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GLP-1受容体作動薬の服用での一工夫(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師新しい薬(経口セマグルチド)の方はいかがですか?(開いた質問で尋ねる)患者 あの薬を飲んでいると、残り物とか余分なものを食べなくなりました。医師 それは、よかったですね。体重とHbA1c値も徐々に下がってきています。患者 けど、…(困った顔)医師 けど?患者 あの薬は起きたらすぐに飲まないといけないんですが…それを忘れて、飲んだり朝ごはんを食べたりしてしまって…。画 いわみせいじ医師 なるほど。確かに、あの薬の飲み方は難しいですね。けど、うまく飲む習慣を付けている人もいますよ!患者 えっ、どんな風にされているんですか?(興味津々)医師 薬を飲み物よりも先に目につく所に置いておいて、飲んだらすぐにシャワーを浴びているそうです。患者 なるほど。そうすれば、忘れずに、時間もすぐに経ちますね。ポイント「1日の最初の食事・飲水の前にコップ半分(約120mL以下)の水で服用。服用後30分は飲食を避ける」必要があります。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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メトホルミンで先天異常のリスクは上昇しない

 経口血糖降下薬のメトホルミンの催奇形性を否定する論文が2報、「Annals of Internal Medicine」に6月18日掲載された。両論文ともに米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院の研究者による報告で、妊娠成立前に男性が同薬を服用した場合、および、妊娠初期の女性が同薬を服用していた場合のいずれも、有意なリスク上昇は観察されなかったという。 最初の報告はRan Rotem氏らの研究によるもの。同氏は、「胎児や新生児の健康に関する研究では従来、母親の状態が重視されてきた。しかし近年は父親の状態の重要性に関する理解が深まってきている」と、CNNの取材に対して語っている。その一例として、妊娠成立前の3カ月間に男性がメトホルミンなどの経口血糖降下薬を服用していた場合に、先天異常のリスクが40%増加するという研究結果が2022年に報告されているという。しかし今回のRotem氏らのデータは、その報告と矛盾するものだ。同氏は、「過去の研究で観察されたリスク上昇は、薬剤ではなく高血糖そのもの、または併発疾患に関連して生じていた可能性がある」と指摘している。 Rotem氏らの研究は、1999~2020年にイスラエルで生まれた38万3,851人の新生児とその父親の医療データを用いて行われた。先天異常発生率は、妊娠成立前の精子形成期にあたる数カ月間にメトホルミンを服用していなかった父親の児では4.7%であるのに対して、同期間に同薬を服用していた父親の児では6.2%と高かった(オッズ比〔OR〕1.28〔95%信頼区間1.01~1.64〕)。しかし、父親の糖尿病以外の疾患や母親の健康状態を調整したところ、有意差は消失した(調整オッズ比〔aOR〕1.00〔同0.76~1.31〕)。父親がメトホルミン以外の経口血糖降下薬も併用していた場合には、背景因子調整後にもわずかなリスク上昇が認められたが、Rotem氏によると、「多剤併用患者は血糖管理が十分でないことが多いことから、リスク上昇は薬剤が原因ではなく、父親の健康状態が原因ではないか」とのことだ。 二つ目の報告はYu-Han Chiu氏らによるもので、2000~2018年のメディケアデータを用いて行われた。妊娠前の最終月経より前にメトホルミンのみで治療されていた女性2型糖尿病患者のうち、妊娠判明後に服用を中止しインスリン療法を開始していた場合の先天異常発生率は8.0%で、メトホルミンを継続しながらインスリン療法を開始していた場合は5.7%だった(リスク比0.72〔同0.51~1.09〕)。Chiu氏はCNNの取材に対して、「われわれはこの結果に驚いていない。メトホルミンは胎盤を通過して胎児に影響を及ぼし得るが、血糖コントロールに役立ち、それによって先天異常のリスクを下げる可能性がある。血糖コントロール不良は先天異常のリスク因子だ。インスリンとメトホルミンの併用で血糖コントロールがより改善すると考えられ、それがインスリン単独療法よりも先天異常の発生がわずかに少なかった理由ではないか」と話している。 これらの論文に対して英ダンディー大学のSarah Martins da Silva氏が付随論評を寄せており、「メトホルミンは、妊娠を希望する男性および女性の2型糖尿病や妊娠初期の高血糖の治療における、安全かつ効果的な選択肢であることが示唆されてきている。妊娠に際してインスリン療法への切り替えを推奨している現在のガイドラインを、再検討する時期が来ているのかもしれない」と述べている。

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定年退職前後の高強度トレーニングで老後も活動的に

 定年退職が視野に入ってきたら、高強度の筋力トレーニングをしておくと良いかもしれない。それにより、身体的に自立した生活にとって重要な下肢の筋力が、退職後にも長期間維持されるという。ウメオ大学(スウェーデン)のCarl-Johan Boraxbekk氏らの研究の結果であり、詳細は「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に6月18日掲載された。 筋力トレーニングによって、加齢による筋肉量や筋力の低下が抑制される。ただし筋力トレーニングを一定期間継続した後に、その効果がどれだけ長く維持されるのかという点はよく分かっていない。Boraxbekk氏らはこの点を検証するために、無作為化比較試験を実施した。 定年退職年齢に相当する高齢者451人を、ウエートを利用した高強度筋力トレーニング(HRT)を行う群、自重やレジスタンスバンドを利用した中強度筋力トレーニング(MIT)を行う群、筋力トレーニングは特に行わない対照群という3群に分けて1年間介入。最長4年間追跡して下肢の等尺性筋力、伸展筋力、握力、体組成などの変化を比較検討した。 4年間の追跡が可能だったのは369人で、ベースライン(介入前)における平均年齢は66.4±2.5歳、男性39%、BMI25.8±4.0、ウエスト周囲長92.7±11.5cmだった。1日の歩数は9,548±3,446歩でこの年齢層としては多く、活動的な集団と考えられた。ただし、参加者の約8割は一つ以上の慢性疾患に罹患していた。 4年後、MIT群(P=0.01)と対照群(P<0.001)では下肢の等尺性筋力が有意に低下していた。それに対してHRT群の変化は有意でなく(P=0.37)、筋力が維持されていた。伸展筋力と握力については3群ともに経時的に低下し、群間差は認められなかった。 体組成に関しては、対照群は4年間で内臓脂肪量が有意に増加していた(P=0.04)。それに対して筋力トレーニングを行った2群は、内臓脂肪量に有意な変化が見られなかった(P値はHRT群が1.00、MIT群は0.95)。除脂肪体重は、対照群(P=0.003)とMIT群(P<0.001)は有意に低下していたが、HRT群では有意な変化がなかった(P=0.81)。 Boraxbekk氏は、「この研究結果は、定年退職前後に高強度の筋力トレーニングを行うことが、その後の数年間にわたる長期的な効果をもたらす可能性があることを示している。高齢者に高強度の筋力トレーニングを推奨することで、より高齢になっても運動能力と自立性を維持しやすくなるのではないか」と述べている。

