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リラグルチドの血糖降下作用・体重減少、その持続性も明らかに

ノボ ノルディスク社は10日、第69回米国糖尿病協会年次学術集会(略称:ADA、米国・ニューオリンズ)において、新規糖尿病治療薬リラグルチド1日1回単独投与による2年間の治療は、グリメピリド(SU薬)と比較して有意に血糖コントロールを改善し、体重を減少させ、またその効果も有意に長く持続することが示されたと発表した。試験ではリラグルチド1.8mgの1日1回投与による治療で58%の患者がADAの定める血糖コントロールの目標であるHbA1C 7%未満を達成し、そのコントロールを2年後まで維持することができた。グリメピリド8mgの1日1回投与による治療では、同達成率は37%だった。また、リラグルチド投与による持続的な体重減少も実証された。多くの現行治療法では体重増加を招くことが知られており既に過体重であることが多い2型糖尿病患者にとって、体重管理は重要な課題だが、2年間の治療でグリメピリド群では平均体重が1.1kg増加したのに対し、リラグルチド1.8mgの1日1回投与による治療群では、平均体重が2.7kg減少したという。詳細はプレスリリースへhttp://www.novonordisk.co.jp/documents/article_page/document/PR_09_16.asp

4342.

血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者にはリナグリプチンの追加投与が有効

独ベーリンガーインゲルハイム社は、メトホルミン治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者にリナグリプチンが有用であると、DPP-4(ジペプチジルペプチターゼ4)阻害薬のリナグリプチンを追加投与した際の同薬の有用性を検討する第2相臨床試験の成績が、米国糖尿病学会(ADA)年次総会で発表した。メトホルミン治療にリナグリプチンを追加投与した際の有用性を検証する臨床試験結果の発表は初めてのこと。この試験は、メトホルミン治療で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、DPP-4阻害薬のリナグリプチンを追加投与した際の同薬の安全性と有効性を12週間にわたり検討したプラセボ対照無作為化国際二重盲検比較試験。主要評価項目は、12週後のHbA1cのベースラインからの変化量です。無作為化された333例の患者のうち268例がリナグリプチン群またはプラセボ群に割り付けられ、リナグリプチン投与群は1mg、5mg、10mgという3用量群に割り付けられた。65例は効果比較対象として、オープンラベルでのグリメピリド投与群に割り付けられた。メトホルミン治療で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し、リナグリプチンを12週間追加投与した結果、統計学的に有意なHbA1cおよび空腹時血糖値の低下が認められたという(p<0.05)。リナグリプチン(予定製品名:ONDERO)は、独ベーリンガーインゲルハイム社が開発中の2型糖尿病治療剤。DPP-4阻害薬の一つで、1日1回経口投与の錠剤として開発が進められている。現在、大規模な第3相臨床試験プログラムが展開されており、日本でも第3相臨床試験の段階にある。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=3603

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経口糖尿病用剤「メデット錠 250mg」の一部変更承認取得

トーアエイヨー株式会社は9日、経口糖尿病用剤「メデット錠250mg」(一般名:メトホルミン塩酸塩)において、食事療法・運動療法のみでは十分な効果が得られない2型糖尿病患者に対する単独療法を可能とする「効能・効果」および「用法・用量」の一部変更承認を取得したと発表した。ビグアナイド系経口糖尿病用剤であるメトホルミン塩酸塩は、国内では1961年に承認されたが、1977年から「SU剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合に限る」という条件が付され、使用が制限されていた。しかし、欧米では1990 年代後半からメトホルミン塩酸塩の有用性を示す多くの臨床試験成績が報告された結果、メトホルミン塩酸塩の臨床的意義が再認識され、2型糖尿病治療の第一選択薬として幅広く処方されるようになった。このような海外でのエビデンスや使用状況を踏まえ、近年国内においてもメトホルミン塩酸塩の有用性が見直されてきており、医療現場からもSU剤の使用経験にかかわらずメトホルミン塩酸塩を単独で使用したいという要望が高まっていた。また、2006年11月には日本臨床内科医会から厚生労働省宛にメトホルミン塩酸塩の単独使用に関する要望書が提出されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.toaeiyo.co.jp/img/MED_press.pdf

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第5回クリニカルパス教育セミナー:開催ご案内 『そこが知りたい!地域連携パスの最前線』

