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エボロクマブのプラーク退縮、AHAで発表:アムジェン

 アムジェン社は2016年11月15日、冠動脈疾患(CAD)患者に対して最適用量のスタチン療法にエボロクマブ(商品名:レパーサ)を上乗せした結果、統計学的に有意なアテローム性動脈硬化の退縮が確認されたことを発表した。この第III相プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(GLAGOV試験)の結果は、2016年米国心臓学会議(AHA)学術集会での発表と同時に、Journal of the American Medical Association(JAMA)誌にも掲載された。 GLAGOV試験では、サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤エボロクマブの、最適用量のスタチン療法を受けている患者に対する冠動脈のアテローム性プラーク進展への影響をベースラインおよび78週目の血管内超音波(IVUS)測定により検証した。 この試験は主要評価項目を達成し、エボロクマブの治療が、動脈血管内に占めるプラークの割合であるアテローム体積率(PAV:Percent Atheroma Volume)をベースライン時から統計学的に有意に減少することを明らかにした。 最適用量スタチン+エボロクマブ(エボロクマブ群)ではPAVがベースラインに対し0.95%の減少が認められたが、最適用量スタチン+プラセボ群では0.05%の増加が認められた(エボロクマブ群:p<0.0001、プラセボ群:p=0.78)。投与群間で統計的に有意な差が認められた(p<0.0001)。さらに、エボロクマブ群ではプラセボ(プラセボ群)と比較し、より多くの患者でPAVの退縮が認められた(エボロクマブ群:64.3%、プラセボ群:47.3%、p<0.0001)。 プラーク量測定のもう1つの基準である標準化した総アテローム体積(TAV:Total Atheroma Volume)の減少ついては、エボロクマブ群で平均5.8mm3、プラセボ群では0.9mm3で(エボロクマブ群:p<0.0001、プラセボ群:p=0.45)、2群間で統計的に有意な差が認められた(p<0.0001)。 ベースラインでは、いずれの群でも患者の平均LDL-C値は92.5mg/dLであり、両群で98%の患者が高用量から中用量のスタチン療法を受けていた。78週間の治療期間中、エボロクマブ群のLDL-C値の時間加重平均は36.6mg/dLで、プラセボ群の93.0mg/dLと比較し59.8%の低下が認められた。78週目において、エボロクマブ群の平均LDL-C値は29mg/dLで、プラセボ群が90mg/dLを示したのに対し、ベースラインから68.0%低下を認めた。  この試験では、安全性に関する新たな所見は認められなかった。治療中の有害事象の発現率は両群で同等であった(エボロクマブ群:67.9%、プラセボ群:79.8%)。本試験で検討された臨床的に重要な有害事象は筋肉痛(エボロクマブ群:7.0%、プラセボ群:5.8%)、新たに診断された糖尿病(エボロクマブ群:3.6%、プラセボ群:3.7%)、神経認知機能関連の事象(エボロクマブ群:1.4%、プラセボ群:1.2%)、注射部位反応(エボロクマブ群:0.4%、プラセボ群:0.0%)であった。 GLAGOV試験では結合抗体はほとんど認められず(エボロクマブ群:0.2%[1例])、中和抗体は検出されなかった。 また、心血管イベントへの影響を評価する目的では設計されていないものの、明確に主要心血管イベントと判定された事象の発現率はエボロクマブ群で12.2%、プラセボ群で15.3%であった。判定された事象の多くは、冠動脈血行再生術(エボロクマブ群:10.3%、プラセボ群:13.6%)、心筋梗塞(エボロクマブ群:2.1%、プラセボ群:2.9%)、その他の判定された心血管イベントの発現率はいずれの治療群でも0.8%以下であった。GLAGOV試験について GLAGOV(GLobal Assessment of Plaque ReGression with a PCSK9 AntibOdy as Measured by IntraVascular Ultrasound)試験は、臨床的に冠動脈造影が必要とされている最適用量のスタチン治療中の患者968例を対象に、冠動脈疾患における動脈硬化(プラーク)に対するエボロクマブの効果を評価するため設計された。患者は、最低4週間継続して定用量のスタチン療法を受けており、LDL-C80mg/dL以上か、60~80mg/dL の場合は、1件の重要な心血管リスク要因(冠動脈以外のアテローム性血管疾患、直前2年間における心筋梗塞または不安定狭心症による入院、もしくは2型糖尿病と定義)または3件の軽微な心血管リスク要因(現在喫煙している者、高血圧、HDLコレステロール低値、若年性冠動脈疾患の家族歴、2mg/dL以上の高感度C反応性タンパク質、50歳以上の男性、55歳以上の女性)があることが要件であった。被験者は、エボロクマブ420mg月1回またはプラセボに1:1で割り付けられた。最適用量のスタチン療法の定義は、20mg/日以上相当のアトルバスタチンを投与し、ガイドラインに沿ってLDL-Cを低下させられる投与用量とした。主要評価項目は、IVUS測定による、プラセボと比較した78週目におけるPAVのベースラインからの変化率。副次的評価項目は、PAVの減少(ベースラインからのすべての減少)、78週目におけるTAVのベースラインからの変化、およびTAVの減少(ベースラインからのすべての減少)であった。(ケアネット 細田 雅之)原著論文はこちらNicholls SJ, et al.JAMA. 2016 Nov 15. [Epub ahead of print]参考アムジェン社(米国):ニュースリリースGLAGOV試験(ClinicalTrials.gov)

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左冠動脈主幹部病変、PCIよりCABGが予後良好/Lancet

