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事例27 注入器用注射針の査定【斬らレセプト】

解説事例では、支払基金からD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)を理由に、万年筆型注入用注射針は算定できないと「突合点検結果連絡書」が届いた。突合点検結果連絡書とは、「院外処方せんに基づき調剤薬局が処方した調剤レセプトと医療機関のレセプトを電子的に突き合わせ、査定が発生した場合に医療機関の診療報酬から相殺することを予告する文書」である。毎月18日までに不一致の申し出として異議申し立てができる。請求レセプトを確認するとカルテ内容に応じてC101 在宅自己注射指導管理料、C150 血糖自己測定器加算、C153 注入用注射針加算が算定されていた。院外処方せんでは、注入用注射針が処方されていた。診療報酬点数表で注入用注射針加算の算定要件を確認すると、その留意事項には「注入器用注射針を処方した場合に算定できる」とある。処方した場合とは自院で処方・投与された場合を指すものであり、注入用注射針加算が算定されている場合は、院内で投与済みと判断される。したがって、注入用注射針加算算定時の院外処方せんにおける注入用注射針の処方は、重複として算定ができないのである。

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63)お酒が好きな患者さんに検査値を説明するコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者夏になると缶ビールがおいしくて、つい飲みすぎちゃうんです。医師確かにそうですね。1缶だけじゃなくて、2缶とか・・・患者調子にのって、3缶目にいくこともあります。医師そうですか。ちょっと、この検査を見てもらえますか。ここです。患者A1cですか。医師そうです。これ缶ビールにも書いてありませんか?患者そりぁ、アルコール(Alc)のことですね。ハハハ。 医師缶ビールのアルコールは5%ですが、血糖コントロールの指標であるHbA1cも正常な人は5%台です。患者私は7.6%とかなり高いですね。調子にのって、2缶、3缶と飲み過ぎていてはいけませんね(気づきの言葉)。●ポイント身近な話題を取り上げて、検査値について復習できるといいですね

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LDL-C上昇と大動脈弁疾患の遺伝学的関連/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)上昇の遺伝学的素因は、大動脈弁石灰化や大動脈弁狭窄症の発症と関連することが、スウェーデン・ルンド大学のJ Gustav Smith氏らCHARGEコンソーシアムの研究グループの検討で明らかとなった。この知見は、LDL-Cと大動脈弁疾患の因果関係を示すエビデンスだという。これまでに血漿LDL-C値と大動脈弁狭窄症の関連が観察研究で示されているが、弁疾患患者に対する脂質低下療法の無作為化試験では、疾患進行の抑制効果は確認されていない。JAMA誌2014年11月5日号(オンライン版2014年10月26日号)掲載の報告。4つのコホート試験で遺伝学的素因の関与を評価 CHARGEコンソーシアムは、欧米で進行中の長期的な大規模前向きコホート試験で、メンデル無作為化試験デザインが採用されている。今回の検討では、LDL-C、HDL-C、トリグリセライド(TG)と大動脈弁疾患の関連への遺伝学的素因の関与について解析が行われた。 対象は、CHARGEコンソーシアムに含まれる3つの地域住民ベースのコホート試験[フラミンガム心臓研究(FHS、米国、1971~2013年、1,295例)、Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis試験(MESA、米国、2000~2012年、2,527例)、Age Gene/Environment Study–Reykjavik試験(AGES-RS、アイスランド、2000~2012年、3,120例)]に参加した6,942例と、Malmo Diet and Cancer 試験(MDCS、スウェーデン、1991~2010年)の2万8,461例であった。 解析には、遺伝学的リスクスコア(GRS)が用いられた。GRSは血漿脂質値上昇の遺伝学的素因の指標で、ゲノムワイド関連解析で同定された一塩基多型(SNP)に基づく。CHARGEコホートのCT所見から大動脈弁石灰化を定量化し、MDCSコホートの追跡データから大動脈狭窄の評価を行った。HDL-C、TGのGRSとの関連はない ベースライン時の4つのコホートの平均年齢は58~76歳、女性が47~60%で、全員が白人であった。 3つのCHARGEコホートにおける大動脈弁石灰化の発症率は32%(2,245例)であった。また、MDCSコホート(フォローアップ期間中央値16.1年)の473例が大動脈狭窄症を発症し(発症率:17/1,000人)、205例に大動脈弁置換術が行われた(施行率:7/1,000例)。 血漿LDL-C値は大動脈弁狭窄症と有意に関連した(ハザード比[HR]:1.28、95%信頼区間[CI]:1.04~1.57、p=0.02)。四分位解析では、LDL-C値が最も低い群の大動脈弁狭窄症の発症率は1.3%、最も高い群は2.4%であった。HDL-CおよびTGには、大動脈弁狭窄症との間に関連はみられなかった。 LDL-CのGRSは、CHARGEコホートにおける大動脈弁石灰化の発症(GRSの増分のオッズ比[OR]:1.38、95%CI:1.09~1.74、p=0.007)およびMDCSコホートにおける大動脈狭窄症の発症(2.78、1.22~6.37、p=0.02)と有意な関連が認められた。HDL-CおよびTGのGRSには、石灰化、狭窄症との関連はなかった。 感度分析を行ったところ、LDL-CのGRSは大動脈弁石灰化(p=0.03)および大動脈弁狭窄症(p=0.009)との相関が維持されており、操作変数(instrumental variable)解析でもLDL-Cの上昇は大動脈弁狭窄症のリスクと有意な関連を示した(HR:1.51、95%CI:1.07~2.14、p=0.02)。 著者は、「約7,000例の症状発症前の大動脈弁石灰化のデータと、2万8,000例以上を15年以上追跡した大動脈弁狭窄症のデータにより、GRSに基づく遺伝学的なLDL-Cの上昇が石灰化および狭窄症と関連することが示された」とまとめ、「早期のLDL-C低下療法による介入の、大動脈弁疾患の予防効果を検討する試験の実施が望まれる」と指摘している。

