.執筆

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身近な血圧計から心房細動の早期発見に寄与する新システム発表/オムロン

 オムロンヘルスケアは、血圧測定時に同時に得られるバイタルデータを解析することで「脈の乱れ」を検知するシステムの完成に合わせ、プレスセミナーを開催した。 セミナーでは、心房細動(AF)におけるバイタルデータの重要性や開発された血圧測定でAFのリスクを検出する次世代アルゴリズム“Intellisense AFib”の説明が行われた。大きな循環器、脳血管障害の予防に日常生活でみつけたいAF 「脳・心血管イベントの抑制における心房細動管理の重要性」をテーマに清水 渉氏(日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野 教授)がAFの発症リスクと家庭におけるバイタルデータ計測の重要性について、説明を行った。 2017(平成29)年の人口動態統計によれば死因の第1位は「悪性新生物」、第2位は「心疾患」、第3位は「脳血管疾患」となっている。循環器系疾患で全体の約1/4を占め、医療費と介護費では1番費用がかかり全体の約1/5を占め、介護が必要となる原因でも約1/5を循環器系疾患が占めている。 AFは加齢とともに増加する最も頻度が高い不整脈であり、患者の健康寿命や生命予後に大きく影響する。そのためAFに伴う心原性脳梗塞、心不全、認知症の予防が健康寿命延伸の鍵となる。 わが国のAFの有病率は、年齢に比例し、男性ほど多く、80代では男性の約4.5%で、女性の約2%でAFという研究報告もあり1)、有病率は年々増加している。とくに問題となるのは、脳卒中の前症状でAFが診断されないケースであり、“Fukuoka Stroke Registry”によれば、脳卒中の発症前にAFの診断なしが45.9%だったという報告もある2)。 そのため、早期にAFを発見することが、その後の大きな循環器、脳血管障害の予防に寄与するが、発見のアプローチとしてはさまざまなものがある。日常、簡単にできるものでは、自分で脈をチェックする「検脈」のほか、血圧計、ウェアラブルデバイスがあり、AFスクリーニング能は高くないが簡単にできる。また、家庭では携帯型心電計、24時間ホルター心電計などAFの可能性を検出できるデバイスもあり、これらの機器を駆使して早期に発見されることが期待される。 AFのリスクファクターでは、年齢、糖尿病、喫煙のほかに高血圧も指摘されている。とくに高血圧患者では非高血圧患者と比べて、未治療のAFが約3倍検出されたことが報告されており、早期発見の重要なターゲットといわれている3)。 次にAFの治療の最新動向について触れ、『2024年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療』(日本循環器学会/日本不整脈心臓学)から内容を引用しつつ、説明を行った。 同ガイドラインでは、リズムコントロールの有効性を高めるために生活習慣(肥満、喫煙、アルコール多飲など)の改善、併存疾患(高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など)の治療も重要と示すとともに、早期発見のAF患者ではリズムコントロール療法を考慮することが記載されている。 また、わが国では年間10万例を超えるカテーテルアブレーションの治療が行われており、その適応も拡大されるとともに、従来の焼灼ではなく高周波の電気で患部に作用するパルスフィールドアブレーションも使用できるなど治療機器の進化の一端も説明した。そのほか、抗凝固療法について、すべての直接経口抗凝固薬(DOAC)がCHAD2スコア1点以上で推奨されていること、高リスク高齢者では、腎機能障害や認知症などがあっても積極的にDOACを使用するべきと述べ、レクチャーを終えた。高血圧患者の圧脈波をAIが解析し、AFを発見 血圧を測るだけでAFの早期発見をサポートする「次世代アルゴリズム“Intellisense AFib”とは」をテーマに、同社の技術開発統轄部の濱口 剛宏氏がシステムの説明を行った。 同社は累計3.5億台の血圧計を製造・販売しており、高血圧患者が、毎日の血圧測定で意識せず、AFを早期にみつける「新しい機会」の創出を模索していた。そして、今回開発された“Intellisense AFib”は、心臓が拍動するときに生じる動脈内の圧力変化である圧脈波のデータを取得することで、これをAIが解析し、AFの検出を可能にするという。 Intellisense AFibは、同社が蓄積してきた50年に及ぶ膨大な圧脈波のデータと最新のAIによるアルゴリズム、そして、心電図・脈波解析の専門チームの融合により、高精度なAF検出アルゴリズムを実現したものである。このシステムは2024年8月から中国をはじめ、欧州で発売を開始し、25年に米国で発売を、本年度中にはわが国でも薬事取得を目指すという。 同社では「Intellisense AFibが搭載された血圧計が普及し、1人でも多くの高血圧のAF患者の早期発見を実現したい」と今後に期待を寄せている。