 左冠動脈主幹部病変の治療では、冠動脈バイパス術(CABG)が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも良好な予後をもたらす可能性があることが、フィンランド・オウル大学病院のTimo Makikallio氏らが行ったNOBLE試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年10月31日号に掲載された。欧州では、従来、非保護左主幹部病変の標準的な血行再建術はCABGであるが、最近はPCIの使用が急増している。欧州心臓病学会(ESC)の現行ガイドラインでは、左主幹部病変や非複雑病変、非びまん性病変にはPCIが推奨されているが、その論拠とされる試験は症例数が少なく、最良の治療を決めるには検出力が十分でないという。約1,200例が参加したPCIの非劣性試験 NOBLEは、非保護左主幹部病変を有する患者において、薬剤溶出ステントを用いたPCIのCABGに対する非劣性を検証する非盲検無作為化試験(デンマーク・オーフス大学病院などの助成による)。 対象は、冠動脈造影で視覚的な狭窄度≧50%または冠動脈の入口部、midshaft、分岐部の冠血流予備量比≦0.80の病変を有する安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞の患者であった。 主要評価項目は、主要な心脳血管有害事象(MACCE)の複合エンドポイント(全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術、脳卒中)であった。非劣性マージンは1.35とした。 2008年12月9日~2015年1月21日までに、欧州9ヵ国36施設に1,201例が登録され、PCI群に598例、CABG群には603例が割り付けられた。両群とも592例ずつがITT解析の対象となった。全死因死亡に差はないが、5年MACCE発生率が高い ベースラインの平均年齢は、PCI群が66.2歳(SD 9.9)、CABG群は66.2歳(9.4)で、女性がそれぞれ20%、24%(p=0.0902)を占め、糖尿病を有する患者が両群とも15%含まれた。logistic EUROSCOREは両群とも2(IQR:2~4)、SYNTAXスコアはそれぞれ22.4(SD 7.8)、22.3(7.4)であった。 Kaplan-Meier法による5年MACCE発生率は、PCI群が29%(121イベント)、CABG群は19%(81イベント)で、HRは1.48(95%CI:1.11~1.96)であり、CABG群のPCI群に対する優越性が確認された(p=0.0066)。 全死因死亡の5年発生率には有意な差はなかった(PCI群:12% vs.CABG群:9%、HR:1.07、0.67~1.72、p=0.77)が、手技に伴わない心筋梗塞(7 vs.2%、2.88、1.40~5.90、p=0.0040)および血行再建術(16 vs.10%、1.50、1.04~2.17、p=0.032)はPCI群で有意に多く、脳卒中(5 vs.2%、2.25、0.93~5.48、p=0.073)はPCI群で多い傾向がみられた。 1年MACCE発生率は、2つの群で同じであり(7 vs.7%、リスク差:0.0、95%CI:-2.9~2.9、p=1.00)、両群間の差は1年以降に生じていた。1年時の全死因死亡(p=0.11)、手技に伴わない心筋梗塞(p=0.49)、血行再建術(p=0.27)、脳卒中(p=0.16)にも差は認めなかった。 著者は、「これらの知見は、SYNTAX試験の左主幹部病変例とPRECOMBAT試験のメタ解析の結果(5年MACCE発生率、PCI群:28.3% vs. CABG群:23.0%、p=0.045)を追認するものである」としている。

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糖尿病患者の喫煙の恐さ

糖尿病患者がタバコを吸っていると死亡リスクが1.6倍に【対象】糖尿病患者113万2,700例禁煙すればリスクは下がる! 死亡する確率1.551.191.00非喫煙者喫煙者元喫煙者(禁煙した人)糖尿病患者と死亡リスクを研究した89研究の統合相対リスクPan A, et al. Circulation. 2015;132:1795-804.より作図Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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生体吸収性スキャフォールド、3年で血管運動は回復したのか/Lancet

 冠動脈狭窄患者の治療において、エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(Absorb)はエベロリムス溶出金属ステント(Xience)と比較して、力学特性の指標である、血管運動の回復の結果としての内腔径の増加に寄与しないことが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのPatrick W Serruys氏らが進めるABSORB II試験の中期的な検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年10月30日号に掲載された。循環器インターベンション医にとって、務めを終えたら消え去る一過性のスキャフォールドは、長い間の夢だという。生理学的には、固い金属製のケージがなければ、血管運動の堅調さや適応性のあるずり応力、遠隔期の内腔拡張などの回復が促進される可能性がある。約500例の3年時の解析結果 ABSORB IIは、生体吸収性スキャフォールドの導入を支持するエビデンスに基づくデータを生成することで、この技術の付加的な価値を評価する単盲検実対照比較試験(Abbott Vascular社の助成による)。今回は、3年時の中期的な解析の結果が発表された。 対象は、年齢18~85歳、心筋虚血および異なる心外膜血管に1または2個の新たな自然病変が確認された患者であった。被験者は、AbsorbまたはXienceを留置する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 複合主要エンドポイントは、3年時の硝酸塩の冠動脈内投与後の冠動脈造影による血管運動反応性(投与前後の平均内腔径の変化)の優越性と、冠動脈造影による遠隔期損失径の非劣性(非劣性マージン:0.14mm)であった。 2011年11月28日~2013年6月4日までに、欧州とニュージーランドの46施設に501例が登録され、Absorb群に335例(364病変)、Xience群には166例(182病変)が割り付けられた。抗血小板薬2剤併用の長期投与が今後の研究トピックに ベースラインの平均年齢は、Absorb群が61.5歳(SD 10.0)、Xience群は60.9歳(10.0)、女性がそれぞれ24%、20%含まれた。糖尿病は両群とも24%にみられ、安定狭心症は両群とも64%、不安定狭心症はそれぞれ20%、22%であり、一枝病変が83%、85%を占めた。 3年時の血管運動反応性は両群間に有意な差を認めず(Absorb群:0.047mm[SD 0.109] vs.Xience群:0.056mm[0.117]、優越性検定p=0.49)、遠隔期損失径はAbsorb群のほうが大きい(0.37mm[0.45] vs.0.25mm[0.25]、非劣性検定p=0.78)という結果であり、複合主要エンドポイントは達成されなかった。この内腔径の差は、最小血管面積の血管内エコー検査で確定された(4.32mm2[SD 1.48] vs.5.38 mm2[1.51]、p<0.0001)。 患者志向の副次エンドポイントであるシアトル狭心症質問票(狭心症の頻度・安定性、身体機能制限、QOL、治療満足度)に「狭心症なしの患者数」を加えた指標、および運動負荷試験は、両群間に有意な差を認めなかった。 一方、デバイス志向の複合エンドポイント(心臓死、標的血管心筋梗塞、臨床的に標的領域の血行再建を要する場合)はAbsorb群で有意に高頻度であり(10% vs.5%、ハザード比[HR]:2.17、95%信頼区間[CI]:1.01~4.69、log-rank検定p=0.0425)、この差には主に周術期心筋梗塞(4 vs.1%、p=0.16)を含む標的血管心筋梗塞(6 vs.1%、p=0.0108)が寄与していた。 著者は、「今後の研究では、デバイスのサイズの決定やスキャフォールド留置術の最適化における血管内画像法の臨床的インパクトを検討すべきであり、留置後の長期の抗血小板薬2剤併用療法のベネフィットと必要性の検討もトピックとなるだろう」と指摘している。

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145)血圧測定では、話さず、動かず、静粛に!【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師それでは、血圧を測定しますね。 患者はい。ちょっと急いできたから、血圧が上がっているかもしれません。 医師(カフを巻きながら)そうですか。 患者先生、昨日、食べ過ぎたので…血圧が上がっているかも…。 医師……(血圧を徐々に上げる)。 患者それに、最近、運動していないし…(話し続ける)。 医師Aさん、喋ると血圧は高めに出ますよ(身振り・手振りを加えながら)。 患者えっ、そうなんですか。黙ってます(驚いた顔)。●ポイント静かな環境で、会話をせずに血圧を測定することの必要性を説明します参考資料1)『高血圧治療ガイドライン2014』(Minds ガイドラインセンター)