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もし過去に戻れたらどの診療科を選ぶ?後輩には勧める?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2024年3月19日に公表した「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果では、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)と比べて1.1%増加した。本調査では、前回調査時と比べて美容外科、アレルギー科、産科、形成外科などの診療科で医師数の増加がみられた。一方、気管食道外科、小児外科、外科、心療内科、耳鼻咽喉科などの診療科では医師数の減少がみられた(詳細は関連記事参照)。この結果には、ワークライフバランスや年収、やりがい、キャリアなどを含めた診療科への満足度が影響している可能性も考えられる。そこで、CareNet.comでは40~50代の医師1,005人を対象に、診療科への満足度に関するアンケートを実施した(2024年5月24~31日実施)。本アンケートでは、現在の診療科にどれだけ満足しているか、もし医学生や研修医に戻れるとしたらどの診療科を選ぶか、自身の診療科を医学生や自分の子供などに勧めるかを聞いた。医師の約4分の3が現在の診療科に満足 現在の専門の診療科について満足度を聞いたところ、「非常に満足」が20.7%、「満足」が54.4%であった。これらを合わせると約4分の3(75.1%)が満足していた。一方、「非常に不満」は0.7%、「不満」は3.5%であり、現在の診療科への不満を有している医師は少ないことが明らかになった。これらの結果について、診療科別に大きな違いはみられなかった。診療科を選び直せても現在の診療科を選ぶのは63.1%、人気は内科 次に、「もし医学生や研修医に戻れるとしたらどの診療科を選ぶか」を聞いた。その結果、「現在の診療科を選ぶ」と回答したのは63.1%であった。この割合は、皮膚科(76.3%)、救命救急科(73.5%)、精神科/心療内科(69.8%)、産婦人科(67.7%)、外科(67.7%)などで高かった。 また、「現在の診療科以外」を選択した371人について集計した結果、内科(12.9%)、皮膚科(7.3%)、放射線科(5.4%)、外科(5.1%)、美容外科(5.1%)が人気であった。医師は選ばないとの回答も2.7%あった。主な理由は以下のとおり。【内科を選んだ理由】・いろいろな症例がみられる(40代、精神科/心療内科)・手術はしたくない(50代、循環器内科)・開業を目指す(50代、腎臓内科)・自分の健康に寄与するから(40代、小児科)【皮膚科を選んだ理由】・目に見えて効果がわかるから(40代、神経内科)・開業もしやすい。ランニングコストが少ない(40代、腎臓内科)・美容皮膚科に携わりたいから(40代、整形外科)【放射線科を選んだ理由】・放射線治療がますます進歩すると考えているから(50代、脳神経外科)・主治医にならないから(40代、救命救急科)・若いころに戻るならば、リモート診療、AIの発達に向けて動いてみたいと思えたから(40代、精神科/心療内科)【外科を選んだ理由】・なり手が少なく社会的な意義が高そう(40代、糖尿病・代謝・内分泌科)・将来AIの台頭で、機械では代用できない技術が重宝されると思うため(40代、放射線科)・外科に憧れがある(40代、消化器内科)【美容外科/美容皮膚科を選んだ理由】・健康な方をより元気にする科であるため(40代、総合診療科)・保険診療はもう嫌(40代、内科)・お金と時間がありそうなイメージ(40代、脳神経外科)・美容に興味があるから(50代、精神科/心療内科)自身の診療科を勧めるのは26.6%、勧めないのは18.3% また、「医学生や自分の子供などに自身の診療科を勧めるか」を尋ねた。その結果、「強く勧める」が7.4%、「勧める」が19.2%であり、合わせて約4分の1(26.6%)が自身の診療科を勧めるという結果であった。一方、「強く勧めない」は5.3%、「勧めない」は13.0%であり、合わせて約5分の1(18.3%)は自身の診療科を勧めないという結果であった。 この結果を診療科別にみると、自身の診療科を勧める(「強く勧める」と「勧める」の合算)と回答したのは、内科系が31.9%と多い傾向にあり、外科系(23.9%)、産婦人科・小児科・救命救急科(21.9%)は少ない傾向にあった。外科系の診療科のなかでも、脳神経外科(6.3%)、外科(12.9%)、消化器外科(15.2%)などで少ない傾向にあった。 勧めない(「強く勧めない」と「勧めない」の合算)と回答したのは、内科系が13.4%と少ない傾向にあり、外科系(22.3%)、産婦人科・小児科・救命救急科(23.1%)は多い傾向にあった。こちらも外科系のなかで、脳神経外科(34.4%)、消化器外科(27.3%)、外科(22.6%)が多い傾向にあった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。現在の診療科の満足度は?過去に戻れるならどの診療科を選ぶ?/医師1,000人アンケート