日本クリニカルパス学会は、6月に大阪で、8月に東京で教育セミナーを開催します。ひとつの医療機関で治療が完結することは難しい時代にあって、ますます地域連携パスが注目を集めています。  今年のセミナーでは、がん、心臓病、糖尿病、肝炎、気管支喘息等の連携パスについて、アクティブに行っている施設から、講師をお迎えしました。疾患によって、連携パスの効果や課題が異なる部分もあると思いますし、医療機関として求められる性格による違いもあるでしょう。また職種ごとに果たす役割も考えたいところです。多くの医療者の皆さまにご参加頂き、連携パスへの理解を深めて頂ければ幸いです。 日時・場所大阪 2009年6月27日(土)〈千里ライフサイエンスセンター〉東京 2009年8月 1日(土)東京〈日本教育会館 一ツ橋ホール〉(地図)       定員:大阪400名、東京600名 参加費:5000円(資料代含む) 主催:日本クリニカルパス学会・医学書院 《関連リンク》日本クリニカルパス学会 ホームページhttp://www.jscp.gr.jp/index.html大阪会場プログラムほかhttp://www.jscp.gr.jp/info/2009kyouiku_oosaka.html東京会場プログラムほかhttp://www.jscp.gr.jp/info/2009kyouiku_tokyo.html

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一般生活者向けWEBサイト「糖尿病ゼミナール」の新規開設

大日本住友製薬株式会社は5日、同社医療情報サイト内に一般生活者向けコンテンツ「糖尿病ゼミナール(http://kanja.ds-pharma.jp/health/diabetes/index.html)」を新規開設したと発表した。「糖尿病ゼミナール」は、医薬ジャーナル社から出版されている「やさしい糖尿病教室」(監修者:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科教授 門脇 孝先生)の内容を元に構成。糖尿病の病態と治療から糖尿病患者のための具体的な食事内容に至るまで、5 回シリーズで更新する(毎月第2木曜日更新)。その他、糖尿病患者に役立つ素材を随時更新予定とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090605.pdf

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Dr.東田の病態生理学 自由自在! [糖尿病編]

第1回「総論」第2回「診断と症状」第3回「治療」 [糖尿病編]病気の仕組みを理解し原因を解き明かす病態生理学。 「複雑で難しい・・・」と苦手意識がある人は多いでしょう。このDVDでは、患者ケアをする際に必要不可欠な病態生理について、わかりやすく、かつ楽しく、解説します。従来の病態生理学の教材にはない、病気の意外なエピソードから始まり、身近な物事や面白い例え話も交えた、まさに痒いところに手が届く、”究極”の講義!いつの間にか病気の本質や仕組みを面白いほど理解していて、丸暗記という苦痛から開放されているはずです。医師・看護師をはじめ,臨床現場に携わるすべての医療従事者にオススメします!第1回 総論・そもそも糖尿病とは何か (尿に糖が出る病気?)・三大栄養素 (エネルギー(ATP)になる3つの栄養素)・細胞の栄養摂取の仕組み ( グルコースが細胞に摂り込まれるまで)・糖尿病のメカニズム (「栄養が良い病気」ではない!)・細胞内に摂取された三大栄養素の分解 (いずれもクエン酸回路を介してATPに)・細胞のグルコース摂取とインスリン (重要な細胞から優先的にグルコース摂取)・血糖値(BS : Blood Sugar) について (糖尿病と血糖値の関係は?)・血糖値を調整するホルモン (血糖値を50?140 mg/dlに収めるために)・インスリンの合成・分泌 (膵臓の内分泌機能により生成)・尿糖が発生するメカニズム ( なぜ尿中に糖が排泄されるのか?)・【参考】尿検査について (尿に角砂糖を溶かせば糖尿病?)・糖尿病のメカニズム (「栄養が良い病気」ではない!)第2回 診断と症状・糖尿病の現状 (増えつづける糖尿病患者)・糖尿病の分類 (糖尿病は3種類に大別される)・“その他”に分類される糖尿病の原因 ( 他の症状に伴って発病するタイプ)・1型糖尿病 原因とメカニズム ( 自己免疫によって発症するタイプ)・2型糖尿病 原因とメカニズム (遺伝的素因+生活習慣によって発症)・糖尿病の診断 ①血糖値 (糖尿病の主たる診断基準は血糖値)・糖尿病の診断 ②補足的な検査 (診断におけるその他の検査)・1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別診断 ( 治療法が異なるので、明確に区別すべき)・糖尿病の診断基準 ( 検査数値と症状)・糖尿病の合併症①口渇・多飲・多尿・体重減少 (糖尿病の古典的症状)・糖尿病の合併症②網膜症・腎症・神経障害 (糖尿病の三徴(三大合併症;Triopathy))・糖尿病の合併症③動脈硬化性病変・感染症など (その他の重篤な合併症)第3回 治療・細胞の栄養摂取 (グルコースが細胞に摂り込まれるまで)・糖尿病の諸症状の原因 (糖尿病治療の根幹は?)・1型糖尿病の治療法 (1型:自己免疫によりラ氏島B細胞が破壊)・2型糖尿病の治療法 (2型:生活習慣(過食)が関与する糖尿病)・食事療法の基本 (1型と2型で方針が異なる)・運動療法の基本 (激しい運動をするわけではない)・インスリンの投与方法 ( 頓服しても効きません・・・)・糖尿病の経口薬① (インスリン分泌促進薬)・糖尿病の経口薬② (インスリン抵抗性改善薬)・糖尿病の経口薬③ (ブドウ糖吸収阻害薬)