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侮ってはいけない糖尿病網膜症とそのリスク

 糖尿病を発症した患者は、血糖コントロールや食事制限には意識的に取り組むが、網膜症のリスクがあることにはどれだけ自覚的だろうか。今月2日、都内で「糖尿病網膜症をとりまく日本の患者・医療の実態」と題したプレスセミナーが開かれた(主催:バイエル薬品株式会社)。14日は世界糖尿病デーであり、制定から10周年となる今年のテーマは“Eyes on Diabetes(糖尿病を見る眼)”。網膜症をはじめとする眼合併症のスクリーニング検査の重要性について、世界的に啓発が行われている中、セミナーに登壇した川崎 良氏(山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生学講座准教授)は、「糖尿病治療に当たる医師と眼科医の速やかかつ継続的な連携が、糖尿病網膜症の早期発見と治療には重要だ」と強調した。DRへの分かれ道、HbA1c7.0%以上で高リスク 糖尿病網膜症(Diabetic Retinopathy:DR)は、腎症や神経障害とともに糖尿病が誘引する細小血管の三大合併症の1つで、国内における視覚障害者認定の原因疾患の第2位であり、中高年層に限定するとDRが最も多い原因疾患である。川崎氏によると、DRは自覚症状なく進行しやすいのが特徴であり、糖尿病発症から数年経過して、視覚に歪みやみえない部分が現れたり、急激な視力低下が確認されたりするころには、かなり進行した段階である場合が多いという。 糖尿病患者が必ずしも網膜症を併発するわけではないが、糖尿病患者のうち3割強が何らかの網膜症を発症していると考えられ、その発症率とリスクは侮れない。では、DRを発症しやすいのはどんな患者だろうか。川崎氏によると、糖尿病歴が長く、血糖値や血圧のコントロールが不良なケースでDRを発症しやすく、なかでもHbA1cが7.0%以上になると発症リスクが高まるだけでなく、のちに重症化(増殖糖尿病網膜症などに進行)しやすくなるのだという。糖尿病治療イコールDR治療ではない 糖尿病患者にとって、HbA1cや血糖値のコントロールは当たり前だろう。しかし、その管理が網膜症予防と密接に関係するという認識は、どれほど浸透しているのだろうか。 セミナーでは、先般IDF(国際糖尿病連合)など、3つの国際機関が協力して世界41ヵ国で行った糖尿病に伴う眼疾患に関する調査(DRバロメータープロジェクト)の、日本における調査結果も紹介された。それによると、日本国内の糖尿病患者(n=77)を対象に糖尿病合併症として認知している項目を尋ねたところ、「失明・視力障害」を挙げた人は82%に上り、「下肢潰瘍」や「腎疾患」などを抑えて最も多かった。一方で、「過去1年以内に眼科検診を受診」したかどうかを尋ねたところ、受診していた人は51%にとどまっていたことが明らかになった。眼疾患のリスクを大多数が認識しつつも、なぜ半数が受診に結び付いていないのか。同調査で、その主な理由として挙がったのは、「受診時の待ち時間の長さ」(34.3%)や「高額な検査費用」(31.3%)である。 初診料や受診時間を理由に、複数科の受診を敬遠する患者は少なくない。しかし、当然ながら糖尿病治療をいくら行っても、DRを治療したことにはならない。川崎氏は、「DRが進行すればその症状は不可逆的であり、糖尿病治療とは切り離して眼科治療を受けなければならないという認識を持ってもらうために、患者に必要な情報提供は、糖尿病治療に当たる医療者が責任を持って担わなければならない」と述べた。

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日本糖尿病学会 中国四国地方会:ワークショップ 「輝け!女性糖尿病医」を開催[11月11日(金)]

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」は、第54回中国四国地方会[2016年11月11日(金)~12日(土)]内でワークショップ 「輝け!女性糖尿病医」 を開催する。ワークショップ 「輝け!女性糖尿病医」開催概要【日時】2016年11月11日(金) 10:10~11:40【会場】高知県立県民文化ホール 1F グリーンホール(第54回中国四国地方会 : B会場)【座長】藤川 るみ氏 (グランドタワーメディカルコートライフケアクリニック)【講演】●女性医師を取り巻く社会の変化 ~地方からの視点~ 井上 眞理氏 (南国いのうえクリニック)●キャリアをいきる・いかす医師になる ~女性医師の自己肯定力を高めよう~ 岡崎 瑞穂 氏 (高知大学医学部 検査部)【パネルディスカッション】●キャリア継続のために出来ることは何か ・座長   藤川 るみ 氏 (グランドタワーメディカルコートライフケアクリニック) ・パネリスト   井上 眞理 氏 (南国いのうえクリニック)   岡崎 瑞穂 氏 (高知大学医学部 検査部)   谷澤 幸生 氏 (山口大学大学院医学系研究科 病態制御内科学講座)【主催】 日本糖尿病学会(女性糖尿病医をpromoteする委員会)【共催】 日本医師会 また、同ホームページ内「女性糖尿病医サポートの取り組み」では、同ワークショップ開催にあたって「企画者からのメッセージ」を掲載しており、以下「関連リンク」より閲覧が可能となっている。関連リンク第54回中国四国地方会[2016年11月11日(金)~12日(土)](日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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144)10年後、あなたが脳卒中になる確率は?【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、脳卒中が心配なんですが…。 医師それでは10年間で脳卒中を発症する確率がどのくらいになるか、計算してみましょうか。 患者よろしくお願いします。 医師年齢(63歳)、性別(男性)、それとタバコは吸っていますか? 患者はい。吸っています。身体には悪いとはわかっているんですが…。 医師肥満度(BMI)はいくつですか?なるほど、26.7ですね。糖尿病があって…血圧はいくつでしたか? 患者上の血圧が140mmHg台で、下の血圧が90mmHg台です。 医師そうすると、10年間で脳卒中を発症する確率は「27.4%」になりますね。 患者えっ、そんなに高いんですか! 医師安心してください。年齢や性別は変えられませんが、体重、血圧、血糖、そして喫煙習慣は変えることができます。血圧と血糖をしっかり管理して、体重を5~6kgくらい減らして、タバコを止めれば、そのリスクは「7.8%」と3分の1以下になります。 患者なるほど。頑張って生活習慣の改善に取り組みます。●ポイント生活習慣の改善(減量と禁煙)と血圧管理で、リスクを下げることを説明します1)Yatsuya H, et al. Stroke. 2013;44:1295-1302.参考資料1)脳卒中リスクチェック(がんリスクチェック「国立がん研究センター予防研究グループ」)

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GLP-1アナログ製剤で乳がんリスクは増大するか/BMJ