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自然の中での運動は屋内での運動よりも有益

 公園での散歩や小道を自転車で走るなどの自然の中で行う運動は、室内で行う運動よりも有益である可能性が、新たなレビューで示唆された。ただし、公共の自然エリアへのアクセスは地域により異なり、全ての人が屋外で運動できるわけではないと研究グループは指摘している。米テキサスA&M大学健康・自然センターのJay Maddock氏とHoward Frumkin氏によるこの研究の詳細は、「American Journal of Lifestyle Medicine」に5月11日掲載された。 Maddock氏らは本研究の背景説明の中で、現在、米国成人の4人に3人以上が推奨されている1週間の運動量を確保できていないと述べている。同氏らは、このような運動は、心臓病、糖尿病、一部のがん、骨粗鬆症などの慢性的な健康問題の予防に役立つ上に、免疫機能を高め、気分を改善し、痛みのコントロールを助け、寿命の延長にもつながると説明している。 この研究では、屋内運動との比較で屋外運動の利点を検討した先行研究のデータが分析された。その結果、屋外での運動には、気分や脳機能の改善や社会的交流の向上、運動することの楽しさの増大、労作感の軽減など、さまざまな利点のあることが明らかになった。ただし、これらの先行研究は1年未満という短期間で認められる結果に焦点を当てたものであり、得られた利点が長期的に蓄積されるかどうかは不明であるとMaddock氏らは説明している。 また、特定の集団は公園や緑地などの自然空間で運動するのが困難なことも分かった。例えば、地方では私有地が多いため、自然空間へのアクセスが少ないことが多いのだという。この点についてMaddock氏は、「例えば、公園から半マイル(約800m)以内の距離に住んでいる住民は、イリノイ州では98%近くに上るのに、ミシシッピ州ではわずか29%にとどまる」と述べている。 さらに、男性は女性よりも、公園や自然空間を利用する傾向が強いことも明らかになった。Maddock氏らは、これは、おそらく安全性への配慮に由来する結果だとの見方を示している。このほか、ロサンゼルスを拠点とするある研究によると、黒人の成人は白人、ラテン系、アジア系太平洋諸島民の成人よりも自然空間で運動する人が少ないことや、子ども、高齢者、障害を持つ人々は自然空間へのアクセスに課題を抱えていることなども明らかになった。Frumkin氏は、「公園やその他の自然空間を、容易に移動できる安全な空間とし、適切なプログラムを用意することで、そのような環境の利用を増やすことができる」と述べている。 こうした結果を踏まえてMaddock氏とFrumkin氏は、医師は患者に公園や自然空間を「処方」することを検討すべきだと主張している。Maddock氏は、「患者に自然の中で過ごす時間を増やすように勧めることは、自然処方、あるいは『ParkRx』として知られている。今後、研究を重ねる必要はあるものの、これまでの研究ではこのアプローチが効果的であることが示唆されている」と述べている。 Maddock氏らはさらに、医療専門家は、公園や緑地の造成・維持のための資金援助や、それらの利用を促進する地域社会の取り組みを手助けすることもできると話す。Maddock氏は、「公園や自然空間を身体活動に利用することは、運動することと自然の中で過ごすことという2つの重要な健康行動を同時に促進する強力な手段となり得ることは明らかだ。米国人の大多数が運動不足で、屋外で過ごす時間も不十分であることを考慮すると、これは特に重要な可能性がある」と述べている。

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臨床現場で感じる甲状腺眼症診療の課題とは?/アムジェン

 アムジェンは、2024年6月20日に、甲状腺眼症の診療を取り巻く現状や課題をテーマとしたメディアセミナーを開催した。同セミナーでは、渡邊 奈津子氏(伊藤病院 内科部長)が甲状腺眼症の診断や治療について、神前 あい氏(オリンピア眼科病院 副院長)が甲状腺眼症の臨床経過についてそれぞれ語った。活動期の早期の治療が求められる甲状腺眼症 甲状腺眼症はバセドウ病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性炎症性疾患であり、多岐にわたる眼症状を引き起こす。甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成・分泌する役割を担っており、正常な状態では下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺のTSH受容体と結び付き、適量のホルモンが分泌される。しかし、バセドウ病では、TSH受容体に対する抗体が生成され、常にTSH受容体が刺激されて過剰なホルモンが分泌される。甲状腺眼症は、目の周囲の眼窩におけるTSH受容体が刺激されることで発症する。甲状腺眼症の病態は非常に広範であり、瞼、角膜、結膜、外眼筋、視神経、脂肪組織、涙腺など、さまざまな部位に影響を及ぼす。たとえば、涙腺の炎症によって涙が出にくくなったり、脂肪組織や外眼筋の肥大により眼球が飛び出したりするケースがある。最重症例では、視神経が圧迫されて視力障害や視神経萎縮が起こることもある。一方で、眼の症状については見落とされることがしばしばあり、臨床で問題となることもあるという。 甲状腺眼症においては、軽症から中等症の患者の約6割が自然に改善するとされるが、眼球突出や外眼筋障害の場合は治療介入が必要となる。治療法としては、活動期にステロイド治療や放射線治療を行うことが有効だが、活動期を過ぎてしまうとこれらの効果が薄れてしまう。そのため、重症度分類とClinical Activity Score(CAS)を用いた活動性評価を実施し、タイミングを見極めて治療を行うことが重要となる。また、活動性の評価にはMRIを用いた画像診断も推奨される。また、喫煙や甲状腺機能の管理、酸化ストレスなどの甲状腺眼症のリスク因子の管理が重要であり、初診時だけでなく定期的な目のチェックが必要である。 甲状腺眼症の患者は、視機能障害のみならず、見た目の変化や職業での制限、心理的な影響などによってQOLが損なわれることが多い。とくに複視や眼球突出がQOLに大きな影響を与えるとされるほか、若い女性では外見上の問題が深刻で、軽症であってもQOL改善のために治療を望む患者も多いことに注意が必要である。 渡邊氏は内科医として、眼科専門医と患者との三者間で連携し、甲状腺眼症の診療を行うことが重要であると強調した。甲状腺眼症の特徴的な所見とは 続く講演で神前氏は、自身の経験した症例から甲状腺眼症の治療と臨床経過について説明した。甲状腺眼症において、眼瞼や眼球突出などの症状の進行具合や重さは患者によって異なるという。甲状腺眼症の所見として最も多いのは眼瞼の症状で、バセドウ病を併発している場合はその症状の悪化に伴い、ミュラー筋の緊張により上眼瞼が開くことが多い。この症状はバセドウ病の治療で改善するが、上眼瞼挙筋の炎症や腫れが進行すると、瞼が腫れ、目が閉じにくくなることがある。神前氏の施設では約6割の患者がこの瞼の腫れを訴えているというが、一重まぶたが多い日本人では腫れがわかりにくいこともある。その場合は、目を下に向けると目が閉じにくいといった所見を確認することで鑑別できるという。また、眼球突出は脂肪や筋肉の腫れが原因で起こるが、黒目の下の白目が見えてくるという点が眼球突出を見極めるポイントとなる。アンメットニーズを満たす新たな治療への期待 甲状腺眼症の炎症が続いて眼の症状が悪化した場合は、炎症が治まる前に消炎治療が必要になる。日本での消炎治療としてはステロイド治療や放射線治療が用いられるが、消炎治療のみで改善しない場合には、手術が必要になることもある。また、2015年からは斜視に対するボツリヌス毒素注射も保険適用されている。瞼の腫れや見開きに対しては、ステロイドの局所注射が効果的であり、約6割の患者が1回の注射で症状が改善するという。複数回の注射を行うことで、瞼の見開きや腫れがさらに改善される。また、複視の治療では、ステロイドパルス治療や放射線治療が行われ、斜視が残った場合には手術が必要な症例もある。最重症例の圧迫性視神経症は、視神経が筋肉に圧迫されることで視力障害を引き起こす症状であり、ステロイドパルス治療や眼窩減圧手術が必要になることが多い。とくに視力が0.1以下の重症例では、手術が必要になる確率が高いという。 講演の最後に神前氏は、甲状腺眼症のアンメットニーズについて、現状の消炎治療では眼球突出の改善が難しく手術が必要になってしまうと語り、「ステロイド治療や放射線治療が効果のない症例に対しては新たな治療法が望まれる」と締めくくった。