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2型糖尿病患者への強化血糖コントロールがもたらすアウトカム

2型糖尿病患者への強化血糖コントロール療法は、標準療法と比べて、冠動脈イベントの低下をもたらし死亡リスクも上昇しないことが、5つの前向き無作為化試験(UKPDS、PROactive、ADVANCE、VADT、ACCORD)のメタ解析の結果、報告された。強化血糖コントロール療法の有益性に関してはこれまで明らかにされていなかった。ケンブリッジ大学公衆衛生/プライマリ・ケア部門のKausik K Ray氏らによる本報告は、Lancet誌2009年5月23日号に掲載されている。5つの前向き無作為化試験、被験者計3万3,040例のデータをメタ解析解析した5つの前向き無作為化試験の被験者は、総勢3万3,040例に上る。Ray氏らは、各試験データから、非致死的心筋梗塞、虚血性心疾患(致死的・非致死的心筋梗塞)、脳卒中、全死因の死亡に関する情報を集め、ランダム効果モデルによるメタ解析を行った。臨床転帰の評価には各試験結果から算出したオッズ比を用い、試験間の統計的な異質性の評価(χ2乗、I 2乗)も行った。非致死的心筋梗塞17%、虚血性心疾患15%低下5つの試験(約16万3,000人・年)のイベント発生数は、非致死的心筋梗塞1,497例、虚血性心疾患2,318例、脳卒中1,127例、全死因死亡2,892例だった。また、平均HbA1cは、標準療法群よりも強化血糖コントロール群で、0.9%低かった。強化血糖コントロールは、非致死的心筋梗塞については17%の低下(オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.75~0.93)、虚血性心疾患については15%の低下(0.85、0.77~0.93)をもたらしていた。しかし、脳卒中(0.93、0.81~1.06)、全死因死亡(1.02、0.87~1.19)には、有意と言える影響を及ぼしてはいなかった。Ray氏は、「総じて、強化血糖コントロールは標準療法と比べて、死亡リスクを上昇することなく冠動脈イベントの低下をもたらしていた。所見は、『血糖コントロールは心血管リスクの低下に有効』という知見に安堵をもたらすもの」と結論したが、至適な方法、速さ、HbA1cの減少範囲について、集団間での差異の可能性についても言及した。また、全死因死亡の低下について明白なベネフィットを立証できなかったことについて、「全死因死亡の低下については、脂質低下療法と降圧療法が有益であることが示唆された。これら治療が2型糖尿病患者の心血管イベントおよび全死因死亡の低下に重要であることを示す強いエビデンスと言える」と述べている。その上で、血糖コントロールを達成するための至適な方法を確立する必要性、HbA1cのガイドライン推奨値の整備について提言した。

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妊娠糖尿病患者の2型糖尿病発症リスクは、正常妊婦に比べ7倍

妊娠糖尿病を有した女性が、2型糖尿病を発症するリスクは、正常血糖妊娠だった女性に比べ7倍強に上ることが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかになった。ロンドン・Northwick Park病院のLeanne Bellamy氏らによる解析で、Lancet誌2009年5月23日号に掲載された。これまで、妊娠糖尿病患者が2型糖尿病を発症するリスクが高いことは知られていたが、その度合いや時期については十分わかってはいなかった。過去半世紀にわたる文献からシステマティックレビューおよびメタ解析Bellamy氏らの研究は、被験者の状態とリスクに影響を与える因子との関連についての評価を目的とした、システマティックレビューおよびメタ解析。文献検索はEmbase、Medlineで、1960年1月1日~2009年1月31日の広範囲にわたって行われた。検索されたのは、妊娠糖尿病後の2型糖尿病発症について追跡されている論文で、205の重要な報告が入手できた。そのうち、20の研究を選定。被験者女性は67万5,455例、2型糖尿病の発症例は1万859例だった。入手したデータから、ランダム効果モデルを用いて未補正相対リスク(および95%信頼区間)を算出した。また、2型糖尿病の症例数、民族・人種、追跡調査期間、妊産婦年齢、BMI、診断基準によるサブグループ解析も行われた。その結果、妊娠糖尿病の女性は、正常血糖妊娠女性に比べて、2型糖尿病を呈するリスクは7.43倍(95%信頼区間:4.79~11.51)に上ると算出された。リスク値は、最大規模の試験(被験者女性65万9,164例、2型糖尿病9,502例)で最も大きく、12.6倍(12.15~13.19)だった。これら値に関して、サブグループ解析でも整合性が取れていた。Bellamy氏は「解析結果から、妊娠糖尿病患者が2型糖尿病を発症するリスクは大きいこと、および時期に関して患者と医療者との認識を増すことができた。これによって、対象女性に対し、検査や食事、生活様式、さらに薬物療法の機会を提供することで、予防や発症を遅らせることができるかもしれない」と知見をまとめている。

4349.