 英国のプライマリケアデータベースを用いたコホート研究の結果、GLP-1アナログ製剤の使用と乳がんリスク上昇との関連性は確認されなかった。カナダ・Jewish General HospitalのBlanaid M Hicks氏らが、2型糖尿病患者の乳がん発症リスクとDPP-4阻害薬あるいはGLP-1アナログ製剤の使用との関連を解析し、報告したもの。GLP-1アナログ製剤のリラグルチドでは、無作為化試験においてプラセボと比較し乳がん発症が多くみられたことが報告されていたが、この安全性について分析する観察研究は、これまでなかった。著者は、「検討では、使用期間2~3年ではリスク上昇が観察されたが、GLP-1アナログ製剤使用患者の乳がん検出率が一時的に増加したためと考えられる。ただし、発がんプロモーターの影響を排除することはできない」と述べている。BMJ誌2016年10月20日号掲載の報告。DPP-4阻害薬またはGLP-1アナログ製剤を投与された約4万5,000例について解析 研究グループは、英国のプライマリケアの診療記録が登録されたClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用い、1988年1月1日~2015年3月31日の間に非インスリン血糖降下薬を初めて処方された(初回処方以前に最低1年の治療歴があること)40歳以上の女性を特定し、このうち2007年1月1日~2015年3月31日にインクレチン製剤の投与が開始され1年以上記録のある4万4,984例を対象に、2016年3月31日まで追跡した。 解析には時間依存型Cox比例ハザードモデルを用い、DPP-4阻害薬(シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン)使用とGLP-1アナログ製剤(エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド)使用による、乳がん発症について比較した。DPP-4阻害薬と比べGLP-1アナログ製剤で乳がんリスクの増大は確認されず 平均追跡期間3.5年(標準偏差2.2年)において、549件の乳がん発症が認められた(粗発生率3.5/1,000人年、95%信頼区間[CI]:3.3~3.8)。 DPP-4阻害薬使用患者と比較し、GLP-1アナログ製剤使用患者で乳がんリスクの上昇は認められなかった(発生率はそれぞれ1,000人年当たり4.4 vs.3.4、ハザード比[HR]:1.40、95%CI:0.91~2.16)。HRは使用期間が長いほど増大し、GLP-1アナログ製剤累積使用期間が2~3年で最も高値を示した(HR:2.66、95%CI:1.32~5.38)。しかし、3年超ではその傾向は消失した(HR:0.98、95%CI:0.24~4.03)。GLP-1アナログ製剤の初回使用からの経過期間別の解析でも、同様の傾向が確認された。 なお、著者は今回の結果について、「乳がんの家族歴などの残余交絡因子や、追跡期間が短いといった点で限定的なものである」と指摘している。

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網膜中心動脈閉塞の発症に大気汚染が関連

 網膜中心動脈閉塞(CRAO)の発症に、環境大気汚染が関連していることが示唆された。台湾・国立陽明大学のHui-Chen Cheng氏らが行った地域住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、とくに糖尿病、高血圧患者および65歳以上の高齢者では、大気汚染とCRAO発症リスク増加との間に有意な関連が認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月13日号掲載の報告。 研究グループは、台湾の国民健康保険に登録されたすべての受益者から無作為に選択した100万例のデータベースを用い、2001~13年にCRAOと新規に診断された患者を特定した。そして、これらの患者の居住地近くにある大気汚染物質の測定局で記録された粒子状物質≦2.5μm(PM2.5)、粒子状物質≦10μm(PM10)、二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)およびオゾン(O3)濃度を調べた。対応する測定局のない患者は解析から除外した。 時間層別化症例クロスオーバー試験デザインと条件付きロジスティック回帰分析を用い、CRAOの発症リスクと各イベントの前後における大気汚染物質の濃度との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・CRAO患者は96例であった(平均年齢65.6歳[標準偏差12.7歳]、男性67.7%)。・NO2濃度が1ppb増加した後の5日間に、CRAOの発症リスクが有意に増加した(OR:1.09、95%CI:1.01~1.17、p=0.03)。・複数の汚染物質で調整後、糖尿病患者においてNO2濃度上昇の4日後(OR:1.40、95%CI:1.05~1.87、p=0.02)から5日後(OR:2.16、95%CI:1.10~4.23、p=0.03)のCRAO発症リスク増加が最も顕著であった。・高血圧患者および65歳以上の高齢者でも、SO2濃度上昇1日後にCRAO発症リスクが有意に増加した(それぞれOR:1.88、95%CI:1.07~3.29、p=0.03およびOR:1.90、95%CI:1.13~3.21、p=0.02)。・PM2.5、PM10およびO3を含む他の大気汚染物質の一時的な濃度は、CRAOの発症に有意な影響を及ぼさなかった。

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前向きになるインスリン導入への対話術

 10月19日、日本イーライリリー株式会社と日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、都内においてインスリン治療に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、2型糖尿病のインスリン治療に対する医師と患者の意識調査報告や、インスリン導入に向けた患者との対話術などが講演された。89.2%の患者が「現状の治療でよい(インスリン不要)」と回答 はじめに「インスリン治療に対する医師と患者の意識調査」について、森 貞好氏(日本イーライリリー株式会社 糖尿病・成長ホルモン事業本部 製品企画部長)より説明が行われた。調査は、本年8月に全国の医師173名、2型糖尿病患者(インスリン治療中も含む)198名にインターネットで行われたもの。 「インスリン未治療の患者(n=148)に対し、現在のインスリン治療の考え」を質問したところ、89.2%の患者が「わざわざインスリンを始めなくても、今の治療のままで大丈夫だ」と回答しているほか、「今よりも治療費が高くなる(83.8%)」、「注射の時間や回数に合わせて生活を変えなければならない(83.1%)」、「一度打ったら一生打ち続けなければならない(81.1%)」などインスリン治療に対し、ネガティブな回答が寄せられた。 「医師(n=173)が患者にインスリン治療を提案する際に困ること」では、「治療の必要性を理解してくれない(59.5%)」、「説明する時間が取れない(48.0%)」、「真剣に治療を検討してくれない(30.1%)」という回答だった。 「インスリン治療について医師に相談してみたいと思うことはあったか」の問いには、インスリン未治療の患者(n=174)で「思ったことはない(81.1%)」、インスリン治療中の患者(n=50)で「思ったことはない(46.0%)」と回答に開きがあった。 以上から、インスリン治療に対し、多くの患者に切迫感がなく、注射への負のイメージの先行、治療必要性の無理解が読み取れた。 最後に森氏は、「今後は、患者が治療に前向きに取り組めるよう、個々の患者の意向やその理由について問いかけられるように医師と患者のコミュニケーションが重要」と示唆を述べた。医療者がいかに患者の不安を取り除くかが、導入のカギ 次に石井 均氏(奈良県立医科大学 糖尿病学講座 教授)が、「前向きにインスリン治療に取り組むための患者と医師のコミュニケーション」をテーマに講演を行った。 インスリンが発見され、糖尿病の治療に使用されるまでを振り返るとともに、インスリン治療の重要性をDCCT、UKPDSなどの大規模試験を例に説明、インスリン治療の開始が早いほど、目標血糖値に迅速かつ確実に到達できると説明した。とくに2型糖尿病では、糖尿病の前段階で動脈硬化が起こっていると予想され、糖尿病の診断の段階で膵β細胞機能は50%程度になっていることから、重ねて早期導入の重要性を訴えた。 石井氏らが研究したDAWN JAPAN STUDYで「医師が考えるインスリン導入のタイミング調査」によれば、医師が糖尿病患者であったならばHbA1cが7.7%で導入を考え、自分の糖尿病患者へはHbA1cが8.3%で導入を考えるとしている。しかし、実際の導入はHbA1cが9.2%になってからという遅れた結果であった1)。また、2型糖尿病患者では、導入を勧められた場合、70~85%の患者が抵抗感を抱き、導入開始の引き延ばしがみられ、インスリンが手放せない1型糖尿病でもなかなかその事実を受け止められない患者では、インスリン注射の省略や注射をしないことでのケトアシドーシスもみられた。 そして、インスリン治療に対する患者心理としては、血糖コントロールが良くなるという正のイメージがある反面、注射への恐怖など注射に対する負のイメージ、他人に知られるのが嫌だという社会的・対人的影響、病状悪化への自己管理の後悔(罪悪感)、低血糖が怖いなどの治療への負のイメージなどに大別されるという2)。 こうした患者の気持ちをいかに変化させるかが重要となるが、「それには医療者が諦めずに説明を続けることが大切だ」と石井氏は述べる。たとえば先述のDAWN JAPAN STUDYによれば、インスリン導入をまったく考えていない患者でも6ヵ月以内に約30%がインスリン治療を開始するなど、医療側から患者の心理的抵抗を克服することが大切だという。そのためにも製薬メーカーから出されている説明資材をうまく活用し、患者がインスリン治療に前向きに進んでいくことができるように、患者の心の不安を取り除き、患者として生きていくことへの不安を和らげる必要性があると指摘する。 最後に石井氏は、「医療者は、新しい医療技術を患者に手渡しする仲介者であり、患者の声を聴く、続ける、待つ、不安を鎮めることを実行しつつ、新しい技術を患者に渡していかなければならない」とレクチャーを結んだ。(ケアネット 稲川 進)参考文献1)Ishii H, et al. PLoS One. 2012;7:e36361.2)Odawara M, et al. Curr Med Res Opin. 2016;32:681-686.関連リンク2型糖尿病のインスリン治療に関する医師と患者さんへの意識調査(PDF)前向き!~患者さんの「前向きなインスリン治療開始」のために~(PDF)【特集】糖尿病 外来インスリン療法