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人工甘味料の摂取は非健康的な食生活と関連

 人工甘味料の摂取量が多い人ほど、食生活が非健康的であるという関連性を示すデータが報告された。米ジョージ・ワシントン大学のAllison Sylvetsky氏らの研究によるもので、詳細は「The American Journal of Clinical Nutrition」に11月25日掲載された。 砂糖などの添加糖の代わりに人工甘味料が使われることがあるが、それが人々の食生活の質を高めているのか、または反対に食生活の質の低下と関連しているのかという点は、よく分かっていない。これを背景としてSylvetsky氏らは横断的研究により、人工甘味料の摂取と食生活の質との関連を検討した。 研究には、米国がん協会(ACS)が行っているがん予防に関するコホート研究の参加者のデータを用いた。精度検証済みの食品摂取頻度質問票を用いて、人工甘味料入り飲料・食品・ヨーグルトの摂取量を推測。その結果に基づき参加者全体を、人工甘味料非摂取群、1日1サービング未満群、1日1〜2サービング未満群、1日2サービング以上群という4群に分類した。食事の質は、ACS食事スコアと健康的な食事指数(HEI-2015)を用いて評価した。解析対象者は16万3,679人で、年齢中央値53歳(四分位範囲45~60)、女性78.9%であり、1日当たりの人工甘味料摂取頻度は1.0±1.5回、HEI-2015は75.4±10.2だった。 ACS食事スコアは、人工甘味料非摂取群が6.8±0.03であったのに対し、1日1サービング未満の群は6.5±0.03、1〜2サービング未満の群6.3±0.03、2サービング以上の群6.1±0.03と、摂取量が多いほどスコアが低いという有意な関連が認められた。また、HEI-2015についても同順に、76.3±0.1、76.7±0.1、75.6±0.2、72.7±0.2と、同様の関連が認められた(いずれも傾向性P<0.0001)。 次に、食事の質が低いと判定されるオッズを多変量ロジスティック回帰分析で検討した結果、人工甘味料の摂取量が多いほどそのオッズが増加する傾向が認められた。具体的には、人工甘味料を摂取していない群に比較して、摂取量が1日1サービング未満の群では3%、1〜2サービング未満の群では17%、2サービング以上の群では43%のオッズ上昇が認められた。 これらの結果について論文の筆頭著者であるSylvetsky氏は、「人工甘味料は添加糖の代替として摂取されているが、われわれの研究では人工甘味料を多く摂取している人は、飽和脂肪、食塩、添加糖など、健康上の懸念のある成分の含有量が多い食品や飲料を大量に摂取していることが分かった。米国成人の大規模コホートにおいて、人工甘味料摂取者の食事の質は概して低いと言える」と総括している。

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服薬アドヒアランスの悪い心血管疾患の患者に対して、一般的なテキストメッセージ、ナッジを追加したテキストメッセージ、ナッジとチャットボットによるテキストメッセージを提供しても、通常のケアと比較して12ヵ月後のアドヒアランスを改善しなかった(解説:名郷直樹氏)

 ナッジ*やチャットボット**という新しい介入手段が出現し、患者の服薬アドヒアランスを改善できるのではないかという視点で行われたランダム化比較試験である。 服薬アドヒアランスの悪い心血管疾患の18歳から90歳までの患者を対象に、一般的なテキストメッセージ、ナッジを追加したテキストメッセージ、ナッジとチャットボットによるテキストメッセージのそれぞれの提供を通常のケアと比較し、12ヵ月後のリフィルの処方箋の発行のギャップを服薬アドヒアランスのアウトカムとして検討している。 この研究は“pragmatic”と書かれているが、個々の患者に臨床試験に対する情報提供と同意を行う“opt in”のステップを踏まず、手紙の郵送によって参加者を募るという“opt out”の手法を用いているところに特徴がある。より幅広いリアルワールドでの患者を対象にしようとする配慮がなされており、これが“pragmatic”ということなのだろう。 結果は、テキストメッセージ群で62.0%、ナッジ追加群で62.3%、ナッジ+チャットボット群で63.0%、通常ケアで60.6%の順守率で、統計学的な差はない。順守率の差の多変量解析による結果も報告され、統計学的に有意な差が認められているが、順守率2%程度の差であり、統計学的な有意差が認められたとしても、臨床的に意味のある差とは言えないだろう。 服薬アドヒアランスを改善することは治療効果を上げるために重要である。アドヒアランスの低下が患者の予後に関連するという研究もある。しかし、アドヒアランスの評価そのものが困難である。毎回きちんと通院している患者が訪問診療に移行し、自宅を訪ねてみると、大量の残薬が発見されることは決して珍しくない。自己負担の少ない国民皆保険の日本で同様な研究を行うとしたら、さらに大きな困難があると思われる。*ナッジ:元の意味は「軽くつつく」というものであるが、ちょっとした本人の意識しない介入(ナッジ)を行動経済学の領域で経済的な利益を高めるための手法として利用したのが始まりである。それがさらに一般的な行動にも適用されるようになり、行動科学に基づいて、強制することなく、小さな介入により、本人に意識させることなく、人々の行動を改善する手法として利用されるようになった。この論文においてナッジの相殺については記載されていないが、サプリメントに記載されている。**チャットボット:「対話(chat)」と「ロボット(bot)」を組み合わせた造語であるが、AIと人との対話ということである。この論文に準じて言えば、アドヒアランスの改善についてAIと対話し、その結果をテキストメッセージとして提供するということであろう。