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糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。 これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている1)。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。 対象は、65歳以上で2型糖尿病を有し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬またはSU薬の投与を開始したスウェーデン居住者であった。認知症の既往や過去1年間に研究対象の薬剤クラスを服用したことがある参加者は除外した。基準を満たした参加者を、最初の月をベースラインとして試験に毎月組み入れた。 主な結果は以下のとおり。●ベースラインでGLP-1受容体作動薬(1万2,351例)、DPP-4阻害薬(4万3,850例)、SU薬(3万2,216例)が処方された8万8,381例が含まれた。平均年齢はそれぞれ71.62歳、74.78歳、74.21歳であった。●平均追跡期間は4.3年で、追跡期間中に4,607例が認知症を発症した。GLP-1受容体作動薬開始群では278例(発症率は1,000人年当たり6.7)、DPP-4阻害薬開始群では1,849例(11.8)、SU薬開始群では2,480例(13.7)であった。●ITT解析において、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の開始群では、SU薬開始群と比較して認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のハザード比(HR):0.69(95%信頼区間[CI]:0.60~0.79、p<0.000) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:0.89(95%CI:0.82~0.97、p=0.0069)●GLP-1受容体作動薬開始群は、DPP-4阻害薬開始群と比較しても認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.77(95%CI:0.68~0.88、p<0.0001)●パー・プロトコル解析において、GLP-1受容体作動薬開始群は、SU薬およびDPP-4阻害薬の開始群と比較して認知症リスクが有意に低かったが、DPP-4阻害薬開始群とSU薬開始群との間には有意な差は認められなかった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のHR:0.41(95%CI:0.32〜0.53、p<0.0001) ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.38(95%CI:0.30〜0.49、p<0.0001) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:1.07(95%CI:0.98〜1.17、p=0.13)

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夏場は注意!紫外線だけでなく、高温・熱中症も白内障リスクに

 今夏も高温の日が続くことが予想されている。紫外線が眼病リスクを高めるという報告はこれまでも多くされてきたが、紫外線だけでなく、環境温度や熱中症の既往も白内障リスクを高める可能性があるという。2024年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンが行ったプレスセミナーにおいて、金沢医科大学 眼科学講座 主任教授 佐々木 洋氏が「紫外線と高温環境が目に与える影響と対策」と題した講演を行い、これまで佐々木氏らの研究グループが行った調査データをまとめて報告した。紫外線と白内障の関係 佐々木氏らの研究グループは、これまで世界各地で紫外線被曝量と白内障リスクの関連について調査してきた。 中国・台湾の3エリアで行った生涯紫外線被曝量(COUV)と白内障リスクの関連の研究1)においては、人種を漢民族に絞り、COUV量の異なる三亜・太原・台中において年齢、性別、糖尿病の有無、眼軸長(強度近視)調整後の白内障リスクを比較した。その結果、これまでCOUVは水晶体皮質が白濁する「皮質白内障」の発症と関係が深いことが報告されていたが、この研究においては、COUVは水晶体核が硬くなる「核白内障」発症リスクとの関連が最も大きいことがわかった。この結果について佐々木氏は「皮質白内障には紫外線と関連が強い輪状型皮質白内障、紫外線と関連がないWatercleftsという白内障が進行し生じる車軸型皮質白内障があることがわかってきた。紫外線強度の強い地域では核白内障のリスクが急激に上昇することが、今回の結果に影響している可能性があると考えている」とした。 沖縄県・西表島の40歳以上の住民を対象とした研究2)では、幼年期の紫外線被曝量が成人後の白内障リスク因子として大きいことがわかった。同じ西表島在住の成人でも高校まで沖縄に在住していた群は、20代以降に移住した群よりも核白内障に8.67倍なりやすかったという。 さらに、世界各地の研究結果を比較すると、COUVが高い地域の在住者はそうでない地域の在住者と比較して総じて核白内障リスクが増すものの、COUVが同等の地域であっても屋外活動時間やメガネやサングラス装着習慣の有無によって発症リスクが大きく変わることも明らかになった。 白内障リスク対策は、紫外線被曝を防ぐことだ。具体的な方法として、日本において使用者の多い日傘は紫外線カット率が10~30%程度とそこまで高くない。帽子は種類によるが20~70%、サングラスは50~98%であり、帽子とサングラスを併用することで95~99%カットできる。UVカット機能のあるコンタクトレンズは角膜全体を覆い、耳側から入る光や反射光も防ぐことができるため有用だという。佐々木氏は「私たちは西表島で課外活動中の小学生にサングラスを掛けさせる運動を行ったこともあるが、子供がずっとサングラスを掛け続けることは難しい面もあり、ほかの対策を併用する必要があるだろう」とした。環境温度と白内障の関係 紫外線と白内障の関係について研究を続けると、改めて高温地帯で白内障発症リスクとの強い相関が確認された。「ここから、紫外線だけではなく、環境温度や体内温度も白内障リスクと関わりがあるとのではないか、という仮説が生まれた」(佐々木氏)。世界中で平均気温は上がり続けており、日本の平均気温は過去100年間で約1.5℃上昇し、都心部ではヒートアイランドの影響などでさらに上昇度が大きい。 名古屋工業大学・平田 晃正氏のチームは人体を対象とした複合熱解析手法により環境温度・湿度、深部温度、年齢、出生地域、太陽光曝露の有無などの因子が水晶体温度をどう変化させるのかについて、スーパーコンピュータを使った計算機シミュレーションにより予測できることを報告している。この研究結果を基礎研究データとし、これまでの眼疫学研究から得た核白内障の有病率とシミュレーションにより計算した水晶体温度の関連を併せて検討した結果、高温環境下、具体的には水晶体温度が37度以上の熱負荷が続くと、核白内障リスクが増す可能性が高いことが明らかになった3)。とくに熱帯地域や高齢者、屋外労働者などでリスクが高いことが明示された4)。続く研究によって核白内障リスクの寄与因子としては水晶体への熱負荷が52%+紫外線被曝が31%、その他加齢要因が17%であることが示された5)。熱中症と白内障の関係 佐々木氏らは、さらにこの研究を進め、高温多湿の環境が引き起こす疾患、熱中症が白内障リスクにつながるのかについても調査した。本研究(論文執筆中)では2016年1月~2023年2月の5年間のレセプトデータを用い、追跡可能だった255万8,593例を調査対照とした。対象者を熱中症、白内障、糖尿病の病名で分類し、年齢、性別、都道府県、糖尿病罹患歴の有無でマッチングコホートを作成し、追跡期間中の熱中症既往の有無により、5年間の年代別白内障発症率を比較した。 結果として、追跡期間中1回以上の熱中症既往のある人は、そうでない人に比べ、白内障リスクが3~4倍高く、その差は年代が上がるほど急激に開く傾向があった。「この機序としては、熱中症時の急激な体温上昇によって水晶体温度も上昇し、水晶体熱負荷が白内障発症リスクにつながった可能性があると考えている」(佐々木氏)。紫外線被曝と熱中症の予防が肝要 今後の課題として佐々木氏は「紫外線、環境温度・熱中症と白内障についての複合的な関連の解明をさらに進める必要がある。幼少期の紫外線被曝が白内障リスク上昇に関与している可能性を示唆する調査結果も出ているため、保護者や子供への啓蒙活動が重要になる」と述べた。とくに眼科医が少ない発展途上国において、白内障発症はそのまま失明につながることも多いため、啓蒙と対策は喫緊の課題だという。「日本においても紫外線・赤外線カットサングラス、UVカットコンタクトレンズなどを使った対策を普及させること、これと併せて熱中症予防対策を強化することが、白内障発症リスクを低減することにつながる」と強調した。 さらに「白内障というと、高齢者を中心にありふれた疾患であり、手術すれば治る、といったように捉えられることも多いが、手術をしても決して若い時の視力・見え方に戻るわけではない。さらに核白内障の初期症状は老眼であり、紫外線被曝や熱中症既往は30~40代といった若い時期の老眼リスクにもつながる。まずは予防が肝要だ」と、予防の重要性を重ねて訴えた。