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LDL-C低下に関与する遺伝子変異は2型糖尿病のリスク増加と関連(解説:小川 大輔 氏)-606

 脂質異常症の治療としてスタチン薬が動脈硬化性疾患の予防のために用いられることが多いが、これまでにスタチン薬の使用は体重増加や2型糖尿病の新規発症と関連することが報告されている1)。一方、LDLコレステロールトランスポーターNiemann-Pick C1-Like 1(NPC1L1)の阻害薬であるエゼチミブの糖代謝に対する影響については不明である。今回、LDLコレステロールの低下に関与するNPC1L1遺伝子の変異と2型糖尿病の発症リスク増加との関連が報告された。 この研究は、1991年から2016年にかけて欧州および米国で実施された3つの遺伝子関連研究からデータを収集し、2型糖尿病患者5万775例とその対照群27万269例、冠動脈疾患患者6万801例とその対照群12万3,504例が組み込まれた。そして、LDLコレステロール低下に関連する遺伝子変異と2型糖尿病、冠動脈疾患との関連をメタ解析で検討が行われた。 その結果、NPC1L1遺伝子変異は2型糖尿病と正の相関を示し、冠動脈疾患とは逆相関を示した(LDLコレステロール 1mmol/L[38.7mg/dL]低下当たりのオッズ比はそれぞれ2.42[p<0.001]、0.61[p=0.008])。 また、NPC1L1以外のLDLコレステロール低下と関連するHMGCR、PCSK9、ABCG5/G8、LDLR近傍の対立遺伝子と2型糖尿病や冠動脈疾患についても検討が行われたが、HMGCRおよびPCSK9遺伝子変異は2型糖尿病と正の相関を示した(LDLコレステロール 1mmol/L[38.7mg/dL]低下当たりのオッズ比はそれぞれ1.39[p=0.003])、1.19[p=0.03])。 NPC1L1遺伝子の変異を有する症例は、心血管疾患のリスクが低いことが知られていたが2)、これまで糖尿病の発症リスクとの関連については報告がなかった。今回の研究で初めて、NPC1L1遺伝子変異が2型糖尿病のリスク増加と関連していることが明らかとなった。さらに、LDLコレステロールの低下に関与するHMGCR、PCSK9の遺伝子変異よりもオッズ比が高いことも示された。 エゼチミブは脂質異常症の治療薬として実臨床で使われており、スタチン薬とエゼチミブの併用療法は糖尿病を合併した脂質異常症の心血管イベントを抑制することが報告されている3)。 糖尿病のない脂質異常症の症例に投与してどの程度2型糖尿病の発症が増加するのか、また、すでに糖尿病のある脂質異常症の症例にエゼチミブを投与して血糖コントロールに悪影響を及ぼすかどうかについてはまだ明らかにされておらず、今後の研究が待たれる。