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キーワードで記憶する糖尿病合併症

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 どんな合併症が起こるんですか?医師 糖尿病は別名、血管の病気といわれていますから、全身のあらゆる場所に、ありとあらゆる合併症が起こる可能性があります。患者医師血管の病気ってなんですか?特に、糖尿病の人に起こりやすいのが、糖尿病の3大合併症ともいわれています。患者医師それは何ですか?手足のしびれやこむら返りなどの神経障害、失明の原因となる眼の合併症、透析の原因となる腎臓の合併症です。患者医師なるほど。神経障害、眼、腎臓の頭文字をとって「し・め・じ」と覚えておくといいですね。画 いわみせいじ患者 キノコのしめじですね。しめじは大好きです。それなら覚えられそうです。●糖尿病の3大合併症1.し しんけい(神経)障害2.め め(眼)の合併症(網膜症)3.じ じん(腎)症ポイント語呂合わせで教えることで、記憶に残りますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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健康に良いは、体重に悪い

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者朝食は気をつけて食べています。朝食はどんなものを食べておられますか?朝食は主にパンです。パンですね。どんなものをよく塗られていますか?えっと、目にいいというので、ブルーベリージャムを塗っています。パンにはブルーベリージャムですね。飲み物は?牛乳です。牛乳にきなこを混ぜています。きなこは健康にいいというので・・・そうですか。野菜とかは?ドレッシングにはオリーブオイルを使っています。他には?画 いわみせいじ腸にいいというのでヨーグルトを摂ることにしています。砂糖の代わりにはちみつを使っています。なるほど。この朝食メニューをみてもらっていいですか。どちらがヘルシーな朝食メニューだと思いますか?(イラストを示して)どちらもよさそうですけど、しいていえば、Aですか?残念ながらBです。Bのメニューが400kcalに対し、Aのメニューは900kcalと倍以上のカロリーです。えっ、そんなに違うんですか!?どうしてですか?(驚きの声)実は、健康にいいといわれている食品はカロリーの高いものが多くて、それを摂り過ぎるとカロリーオーバーになってしまうのです。つまり、健康にいいと思って摂っていたのが逆効果だったんですね。そうですね。Aさんにとって一番簡単な食事療法は、健康にいいと思って勘違いしてとり過ぎている食品を止めることかもしれませんね。はい。わかりました。(嬉しそうな顔)ポイントメニューを比較してもらうことで、患者さん自身に食事療法の勘違いに気づいてもらえますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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分かりやすい糖尿病の段階の説明法

患者さん用脳卒中・心筋梗塞脳や心臓の大血管の動脈硬化1正常駅空腹時血糖値食後血糖HbA1c23予備群駅1005.61101406.0456糖尿病駅1262006.57.07合併症駅細い血管障害3大合併症(神経・眼・腎症)Copyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師先生、私の糖尿病はどのくらい進んでいるんですか?かなり悪くなっているんですか?(やや不安な顔)それでは、糖尿病の状態について説明しましょう。糖尿病を駅に例えると、正常駅(1)、予備軍駅(2、3)、糖尿病駅(4、5)、合併症駅(6、7)になります。あなたは今、どの辺りだと思いますか?患者医師(少し考えてから)6番ですか?まだ、合併症は出ていませんから、合併症駅の手前5番になりますね。患者医師そうですか。合併症駅に進まないためにはどんなことに気をつけたら、いいですか?3つのポイントがあります。患者それは何ですか?(興味津々)ポイントわかりやすい例えを利用することで、理解が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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低血糖の症候は「ハ」行で指導

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者この薬を飲むと、低血糖が起こる可能性があります。低血糖ってどんな症状が出るのですか?医師患者代表的な5つの症状を覚えておいてください。5つの症状?医師 強い空腹感、冷や汗やふるえ、動悸、何も処置せずに放っておくと、意識がなくなる人もいます。患者 なるほど。医師 低血糖は「ハ行」で覚えておくといいですね。患者 ハ行!?医師患者画 いわみせいじ腹が減り(ハ)、冷や汗(ヒ)、震え(フ)、変にドキドキ(へ)、放置しておくと意識がなくなる(ホ)です。なるほど。それなら、私にも覚えられそうです。●低血糖は、ハ行「ハヒフヘホ」ハ ハラ(腹)が減り(空腹感)ヒ ヒヤ(冷)汗フ フル(震)えヘ ヘン(変)にドキドキ(動悸)ホ ホウ(放)置しておくと意識がなくなる(昏睡)ポイント語呂合わせで説明することで、記憶に残りますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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動かない時は食べないの原則

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 休みになると、体重が増えてしまいます。医師 働かざる者・・・という言葉がありますね。患者 働かざる者 食うべからずですね。医師 そうです。働かざる者食うべからずです。これからにんべんをとると・・・。患者 にんべんをとる?医師 「動かざる者食うべからず」ということになります。画 いわみせいじ患者 なるほど!医師 「動いた時は食べる、動かない時は食べない」これが大切です。患者 私、逆になっていますね。平日はよく動いているのか、食べないのに、休みの日はゴロゴロして、何かつまんでばかりです。これから気をつけます。ポイント慣用句を用いて説明すれば、患者さんの理解度が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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「覚醒」から「睡眠」へ 新機序の不眠症治療薬