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歩くのが速いと自認している肥満者、代謝性疾患が少ない

 肥満者において、主観的歩行速度が代謝性疾患のリスクと関連のあることを示唆するデータが報告された。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の山本結子氏、石井好二郎氏らが行った横断的解析の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に11月15日掲載された。 歩行速度は、体温、脈拍、呼吸、血圧、酸素飽和度に続く“第6のバイタルサイン”と呼ばれ、死亡リスクと関連のあることが知られている。しかし、歩行速度を客観的に把握するにはスペースと時間が必要とされる。よって健診などでは、「あなたの歩く速度は同世代の同性と比べて速い方ですか?」という質問の答えを主観的歩行速度として評価することが多い。この主観的歩行速度も代謝性疾患リスクと関連のあることが報告されているが、疾患ハイリスク集団である肥満者での知見は限られている。これらを背景として山本氏らは健診受診者データを用いて、肥満者の主観的歩行速度が代謝性疾患の罹患状況と関連しているかを検討した。 解析対象は2011~2022年の武田病院健診センターにおける人間ドック受診者のうち、肥満または腹部肥満に該当し、データ欠落がない人。関連性を評価した代謝性疾患は、高血圧、糖尿病、脂質異常症の三つで、いずれも健診時データが診断基準を満たす場合、または治療薬が処方されている場合に「疾患あり」と判定した。解析に際しては、年齢、性別、喫煙・飲酒・運動習慣の影響を統計学的に調整した。 まず、肥満(BMI25以上)については、該当者が8,578人(平均年齢53.7±8.6歳、男性63.0%)であり、45.3%が「歩行速度が速い」と回答していた。主観的歩行速度が速い群では、糖尿病が有意に少なかった(リスク比〔RR〕0.71〔95%信頼区間0.64~0.79〕)。高血圧と脂質異常症に関しては、リスク比が1未満だったが信頼区間が1をまたいでいた。なお、年齢と性別のみを調整因子とするモデルでの解析では、脂質異常症もRR0.97(同0.94~1.00)と有意に少なかった。ただし高血圧に関しては、このモデルでも非有意だった。 次に、腹部肥満(ウエスト周囲長が男性85cm以上、女性90cm以上)の該当者は9,626人(54.8±8.9歳、男性79.8%)であり、47.9%が「歩行速度が速い」と回答していた。主観的歩行速度が速い群では、高血圧(RR0.94〔0.90~0.97〕)、糖尿病(RR0.72〔0.65~0.79〕)、脂質異常症(RR0.97〔0.94~0.99〕)と、評価した全ての代謝性疾患が少なかった。 続いて、肥満および腹部肥満の定義を満たす6,742人(54.0±8.6歳、男性74.0%)で検討。この集団における主観的歩行速度が速い群(45.1%)も、腹部肥満者での解析結果と同様に、高血圧(RR0.95〔0.92~0.99〕)、糖尿病(RR0.71〔0.64~0.79〕)、脂質異常症(RR0.97〔0.94~1.00〕)という3疾患全てが少なかった。 著者らは、解析対象が人間ドック受診者であり健康リテラシーが高いと考えられ、かつ単一施設のデータであること、および横断的解析であることなどを解釈上の留意点として挙げた上で、「肥満者においても主観的な歩行速度が速い場合に、代謝性疾患のリスクが低い可能性が示された」と結論付けている。なお、BMI25以上のみの群では主観的歩行速度と高血圧リスクとの関連が非有意であったことの理由について、「血圧管理には歩行速度だけでなく、毎日の歩数が重要なことを示唆する報告がある」との考察が付け加えられている。

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CKDを有する高血圧患者にも厳格降圧は有益?