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患者さん負担を軽減するインスリン

 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、10月13日都内において、同社の持効型インスリンアナログ インスリン デグルデク(商品名: トレシーバ注〔以下「本剤」という〕)の「用法・用量」の改訂に伴い、基礎インスリンの臨床知見に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、インスリン治療の実際とともに、患者のインスリン治療への意識などのアンケート結果も発表された。毎回定時にインスリン注射するのは難しい はじめに、「基礎インスリン治療におけるアドヒアランスの重要性及びアンメットニーズ」をテーマに原島 伸一氏(京都大学大学院 医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科 講師)が、講演を行った。 インスリン治療中の糖尿病患者では、インスリンの生理的分泌動態を実現するために、食事・運動療法を基本としつつ、基礎インスリンを1日1~2回、定時に注射することが推奨されている。実際、インスリンアドヒアランス不良の患者では、HbA1cの値が高い傾向にあり、合併症リスクも増加するというレポートもある。 日本・海外を対象にしたインスリン注射に関するGAPP調査(患者n=1,530、医師n=1,250)によれば、「インスリン注射をスキップした、医師の指示通り注射しなかった」と回答した日本人患者(n=150)は44%にのぼり、医師(n=100)の回答でも「指示通りにインスリン注射ができない患者がいた」と66%が回答している。 また、「インスリン注射の困難な点について」では、日本・海外の患者は「毎日指示された時間や食事時にインスリン注射すること」と1番多く回答しているのに対し、医師は「毎日の注射回数」と回答するなど、意識の違いが表れている。 望まれるインスリン療法としては、患者・医師双方とも85%以上が「注射し忘れたときにカバーできるインスリン療法」を望み、患者の日常生活の変化に適合するレジメンを求められていることが報告された1)。 実際、持効型インスリン注射の時間がずれた場合の影響を調べた研究によれば、約2時間程度のずれでは、血糖値のコントロールに有意差は認められなかったものの、ずれる時間が長くなるに従い、低血糖発現頻度の上昇と関連する可能性があることがわかっている。そのため、作用時間が長く、安定した持効型インスリン製剤が望まれると原島氏は指摘する。 同氏は、「インスリンで治療中の患者さんの悩みとして、なかなか時間通りに注射できないという声が多く聞かれ、これが治療でのストレスになっている。今後安全性の高い、持効型インスリンがつくられることで、患者さんの不安の解消につながればと願う」とレクチャーを終えた。患者さんの生活・労働環境に合わせられるインスリン 続いて門脇 孝氏(東京大学大学院 医学系研究科糖尿病・代謝内科 教授)が、「トレシーバ注の新しい臨床的エビデンスと投与タイミングの柔軟性がもたらす臨床的な意義」をテーマに、患者さんのニーズに合った基礎インスリンの特徴について解説した。 本剤は、24時間を超えて血糖降下作用が平坦で安定しているのが特徴で、患者さんの「インスリンの注射忘れ」の不安を和らげる。 本剤の注射時刻を変更した投与法で有効性および安全性を検討したFlex(T1/T2)試験によれば、1型・2型糖尿病ともに投与時刻固定群と比較して、非劣性を証明できず、有意差を認めなかった。同様にわが国で行われた投与時刻固定群とフレキシブル投与群を比較したJ-Flex試験2)でも、HbA1cの推移においてフレキシブル投与群の非劣性を認めず、また、空腹時血糖の推移・すべての低血糖と夜間低血糖において、両群間に有意差が認められなかった。 これらの臨床試験を受け、本剤の「用法・用量に関連する使用上の注意」が改訂・承認された。以前は「毎日一定の時刻に投与させること」とされていたものが、改訂後は「通常の注射時刻から変更する必要がある場合は、血糖値の変動に注意しながら通常の注射時刻の前後8時間以内に注射時刻を変更し、その後は通常の注射時刻に戻すよう指導すること」とされた。 これにより、通常の投与時刻の前後8時間以内の投与が可能となり、患者さんの生活状況に合わせた、より現実的な治療ができるようになるという(原則は毎日一定の時刻である)。 終わりに門脇氏は、「糖尿病治療の目標は、血糖、体重、血圧などの良好なコントロールの維持により、さまざまな合併症を阻止することで、健康な人と変わらないQOLの維持、寿命の確保である。そのためにも患者さんの生活環境や労働環境に合わせた治療薬の適正化は、患者中心の医療の実現に寄与する」と講演を結んだ。(ケアネット 稲川 進)参考文献1)Peyrot M, et al. Diabet Med. 2012;29:682-689.2)Kadowaki T, et al. J Diabetes Investig. 2016;7:711-717.関連リンク【特集】糖尿病 外来インスリン療法

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第6回 DPP-4阻害薬による治療のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第6回】DPP-4阻害薬による治療のキホン―DPP-4阻害薬の長期投与の安全性について教えてください。 最初のDPP-4阻害薬が海外で臨床使用されるようになってから約10年、国内で使用されるようになってから約7年が経過し、今では国内外で多くの糖尿病患者さんに使われています。しかし、古くから使われているSU薬やビグアナイド(BG)薬などに比べると使用期間が長くないため、長期投与の安全性について懸念される先生方も多いと思います。 DPP-4阻害薬については、心不全による入院リスクの増加が指摘されており、それを受け、1万4,671例の心血管疾患のある2型糖尿病患者さんを対象に、通常治療へのシタグリプチン追加の心血管に対する安全性を検討した多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験「TECOS(Trial to Evaluate Cardiovascular Outcomes after treatment with Sitagliptin)」が行われました1)。その結果、追跡期間中央値3年(四分位範囲2.3~3.8年)で、主要評価項目である心血管疾患死、非致死的心筋梗塞(MI)、非致死的脳卒中、不安定狭心症による入院の複合エンドポイントにおいて非劣性が示されており、これら有害事象のリスク上昇はみられなかったという結論に至っています※。また、類薬でも心血管に対する安全性を検討した試験が報告されています2)。 ※本試験でのシタグリプチン投与量は「100mg/日(30mL/分/1.73m2≦eGFR<50mL/分/1.73m2例は50mg/日)」となっており、国内での用法・用量は「通常、成人にはシタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。」です。 しかし、DPP-4阻害薬は、インスリン分泌を促進する消化管ホルモンであるGIPおよびGLP-1を分解し不活性化するDPP-4を阻害することで血糖値を下げる薬剤で、DPP-4は、免疫応答調節に関与するCD26などの活性化T細胞をはじめとし、さまざまな器官の細胞に存在するため、GIPおよびGLP-1以外の物質やホルモンなどに影響を及ぼす可能性があると考えられています。そのため、さらに長期的な安全性については、より多くの実臨床における使用成績が蓄積されることで、現時点で確認されていない有害事象を含め、わかってくることと思います。―DPP-4阻害薬の膵臓がんとの関連について教えてください。 DPP-4阻害薬の膵疾患との関連については以前より議論されており、さまざまな解析が行われ、多くの専門家がそれらを考察していますが、現在のところ、膵臓に対する安全性として、米国糖尿病学会(ADA)および欧州糖尿病学会(EASD)、国際糖尿病連合(IDF)は、情報が十分でないため、DPP-4阻害薬による治療に関する推奨事項を修正するには至らないという合同声明を発表しています3)。 国内では、保険会社の医療費支払い申請のデータベースを基に、DPP-4阻害薬における急性膵炎の発症を検討した後ろ向き解析で、急性膵炎のリスクを高めないという報告もありますが4)、現時点で、膵炎や膵臓がんなどへのDPP-4阻害薬の関与について、十分な症例数で、十分な期間、前向きに検討した試験はありません。しかし最近、インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬)による膵がんの発症リスクは、スルホニル尿素(SU)薬と変わらないことが、CNODES試験5)で確認されました。CNODES試験は、2型糖尿病患者の治療におけるインクレチン関連薬とその膵がんリスクの関連を検証した国際的な他施設共同コホート研究であり、カナダ、米国、英国の6施設が参加し2007年1月1日~2013年6月30日の間に抗糖尿病薬による治療を開始した97万2384例が解析の対象となりました。DPP-4阻害薬では、リナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンが、GLP-1受容体作動薬ではエキセナチド、リラグルチドが含まれました。SU薬と比較したインクレチン関連薬の膵がん発症の補正ハザード比[HR]は、1.02(95%信頼区間[CI]: 0.84~1.23)であり、有意な差を認めませんでした。また、SU薬と比べて、DPP-4阻害薬(補正HR: 1.02、95%CI: 0.84~1.24)およびGLP-1受容体作動薬(補正HR:1.13、95%CI:0.38~3.38)の膵がん発症リスクは、いずれも同等でした。治療開始後の期間についても、インクレチン関連薬の膵がんリスクに有意な影響はありませんでした。この論文では、インクレチン関連薬に起因するがんが潜在している可能性があるため監視を継続する必要はあるものの、今回の知見によりインクレチン関連薬の安全性が再確認された、と結論付けています。 DPP-4阻害薬の中には、重要な基本的注意として「急性膵炎が現れることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐などの初期症状が現れた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること」とされているものもあります。なお、糖尿病患者さんでは、健康成人に比べて急性膵炎や膵がんの発症率が高いので6)、DPP-4阻害薬使用の有無にかかわらず、注意して観察する必要があります。―1日1回、1日2回、週1回の製剤はどのような基準で選べばよいのか、教えてください。 投与回数はアドヒアランスに影響しますので、まずは患者さんの服薬状況やライフスタイルによって選ぶとよいと思います。アドヒアランスは効果に反映します。毎日きちんと服薬できているような患者さんでは問題ありませんが、仕事が忙しく、どうしても飲み忘れてしまうという患者さんや、勤務時間がバラバラだったり、夜勤などもあって、服薬が習慣化できないような患者さんでは、1日2回より1日1回、1日1回よりは週1回のほうが飲み忘れが少なくなるかもしれません。―DPP-4阻害薬の各薬剤間に大きな違いはあるのでしょうか。どのように使い分けをすべきか、教えてください。 DPP-4阻害薬の使い分けについては、第2回 薬物療法のキホン(総論)―同グループ内での薬剤の選択、使い分けを教えてください。をご覧ください。1)Green JB, et al. N Engl J Med. 2015;373:232-242.2)Scirica BM, et al. N Engl J Med. 2013;369:1317-1326.3)Egan AG, et al. N Engl J Med. 2014;370:794-797.4)Yabe D, et al. Diabetes Obes Metab. 2015;17:430-434.5)Azoulay L, et al. BMJ. 2016;352:i581.6)Ben Q, et al. Eur J Cancer. 201;47:1928-1937.