2014年9月26日、MSD株式会社は新規作用機序の不眠症治療薬スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠15mg、同20mg)の製造販売承認を取得した。本剤は、世界初のオレキシン受容体拮抗薬で、過剰な覚醒状態を抑制することにより、生理的なプロセスで眠りに導く。本剤の登場によって、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。本稿では、不眠症治療の現状および課題、新薬への期待について紹介する。不眠症とは不眠症は、入眠障害、中途覚醒などの夜間不眠の訴えがあり、その結果として日中の精神・身体機能に影響が生じる疾患である。不眠症の原因は多岐にわたるが、「睡眠」と「覚醒」のバランスが乱れて、体を「覚醒」させるという機能が「睡眠」を誘う機能よりも上回った場合に生じると考えられている。このバランスを乱す要因としては、ストレスなどの心理的要因、うつ病などの精神疾患、不適切な睡眠環境や生活習慣などの生理学的要因、アルコールなどの薬理学的要因、痛みなどの身体的要因などが挙げられる。近年、不眠症の患者ではうつ病の発症リスク、高血圧や糖尿病などの生活習慣病発症リスクが高まることも報告されており、睡眠習慣の改善や薬物による治療の必要性が高まっている。不眠症の治療診断基準(睡眠障害国際分類第2版[ICSD-2]など)により、不眠症を疑った場合には、まず身体・精神的疾患や薬物の影響が不眠症状の原因となっていないか確認を行う。  そのうえで睡眠環境や生活習慣の改善や薬物治療を行う。現在、不眠症治療薬としては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などのGABA受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬などが一般的に用いられている。それぞれの薬剤の特徴や作用時間などを考慮して治療薬が選択されるが、翌日への持ち越し効果や耐性・依存・離脱症状などの懸念、それらに対する患者側の心理的抵抗感が課題であった。世界初の作用機序の不眠症治療薬起きている状態を保つオレキシンオレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで、睡眠-覚醒システムのバランスを調整する脳内物質である。オレキシンが分泌されると、覚醒システムが活性化されて覚醒の維持に働いて、眠りにくくなる。逆に、眠りに誘われるときはオレキシンの分泌が減り、睡眠システムが優位になっている。なお、睡眠システムにはGABAが深く関わっている。スボレキサントの特徴不眠症の患者では、夜になっても脳の覚醒が亢進することによって不眠が生じると考えられるが、スボレキサントはオレキシンが受容体へ結合することをブロックし、過剰に働いている覚醒システムを抑制する。つまり、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させるという、体が本来持っている生理的なプロセスによって、本来の眠りをもたらす。用法・用量1日1回20mg(高齢者は15mg)を就寝前に服用する。入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、食事と同時または食直後の服用は避ける(食後投与では、投与直後の血漿中濃度が低下することがある)。なお、臨床試験では単剤で処方されていたため、他の不眠症治療薬と併用したときの有効性および安全性は確立されていないので注意が必要となる。※CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾール)を服用中の患者では、本剤の作用が増強されるおそれがあるため禁忌である。臨床成績・試験:日本人を含む国際共同プラセボ対照試験・対象:原発性不眠症患者638例(成人370例、高齢者268例)・方法:スボレキサント通常用量(成人:20mg、高齢者:15mg)またはプラセボを3ヵ月間、1日1回就寝前に投与・結果:主観的睡眠潜時(患者申告による入眠までの時間)および主観的総睡眠時間(患者申告による睡眠時間の合計)は、スボレキサント群において、1週時からプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。安全性上記試験において、6ヵ月間の副作用は53例(20.9%)に認められた。主な副作用は傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。スボレキサント投与による翌朝の認知機能テストへの影響や、投与中止による反跳性不眠はみられなかった。なお、オレキシンの受容体への結合を阻害して、オレキシンの作用を抑制するという作用機序からナルコレプシーが生じること懸念されるが、臨床試験では認められなかった。ナルコレプシーではオレキシン神経が脱落することが報告されている。一方で、スボレキサントはオレキシン受容体を阻害するものの一過性であるため、機序が異なると考えられる。日本が世界をリードするようなエビデンス構築をスボレキサントについて、MSD株式会社の製品担当者に話を聞いた。「本剤は、世界に先駆けて日本で発売される新規作用機序の薬剤なので、できるだけ慎重に使用していただきたい。まずは臨床試験で有効性・安全性が確認された、未治療またはウォッシュアウト期間のある原発性不眠症患者に使用していただき、スボレキサント本来の有効性・安全性を確認していただきたい」としたうえで、「スボレキサントは不眠症治療の標準薬の1つとなりうる薬剤だと考えている。日本が世界をリードするようなエビデンスや使い方を構築し、現在の不眠症治療の課題克服に貢献したい」と語った。本剤の登場によって、覚醒状態を抑制することで睡眠を導くという、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。これにより、症状に合わせた薬剤選択、体本来の生理的な睡眠を導く治療が可能になると期待される。

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スタチン治療はやはり糖尿病を増やすのか?そのメカニズムは?(解説:興梠 貴英 氏)-272