 SPRINT試験で認められた厳格降圧(収縮期血圧目標:120mmHg未満)および標準降圧(同:140mmHg未満)のリスク・ベネフィットが、慢性腎臓病(CKD)を有するSPRINT試験適格の高血圧患者にも適用できるかどうかを調査した結果、SPRINT試験と同様に厳格降圧による予後改善効果は認められたものの、重篤な有害事象も多かったことを、米国・スタンフォード大学のManjula Kurella Tamura氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2025年1月7日号掲載の報告。 SPRINT試験において、糖尿病または脳卒中の既往がなく、心血管イベントリスクが高い高血圧患者では、厳格降圧のほうが標準降圧よりも死亡や心血管イベントなどのリスクが低減した。その一方で、急性腎障害などの特定の有害事象が増加したことや、進行したCKD患者では厳格降圧による心血管系へのメリットが減弱する可能性があることも示唆されている。そこで研究グループは、SPRINT試験の結果が、実臨床におけるCKDを有する高血圧患者にも適用可能かどうかを評価するために試験を実施した。 2019年1月1日~12月31日に米国退役軍人保健局(VHA)とカイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院(KPSC)の電子健康記録データベースから、CKDを有し、かつSPRINT試験の適格基準を満たす高血圧患者を抽出して、SPRINT試験のベースラインの共変量データ、治療データおよびアウトカムデータと、VHAとKPSC集団の共変量データを組み合わせ、治療効果を推定した。分析は2023年5月~2024年10月に実施された。主なアウトカムは、4年時点での主要な心血管イベント、全死因死亡、認知障害、CKD進行、有害事象などであった。 主な結果は以下のとおり。・VHAからは8万5,938例(平均年齢:75.7[SD 10.0]歳、男性:95.0%)、KPSCからは1万3,983例(77.4[9.6]歳、38.4%)が抽出された。SPRINT試験の参加者9,361例(67.9[9.4]歳、64.4%)と比較すると、年齢が高く、心血管疾患の有病率が低く、アルブミン尿を有する割合が高く、スタチンの使用量が多かった。・厳格降圧および標準降圧と主要な心血管イベント、全死因死亡、有害事象との関連は、SPRINT試験からVHAおよびKPSC集団の両方に適用可能であった。・厳格降圧群は、標準降圧群と比較して、4年時点での主要な心血管イベントの絶対リスクがVHA集団で5.1%、KPSC集団で3.0%低かった。・全死因死亡の絶対リスクは、厳格降圧群のほうがVHA集団で2.8%、KPSC集団で2.3%低かった。・重篤な有害事象のリスクは、厳格降圧群のほうがVHA集団で1.3%、KPSC集団で3.1%高かった。・VHA集団においてのみ厳格降圧による腎臓関連アウトカムとeGFRの50%超低下のリスク低減が認められたが、信頼区間が広く、メリットがない可能性も考えられた。 これらの結果より、研究グループは「SPRINT試験で観察された厳格降圧および標準降圧のリスク・ベネフィットは、臨床におけるCKDを有するSPRINT試験適格の高血圧患者にも適用可能であった。厳格降圧を実施する利点が示されたものの、有害事象のリスクは増大したことから、高血圧治療の決定では患者の希望を考慮することの重要性が強調された」とまとめた。

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甲状腺疾患と円形脱毛症の間に遺伝的関連がある可能性

 甲状腺機能低下症、慢性甲状腺炎(橋本病)、亜急性甲状腺炎と円形脱毛症(AA)の間には有意な関連性があることを示す研究結果が、「Skin Research & Technology」に9月27日掲載された。 Heping Hospital Affiliated to Changzhi Medical College(中国)のYue Zhao氏らは、2標本のメンデルランダム化解析を用いた研究で、AAと甲状腺疾患の潜在的な因果関係を検証した。甲状腺機能低下症、橋本病、甲状腺機能亢進症、亜急性甲状腺炎、バセドウ病が曝露因子として選択され、AAが結果変数とされた。データはゲノムワイド関連解析(GWAS)から取得された。 解析の結果、甲状腺機能低下症(逆分散加重オッズ比1.40)、橋本病(同1.39)、亜急性甲状腺炎(同0.73)について、AAが統計的に有意な遺伝的予測を示すことが示された。多面性のエビデンスは見られなかった。関連の安定性と頑健性は、leave-one-outテストを使用して実証された。 著者らは、「私たちの研究結果は、甲状腺機能低下症、橋本病、亜急性甲状腺炎が、AAとの間に有意な関連性があることを示しており、内分泌の健康状態と皮膚病理の複雑な相互作用に関する新たな視点を示唆している。これらの発見は、甲状腺疾患とAAの発症機序との関係を示す新たなエビデンスを提供するだけでなく、特にAAの潜在的な治療法を探る上で、将来の研究に新たな方向性を示している」と述べている。

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3年ぶりのオンライン英会話【Dr. 中島の 新・徒然草】(563)