リラグルチドの血糖降下作用、膵β細胞機能の改善、体重増加抑制が明らかに

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は26日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会(23日)において、新規2型糖尿病治療薬ヒトGLP-1アナログ製剤リラグルチドの2つの第3相試験の結果を発表し、両試験により、日本人2型糖尿病患者に対するリラグルチドの優れた血糖降下作用、体重増加抑制効果、膵β細胞機能の改善が示され、リラグルチドが現在の糖尿病治療の問題点を解決しうる新薬になる可能性が示されたと報告した。単独療法試験の主な結果は、血糖降下作用(HbA1C値):投与後24週のHbA1C(ベースライン調整後)はリラグルチド群(6.99%)、グリベンクラミド(SU)群(7.50%)であり、リラグルチド群で有意に低かった。ベースラインからのHbA1Cの変化量:リラグルチド群で1.74%、グリベンクラミド群で1.18%低下。リラグルチド群でグリベンクラミド群と比較して変化量が大きかった。HbA1C値6.5%未満の達成率:リラグルチド群で28%、グリベンクラミド群で11%であり、リラグルチド群で有意に高かった。リラグルチド群では膵β細胞機能の改善が示された。併用療法試験の主な結果は、血糖降下作用(HbA1C値):投与後24週のHbA1C(ベースライン調整後)はリラグルチド併用群で、SU単独群と比べHbA1C値が有意に低かった(リラグルチド0.9mgとSU併用群で6.75%、SU単独群で8.02%)。ベースラインからのHbA1Cの変化量:リラグルチド併用群で、SU単独群と比べ変化量が大きかった(リラグルチド0.9mgとSU併用群で1.56%低下、SU単独群で0.40%低下)。HbA1C値6.5%未満の達成率:併用群で、SU単独群に比べ有意に高かった(リラグルチド0.9mgとSU併用群で47%、SU単独群で5%)。リラグルチド併用群では膵β細胞機能の改善が示された。詳細はプレスリリースへhttp://www.novonordisk.co.jp/documents/article_page/document/PR_09_15.asp

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メルビン錠の単独療法が可能に 一部変更承認取得

大日本住友製薬株式会社は20日、経口血糖降下剤「メルビン錠 250mg」(一般名:メトホルミン塩酸塩)において、2 型糖尿病患者に対する単独療法を可能とする「効能・効果」および「用法・用量」の一部変更承認を取得したと発表した。メトホルミン塩酸塩は、1961 年に国内承認を取得したビグアナイド系経口血糖降下剤。現在は2 型糖尿病の治療に用いられているが、1977 年からは、「SU 剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合に限る」という使用制限が加えられていた。一方、欧米では、メトホルミン塩酸塩の有用性を示す多数の臨床成績が集積され、かつ、日本のような使用制限はなく2 型糖尿病治療の第一選択薬に位置付けられ、幅広く処方されている。今回の一部変更承認は、医療現場からの要望に応えたもので、2 型糖尿病患者に対する薬剤の選択肢が増加することにより、糖尿病治療への効果が期待される。詳細はプレスリリースへhttp://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090520.pdf

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喫煙と眼の病気の関係性、知っているのはわずか2割未満

ノバルティス ファーマ株式会社が4月に行った「喫煙と疾患に関するインターネット意識調査」によると、肺がんなどの疾患については喫煙が危険因子とわかっているが、眼の疾患についてはあまり感じていないことがわかった。この調査は、5月31日の世界禁煙デーを前に、2009年4月に国内の40才以上の喫煙者の男女600名に対し行われたもの。調査結果では、喫煙が危険因子とされている疾患への認知率は、肺がんが97.2%、心臓病(心筋梗塞)、肺気腫・COPD、妊婦の早産や胎児の発育障害はそれぞれ90.8%、脳卒中が87.0%であるのに対し、眼疾患については、加齢黄斑変性症が19.6%、糖尿病網膜症が18.2%、白内障が13.5%と、それぞれ2割未満であった。一方で、喫煙との因果関係が確認されている疾患や症状への「恐怖度」については、肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする呼吸器疾患の症状とされる「呼吸困難感・息切れ」(74.1%)よりも、「視力の急激な低下・失明」に恐怖を感じると回答した喫煙者が約8割(78.7%)と多く、脳卒中(89.5%)や心筋梗塞(89.2%)と同程度に恐怖を感じていることもわかったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090518_02.html

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アクトスとメトホルミン徐放製剤の合剤 ACTOplus met XR、米国において販売許可取得