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143)心疾患の再発防止で大切なこととは【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 (心筋梗塞の再発予防) 医師心臓のほうは大丈夫ですか? 患者はい。あれから、胸が苦しくなることはありません。 医師それは良かったです。また、心筋梗塞が起これば、さらに多くのものを失うかもしれませんからね。今は仕事のペースはいかがですか? 患者少しペースを落としています。部下を信頼して、仕事を任せるようにしています。 医師それは良いですね。部下の方の成長を見守るのも楽しみですね。 患者確かに、今までは自分で管理しないと気が済まなかったから…。 医師そうですね。発想の転換をすることで、仕事だけでなく健康にも気が配れるようになるかもしれませんね。 患者確かに、そうですね。●ポイント健康だけでなく、部下にも気を配ることで、行動修正を図るよう説明します参考資料 タイプA行動パターンの修正法 (161)参照すべて自分で処理せず、部下に任せて温かく見守る深呼吸をして、仕事のペースをゆっくり進めるワークライフバランスを考え、仕事以外の価値(以前やっていた趣味の復活など)を見出す

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142)疾病リスクを血圧管理指導で安心させる【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師Aさん、気になる病気は何ですか? 患者やっぱり、認知症ですね。最近、物忘れが多くて…。 医師なるほど。普段、どんなことに気を付けておられますか? 患者特に、何もしていないんですが…。 医師それなら、認知症予防になるいい方法がありますよ? 患者それは何ですか?(興味津々) 医師当たり前のことなんですが、血圧をきちんと管理することです。血圧をきちんと管理することで、動脈硬化を防ぐことができます。その結果、血管性認知症になるリスクを下げることができますよ。 患者やっぱり血圧なんですね。もっと気を付けるようにします。●ポイント血管性認知症と血圧管理の関係をわかりやすく説明します1)Sharp SI, et al. Int J Geriatr Psychiatry. 2011;26:661-669.

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世界の平均寿命、35年で約10年延長:GBD2015/Lancet

 1980年から35年間に、世界の年齢別死亡率は着実に改善し、この進展パターンは過去10年間持続しており、多くの国では当初の予測よりも迅速であったが、期待余命が短縮し、いくつかの死因の年齢標準化死亡率が上昇した国もあることが、米国・ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らが実施したGlobal Burden of Disease Study 2015(GBD 2015)で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年10月8日号に掲載された。生存期間を改善し、寿命を延長するには、その時々の地域の死亡率や傾向に関する頑健なエビデンスが求められる。GBD 2015は、195の国と領地における1980~2015年の全死因死亡および249項目の原因別死亡を包括的に評価する世界的な調査である。新たな解析法による検討、GATHERに準拠 研究グループは、GBD 2013およびGBD 2010のために開発された解析法の改良版を用いて、年齢、性、地理、年代別の全死因死亡率を推算した(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成による)。 GBD 2015では、エボラウイルス病を含む8つの死因が新たに加えられた。ほとんどの死因の予測値を生成するCause of Death Ensemble Model(CODEm)のほか、6つのモデリング法を用いて、原因別死亡率の評価を行った。 「保健推計報告の正確性、透明性のためのガイドライン(Guidelines for Accurate and Transparent Health Estimates Reporting; GATHER)」に準拠し、データ源とともに、解析過程の各段階を記述した。出生時期待余命が61.7歳から71.8歳へ、死亡数が増加し年齢標準化死亡率は低下 世界的な出生時の期待余命(寿命)は、1980年の61.7歳から、2015年には71.8歳に延長した。サハラ以南のアフリカ諸国では、2005年から2015年に期待余命が大幅に延長した国があり、HIV/AIDSによる大規模な生命の喪失の時代からの回復が認められた。 同時に、とくに戦争や対人暴力により死亡率が上昇した国など、期待余命が停滞または短縮した地域も多かった。シリアでは、2005年から2015年に期待余命が11.3年短縮し、62.6歳にまで低下した。 2005年から2015年に、全死亡数は4%増加したが、年齢標準化死亡率は17.0%低下しており、この間の人口増加と年齢構成の転換が示された。この結果は、全死亡数が14.1%増加したのに対し年齢標準化死亡率が13.1%低下した非感染性疾患(NCD)と類似していた。このパターンは、いくつかのがん種、虚血性心疾患、肝硬変、アルツハイマー病、その他の認知症にみられた。 これに対し、感染性疾患、妊産婦、新生児、栄養障害による全死亡数および年齢標準化死亡率は、いずれも2005年から2015年に有意に低下しており、その主な要因はHIV/AIDS(年齢標準化死亡率の低下率:42.1%)、マラリア(同:43.1%)、早産による新生児合併症(同:29.8%)、妊産婦の疾患(同:29.1%)による死亡率の低下であった。また、外傷による年齢標準化死亡率は、この間に有意に低下したが、例外として、とくに中東地域では対人暴力や戦争による外傷で多くの人命が失われた。 2015年における5歳以下の下痢による死亡の主な原因はロタウイルス性腸炎であり、下気道感染症による死亡の主原因は肺炎球菌性肺炎であったが、病原体別死亡率は地域によってばらつきがみられた。 全体として、人口増加、高齢化、年齢標準化死亡率の変化の影響は、死因ごとに実質的に異なっていた。SDIによるYLLの予測値と実測値 原因別死亡率と社会人口学的指標(SDI:学歴、出生率、1人当たりの所得に基づくサマリー指標)の関連の解析では、SDIの上昇にともなって、死因や年齢の構成が規則的に変化することが示された。 若年死亡率(損失生存年数[YLL]の指標)の国別のパターンには、SDIのみに基づくYLLの予測値との間にずれがあり、国や地域によって高度に不均一なパターンが明確に認められた。ほとんどの地域では、YLL増加の主要な原因は虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病であったが、多くの場合、地域内のSDIに基づくYLLの実測値と予測値の比には、顕著な不一致が認められた。 サハラ以南のアフリカのすべての国では、感染性疾患、妊産婦、新生児、栄養障害がほとんどのYLLの原因であり、依然としてマラリアやHIV/AIDSが早期死亡の主要原因の国では、YLLの実測値が予測値をはるかに超えていた。 著者は、「年齢標準化死亡率は改善したが、人口増加や高齢化が進んだため、多くの国でNCDによる死亡数が増加しており、これが保健システムへの需要の増加を招いている」とまとめ、「これらの知見は、SDIに基づく死亡のパターンを、より深く研究するための参考になるだろう」としている。