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チルゼパチド、閉塞性睡眠時無呼吸の肥満者の睡眠アウトカムを改善/NEJM

 中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満のある患者の治療において、プラセボと比較してチルゼパチド(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド[GIP]とグルカゴン様ペプチド1[GLP-1]の受容体作動薬)は、無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善とともに体重減少をもたらし、良好な睡眠関連の患者報告アウトカムを示すことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAtul Malhotra氏らSURMOUNT-OSA Investigatorsが実施した「SURMOUNT-OSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月21日号で報告された。PAP療法の有無別の2つの試験からなる無作為化試験 SURMOUNT-OSA試験は2022年6月~2024年3月に、9ヵ国60施設で実施した52週間の二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(Eli Lillyの助成を受けた)。 中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸(AHI[睡眠中の1時間当たりの無呼吸および低呼吸の回数]≧15回/時)および肥満(BMI≧30[日本は≧27])と診断された患者469例を登録した。これらの患者を、ベースラインで気道陽圧(PAP)療法を受けていない集団(234例、試験1)と受けている集団(235例、試験2)に分け、それぞれ最大耐用量のチルゼパチド(10または15mg)を週1回皮下投与する群(試験1:114例、試験2:120例)またはプラセボ群(同120例、115例)に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、AHIのベースラインから52週までの変化量とした。PAP療法の有無を問わず、AHIが有意に低下 ベースラインにおいて試験1は平均年齢が47.9歳、男性が67.1%、白人が65.8%、平均BMIが39.1、平均AHIが51.5回/時であり、試験2はそれぞれ51.7歳、72.3%、73.1%、38.7、49.5回/時であった。 試験1では、52週時のAHIの平均変化量は、プラセボ群が-5.3回/時(95%信頼区間[CI]:-9.4~-1.1)であったのに対し、チルゼパチド群は-25.3回/時(-29.3~-21.2)であり、推定治療群間差は-20.0回/時(95%CI:-25.8~-14.2)とチルゼパチド群で有意に優れた(p<0.001)。 また、試験2のAHIの平均変化量は、プラセボ群の-5.5回/時(95%CI:-9.9~-1.2)に対し、チルゼパチド群は-29.3回/時(-33.2~-25.4)であり、推定治療群間差は-23.8回/時(95%CI:-29.6~-17.9)とチルゼパチド群で有意に良好だった(p<0.001)。体重減少、hsCRP濃度、低酸素負荷、収縮期血圧なども改善 副次エンドポイントはすべて、PAP療法の有無にかかわらずチルゼパチド群で有意に優れた。このうち主なものとして、52週時の体重の変化率(推定治療群間差は試験1:-16.1%[95%CI:-18.0~-14.2]、試験2:-17.3%[-19.3~-15.3])、高感度C反応性蛋白(hsCRP)濃度の変化量(同試験1:-0.7mg/L[-1.2~-0.2]、試験2:-17.3mg/L[-19.3~-15.3])、低酸素負荷の変化量(同試験1:-70.1%分/時[-90.9~-49.3]、試験2:-61.3%分/時[-84.7~-37.9])、48週時の収縮期血圧の変化量(同試験1:-7.6mmHg[-10.5~-4.8]、試験2:-3.7mmHg[-6.8~-0.7])が挙げられた。 また、患者報告アウトカムであるPatient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)の短縮版Sleep-related Impairment(PROMIS-SRI)および同短縮版Sleep Disturbance(PROMIS-SD)の52週時までの試験1、2を合わせた変化量は、チルゼパチド群で良好だった(いずれもp<0.001)。 一方、チルゼパチド群では消化器系の有害事象の頻度が高く、試験1では下痢が26.3%、悪心が25.4%、嘔吐が17.5%、便秘が15.8%で発現し、試験2ではそれぞれ21.8%、21.8%、9.2%、15.1%に認めた。これらの大部分は軽度~中等度だった。また、試験2のチルゼパチド群で急性膵炎を2例確認した。甲状腺髄様がんの報告はなかった。 著者は、「2つの試験において、チルゼパチドの投与を受けた参加者では、閉塞性睡眠時無呼吸に関連する一般的な心血管リスク因子の改善とともに、睡眠呼吸障害や、主観的睡眠障害および睡眠関連障害の緩和において臨床的に意義のある変化を認めた」とまとめている。