武田薬品工業は14日、同社の子会社である武田グローバル研究開発センター(米国イリノイ州)が、米国時間の5月12日に米国食品医薬品局(FDA)より、2型糖尿病治療剤アクトス(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)とメトホルミン徐放製剤の合剤(製品名:ACTOplus met XR)について販売許可を取得したと発表した。ACTOplus met XRはメトホルミン徐放製剤を使用した、1日1回投与の2型糖尿病治療薬の合剤。ACTOplus met XRに含有されるメトホルミン徐放製剤は、Watson Pharmaceuticalsの子会社であるWatson Laboratoriesが開発したものであり、同社とは同剤に関するライセンス契約を締結しているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_32740.html

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ドベシル酸カルシウムに、糖尿病による黄斑浮腫の抑制効果はない:CALDIRET試験

ドベシル酸カルシウムは、糖尿病患者において臨床的に有意な黄斑浮腫(clinically significant macular oedema; CSME)の発症リスクを低減させないことが、ドイツLudwig-Maximilians大学眼科のChristos Haritoglou氏らが実施した多施設共同試験(CALDIRET試験)で明らかとなった。糖尿病性網膜症は労働年齢人口の最も重要な失明原因であり、レーザー治療などの有効な治療法があるにもかかわらず1型糖尿病患者の約90%が網膜症や黄斑浮腫で失明している。静脈治療薬であるドベシル酸カルシウムは慢性静脈不全や痔核などの血管疾患に有効で、現在60ヵ国以上で処方されているという。Lancet誌2009年4月18日号掲載の報告。網膜症を伴う2型糖尿病を対象とするプラセボ対照無作為化試験研究グループは、糖尿病性黄斑浮腫の発現に対するドベシル酸カルシウムの効果を評価するために、11ヵ国40施設の参加のもとに多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験を実施した。成人発症の2型糖尿病の外来患者で、軽度~中等度の非増殖性の糖尿病性網膜症を伴うものを登録し、ドベシル酸カルシウム(1,500mg/日)あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。主要評価項目は5年のフォローアップ期間中のCSME発症とし、早期に脱落した場合は打ち切り例(censored case)とした。CSMEの推定5年累積発症率に有意差なし635例が登録され、プラセボ群に311例が、ドベシル酸カルシウム群には324例が割り付けられた。CSMEを発症した症例は、プラセボ群が69例であったのに対しドベシル酸カルシウム群は86例であり、打ち切り例を考慮するとCSMEの推定5年累積発症率はプラセボ群が28%、ドベシル酸カルシウム群は35%であり、有意差は認めなかったもののむしろ治療薬群で高かった(p=0.0844)。有害事象の頻度は、プラセボ群29%(90例)、ドベシル酸カルシウム群24%(78例)であり、両群間に差はなかった。薬剤に関連した合併症は認めなかった。プラセボ群で8例(3%)が、ドベシル酸カルシウム群では9例(3%)が死亡した。著者は、「ドベシル酸カルシウムは2型糖尿病患者においてCSMEの発症リスクを低減させない」と結論したうえで、「今後、検討に値するサブグループを同定するために事後解析を実施したところ、血管疾患のリスク因子を有する女性でドベシル酸カルシウムのベネフィットが高い可能性が示唆されたが、これはあくまで推測の域を出ない」としている。(菅野守:医学ライター)

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ARB バルサルタン、心房細動の再発予防効果得られず

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与によっても心房細動の再発予防効果が得られなかったことが報告された。心房細動に関して今のところ、コントロール可能な理想的な治療はないとされる一方で、実験的研究でARBが心房リモデリングに影響を与えることが、また臨床試験からはARBの心房細動予防の可能性が示唆されていた。報告は、バルサルタン(商品名:ディオバン)に関する大規模多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験GISSI-AFからで、NEJM誌2009年4月16日号で掲載された。1,442例が参加した大規模試験 GISSI-AF(Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Infarto Miocardico–Atrial Fibrillation)試験は、心血管疾患、糖尿病、左心拡大の基礎疾患があり心房細動の既往がある患者に、バルサルタン320mg/日を標準治療として加えることが有効かどうかを調べることを目的とし行われた。試験には、2004年11月~2007年1月の間に、イタリアの114医療センターで1,442例が登録。過去6ヵ月で心房細動が2回以上あった患者、もしくは過去2週間で心房細動があり電気的除細動が成功した患者で、現在は洞調律の者を適格とした。 対象者は無作為に、バルサルタン群(722例)とプラセボ群(720例)に割り付けられた(投与量は、最初の2週間は80mg/日、3~4週間は160 mg/日、以降320 mg/日)。 主要エンドポイントは2つで、追跡1年間の、心房細動再発までの期間と、再発が複数回に及んだ患者の割合とした。ACE阻害薬の服用有無問わず、結果はプラセボと同等 再発があったのは、バルサルタン群371/722例(51.4%)、プラセボ群375/720例(52.1%)で、補正後ハザード比は0.97(96%信頼区間:0.83~1.14、p=0.73)だった。 再発が複数回あったのは、バルサルタン群194/722例(26.9%)、プラセボ群201/720例(27.9%)で、補正後ハザード比は0.89(99%信頼区間:0.64~1.23、p=0.34)だった。 ACE阻害薬を服用していなかった患者を含めたサブグループ解析においても、同様の結果が見られたという。