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GLP-1受容体作動薬は心血管イベントを抑止しうるか(解説:吉岡 成人 氏)-603

はじめに  いくつもの大規模臨床試験により、糖尿病治患者の心血管イベントを抑制するためには、発症早期からの集約的な代謝管理が有用であることが確認されている。一方、罹病期間が長く、心血管イベントを発症するリスクが高い患者やすでに心血管疾患の既往がある患者では、インスリンを中心とした薬剤で厳格な血糖管理を目指すことは、低血糖のリスクが高まり、心血管イベントを抑止しえないことも広く知られている。このような背景を基に、インクレチン製剤はGLP-1やGLP-1の代謝産物を介して心保護作用が期待され、心血管イベントに対する有用性を臨床的にも示すデータが待ち望まれていた。しかし、DPP-4阻害薬であるサキサグリプチン、アログリプチン、シタグリプチンを用いたSAVOR-TIMI53、EXAMINE、TECOSの各試験においては、プラセボと比較して心血管イベントに対する非劣性を示すにとどまった。一方、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンがEMPA-REG試験で心不全の減少を介すると思われる心血管イベント抑制の効果を証明し、その後の解析によって腎保護作用を持つことも示唆されている。GLP-1受容体作動薬と心血管イベント 2016年の米国糖尿病会議において、リラグルチドによって2型糖尿病患者の心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死的脳卒中)が一定の割合で抑制される(ハザード比0.87、95%信頼区間、0.87~0.97)ことを示したLEADER試験(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)は大きな話題となったが、有意差はないもののリラグリチド投与群で13例、プラセボ群で5例の膵臓癌の発生(p値0.06)というデータが気にかかった。さらに、急性心不全で入院した患者を対象としてリラグルチドを投与したFIGHT 試験(Functional Impact of GLP-1 for Heart Failure Treatment1))では、リラグルチドによって心不全の予後は改善せず、糖尿病患者に限定すると、予後を悪化しかねないことも示された。リキシセナチドを用いたELIXA試験(Evaluation of Lixisenatide in Acute Coronary Syndrome)でも心血管疾患に対する保護効果はなく、GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに対する臨床効果に懸念が持たれた。GLP-1受容体作動薬、週1回製剤の場合 現在、日本において週1回投与が可能なGLP-1受容体作動薬はビデュリオン(エキセナチドをマイクロスフェアに包埋し持続的に放出する製剤)とトルリシティ(デュラグルチド、アミノ酸を置換したヒトGLP-1アナログ2分子にIgG4のFc領域を融合し、吸収速度と腎排泄を低下させ作用時間を延長させる製剤)が発売され、毎日の自己注射が難しい高齢者などを中心に使用が広まっている。 このような背景のもと2016年9月15日号のNEJM誌にノボノルディスクファーマで開発中のGLP-1受容体作動薬、週1回投与製剤であるセマグルチドの心血管イベントに対する影響を検討した研究(SUSUTAIN-6:Trial to Evaluate Cardiovascular and other Long-Term Outcomes with Semaglutide in Subjects with Type2 Diabetes)の報告が掲載された。 20か国230施設にて、50歳以上で心血管疾患の既往がある慢性心不全または慢性腎臓病(CKD)ステージ3以上、または60歳以上で心血管リスク因子(心血管疾患の既往、50%以上の冠動脈病変、運動負荷試験で陽性など)を有するHbA1c7.0%以上の糖尿病患者3,297例を対象としている。対象患者の糖尿病の平均罹病期間は13.9年、平均HbA1cは8.7%、平均体重は87.2kgで、観察期間(中央値2.1年)中に、セマグルチド投与群で6.6%、プラセボ群で8.9%に心血管複合イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が認められ、ハザード比は0.74(95%信頼区間:0.58~0.95、非劣性p<0.001)であった。セマグルチド0.5mg、1.0mg投与群でHbA1cはそれぞれ1.1%、1.4%低下し、体重も3.6kg、4.9kg低下した。膵癌の発生はセマグルチド群1例、プラセボ群4例と報告されている。 個々のイベントでは、心血管死についてはセマグルチド群2.7%、プラセボ群2.8%と差はなかったが、非致死性心筋梗塞と非致死性脳梗塞の発症はそれぞれ2.9% vs.3.9%(ハザード比0.74、95%信頼区間:0.51~1.08、p=0.12)、1.6% vs.2.7%(ハザード比0.61、95%信頼区間:0.38~0.99、p=0.04)と、セマグルチド群での低下傾向が認められた。細小血管障害についてはセマグルチド群の3.0%に網膜症の悪化(硝子体出血、光凝固、硝子体内注射など)が認められプラセボ群では1.8%であった(ハザード比1.76、95%信頼区間:1.11~2.78、p=0.02)。おわりに セマグルチド群では嘔気、嘔吐などの消化管の副作用が多いものの、より良好な代謝管理が得られ、心血管リスクが高い患者では心血管イベントに対する有用性も示唆される成績と考えられる。しかし、GLP-1受容体作動薬で今まで指摘されていなかった網膜症の増悪が示唆される点は不気味な印象を覚える。 いずれにしても、諸手を挙げて「GLP-1受容体作動薬は心血管イベントの抑制に有用」と結論付けるには難しい状況が続いている。【お知らせ】本文内の表記を一部変更いたしました(2016年11月7日)。

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