 スタチンが虚血性心疾患の一次予防においても二次予防においても有効であることについては、これまで多くの一貫したエビデンスがある。 しかし、以前より一部の研究者によって、スタチンが新規糖尿病発症を増やすのではないか、ということが疑われている。とくにJUPITER試験の安全性評価の項目で、プラセボ群と比較してロスバスタチン投与群で有意に新規糖尿病が多かったという報告1)を契機に、やはりスタチンが新規糖尿病発症を増やすのではないか、ということが広く疑われるようになった。その後、観察研究のメタ解析2)のみならず、本論文の著者らが2010年に行ったRCTのメタ解析3)においてもスタチン投与が糖尿病発症を増加させるということが報告された。 こうした後ろ向き解析による因果関係の推論において問題となるのは、スタチンを投与する必要がある患者では元々糖尿病発症リスクも高く、そのため見かけ上の相関(因果)が認められるのではないか、ということである(適応による交絡)。確かに観察研究の場合はそうしたこともありうるが、RCTのメタ解析においては適応とは無関係に割り付けされており、そうした批判は当たらない。 さて、本論文は著者らが2010年に発表した論文にいくつかのRCT試験を加えてメタ解析し直したこと、さらにスタチンが糖尿病新規発症を増加させるメカニズムに迫るために遺伝学的な検討を加えているところが新しい。 まず、今回のメタ解析においては前回の13試験に加えて、さらに7試験を加えた解析を行い、スタチン対プラセボ、強化治療対通常治療を合わせて12%のリスク上昇があることを示している。 さらに、スタチンが阻害するHMG-CoA還元酵素遺伝子近傍のSNPを検討し、その中でrs17238484とrs12916の2つのSNPとLDL-Cを含めた複数のバイオマーカーや身体計測値(身長、体重、BMI、腹囲)等との関係を調べている。その結果、rs17238484の基準遺伝子型(TT)がGT、GGとなるにつれ、LDL-Cが低下すること、またBMIや体重が増加すること、さらに糖尿病リスクも順次増加することが示されている。rs12916においても同様の傾向の結果を示している。 また、メタ解析を行った20のRCTのうち15においては体重の変化に関するデータも取得できており、スタチン対プラセボ、強化治療対通常治療を合わせて比較した場合、前者では0.24kg有意に体重が増加していた。 これらのことより、著者らはスタチンによる体重増加および糖尿病新規発症はHMGCRの機能阻害によるものだと結論付けている。スタチンには以前よりさまざまなpleiotropic effectがあるのではないかと報告されているが、本論文の結論が正しいとすれば、スタチンが糖尿病新規発症を増やしてしまうのはそうしたpleiotropic effectを通じてではなく、スタチンの本来の作用(HMGCR阻害)によるものであるので、将来的にpleiotropic effectがなく、より特異的にHMGCRを阻害する薬物を開発しても問題は解決しないこととなる。 ただ、本論文で取り上げられたSNPが直接体重増加や糖尿病新規発症の原因ではなく他の交絡因子を介している可能性は否定できず、またそもそもなぜHMGCRの機能阻害が体重増加の原因となりうるのか、という点については本論文でも明らかになっていない。したがって、メカニズムとしても今回の解析で完全に明らかになったわけでもない。 とくに、日本で行われたJ-PREDICT試験ではIGT患者に対してピタバスタチンを投与したときの糖尿病発症を前向き介入試験として検証しており、これまで学会等ではピタバスタチン投与によりむしろ糖尿病発症リスクを減少させたことが報告されており、最終的な論文発表および発症抑制のメカニズムについて興味が持たれるところである。 本論文は学術的には興味深い点はいろいろあるものの、心血管イベント発症リスクを考えた場合、スタチンによる糖尿病新規発症がイベント増大リスクに寄与する割合は、スタチンが減らすリスクよりも小さいことが報告されており4)、本論文の結果をもってしても、虚血性心疾患患者もしくはその高リスク者においてスタチンの投与をためらう必要はないと思われる。

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2型糖尿病患者におけるエンパワーメントと治療意思決定支援ツール(decision aids)(解説:住谷 哲 氏)-271

高血糖、高血圧、高コレステロール血症、喫煙のすべてに介入する多因子介入治療(multifactorial approach)が2型糖尿病治療において重要であることは論を俟たない1)。 しかし、この治療が成功するか否かは、患者自身が治療の意義を理解し、多くの治療介入に積極的に参加することに依存している。われわれ医療従事者が患者と向き合うのは診察室におけるごく短時間のみであり、その他の時間はすべて患者の自己管理下にある。この患者の自己管理能力を向上させることで治療を成功に導こうとする考えがエンパワーメント(適切な日本語訳がない)である。 ここでの自己管理能力とは、医療従事者の指示に従うだけではなく、医療従事者との対話を通じて、治療法そのものを自己決定する(shared decision making)ことをも含む広い概念である。本論文は治療意思決定支援ツール(decision aids)が、2型糖尿病患者のエンパワーメントに及ぼす影響を検討したものである。 方法はオランダ北部の18のプライマリケアクリニックに通院中の344例の2型糖尿病患者を通常診療群と治療意思決定支援ツール提供群に無作為に振り分け、1次エンドポイントとしては、治療ゴール達成への意思決定およびゴール達成に対する患者のエンパワーメントの程度をエンパワーメントスコアにより評価した。2次エンドポイントは経過を通じての高血糖、高血圧、高脂血症およびアルブミン尿に対する処方強化および禁煙とした。治療意思決定支援ツールは4つの領域(血糖、血圧、コレステロール、喫煙)から構成されており、それぞれHbA1c<7.0%、収縮期血圧<140mmHg、LDLコレステロール<2.5mmol/L(100mg/dL)、禁煙がゴールに設定されていた。さらに個々の患者のリスクをUKPDS risk engine2)を用いて計算し、たとえば「あなたと同じ年齢、性別の2型糖尿病患者さん100人の中で、16人が今後5年間に心筋梗塞になり、84人は心筋梗塞になりません。しかし、現時点ではあなたが、そのどちらに属しているかはわれわれにはわかりません。」のような説明が提供された。 さらに、4つの領域のいずれがゴール未達成であるか、それに対する治療を受けることによるbenefit およびharm、さらに治療の有効性に関する不確実性についても説明された。探索的検討として、情報提供がパソコンの画面上で提供される群と印刷された紙媒体で提供される群、および詳細情報がすべて提供される群と簡略化された情報が提供される群が2x2要因デザインを用いて比較された。 結果は1次エンドポイントには両群に差を認めなかった。2次エンドポイントについても、紙媒体を用いた治療意思決定支援ツール提供群において高脂血症薬の投与が強化されたのみであった。これらの結果は、2型糖尿病患者に、通常の診療に加えて治療意思決定支援ツールを追加してもエンパワーメントには結びつかないこと示している。しかし、治療意思決定支援ツールによる介入を実際に受けたのが同ツール提供群の46%に過ぎず、結果の解釈には慎重を要する。 世界中で最も多数の患者からの相談を受けている医療従事者はGoogleである、と皮肉まじりにいわれるように医療においてインターネットは必要不可欠になりつつある。もし今回の検討で用いられた治療意思決定支援ツールが有効であったならば、インターネットを通じてすべての2型糖尿病患者に情報が提供され、われわれの日常診療も大きな影響を受けたかもしれない。その点で、今回の結果はわれわれの日常診療の継続に少しの安心感を与えるといえよう。 さらに、論文の主旨とは離れるが、欧米におけるエンパワーメントとわが国のそれとの違いが浮き彫りにされている点も注目してよい。わが国でのエンパワーメントは、「いかにして患者のやる気を引き出すか?」のように情緒的な点に比重が置かれており、具体的な治療目標(HbA1c<7.0%のような数値目標)と、それを達成することによるアウトカム改善のエビデンスとを医療従事者と患者との間で共有したうえでのshared decision makingが行われているとはいい難い状況にある。エンパワーメントもEBMから無縁ではないことを再認識する必要があるだろう。