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2型糖尿病患者への心筋シンチグラムに、心筋梗塞や心臓死の予防効果なし

冠動脈性心疾患の症状のない2型糖尿病患者に対し、アデノシン負荷心筋シンチグラムによりスクリーニングを行っても、心筋梗塞や心臓死の予防効果は認められないことが明らかにされた。1,000人超の2型糖尿病患者を対象に行われた、DIAD試験(無症状の糖尿患者における虚血の検出試験)からの結果で、JAMA誌2009年4月15日号で発表されている。心イベント発生率は累積で2.9%、年率0.6%DIAD(The Detection of Ischemia in Asymptomatic Diabetics)では、冠動脈性心疾患の症状のない2型糖尿病患者1,123人を無作為に2群に分け、一方にはアデノシン負荷放射性核種心筋シンチグラム(MPI)によるスクリーニングを行い、もう一方には行わなかった。被験者の平均年齢は、スクリーニング群・対照群ともに約61歳。追跡期間の平均値は4.8年(標準偏差:0.9)、累積心イベント発生率は2.9%、年平均で0.6%だった。スクリーニング群でイベント発生率減少せず、陽性的中率も12%と低率両群それぞれにイベント発生率を比較したところ、スクリーニング群では非致死の心筋梗塞が7人、心臓死が8人と、両者併せた発生率は2.7%だった。一方の対照群は、非致死の心筋梗塞が10人、心臓死が7人で、両者併せた発生率は3.0%。スクリーニング群と対照群に有意差はなかった(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.44~1.88、p=0.73)。スクリーニング群の中で、結果が正常だった人(409人)とMPIで軽度異常が見られた人(50人)を併せてグループ化し、MPIで中程度から重度の異常が見られた人(33人)と比較したところ、前者群では心イベント発生率が0.4%/年だったのに対し、後者群では同2.4%/年と、有意差が見られた(ハザード比:6.3、95%信頼区間:1.9~20.1、p=0.001)。ただし、MPIで中程度・重度の異常の場合の陽性的中率は、12%と低かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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高齢の2型糖尿病患者、重度低血糖で認知症リスクが増大

高齢の2型糖尿病患者で、入院や救急外来を必要とするほどの低血糖になると、認知症の発症リスクが有意に増大することが明らかにされた。1型糖尿病の小児で、急性低血糖が認知障害に関与する可能性があることは知られているが、高齢の2型糖尿病患者の同関連性についての研究は、これまで明らかにされていない。報告は、米国Kaiser PermanenteのRachel A. Whitmer氏らが、約1万7,000人の患者を追跡調査したもので、JAMA誌2009年4月15日号で発表した。調査対象の約8.8%が低血糖で入院、11%が認知症発症Whitmer氏らは、2型糖尿病患者で、2003年1月1日時点で認知症や軽度の認知障害などの診断を受けていない、55歳以上(平均年齢65歳)の1万6,667人について、2007年1月まで追跡調査を行った。低血糖の診断については、入院と病院の救急外来データを、1980年まで遡って調査した。その結果、低血糖の診断を1回以上受けた人は、全体の8.8%に当たる1,465人だった。また、認知症の診断を受けたのは、全体の11%に当たる1,822人。さらに、低血糖で入院した人で、認知症の診断を受けたのは、250人だった。1回の低血糖で認知症リスクは1.26倍、2回だと1.80倍に年齢、性別、教育レベル、糖尿病の病歴などで補正した後、低血糖の診断を1回受けた人の、そうでない人に比べた認知症発症に関するハザード比は、1.26(95%信頼区間:1.10~1.49)であった。低血糖の診断を2回受けた人の同ハザード比は、1.80(1.37~2.36)、3回以上の場合は、1.94(1.42~2.64)だった。調査対象となった高齢2型糖尿病群における、認知症発症に関する重度低血糖の寄与危険度は、2.39%/年だった。なお同研究グループは、軽度低血糖と認知症リスクとの関係については、まだ不明であるとしている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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超速効型インスリンアナログ製剤アピドラに製造販売承認