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座位時間を減らすことが健康的な老化につながる

 テレビは、ついだらだらと見てしまうものだが、健康的な老化のためにはソファーに座っている時間は短い方が良いことを明らかにした研究結果がまた1件報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院疫学分野のMolin Wang氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。 この研究は、Nurses' Health Studyに参加した4万5,176人の女性の20年間の追跡データを用いて、座位行動および低強度の運動(light-intensity physical activity;LPA)と健康的な老化との関連を調査したものである。全参加者が1992年時点で50歳以上であり(平均年齢59.2歳)、慢性疾患は持っていなかった。座位行動の指標として、座位でテレビを見ている時間、座位で仕事をしている時間、その他の家庭での座位時間、LPAの指標として、家庭(LPA-HOME)と仕事(LPA-WORK)でそれぞれ立ったり歩いたりして過ごす時間を調べた。健康的な老化とは、主要な慢性疾患に罹患しておらず、主観的認知機能・身体機能・メンタルヘルス障害がない状態で70歳以上に達している場合と定義された。 20年にわたる追跡期間中に、3,873人(8.6%)が健康的な老化を達成していた。結果に影響を与える因子を調整して解析した結果、座位でテレビを見る時間が1日当たり2時間増えるごとに健康的な老化を達成するオッズが12%低下するが、LPA-WORKが1日当たり2時間増えるごとに同オッズは6%上昇することが示された。また、座位でテレビを見る時間のうちの1時間をLPA-HOME、LPA-WORK、または中強度から高強度の運動に置き換えることで、健康的な老化を達成するオッズがそれぞれ8%、10%、28%上昇することも明らかになった。さらに、夜間の睡眠時間が7時間未満の人は、テレビの視聴時間を睡眠に置き換えることで、健康的な老化を達成するオッズが高まることも示された。 この研究には関与していない、米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスで心血管の予防と健康を担当するAndrew Freeman氏はCNNの取材に対し、「テレビを見ることは、特に不健康な行為だ。その理由は、動かないからというだけではない。テレビを見るという行為には、ジャンクフードやTVディナー(温めるだけでそのまま食べられるワンプレートタイプの冷凍食品)を食べたり、人とコミュニケーションを取る機会を失ったり、睡眠が妨げられたりといったことを伴いがちだ」と指摘する。 Freeman氏は、「運動は、どんな方法でも、どんな時間でも、全てを好転させることができる。運動は、心血管系のリスクと血圧を下げる、本当に素晴らしい方法だ」と話す。同氏は、「私が強く勧めたいのは、職場でのスタンディングデスクやトレッドミルデスクの使用だ。私の考えでは、一度に30分以上座っているのであれば、それはおそらく長過ぎであり、少しでも動くように努めるべきだ」と述べている。

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何はさておき記述統計 その6【「実践的」臨床研究入門】第45回

交絡因子とは前回お示しした統計解析ソフトEZR(Eazy R)の生存時間曲線の解析結果では、われわれの帰無仮説(下記)は棄却されませんでした(連載第44回参照)。「低たんぱく食厳格遵守と低たんぱく食非厳格遵守で、末期腎不全の発症率に差がない」したがって、生存時間の記述統計解析の結果からは、「末期腎不全の発症率に、低たんぱく食厳格遵守と低たんぱく食非厳格遵守で差があるとは言えない」ということになります。そこで今回は、われわれのResearch Question(RQ)のE(要因)「低たんぱく食厳格遵守」とO(アウトカム)である「末期腎不全」や「糸球体濾過量(GFR)低下速度」との関連を歪める可能性のある交絡因子について解説します。まずは、交絡因子の3条件を示します(図)。図交絡因子は、E(要因)とC(対照)との「理想的な」比較を歪める因子、と言い換えることもできます。それでは、われわれのRQで具体的に交絡因子の候補について考えてみましょう。たとえば、糖尿病合併の有無はどうでしょうか。糖尿病の合併はOの「末期腎不全発症」リスクを増加させる明らかな予後因子です(条件1)。条件2は要因群(E)と対照群(C)で分布が違う因子、とも言えます。これまでの先行研究レビューで、糖尿病性腎疾患は非糖尿病性腎疾患と比較して低たんぱく食事療法の効果が低いことが示されています(連載第5回参照)。それゆえ、糖尿病合併例では厳格な低たんぱく食事療法の指示を受けている(もしくは遵守できている)割合が低い可能性があり、条件2に該当しそうです。また、「低たんぱく食厳格遵守」した結果として糖尿病となり、「末期腎不全発症」に至るという因果関係は成立しないと思われ、条件3にも合致します。年齢はいかがでしょうか。年齢はわれわれのOでも重要な予後因子でしょう(条件1)。高齢CKD患者では、厳しいたんぱく質制限による低栄養などの懸念が診療ガイドラインで示されていることもあり(連載第5回参照)、要因群(E)と対照群(C)で年齢の分布には差がありそうです(条件2)。年齢はわれわれのRQでの中間変数にはあたらないでしょう(条件3)。性別は年齢と同様に基本的かつ重要な患者背景の違いとして、条件2に該当するか不明であっても交絡因子として慣習的に扱うことが一般的です。われわれのRQでも男性は女性と比較してOのリスク因子であることは先行研究からも自明であり、少なくとも条件1には合致しますし、中間因子ではないことは明らかです(条件3)。蛋白尿の程度や栄養状態・慢性炎症の代替指標としてよく用いられる血清アルブミン値はどうでしょうか。高度な蛋白尿や低い血清アルブミン値はわれわれのOの強い予後悪化因子です(条件1)。高度な蛋白尿や低い血清アルブミン値を呈する症例には、厳格な低たんぱく食事療法を導入しづらいかもしれず、蛋白尿の程度や血清アルブミン値にも要因群(E)と対照群(C)で分布の違いがありそうです(条件2)。蛋白尿の程度や血清アルブミン値は、われわれのRQのEである「厳格な低たんぱく食事療法遵守(vs.非遵守)」とOである「末期腎不全」や「糸球体濾過量(GFR)低下速度」の中間変数である可能性は完全には否めません。しかし、重要かつ強力なベースラインの予後因子であることを考慮し外せない交絡因子としました。同様にこれまでの先行研究の知見や医学的観点から、下記の要因を、われわれのRQの交絡因子として挙げ、データを収集することとしました。年齢、性別、糖尿病の有無、血圧、eGFR、蛋白尿定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値次回は収集したこれらの患者背景データを用いて、EZRで記述統計解析を行い、論文の表1の作成方法について解説します。