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62)消費税率を話題に目標血糖値を覚えてもらうコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者消費税が5%から8%に上がって大変です。そんなに経済的に余裕がないのに・・・医師確かにそうですね。今日の検査を見て頂けますか。患者悪くなっているんですか?医師そうですね。血糖値が8%台になりました。合併症予防のための血糖コントロール(HbA1c)の第一目標は7%になります。ちなみに、糖尿病でない人のHbA1cは5%台です患者普通の人が5%で、私が8%ですか。消費税と同じ数字ですね。医師そうですね。値上がりをきっかけに、食品の購入について考えてみてもいいですね。患者確かに。余分なものは買わないようにしないと・・・(気づきの言葉)。●ポイント身近な話題を取り上げて、検査値について復習できるといいですね

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アリスミアのツボ 第4回

Q10治療の必要のない不整脈について、日常生活のアドバイスや指導はどのようにしていますか?何も証拠となる情報はないので……無難な対応で臨んでいます。アドバイスほど難しいものはない「アドバイス」……という言葉にはよいイメージがあります。日本語では「忠告」と訳されることもあり、これはどちらかというと悪いイメージかもしれません。そして、「エデゥケーション(教育)」、「指導」という言葉もあります。これは、どちらかといえば上から下へというイメージでしょうか。こう考えると、患者に対して医師が話す内容は、このうちどれなのでしょう。エビデンスはない実は、治療の必要のない不整脈について、「~すればよくなる」という確固とした証拠は何もありません。ただ、現場には期外収縮の症状に悩まれている患者も数多くいます。「薬がいらないことはよくわかりましたが、この症状はどうすればよくなるのでしょう」、「毎日の生活で気を付けることはありますか」などの質問を頻繁に受けます。相手の気持ちになってこのような質問に対して、「医学的に証明されている日常生活上の工夫はない」というのが学問的には正しいことです。が、社会的には到底受け入れられる回答ではないでしょう。アドバイス、指導は、相手の立場に立って行うからこそ意味のある行為だと感じます。何を隠そう、私自身が心房期外収縮の症状がひどくてつらい時期がありました。だからどうしたというわけではないのですが、「私も期外収縮があってつらかった」ことを伝えると、なぜか多くの患者さんが少しほっとした表情をみせてくれます。そのうえで、「できることはあまりないんですけど、規則的な生活を守って、睡眠不足やストレスを避けることですね。といっても、いつも守れるわけはありませんよね。そうそう、肥満もよくないんですよ……」というような、日常会話をしています。相手も不整脈を持っているということを知ると、同じ土俵に立っていると感じてもらえるのか、それなりに聞いてもらえます。Q11抗不整脈薬がたくさんありすぎて、どれをどの順番で使えばよいのかわからないのですが……。私の場合は、ここ数年かなりシンプルです。抗不整脈薬の投与対象は「発作性心房細動」昔は、さまざまな不整脈に対して抗不整脈薬を使用していました。対象がさまざまなため、それぞれの不整脈ごとに覚えなければいけないことも多かったという記憶があります。しかし、現在は、期外収縮は治療することがほとんどなくなり、上室頻拍、心房粗動など多くの不整脈がカテーテルアブレーションで治癒できるようになり、抗不整脈薬の出番は激減しました。今、私が抗不整脈薬を用いるといったら、そのほとんどは「発作性心房細動」ということになります。抗不整脈薬の薬効は薬によって異なる?昔の私は、少しは異なるのだろうと思っていました。そこで、心房細動を対象としたJ-RHYTHM研究という医師主導型の臨床研究を行った際、アミオダロン以外の抗不整脈薬が多数用いられていたので、サブ分析として薬物別の効果分析をしてみました。そうすると、驚いたことに洞調律が維持される程度(いわゆる薬効)に大きな差がなかったのです。差がないのなら、これほど日本にたくさんの種類の抗不整脈薬はなくてもいいんじゃないかと思ったぐらいですが、日本での歴史に基づいた結果なのでぼやいても仕方ありません。使い慣れた薬物で十分効果に差がなければ、安全性重視ということになるわけです。確かに、抗不整脈薬間で少しずつ安全性が異なるようです。ただ、すべての用量・副作用を記憶しておくわけにもいきません。というわけで、自分が使い慣れた薬物(ということは副作用をよく知っている)、具体的にはピルジカイニド(サンリズム)とフレカイニド(タンボコール)ばかりを使用しています。前者は腎排泄型、後者は肝代謝の要素があり、多くの場合に対処可能です。安全性重視ですから、使用する用量は少なめで開始し、サンリズムは75~100 mg/day、タンボコールは100mg/dayです。効果不十分で安全性に問題なければ、それぞれ倍の用量(これが通常用いられる用量)に増量します。つまり、半量から開始して、問題がなければ通常用量にしているわけです。Q12経口アミオダロンの使い方を教えていただけますか?循環器専門医に任せたほうが無難ですが、ここでも副作用回避が決定的に重要です。アミオダロンだけは他の薬物と異なる抗不整脈薬すべての薬効が似たようなものであれば悩まなくてよいのですが、唯一例外、アミオダロンだけは、他の抗不整脈薬とまったく異なる存在です。明らかに有効性に優れる一方で、致死的な副作用があり、さらにいったん体に入るとなかなか体から抜けにくい……有効性・安全性・薬物代謝のバランス感覚が取りにくい薬物です。なので、どちらかといえば、一般医家は用いないほうがよい、専門医で処方されアミオダロンを継続しなければならない患者でも、アミオダロンに関してだけは専門医に任せたほうがよいと思います。副作用回避を患者と共有するアミオダロンは、致死的な副作用があったとしても、それより重篤な病態を有する患者に対して用います。副作用をできるだけ少なくすることが、この場合に重要なことになりますが、これは医師だけで行うことは難しい……患者の協力を仰ぐほうが効率的です。そこで私のやり方を紹介します。1)アミオダロンの副作用を説明する(1)肺障害、甲状腺障害、肝機能障害があること、(2)とくに肺障害は10%の患者に生じ、致死率10%であること(初期は単なる感冒症状との違いがわからないので受診すること)、(3)3ヵ月に1度は副作用チェックを行うこと、などを説明します。患者が副作用を理解することが、副作用チェックを万全なものにしてくれます。2)初期投与量は400mg/dayを2週間アミオダロンは、総投与量が5gになるまでその薬効を期待しがたいのが実情です。3)2週間後に200mg/dayの通常量に減量副作用回避のために基本的には、3ヵ月ごとに胸部レントゲン、KL-6、甲状腺機能、肝機能、アミオダロン血中濃度を測定することにしています。ただし、KL-6、アミオダロン血中濃度は参考程度にしかなりません。KL-6が間質性肺炎の診断の契機となることは数%でしかなく(診断の契機はほとんど自覚症状かレントゲンです)、アミオダロン血中濃度は効果や副作用に重要な組織中濃度とは異なります(脂溶性薬物のため)。それでも、KL-6やアミオダロン血中濃度の測定は用量減量の契機となることが重要だと思っています。つまり、副作用回避は「常にできるだけ減量を考慮する」が肝です。100mg/dayを目指します。