五百六十三の段 3年ぶりのオンライン英会話ここのところ、異常な寒さが続いています。表示される摂氏○度というのはそんなに低くないのですが。天気予報には実際の気温のほかに体感温度も示されます。それによれば、体感気温は実際の気温よりもかなり低く出ていました。やっぱり!さて、私にとって永遠の課題である英語です。久しぶりにオンライン英会話をやってみようと思って調べたら、最後のレッスンが2022年1月。一応休会手続きはしていたものの、実に3年間もの空白が!やはり生身の人間相手に場数を踏むことも大切ですね。そう思って再開しました。時々やってくる外国人患者さんの外来診療を想定してのレッスンです。今回の講師は60代の女性。中島「そちらが患者役で私が医師役ということで、ロールプレイをしてくれませんか?」講師「お医者さんといっても専門がいろいろあるんでしょう?」中島「私は脳外科ですが、主訴は何でもいいですよ」講師「難しいなあ」中島「良かったらご自身の健康問題の相談に乗りましょうか」講師「私、悪いところがいっぱいあるから」ということで、始まったのが講師自身の糖尿病の相談でした。薬をもらって飲んでいるのだそうです。でも、ご自分のHbA1cの数値なんかはまったく知らないようでした。中島「検査をしたら必ずHbA1cの値をチェックしてください」講師「わかったわ」中島「糖尿病を放置したらどうなるかご存じですか?」講師「知らなーい」中島「失明したり腎臓を悪くしたりして透析になってしまいますよ」講師「そうなの!」中島「週2回とか3回とか病院に行くことになりますから」講師「そうなったら旅行に行けないじゃない!」もはや英語のレッスンというよりも健康相談ですね。講師「何か食べてはいけない物とか、注意することある?」中島「ジュースばっかり飲むとか、ドカ食いするとかはやめたほうがいいですね」講師「フィリピンは果物が美味しいのよ。だからついたくさん食べてしまうんだけど」中島「マンゴーでもバナナでも、1口ずつ味わって食べましょう」講師「わかったわ。ほかに何かある?」中島「夕食を摂ったあと、まだもう少し欲しいと思うことがありますよね」講師「あるある!」中島「そんな時は10分だけ待ちましょう。そうしたら食べること自体に興味がなくなりますから」講師「そうなの?」中島「満腹になっても、そのことを脳が感じ取るまで少し時間がかかるんですよ」これをどう英語で表現したものか?後でChatGPTに聞いてみました。There is a time gap between your stomach being full and feeling full.うまいなあ!というわけで、60代の講師の場合は多くの健康問題を抱えている分、若い講師よりも診察ロールプレイには向いていたというお話です。目標としては、1回のレッスンで新しい英語の知識を最低3つ得る、というところにしたいと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。最後に1句厳寒の 英語の授業は 糖尿病

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いざお見合いへ!オンラインvs.対面【アラサー女医の婚活カルテ】第6回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆前回は、結婚相談所(以下、相談所)での婚活の事前準備についてご紹介しました。今回は、実際のお見合いでの経験をシェアしたいと思います。「長期戦」となったマイ婚活プロフィールページを見て、双方が「会ってみたい」と思えば、いよいよ次のステップ、すなわち「お見合い」に進みます。大手の「連盟」(連盟については第3回参照)であるIBJが発行した「2023年度版 成婚白書」を見てみましょう。「年齢別『お見合い数』比較」では、成婚に至った女性のお見合い数(中央値)は、25~29歳の場合は9.0回、30~34歳の場合は11.0回だったそうです1)。では、私自身のお見合い回数はどうだったか…というと、なんと自分自身も驚きの「31回」でした!婚活の「活動期間」としても、成婚に至った女性の「在籍日数」(中央値)が25~29歳が205.0日、30~34歳が252.0日であるのに対し、「約1年半」でしたから、同年代に比べて長めだったことがわかります。われながら、よく頑張ったものです。ちまたの婚活マニュアルや、SNS上の「婚活アドバイザー」たちは、短期間での成婚を推奨する傾向があるようです。年齢が上がれば上がるほど成婚しづらくなるため、「とにかく誰かと結婚すること」を最優先に考えるのであれば、私の活動は褒められたものではないでしょう。しかし、前回にも触れたように、私は結婚相手に求める条件が比較的多く、「とにかく結婚したい」というよりは「結婚はあくまで人生の通過点。子どもは欲しいけれど、合わない相手と無理して結婚するよりは、独身のままのほうが良い」と思っていました。また、相手を医師に限定せずに活動しており、相手よりも私のほうが高年収である場合、「合わない相手と結婚して、その後離婚したら、財産分与で多額のお金を支払う羽目になる」という懸念も、頭の片隅にありました(笑)。そのため、夫と出会うまで、結果的に長期戦の婚活をすることになりました。「オンラインお見合い」は使いよう婚活業界では、2020年、日本結婚相手紹介サービス協議会がコロナ禍を考慮して「『オンライン』で出来ることは、『オンライン』で実施しましょう」との声明2)を出したことで、多くの連盟・相談所でオンラインお見合いが活発化しました。私も、活動開始当初はオンラインお見合いを多く活用していました。私なりに、オンラインお見合いと、対面のお見合いとを比較してみます。オンラインのメリットオンラインお見合いのメリットその1は、「感染の心配がない」ことです。職業柄、コロナに感染したら欠勤などで周りに迷惑を掛けてしまいますし、患者さんを感染させてしまったともなれば大問題ですから、オンラインお見合いの仕組みがあって助かりました。メリットその2は、「移動の手間・交通費やお茶代がかからない」ことです。オンコールがない休日に、30分程度の短いインターバルを置いて、同じ日に複数件のお見合いを組んだこともありました(精神的に疲れるのであまりお勧めはしませんが……)。メリットその3は、「遠方の人とも会える」ことです。前回触れたように、私にとって「将来的に同じ県内で生活できること」が結婚相手に求める条件の1つだったため、基本的には遠方在住の方とお会いすることはあまりありませんでしたが、ありがたいことに「成婚すればこん野さんの職場近くに移住してもよい」と言ってくれる方が時々いて、何度かお見合いしました。一番遠かったのは、なんとシンガポール在住の方でした!(ご縁はありませんでしたが…)。オンラインお見合いのデメリット一方、私が思うオンラインお見合いの最大のデメリットは、対面で会うときに比べて「お相手の雰囲気がわかりづらい」ことです。オンラインお見合いは、対面のお見合いに比べて、次のステップである「仮交際」に進む確率が高い、という記事3)を読みましたが、おそらくオンラインお見合いでは、完全に「なし」と判定したお相手以外は、いったん「交際希望」を出す場合が多いのではないかと思います。私の場合も、オンラインお見合いで「あり」か「なし」かの判断に迷ったら、取りあえず仮交際に進んでみて、仮交際のデート1回目で判断する場合が多かったです。結果として、直接会うよりも時間が取られることが多いと感じます。デメリットその2は、「回線トラブルが起こりうる」ことでした。一度、お相手が予定時刻を30分過ぎてもお見合いのオンラインミーティングに入室してこなかったことがありました。後日、回線トラブルだったので日程の再設定をとの依頼が来ましたが、トラブル時の対応力もその方の一面だと思ったので、お断りしました。デメリットその3は、「追加料金が発生しうる」ことでした。お相手の相談所のシステム次第では、オンラインお見合いの場合、1回当たり数千円の追加料金が徴収されることがあったようで、お見合い後にお断りする際、申し訳ない気持ちになりました。上記のようなメリット、デメリットを踏まえ、オンラインお見合いと対面でのお見合いを使い分けると良いと思います。おまけ~オンラインお見合いのコツ余談ですが、オンラインお見合いの際は、画面に映る印象がとても大切ですから、服装やメイクだけではなく、部屋の調光やインテリアにも気を配ると良いようです。私は、顔を明るく照らしてくれる、いわゆる「女優ライト」を活用していました。学会のWeb発表などでも使えるので、なかなか良い買い物でした。いかがでしたか?今回は、筆者自身のお見合い回数や、オンラインお見合いと対面でのお見合いの比較について書きました。次回も引き続き、お見合いでの体験談をお届けしたいと思います。お楽しみに。参考1)成婚白書/IBJ1)新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた結婚相手紹介サービス業界ガイドライン/JMIC 1)「オンラインお見合い」で約半数が仮交際へ。IBJ日本結婚相談所連盟、自宅での婚活を支援。/IBJ