サノフィ・アベンティス株式会社は22日、1型および2型糖尿病患者さんを対象とする超速効型インスリンアナログ製剤「アピドラ」(一般名:インスリン グルリジン〔遺伝子組換え〕)について、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能または効果として、厚生労働省より医薬品製造販売承認を取得したと発表した。アピドラは、ヒトインスリンのアミノ酸を置換し、製剤中に亜鉛を含まない特徴的な製剤設計がなされた超速効型インスリンアナログ製剤であるため、製剤中に単量体の割合が多く、速やかに吸収され、短時間で消失することにより、生理的な追加インスリン分泌パターンを再現する。アピドラは、痩せ型から肥満型まで、多様な体型の患者に投与でき、ヘモグロビン・エー・ワン・シー(HbA1c)ならびに食後血糖値を改善する。また食直前投与であるため、患者の生活にあわせてより柔軟に投与が可能だという。海外では、アメリカ、欧州で2004年に承認を取得し、現在80ヵ国以上で承認されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/FAB6C386-458E-4DCB-8A43-CA53B95DA594.pdf

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2型糖尿病の10年リスク予測スコアの決定版!? QDScore

広く認められ日常診療でも使用可能な2型糖尿病のリスク予測スコアのアルゴリズムは、いまだ開発されていない。イギリス、ノッティンガムの一般開業医Julia Hippisley-Coxらは、これまで開発されたアルゴリズムの反省点を踏まえ、人種および社会経済的に多様な集団を対象に、10年間の2型糖尿病診断結果を基にした新たな糖尿病10年リスク予測スコアのアルゴリズム(QDScore)を開発した。BMJ誌2009年4月4日号(オンライン版2009年3月17日号)で発表している。人種および社会経済的に多様な集団を対象に開発開発には、イングランドとウェールズの一般開業医が協力。スコア開発群として355人がデータを提供、一方で、スコア検証群として176人がデータを提供する前向きオープンコホート研究の方法を用いて行われた。最も関心が寄せられた転帰は、カルテに記された2型糖尿病のインシデント情報だった。また、Cox比例ハザードモデルを使い、リスク因子影響の評価と、リスク因子の男女差が調べられた。評価されたQDScoreの予測変数は、人種、年齢、性、BMI、喫煙状態、糖尿病の家族歴、T-スコア、高血圧と心血管疾患の治療歴、コルチコステロイドの現在使用である。開発群コホートに集まったデータは、25~79歳の254万753人(1,643万6,135人・年)。そのうち、7万8,081人が2型糖尿病のインシデントケースと診断された。一方、検証群コホートには、123万2,832人(764万3,037人・年)のデータが集まり、インシデントケースは、3万7,535人だった。WEBにあるので、いつでも誰もが気軽に評価の結果、2型糖尿病のリスクの人種間格差は、4倍から5倍に上ることが明らかになった。白人を基準とすると、バングラディッシュ人・女性は4.07倍(95%信頼区間:3.24~5.11)、同男性は4.53倍(3.67~5.59)、またパキスタン人・女性は2.15倍(1.84~2.52)、同男性は2.54倍(2.20~2.93)に上る。パキスタン人とバングラデシュ人の男性のリスクは、インド人の男性より有意に高率だった。アフリカ系黒人男性と中国人女性のリスクも、対応する白人の基準群と比較して高かった。また検証群のデータを使っての検定の結果、QDScoreの予測変数が、より優れていることが確認された。Hippisley-Cox氏は、「QDScoreは、前向きコホート研究を基礎とし、そして社会的格差や民族性を考慮した初の、2型糖尿病のための10年リスク予測アルゴリズムである。臨床検査を必要とせず、日常診療で使用でき、さらに、WEB(http://www.qdscore.org)上にもあるので、いつでも誰もが利用することができるものだ」とまとめている。

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冠動脈多枝病変に対するCABGとPCI、長期効果はどちらが優れる?