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61)インスリンの大切さを説明するコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者甘いものが大好きで、なかなか止められなくて・・・医師なるほど。ちょっとイメージしてもらえますか?患者全然、想像ができません。医師それでは、選択肢を出しますね。(1) 5g、(2) 50g、(3) 500gさて、どれでしょう?患者500gだと多そうだから、50gですか?医師残念! 正解は(1) 5gでした。患者えっ、それだけしか血液の中には糖分はないんですか。医師そうなんです。インスリンというホルモンが、この血糖を微妙に調節してくれているんです。患者インスリンって大切なんですね。私はインスリンの出が悪いみたいなので、食べるものにもっと気をつけないといけませんね(気づきの言葉)。●ポイント血液の中の糖分の量をイメージしてもらうことで、インスリンや食事療法の大切さを理解してもらえます●解説人間の血液量は体重の13分の1。65kgの人なら、5L(=65÷13)になります。空腹時の血糖が100mg/dLだとすると、5Lの血液の中には5gのブドウ糖が含まれている計算になります

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GLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用療法のポジショニング(解説:吉岡 成人 氏)-265

2型糖尿病の基本的な病態として、膵β細胞機能が経年的に低下することに対するコンセンサスがこの10年ほどの間で形成され1)、膵β細胞の機能を温存する可能性を持つホルモンとしてGLP-1が脚光を浴び、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬が市場に登場した。確かに、マウスやラットではGLP-1の膵β細胞保護作用が示されているが、ヒトではいまだ確認されていない。 臨床的には発症早期の2型糖尿病患者にGLP-1受容体作動薬を投与すると、持続血糖モニター(CGM)ではわずか2~3日で血糖変動は平坦となることが確認される。しかし、生理的にわずか数分の半減期しか持たないホルモンを、長時間にわたって高く維持することの長期的な安全性や有効性については何の保証もない。 しかも、毎日の外来診療の場でわかることは、GLP-1受容体作動薬を使用している患者の半数以上で、体重減少効果や血糖降下作用が半年から1年で消失してしまうという事実である。治療開始のタイミングや併用薬、さらには、日本人では肥満が少なく、欧米人との2型糖尿病の病態が異なっていることも関係があるのかもしれない。 そのような中で、3~4年前から基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬との併用が話題となり、多くの臨床試験が積み重ねられ、日本でも、GLP-1受容体作動薬であるリキシセナチド(商品名:リキスミア)とリラグルチド(同:ビクトーザ)の基礎インスリンとの併用が保険適適用となっている。 このような背景のもとに、Conrad EngらはGLP-1受容体作動薬と基礎インスリンを併用することの有用性を、無作為化対照比較試験の論文をメタアナリシスすることによって検討している。 検討の対象となった論文には、日本人を対象とした臨床試験も含まれている。基礎インスリン(±SU薬)にリキシセナチドないしはプラセボを併用した試験(対象患者331例)と、基礎インスリンないしは混合インスリン、強化インスリン療法にリラグルチドないしはプラセボを併用した試験(対象患者257例)である。 主要評価項目は血糖コントロール、低血糖、体重の変化の3項目であり、解析の対象となった4,348例のベースラインにおけるHbA1c値(平均)は8.13%、BMI(平均)は32.9、糖尿病の罹病期間(平均)は12.2年であった。 GLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用療法群では、HbA1c値が平均で0.44%(95%信頼区間[CI]:-0.60~-0.29%)低下し、HbA1c値7.0%以下の達成率も多く(相対リスク[RR]:1.92、95%CI:1.43~2.56)、統計学的に有意差が確認されている。また、低血糖の頻度については差がなく(RR:0.99、95%CI:0.76~1.29)、体重は併用療法群で3.22kg(95%CI:-4.90~-1.54kg)、有意差をもって減少したと報告されている。 観察期間は12週から36週、多くは24週前後であり、半年前後の検討ではGLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用による、血糖管理状況の改善、体重減少効果が確認されたこととなる。 しかし、年余にわたる効果については未知数であり、GLP-1受容体作動薬は、製剤間で差はあるものの1本当たりの薬価は7,171円から10,245円であり、1年間使用すると薬価のみで12~18万円にも及ぶ。欧米人ほど肥満患者が多くなく、期待したほどは有用な臨床効果が得られていない日本で、基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬を併用することの有用性、またそのポジショニングについては今後のさらなる検討が必要である。