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慢性疾患の増加は腎機能を低下させる

 高齢者における多疾患併存は腎機能低下と強く関連しており、慢性疾患の数が増えるほど腎機能の低下度も大きくなることが、新たな研究で明らかになった。研究論文の筆頭著者であるカロリンスカ研究所(スウェーデン)のGiorgi Beridze氏は、「われわれの研究結果は、高齢者の腎機能低下のリスクを評価する際に、慢性疾患の全体的な負担だけでなく、疾患間の複雑な相互作用も考慮した包括的な評価の重要性を強調するものだ」と述べている。この研究の詳細は、「Journal of the American Geriatrics Society(JAGS)」に12月17日掲載された。 この研究でBeridze氏らは、老化研究(Swedish National study on Aging and Care in Kungsholmen;SNAC-K)の一環として、スウェーデンの高齢者3,094人(平均年齢73.9歳)の健康状態を15年間にわたって追跡調査した。多疾患併存として慢性疾患の数を調査してそのパターンを特定し、経時的な推算糸球体濾過量(eGFR)の絶対的変化および相対的変化(ベースラインからの25%以上の低下)との関連を検討した。対象者の87%が多疾患併存に該当した。 解析の結果、慢性疾患の数とeGFRの絶対的な低下および相対的な低下との間には独立した容量依存関係が認められることが明らかになった。具体的には、慢性疾患が1つ増えるごとに、eGFRは年平均0.05mL/分/1.73m2低下し、ベースラインからeGFRが25%以上低下するリスクは23%増加すると推定された。 多疾患併存には、「非特異的な低負荷パターン」「非特異的な高負荷パターン」「認知機能障害や感覚障害を特徴とするパターン」「精神疾患や呼吸器疾患を特徴とするパターン」「心代謝性疾患を特徴とするパターン」の5つが特定された。「非特異的な低負荷パターン」を基準として、それぞれのパターンとeGFRとの関連を解析した結果、「非特異的な高負荷パターン」および「心代謝性疾患を特徴とするパターン」は、eGFRの絶対的および相対的な低下と有意に関連することが示された。具体的には、「非特異的な高負荷パターン」では、慢性疾患が1つ増えるごとにeGFRは年平均0.15mL/分/1.73m2低下し、ベースラインからeGFRが25%以上低下するリスクが45%増加すると推定された。また、「心代謝性疾患を特徴とするパターン」では、eGFRは年平均0.77mL/分/1.73m2低下し、25%以上低下するリスクは245%増加すると推定された。さらに、「認知機能障害や感覚障害を特徴とするパターン」では、eGFRが25%以上低下するリスクが53%増加することも推定された。 研究グループは、「高血圧や心疾患などの慢性疾患は糖尿病と関連しているため、あるいは臓器にダメージを与える炎症を引き起こすため、腎臓にダメージを与える可能性がある」との見方を示している。そして、「加齢に伴うこのような疾患パターンを追跡し、慢性疾患を管理することが、腎臓の健康を維持するのに役立つ可能性がある」と結論付けている。 Beridze氏は、「高齢者で、高リスクの多疾患併存パターンに該当する患者には、腎機能のモニタリングを強化し、健康的なライフスタイルを推進し、タイムリーな薬理学的介入を行うことで患者にベネフィットがもたらされる可能性がある」と話している。