冠動脈多枝病変に対する冠動脈バイパス移植術(CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期予後は同等であり、いずれを選択するかは他の予後因子に関する患者の好みを考慮して決めるべきであることが、無作為化試験の共同解析の結果から明らかとなった。冠動脈多枝病変の治療選択肢としてのCABGとPCIについては、これまで手技に関する無作為化試験は実施されてきたが、代表的なサブグループの死亡率に及ぼす治療法別の長期的な効果は明確にされていなかったという。アメリカStanford大学医学部のMark A Hlatky氏が、Lancet誌2009年4月4日号(オンライン版2009年3月20日号)で報告した。10の無作為化試験のプール解析研究グループは、治療が死亡率に及ぼす効果が患者背景によって変化するか否かを検討するために、無作為化試験のデータに関する共同解析を行った。ベースライン時の患者背景に基づいてCABGとPCIの効果を比較した10の無作為化試験のデータについてプール解析を実施した。層別化に基づく変量効果Cox比例ハザードモデルを用いて、無作為に割り付けられた治療法の全死亡に及ぼす影響を評価し、その臨床的な患者背景との相互関連について検討した。6年後の死亡率は、CABG群15%、PCI群16%と同等10試験に登録された7,812例のデータが解析の対象となった。PCIは、6試験ではバルーン血管形成術が、4試験ではベアメタルステント留置術が施行されていた。フォローアップ期間中央値5.9年の時点で、CABG群の3,889例中575例(15%)が死亡したのに対し、PCI群の死亡例は3,923例中628例(16%)であり、両群間に有意な差は認めなかった(ハザード比:0.91、p=0.12)。糖尿病患者(CABG群:615例、PCI群:618例)の死亡率はPCI群よりもCABG群で実質的に低かった(12.3% vs. 20.0%)が、非糖尿病患者では両群間に差はなく(7.6% vs. 8.1%)、糖尿病の有無別には有意な差が見られた(p=0.014)。年齢別の解析では、治療法によって死亡率に変化が見られ、55歳未満ではCABG群5.5%、PCI群5.0%(ハザード比:1.25)、55~64歳ではそれぞれ8.0%、9.4%(同:0.90)、65歳以上では11.0%、14.7%(同:0.82)であり、年齢層間に有意差を認めた(p=0.002)。罹患血管数や他の患者背景による違いは確認されなかった。著者は、「冠動脈多枝病変患者では、CABGあるいはPCI施行後の長期的な死亡率は同等であり、それゆえ治療法の選択の際は他の予後因子に関する患者の好みを考慮して決定すべきである」と結論し、「糖尿病患者と65歳以上の患者では、CABGで死亡率が低かったことから、より優れた治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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かかりつけ医に、うつ病重症度判定の報酬インセンティブを導入したが……:イギリス

イギリスでは2006年4月以降、NHS(国民健康保険制度)のQOF(quality and outcomes framework)契約を結ぶかかりつけ医に対し、初診時全患者について、公認された3つの評価表(PHQ-9、HADS、BDI-II)のいずれかを用いて、うつ病重症度評価を行う報酬インセンティブを導入している。目的は、中等度~重度うつ病患者の過少治療(特に抗うつ薬投与)を改善することにある。サウサンプトン大学プライマリ・ケア部門のTony Kendrick氏らは、制度導入後のかかりつけ医の抗うつ薬の処方率と精神科専門医等への紹介率をカルテデータから調べ、狙い通り改善が図られているのか調査を行った。BMJ誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月19日号)掲載より。検査実施率は着実に増えている一方、評価ツールの精度、有用性に疑問の声原則として評価表でスコアが高かった患者は、必要な介入がより大きいことを示す。しかしQOFガイダンスでも、治療評価はスコアだけをあてにするのではなく、身体的障害やうつ病既往歴、患者の希望を考慮するよう推奨している。また評価表は、それぞれ開発・設計目的が少しずつ異なっており、うつ病重症度の「ゴールドスタンダード」はない。HADS(hospital anxiety and depression scale)はうつ病患者を同定する検査ツールであり、BDI-II(Beck depression inventory第2版)はうつ病重症度を測定する診断ツール、そしてPHQ-9は検査と診断の両評価を兼ね備えたものとして開発された。そのためNHSによれば、公認評価表の診断時活用は、2006~2007年の平均81%から、2007~2008年は平均91%にアップしたと報告されているが、一方でかかりつけ医がスコア結果を無視している実態がありツールの精度や有用性について議論が続いているという。高齢患者、共存症患者への治療率が低いそうした背景の中でKendrick氏らは、サウサンプトン、リバプール、ノーフォークの3地域からかかりつけ医38人の協力を得て、2006年4月から2007年3月の間に、うつ病評価を行った患者2,294例のカルテデータを解析した。結果、使用された評価表の内訳は、PHQ-9が1,658例、HADSが584例、BDI-IIが52例。広く使われていたPHQ-9とHADS患者群(2,242例)で、抗うつ薬処方率は79.1%、専門医等の紹介率は22.8%。処方率および紹介率は、より高度な重症度スコアと有意に相関していた。ただし評価表別に見ると、PHQ-9群では83.5%の患者が中等度~重度患者と分類されている一方、HADSでの同分類患者分類の割合は55.6%という違いが見られた。また、QOFで特に重視すべきスクリーニング対象としている高齢患者(65歳以上)、あるいは共存症(虚血性心疾患、糖尿病など)を有する患者について、治療に結びついている割合が、それぞれの対照群と比べると低いことが明らかになった。Kendrick氏は、「かかりつけ医は、評価表スコアだけに頼らずうつ病治療の評価を行っており、スコア結果と実際の治療とは相反している実態が明らかになった。今回の結果は、治療を行うことが妥当である、臨床的な判断とも一致する、とかかりつけ医が患者分類の手段として容認できるよう、推奨スコアの変更を行う必要があることを示唆するものである」と結論している。

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