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ヘテロ型家族性高Chol血症、PCSK9阻害薬追加で改善/Lancet

 ヘテロ型家族性高コレステロール血症(FH)の治療において、PCSK9阻害薬エボロクマブ(AMG 145)の追加により、LDLコレステロール(LDL-C)が迅速かつ大幅に低減することが、南アフリカ共和国・Witwatersrand大学のFrederick J Raal氏らが行ったRUTHERFORD-2試験で示された。本症はLDL-Cの代謝に関与する主要蛋白をコードする遺伝子の変異に起因し、細胞内へのLDL-C取り込み低下、血漿LDL-C濃度上昇、若年性心血管疾患の発症を特徴とする。強化スタチン治療、エゼチミブ併用の有無にかかわらず、多くの患者がLDL-Cの推奨目標値に到達しないという。エボロクマブを含むPCSK9阻害薬の第I/II相試験では、既存のコレステロール低下薬との併用でさらに55~60%の低下効果が確認されていた。Lancet誌オンライン版2014年10月2日号掲載の報告。2種類の用量を4群の無作為化試験で評価 RUTHERFORD-2試験は、ヘテロ型FH患者に対するエボロクマブ治療のLDL-C低下効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18~80歳、Simon Broome基準で本症と診断され、4週以上のスタチン継続投与を受け、空腹時LDL-Cが2.6mmol/L(100mg/dL)以上の患者であった。エゼチミブ、レジン、スタノール、ナイアシンの併用が許容された。 被験者は、エボロクマブ140mgを2週ごとに皮下投与する群、同420mgを1ヵ月ごとに皮下投与する群、プラセボを2週ごとおよび1ヵ月ごとに皮下投与する群に、2対2対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 投与頻度が同じ治療群内(2つの2週投与群、2つの1ヵ月投与群)では、患者、試験関係者、担当医、試験資金を拠出したアムジェン社の担当者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、LDL-Cのベースラインから12週までの変化率および10週と12週における平均値の変化率の複合エンドポイントとした。 2013年2月7日~12月19日までに、オーストラリア、アジア、ヨーロッパ、ニュージーランド、北米、南アフリカの39施設から331例が登録され、エボロクマブ140mg/2週群に111例、プラセボ/2週群に55例、420mg/月群に110例、プラセボ/月群には55例が割り付けられた。治療開始前に脱落した2例(2週投与群の1例ずつ)を除く329例が解析の対象となった。1.8mmol/L(70mg/dL)未満を達成した患者が60%以上に ベースラインの全体の平均年齢は51歳、女性が42%、白人が89%で、冠動脈疾患患者が31%含まれ、LDL-Cの平均値は4.0mmol/L(154mg/dL)であった。全例がスタチン治療を受け、そのうち強化スタチン治療が87%で実施され、エゼチミブの併用は62%で行われていた。 エボロクマブの両用量群ともに、12週時のLDL-Cがプラセボ群に比べ有意に低下した(2週投与群が59.2%の低下、1ヵ月投与群は61.3%の低下、いずれもp<0.0001)。10週と12週時のLDL-Cの平均値にも、同様の有意な改善効果が認められた(それぞれ60.2%、65.6%の低下、いずれもp<0.0001)。 2つの用量のエボロクマブ群はいずれも忍容性が良好で、有害事象の発現率はプラセボ群と同等であった。プラセボ群よりもエボロクマブ群で頻度の高い有害事象のうち、最も高頻度にみられたのは鼻咽頭炎(9%[19例]vs. 5%[5例])であり、次いで筋肉関連有害事象(5%[10例]vs. 1%[1例])であった。 著者は、「エボロクマブの低用量2週投与、高用量1ヵ月投与は、ともに良好な忍容性を示し、いずれも3ヵ月でプラセボに比べLDLコレステロールの約60%の低下をもたらした。また、低用量群の68%、高用量群の63%が1.8mmol/L(70mg/dL)未満を達成した」とまとめ、「これは、治療によってLDLコレステロールが健常者と同程度にまで改善したことを意味する。エボロクマブの効果は、本症の遺伝子変異とは関連しないことが示唆される」と指摘している。

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60)できてますか?体力維持に8千歩以上【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者(高齢で)最近、体力の低下を感じて・・・医師そうですか。ここに歩数と健康指標の関連を示した表があります。デスクワークや家に閉じこもり気味だと2,000~4,000歩くらいしか歩いていないかもしれません。加齢に伴う筋肉の減少を食い止めるためには7,000歩以上、体力を維持するためには8,000歩以上が必要だそうです。。患者なるほど。私は全然足りませんね。医師ところで、歩数計は持っておられますか?患者はい。けど、電池切れで・・・医師それはよかったです。気持ちと電池を入れ替えれば、検査値もよくなると思いますよ。患者はい。歩数計をつけて、頑張って歩いてみます。●ポイント歩数計の携帯を促し、歩数計を用いた運動指導を行う●資料 歩数と健康指標の関係10,000歩 メタボの予防9,000歩 体力低下の予防8,000歩 サルコペニア(筋肉量減少症)の予防7,000歩 骨粗鬆症の予防6,000歩 動脈硬化の予防5,000歩 生活の質(QOL)低下の予防4,000歩 閉じこもり・うつ病の予防(青柳幸利.高齢者の身体活動と健康に関する研究.より改変)