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ヘモクロマトーシス、HFE C282Yホモ接合体は糖尿病リスク高い/BMJ

 トランスフェリン飽和度またはフェリチンが正常、あるいはこれら両方が正常のヘモクロマトーシス患者は、ほとんどのガイドラインでHFE遺伝子型の判定が推奨されていないという。デンマーク・コペンハーゲン大学のMathis Mottelson氏らが、HFE遺伝子C282Yホモ接合体を有するヘモクロマトーシス患者は糖尿病のリスクが増加しており、糖尿病でC282Yホモ接合体の非保有者と比較して、糖尿病でC282Yホモ接合体の保有者は死亡率が高く、この集団の死亡の3割近くは糖尿病に起因する可能性があることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年12月9日号で報告された。デンマークの3つの集団の前向きコホート研究 研究グループは、血漿中の鉄、トランスフェリン飽和度、フェリチン濃度が正常であっても、HFE遺伝子C282Yホモ接合体を保有するヘモクロマトーシス患者は、糖尿病、肝疾患、心疾患のリスクが高いか否かを検証し、これらの疾患を持つC282Yホモ接合体の非保有者と比較して、保有者は死亡率が高いか否かについて検討する目的で、前向きコホート研究を行った(Capital Region of Denmarkなどの助成を受けた)。 解析には、デンマークの3つのコホート研究(Copenhagen City Heart Study、Copenhagen General Population Study、Danish General Suburban Population Study)のデータを用いた。 HFE遺伝子のC282Y変異およびH63D変異の有無を評価した13万2,542例(このうち422例がC282Yホモ接合体)を対象とし、研究への登録から最長27年間、前向きに追跡した。トランスフェリン飽和度、フェリチンが正常でも糖尿病リスクが高い C282Yホモ接合体の非保有者と比較した保有者の疾患別罹患率のハザード比(HR)は、糖尿病が1.72(95%信頼区間[CI]:1.24~2.39、p=0.001)、肝疾患が2.22(1.40~3.54、p<0.001)で、心疾患は1.01(0.78~1.31、p=0.96)であった。 年齢層別の5年間の糖尿病絶対リスクは、C282Yホモ接合体を保有する女性で0.54~4.3%、非保有女性で0.37~3.0%、保有男性で0.86~6.8%、非保有男性で0.60~4.8%であった。 試験登録時に得られた1回の血液サンプルの鉄、トランスフェリン飽和度、フェリチン濃度の値に基づく解析では、C282Yホモ接合体を有する集団は、トランスフェリン飽和度が正常(HR:2.00、95%CI:1.04~3.84)、またはフェリチンが正常(3.76、1.41~10.05)であっても糖尿病のリスクが上昇しており、フェリチンとトランスフェリン飽和度の両方が正常(6.49、2.09~20.18)でも糖尿病リスクが高かった。糖尿病による死亡の人口寄与割合は27.3% 糖尿病でC282Yホモ接合体を保有する集団では、糖尿病で非保有の集団よりも全死因死亡のリスクが高かったが(HR:1.94、95%CI:1.19~3.18)、糖尿病のないC282Yホモ接合体保有集団では死亡率は増加しなかった。 C282Yホモ接合体を保有する集団の死亡のうち、特定の疾患を有する集団における超過死亡を除外した場合に理論的に予防が可能な死亡の割合(人口寄与割合)は、糖尿病で27.3%(95%CI:12.4~39.7)、肝疾患で14.4%(3.1~24.3)であった。 一方、糖尿病や肝疾患のリスクは、H63Dヘテロ接合体、H63Dホモ接合体、C282Yヘテロ接合体、C282Y/H63D複合ヘテロ接合体を保有する集団では増加しなかった。 著者は、「これらの結果は、将来の遺伝性ヘモクロマトーシスの診療ガイドラインでは、C282Yホモ接合体を保有する集団においては糖尿病の発見と治療を優先することが重要となる可能性を示すものである」としている。