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2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。傾向スコアマッチングでSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の高K血症の発症を比較 研究グループは、2013年4月~2022年4月の3つの米国医療保険請求データベース(メディケア、Optum’s deidentified Clinformatics Data Mart、MarketScan)を用い、1対1の傾向スコアマッチングにより、新たに治療を開始したSGLT2阻害薬vs.DPP-4阻害薬(コホート1:77万8,908例)、GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬(コホート2:72万9,820例)、SGLT2阻害薬vs.GLP-1受容体作動薬(コホート3:87万3,460例)の3つのコホートを同定し解析した。 解析対象は、2型糖尿病と診断され、過去365日間に比較対象である2種類の薬剤のいずれかを使用しておらず、年齢18歳以上(メディケアの場合は65歳以上)、コホート登録前に12ヵ月以上継続して保険に加入していた患者であった。 主要アウトカムは、入院または外来における高カリウム血症の診断、副次アウトカムは、外来での追跡中における高カリウム血症(血清カリウム値5.5mmol/L以上)の発症、および入院または救急外来における高カリウム血症の診断とした。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬よりリスクが低い SGLT2阻害薬による治療開始は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低く(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.73~0.78)、GLP-1受容体作動薬との比較でも発症率がわずかに低下した(HR:0.92、95%CI:0.89~0.95)。GLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低かった(HR:0.79、95%CI:0.77~0.82)。 3年間の絶対リスクは、SGLT2阻害薬(4.6%)がDPP-4阻害薬(7.0%)より2.4%(95%CI:2.1~2.7)低く、GLP-1受容体作動薬(5.7%)がDPP-4阻害薬(7.5%)より1.8%(95%CI:1.4~2.1)低く、SGLT2阻害薬(4.7%)がGLP-1受容体作動薬(6.0%)より1.2%(95%CI:0.9~1.5)低かった。 これらの結果は、副次アウトカム、および年齢、性別、人種、併存疾患、他の薬剤の使用、HbA1c値によって定義されたサブグループ間で一貫していた。SGLT2阻害薬ならびにGLP-1受容体作動薬のDPP-4阻害薬に対する絶対スケールでの有益性(率差)は、心不全、慢性腎臓病、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を使用している患者で最も大きかった。 DPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症の発症率が低いことは、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)およびGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド)の個々の薬剤で一貫して観察された。

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ペットと一緒に健康管理(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者先生、最近、犬が太ってきたようで…。どんな感じなんですか?(患者の話に興味を示す)首と肩の境がなくて、くびれもなくなってきて…やっぱり、犬も飼い主に似るんですかね。ハハハ…。西郷さんも甘党で太ってきて、医師から運動しなさいって言われてたそうですよ!(興味がありそうなエピソードを紹介する)画 いわみせいじえっ、そうだったんですね。最近、犬の散歩も家族にまかせていてサボっていて…。それに喜ぶんで好きなものをやっていて…(反省している顔)そうでしたか。犬の健康管理も是非、お願いします。わかりました。犬と一緒にダイエットに取り組みます!ポイント犬と一緒に散歩することで運動を習慣化させ、食事にも気を配ってもらうように説明します。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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血糖コントロールには夕方から夜の運動が最適

 血糖コントロールを目的に運動をするなら、夕方から夜間にかけて行う方が良いことを示唆するデータが報告された。グラナダ大学(スペイン)のJonatan Ruiz氏らが行った観察研究の結果であり、詳細は「Obesity」に6月10日掲載された。 中~高強度の身体活動(MVPA)が高血糖の改善に有用であることはよく知られている。また近年、運動をいつ行うかによって、血糖値に異なる影響が生じる可能性を指摘する研究報告が増えてきている。しかしそれらの研究は空腹時血糖しか評価していないなどの限界点があり、運動を行う時間帯と血糖コントロールとの関連にはまだ不明点が多い。そこでRuiz氏らは、三軸加速度計と連続血糖測定(CGM)を用いて、人々の身体活動と血糖変動を14日間にわたり評価し、両者の関連性を横断的に検討した。 研究参加者は、過体重または肥満(BMI25~40)で、血糖、血圧、血清脂質のいずれか一つ以上に異常のある30~60歳の成人186人(平均年齢46.8±6.2歳、女性50%、BMI32.9±3.5)。血糖降下薬使用者は除外されている。三軸加速度計の記録に基づき、MVPAが行われていた時間全体の50%以上が6~12時の間であった場合は、その日は「運動を朝に行った」と定義。同様に、12~18時にMVPAの50%以上が記録されていた場合は「運動を午後に行った」、18~24時に記録されていた場合は「夜間に行った」と定義した。また、MVPAに該当する記録がない場合は、その日は「非活動的だった」と定義した。なお、MVPAの時間帯が分散していて、どのタイミングも50%以上に至らない場合は「特定されない時間に運動を行った」とした。 CGMデータとの関連を解析した結果、夜間に運動を行った日は非活動的だった日と比較して、24時間の平均血糖値、および昼間と夜間それぞれの平均血糖値がいずれも有意に低かった(平均差が24時間では-1.28mg/dL〔95%信頼区間-2.16~-0.40〕、昼間は-1.10mg/dL〔同-2.02~-0.18〕、夜間は-2.14mg/dL〔-3.47~-0.81〕)。それに対して午後に運動を行った日は昼間の血糖値が、非活動的だった日と有意差がなかった。さらに午前に運動を行った日は、24時間および昼間/夜間のいずれの平均血糖値も、非活動的だった日と有意差がなかった。 高血糖を有する人(111人)のみでの解析では、より大きな差が認められた。例えば24時間の平均血糖値は、夜間に運動を行った日は非活動的だった日と比較して-2.15mg/dL(-3.29~-1.01)の差があり、午後に運動を行った日は-1.49mg/dL(-2.57~-0.40)の差だった。午前に運動を行った日は全体解析と同様、非活動的だった日と有意差がなかった。 本研究には関与していない米カンザス大学医療センターのRenee Rogers氏は、「現在、慢性疾患に対する運動処方を個別化する動きが進んでいる。そうした中で発表されたこの報告は、患者に対してただ単に『もっと運動しなさい』と指示するだけでなく、できるだけ頻繁に、かつ、血糖コントロールを意図する場合は、なるべく夕方から夜間にかけて運動するよう指導した方が良い可能性を示している」と述べている。

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高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024

高齢者に関わるすべての医療介護福祉専門職へ!超高齢社会を迎えたわが国では、CGAによる包括的・全人的な評価と、それに基づいた個別化された医療・ケアの提供が求められている。多職種協働により取り組む必要があり、CGAはその共通言語となる。本ガイドラインは、医師だけではなく高齢者に関わる医療介護福祉関係の多職種向けに作成した。診療やケアに幅広く活用いただきたい。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024定価1,980円(税込)判型B5判頁数102頁発行2024年6月編集長寿医療研究開発費「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」研究班日本老年医学会国立長寿医療研究センターご購入はこちらご購入はこちら