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ビタミンD欠乏患者への高用量VD3、効果みられず/JAMA

 ICU入室のビタミンD欠乏(20ng/mL以下)重病患者に対し、高用量ビタミンD3の投与はプラセボと比較して、入院期間、院内死亡率または6ヵ月死亡率を低減しなかったことが明らかにされた。オーストリア・グラーツ医科大学のKarin Amrein氏らが無作為化試験「VITdAL-ICU」の結果、報告した。12ng/mL以下の重度ビタミンD欠乏患者では、院内死亡率の低下がみられたが、この所見については、さらなる検討を要するものではないと著者は結論している。重病患者のビタミンD値低下は死亡率、罹患率増大に結び付くが、因果関係があるのかについては明らかにされていなかった。JAMA誌2014年10月15日号掲載の報告より。ビタミンD欠乏重症例へ、ビタミンD3vs. プラセボ VITdAL-ICUは無作為化二重盲検プラセボ対照の単施設試験で、ICU入室患者に対する、ビタミンD値の回復と正常値維持を目的としたビタミンD3投与レジメンがベネフィットをもたらすのかについて、6ヵ月間にわたって検討された。2010年5月~2012年9月に5施設のICUで行われ、被験者は、白人成人でビタミンD欠乏(20ng/mL以下)の重病患者492例であった。 249例がビタミンD3投与群に、243例がプラセボ投与群に割り付けられ、経口または鼻腔栄養チューブで、54万IU1回投与を受けた後、月に1回9万IUの投与を5ヵ月間にわたって受けた。 主要アウトカムは、入院期間であった。副次アウトカムは、ICU入室期間、7日時点でビタミンD値が30ng/mL超となった患者の割合、院内死亡率、6ヵ月死亡率などであった。なお、重度ビタミンD欠乏(12ng/mL以下)群についてのサブグループ解析が事前規定されていた。入院期間、院内死亡率、6ヵ月死亡率、有意差なし 最終解析には475例が組み込まれた(ビタミンD3群237例、プラセボ群238例)。 結果、入院期間の中央値(IQR)について両群で有意差はみられなかった(20.1日vs. 19.3日、p=0.98)。また、院内死亡率(28.3%vs. 35.3%、ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間:0.58~1.11、p=0.18)、6ヵ月死亡率(35.0%vs. 42.9%、HR:0.78、同:0.58~1.04、p=0.09)についても、有意差はみられなかった。 重度ビタミンD欠乏群のサブグループ解析(200例)では、入院期間の両群間の有意差はみられなかった(20.1日vs. 19.0日)が、院内死亡率は、ビタミンD3群のほうが有意な低下がみられた(28/98例[28.6%]vs. 47/102例[46.1%]、HR:0.56、95%CI:0.35~0.90、相互作用p=0.04)。しかし、6ヵ月死亡率の有意差は認められなかった(34.7%vs. 50.0%、HR:0.60、95%CI:0.39~0.93、相互作用p=0.12)。

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1型糖尿病へのインスリン、長時間型 vs. 中時間型/BMJ

 成人1型糖尿病向けには、長時間作用型(持効型溶解)インスリンが中時間作用型(中間型)インスリンに比べ、血糖コントロール効果が高く、重度低血糖症といった有害事象も少なく、有効性、安全性に優れることが示された。ただし、HbA1c値の差はわずかであった。カナダのセント・マイケルズ病院Andrea C. Tricco氏らが、39件の試験について行ったシステマティック・レビューとネットワーク・メタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は「患者および担当医は、インスリン製剤の選択を、好み、コストそして入手のしやすさで見直すべきであろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年10月1日号掲載の報告より。2013年1月までの無作為化試験やコホート試験などを再調査 研究グループは、Medline、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどを基に、2013年1月までに発表された成人1型糖尿病向けの持効型溶解インスリン(グラルギン、デテミル)と、中間型インスリン(NPH、レンテ)に関する無作為化試験やコホート試験、費用対効果を検討した試験について、システマチック・レビューとネットワーク・メタ解析を行った。 両者の安全性、有効性、費用対効果について比較した。持効型はNPH 1日1回と比べてHbA1c値を有意に低下 6,501件の試験タイトルや抄録、190試験の論文全文をスクリーニングにかけ、39試験について分析を行った。そのうち、無作為化試験は27件(被験者総数:7,496例)だった。 ネットワーク・メタ解析の結果、グラルギン(1日1回)、デテミル(1日1回)、デテミル(1日1~2回)の投与は、NPH(1日1回)の投与に比べてHbA1c値を有意に低下した。無作為化試験26件を含んだ同解析における平均差はそれぞれ-0.39%、-0.26%、-0.36%だった。 重度低血糖症については、無作為化試験16件を含む同解析の結果、デテミル(1日1~2回)がNPH(1日1~2回)に比べ、発症リスクが有意に低かった(オッズ比:0.62、95%信頼区間:0.42~0.91)。 体重増については、無作為化試験13件を含む同解析の結果、デテミル(1日1回)はNPH(1日1~2回)に比べ増加幅が大きかった(平均差:4.04kg)。一方で、デテミル(1日1~2回)vs. NPH(1日1回)、またグラルギン(1日1回)vs. NPH(1日1回)では、いずれもNPH群の体重増加幅が大きかった(それぞれの平均差:-5.51kg、-5.14kg)。 費用対効果については、14件のデテミルvs. NPH試験のうち3件でデテミルが、8件のグラルギンvs. NPH試験のうち2件でグラルギンが、費用対効果が高いという結果であった。費用対効果の解析からは、デテミルとグラルギンはNPHよりも費用が高く、効果も優れるというものだった。またグラルギンvs. デテミルの費用対効果は検討した2試験ともグラルギンのほうが優れないというものだった。

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