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過去30年間の世界の糖尿病有病率と治療率の推移(解説:住谷哲氏)

 2024年に国連が発表した世界人口は約82億人で、今世紀中には100億人を突破するようだ。今から30年ほど前の1990年の世界人口は約53億人だったので、この30年間に約30億人増加したことになる。そこで、この30年間に世界の糖尿病患者数と治療率がどう推移したかを検討したのが本論文である。 世界中から収集した18歳以上の1億4,100万人のデータに基づく解析であるから、現時点での最も詳細な疫学データと思われる。従来実施された同様の研究では糖尿病の診断に主としてFPGが用いられたが、本解析ではHbA1cまたは糖尿病治療歴の有無も使用されているので精度の点でも優れている。 結果は、2022年の糖尿病患者数は8億2,800万例で有病率は女性13.9%、男性14.3%であった。これは1990年と比較すると約6億3000万例増加しており、過去30年間に世界の糖尿病患者数は約4倍以上増加したことがわかる。問題は中・低所得国での増加が著しく、その傾向がますます強くなっている点である。治療率の推移をみても同様の傾向であり、中・低所得国では患者数の増加に比較して治療率の上昇が認められていない。 健康の社会的決定要因(SDOH:social determinants of health)と糖尿病とが深く関係することは、すでに明らかとなっている1)。これは本論文が示す世界規模でも、われわれの日常臨床においても同様である。糖尿病患者一人ひとりが置かれた社会的環境を考慮したマネジメントが、ますます重要となっている。 

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高ナトリウム血症の治療【日常診療アップグレード】第21回

高ナトリウム血症の治療問題82歳男性。頻回の下痢による高ナトリウム血症のため、3日前に入院となった。生理食塩水を3L点滴した。意識混濁があり、経口で水分を摂取することはできない。今日の血圧は132/76mmHg、脈拍は82/分である。他のバイタルサインには異常はない。血液検査所見はNa 157mEq/L、K 3.3mEq/Lである。胃管を挿入して水分を補給した。

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糖尿病と腎臓病の併発は心臓病発症を大幅に早める

 2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)は、ともに心臓病のリスク因子だが、両者が併存していると、心臓病発症が大幅に早まるとする研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学および同ボストン大学のVaishnavi Krishnan氏らが、米国心臓協会(AHA)の科学セッション(AHA Scientific Sessions 2024、11月16~18日、シカゴ)で発表した。 Krishnan氏らの研究には、AHAが構築した心血管疾患(CVD)イベント予測ツール「Predicting Risk of cardiovascular disease EVENTs(PREVENT)」が用いられた。PREVENTは、2011~2020年の米国国民健康栄養調査のデータに基づき開発されたもので、糖尿病やCKD、または喫煙習慣の有無、降圧薬や脂質低下薬の服用などの情報を基に、向こう10年間のCVDイベントの発症リスクを予測できる。通常、リスクが7.5%以上の場合に「CVDハイリスク」状態と判定する。 このPREVENTを使い、30~79歳の各年齢の人が、推定糸球体濾過量44.5mL/分/1.73m2以下(CKDステージ3に該当)のCKDのみを有する場合、2型糖尿病のみを有する場合、および、それら両者を有する場合、両者とも有さない場合に、CVDハイリスクと判定される年齢を割り出した。 その結果、2型糖尿病とCKDをともに有さない場合にCVDハイリスクと判定される年齢は、女性68歳、男性63歳だった。それに対して、CKDのみを有する場合、女性は60歳、男性は55歳でハイリスクと判定され、女性・男性ともに8年早くリスクが高まると予測された。また、2型糖尿病のみを有する場合は、女性は59歳、男性では52歳でハイリスクと判定され、女性は9年、男性は11年早くリスクが上昇すると予測された。 そして、CKDと2型糖尿病が併存している場合は、女性は42歳、男性は35歳でハイリスクと判定されることが分かった。つまり、2型糖尿病とCKDを有さない人に比べて、女性は26年、男性は28年も早く、CVDリスクが高い状態になると予測された。 Krishnan氏は、「われわれの研究により、CVDリスク因子が組み合わさることによる影響の大きさが明らかになり、実際に何歳からハイリスク状態になるのかを分かりやすく理解することが可能になった」と述べている。また、「例えば、血圧や血糖値が境界域まで上昇し腎機能がやや低下しているものの、高血圧、糖尿病、CKDとは診断されていない状態では、本人は自分のCVDリスクの高さを認識していないことが少なくない。そのような場合に、本研究のような手法によってリスクをはっきり自覚することは、その後の疾患管理に役立つだろう」と付け加えている。 ただし、研究者らは、この結果が一般人口のデータに基づきシミュレーションされたものであることを、解釈上の留意点として挙げている。本研究を主導した米ノースウェスタン医科大学のSadiya Khan氏も、「今回の報告は、疾患リスクモデルがどのくらい有用かを理解する最初のプロセスに当たる」としている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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