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高齢者の重症低血糖には治療の脱厳格化も重要/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会の年次学術集会(会長:植木 浩二郎氏[国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長])が、5月17~19日の日程で、東京国際フォーラムをメイン会場として開催された。 糖尿病患者への薬物治療では、時に重症低血糖を来し、その結果、さまざまな合併症や死亡リスクを増加させる可能性がある。また、低血糖でも無自覚性のものは夜間に起こると死亡の原因となるなど注意が必要となる。 そこで本稿では、「シンポジウム29 糖尿病治療に伴う低血糖・ライフステージごとの特徴」で発表された「高齢者の糖尿病治療における低血糖」(演者:杉本 研氏[川崎医科大学総合老年医学 教授])の概要をお届けする。高齢者糖尿病は低血糖の自覚症状が乏しい 2023年に『高齢者糖尿病診療ガイドライン2023』が日本老年医学会と日本糖尿病学会の共同編集で発行され、杉本氏はこのガイドラインに沿って講演を行った。 同ガイドラインでは、QI-8「高齢者糖尿病の低血糖にはどのような特徴があるか?」で今回のテーマに関する事項が触れられている。低血糖の代表的な症状であるめまいや倦怠感については、高齢者では症状を自覚しにくいこと(無自覚性低血糖)、重症低血糖を起こしやすいこと、低血糖が認知症、転倒などのリスクとなり、大小血管障害の危険因子となることが記されている。とくに認知症と低血糖の関係については、認知症があると低血糖になるという側面と、低血糖があると認知症が進むという側面がある1)。そのため高齢者では血糖値は低すぎても、高すぎても問題となる。 低血糖とフレイルの関係については、低血糖が1回以上ある患者では、転倒は1.7倍、骨折は1.8倍にリスクが上がる2)こと、また低血糖はフレイル発症と関わるため、フレイル予防においても低血糖の防止が必要である。フレイルのある糖尿病患者に厳格な血糖マネジメントは必要かという点では、厳格な血糖マネジメントをしても合併症や死亡が抑制できず、重症低血糖がさらに増えることから、フレイルのある高齢者では厳格なマネジメントは必要ないとされている。そのため、高齢者糖尿病の血糖のマネジメント目標は、認知機能やADL、さらには多疾患併存状態がないかを評価したうえで設定することが推奨されている。 そのほか、重症低血糖を防ぐためには連続血糖測定(CGM)を用いた血糖マネジメントを提案すること、また血糖降下薬の選択では、SU薬、グリニド薬、超速効・速効型インスリンは重症低血糖を起こすリスクがあるため、これらの薬剤を選択する場合には低血糖に留意しながら慎重に使用する必要があることを指摘した。高齢者の重症低血糖の因子は、「70歳以上」「認知症」「CKD」など 多疾患併存疾患(multimorbidity)の患者の実態について、低血糖をターゲットに調べてみると、75歳以上で4つ以上の併存疾患がある患者で発生割合が非常に多かった一方で、重症低血糖は0.6%と多くはなかったという。 重症低血糖を起こす因子としては、「70歳以上」「認知症」「慢性腎不全(CKD)」「心不全」「悪性腫瘍」「骨折」などが挙げられている。薬剤としては「SU薬」「インスリン」「グリニド薬」「BOT療法」のほか、3剤以上の経口血糖降下薬の併用も危険因子とされている。さらに10剤以上処方されていると重症低血糖が起こるリスクも上がることからに、ポリファーマシーへの介入が低血糖の発生予防に寄与すると考えられる。 さらにアメリカ糖尿病協会(ADA)の指針についても触れ、血糖マネジメントが難しい患者、たとえば認知機能やADLの低下している患者や介護施設に入所している患者などに対しては、そもそもHbA1cの目標値を設定せず、低血糖や症候性高血糖を避けるよう求められていると説明するとともに、「治療の単純化、脱厳格化を考慮することが必要」と触れた。高齢糖尿病患者では治療の「単純化」と「脱厳格化」を考える 治療の単純化について、たとえばインスリンであれば持効型インスリンへの切り替えや注射のタイミングを睡眠前ではなく、朝に注射するように変更するなどの工夫が参考となる。 重症低血糖後の治療の脱厳格化についての研究では、5割近くのSU薬処方者が脱厳格化しているという報告があり、その実施数も増加してきている。脱厳格化する患者モデルとしては、ADLが低下している患者、CKD、うつ病、転倒の既往がある患者では実施率が高いとされ、以後の重症低血糖を減少させることにつながると考えられる。 さらに台湾の研究では、在宅サービスがあること、服薬アドヒアランスが良いと低血糖は起こりにくく、処方薬剤が5剤以上ある高齢者では在宅サービスにより介入することが低血糖発生回避につながるメリットとなることが報告されている。 最後に杉本氏は、「単に血糖値を下げるのではなく、低血糖を起こさない治療が高齢の糖尿病患者には重要であり、重症低血糖は認知症やフレイルと相互に関係している危険因子であるので、個々の患者評価が重要となる。高齢者ではHbA1cの目標値を設定する際には認知機能やADLの評価が不可欠であり、また低血糖の既往者などでは、CGMを使用してモニタリングし、TBR(Time below range:血糖が70mg/dL未満で推移する時間の割合)を減らすことが推奨される。重症低血糖の既往がある高齢患者では脱厳格化を行うことが重要な治療介入となり、ポリファーマシーに留意し、低血糖を生じやすい薬剤を中心に減薬を考慮することが必要」と述べ、講演を終えた。

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果汁100%ジュースの摂取は体重増加と関連

 果汁100%ジュースの摂取は、小児と成人ともに体重増加と関連する可能性があることを示したレビューが、「JAMA Pediatrics」に1月16日掲載された。 トロント大学(カナダ)のMichelle Nguyen氏らは、小児および成人における果汁100%ジュースの摂取と体重との関連を評価した研究を特定するため、システマティックレビューを行った。 小児を対象とした17件の研究を解析した結果、果汁100%ジュースを1日当たり1杯(237mL)追加するごとに、BMIが0.03高くなることが判明した。成人を対象とした研究は25件抽出された。エネルギー摂取量を調整していないコホート研究では体重増加(0.21kg)との関連が認められた一方、エネルギー摂取量を調整していた研究では反対の結果が得られた(-0.08kg)。成人を対象としたランダム化比較試験では、果汁100%ジュースの摂取と体重との有意な関連は認められなかった。 著者らは、「今回の結果は、カロリーの過剰摂取と体重増加を防ぐために果汁摂取量を制限するガイドラインを支持するものである。果汁100%ジュースと体重に関するさらなる試験が望まれる」と述べている。 著者数人は、さまざまな医療団体との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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